序章ー自然公園の秘密

  とある自然公園。一見、どこにもあるような自然公園だが、秘密があった。

  一般客の立ち入りが制限される夜間に、「二人」の仕事が始まる。

  「あーあ、よく寝たー!」大樹(だいき)は眼を覚ます

  「私たち、夜型だからこの仕事に向いてたのかもしれないね」華子(はなこ)が答える。

  二人は食堂へ向かう。大樹の席には皿に山盛りの鹿肉とイノシシ肉が置かれ、華子の席には、机一面に野菜や木の実、生肉、魚が置かれていた。二人はガツガツと食べ始める。大樹はまだしも、すらりとした身体の華子にはとても似つかない量の食事だ。

  「その体でよく食べれるな」大樹が思わず漏らす。

  「当たり前でしょ、これくらい食べないと体形が維持できないの」華子は一見矛盾した返しをする。

  その後、二人はそれぞれ別室にこもり、錠剤をのみ始める。すると二人の身体に変化が起きる。

  大樹の身体にはオレンジ色とが生え始め、その後、黒い毛が縞のように生えた。一方、華子の身体には黒い毛が野火のように覆い始める。

  毛が手に達すると、指同士が密着し、太く、短くなる。同時に鋭く細い爪がむき出しになる。そして、大樹にはピンク色の、華子には白い肉球が形成される。足にも同じような変化が起きた。

  生えた毛が尻まで達すると、大樹にはオレンジに黒い縞が入った細い尻尾が、華子には黒い塊のような尻尾が生える。

  覆い始めた毛が背中を越えて、首に達すると、耳に変化が起き始める。大樹の耳は外ぶちが黒く、内側が白い毛が生え、三角形の形となり、頭頂部へ移動する。華子の耳は黒くなり、半円形になり頭頂部に移動する。これで変化が終われば二人はケモ耳が生えた獣人といえるかもしれない。しかし、変化は続く。

  二人の脚は太くなる。また、二人の腕は、大きな身体を支えられるように太く膨張する。身長170cmの大樹の身体は2m近くになり、筋肉質になり始め、腹筋が割れ始めた。一方、身長150cmと小柄で華奢な華子の身体は、180m以上の巨体となり、先ほどの暴食のツケが回ったように思えるほど腹が飛び出て、身体が膨張する。そう、「体形の維持」はこの体形のことだったのだ。そして、華子の胸には半月のような白い毛が生える。二人の身体が二つの脚で支えられないほど大きくなったと同時に、踵が曲がり、4足歩行に適した身体になる。

  そして顔にも変化が起きる。大樹の額には体毛と同じくオレンジと黒縞の毛でおおわれ、目の周りと頬には白と黒縞の毛が覆う。鼻筋はオレンジ色の毛でおおわれると、鼻と口が前へ前へと突き出てマズルが形成される。花は三角形からピンク色の逆三角形になり、周りには白いひげがピーンと立つ。マズルの形成とともに口周りが立体的になり、もっこりとしている。一方、華子は瞳が黒と白から黒一色になり、体毛と同じく黒い毛が顔中を多い、鼻と口、顎が前に突き出るや否や、鼻筋と鼻回りが黒と白が入り混じった毛におおわれ、鼻先は黒くなる。

  「ガルル!」

  「グアアア!」

  大樹は虎、華子はツキノワグマに変身した。

  すると目の前のドアが開き、うっそうと茂る林が目の前に飛び込んでくる

  二人、いや二匹が自然公園を守っているのは自然公園の秘密であった