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11歳になった猫獣人と犬獣人が相撲に出会って相姦する話
◇◇◇
晴れ晴れとした春空が広がっている。
朝にそよぐ風はまだ涼しさを感じさせるが、遠くの山から顔を覗かせる太陽の光が夏の気配を感じさせる陽気が肌を撫でていく。
そんな穏やかな朝。神社の境内にまだ声変わり前特有の甲高さで発せられる威勢のいい野次が響いていた。
神社の参道。そこから本殿へと向かう通路の傍らにある土俵の上で、まわしを締めた二人の少年が仕切りを解き、どちらともなくがっぷり四つに組み合っていた。
小さな力士が二人。
一人は、大人しそうな猫獣人の少年。歳は11、まだまだ遊び盛りの年頃だ。まだ相撲を取る事には不慣れなのか、怖さをぎゅっと押し込めたような皺で、無駄に力が入っているのが分かる。小柄というわけではないが、どことなく実年齢より幼い印象を受けるのは、あまり筋肉のない体にはぷにぷにとした脂肪が乗っかっているからだろうか。
そんな彼の向かい、猫獣人の少年と反して、むしろ力強く組み合いにかかるのは、同じ年頃の犬獣人の少年だった。背丈は猫獣人のより少し高いくらい。だが、その体は今までずっとやっていたサッカーで鍛えられていて、子どもらしくも男の子らしく筋肉をしっかりと身に纏っている。まわしだけを身に着けた姿のおかげで、相手のまわしを上手に取るとその腕になだらかな丘が起き上がるのがよく見える。
「はっきよい、はっきよぉい!」
傍らで互いの回しを取って、出方を探るように動きを止めた二人の少年。そんな彼らを見つめる熊獣人が太鼓のような腹から声を発せば、背後の森山にこだましていく。
この場にいるのは、熊獣人の監督と十人程度の子ども達だけだ。華奢な子もいる中、大人が一人。それも監督自身が大相撲の舞台にも立ったことのある力士だ。引退して時が経っているとはいえ、脂肪と筋肉で膨らんだその体は、周りの少年達を更にか弱く小さく見せていた。
「……ぅ、うっ……」
「ふっ、……く……っ」
そんな複数の目に見守られながら、子供用のまわしで腰以外の被毛をさらけ出している二人は手から感じる相手の重みをどう動かそうかと思案する。
組み合った肌から互いの温度が伝わって、相手の吐息が耳元に響く。肩に顎を乗せる姿勢になっているせいで相手の顔は見えず、呼吸に上下する背中と緊張して強張った尻尾と尻の丸みだけが見える。
「はっきょおいッ!」
膠着状態は、一際強く発せられた監督の声を合図にしたように解けた。
焦りが出たのか、猫獣人が足をわずかに後ろに引いたその瞬間に、一気に犬獣人が体重をかけて前へと踏み込んだのだ。まわしを掴んでいた手が離れて、胸と肩の間をぐんと押され、猫獣人が息を呑む。
倒れる。瞬間に悟る。
「ッ……ぁ……!?」
だが、そこから慌てて崩れた重心を整えることは出来なかった。ぐらり、と一瞬の浮遊感に包まれたかと思えば、猫獣人は土俵の上に大きく尻もちを突くこととなったのだ。
「ぁ、い……ッ、だぁ……!!」
無様に腰から落ちて、腰から頭にギュンと衝撃が走っては目に火花が散った。そこから遅れて痛みが両尻の内側にじんと篭っていく。
猫獣人は目にじんわりと涙が浮かび上がらせながら、起き上がろうとした目の前に手が差し伸べられる。見れば、にっかりと笑う犬獣人が手を伸ばしてくれている。
「へへ、今日も俺の勝ちだな、陽太」
屈託なく笑う犬獣人の少年。陽太と呼ばれた猫獣人は、不思議と嫌な感情は浮かばなかった。犬獣人がイヤミを込めて「今日も」というような性格ではない事は、もうよく分かっているからだ。
「ありがと、威くん。……次こそ転ばせてあげるんだから」
「おう、望むところだ」
犬獣人の威は、陽太の宣戦布告を真正面から受け止めて胸を張った。それでも、俺は負けないと言わんばかりの自信を感じる声に陽太は羨ましさを感じながら、彼の手を掴んで立ち上がる。
そんな二人に土俵外から試合を見ていた監督がずんずんと近づいてくる。
「これぇ、受け身を忘れるなと何度言ったら分かるんだッ!」
轟くような声を上げながら厳しい顔をする監督は、ぐん、と陽太の体を反転させると、前から太ももで支えるようにしながら陽太の尻を掴んでいた。
「ん……っ」
「陽太、痛むか?」むにりと、柔らかな陽太の尻が、監督の太い指にたわんで形を歪ませる。「暫く休んどれ、威も次の番回るまでついててやれ」
陽太が答えると監督は困ったように眉尻を下げた。
見てくれと態度が厳ついが、その実ちょっとの事で思い悩む所がある。初めて会った時から一月も経ってはいないが、何度もこうして稽古を受けていると、第一印象も変わってくるというものだ。
