「“・・・しょうがねーなぁ。分かったよ”」
───!
「“行き先は俺が決めるからな? 文句言うなよ?”」
ときどきメモリアルを始めて、初めて黒猫の[[rb:春樹 > はるき]]が遊びの誘いを承諾してくれた。電話で女の子からの評価やアドバイスをもらうたびに遊びに誘っていたが、いつも“女の子と遊べ”と断られていた。誘えないのになぜこんな選択肢があるのか気になっていたのだが、やっぱり誘うことが出来るようになっていたようだ。
あきらめずに続けていて良かった。
「“じゃあ次の休みにスポッキャでも行くか! 集合場所間違えるなよ?”」
スポッキャ───球技をはじめ、様々なスポーツを楽しむことが出来る施設だ。今付き合っ・・・うつもりでデートしているハミちゃんとも行ったことがある。男2人で遊ぶならやっぱりこういうところだよな。
オレは適当にパラメータを伸ばしながら、次の休みまで時間を経過させた。
◆◆◇◇◆◆
「“お、意外と早かったな。そんなに俺と遊ぶの楽しみだったか?”」
スポッキャに着くと、既に[[rb:春樹 > はるき]]が待っており、早めに来たオレをからかうようなセリフを言った。正直デートまでにハミちゃんの何倍も苦戦してるからかなり楽しみだった。・・・いや、男2人だからデートではないんだけども。
オレはもちろん肯定する選択肢を選んだ。
“もちろん”
「“そ、そうかよ。まぁ、俺も”」
[[rb:春樹 > はるき]]は照れて目を逸らしていた。こんなことで照れるところが、なんとなく照れ屋のクロ[[rb:兄 > にぃ]]と被って見えた。
その後、[[rb:春樹 > はるき]]は照れを誤魔化すように急かして、オレたちは施設に入っていった。
◆◆◇◇◆◆
「“あっ! また空振りかよぉ”」
最初に来たのはバッティングだ。誘っておいて[[rb:春樹 > はるき]]は苦手なようで、空振りを連発しているようだった。
対してオレは一発目からホームラン。この辺の結果はパラメータでも関係しているのだろうか。[[rb:春樹 > はるき]]には悪いが運動のパラメータを伸ばしておいて良かった。
「“くっそー! 次だ! 次!”」
そう言いながら[[rb:春樹 > はるき]]は頬を膨らませていた。こんなところも昔の誰かさんと被って、オレはつい笑ってしまった。
[chapter:柴後輩とクロ兄ちゃん]
スポッキャではどの遊びもオレの圧勝だった。オレが勝つたびに[[rb:春樹 > はるき]]は悔しがったり、“手加減しろよ”とか言ってきたが、ゲーム上の流れが決まっているのでオレにはどうにも出来ない。
まあ、決まっていなくても手加減するつもりはないが。
「“あーあ、結局の[[rb:玄來 > げんき]]の全勝かよ”」
そう言いながらも[[rb:春樹 > はるき]]の顔はどこか嬉しそうで清々しい笑顔だった。
「“昔から[[rb:玄來 > げんき]]は俺より運動神経良かったもんな”」
そういえば[[rb:春樹 > はるき]]はオレの幼馴染だったな。
オレとクロ[[rb:兄 > にぃ]]だったら、運動神経がいいのはクロ[[rb:兄 > にぃ]]の方だったから、こっちは逆だな。流石にオレは[[rb:春樹 > はるき]]ほど運動音痴では無かったが。
・・・というか、運動音痴なのにここ選んだのか。
「“ま、俺より運動音痴な奴もほぼいないんだけどな。万年帰宅部だし。あの時も・・・”」
そこまで言って[[rb:春樹 > はるき]]はセリフ止め、なんでもないと首を振った。当然ゲーム内で明らかにされていない昔のことはオレも知らない。
「“今日はその・・・どうだった? 楽しかったか?”」
オレはもちろん肯定した。
“すごく楽しかった”
「“・・・そっか! 俺も楽しかったぜ!”」
[[rb:春樹 > はるき]]はニカッと笑って、その日はそのまま解散になった。
もしかしたら[[rb:春樹 > はるき]]にもお触りモードがあったりするかもしれないと思って、次に遊べる日が楽しみになっていた。
◆◆◇◇◆◆
「“これ私が大好きなやつなの! [[rb:玄來 > げんき]]くんのプレゼントだったんだね!”」
初めて迎えたクリスマスのイベントは学校主催のパーティーだった。どうやら毎年やるらしく、今はちょうどプレゼント交換会が終わったところだ。
なんと奇跡的にオレとハミちゃんのところにはお互いが用意したプレゼントが回ってきたようだった。たぶんプレゼントを選ぶ時に誰をイメージするか選択肢が出たからゲーム内の仕様だろう。
バイトでお小遣いが貯まりまくっていたオレは1番高価な選択肢の中から、ガールズバンドのCDを選択した。ハミちゃんの反応を見るに大当たりのプレゼントだったようだ。彼女の性格からすぐにピンときたからオレはなかなかセンスがあるのかもしれない。
もし女の子へのプレゼン相談されたら結構良いアドバイス出来ちゃったりして。
そのままハミちゃんと少し話した後、[[rb:春樹 > はるき]]が声をかけてきた。
「“よっ[[rb:玄來 > げんき]]! プレゼント交換の結果はどうだ?”」
“バッチリだった”
「“そうかそうか! 良かったな!”」
“[[rb:春樹 > はるき]]はどうだった?”
