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三日目の朝を迎える。西条さんが提供した部屋で団さん、達也君と相部屋をした。結局朝まで話し続けてしまった…でも二人の過去のことが聞けるとは思わなかった。それはさておき今はみんな訓練場に集まっているところだ。
「三日目だが…とりあえず自由にしてくれ。」
西条さんは多分能力を使って疲労が溜まっているのだろう…一言だけ言って訓練場を出ていってしまった。
「どうする?自由って言われたけど敷地内から出たら駄目…なんだよな。」
「とりあえず食堂行こう。三人でまた話がしたい。」
団さんとはすっかり仲良くなってしまった。今の彼は口角が少しだけ上がっている…笑うのが苦手なのは分かるけど。今の彼は俺と同じで…達也君が側にいてくれるならそれでもいいと思った。とりあえず俺達は食堂に行って食事をすることにした。そこには全員いて話に盛り上がっていた。
「達也君が獣化するなんてびっくりだよ。」
「そうだよね…もしかしたら俺達も…。」
みんな達也君が獣化してから少し落ち着きがないようだ。俺も獣化…というより怪人化はしてるからいつまたなってもおかしくない。
「今日で訓練終わりか…なんか淋しいね。ヒーロー同士で訓練するの楽しかったのに…。熊森君達とならまた交流してもいいかもね。」
「それなら西条さんにそのことを言いに行こうぜ。他のヒーロー達と交流を深めるのも良いもんだな。」
みんな交流をしたことに満足しているようだ。団さん達のような親しみやすいヒーロー達ならいつでもしてもいいかな…。
「もしかしたら出動する時にも一緒になることもありそうだね。その時は協力してくれると嬉しいよ。」
確かに…今後とも一輝さん達とは一緒になる。折角交流したのだから協力しないわけにもいかない。と、西条さんが訓練場に戻って来たようだ。
「みんな楽しそうだな…一緒に交流出来たことを喜ばしく思うよ。それでだな…私の所からも君達の所に派遣したいのだが…。」
「それ面白いですね。でも龍さんが良いと言わないと承諾出来ません。」
『大丈夫だぞ。一輝君達なら大歓迎だ。』
そういえばヒーローウォッチを付けている間は龍さんにも話が筒抜けになっている。ということは…。
「内竹、お前の行動も全て筒抜けだ。氷海との会話…全部ヒーローウォッチを通して聞いてたぞ。」
西条さんの言葉に団さんだけでなく達也君も顔を赤くしていた。まあその時覗かなくても俺達も聞いていたけどな…みんなもうんうんと頷いてるし…。
「龍さん、では貴方のところに一輝君達を行かせようと思います。勿論私も行きますから宜しくお願い致します。それから…貴方は極度の性癖があると聞いてますので私のメンバー達には一切触れないで下さい。」
『了解した…はぁ…。』
龍さん…絶対にやりそうだな…。翠川研究所に戻ったら早速精液を採取されるんだろうな…。
『こっちの研究所にも訓練場は常備してある。しかし部屋がな…相部屋をしないといけなくなるぞ…。』
「寝る場所は訓練場でいいんじゃないか?後は一輝君達に任せるからな。私は翠川と手伝いをするつもりだ。」
『分かった。気をつけて来るのだぞ。』
今度は翠川研究所で団さん達と過ごすことになるのか…でも彼らとならいいと俺はそう思った。[newpage]
西条さん達を連れて翠川研究所に戻ってきた。入口では龍さんが待っていた。しかし笑顔が少しぎこちない気がする…やはりやりそうだな…。
「待っていた。こちらでも二泊三日訓練をしてくれ。やり方は全て君達に任せることとする。私は何かと忙しいものでな。西条君は言った通り私の手伝いをしてもらうつもりである。」
龍さん…結構適当なんだよな…。でも俺達がパトロールをしている時はちゃんと指示してくれているのだから文句は言えないけど。
「あ、そうだ。ここには食堂はない。因みに食事は達也君がしているからな…食べたいものがあったら彼に言ってくれ。」
