AdAd
  
爽やかベースの青年虎獣人に脂の乗った中年熊獣人を添える

  ーーー

  

  

  

  「いらっしゃいませ~!」

  「替え玉もいかがですか~?」

  「ありがとうございましたぁ!」

  

  と、色んな声が行き交うここはラーメン屋。

  

  店内はお世辞にも広いとは言えず、キッチンに沿うカウンター席、壁際のテーブル席は指で数えられる程度。

  

  今日も相変わらずお客さんの出入りが多く、この時期は行列ができるのが当たり前。

  

  ラーメンを運んだり、器の片付け…バッシングで頭がおかしくなりそうなほど忙しい。

  

  そんなピークの時間帯を何とか乗り越え、時刻は日も傾いた17時。

  

  だいぶお客さんの人数も減り、一息つけるくらいになった。

  

  そんなとき…

  

  「兄ちゃん、兄ちゃん!」

  

  と、俺を呼ぶ声が…

  

  「あ!はい!ただいま!」

  

  俺はすぐさまテーブル席に座っている熊獣人のもとへ駆け寄る。

  

  実はこの熊獣人…だいぶ前からテーブル席に居座り、かれこれ三時間くらいはここにいる。

  

  ただでさえテーブル席は片手で数えられる程しかないのに、その体躯から「テーブル席の方が良い」と言われ、団体客が来た時どれだけ邪魔だったか…

  

  

  

  …なんて口が裂けても言えるはずない。

  

  そしてその三時間、この熊獣人から執拗に視線を受けてた気がする。

  

  俺はずっと気づかないフリをしていたが、店が忙しくなくなったところを好機と見たのか、とうとう呼び出されてしまった。

  

  「いかがなさいましたか?」

  

  そう言っても熊獣人は反応を示さず、ただ俺を眺めているだけ。

  

  しかし、熊獣人の視線が上から下へ移動するのを俺は見逃さなかった。頭のてっぺんから足の爪先まで値踏みされているようで、いい気分とはほど遠い。

  

  さっさと用件を聞いて退散したいところだ。

  

  「あの………お客様?」

  

  かれこれ三時間も見られてるはず。

  

  その間に俺…何かやらかしたんじゃないか?クレームでも言われるんじゃないか?何か癇に障ったのかもしれない。

  

  漠然とした不安が俺の心を埋め尽くしていった。

  

  「…何か…お気に召さないことでもありましたでしょうか?」

  

  恐る恐るだが何とか声に出して聞いてみる。

  

  普段は人懐っこい笑顔と明るさが売りで、他のお客さんからも評判は良い方だ。

  名前まで覚えてくれる人がいて「いやぁ~アキちゃん見てると何だか元気が湧いてくるよ~!」と言われる程である。

  お客さんからそれを言われた時はただただ嬉しかった。

  その後店長にも「良かったな、これからも頑張れ。」と褒められ、有頂天になったのを今でも覚えてる。

  

  それからというもの、元気を頼りにこのラーメン屋でバイトをしている訳だが…

  

  もしかしたら…それがいけなかったのかもしれない。

  

  お客さんからすれば俺の「元気」は「調子にのってる」「馴れ馴れしい」「うざい」そんな風に見る人だっているはず。

  

  俺の「元気」など求めてはいないんだ。まぁ…それもそうか。お客さんはラーメンを目的に来ているのだから。

  

  そんなことこれっぽっちも気に留めず、今までやってきたのがどうやら祟ったらしい。

  

  「あの……お客…様?」

  

  相手は俺より一回りもでかい。それに加えて目付きも悪く、端から見れば…あっちの仕事をしてるんじゃないかと疑えるような外見。

  

  一刻も早くこの状況から抜け出したい俺に、目の前の熊獣人は黙ったままである。

  

  時間にすれば恐らくほんの一、二分。でも今の俺にとってはそれが十分、二十分にも感じられ…

  

  それだけ目の前の熊獣人には威厳があった。

  

  「兄ちゃん……」

  「びぇッ!?」

  

  突然熊獣人が口を開いたため、驚いて変な声が出てしまう。それと同時にすうっと血の気は引いていき、全身から冷や汗が大量に溢れてくる。

  

  ヤバいヤバいヤバいヤバい………ヤバいッ!!!

  

  殺される!間違いなく殺される!だってほら、今のでさっきよりも目付きが鋭くなってるし!怒ってる!絶対怒ってるこのお客さん!ヤバい!逃げたい!早く!…もう、嫌ッ…謝ろッ!謝った方が早い…

  

  俺の頭が混乱する一方で、正常な判断すらままならなくなった頃、熊獣人の口からは意外な言葉が発されていた…

  

  ……ことを俺は知らない。

  

  「…この後、暇…」

  「すみませんでしたぁぁぁぁあッ!!!」

  

  言葉を遮って土下座をかます俺。もちろん熊獣人が何を言おうとしてたのかは、まるっきりわかってない。だから…

  

  「すみません!すみません!すみません!すみません!すみませ…」

  

  ひたすら土下座をすることで許してもらおうという…何とも浅はかな考えか…。

  

  店内にいる全員の視線がこちらに向けられていることなど、目の前の恐怖に比べたら比でもない。

  

  

  

  

  

  

  

  お願いします…どうか…許してください…

  

  

  

  

  

  

  その後、キッチンにいた店長が駆け寄ってきて何とか事態は収拾する。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  店長によって事が収められた後、俺は自分の勘違いに気付き、再び謝罪の雨を降らした。

  

