「本当に出ていくのか🐨」
「アポジが亡くなったからって、俺とナムジュン2人の稼ぎで、ジミンお前一人位養っていけるくらいの甲斐性は有るんだぞ🐿️」
「うん有り難う。ホソクヒョンにナムジュンヒョン。
だけどずっと前から決めていたんだ。
俺がダンスで喰っていけるか、家を出て確かめたいって。
今までは好きなだけで、アポジやヒョン達の稼ぎで、ダンスを沢山やらせてもらっていたけど、俺のダンスにお金を払ってでも観てくれる人達がいるか、自分で確かめてみたいって。
だから、アポジの死をきっかけに、家を出て一人でやってみたいんだ。
それに俺一人じゃないから。
コイツ、猫だから、普段は昼寝ばかりしてるけど、本当に困ったときは、結構役に立つんだ。🐥」
『鼠も取らないユンギが??🐨🐿️』
「ニャぁ〜〜〜〜〜😺」
早くに母親を病気で亡くし、男で一つで3人の息子たちを育て、近所でも仲良し家族と評判のパク家の父親が突然の事故で亡くなって一カ月。
葬儀やその他諸々の片付けが一通り落ち着いた時に、末っ子のジミンが突然家を出て独り立ちすると宣言して、弟大好きで、ジミンを溺愛さていたホソクとナムジュンの2人は心配でたまりません。
だけどジミンの決心は代わりません。
今まで、父親や2人の兄に甘えて、仕事らしい仕事はしないで大好きなダンス三昧の日々を過ごしてきていましたが、これからは家を出て、ダンスのスキルを生かして、自分一人で生きていくと強く心に決めていたのです。
そして、大好きな猫のユンギも一緒だから大丈夫だと、兄達を安心させるように満面の笑顔で言うのです。
そんなジミンの言葉に更に心配を強くするホソクとナムジュン。
猫に一体何が出来るのかと。
下手すると、一人と一匹で路頭に迷い餓死していまうのではないかと最悪の事迄頭に浮かんで、不安な表情で部屋の隅で惰眠を貪るユンギを見つめています。
そんな2人の不安には全く関心が無いみたいに、大きな欠伸を一つすると、再び眠りにつくユンギ。
「ジミン、お前の決心が変わらないのは分かった。
だけど、無理だけは絶対にしないでおくれよ🐿️」
「それに最初から何も持たずに行くなんて無鉄砲すぎるぞ。
せめて、これくらいは持っていけ。🐨」
ジミンの固い決意に根負けして、涙目になりながらもせっせとお弁当を作って持たせてくれるホソク。
そして何かと物入りになるに違いないからと、かなりの金額を持たせてくれるナムジュン。
「ホソクヒョン、ナムジュンヒョン本当に有り難う。
ユンギと一緒に街に出て、必ず成功してみせるから。
だから心配しないで待っていて🐥」
小さな身体に大きな大志を抱き、猫のユンギと共に長年住み慣れた家を後にするジミン。
その姿を何時迄も名残惜しげに見送るホソクとナムジュン。
『どうか、元気で。
ジミン、お前は優しくて強い子だから絶対に諦めないで、成功を掴むってヒョン達は信じてるからね🐿️🐨』
祈りにも似た言葉て、ジミンの姿が見えなくなっても、ジミンが向かった道を何時迄も見送り続けるのでした。
[newpage]
「さてと、周りに誰も居ないな。
ヨシッ、ジミン、まず俺に立派な服と靴を買ってくれ😺」
「ウワァ〜〜〜何!?