「“・・・俺か? ・・・同じクラスの[[rb:虎林 > こばやし]]”のプレゼントだった」
[[rb:春樹 > はるき]]は女子のプレゼントではなかったことに酷く落ち込んでいる様子だった。
そういえば、プレゼントを選ぶ時に[[rb:春樹 > はるき]]という選択肢はなかったな。まあ、オレからプレゼントもらっても[[rb:春樹 > はるき]]は似たような反応だろう。
[[rb:春樹 > はるき]]側が選びそうなプレゼントも大体想像がつく。オレの誕生日は4月24日ので入学してすぐだったから、祝ってくれたのは[[rb:春樹 > はるき]]だけだった。その時に[[rb:春樹 > はるき]]がくれたプレゼントは『官能の新境地♡お耳責め攻めエロリスト』というCDだった。
普通に18禁のダメなヤツだろと思いつつも、ちょっと内容が気になってしまうのが微妙に腹立つプレゼントだった。
・・・いや、流石にプレゼント交換でそれは無いか?
ハミちゃんの好感度はこのクリスマスプレゼントの成功でグッと上昇したようだった。
◆◆◇◇◆◆
“そろそろ[[rb:春樹 > はるき]]の誕生日だったな。何かプレゼントを買うか?”
[[rb:春樹 > はるき]]の誕生日はクロ[[rb:兄 > にぃ]]と同じ2月だった。オレはもちろん高価なプレゼントの中から選ぶ選択をした。
あれから[[rb:春樹 > はるき]]とは何度か遊んで、遊ぶ場所も俺が選べるようになっていた。最初のような特殊イベントっぽさは無い普通のものだったが、リアクションが面白くて、[[rb:春樹 > はるき]]と遊ぶのは楽しかった。
早速プレゼントの一覧が出てきたが[[rb:春樹 > はるき]]へのプレゼントでどれがいいかなんて考えるまでもない。
“『酒池肉球🐾魅惑のにゃんにゃんパラダイス』”
これ一択だ。間違いない。
選択肢があるだけで、それが本なのかDVDなのかは分からないが、字面で分かる。これだ。
オレは迷うことなくにゃんにゃんパラダイスを購入した。
そして、[[rb:春樹 > はるき]]の誕生日当日を迎え、ゲーム内のオレは学校で[[rb:春樹 > はるき]]を呼び出した。
「“なんだなんだー? 急に呼び出して愛の告白かー?”」
“誕生日おめでとう!”
「“えっ! マジかよ! ・・・へへへっ。ありがとな! [[rb:玄來 > げんき]]!”」
そう言って[[rb:春樹 > はるき]]はプレゼントを開けたのだが、オレが思っていたような反応は返ってこず、代わりに引きっつた笑みと短い沈黙が返ってきた。
「“あー・・・。えっと・・・め、めちゃくちゃ嬉しいぜ! プレゼント! なんていうかアレだな! お前の好みの参考にもなったし? とにかくありがとな!”」
───おかしい。オレは[[rb:春樹 > はるき]]が大喜びするような展開しか想像していなかったのに、まさかの大失敗みたいな反応だ。選択肢の中であれだけ分かりやすく正解っぽさが出ていたのに、この反応はおかしい。
もしかして[[rb:春樹 > はるき]]も無差別にそういうものが好きなんじゃなくて、ちゃんと好みがあったのだろうか。“にゃんにゃん”じゃなくて“わんわん”が好きみたいな。
しかし、選択肢にそれっぽいものは1つしかなかった。というか見た瞬間にこれだと思ったので、他の選択肢なんか覚えてない。
そのまま流れるようにバレンタインイベントがあり、無事にハミちゃんからチョコレートはもらえたのだが、オレの頭はモヤモヤしたままだった。
◆◆◇◇◆◆
2年生の夏・・・再び[[rb:春樹 > はるき]]が遊ぶ場所を決めるイベントがあった。指定された場所はテーマパークだった。
「“女の子とのデートでも、こういう所でスマートにエスコート出来る男がモテるんだぜ! 今日は下見みたいなもんだ! 俺の分も兼ねてな!”」
オレは既にハミちゃんとデート来たし、上手くいってるので下見も何も必要ないのだが、それにツッコミを入れる選択肢などは出なかった。
「“まずはええと・・・案内板を探してだな”」
“パンフレットに地図あるぞ”
「“えっ、・・・あ。早く言えよな!”」
そんなやり取りをどこかで見たような気がして、オレは少し笑ってしまった。
◆◆◇◇◆◆
「“デートならやっぱウォータースライダーはマストだよな!”」
それが[[rb:春樹 > はるき]]の最初の提案だった。
そういえばあの時も最初はプールだったな。
すぐに選択肢が出てきたのだが、オレはそれに迷うことはなかった。
“一緒に滑ろう。オレが後ろな”
「“一緒に!? しかも俺が前かよ!!”」
オレの選択に[[rb:春樹 > はるき]]はギャーギャー言っていたが、最終的には観念したように照れていた。カワイイやつだ。