  そんな俺を見て熊獣人は「気にせんでエエ!気にせんでエエ!」と笑って許してくれたが、きっと心は傷付いたに違いない。

  

  「おっちゃんも悪かった!あまりにも兄ちゃんがストライクだったんでな!…おっと、今のは気にせんでくれ!」

  

  ブンブンと手に持っている箸でかぶりを振る熊獣人。

  

  その性格は意外にも明るくて、外見からは想像もつかないほど気さくな性格だった。

  

  俺………バカだな。人を外見だけで判断して。よく見れば怖いところなんて目付きと体格くらいで、人柄さえわかってしまえば…何てことないのに…

  

  「本当にすみませんでした…」

  

  俺は申し訳なさで再び深々と頭を下げた。

  

  「エエって!エエって!………そうだ!兄ちゃんこの後暇か?」

  「…え?いや、今日は…23時までバイトで…」

  「なんや~そっかぁ…そりゃ残念や。」

  

  ガックシ…と項垂れる姿は、どこか子供っぽさが漂っていた。それを見て「すみません…」と再び謝るも、熊獣人はすぐに笑顔を取り戻し、また「気にせんで!」と言う。

  

  「まぁ…おっちゃんのタイミングも悪かったしなぁ…。また今度…来るわ。」

  

  席を立ってフラフラと店から出ていく熊獣人。さっきより元気が無くなったのはあからさまだった。

  

  そんな姿が痛たまれなくなって、俺はつい声をかけてしまう。

  

  「次の日曜日ッ!!!」

  

  俺の声を聞いて熊獣人が振り向いた。

  

  「次の日曜日…15時以降なら!ちょうどバイトも終わるので!」

  

  俺がそう告げると熊獣人はニカッと笑顔を作り、手を高く挙げながら去っていく。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  そうして次の日曜日を迎えるものの、あの熊獣人が店に姿を現すことはなかった。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  ま、当然と言えば当然か。誰が好き好んで男に会いに来るんだよ。女でもあるまいし。

  

  「少しでも期待した俺がバカだったわ…」

  

  一人、ベッドの上であの日のことを思い出していた。

  

  顔は確かに怖いけどさ…何か…擽られるんだよな…

  

  思い浮かぶのは熊獣人の笑った時の表情や落ち込んだ時の顔。そしてその体躯。

  

  ふくよかな体つきで…腹は…まぁ…まさしく“中年の腹”って感じだったけど、腕の筋肉とかは凄かったな。丸太を連想させるくらい太くてさ…もともと骨太っていうのもあんのかな…

  

  もしかしたら腹だって…脂肪の下は適度に筋肉が付いてたりして…

  

  つか………

  

  「何変な想像してんだ俺は!あり得ない!あり得ないから!あんなおっちゃんに!無いだろ!無い無い無い無い!マジ無い!絶対!無いッ!」

  

  誰があんな全身凶器みたいなおっちゃんに恋するんだよ!

  

  あり得ないだろ!あってたまるか!俺は違う!絶対違うからな!

  

  ベッドの上で一人身悶える俺。この日は何だかよく眠れなかった。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  そもそも俺は男だ。俺が好きになるべきは女の人だ。

  だからあの熊獣人を好きになるのは間違いだ。

  

  間違いなんだ!

  

  これは決して恋じゃない。恋であってはならない。

  

  「禁断の恋ってやつですね…」

  

  そうだな!禁断の恋!……いや、待て。今のは無しだ。

  

  恋じゃないって否定したばかりだろ!

  

  誰だ!?俺の心を読んで来るやつは…

  

  「どう?当たってるでしょ?」

  「ふぁッ!!!」

  

  俺が振り向いた瞬間、狐獣人の顔が視界一杯に広がっていた。

  思わず尻餅をついて崩れ落ちるが…

  

  「な、何だ!?お前ッ!!」

  「何だ!とは何だ!?俺はお客さんだぞ!」

  

  目の前に現れた狐獣人は両手を腰にあて、仁王立ちしては自信ありげに鼻を鳴らす。

  

  大方…「(自分の推理が)当たっているだろ!?」とでも言いたいんだろう。

  

  たまにいる。こういう…客だからって少しおふざけが過ぎるやつ。ドヤ顔が何とも憎らしいが…

  

  「し、失礼しました…」

  

  立て膝をついて床から立ち上がると、吐き捨てるように謝った。

  

  「それで?何か追加注文でも?」

  「いや?」

  「じゃあ、何なんでしょうか!?」

  

  少し苛立ちを覚えたのはコイツがムカつくからか、はたまた…

  

  

  

  

  

  

  

  「君…恋してるでしょ?」

  

  

  

  

  

  

  

  核心を突かれたからか…

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  ドキッ!とした。

  

  何でこんな見ず知らずのやつが…こんな的を射たことを言ってくるのか…

  

  さっきもそうだ。

  

  俺が考え事してたら後ろから口出ししてきやがって…

  

  「してません!」

  「ホントに?」

  「してない!って言ってるだろ!!!」

  

  大声を出す程のことじゃないのに…つい我を忘れて怒鳴ってしまった。

  

  

  何でこんなやつに図星をつかれなくちゃいけないんだよ!

  

  いや、そもそも図星でも何でもねぇよ!俺はあんな熊獣人なんか好きとも何とも思ってねぇんだから!

