必ず外れる未来視

  これを書いて良いものか。

  まあ書かうが書くまいが、視てしまつたからには外れる。

  それは別の時間軸の、別の宇宙の別の世界のお話なので。

  あまりに暇なので白晝堂々妄想してしまふ事がある。

  親にいよいよ家を追ひ出された男があつた。

  彼は先づ、ラーイラーハイッラッラー、ムハンマドゥンラスールッラーと唱へた。

  お金が勿体無いので、豐島區迄徒歩で向かつた。

  日の出や日の入りを見て、道端で禮拝を行つた。

  豊島区に着いた頃には、余りにも汚い格好をしてゐた。

  汗と尿と屎の臭いがした。

  彼は中田先生の元へ向かつたが、中田先生は用事で留守にしてゐた。

  彼の間の惡さは、生まれた時から始まつてゐた。

  中田先生が用事から戻つた。

  中田先生は疲れてをり大儀さうだつたが、私に笑顔で応対してくれた。

  男は「ティックトックを見ました!全財産受け取つてください」と言つて、リュックサックの中の封筒を無理やり押し付けた。

  その後、彼の姿を見たものは居ない。

  汚すぎて通報されて、獄中死したとも、

  公園で野垂れ死んだとも傳へられてゐる。