「じゃあ達也君は訓練には参加しないのか…残念だな。でも料理は楽しみだ。」
「訓練は参加しませんけどサポートはしますよ。回復薬を切らしていますのでこれから作りに行こうと思ってました。吾郎さんは…訓練には参加するので仕方ないですけど。龍さん、あとはお願いします。」
達也君は研究室の方に行ってしまった。まだ完全に回復してないのに大丈夫だろうか…とそう思っていたその瞬間達也君が倒れてしまっていた。
「…雷太が無理矢理連れ出すからだよ?罰として達也君の看病をしてよ。」
まあ…行く初日からそうだったのだから仕方がなかった。俺は達也君をお姫様抱っこすると自分の部屋に連れて行く。それに気づいた団さんが黙ったまま後ろからついてきていた。
「熊森…お前、初日から達也君の状態がおかしいの知ってただろ?それなのに無理矢理連れ出したのか?」
「仕方ないですよ…達也君がいないと楽しくなかったんですから…俺のせいなのはわかってます。」
「俺も一緒にいてやるからな。熊森と同じこと思っていたからな…達也君は恋人なんだろ?」
団さんの言う通りである。いつも俺の側にいて助けてくれる…達也君は俺のヒーローであり恋人である。そんな彼は今俺の部屋のベッドでスヤスヤと寝息を立てて眠っている…相当疲労が溜まっていたのだから仕方ない。
「これからもずっと達也君と一緒にいたいな…だがそうもいかないんだよな。熊森が羨ましく感じるよ。」
「パトロールする時に逢えるんですからいいじゃないですか…でもいつも一緒にいられるようにしてほしいですよね。団さんも達也君の恋人なわけですし…。」
『そういうことは早く言ってくれればよかったな。内竹、氷海の側にいてやってくれ。』
ヒーローウォッチが反応している…今までの会話は西条さん達には筒抜けなので本音はあまり言わない方が良さそうだ。これで団さんは達也君と一緒にいられるようになったけど西条研究所の方はいいのだろうか…。
『内竹、西条研究所の一員だからいつでもいいから戻って来てくれよ。それから氷海だが…内竹のために西条研究所の一員にしておいたぞ。』
「西条さん…ありがとうございます…。」
「良かったですね…団さん。」
こうして団さんは翠川研究所で一緒に過ごすことになった。達也君はこれから翠川研究所と西条研究所の二つを行き来しないといけないのか…俺も達也君とは一緒にいたいからついていこうかな?
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昼の時間になった。達也君はまだ回復はしていないが歩けるくらいは出来るようになった。時々倒れそうになるので俺と団さんで支えながらキッチンに連れてきたのだが…
「達也君、もう大丈夫なのか?」
「まあ…とりあえずですけど。これから作りますので待っててくださいね…。」
「熊森、内竹、達也君のことはお前らに任せる。」
俺と団さんは達也君の世話係になってしまった…まあ彼が回復するまでの間だけだからな。その達也君はフラフラしながらも料理を始める。彼には材料を切るのと味付けを任せるとして俺と団さんで盛り付けをする…しかし料理をしたことのない俺達は適当になってしまう。それを見た達也君はジト目になっていた…。
「お前らのせいで台無しだな。でも達也君が作ったものだから盛り付けが悪くても大丈夫だぞ。」
「…私がやればよかったですね。」
すっかり達也君は気落ちしてしまった。結局料理のことは達也君に任せっきりになるのだった…。因みに俺と団さんで盛り付けたものは達也君が処理し改めて盛り付けをし直したのだった。
「すげー!!西条研究所の食堂のよりも美味そうだ!」
達也君の料理を食べるのは三日ぶりである。あっちのも悪くなかったけどやっぱり俺は達也君の作る料理の方が好きだ。団さん他西条研究所のメンバーは目を輝かせて口から涎を垂らしていた。
「達也君、西条研究所でも料理作ってくれよ。俺…毎日食べたくなってきた。」
「それいいな!達也君、頼んでいいか?」