  

  けどこの狐獣人に言われるとなんかムカつくんだよな…

  

  って言うと………俺はやっぱりあの熊獣人が?いやいや、気にはしたけどそこまでは………

  

  もう…わけわかんねぇ。

  

  

  

  俺がお客さんに怒鳴ったことで、店長が事務所から出てきた。

  

  相手の狐獣人………“の友達”も席から慌てて飛び出し、謝って来たため、これといって大事にはならなかったが…

  

  また店長に迷惑をかけてしまったこと、「今日はもう上がりなさい。」と言われたことが俺の心を折るには容易かった。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  帰り際、俺が店から出ていくと再び狐獣人とその友達らしき人が目の前に立っていた。

  「ほら!お前が何かしたんだろッ!謝ってこいッ!」と言って狐獣人の頭を叩く犬獣人。

  

  しぶしぶ狐獣人が俺の前まで来ると…

  

  「さっきは…すみませんでした…仕事の邪魔して。」

  

  と軽く頭を下げられた。

  

  「いや……こちらこそ…怒鳴ったりし…?」

  「頭が高いッ!!もっと深く下げろ!それでも謝る気あんのか!お前はッ!」

  

  俺が全部を言い終わる前に、後ろにいた犬獣人が突然狐獣人の頭を無理矢理下げさせた。

  

  「いだだだ…い、痛い!痛いって!」

  「俺からも…本当に!すみませんでした!」

  

  深々と頭を下げてくる犬獣人。

  

  「おら!お前も謝んだよ!」と、頭を強く押さえられてるせいか狐獣人からは「痛い」の声しか聞こえない。

  

  でも、今はもうそれで良かった。

  

  二人の関係が…羨ましかったから。

  

  俺にもこんな友達がいたらな…と思えるくらい、それこそ嫉妬してしまうほど仲の良さが伝わってくる。

  

  「いえ…こちらこそ怒鳴ったりなんかして…すみませんでした。…あの…もし宜しければ…これ。」

  

  俺がポケットから出したのは「餃子無料券」や「ドリンク無料券」といった、このラーメン屋で使える様々なサービス券。

  

  「こんなもので償えるとは思ってませんが…これからも…あのお店に来ていただければ…幸いです。」

  「え?良いのぉ~?やった~♪」

  「あ!コラッ!おま………って!うぉ!コレ…極太炙りチャーシュー無料券じゃねぇか!滅多に無いんだよな~!ほ、ホントに良いのか?」

  「はい、また来てください♪」

  

  自然と笑みが出てきたのは…

  

  少しだけど心が晴れた気がするのは…

  

  

  

  

  きっとこの二人のおかげだと思う。

  

  「待ってますから♪」

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  後で聞いた話によると、あの二人はどうやら俺と同い年らしい。

  きっと大学生か、専門学生だろう。羨ましいな…まだ学生生活送れて。それに…

  

  「良いなぁ…俺にもあんな親友がいたらなぁ…」

  

  何か悩み事があった時とか、本音で話せて相談できるのに…。

  

  

  

  あの人のことだって…

  

  

  

  あれから一向に姿を見せない熊獣人。来る日も来る日もあの巨躯は現れなかった。

  

  忘れようと思っても忘れられない、かと言って思い出そうとすれば…どんどん記憶にモヤが掛かってくる。

  

  このままじゃ…もし次あの店に来てくれた時…気付けないんじゃないか?

  

  そんな考えが心を不安にさせる。

  

  せめて…名前だけでも聞いていれば…

  

  いや、聞いたところで…俺にどうしろっていうんだ。

  

  

  

  あれが…最初で最後。

  

  

  

  俺は…せっかくの機会を逃したんだ。

  

  

  

  ーーー

  [newpage]

  ーーー

  

  

  

  季節が一巡りと約半分。

  あの熊獣人が来店してから、約一年半が過ぎた。

  

  俺の記憶からはもうほぼ削除され、今となっては黒い影がモヤを作る程度である。

  

  獣人の種類も、どんな人だったのかも、何もかもすっかり忘れてしまった。

  

  この店に来る大勢の客の中に飲まれていったのかもしれない。

  

  ただ一つ、覚えてることがあるとすれば…

  

  何かに悩んで悶えた日があったな…という記憶。

  

  その原因は何なのか。バイト?お金?人間関係?はたまた違う何か。思い出そうにも思い出せない。

  

  きっと大した悩みじゃなかったんだと思う。そうじゃなければこうして飄々と過ごしてはいないだろう。

  

  起床した俺はバイト先へと向かうため、身支度を整えていく。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  今日は今年一番の暑さらしい。

  

  朝番の俺は比較的涼しい時間からラーメン屋に入っていった。

  

  店内の照明を付け、冷房を入れる。

  

  昨日の売り上げをパソコンで確認しては、店の制服に着替え、今日の目標売り上げ額を計算する。

  

  「夏だからなぁ…」

  

  冬に比べたら人の入りは少ない。

  

  新商品の冷やし拉麺と毎回来てくれる常連さんで何とか保ってる…といったところだ。

  

  「ま、いつまでも考えてたって仕方ないか。さて、今日も頑張るぞ~」

  

  腕を上に挙げ、大きく伸びをするとキッチンへと足を運んでいった。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  「いらっしゃいませ~!」

  「冷やし拉麺オススメとなっております!是非どうぞ~!」

  「替え玉もございます!いかがですか?」

  

  と、色んな声が行き交うここはラーメン屋。

  

  店内はお世辞にも広いとは言えず、キッチンに沿うカウンター席、壁際のテーブル席も指で数えられるほど。

  

  今日も相変わらずお客さんの出入りが少なく、ラーメンを運んだり、器の片付け…バッシングは余裕も余裕。

  

  冬に比べれば忙しさの欠片もない。売上は危ういが…。

  

  それでも常連さんや近場のお店のスタッフさんが足を運んでくれるおかげで、このラーメン屋も何とかやっていける。

  