「行こうぜ、陽太」
「うん」
次の試合をする子どもを土俵の上に呼び出す監督へ背を向けて、陽太と威は土俵を降りていった。
陽太は、先を歩いている威のお尻と尻尾が左右に動くのを見つめる。
少し高台にある神社の境内。周囲には田植えをしている農家の姿が見える。端的に言えば野外だ。そんな所でまわし一枚で外に何も身につけていない。そんな事にも慣れ始めてきたことに感慨を覚えながら、陽太は長いようで短い一ヶ月を思い返していた。
秋の奉納相撲。陽太と威、その他の子ども達は、この村――神社で行われるその奉納相撲に出場するために毎週数日、相撲の練習をしにきているのだ。始めこそ、早くやめたいと思いながらもこうして振り返ってみると一月も短いものだ。
「陽太もさ、結構強くなったよな」
「そう? 負けてばっかりだけど」
「そうだよ。だって、簡単に崩せなくなったし」
と相撲について語り合うこの友人とも、この神社で初めて出会ったものだ。
◇◇◇
「相撲なんてやったこと無いしさ、 あんなダサいフンドシ一丁なんて最悪だっての。な、そう思うだろ?」
「あ、うん」
陽太が威に抱いた第一印象は、(なんだか怖い子だな)という印象だった。
神社の社務所にある大広間。畳張りの一室に集められた陽太と威、その他の子ども達は、数週間前に奉納相撲に出場申請を出した子ども達だった。
今日はその練習の初日ということで、まずはまわしを締めてみる、という所から始まった。まわしを締めて土俵に立ってみようという流れだ。昨今であれば半ズボンの上からまわしを締めるという事もままあるが、神主や氏子達の意向でまわしの他に衣服は身に着けないことになっている。
神前に武器や補助を持ち込まない為。という理由を説明されて、ここまで来てしまえば断れるはずもない。当然、裸にならないといけない訳で一人ずつ別室でまわしの順番待ちをしているのが今の状況だった。
渋々。とはいえ内気な陽太はその文句を心中で零すだけに留めていたのだが、壁に背をつけて隣に座っている犬獣人の少年――威は違った。先程からずっと苦言を呈し続けているのだ。始めは独り言かと思った陽太も、同意を求められるように目を覗き込まれれば流石に自分に話しかけているのだと気付くしかなかった。
友達とサッカーチームに誘われていたのに、この神事のせいで半年加入するのを見送らなきゃいけなくなった。親の付き合いのせいで貧乏くじだ。とよく話す威に話しかけられるまま相槌を何度か打つだけ。それでも、威は楽しそうに話し続けていた。
そうして一方的なおしゃべりを少し続けていると、少し前に部屋を出ていった子がまわし姿で現れたかと思えば、その後ろから地元の高校生らしいすんぐりと太った獅子獣人がのっそりと現れて誰かの名前を呼んだ。その声に、威が立ち上がって陽太に「俺の名前だ」とにっかりと笑う。
「んじゃ、ぱぱっと終わらせてくる」
「え、い……いってらっしゃい」
先程まで拒絶の姿勢だったのにそこまで気にしていないような足取りで獅子に連れられていく姿を見送って、陽太は少しため息を吐いた。
まるで本気で嫌がっているのが自分だけみたいだ。
そう思いながらも、陽太は沈んでいた心が和らいでいる事に気付いて、続いて呼ばれた自分の名前に「はい」と声を上げたのだった。
◇◇◇
そうして、初めてまわしを付けた日から少し時間が経って今。手伝いの高校生達に締めてもらっていたまわしも、子ども達同士だけで整えられるようになっていた。
わざわざ別室にいってコソコソと着替えることもない。支度部屋に利用している社務所の広間で真っ裸になって先に来ていた子や監督に手伝ってもらって土俵に向かっていくのが通例だった。
「慣れたよなあ、まわしにも」
と威はしみじみと呟いた。尻から落ちた陽太に連れ添って木陰に入ると、涼しい風が汗に濡れた被毛をひんやりと冷やしてくれる。
「うん。何人かいなくなっちゃったけど」
「はは、意外と楽しいのにな。相撲も」
まあ、やっぱりサッカーが一番だけど、と言う威の視線の先には、猪の子と山猫の子が組み合っていた。周りで見ている子ども達は、初日からだと数人少なくなっているのが分かる。
都合や風邪で、というわけではない。理由は知らないが、昨日から週末の休日には隔週で合宿を行っていく、その前にばたばたと数人来なくなっていったのを見るに、相撲が嫌になったんだろうとは子どもながらに確信していた。
元々、学校の後も夜まで練習していた事も何度かあったわけだし理解はできた。それでも、途中で放り出すのはそれ以上に嫌だと思うのが威だ。
「う、うん。やってみるとね」