「…わかりました。」
完全に回復してないのにそんなこと頼んで大丈夫なのだろうか…達也君は素直な性格なため言われたことは引き受けてしまう。高校の時はどうだったかわからないけど俺はそのことを思い出したのだった…。[newpage]
今から十二年前…俺が高校三年生の時だ。俺の通う学校は人族はいるが9:1で獣人の方が圧倒的に多い。因みにクラスは獣人のみ、人族のみ、人族と獣人の混合の3つに分かれていてそれぞれ30人くらい。その8割は獣人で…人族が圧倒的に少ない。虎一達は幼馴染で小学校からずっと一緒だったがクラスがずっと別々だったが高3になって漸く同じクラスになったのだ。因みに俺達のクラスは人族と獣人の混合のクラスで…そこに偶然達也君が入ってきたのだ。
「え〜、今日は転校生を紹介する。名前は氷海達也君だ。今日から一年間だけだが仲良くしてくれよ。」
達也君は転校生として俺達の通う学校に来たのだ。俺は達也君を見て既に好きになってしまっていたのだ。
「席は…熊森の隣が空いてるな。」
達也君が俺の隣の席に座る。彼はその時獣人を見るのが初めてだったようで俯いてしまっていた。
「俺は熊森雷太。よろしくな。」
「あ…はい。こちらこそ…私は氷海達也です。」
達也君は本当だったら人族だけのクラスに入る予定だったのだが30人という制限があったため入ることが出来なかったらしく偶然俺達のクラスに入ってきたのだ。俺との会話もその時だけで日に日に達也君は一人になり話しかけられることはなくなってしまった。授業の方はというと…体育の時間は見学でその代わり先生の手伝いをしていた。科学の時は俺、虎一、犬二、犬吾、そして達也君の五人でチームを作っていた。その他(国語、数学、社会)の授業はというと…
「あれ…?教科書がない…。」
俺が教科書を忘れた時達也君がスッと差し出してくれた時は本当に嬉しかった。この時ノートの見せ合いもあったんだけど彼のは綺麗に纏めてあって見やすかった。そして昼食の時間になると…
「雷太、購買行こうぜ。」
「ああ…ん?達也君がいない…せっかく誘おうと思っていたんだけどな。」
「なんだ〜?達也君のこと気になってるのか?」
「そんなんじゃねえよ!別に好きになったわけじゃねえ!(こいつらには内緒にしておかないとな…。)」
「達也君なら一人屋上で弁当食べてるらしいぞ。まだ獣人には慣れてないから仕方ないよな…。」
結局達也君は一日中一人で過ごしていたのだ。そして昼食が終わると帰る時間になる。俺はすぐに達也君を誘い一緒に帰ることにした。
「達也君の家はここから近いのか?」
「そうですね。皆さんとは逆方向になりますが…。」
「そっか。じゃあまたなー!」
達也君が来たのはこの一日で…もう学校に来ることはなかった。それから七年後遊園地で団さん、西条さん、吾郎さんに逢い…スカウトされて吾郎さんが翠川研究所に連れていきヒーローの仕事をしていたらしい。その後十二年の月日が流れて漸く達也君に逢うことが出来たのだ。あの時犬二と犬吾が研究所に連れてきてくれなかったら一生逢えなかっただろう。十二年経っていたけど達也君は俺達のことを覚えてくれていたのが嬉しかった。
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昼食が終わり俺は達也君をお姫様抱っこして部屋に戻ってきた。勿論団さんも一緒だけど俺は二人きりになりたかったな…。
「達也君、毎日大変だな…誰か手伝ってやればいいのにな。一人で全部やってると聞いているぞ?」
「はい。ここに来てからずっと働き詰めだったんです。やってみたら結構楽しかったので吾郎さんには感謝してますよ。」
俺は達也君が学校に来なくなったことを聞きたくなっていた。多分親に関することだろう…そう思っていた。
「私…小学生の時に両親を亡くしていて一人孤独に過ごしてました。そのせいでお金がなくて…それでも学校には行きたかったのでバイトをしてお金を稼いでいたんです。遊園地に行ったのもその理由でその時に吾郎さん達に逢ったんです。ヒーローの仕事に誘われた時は少しワクワクしてました。」