  「人の入り…少ないなぁ…」

  「きっと夜までこのままだよ?どうする?もう上がっちゃう?」

  

  俺の呟きが聞こえていたのか、店長がいつの間にか後ろに立っていた。

  

  「いえ、それはさすがに…。ちゃんと18時までやっていきますよ。」

  「そっか。」

  「俺…呼び込みやってきます!このままでもあれなんで…」

  「了解。熱中症には気を付けてね。」

  「はい!」

  

  そう言って俺は外に出た。

  

  店内と違って外は焼かれるように暑い。

  ものの5分もしない内、毛皮に汗が染みてきた。

  

  さすがにこんな暑いんじゃ…ラーメンもなぁ…食べる気は失せる…か。

  

  サンサンと輝く太陽が毛皮を焼く勢いで照りつける。それに加えてこの蒸し暑さ、息を吸えば体の内側から焼かれるようなそんな勢い。

  

  確か…最高気温更新だっけか?

  

  夏だけはやっぱり慣れないな…

  

  そんなことを思いつつも…

  

  「どうぞ~!新商品冷やし拉麺ッ!是非是非食べてってください!透き通った清涼感!ひんやりと冷えたスープ!オススメとなっておりま~す!いかがですか~?」

  

  と声をだす。その甲斐もあってお客さんが少し増えてきたのは嬉しいことだ。「お!アキちゃん!今日も頑張ってるね!」といつもの常連さんも訪れて、そこそこピークは作れたと思う。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  「そろそろ18時だから…上がって良いよ?」

  「もうそんな時間ですか…」

  「アッくんのおかげで売り上げ結構上がったんだ。こっちも少し上げとくから♪」

  

  そう言って店長は指で丸を作り、ウィンクする。それが何を意味するかは…誰でもわかるだろう。つまりは………給料。

  

  「ホントですか!?ありがとうございます!」

  

  暑い中呼び込みをやった甲斐はある。俺は笑顔で店長にお礼を言うと…

  

  「…それじゃ…ちょっと…ここらで上がります。」

  「うん、お疲れさま。」

  

  事務所へと戻り、イスに座って一息ついた。

  

  今日は何か…自分でも頑張れた気がする。

  

  朝早くから入店して、仕込みやって…呼び込みやって、ホールもキッチンも…

  

  うわ…全部じゃん。我ながら無茶したなぁ…

  

  「ハハハ…」と顔に苦笑いが浮かび上がる。

  

  でも…よく頑張った。今日は帰りに何かご馳走買って帰ろっと!

  

  鼻歌なんて歌いながら、帰り支度を整えていく。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  「店長~お疲れさまでした~!」

  「う~い!」

  

  店長に一言挨拶を入れ、お店の出口を目指していく。「ご馳走何にしよっかな~♪」なんて考えながら。

  

  だから、気付かなかったのかもしれない。

  いや、そもそも忘れていたからかもしれない。

  

  まさかあの人がまた、この店に来ていたなんて…

  

  「………兄ちゃん?」

  

  そう呼び掛けられても自分のことだとは一切思わなかった。

  

  だって…そうでしょ?普通は他の人が呼び掛けられてるって考えるはず。ましてやお店の制服を来てるわけでもあるまいし、店内には俺の他にも若い人だっている。

  

  私服の俺が呼ばれていたなんてこれっぽっちも思わなかった。

  

  でも、その人は違った。

  

  「兄ちゃんやろ?なぁ!」

  

  ガタンッ!と音を響かせながら席を立ち、ドシドシと近づいてくる黒い影。

  

  店から出ようとしていた俺の腕を力任せに捕み、ぐいっと振り向かされると…

  

  「…やっぱり!ほら!おっちゃんや!おっちゃん!この顔見覚えあるやろ?」

  

  目の前にいたのは…いつか冬の日に来店した熊獣人。

  

  が、しかし…

  

  「え………っと…」

  

  記憶が曖昧なために良い返事を返すことができない。

  

  「覚えと…らん?」

  

  両肩をガッツリ捕まれ、嫌でも目付きの悪いおっちゃんの顔が視界に入る。

  

  俺にこんな顔の怖い知り合いいたっけ?そもそも年齢が違いすぎるし…

  

  「覚えとらん………か。」

  

  「それもそうやな…」と肩を落として項垂れる姿は、どこか子供っぽさが漂っていた。

  

  「約束…したんやけどな…また来るって…」

  

  涙目にこそならないが、落ち込んでいる姿からすると俺はまた相手を傷付けてしまったらしい。

  

  相手は俺のことを知っている、でも俺は覚えていない。

  

  それに「約束」?こんな顔の怖い人と約束なんてしてたのか?俺は…

  

  「まぁ…しゃーないか…あれから一年半も経つんやもんな。」

  

  一年半…一年半前っていつだ?

  

  「すまんなぁ…兄ちゃん。呼び止めて。」

  

  両手が肩から離れると、目付きの悪い熊獣人は寂しそうに店から出ていった。

  

  一年半………一年半前だから…冬か?

  

  冬…冬…何かあったか?

  

  よく思い出せ…

  

  俺は…一年半前…冬の稼ぎ時…あの熊獣人と…何を…?

  

  一年半前の冬だったらちょうど狐獣人と喧嘩した頃か?

  

  あの後、店にちょいちょい顔出してくれるから…変に仲良くなって…名前とか…連絡先を教えてもらったんだ。

  

  アイツの友達の犬獣人は…その頃から良いやつだったな。俺とアイツの喧嘩を仲裁してくれたり…

  

  …ん?そもそも何で俺はアイツと喧嘩したんだっけ?