と陽太がそんな威に同意するように頷く。威にとってはそれが意外だった。
最初に会った時、部屋の隅っこで泣きそうな顔をしていた陽太を見て、絶対にすぐに来なくなるだろうと思っていた陽太は、むしろ楽しそうに相撲を取っている。
聞けば、勉強も出来て休みの日はいつもゲームをしていたという陽太に運動が似合うとは思えなかった。実際、彼自身体育の授業意外でスポーツはやったことがないと言っている。
そんな彼が、自分と同じ楽しみを分かち合っているというのが、どこかくすぐったくて面白い。そんな彼とこうして合宿で一緒になれるのも、威としては嬉しい事だ。
「なあ、今日は布団、隣にしようぜ! 昨日、なんか離れて寝てただろ?」
「え? あ、……んんっと……」
と練習を見ながら言う威に、陽太は渋るような返事を返していた。
どうかしたのだろうか。と不思議そうにその顔を見つめる威に、陽太は耳を貸してほしいと手招きをする。体を傾けて耳を陽太の方に差し出すと、彼はそこから暫く迷った後に「誰にも言わないでね」と前置きして口を開く。
もじもじと片腕をむちむちの太ももに挟み込んで、長い猫の尻尾がピンと立ち上がっている。
「最近、僕、ちんちん……変なんだ」
恥ずかしそうに耳打ちしてくる陽太に、威は何故かドキンと心臓が跳ねた。驚いた顔をして陽太を見つめる威に、顔を真赤にした陽太が見上げる。
脚の間に挟み込んだ手がまわしの前袋を所在なさげに撫でているのが見えた。
「……」
威は、まわしの中でぴんと元気に鎌首をもたげている性器をはっきりと想像出来た。
ちんちんが変。そんな曖昧な言葉で、陽太の語る意図を汲み取れたのには理由がある。
「なんだよ、陽太。――お前もだったのかよ」
なぜなら、威自身もまさに今、まわしの内側を若い先走りで湿らせている最中だったのだから。
◇◇◇
まわしを締めてから、すぐは大丈夫だ。
「また、勃起しちゃう……」
だが、暫く稽古していると、どうしてかまわしの中で男性器が硬く張り詰めてしまうのだ。
陽太とて年頃の少年だ。オナニーだって知っているし、週に何度もやってしまう。だが、稽古中に勃起してしまうようになってからは、稽古が終わった後もずっと勃起しっぱなしで、少し萎えたタイミングがあってもすぐに再び勃ち上がってしまう。
おしっこをしながら茎を摘んでいるだけで、最中だというのにむくむくと膨らんできてしまう。
それが夜までずっと続いていく。
「……ぅう」
それが始まったのは、相撲の稽古を始めて体重が増えてきたかなと思い始めた頃からだった。食事の量も徐々に増え始めて、今では陽太は父よりも多く食事を取るようになっていた。
どんどんと大きくなるお腹や背に、成長期か? なんて言われはしたけれど、きっとその栄養でそうまってしまっているんだと、陽太は考えている。
いつもなら家に帰って布団の中で発散させていたけれど、昨日はそうはいかなかった。だって他の子も一緒に布団を並べて寝ているのだから。
トイレに行ってオナニーしてしまう事も考えた、けれど途中で誰かがトイレに起きてきたら変に思われてしまうかもと実行はできないでいたのだ。
だから、早く寝てしまおうと布団を少し離して、寝ることだけに集中していた。それが功を奏して昨日は股間をむずむずとさせながらもすぐに寝ることが出来た。朝起きると、いつも通りのおとなしいちんちんがパンツの中に収まっていて安心したのだが、稽古が始まるとまた、勃起してしまうことになっていた。
しかも、昨日よりも悶々としたもどかしさが強まっている。そんな中で朝から申し合いの稽古が始まって、陽太は気が気じゃなくなっていた。
殆ど裸の体を擦り付け合う。それも、発情した状態でだ。大人びた快楽を知らない陽太の体であっても、青い痺れは彼の集中を蝕んでいる。さっき受け身も忘れてしまっていたのはそのせいだ。
監督にお尻を掴まれた時に声が出てしまったのは、痛みのせいだけじゃない。
「今日は寝落ちすんなよな?」
そんな悩みを打ち明けた威に「大丈夫だ」とそう言われて、理由が分からないまま大量に用意されている食事を平らげ、一人ずつお風呂に入り、布団を敷いて消灯後少し時間が経った後。
「陽太、おい、陽太って!」
陽太はうつらうつらと半分寝入っていた所を威の声で起こされた。
「え、ぁ……ゴメン、威くん。寝ちゃってた」
「良いって。ほら、行くぞ」
「え、行くって……どこに?」
いいから、と口に指を立てて静かにとジェスチャーする。周りを見れば、すっかり深夜のようで何人かの寝息が聞こえてくる。と同時にいくつかもぬけの殻になっている布団があることに気がついた。
忍び足で広間を抜けると、向かったのは社務所の外――土俵だった。