ユンギ!?、猫、猫が喋ったあ〜〜
お前、化け猫だったのかぁ〜〜🐥」
それまで、ポテポテとジミンの後を大人しく着いて来ていた猫のユンギ。
人通りの無い場所に来ると、いきなり立ち上がり人間の言葉を話したのです。
心なしか、身体も一回り大きくなった気がします。
それまでも自分が困った時にはいつの間に姿を現して、なくし物を見つけ出してくれたり、難癖つけてくる人を追い払ったりと偶然かもしれないけれど、何かと自分の事を助けてくれていたユンギ。
そんなユンギを賢くて、優しい猫だと思って大事に世話をしていたジミンも、あまりの出来事に腰を抜かさんばかりに驚きます。
「流石に驚くよな。
驚かせて悪かった。
たけど、俺は化け猫では無い。
事情が有って、人の言葉を理解するし喋れるだけだ。
ジミン、お前が言っていた様に、絶対にお前の役に立ってみせるから俺を信じて、言った通りにしてくれ😺」
ジミンの驚く様にもさして同様せずに、自分を信じてくれと言うユンギの表情はいつもと変わらず、優しく自分を見つめて来ていて、驚いて警戒していたジミンも、詳しい事情を聞くのは後にして、今はユングの言葉を信じて、彼の言うとおりにする事を決めます。
「何か芸当でも披露するのかい?」
「ハハッ、まぁ、そんな所です🐥」
綺麗な白猫を連れた可愛らしい少年が、猫用に、立派な衣装を購入する姿に、店の主人は笑いながら声をかけます。
「なら、代金まけるから、何か芸を見せておくれよ。」
今日は客足も悪く、退屈していた店の主人は、良い話し相手と時間潰しの為に、ジミンに何か芸を見せてくれと頼み込んでいます。
「えっ?でも……🐥」
突然の無茶振りに、困ってしまうジミン。
ダンスなら得意ですが、曖昧に答えた為にユンギがどんな芸が出来るなんて、全く分かりませんし、なんなら何も出来ない可能性だって有るんですから。
「ニャニャニャ😺」
困り果てているジミンの服の袖を、ユンギが必死で引っ張り店の奥の隅に連れていこうとします。
「チョットお待ちくださいね🐥」
ユンギの様子に気が付いたジミンは、素早く店の奥にユンギを抱きかかえて移動します。
「何か良い考えでも有るの?🐥」
店の主人には聞こえない位の小さな声で尋ねます。
「店の前の広場で、パフォーマンスするって伝えてくれ。
ジミンお前ダンスしながらナイフ投げ出来る?😺」
「あぁ、ダンスの種類によるけど、回転しながら的狙って投げる位なら。
なぁもしかして………危険過ぎないか?🐥」
「お前、猫の身体能力舐めてんのか?
ナイフ位華麗に避けて的🎯に刺さる様に的を動かすなんて寝てても出来る😺」
自信タップリなユンギの言葉に押され、店の前の広場で披露するパフォーマンス。
華麗に回転しながら5本の短剣を次々とユンギ目掛けて投げるジミン。
そして、飛んで来た短剣を避けながら、自身が持っている的に短剣が突き刺せる優雅で素早い身のこなしを見せるユンギ。
一人と一匹の阿吽の呼吸で行われる圧巻のパフォーマンス。
クルクルと華麗に回転しながら、次々と短剣をユンギ目掛けて投げつけるジミン。
そのバレエダンサーの様な軽やかな身のこなしは芸術とも言える美しさです。
そして、すんでのタイミングで跳んでくる短剣をかわしながら、的を掲げて短剣に突き立たせるユンギ。
猫だからこその俊敏な動きではあるが、サーカースで似た様な芸を披露するには何年もの厳しい特訓が必要だと言われている。
それを安々とやってのけるのだから、コイツやはり只猫では無い筈だと、パフォーマンスしながら思ってしまうジミン。
「凄い!!」
「ブラボー」
「世界一!!」
いつの間にか、店の前には黒山の人集りが出来て、ジミンとユンギの華麗な芸当に賛辞を送っています。
「お前ら本当に凄いな。
こんな素晴らしいパフォーマンスは初めてだよ。
ええぃっ!!只で見るなんて、俺の気が収まらない。
買った商品全部くれてやる。
持ってけ泥棒!!」
なんと店の主人はジミンがユンギの為に購入した、立派な洋服や靴を全て無料にしてくれると言うのです。
「ジミン、それならお前の服も豪華な衣装が買えるぞ😺」
ユンギが小声で囁いてきます。
「えっ?俺は良いよ🐥」
猫のユンギにはそれなりの格好をさせた方が、芸の出来る猫と認識して貰い、宿泊施設や店舗にも入ることを拒絶されるリスクも低くなるが、自分は特に着飾る必要は無いとジミンは判断したのです。
ですが
「ジミン、今の格好じゃ駄目だ。
お前にもそれなりの格好をしてもらわないと俺が困るんだ。
頼むから、今は何も聞かず黙って貴族の若様らしい格好をしてくれ😺」
何時になく真剣な様子のユンギにジミンは、衣装屋から貴族風の装いを買って身につけます。
「なんと!!