  

  …確か…アイツが急に話し掛けてきて…

  

  それで…

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  「君…恋してるでしょ?」

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  確かにアイツはそう言った。でも誰に?誰に恋をしてたんだ?

  

  あの頃の俺には彼女なんていなかったはず。いや、今もいないけど…

  

  それでも気になる相手ぐらいはいたのか?

  

  いや、いないな。今まで一度たりとも恋なんてしてこなかった。

  

  異性から告白されたことはあっても、それを受け入れようとはしなかったはずだ。

  

  俺はどちらかと言うと自分の好きになった人と付き合いたい派だからな。

  

  けど、異性で俺が好きになった人は今までいなかったし。

  

  時間が経ちすぎて相手を好きになるってどういう感覚か、一目惚れってどんな感じなのかさえ忘れていって…

  

  

  現在に至る…か。

  

  ダメだ、全く思い出せない。

  

  そもそも俺のことを知っていて、この場所に来るってことはお店のお客さんっていう線が一番濃いだろ。

  

  さっきの話からするに一年半前の冬のとある日、あの熊獣人の人が店に来て………

  

  「…あ………あぁ」

  

  少しずつだが、バラバラになっていた記憶が形を取り戻していく。

  

  呼び出されたんだ、あの熊獣人に。俺はその顔の怖さにビビりまくって…勘違いして…何回も謝ったんだ。

  

  それをあの人は豪快に笑って許してくれて…

  

  あぁ…なんだ。ちゃんと約束してたじゃないか。

  

  次の日曜日、15時以降って。

  

  どこかに無くしていた一欠片の記憶が、ずっと探し続けていたピースが…今、全てを繋ぐように噛み合っていく。

  

  あの時の約束をずっと覚えていてくれたんだ。何日も会えない日が続いたって…あの人は決して忘れたりなんかしてなかった。

  

  何で俺は忘れてたんだ。どうして気付かなかったんだ…最低だ…俺は。

  

  「おっちゃんッ!!!」

  

  そう叫びながら俺は店を飛び出した。

  

  思い出すのに苦労してしまったが、まだそう遠くまで行ってないはず。今ならまだ間に合うかもしれない。

  

  また会えなくなるなんて絶対に嫌だッ!

  

  

  

  

  

  

  

  

  という焦燥は杞憂に終わる。

  

  

  

  

  

  

  

  

  「やや!思い出してくれたか!良かった!良かった!」

  

  って!うぉぉぉぉぉぉぉいッ!!

  

  どっか行ったんじゃなかったのかよッ!悲しそうに出ていったんだから普通どっか行っちゃうもんだろッ!なに呑気に店前のイスに座ってんだよッ!

  

  おっちゃんは呆気なく見つかった。

  

  「お、おっちゃん………どこかに………行ったんじゃ…」

  

  気を動転させて荒い呼吸をする俺に…

  

  「いやぁ~最初はそう思ったんやけどな?これといって行く宛もないし…。どうせなら兄ちゃんが思い出してくれるまでイスに座って待ってよ~かな~なんて…」

  

  ゲラゲラ笑いながら機嫌良さそうに話すおっちゃん。

  その姿は俺の切羽詰まった心を優しく撫でるように落ち着かせてくれる。

  

  「…良かった…本当に。もう二度と…会えないって思ってたから…」

  

  相変わらずふっくらと膨れたお腹に、丸太のようなガチムチな腕。そして性格に反して誰もが恐怖で戦くであろう厳つい顔。

  

  間違いない、あの時の…熊のおっちゃんだ。

  

  「すまんなぁ…あの時は出張でこっちに来とっただけなんや。せっかく兄ちゃんが約束してくれたんやけど…その日は地元へ帰るとこでな…」

  

  なるほど、だから約束の日に来てくれなかったのか。それなら納得がいく。

  

  

  季節が夏なだけあって、ずっと外で待っていたおっちゃんは既に汗まみれになっていた。

  

  びしょびしょに濡れたポロシャツがおっちゃんの体型を一層際立たせる。特にお腹周りがよく目立ち、まさに中年のメタボッ腹…と言ったところか…

  

  

  

  ゴクリ…と生唾を飲み込み、思わずその一点だけを凝視してしまう。

  

  

  

  マズい…目が離せない…

  

  

  

  俺はそっちの気なんか一切無いはずなのに…

  

  

  

  どうしてこうも目が離せないんだ!?なんでこんなにも心臓がバクバク言ってるんだ!?

  

  

  

  自分が自分でわからない。

  

  

  

  収まれよ心臓の鼓動…落ち着けよ俺。相手はおっさんなんだぞ?なんでよりによっておっさんなんかに興奮してんだよ。

  

  

  

  絶対おかしいだろ。俺は男好きなんかじゃない!ましてやホモでもない!

  

  

  

  なのに…

  

  

  

  なのに何でこんなにも…

  

  

  

  おっちゃんに惹かれてるんだよ!!

  

  

  

  俺がこの熊のおっちゃんを好いてるって言うのか!?嘘だ!そんなの嘘に決まってる!気のせいだ!あり得てたまるか!