「ん、おお。陽太か、お前も来たんだな」
とそこで二人を迎えてくれたのは、大柄な熊獣人――誰あろう監督だった。その傍には何人か子ども達もいる。先に布団を抜け出してきていた子達だ。月明かりだけであっても澄んだ空気に夜は明るさを伴っている。
「ここで何するんで……ひあ……っ!?」
「うんうん、陽太もちゃんと勃起しとるな」
土俵際に上がって監督に近づくと、問いかけが終わるよりも先に監督の大きな手が陽太の半ズボンの前部分をむんずと掴んでいた。収まってはいない勃起を握られ、確かめるように指でぐりぐりと擦られれば、弾けたような快感が陽太の問いかけを途中で遮ってしまう。
「ぁ、……っか、んとく……っ?」
「おお、すまんすまん」
儂もちょいと尻が疼いてな。と監督は手を離してくれる。
「この村――というかここに鎮まっておられる神様のご利益でな。力士はこの村にいると精気が漲るんだ、今の陽太みたいにな」
「え、……え?」
「若くとも雄、それを抑える事も中々できんだろう? だが、神様のご利益を無碍にするのもいかんと言うことで、奉納試合まではこの土俵にお返しするのが習わしだ」
「お返し、って……」
「この土俵にシャセーすんだよ」
端的に返したのは、隣で話を聞いていた威だった。陽太はその声に彼を見つめてギョッとした。威はいつの間にかズボンとパンツを脱ぎ捨てて、下半身をもろ出しにしていたのだ。
まわしの締めあいで何度も彼のちんちんは見てきた。だが、勃起しているそれを見るのは初めてだった。
ぷっくりとした玉袋から斜めに飛び出した威のちんちんは、ぐぐっと弓なりに反り上がっていて先端が少しふっくらと大人の片鱗を見せている。先端まで被りきった竿の先には、月明かりを照り返す雫が小さく膨らんでいた。
「ほら、陽太も。早く済ませて寝ようぜ。明日も稽古があんだから」
と威は何も不思議なことはないかのように、その勃起した若茎を握って上下に擦り始めた。くちゅ、くちゅと淫らな音が、夜に響く虫の声に混じっていく。
威だけじゃなく、他の子からも。大音量で響いているような気さえする音は、森の声にかき消されてこの土俵でしか聞こえないだろう。
「ぁあ……っ、ふ……ぁ」
「ん、朝から、我慢しっぱしだったから……っ、やば……ぃい」
「気持ち、いい……っ、ぁあ……っ」
聞き慣れた友達が一心不乱に勃起を扱いて、耽溺した吐息を漏らしている。陽太はその異常な光景を目の当たりにしながら、じんじんと痛みのような欲求を伝えてくる股間を無意識に撫でつけていた。
したい。
僕も、皆みたいにちんちんをこすって気持ちよく射精したい。でも、本当にそんな事をしてしまっていいのか。自分は戻れない道を進もうとしているんじゃないのか。
逡巡する陽太の耳に、優しい声が聞こえた。
「陽太」
威だ。
隣で筋肉質に膨らみ始めている体を躍動させながら雄茎を扱いている彼が、陽太の目をまっすぐ見ていた。
「一緒にやろうぜ」
「……っ」
出したい。
その言葉に、陽太は迷いを振り払い自分のズボンをパンツごと膝まで下げていた。威に比べると太短い包茎がびんと立ち上がり月を睨みあげる。
ふてぶてしいそれを掴もうとした陽太の手に先んじて、威の手がそれを掴んでいた。直前まで自分のそれを握っていた手は薄っすらと先走りに濡れている。
「ぁ、威、くん……っ」
「陽太は俺の、な?」
初めて他人に触られる快感に煽られながら、陽太は震える指で威のそれをゆっくりと握り込んだ。不思議と嫌な感じはない。ただ、燃えるような熱さにごくりと喉が鳴る。
それを待っていたように、威は陽太の屹立を扱き上げ始める。ぐっちゅ、ぐっちゅと厭らしい音を立てているのが自分のちんちんだなんて信じられない。それでも、陽太はお返しとばかりに、威の触り慣れない感触に刺激を与えていった。
「おお、なんだ仲いいじゃねえか。へへ、俺も手伝ってやろうか」
「ふぇ、監督……ッ!?」
土俵に向かって並んで立つ二人。その後ろに回り込んでしゃがみこんだ監督は、唾液で濡らした小指を陽太と威のそれぞれの尻の割れ目に潜らせる。
そして。
「ぁ……ッ、な……こ、れ……!?」
「んお、……っお尻、の中……がッ」
小指とはいえ、十分に太い大人の指がまだ本当の性を知らない幼気な窄みに沈み込んだ。
興奮状態がそうさせるのか、それとも、この村がそうさせるのか。痛みはなく、むしろ、監督の指を強く咥え込んだ蜜肉は、その体の持ち主に貫くような快感を与えていた。
「ぁ……っ、俺、も、駄目だ……イく……ぃ……っ」
「僕も、……ッ、威くんの手で……イッちゃう……ッ!」
周りが次々と果てていく。その中で、1日中昂っていた二人もまた、尻を弄られながら呆気ないほどの早さで土俵の上に白い迸りを放っていった。