そして、ウォータースライダーの場面に切り替わった所で妙な描写が入った。
今まさに一緒に滑ろうとしているのだが、俺の前に座っている[[rb:春樹 > はるき]]が震えているらしい。イラスト付きのカットシーンが入り、本当に怖がっている表情の[[rb:春樹 > はるき]]が映った。
そのまま何か選択肢が出るわけでもなく、オレと[[rb:春樹 > はるき]]は滑り始めた。
着水の効果音がして、再びプールの場面に切り替わったのだが、[[rb:春樹 > はるき]]の姿が無い。
読み進めると、なんと[[rb:春樹 > はるき]]は水の中で膝を折りたたみ、鼻をつまんで固まっていた。
ゲームの中のオレは急いで[[rb:春樹 > はるき]]を助け出した。
「“ははは。悪いな。大丈夫と思ったんだけどな”」
そういえば[[rb:春樹 > はるき]]は運動音痴だった。それにしてもカナヅチのくせになんでプールなんて選んだんだ。しかも最初に。
もし、一緒に滑ろうという選択肢を選んでいなかったらどうなっていただろう。ゲームだが、そういう展開になっていたかもと思うと肝が冷えた。
その後も[[rb:春樹 > はるき]]はとんでもない量の焼きそばを一人で食べ切ろうとしたり、苦手だったらしい絶叫マシンにわざわざ乗ろうと言ってぶっ倒れたりしていた。
◆◆◇◇◆◆
「“あはは・・・。俺・・・テーマパークはダメっぽいわ”」
全くだ。なんでこいつは毎回自分がダメそうな所を提案してくるのだろうか。
苦手を克服して女の子にモテたいからか?
そんなことをしなくても[[rb:春樹 > はるき]]は十分モテているんじゃないだろうか。現に[[rb:春樹 > はるき]]は女の子の連絡先を全部持っている。バレンタインのチョコもしっかりもらっていたし、ゲームの設定的に少なくともオレよりモテるのは間違いない。
“あんまり心配かけるなよ”
「“ははっ・・・そうだな。今度からもう少し自重するわ”」
こうして[[rb:春樹 > はるき]]とのテーマパークイベントは終わった。
「“ごめんな・・・”」
ゲームのオレに聞こえないその言葉が、イベントの最後のセリフだった。
◆◆◇◇◆◆
ちょうどゲームのセーブをしたところで、スマホが鳴った。
確認すると、クロ[[rb:兄 > にぃ]]からキャインでメッセージが届いていた。
“言い忘れてた! 今年の工大祭は最終日に4人でガッツリ回るぞ!”
そういえばそろそろクロ[[rb:兄 > にぃ]]の大学の学園祭だ。
オレの仕事の休みが日曜日だから必然的に一緒に回れるのは最終日になる。去年はクロ[[rb:兄 > にぃ]]もブースの運営で忙しかったみたいだから、模擬店くらいしか回れなかった。
今回はメッセージに“ガッツリ”とあるから、きっと時間が確保出来る目処がたったということだろう。
オレは“了解!”のメッセージと共に敬礼する柴犬のスタンプを返した。
[chapter:柴後輩とクロ兄ちゃん]
・・・本当は周年にUPするつもりだったので、あとがきを書き直しています。
いや、Twitter(X)で色々上げさせてもらったのでごちゃごちゃするから明日でいいかーってなったわけです。
そしたら忘れてましたね。
何で思い出したかって7/3に見た周年絵のコメントですね。
“これから何が起こるかを楽しみにしています!”
叫びましたね。ミュートで。
申し訳ございませんでしたぁああ!!!
(あ・・・イラストに周年絵上がってます。優とユズは初公開なので、ビジュアルの参考にして頂ければ・・・7/1が周年だったんです・・・すいません・・・はい・・・)
☆お知らせ☆
途狗(@toku705)さんからゲンキのFAとルキ+ゲンキのFAの2枚を頂きました!!
pixivの方にはスピンオフでいち早くお知らせしておりますが、本編勢の方用に再度お知らせさせて頂きます!
何度も言ってますが公式より公式なので是非!
途狗さんのFAはこちらから
https://www.pixiv.net/artworks/119907979
https://www.pixiv.net/artworks/120139740
もう1つお知らせです。
ようやくマシュマロ設置し、匿名でメッセージ受け付けれるようになりました。
質問、要望、感想、誤字脱字報告、#おねクロ、なんでもお気軽にどうぞ!(既に頂いたものはTwitter(X)で随時返答中です)
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/rgapjk8qsgrncvs
いつも柴クロをお読み頂きありがとうございます。
蒼空ゆうぎ