  

  

  

  あり得ないはずなのに……くそッ!心のどこか……

  

  

  

  心のどこかでおっちゃんに抱きつきたいなんて考えてやがる…

  

  

  

  あの脂の乗ったフニフニと程好い弾力がある腹に。体一杯におっちゃんを感じるくらい強く抱きつきたいなんて…

  

  

  

  俺は頭でもおかしくなったんだろうか。

  どこかに頭をぶつけたんだろうか。

  じゃなけりゃこんなこと考えるはずがない。

  

  

  

  でも…抱きついたらさぞかし気持ちいいんだろうな…

  

  

  

  被毛に鼻を埋めると…鼻腔を通って肺全体におっちゃんの臭いが広がるんだ。

  

  それでいて俺のケツにはおっちゃんの………

  

  「兄ちゃん?兄ちゃん?人の話聞いとるか?」

  

  おっちゃんの声で俺は覚醒させられた。

  

  「あ、はい!すみません。」

  「いかんで~おっちゃんに惚れたら~!兄ちゃんの彼女が嫉妬してまうがな!」

  

  再びガッハッハと笑うあたり、その豪快さは熊の種族と見事にマッチしていた。

  

  ヤバい…物凄ぇ興奮してる。心臓の鼓動が全然鳴り止みそうにない。

  

  「い、いえ!俺…彼女とか…いないんで…」

  「ややッ!そうなん?嘘やん!こんなイケメン勿体ないわ~!何ならおっちゃんが貰ったろか?え?」

  

  早まっていた心臓の鼓動がいきなりドクンッ!と高鳴った。

  

  おっちゃんの言葉に衝撃を受け、驚きで体が硬直してしまう。

  

  

  もう…認めざるを得ない。ここまで心を揺さぶられるっていうことは…つまりそういうことなんだろう。

  

  今まで異性にトキメかなかったのもきっとそのせいだ。

  

  

  俺はどうやらそういうヤツだったらしい。

  

  

  男が…好きだったなんて……

  

  

  突然そんな事実が明らかになったところで、すぐには受け入れられるはずもなく…

  

  「ご、ご冗談を…」

  

  笑って誤魔化すようにそう言った。

  

  「おっちゃんは本気やで。ん?」

  「え……と………」

  

  目をキョロキョロ泳がす俺とは違い、おっちゃんの真剣な眼差しは鋭く俺を貫いてくる。

  

  「おっちゃんが気付いてないとでも思ったんか?」

  

  一瞬にして周りの空気が変わったように感じた。夏であるはずなのに…少し肌寒く…ブルッと身震いせずにはいられない。

  

  それが…おっちゃんの声のトーンによるものか、強者が持つ獲物を狩る時の目付きによるものなのかは………

  

  …まぁ、両方だと言えるだろう。

  

  「えと…何を仰ってるのか…イマイチ…」

  

  その空気に耐えられなくなって目を逸らしてしまう俺。

  もしここが食うか食われるかの世界だとしたら…間違いなく俺は食われていたことだろう。

  

  「しらばっくれても無駄やで?おっちゃんが何年生きてきた思てんのや。人を見る目くらい肥えとるわ。」

  

  それでもおっちゃんは獲物に毒を盛るかのごとく、じわりじわりと俺を追い詰めていく。

  

  「は、はあ…」

  

  我ながら歯切れの悪い返事だな…と思う。

  素直になれれば一瞬にして楽になれるのに…

  

  「ふ~む……ここじゃ本音は言えへん……か。ほんなら場所、変えよか?」

  「………え?あ、はい?」

  

  俺がテキトーな返事をすると、イスから立ち上がるおっちゃん。

  

  「行くで。」

  

  本心を悟られないことに必死で、おっちゃんの話を全然聞いていなかった。

  

  行くって……一体どこに……

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  「ここならどや?おっちゃんと二人きり、互いの腹を見せ合って話せると思うで?二つの意味でな!」

  

  そう言って連れ込まれたのが、今まで一度も入ったことのないラブホテル。

  

  薄暗いと言えばいいのか…仄かに明るいと言えばいいのか…部屋の照明が妙に変な雰囲気を醸し出している。

  

  ピンク色のネオンが異様に目立ち…

  

  というか、もはやそういう雰囲気しか漂ってない!

  

  …いや、ラブホなんだから当たり前……なのか?

  

  あぁもう!わけわからん!!

  

  さっきから心臓が無駄にバクバク言ってるし、受付の人には不可解な目で見られたし…

  

  男二人でラブホなんて…あっちの人じゃない限り絶対来ないだろ…

  

  つまりそれは…

  

  「兄ちゃん………男が好きなんやろ?それも…おっちゃんみたいな男が。せやから彼女もいない、作ろうともしない。ただただ屈強な男に抱かれたい…心のどこかでそう思っとる。違うか?」

  

  図星だ…バレてる。でも何で…

  

  俺自身それに気付いたのは、ついさっきだ。なのにこのおっちゃんは最初から俺の本性を見抜いてたって言うのか!?

  

  そんな馬鹿な…

  

  初対面で他人の本性を見抜ける人なんているわけ無いだろ。

  

  じゃあどこで気付いたって言うんだ!?