◇◇◇
まわしだけの姿で村の中を駆けていく若力士たち。
小さな村とはいえ、人通りが全く無いわけではない。むしろ、住宅が集まっている場所であれば、庭先に出ている婦人方や仕事終わりの農家の目に触れる事は珍しくない。
だが、彼らはその見事に実った胸や腹を上下にバウンドさせながら、向けられる好意的な視線に笑顔で手を振り返す余裕を持っていた。
雄だから内側の脂肪と筋肉で押し出されてぷっくりと膨らんだ乳首を見られた所でどうということはない。いや、むしろ川でまわしを外して全裸で遊んでいる所を見られても、彼らは動じることはないだろう。
「あちーっ!」
「神社までもう少しなんだから、文句言うなってー」
彼らの重く育った肉が地面を踏みしめる度、ずん、と舗装された道が悲鳴を上げるようだ。春から梅雨を越え、季節は夏。春から相撲を始めた少年たちは、今や立派な力士へと形を変えつつあった。
運動量も食事量も以前の三倍ほどに増えている。春先の彼らと写真を見比べても同一人物だとすぐに気付ける者はそういないだろう。
一般的な体格だった少年たちは、ひと目見ただけならば肥満児の集まりに見えるかもしれない。当然背も伸びてはいるが、それ以上に体の厚さが段違いなのだ。
だが、検査すればリスクこそあれど健康に問題はないことが分かる。健康的な肥満。それを手にした少年達は相対的に短く見える耳や尻尾を揺らしながら神社の境内前の階段を駆け登っていく。
「監督ーっ、ただ、いま……帰りましたぁ!」
「疲れたぁ……っ」
と、神社の土俵前にたどり着きようやく足を止める少年たち。彼らの体を支える足腰は、女性の腰ほどの太さがある者もいる。汗をしとどと被毛に絡ませながら、膝に手を付き息を整える。
夏も終わりかけだと言うのに、まだ猛暑は鳴りを潜めない。
秋口の奉納相撲が近づいている。その神主や氏子との綿密な打ち合わせを終えた監督が入念に体を洗い流した後だというのに、被毛の奥に汗が滲み出す感覚に眉を顰めているのも、仕方のないことだろう。
夏の容赦のない日差しは、夕暮れに差し掛かりようやく和らぎを見せはじめていた。夏季休暇の間、長期合宿でこの神社に身を置いていた少年たちは、春の終わりごろから比べてもその数は少なくなっている。
残るは十人だけ。
それでも、その十人は立派な若力士へと成長し――その中でも威と陽太は、図抜けた成長を遂げていた。
元々、脂肪の付いていた陽太は、そこから一気に体重が増えている。まるで膨らんだ風船のようだが、体も丈夫に育っていてその体を十分に支えることが出来ている。80kgにも至った陽太は正しく力士と聞いて真っ先に思い浮かぶアンコ型の体型だ。
そして威は、もはや同年代とは思えない程に力強く成長していた。だが、陽太と比べて脂肪の量はかなり少ない。いや、筋肉量によって少ないとがっしりとした印象付けられるようなソップ型。
その他の子も目を瞠るような成長具合だ。夏季休暇に入る前にも学校でどんな事を言われた、という笑い話が定番になっていたのだが、そこから更に彼らの体は、第二次性徴を起こすように力士として成長し続けている。
そんな彼らの成果を示す時が近づいているのだ。
「さ、まわしを外せ」
残り少ない時間も楽しんでいこう。という監督はまだ明るい時間だと言うのに言い放った。この場において不浄はない。奉納試合の為だけに育てられた力士だけがここにいるのだから。
そう、この場にいる見えぬ誰かに示すかのように、監督は堂々としたものだった。
陽太達はそんな指示に、むしろ待ってましたとばかりにまわしを外していく。この稽古場に残った子に、土俵へ精液を染み込ませたことのない者はいない。誰もがまわし布の内側を糸が引くほどに先走りで濡らし、まだ幼い肉棒をいきり立たせている。
まだ大人の雄としては未完成な雄茎は、しかしこの半年でその体に見合うような程に成長している。玉袋も竿肉も日々の射精によって、一回り大きくなっているのだ。
十本の若肉。それだけの勃起を自慢気に露にする少年たちの立ち姿は、さながら武士を思わせるような壮観さだろう。
だが、ただ彼らはその屹立を晒しただけではない。
そのギンギンに張り詰めた股間をそのままに、彼らはいつもの稽古へと移っていく。掴むまわしもないが、幸いな事に相手の尻や腰肉は十分に掴み上げられる程にあった。
足を掬い上げては、竿と玉を揺らして股をかっぴらいて受け身を取れば、分厚い尻肉の内側の窄みまでが丸見えになる。
立ち合いの為に蹲踞に移れば、前からは相手にヒクヒクと震えて涙をこぼす雄肉を、後ろからは垂れ下がる裏玉と尻尾に隠れた後孔を見せつける。