「学校に来なくなったのはお金を払えなかったからか…全然知らなかったよ。」
「熊森君達にはもう一度逢いたいと思っていたのですが…すみませんでした。今から十二年ですか…長かったですけど熊森君達に逢えたのがとても嬉しいです。これからも一緒にいて下さい。」
「勿論だ…こちらこそ宜しくな。」
小学の時から既に一人だったのか…最初にあった時に感じたのだが獣人絡みで俺達を見なかったような気がする。俺も両親を亡くして孤児になっていたし気持ちは分かる。しかし獣人は特殊で自由に学校には行くことは出来ていた。人族と獣人でこんなに違うとは…。
「二人共楽しそうだな…俺もまぜてくれよ。」
吾郎さんが俺の部屋に入ってきた。手におぼんを持っていてそこに蜂蜜入りの紅茶が入ったコップとクッキーがのっていた。
「達也君、気分はどうだ?」
「二人の看病で大分良くなりました…っていうわけではないですけど一緒にいてくれたので落ち着きました。」
「そうか…?こいつらといると暑苦しくないか?」
「吾郎さん…そういうこと言うか?」
「私の周りには熊獣人ばかり集まるのですね…でも私は三人共好きです。」
「この中だったら誰が一番だ?」
「そうですね…今は決められません。」
「それならさ…俺達とデートしないか?達也君は最近働きすぎで休む時間がないだろ?ヒーローの仕事は勿論するけどそれが終わった後でもいいからさ。」
「それいいな!俺も賛成だ。」
「…皆さん、ヒーローウォッチのことを忘れてませんか?通信で全ての会話が筒抜けですよ?」
『私もそれには賛成だ。内竹、熊村、熊森、氷海を頼んだぞ。』
西条さんも賛成してくれた。これで明日は達也君とデート…俺は内心喜びながら今日を過ごすのだった…。[newpage]
そして次の日。待ちに待ったデートの日である。しかしこれはヒーローの仕事が終わってからのお楽しみということで…とりあえずパトロールに出かける。パトロールのチームは事前に西条さんが決めていたようで今回は3チームに分けて行くことになった。(チームは下記に記載。)
チームA:春日一輝、火山犬二、火山犬吾、氷谷虎一
チームB:羽真斗真、熊原風太、熊原氷太、東海林猛
チームC:内竹団、氷海達也、熊森雷太、熊村吾郎
昨日西条さんが達也君を頼むと言っていたのでこのようなチームになった…はいいんだけど二十歳、三十路、四十路というなんとも言えないチームだ。だけどヒーロー歴が長い吾郎さんがいるので大丈夫…とは言えないけど。
『チームCの方に怪人の気配があるようだ…用心してくれ。2チームも連絡次第すぐに向かわせるからな。今回の怪人は路地裏に出現するようだな…』
因みにチームAは北、チームBは東、チームCは西に来ているのだが俺達のところは他に比べて特に人通りが少なく路地裏が多い。
「早速ですがスキャン機能を使います。これだけ路地裏があると探すのが大変ですので…今怪人の位置を確認します。」
今いるメンバーの中で達也君しか使えないスキャン機能…俺達には使いこなせないのでヒーローウォッチには入っていない。これを使いながら闘うのは難しいけど達也君だけは出来る。やはり俺には彼がいないと駄目なようだ…。
「いました!今目の前にいます…。」
『やはり隠れても駄目なようだな。スキャン機能を持っているヒーローがいても仕方ない。折角こっそりと精液を頂戴しようと思っていたのにな…。』
目の前に現れたのはカメレオンの怪人だった。カメレオンは透明化と保護色の二つの能力を持っている。
『俺はそこの狸獣人に用があるんだ。さっさと引き渡して消えな。』
「そういうわけにもいかないな。彼は俺達の大事な仲間だ。」
『それなら力ずくで奪ってやるよ!ただ…戦うのは俺じゃないけどな!!』