君、貴族の若様みたいに見えますね。」
衣装屋の主人も、立派な衣装を身に着けたジミンの変貌振りに驚きを隠せません。
その時です。
「そこの君、さっきは素晴らしい芸当を披露していたよね。
是非、城に来て、王子様の為に芸を披露してくださらないかね。」
立派な身なりの男性がジミンに声をかけています。
「貴方は?城ってどういう事ですか🐥」
突然見知らぬ人から城に来て芸を披露して欲しいと言われて、驚き戸惑うジミン。
「あぁ、突然で驚かれるのは無理も有りません。
私は、このバンタン国の王に使える者です。
実は王のたった一人の世継ぎの王子でいらっしゃるジョングク様が、不機嫌の病に掛かってしまわれて、もう3年もの間、笑うことを忘れてしまわれたのです。
今の王子の心の拠り所と言えば、昔から飼っている虎一匹と、いつのまにか迷い込んで住み着いてしまったハムスター一匹のみ。
従者である私共とは一切喋らずに、日がな虎とハムスターを相手に過ごされているのです。
王も王子の様子に心を痛めて体調を崩してしまわれてしまった。
このままでは、我がバンタン国は滅びてしまいます。
何とか王子の病を治すべく、多くの医者が治療に当たりましたが、どんな治療も効果が無く、治る方法は王子が心から楽しいと感じることらしいのです。
ですから、国内外から多くの芸人や舞踊家、音楽家を招き素晴らしい舞踊や音楽を披露したのですが、全く興味を示さず、虎とハムスターを可愛がるのみなのです。
ですから、貴方様方を城に招いて先ほどの芸を是非ジョングク様にも披露して欲しいのです。」
突然、城に行って、笑わない王子の前で芸を披露して欲しいと懇願され、ジミンは戸惑いを隠せません。
「でも、俺等は未だ本格的に芸を練習しているわけでは無いのです。
今まで沢山の方々が素晴らしい音楽や舞踊を披露しても心ご躍らなかったのであれば、私達のような素人では全く可能性が無いのでは有りませんか?🐥」
そんなジミンにユンギが喝を入れています。
「ジミン、お前、自分のダンスの実力を試したくて家を出てきたんじゃ無かったのか?
こんなチャンス2度と来ないかもしれないんだぞ。
やってもみなくて自信がないとか情けない事を言っているんだったら、今すぐ、ダンスで成功するなんて夢なんかとっとと諦めて、ヒョン達が待っている家に戻って、ヒョン達の仕事でも手伝って暮らせば良い😺」
「俺の夢……🐥」
「そうだ、ジミン、お前の夢だ😺」
ユンギが厳しい表情でジミンを見つめます。
その言葉にジミンは自分が何故ダンスが好きなのかを思い出します。
「俺は躍ることが大好きだ。
ウウン、それだけじゃない。俺のダンスで皆が笑顔になるのを見ると俺も幸せになれるんだ。
だから、結果なんて気にしなくて、ジョングクという王子様に喜んで貰えるように精一杯ダンスを披露するだけ。
余計な事なんか考える必要なんて無いんだよね。
ユンギ、さっきの曲芸じゃなくて俺のダンスに合わせて動けるかい?🐥」
「当たり前だ。
俺を誰だと思ってるんだ😺」
「居眠りばかりして、鼠を取らない眠り猫。
だけど、長靴を履いたら世界一のダンスを踊る猫になるんだろう。🐥」
そう言って互いに拳を突き合わせると
「分かりました。
お役に立てるかわかりませんが、城に行って、俺達のパフォーマンスを披露させてください🐥」
王の従者に声を掛け、共に城へと向かうのでした。
「ジョングク王子、今日は面白い芸を見せる旅の芸人を連れてまいりました。」
「何を見せられても、俺の心は晴れる事は無い。
だが、お前の気持を無駄にするのも申し訳ないな。
ホラッ、テヒョンにソクジンも此処に来て、旅芸人達の芸を一緒に見ようじゃないか🐰」
バンタン国のジョングク王子は、大きな澄んだ瞳を持つ若くハンサムな王子様です。
ですが、その澄んだ瞳には暗い影がよぎっていて、空虚な表情を見せています。
そしてテヒョン、ソクジンと呼ばれた美しい虎とコロコロした可愛らしいハムスターが、王子の呼びかけで、王子の隣にやって来て座ります。
「さて、旅の芸人殿、遠い所から来てくれてご苦労であった。
きっと、城の者から無理やり頼まれたのだろう。
俺が、そなた達のパフォーマンスを見て全く表情が変わらなくても落胆する事は無いぞ。
俺はもう何年もの間、何を見ても食べても心が動くと言うことは一切無いのだから。
俺の心を癒してくれるのは、この虎とハムスターだけなのだ。🐰」
ジョングク王子の言葉にジミンの心は張り裂けそうに痛みます。
「何を見ても、食べても心が動かないと言いながら、この王子は俺達の事を気遣ってくれる優しい心根の持ち主。
そんな優しい方が、何故?
