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あまり人に言えない趣味に、猫カフェがある。
いや、普通の猫カフェなら、別に世に憚る事はないが、ここの猫カフェは、客が猫になるというものだ。
TF薬を飲み、一定期間後に人間に戻して貰えるのだ。
完全予約制で、プライバシー遵守である。
指定されたホテルに行き、そこで薬を飲んで、猫になったところで、スタッフが回収、近くの施設に連れて行くのだ。
始めて薬を飲んだときの話をしよう。
厳正な審査をなんとかパスして、予約、指定のホテルに入ると、水と薬がおいてあったのだ。
指定通り、全裸になり、薬を飲んだ。
すると、次第に全身がむずむずし始める。何というか、床屋で使うクロスを使わずに髪の毛を切ったイメージというか。毛が纏わり付いてくる感じである。
特に背中から始まり、背骨に沿って毛が生え始める。そして、その延長線上に、尻尾が生え始めていく。
呼吸が荒くなってくる。
ちんこは縮んでいき、女性器ができはじめるし、太腿から臀部、そして胸に肉がつき始める。
肉体は急激に変化を遂げ、乳房と乳首が現われた。
顔は、毛が生えていくと同時に、マズルが膨らんでいき、目の位置や瞳の色が変化する。
足は、関節が移動していき、逆関節となって、足先も猫らしくほっそりしてくる。
指は縮み、手のひらには肉球が現われ、爪は鋭く伸びていく。
これがメスの身体かと、高ぶる感情の中、身体を見回す。
おあつらえ向きの姿見がある。白猫だ。艶のある体毛が、照明に照らされ、真珠色に光っている。
この頃になってくると、意識が若干遠のいてくる。かといって、全く自分自身を失う所までは行かない。本能に占拠された脳みそを俯瞰するような具合だ。
頃合いを見て、係員がやって来る。
ここで人を見て、自分の身体が縮んだのがわかる。相手が標準体型と考えると、自分は一メートルに満たない程度に見える。
彼等は、僕をケージの中に入れて、布を被せ、そして、何処かへ運んでいく。
エレベーターに載せられたり、ベルトコンベアのようなものに載せられたり――のような音がしているだけかも知れないが、色々と迷走して、やっとケージから出される。
そこもは猫の楽園があった。
全体的に暖かく、穏やかな照明、ふかふかのソファに、玩具や構ってくれる人間、おやつがある。
そして、わざわざ猫になりたがる人間が、他の猫を見て、悪く思うはずもなく、二匹、三匹と組を作って、或いは人間相手に享楽的な遊びにふけっていたりする。
この部屋には、猫も人もメスしかいないので、粗暴な目に遭うことはない。
実のところ、こういう風に色々考える事は、契約の際に"望ましくないこと"とされている。
安全のために、最低限の人間的な知性を残すようにしてあるが、猫カフェではあくまで猫になりきらなければならない。実際の猫になる必要はないし、性欲に素直である事はむしろ推奨される事だが、そこに、人間的な動機を持ち込んではならないのだ。
故に、こうした環境を人間の目で観察してやろうと考えるのは、本当は良くないことなのだ。
どだい、いきなり猫になりきれとは無理のある話である。
なので、精一杯の猫っぽさを演じつつ、怖ず怖ずと集団に近付いていくしかない。
なんとも、猫会議に参加する新参猫みたいな風情だ。
他の猫は、様子見という調子で見ているし、さて、どうしたモノかと足を止めたところで、お客さんなのか職員なのか、人間が一人近付いてきてくれた。
ここにいる人間は、猫が好きだと言うから、警戒せずに甘えにいく。
ああ、普通に女性に甘える事さえ、なかなかの快楽だと言うのに、顎の下を触られたり、頭を撫でられたりするのが、猫だと言う意識を持つだけでで、その幸福度は一気に倍加される。
もう、膝に頭を乗せ、ぐりぐりと股の間に頭を押し付けていく。
この人間は、僕がそうすると、抱え込むようにして抱き返してくれた。
相手の呼吸と、自分の呼吸がシンクロして、随分と長い間、そのままでいた気がする。
それも充分気持ちいいのであるが、"そろそろ"と言うモノをお互いに感じ取ると、人間は、抱き上げるようにして、僕を引き寄せ、正面から抱きついた。そして、それも一瞬のこと、乳首をいじり始めたのだ。
「ひゃん!」
声を上げるが、地は猫の声だ。というよりも、人間の言葉は全く出ない。
突然のことに驚くも、人間は手を休めない。
胸を中心に、快感がじんわりと身体に染み渡ってくる。
身体が小刻みに震えてきた所で、恐ろしさを感じる。
猫の手で、相手の胸を押しのけようとするが、猫の力はあまりにも非力だ。相手を掴む事も出来ない。
爪で引っ掻くと言う手もあったが、それは躊躇われた。
そんな風に、押し合いへし合いしていると、人間の手は、僕の股間の方に伸びてく。僕はといえば、押していた手は、胸を揉むような形になっていた。
初めて受けた手マンは、衝撃的だった。
乳首であんなに反応したのだから、その比ではなかった。
一瞬で陥落し、おしっこを漏らしてしまったからだ。
人間は、「あらあら」と笑いながら、辺りを掃除し、僕はそれを茫然と、しかし、余韻に浸りながら、否、まだ続く快感が、ちょっとした挙動でさえも、身体を痙攣させるものだから、充分に気を遣いながら、波が去るのを待っていたのだ。
だが、そんな状態の僕に目を留めたのは、一匹の黒猫であった。
黒猫はじんわりと近付いてくると、僕のおまんこをペロペロと舐め始めたのだ。
快感の波がぶり返す。
「あぉ。あぉ……」
と、悲鳴を上げるしかない。
だが、そう言う猫なで声が、彼女を高ぶらせたのかも知れない。
そこから飛びかかるように抱きついてきて、押し倒して、そして、女性器同士を擦り合わせるように抱き合ったのだ。
猫の体型は、どの子も同じぐらいであった。となれば、その耐性となれば、乳首もまた、お互いに接触する位置関係となる。
黒猫は慣れたもので、ただ怯え、身体を震わせるだけの僕を見て、喜んでいるように見えた。
そして、僕は早速、二度目の絶頂を迎えた。
そうもなった頃には、他に数匹の猫に取り囲まれ、更なる攻撃に遭うことになった。
もう、いい加減イキ疲れて、眠るのだか意識を失うだかした所で、人間に保護されて、それから、惰眠と餌とを貪り、そして、気が向いたら適当な猫と遊ぶと言う時間が流れていった。
あらゆる片付けは人間がしてくれるし、暇なときには構ってくれる。
猫達はそれを知っていて、人間にちょっかいをかけたり、或いは逆に人間を無視したりして楽しんでいる。
気まぐれに遊び、気まぐれに食べ、そして寝てしまう。ただただ、それだけの生活である。
三連休は、あっという間に終了した。
否、自分が人間に戻るまで、何をされたか分からなかったぐらいだ。
人間に誘われ、ケージに入れられ、そして、部屋に戻ってきたところで、チクリと注射を受けて、それで全ては終わった。
全てが楽しかった。
性的な享楽の満足度が高い上に、ただ、猫として寝ているだけで、体力の充足とストレスからの解放を感じさせるのだ。
極論、他の猫がいなくても、人間に養われている、ただその感覚だけで、このカフェに通う価値があるのだ。
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