カメレオンの怪人は透明化で姿を隠し消えてしまった。その代わり俺達と達也君を分断するように地面に亀裂が入り…周囲に建っている建物が崩れてきた。すぐにヒーローになり瓦礫を避けたのだが…
「これはあいつがやったのか?くそ…バラバラになってしまった。早く合流しないとまずいな…。」
「…熊森君!大丈夫ですか!?こっちには団さんがいます!」
達也君は無事なようだ…因みに吾郎さんは俺と一緒だ。早く合流しないと達也君が危険だ…しかし瓦礫で閉じ込められた状態になり身動きが取れない。と、吾郎さんの方を見ると土の技で瓦礫を粉砕していた。
「まだ間に合うぞ!お前も早く瓦礫を粉砕してくれ!!」
吾郎さんに言われた通り俺も雷の技で瓦礫を粉砕する。とー
「やめろ!達也君を…返せ!」
『残念だったな…こいつはもらっていくぜ。』
団さんと怪人の声が聞こえる…と同時に最後の瓦礫を粉砕した。そこで見たのは怪人が達也君を捕らえているところだった…。
『以外に早かったな…だがこいつは俺の手中にある。返してほしかったら俺を倒すことだな…と言っても戦うのは俺じゃないけどな!』
二度同じセリフを吐き捨て達也君を捕らえたまま姿をくらますカメレオン怪人。そして代わりに俺達を囲むように肉壁が立ちはだかった。
『その肉壁はお前らの技を全て吸収し更に触手が出てお前らを襲い精液を採取する。思う存分喘いでくれよな!!』
このままだと本当にやられてしまう。何か策を考えないと…と、団さんが光の弾を連発して放っている。しかしカメレオン怪人の言った通り肉壁に吸収されそこから大量の触手が現れた。
「くっ…このまま黙ってやられないといけないのか?肉壁だったら刃物とか有効そうだがここにはないな…。」
そう言っている間にも触手は俺達に向かってきている。もう駄目だ…とそう思っていたがいきなり肉壁が真っ二つに割れた。
「皆さん!大丈夫ですか!?」
助けたのは氷太と風太だった。この二人は物理技で格闘技を駆使して攻撃するのだ。他のみんなも二人に続きあっという間に肉壁を粉砕してしまった。
「助かった…だが達也君が怪人に捕まってしまった。今どこにいるか分からないから探しようがない…。」
『大丈夫だ。氷海はスキャン機能を使ってるからそのGPSを追えばいいぞ。君達のヒーローウォッチに送信しておくぞ。』
西条さんからの情報で怪人の位置が分かるようになった。見ると俺達のすぐ近くにいる…しかし姿が見えないと戦いようがない。
「姿が見えなくてもこいつで実体を作ってやれば…!」
吾郎さんが砂嵐を起こしている。周辺にあった瓦礫も舞い上がり砂嵐の中に吸い込まれている…バイザーがなかったら危なかったな。
『痛っ!なんだこれは!?何も見えないし瓦礫が痛い!』
カメレオンの怪人が砂嵐に耐えきれず姿を現した…砂塵のせいで目を瞑っている。達也君はというと気絶したまま怪人の尻尾に巻き付かれ捕まっていた。
『くそ…まあいいや。今回はこれぐらいにして…こいつから十分に精液を搾り取ってやったからお前らに返してやるよ。』
カメレオン怪人は達也君を宙に投げると姿を隠し消えてしまった。受け止めようと思ったが吾郎さんに取られてしまった…結局達也君を助けられず怪人にも逃げられていいとこを見せることが出来なかった…。[newpage]
とりあえずパトロールが終わり翠川研究所に戻ってきた。達也君は全裸で吾郎さんにお姫様抱っこされている。俺達のチームは全員ボロボロで…仲間を危険な目に遭わせてしまった。
「パトロールご苦労だった。カメレオン怪人についてはこちらで調査しておくからな。それから氷海のことだが相当酷い目にあったんだな…今日一日寝たきりになるから頼んだぞ。」
はぁ…今日は本当に疲れた。と、そう思っている間にみんなは自分の部屋に行ってしまった。俺も自分の部屋に戻る…部屋の中にはしっかりと吾郎さんと団さんがいた。達也君はベッドに寝かせられているけど息が荒いようだ。
「やっと来たか…今回復薬と精力薬を飲ませたところだ。だが相当酷い目にあったせいか治りが遅いな…。また何かに取り憑かれてるのかもしれない。」