でも今は、俺とユンギのダンスで、王子様の心が少しでも安らげる様、心を込めて踊るだけだ。🐥」
ジミンの気持を汲み取った様にユンギもジミンを見つめて力強く頷きます。
ジミンが透き通る声で歌を歌いながら一歩踏み出して、一人と一匹の舞台が始まります。
「🎵🎵🎵🎶🎶🎵🎵」
ジミンが高くジャンプすると、ユンギもすかさず、その下でクルクルと器用に空中を回転します。
そしてコミカルに腰を振りながら、力比べを連想させるダンスを王子達の直ぐ前で披露していると、リズムに釣られてハムスターが楽しげに踊りだします。
「きゅうんキュルル🐹」
可愛らしい声をあげながら、一生懸命腰をフリフリする愛らしいハムスターの姿に城の皆がヤンヤヤンヤの喝采を送ります。
「ぐうわお〜〜〜🐯」
ハムスターにつられ今度は虎も踊りの輪に加わります。
それまで無表情だった王子の表情も僅かに和らいで来ています。
そのタイミングを逃さずユンギはジミンに合図を送ります。
「さぁ、王子もご一緒に!!🐥」
一歩間違えれば、『無礼者!!』、そう怒鳴られ、首を跳ねられるかもしれない無礼にも取れる行為。
だが今のジミンにとっては、ジョングク王子は王子では無く、自分達のパフォーマンスを観てくれる大事な観客の一人。
その希望を失った瞳が自分達の踊りで再び輝きを取りも出せるなら、自分はどうなっても構わない。
目の前に居る一人の観客の為に、自分の全身全霊を込めて、踊りを披露するだけ。
「座って居ても、心は躍りませんよ。
ホラッ、貴方の大事な友人達も楽しそうに踊っているじゃないですか。
一緒に楽しまないと、損ですよ🐥」
「友人達?この者達は……🐰」
「そう、王子、貴方が唯一心を許せる大事な者達では有りませんか?
それは、人間でなくても友人と言うのでは有りませんか?
