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五年前の出会い

  五年前のある日、秋信は彼等と出会った。その日は、秋信と仲の良かった猫が、寿命でこの世を去った。埋葬を終え、手を合わせる。秋信の両隣にいるキジ猫と黒猫は、その墓をじっと見つめ、何も言えずにいた。

  (……ありがとう)

  心の中でそう呟き、秋信はキジ猫と黒猫を連れて、その場を後にした。

  [newpage]

  家に戻ると、秋信は堪えていた涙が溢れ出すのを、止めることができなかった。

  (……やっぱり、寂しいな……)

  今まで秋信は、何度も出会いと別れを繰り返してきた。

  秋信の寿命は、大方千年と思われている。他の生物より明らかに長いのは確かだ。こういった別れを目にするたびに、秋信は自身の寿命について考えてしまうのだ。

  (……何で……僕は……)

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  その後気持ちは晴れず、秋信は猫の姿になり、山から出て町を歩いていた。

  (ん?)

  マンションのベランダの手すりに、鉢植えが置いてあった。その鉢植えは今にも落ちそうだ。その方向に、二人の少年が気づかず歩いていく。

  「危ないっ!」

  その声は鳴き声となり響いた。秋信は咄嗟に術を使い、二人の少年の動きを止めた。そして、鉢植えは少年達の前に落ちた。

  「わっ!!」

  赤茶色の髪をした少年は、驚き尻餅をついた。

  「あっぶな!!……ん?」

  紫色の髪をした少年は、秋信に気づいた。

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  (あ……)

  「……さっきの鳴き声って、この子なのかな?」

  赤茶色の髪の少年も、秋信に気づき、そう言った。

  「たぶん、そうじゃね?」

  二人の少年は、秋信に近づいた。

  「たすけてくれて、ありがとう!」

  「ありがとうな」

  (……どういたしまして)

  秋信はそう答えるように、鳴いた。それに、赤茶色の髪の少年は目を輝かせた。

  「立! この子返事した!! この子天才だ!!」

  「望、声でけぇよ」

  (……赤茶色の髪の子が望で、紫色の髪の子が立……)

  秋信は二人の会話で、彼等の名前を知った。二人が会話に夢中になっている間に、秋信はその場を去った。

  [newpage]

  次の日も、秋信は猫の姿で山を出た。その日は何となく公園に行くことにした。そこには、昨日出会ったばかりの、望と立がいた。二人はすぐに秋信に気づき、秋信のもとへ近づいた。

  「昨日の! 急にいなくなったから、もう会えないかと思ったよ……」

  望は、少し寂しそうに言う。秋信はなんだか申し訳なくなり、望にすり寄った。

  「!立見て!!」

  「だから声でけぇって……」

  立は少し羨ましそうに、望の方を見ていたことに気づいた秋信は、次は立にすり寄った。立の表情は、とても嬉しそうだった。

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  「せっかくだから、この子の名前を決めようよ!」

  「え……でも、飼うわけじゃないしな……」

  「僕達が呼ぶだけだから、いいじゃん! 君も、いいよね?」

  望は、秋信に問いかけた。

  (……たまには、いっか……この子達といるのは、心地良いし)

  秋信はそう思い、返事をした。

  「ほら、この子もいいって!」

  「……わかったよ」

  「どんな名前がいいかな?んー……」

  その後、望が出した名前は、全ておかしなもので、立は頭を抱えた。

  「……お前のネーミングセンスどうなってんだよ……そんなのつけたら可哀想だ……」

  「そこまで言う!? えー……じゃあ、立も何か名前候補だしてよ」

  望がそう言うと、立はため息をつき、じっと秋信を見た。

  「……アキ。毛の色とか、今の季節とか……まあ、わかりやすいし、呼びやすいだろ?」

  偶然にも、秋信の名前の上二文字と被り、秋信は驚いた。

  「さすが立! アキ、これからよろしくね! 僕は望!」

  「俺は立。アキ、これからよろしくな」

  二人は秋信を見てそう言うと、優しく微笑んだ。

  (……うん、よろしくね)

  秋信は、とても心が温かくなるのを感じ、返事をした。

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