土俵上の力士を見て、申し合いを見守る子達も更にその股間を熱くさせていく。
だが、稽古の間は精を放ってはいけない。
これは奉納のための練習であり、奉納そのものではないのだから。
性欲に目覚めたばかり――いやもしくは、体の機能と快楽だけを教えられ性欲そのものは発露していないものもいるかもしれない。欲に煽られながら、その肉茎の先端からとろとろと涙を流す若力士達。
そんな稽古風景も、ここでは至極当然。隠れて処理をする不届き者はいない。
なぜなら稽古の終わりには、奉納として土俵を囲んで射精をお見舞いするのだから。それが何よりも気持ちいい事だと、本能で理解していた。
監督に見つめられながら両手で熱肉を擦り上げる猪獣人。自分の肉厚の胸を虐めながら手を添えずにダラダラと先走りを零す白虎獣人、山猫獣人の尻を愛撫しながら、彼のと自分の熱肉とを同時に扱き上げる牛獣人。
誰も彼もが淫蕩に表情を歪め、この場所が誰から覗き見られてもおかしくない場所だと理解しながら、駆け上る絶頂の感覚を抑え込むことはない。
「ぅお……ッ、イく……っ、イぐっぅう……っ!!」
「監督、……っぁ、出ちゃ、……ぁあぅッ!」
「見てろ、へへ……俺が一番飛ばし、て……ッ、うぅッ……!」
各々のスタイルで土俵に白濁を散らしていく。一度だけでは収まるはずもない。二回、三回と盛大に雄汁を迸らせ、若くも大量の種汁が土俵を白く染めていく。
びゅる、びゅると連続射精後の余韻に浸る威は、快楽に蕩けた表情で舌を突き出す陽太に目を向けていた。
合宿が終わるまであと少し。
それは、つまり。陽太と共に過ごす時間に終わりが近づいている事を示していた。
◇◇◇
陽太は、街灯も殆どない村の畦道を威といっしょに歩いていた。
「……寝れないの?」
「うん。ちょっと散歩付き合ってくれよ」
そう言って連れ出された陽太は、先を歩く威を呼び止めてから月明かりが照らす田園を見渡した。初夏には青く細い稲穂が揺れていただけのそこは、今や実りきって頭を重く下げた稲穂が一面に広がっている。
「僕ね、村に来てよかった……威くんに会えたから」
「……俺も」
「僕……威くんの事ね、好き」
「……」
威は、一瞬意表を突かれたような顔をしてから、陽太の肩を掴む。威も陽太の気持ちには気付いていたし、それが自分と同じものだという確信は既に持っていた。
いや、だからこそ、今日こうして散歩に呼び出したのだ。返事は決まっている。そのままマズルを近づけて返事代わりのキスをしようとした。
その直前で。
「あ、待って、威くん」
「……なんで、歯磨いてたろ?」
「いや、そうじゃなくてね」
と陽太は、鼻が触れ合うような距離の威の視線に照れながらも、頬を掻いた。
「僕、途中で止めれる気しないもん」
「んぐ……」
鼻と鼻が触れ合いそうな距離。だが、鼻よりも先に、腹の下で二人の昂った若肉の先端がごりごりと押し合いをしている。
射精も、土俵の上でなければいけない。
この村に来てからの数々の変化を実感している二人に取って、神様という存在は以前のように曖昧な認識では無かった。この道端で体を重ねてしまいたい。獣のように相手の体に子種を擦り付けて、その欲を全身で味わいたい。
威の分厚くてそれでいて引き締まった体に雄を善がらせたい。その力強い腕で自分を好き勝手に犯して欲しい。
だが、それは出来ない。
射精してしまわなければ問題ないだろう。だが、不完全燃焼のまま止められる自信は、陽太には欠片も無かった。
それは威も同じだったのだろう。
「分かった……なら、奉納試合の後」
「……うん」
このままキスをしてしまえば、止められない。
ゆっくりと熱が滾る視線を絡めあったまま、二人は体を離してゆっくりと離れていく。
身に染みた距離。
仕切りの間。
月明かりだけが照らす空気の中で。
互いに向かい合う。
昼夜は逆転するように、瞬く間に数日が経った。
互いに向かい合う。
秋の空は低く、それでも青く澄み渡っている。
向かい合った二人は更に熱を高めた炎を瞳に宿す。
村には見たことのないような人数の見物客が押し寄せ、土俵の周りは足の踏み場もないような混雑を見せていた。
そんな見物客の視線が集まるのは、奉納相撲の決勝に勝ち抜いた二人の若力士。
この土地の奉納には確かな効果がある。として遠方からの見物客も多い。そんな中で二人はただ相手だけを見据え、蹲踞する。
「すう……っ」
見事な恵体でどっしりと構えた陽太。
筋肉と持ち前の運動神経で素早く切り込む威。
「……すごいな」
と誰かが呟く声がやけに大きく響いた。いつの間にか、喧騒に包まれていた会場は、二人の力士が生み出す緊張感の中に静まり返っていたのだ。