  

  勘か?いや、まさかそんなことあり得ない。

  

  だとすれば、どこかで俺がボロを出したとか。

  

  それだったら考えられる。初めて会った日から今に至るまで、男好きというボロを無意識のうちに出した。それをおっちゃんは見逃さず、俺の本性に気付いたんだとしたら…

  

  十分あり得るな。

  

  「反応………なしかい。まッ!エエわエエわ!口より体の方が正直やろ!……そら!」

  「くふッ……」

  

  おっちゃんの不意打ちに変な喘ぎ声が漏れる。

  

  急に俺のチンコを握ってくるなんて…

  

  「やっぱりな~♪こっちのがエエ反応や。」

  

  ズボン越しにでも揉み扱きだす熊の手。

  肉厚なその手に包まれ、揉まれ、玉をコロコロと転がされては、固く芯の入り始めた肉棒を優しく弄ばれていく。

  

  「…うッ………く……はぁ……ちょ……待って…」

  

  他人に触られるのなんか全く慣れておらず、有り余る快感から逃れようと腰をくねくねさせるが、どこまでも密着してくるおっちゃんの手からは逃げることができない。

  

  「ん~?何を待つんや?まずは自分に正直にならな!気持ちエエやろ?こことか。」

  

  このままでは頭がおかしくなってしまう。そう悟った俺はおっちゃんの腕へと手を伸ばし、何とか揉んでくるのを止めようとした。

  

  しかし、その瞬間おっちゃんがカウンターとでも言うように俺の鈴口をズリッと擦れさせた。

  

  「んあぁぁぁぁ!!」

  

  ズボン越しのはずなのに体はいたって正直で。

  

  快感の嵐が下腹部から全身を駆け巡る。

  

  あまりの衝撃に俺はビクンッと仰け反ってしまった。

  

  「兄ちゃん敏感やな~おっちゃんそそられるで。」

  

  力をなくしてふにゃふにゃとベッドに横たわる俺。

  

  ようやくおっちゃんの手から解放されたと思ったら、今度は何やら足元でカチャカチャと音がする。なにかと思えば、おっちゃんがズボンを脱いでいるとこだった。

  

  「ちょっと待っててな♪すぐに続きやったるから。」

  

  そう言ってさらけ出されたおっちゃんのチンポ。その凶悪なまでにドス黒く、俺のモノより一回りも二回りもデカいそれは、異様な存在感を醸し出してくる。

  

  一体どれだけの雌をその肉棒で鳴かせてきたのだろうか。

  

  今でこそ軽く芯が入ってきたぐらいだろうが、もし限界まで勃った時のことを考えると…

  

  

  

  ヤバい…あんな剛直入るわけない…

  

  

  

  そして、その剛直の下にはテニスボール級の陰嚢が二つぶら下がっていた。

  

  恐らくそこには…子供を孕ませんとするおっちゃんの種汁がたっぷたっぷと詰まっているんだろう。

  

  「さて…」

  

  ポロシャツも脱ぎ、完全に裸となったおっちゃん。

  

  ムワりと汗の臭いや獣の臭い、加えて加齢臭が入り混じった空気が鼻をつく。

  

  そんな体が俺の上へ覆い被さってくるのだから、思わず嫌悪の表情を浮かべてしまったのは不可抗力というものだ。

  

  「ぐふふふふ…臭いか!?兄ちゃん。でも安心しぃ。これが今から兄ちゃんを犯す雄の臭いや。よく嗅いどくとエエ…」

  

  下劣な笑みを浮かべながら腋を鼻に押し当ててくる。

  

  強烈な刺激臭が鼻腔を通り、肺に充満していくようだった。

  

  ゲホッゲホッと堪らず噎せてしまう俺。

  

  何とか顔を横に反らし、腋から逃れたものの…

  

  「あかんやろ!おっちゃんがエエて言うまで嗅がな!」

  

  再び鼻に腋を押し当てられ、刺激臭がまた肺を満たしていく。

  

  しかも今度は頭を押さえつけられているために逃れることができない。

  

  息を吸うたび色んな悪臭が混ざった臭いが俺の中へと取り込まれていく。

  

  そのツラさにいつしか涙がこぼれ始めていた。

  

  

  

  熊のおっちゃんはそんな俺の姿を見て興奮しているのか、さっきまで軽く芯の入っていたチンポも今では完全にいきり勃ち、天を突くようにその存在を主張してくる。

  

  今さらながら恐怖心に囚われ、俺の体は言うことを聞かない。

  

  このままじゃ俺…本当にマズいんじゃないのか?ホテルに来た時点でわかりきってたことだけど…

  

  逃げたい…今すぐにでもここから。

  

  こんなこと…望んでなかった。俺はもっと…二人でラブラブし合うのをイメージしてたのに…

  

  こんなのって…こんな…一方的だなんて…

  

  「エエ表情しとるなぁ。絶望に染まっていく時の顔や…」

  

  おっちゃんの言葉が俺の恐怖心を駆り立てる。

  

  「けど、逃がさへんで。兄ちゃんはもうおっちゃんの雌になったも同然や。しっかり体に叩き込んだるさかい…覚悟しとき。」

  

  次の瞬間、おっちゃんは俺の口へと貪るようにしゃぶりついた。

  

  その荒々しい舌さばきに翻弄される俺のマズル。

  

  一瞬気を許してほんの少し口を開いたのが間違いだった。

  

  その一瞬を逃すまいとおっちゃんの肉厚な舌が俺の中へとなだれ込んでくる。

  

  「ん"ん"ーーーッ!!!ん"ーーーッ!!」

  

  口の中で暴れまわるおっちゃん舌。

  

  歯茎をなぞったり舌を絡ませてきたり…やりたい放題だ。

  

  挙げ句、おっちゃん側からの涎がだらだら流れ込み、行き場を失ったそれは次第に量が増していく。

  

  そしてそれを飲み込むように促してくるおっちゃん。

  

  俺はあまりの苦しさで渋々「ゴクリ…」と体内に取り込んだ。

  

  何度も何度も。

  

  生臭くて苦い汁を。おっちゃんから流し込まれるたび。

  

  「ゴクリ…ゴクリ…」と。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  そのうち体に変化が起き始める。

  

  あれだけ嫌々飲み込んでいたおっちゃんの涎を、今では何の嫌悪感もなく「ゴクゴク」飲めている。

  