今回の怪人はあっさりと退散していった…ヒーローの精液を採取するというのは変わらないけど達也君だけを狙ったというのが気にくわなかった。
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〜氷海達也視点〜
私がカメレオン怪人に捕まってしまった時のことである。怪人から思わぬことを言われ私は衝撃を受けていた…。
『お前…元は人間だろ?今の姿をしていても分かっていた。お前に聞きたいことがあったんだ。お前…“怪人化”してるだろ?何回もしていると人間に戻れなくなるぞ。それから“怪人化”をしている奴らを見つけては俺達のアジトに連れて行ってるんだ…理由は教えないけどな。』
「もしかして貴方も元は人間なんですか?」
『…そうだ。俺は死ぬ寸前で怪人になった。怪人になっても人間の記憶は消えなかったがその代わり生き続けることが出来る…まあお前らみたいなヒーローにやられれば死ぬけどな。』
「自分から怪人にしてもらった人もいるとか…。」
『ああ、ボスのお気に入りだった泥の怪人か。その時離れて見てたんだがお前が“怪人化”して倒したんだよな?それで目をつけてたんだ。』
「未だに精液を採取する理由は…教えてくれないですよね?」
『俺は知らないけど俺達を人間の姿に戻す薬を作っているとか言ってたな…詳細は知らないが他の怪人が言ってたぞ。』
「貴方は元に戻りたいですか?」
『戻れるのならな。怪人よりは獣人の方がよかったよ。』
「…それなら私の精液を持っていってください。」
『!?しかしだな…。』
「他の怪人が元に戻れるのなら私はいいです。自分のことは自分でなんとかします。今私も人間に戻る方法を見つけているところですから。」
『…分かった。お前を信じるとしよう。』
カメレオン怪人は私の股間に搾精機を取り付けると機械を作動させる。私はすぐに絶頂を迎え大量に射精すると意識が朦朧とし気絶してしまった。
『ありがとな…って、聞こえてないか。本当だったらこいつを連れて行ってやりたいが…信じてみるとするか。』
この後のことは私は分からない。だけどカメレオン怪人の言葉は今でも記憶として残っている。怪人から元に戻る方法があるのなら出来ることをしたい。そう思った私だった…。
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「今日はずっとこのままか…デートは明日にお預けだな。」
達也君が眠りについてから数時間が経った…とりあえず呼吸は安定しているようで落ち着いている。少し安心はしているけど明日まで達也君と話す機会がないのは残念だ。団さんと吾郎さんも一緒にいると言っているけど俺は彼と二人きりになりたい…。
「達也君が起きるまでにデートで何をするか決めておかないとな。」
と言いながら団さんは達也君にキスをし吾郎さんは黙ったままでハグをし部屋を出ていこうとしていた。俺の気持ちを察したのか達也君と二人きりにしてくれたのは嬉しいけど先にやるとか酷くないか?とー
「熊森君…。」
達也君が漸く目を覚ました。俺の顔を見ると安心したように笑顔になった。それに気づいた団さんと吾郎さんも踵を返して戻ってきてしまう。
「部屋から出なくてよかったな…達也君、西条さんに頼まれてるからずっと一緒だな。そうだ、明日デートしないか?」
「はい!?ですがヒーローの仕事もしないといけませんし…。」
「それが終わってからでもいいからしてくれよ。達也君は毎日働きっぱなしだからたまには羽をのばしてくれないか?」
『氷海、私もそれには賛成だ。たまにはいいのではないか?』
「…分かりました。じゃあ明日デートしましょうか。」
達也君の言葉に俺達はうお〜っ!!と雄叫びをあげていた。因みに達也君はデートに関してそんなに乗り気ではなかった…。
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