その両者とも、既に一端の力士であり、そして優勝者はどちらか片方のみ。
その雌雄が決する戦いが、土俵にずんと響く踏み込みの音とともに始まった。
いつかのようにがっぷり四つに組み合う。
だが、以前のように陽太を軽々と転がせはしない。両腕に感じる圧倒的な岩のような重量感に、威の判断は早かった。重量で押そうとする陽太に先んじて、組みを剥がして足を掛けに入る。
躱される。だがそれでいい。目的は陽太のまわしを掴む手を緩めることだ。筈の手で陽太の胸を押して牽制し体を離してから、威は自分の筋肉と俊敏さという強みを押し付けにいく。
「……ッ」
だが、それも陽太は理解しているだろう。
肉がぶつかりあい、汗が弾け飛ぶ。熾烈な戦いはもはや、まだ幼い少年同士の組み合いとは思えない。
誰もが固唾を飲んで、その軍配の上がる先を見つめていた。
そして。
◇◇◇
「威ー、お前将来の夢の作文、なに書くんだ?」
グラウンド。昼休みの時間で外に遊びに出た威に、去年から一緒のクラスメイトが声を掛けてくる。その問いかけは昇級したばかりのクラスメイトをよく知ろうと言うことで出されている宿題についてだ。
威は決まってるだろ、とばかりに親指を立てた。
「俺? 勿論、プロサッカー選手! あ、ほら、去年の得点王がいたサッカーチームあるだろ? 俺、そこに誘われてんだぜ」
「だよなあ。いいなあ将来有望なワカモノって奴じゃん。今のうちにサインもらっといたら高く売れるかな?」
「でも整体師さんとかも結構いいよな、っていや、売るなよ。怒るぞ?」
「いーや、売るね。絶対売るね!」
「こんのー!」
軽やかな足取りで威は駆けていく。その脚力は、有名チームの監督も目をつけるのも分かる程に早く、そして、将来性を感じさせる靭やかさと未熟さを併せ持っていた。
周りも本当に彼がプロサッカー選手になるとまでは思っていないだろうが、それでもサッカーに関わる道に進んでいくのだろう。だれもが、威自身すらも、そう確信してやまない。
春は青く道半ば、その細い体には無限の可能性が秘められている。
◇◇◇
夜。
奉納相撲で高まった熱気が、その終幕によって夏の残暑を一緒に流し去ったような柔らかな涼気の中。その決勝にいた二人は、冷めやらぬ熱をそのままに土俵の上にいた。
「おォ……っ、陽太のマンコ、チンポに、絡みついてくる……ッ!!」
「んぁァあ、ッ!! ん、……ッあ……っ!!」
「俺のチンポ、気持ちいいのかッ? すげえ、ナカ……ビクビク震えてんぞ……っ」
「ん……っうん、……ッ、威くんのが……っちんちんの奥にィ、ゴリ、ゴリしてッ……気持、ち、いいっ……!」
土俵の外に脱ぎ捨てた衣服が散らばっている。昼間ここで熱戦を繰り広げた二人は、今、真っ裸になって昼以上の熱を互いにぶつけ合っていた。
仰臥した陽太の足を担ぎ覆いかぶさるようにして、威が彼のもちもちとした尻肉へとその若茎を突きこんでいる。
ぐちゅん、ばちゅん、と技もテクニックもない力任せな、だからこそ狂熱的な腰使いが陽太の尻肉を叩く度、淫猥な音が土俵の上に響き渡っていく。
「あ、あ……ッ!! 威く、ぁあ、ァあっ!!」
「陽太ッ……! もっと激しくいくぞ……っ!」
「うんっ! あ゛ぁッぁ……ッ!! おしっ、り、溶けちゃぅ……!」
猫獣人のくせに発情した犬のように舌を突き出し喘ぎ狂う陽太。その舌を奪うようにマズルを噛み合わせて舌を絡ませ、威は激しくキスをした。
ネットで見たAVを真似しているだけの拙いキスだが、それでも二人には十分だった。つながった熱と快楽が、非現実的なほどまでに二人の思考を甘美に蕩かしていく。汗ばんだ体からは湯気が立ち上っていくようだ。
奥の奥まで、腰がめり込みそうな程まで尻を犯した威は、陽太と尻尾を絡ませ合いながら初恋の焦熱に染まっていく。
「好き……っ、陽太、……ッ!!」
「うん、っ、ぼく……もォ……っ」
この夜に何度交わしたか分からない告白。だが、何度言っても足りない。
「すき、好き……っん゛ぁッ……あァッ!!」
雄膣を抉られた陽太の喉から嬌声があふれだす。何度も貫かれた尻穴は、雌のように躾けられてしまっていて、何度もその白濁を飲み干している。こんもりと膨らんだ腹の上、陽太の太い茎皮に包まれた先端から押し出された先走りで水たまりが出来ていた。へその窪みに溜まるそれを塗りたくるようにして陽太は自ら自分の肉茎を扱いていくのだ。
そんな淫らな姿を見せられては耐性のない威が堪えられるはずもない。
「イ、ク……っぁ、ッ」
「ん……っ、うん……ッ、僕に頂戴、ッ、威くんの……っ精液……ッ」
「陽太の、ナカに……ッザーメンいっぱい……っ出……ッ!!」