見てください。彼らも王子と一緒に踊りたがっていますよ🐥」
ジミンは手を伸ばし、笑顔で王子をダンスに誘います。
『この無礼者!!』
護衛の兵士達がジミンに飛び掛って取り押さえようとしますが、
「待て!!手を出すでない!!🐰」
ジョングク王子が護衛兵を手で制すると、伸ばされたジミンの手を掴み、玉座から立ち上がりジミンと共にフロアに進み出ます。
「俺はステップなんか分からないぞ🐰」
「思いのままに身体を動かせば良いんですよ🐥」
ジミンは王子の両手を掴んで、歌いながら簡単なステッフを踏みます。
「こ、こうか?🐰」
「そうです、凄く上手です🐥」
初めはぎこちなかったジョングク王子の動きが徐々に軽やかに、そして楽しげにリズムを刻み始めます。
「キュルル🐹ガオガオ〜〜🐯」
そんな王子の姿に唯一の友人達で有るハムスターと虎も王子とジミンの周りで楽しげに踊ります。
ですが……
「ユンギ?🐥」
初めは皆をリードするみたいに軽やかなダンスを披露していたユンギが固まって一点を見つめているのです。
「あっ、スマン、ちょっと張り切りすぎたみたいだ😺」
ジミンの問いかけに、慌ててダンスを再開するユンギ。
でも、その視線は只管ハムスターのソクジンに注がれているのです。
「鼠すら取らない、イヤ興味を示さないユンギが、何故あのハムスターに?🐯」
一方、ハムスターのソクジンは常に虎のテヒョンと一緒に暮らして、猫や虎に対して恐怖心を抱かないらしく、ユンギの姿を見ても大した反応も示さず、テヒョン達と楽しそうに踊っています。
ユンギの様子も気になりますが、今はジョングク王子が楽しんでくれることが一番です。
「ホラッ、王子様、こんな事も出来ちゃうんですよ🐥」
ジミンか勢いよく地を蹴り横に捻るコークスクリューを披露します。
ジミンは踊り始めたジョングク王子を見ていて、その身体能力の高さに驚き、そしてもっと高度な技を教えたくなり、普段は見せないコークスクリューを披露したのです。
「ヨシッ!!エイッ、うわッ!!🐰」
『王子様!!キュッ!!グワッ!!🐥😺🐹🐰』
ジミンを真似てコークスクリューをしようと勢いをつけた王子でしたが、バランスを崩して、大きな音を立てて地面に激突してしまいます。
王子に怪我をさせては大変な事になる。
一緒にダンスをしていた、ユンギ、ジミン、ソクジン、テヒョンそして従者の方々も慌ててジョングク王子の元に駆け寄ります。
「アハハハ!!あ〜〜無理だったぁ〜
でも大丈夫だから。
なぁジミンとやら、俺にその回転どうすれば良いか、しっかり教えてくれないか🐰」
皆の心配を余所に大声で笑い始めるジョングク王子。
『王子様がお笑いになられたぁ〜〜〜』
従者は抱き合い涙を流して喜び合います。
「本当だ。今、俺は嘘みたいに楽しい🐰」
皆が喜び合う中、ハムスターのソクジンが突然何かに気が付いた様子でユンギの元に駆け寄りユンギに飛びつきます。
「キュルルキュルル🐹」
「ソクジン!!漸く思い出してくれたんだな😺」
「キュキュキュルルル🐹」
ハムスターのソクジンと、猫のユンギがひしと抱き合う姿。
「あの……ユンギ君達は?🐥」
「あぁ、訳あって、俺とハムスターのソクジンは引き離されて別々の場所に行ってしまっていたんだ。
だが、散々探してソクジンが城に居るって情報を掴んだ。
だが、城に入るには城の住人から招かれなくてはいけなくてな。
だから、一計を案じてあの衣裳屋で立派な衣装を着て、通りでパフォーマンスを披露した。
あの通りは、あの時間帯に城の者達が通りかかるのを知っていたからね😺」
「ということは、俺を利用したと言う事?🐥」
「まぁ、ぶっちゃけ、そういう事になるかもしれないな。だがジミン、お前の幸せを俺は手助けしたと思っているんだけどな😺」
「それってどういう………🐥」