どぴゅっと陽太の腸内で威の肉茎が爆ぜる。一度や二度では足りないほど繰り返された交尾でも薄まらない濃い精液が、ぶびゅるッ、と結合部から吹き出して土俵を汚していく。
その淫猥な匂いに、陽太も限界を迎えていた。雄膣を抉って最奥を押し上げる度、陽太は嬌声を上げて体を痙攣させながら、放物線を描きながら陽太の顔面に白濁が散る。
「っ、ん……ぁ……ッぁ」
「すげえ、出た……っ、でも……」
まだ、欲しい。
ずるりと陽太の腸液と威自身の精液に塗れた肉茎をその搗きたての餅を思わせる猫尻から引き抜く。だが、その屹立はまだまだ精気を漲らせている。
何度交わっても、無尽蔵に力が湧いてくる。このまま性欲が枯れるより先に、朝にでもなってしまいそうだった。
「……ッ、威くん……、今度、また僕が、挿れて……いい?」
「ん……っ、ぉ……ッ」
白い雫が染み出していた皮の先端ごと亀頭を陽太がグリグリと刺激する。射精直後の痺れが抜けきらない威は遠吠えをするように喉を空に向けながらくぐもった声を上げる。
「勝った方が好きにしていいって勝負だったでしょ? 今日は……僕が勝ったんだから」
「ぐ……、次は負けねえし」
「うん、でも……っ!」
「ぉお……ッ?」
度を越した快楽に膝が震える。そんな隙に陽太は素早く威の体を引き込んだ。仰向けになっていた陽太は入れ替わるように転がり這いつくばった威の尻尾を掴み上げた。
ふさふさの尻尾。その奥には、もう十分に解れきっている蜜肉が口を開いていた。
「ちんちんでお尻広げられるの……好きなんでしょ?」
「……ッ、べ、別に……!」
「女の子みたいな声出すの、恥ずかしいんだ」
「だ、出してねえし……っ」
反論しながらももう何度も種付けされた威の雄膣はじんじんと疼いて、中に既に吐き出された白濁をごぽりと滴らせていく。まるでこれから注ぎ込まれる新しい種汁を受け入れる隙間を作るかのように。
威の力強い尻肉の中心は、陽太を誘うようにぱくぱくと開閉する。我慢が効かないのは威だけじゃない。普段は大人しい陽太も、淫欲に中てられて雄らしい強引さが引き出されていた。
「じゃあ、僕のちんちん、奥までズプズプしても可愛い声ださないんだ?」
「ん……っ、ぉ……そう、だけど……ぉっ!」
強がりの途中で、陽太は屹立をその窄みへと叩き込んだ。瞬間、声を抑えようとした威の喉からはキュッ! と子犬のような音が響く。月明かりの下だというのに、威の耳の先までは真っ赤に染まっていくのが見えるような気がする。
そんな事を考えながら、陽太は一気に奥まで突き込んだ屹立をゆっくりと前後に揺らし始めていた。
二人の夜はまだ終わらない。
「ぁ……ッ、熱ぃ……ッよ……威くん、のナカ……ッ」
「……ッ、ぁ……っ、んぐ……ッぁあ、ァッ!!」
じっくりと。二人は残暑の終わりを見守るように、溶け合っていく。
◇◇◇
「威くん。おまたせ」
まるで大福餅のように太った猫獣人の少年が、先に集合場所に来ていた同級生に声を掛けた。一歩歩く度に地面が僅かに揺れているような足音を立てる真新しい制服に身を包んだ猫獣人に振り返ったのは、がっしりとした体を持つ犬獣人だった。
大人であってもそうそう敵わないだろう――猫獣人への評価とは違った方面で逞しいその肉体は、むっちりと脂肪を纏いながらも確かな筋肉に包まれている。
「置いていくか迷ったぜ、陽太」
犬獣人の隣に立てば誰しもがひ弱に見えてしまう。そんな強い圧を放つ彼よりも低い背をしながら、全く物怖じせず、むしろそれ以上の存在感すら醸し出す猫獣人、といえば双方の異様さは分かるだろうか。
陽太と威。数年起きに行われる奉納相撲で出会った友人は、背中に大きな布袋を引っ提げ駅に向けて歩き出した。
「そういえば、あれ書いた? 将来の夢発表の原稿」
「あー、あれいつまでだっけ? 前も同じようなの書いたんだよな」
「なんて書いたの?」
「サッカー選手」
「そういえば、そうだったね。今もそう?」
陽太がからかうように問いかける。そんな陽太の腹を、威はベシンと平手打ちした。
「こんなサッカー選手がいるかって」
「まあ、だよねえ」
この春から同じ学校へと通うようになった二人が向かうのは、この地域で唯一の――あの村にある相撲道場だ。
あの村でまわしを締めて稽古する。
それがどういうことなのか。夢と希望に彼らが膨らませるのは胸ばかりではない。
あの村にいる神の恩恵によって、二人には恵まれた体躯が与えられた。だが、それによって奪われた無数の可能性があったことに彼らは悔やむことはない。
よく晴れた空の下。道はひたすら真っすぐに、あの土の舞台へと続いている。
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