ユンギの言葉の意味が分からず首を傾げていると、突然強い力で王子から抱きしめられるジミン。
「えっ?あの?🐥」
「ソナタは俺の命の恩人と言っても過言では無い。俺の失われた『楽しい』という感情を取りも出せたのは、ソナタとそこに居る長靴を履いた白猫殿のおかげだ。
そして、俺はジミン、ソナタのダンスに、そして美しい姿にすっかり心を奪われてしまったのです。
どうか城に留まって俺の傍に居てはくれないか🐰」
クリクリの大きな瞳で訴えられ、ジミンの心臓は不思議な位ドキドキと動悸を打ちます。
「ジョングク王子様、貴方様のお気持ち凄く嬉しいです。ですが、俺は未だ未熟者です。
このまま、此処に留まってしまっては王子の好意に甘えて、駄目な人間になってしまいます。
王子のお気持ちに応えられる位の強く立派な人間になる為に、今は全国を修行し、そして王子様だけでなく、国中の人達から認められるダンサーとなって戻って参ります。それまで、どうか待っていてくださいませんか?🐥」
自分もいつの間にかジョングク王子に心を奪われていた事を自覚したジミン。
ですが、誰からも認められるダンサーにならなければ、王子の傍に居る資格は無いと考え、敢えて修行の路を選ぶジミン。
「流石は俺が惚れた男だ。城での贅沢な暮らしではなく、俺の傍に居るために、敢えて厳しい選択をするなんて。
優しげな風貌に似合わず、男気に溢れたその心意気に益々惚れてしまう🐰」
ジミンの答えにジョングク王子は益々ジミンの事を好ましく思うってしまうのです。
「だが……私の大事なソクジナも一緒に連れて行くのだな。
話を聞けば、ソクジンはジミナの相方のユンギと言う白猫の大事なパートナーらしいからな。
ソクジナ、俺が辛い時、テヒョンと共にずっと俺に寄り添っていてくれた事、感謝する。
お前を手放すのは悲しいが、大切な者と一緒に居ることがお前の幸せなら、俺は喜んでお前を送り出せる。
だが、ジミン、ユンギと一緒に必ず城に戻ってきておくれ🐰」
ユンギとソクジンの再会を共に喜び合う姿を目にしたジョングク王子は、寂しさを堪え、ソクジンがユンギ達と一緒に旅に出ることを許可します。
「キュルルル、ルル🐹」
そんなジョングク王子の掌に乗り、甘えるように頭を一生懸命擦り付けるソクジン。
ユンギと離れ離れになり、行く当ても無く彷徨って居たのを助けて城に連れて帰り、大事にしてくれたジョングク王子やテヒョンはソクジンにとっては大事な恩人で、心から大切に思う者たちなのですから。
それでも漸く巡り会えたユンギと共に城を出ていく決心をしたソクジンはジョングク王子やテヒョンとは別れるのは寂しくて、何度も何度もテヒョンやジョングク王子にじゃれついては甘えているのでした。
[newpage]
「おい、お前、ソクジナは渡さないからな!!何なら今よりももっと大きくて強い生き物にだって俺は変身できるんだぞ🐯」
テヒョンやジョングクと王子との別れを惜しんで、二人に甘えたり、大泣きしたソクジンが泣き疲れて、ユンギの腕の中で眠っていると、虎のテヒョンがユンギを睨見つけながら威嚇しています。
森で粗迷い、心細げに鳴き声を上げていたソクジンを見つけた時、
「この子は俺が一生守る🐯」
そう心に決めて、ソクジンを城に連れて帰り、汚れた身体を清めてあげたり、暖かな寝床を作ってやったり、怯えて中々食事を取らないソクジンの為に、ソクジンが好きそうな木の実や、果物を一生懸命に探して世話を続けたのです。
そして、いつの間にか、ソクジンをかけがえの無い相手と思っていたテヒョンは、突然城に現れ、ソクジンをいきなり自分から引き離し、城から連れ出そうとしている猫のユンギの事が許せないのです。
だから、ユンギを脅してでもソクジンを連れ出すのを阻止するために、唸り声をあげ、牙を剥いてユンギに襲いかかる体勢を取ります。
「ひゃあ〜〜〜〜〜何と恐ろしい!!
この世で最もお強いのはテヒョン様貴方です。諦めます、ソクジンの事は諦めますから、命だけはお助けください😺」
「そうだとも、俺が世界一最強なのだ。だからソクジナのことは俺が一生守る。お前は、あのジミナとか言う男と一緒に早々に城から去るが言い🐯」
「ですが、テヒョン様、ソクジンは俺と一緒だった時の記憶を全て取り戻しております。
その分、数日の出来事は忘れてしまっている事が多いんですよ。
そして、ソクジンは無茶苦茶怖がりな性格で、元来貴方様の様な大きくてお強い風体の生き物を最も恐れているのです。
多分、目覚めたら、間違いなくあなた様の姿を見て恐怖の余り、心の臓が止まって今うかもしれませぬ。
ハムスターとは、そう言う生き物なのですから😺」
「何と!!ソクジナが俺の事を恐れる……俺は一体どうしたら良いんだ!!🐯」
「それなら私に良い考えが御座います。ソクジナは可愛らしい物が非常に好きです。特に自分よりも小さい愛らしい姿の者に心を惹かれるのです。
例えば、マウスとかで有れば、ソクジンの身体よりも小さく、非常に愛らしいので、きっとソクジンも夢中になるに違い有りませぬ😺」
「そうか………ならば……実は俺は変体が得意なんだ。
ヨシッ、見てろよ…………………………
これでどうだ!!🐯」
虎のテヒョンが、恐ろしい形相でユンギに迫って来た時、ユンギの頭には、ある作戦が思い浮かんだのです。
だから、態とテヒョンの姿に畏怖する振りをして、そして、記憶を取り戻したソクジンはもっと可愛らしい姿の生き物を好むと嘘をついて、テヒョンにマウスになるように誘導したのです。
「ヨシッ、今だ!!😺」
「うぎゃあ〜〜〜助けて!!🐯」
愛らしいマウスの姿になったテヒョンを、猫のユンギがバシリと片手で安々と捕まえます。
そう、虎の姿のテヒョンには全く歯が立ちません。
実はどんな生き物に変身出来ると自慢をしたテヒョンの言葉を利用して、言葉巧みに力の弱いマウスに変身させて、組み伏せたのです。
ユンギの腕の中でジタバタと暴れるテヒョン。
虎の姿に戻りたくても、身体を押さえつけられ、全く力を発揮することができません。
「さぁ、腹も空いたことだし、お前を一口で食ってやることにするか😺」
ユンギがテヒョンを押さえつけたまま、口を大きく開けて、テヒョンを飲み込む仕草をします。
「ごめんなさい!!許してください。
何でも言うことを聞くから、食べるのは許してください🐯」
「なら、俺とソクジンが一緒に城を出ていく事を許すか?😺」
「ソクジナと別れるのは嫌だっ!!🐯」
「なら、お前を食ってやる!!😺」
「食われるのは嫌だっ!!でもソクジナと別れるのはもっと嫌だぁ〜〜〜🐯」
ユンギに食べられる恐怖からあっさり、白旗をあげると思っていたのに、予想を反して首を縦に振らないテヒョンに、ユンギも困り果ててしまいます。
だって、元々マウスなんて食べるつもりなんか全くないんですからね。
「ユンギ、お願いだからテヒョンを苛めないで!!
テヒョン、あんなに親身に世話してくれたのに、城から出ていく僕を許しておくれ。
僕はユンギのことを誰よりも愛しているんだ………だから……🐹」
「ソクジナ………俺はソクジナには、ずっと笑っていて欲しい。
そんなにも悲しい顔を俺がさせてしまったなんて……
ソクジナ……城から出ても俺の事を忘れないでくれるって約束してくれる?🐯」
「それって……🐹」
「ウン、俺ソクジナのこと大好き。
だから、行って良いよ。🐯」
「有り難うテヒョン、僕も大好きだよ。絶対に忘れない。僕の大事な友達🐹」
「参ったな。
力よりも愛の力か……またソクジンに教えられたな。
テヒョン、脅すような真似をして済まなかった😺」
「俺も……ごめんなさい。
ねぇ、ソクジナを幸せにするって約束して🐯」
「約束する😺」
その時です。
テヒョン、ソクジン、ユンギ3匹の周りが、突然強い光で包まれます。
『うわぁ〜〜〜!!🐹😺🐯』
自分達の身体が、強い光に包まれ、身体全体が熱くなって、自分達の身体が変化していく不思議な感覚に包まれます。
「ユンギ!!それにテヒョン!!🐹」
「ソクジナ!!、テヒョンお前も?😺」
「あんたら二人も!?🐯」
暫くすると、互いに目を見張り見つめ合う3人の美しい者達の姿が現れます。
「ユンギ、ソロソロ出掛け……うわッ🐥」
「テヒョン、お客様を脅かたり……ヒエッ🐰」
姿が見えなくなった、ユンギ、ソクジン、テヒョンを探して客間を覗いたジミンとジョングク王子は驚きの余り言葉が出てこなくなっってしまいます。
「ジミナ、驚かせてしまって済まない。
俺とソクジンは北の国の魔女の囲い者になるのを拒絶して、姿を猫とハムスターに変えられ、記憶も奪われて、この国に別々に飛ばされたんだ。
だけど、俺は奇跡的に記憶を持ち続けていたから、ソクジなの居場所と元の姿に戻る方法をお前の家で暮らしながら、ずっと探していて、解決方法を見つけたんだ。
ソクジナは城で大切にされていること、城に入るには、城の者から招かれる必要がある事、そして人間の姿に戻るには、今暮らして居る場所を去ることを許して貰えること。
だから、今テヒョンが、ソクジナが俺と行くことを許してくれたから、俺らは元の人間の姿に戻る事が出来たんだ😺」
「俺は魔女から恋人になって欲しいと迫られ、拒んだら虎の姿にされてしまった。
だけど、魔女の魔法書を見て、人間以外の生き物の姿になる事は出来る様になっていて……だけど、人間に戻る方法は分からなかった。
多分ユンギやソクジナに賭けた魔法が解けた時に近くにいたから、一緒に解けたのかもしれない🐯」
魔女からの掛けられた魔法が解け、元の姿に戻ったソクジン、ユンギ、テヒョン。
「もう、長靴なんか履かなくても良くなったんだね。
有り難うユンギ、俺の我儘に付き合ってくれて。
ソクジンさんという大事な人とも再会出来たんだから、2人で、好きな場所に行けけば良いよ🐥」
ずっと、自分と一緒に、居てくれたユンギ。
でも今はソクジンという綺麗な恋人が彼の横に居ます。
だから、自分は1人で旅を続けようと、ユンギに、声をかけます。
「何をバカな事言ってるんだ。
お前、一人じゃ、飯もろくに作れないだろう。
立派なダンサーになる前に飢え死にするのが目に見えてる。😺」
「そうだよね。
ユンギが行く所が僕の居場所。
それに僕は料理が得意なんだ。
行く先々で屋台を出して、生活費も稼ぐから心配しないでよ🐹」
「なら、俺も一緒についていく。
なんだか、お前ら弱ちぃ感じかするからさ、何か有ったら、俺が皆を守ってやるよ🐯」
ジミンと白猫のユンギで、旅に出た筈が、いつの間にかイケメン4人組の賑やかな旅が始まったのです。
そして…………
1年後………
「ジミナ、約束通り戻って来てくれたんだね🐰」
ずっとジミンの言葉を信じて待っていたジョングク王子の元にジミンが帰ってきました。
1年の旅の中で、ジミンのダンススキルはメキメキと上達し、途中からはジミンの所に「是非、うちの街でダンスを披露してほしい。」
という依頼が後を絶たない人気ぶり。
勿論、ソクジン、ユンギ、テヒョンの3人も一緒です。
ユンギは旅の途中で、沢山の曲を作る作曲家として、行く先々の村や街に素敵な音楽を届けていました。
ソクジンはジミンの栄養士として、そして、質素な屋台で誰も知らないような創作料理を提供して旅先の人々の舌を唸らせていたのです。
魔女の本で少しばかりの魔法が使えていたテヒョンは、それを生かして何でも屋の家業をして皆の生活を豊かにして回っていました。
そして、城に戻ってきた4人には、既にジョングクから特別な任務が与えられています。
ジミンは、城専属のダンサー兼(当然)ジョングクの婚約者として。
ユンギは宮廷作曲家として。
ソクジンは城の料理長として。
テヒョンは城の占い師として。
其々の特技を生かすことで、バンタン国は美しく逞しいジョングク王の元、4人の強力な従者達が存分に活躍して、何時迄も平和に暮らしましたとさ。
「なぁ、俺達も平和で良いけど、出番少なすぎないか?🐨」
「でも、ジミンやジョングク王子、それにユンギやソクジンさんやテヒョンさんも頻繁に我が家にも来てくれて、楽しいから、良いんじゃないの🐿️」
ハイッ!!ナムジュンさんとホソクさんも平和に暮らしていますよ。
めでたしめでたし。
【🔚】