  さらに、生臭い、苦いと感じていた味もさほど気にならなくなり、仄かに甘味を感じる始末。

  

  体はポカポカと火照り、目の前のおっちゃんは少しぼやけて見え…

  

  「ぐふふ…めんこいのぉ兄ちゃん。すっかり雌の顔やで?」

  

  ようやく口を離された時には何もかもが遅かった。

  

  マラソンをした後のように息は荒くなり、心臓がかなりの早さで脈打っている。

  

  逃げたいという感情は希薄化され、脳が考えることを止めてしまったようだ。

  

  代わりに芽生えてきたのは、少しでも快楽を味わいたいという感情。

  

  体がどこか疼き、何か満たしてくれるものはないかと躍起になって探している。

  

  そしてそれが目の前にあるとわかると…

  

  「お…おっちゃぁん……」

  

  自分でも驚くほどの甘えた声が出てきた。

  

  どうやら雌としての俺に目覚めてしまったらしい。

  

  この目の前にいる…大柄ででっぷりと腹の出た…屈強な雄に抱かれたいと。

  

  あの獣根で…俺をおっちゃんの雌にしてほしいと。

  

  気付けば俺の方からおっちゃんにキスをしていた。

  

  首回りに腕を掛け、離れないようにマズルを重ねる。

  

  おっちゃんもこれに応えてくれて、クチャクチャと音を響かせながら舌と舌とを絡ませていく。

  

  また涎が流れ込んでくるが今となっては喜ばしいことだ。

  

  甘いミツの味が口一杯に広がり、病みつきになる。

  

  俺はもっとその蜜が欲しくて、さっきのおっちゃんに負けないくらいしゃぶりついた。

  

  「おっちゃ……んむ……はぁ……ぁん……」

  

  何でだろう…物凄い興奮する。それにもっとおっちゃんを感じていたくなる。

  

  もっと……もっとおっちゃんの体液が欲しい…もっとおっちゃんが欲しい…

  

  いつしかポカポカ火照っていた体はだらだらと汗を垂れ流し、自分だけまだ服を着ていることがバカらしくなってきた。

  

  それを察したのか、おっちゃんが一度口を離すと…

  

  「熱いんやろ?脱がしたる…」

  

  俺の服に手を掛け、脱がしにかかる。

  

  されるがまま。今の俺はその一言につきる。

  

  抵抗なんてものは皆無で、頭の中はすっかりおっちゃん一色だ。

  

  ハラりハラりと次々服を脱がされていき、あっという間におっちゃん同様全裸となった。

  

  「エエ体や…おっちゃんの見込んだ通りやな…」

  

  俺の身体を眺めたり…腹筋の凸凹を指でなぞったり…。

  

  思わず身震いしてしまったのは、おっちゃんの指使いが繊細で…尚且それに感じてしまったからだ。

  

  再び俺の上へ覆い被さってくるおっちゃん。

  

  その重さを全身で受け入れ、身体を重ね合わせる。

  

  

  ようやく…ようやくおっちゃんと一つになれる…

  

  これで…おっちゃんの雌になれる…

  

  

  そう考えただけで俺のチンポからは早くも先走りが流れ始めた。

  

  「なんや?もう感じとるんか?先はまだまだ長いで?」

  

  とか言うおっちゃんだって勃起しきったチンポから先走りが湧き水のように流れている。

  

  それを利用して兜合わせなんかしてくるから…

  

  「あぁッ!おっちゃん!ダメ、それはぁぁぁん!」

  

  喘がずにはいられなかった。

  

  お互いのチンポがぬちゃぬちゃと擦れるたび、痺れるような快楽が身体中を駆け巡る。

  

  「気持ちエエやろ!?もっと喘いでもおっちゃんは怒らんで?」

  

  荒く息を吐き出しながら、次第におっちゃんのストロークが早まっていく。

  

  それに比例して得られる快楽も増していった。

  

  徐々に理性が削られていく。ただでさえおっちゃんの唾液を何かの甘いミツと勘違いしているのに…

  

  これ以上やられたら俺の常識が全て覆されてしまう。

  

  全部が全部、おっちゃんの基準へと書き換えられてしまう。

  

  そんな気がしてなけなしの理性を何とか守ろうとするが…

  

  「ふぁッ!!!」

  

  突然凄まじい快楽に苛まれ、身体を弓なりに反らしてしまう。

  

  「ぐへへへへ……兄ちゃん乳首も弱いんやな…。エエでエエで、そのまま快楽に身を任せぇ!」

  

  その原因はおっちゃんが乳首をつねったためだった。

  

  「あうぅ…い、嫌だ!嫌だぁぁぁん!もう止めてくだッ!ふぁ…や、止めてくださいぃぃ…」

  

  クリクリと捏ねられては潰されたり、指で弾かれたり…

  

  さらにはおっちゃんのストロークが極めつけ。

  

  快楽という名の波に飲み込まれていく。

  

  「嫌だ!嫌だぁ!嫌なのにぃぃぃ!気持ちいいなんてぇぇぇ!」

  

  頭では拒絶しているはずなのに、体ではこの上ない快楽を受け入れてしまっている。

  

  嫌だけど、気持ちいいことはもっと欲しい…

  

  そんな矛盾を抱えた俺はとうとうその時を迎えてしまう。

  

  「あ、あぁ!ダメ、嫌だ!出る!出ちゃう!俺の中から出るうぅぅぅぅぅぅ!!!」

  「おっちゃんも出すで!二人でぶち撒けようや!ぐおぉぉぉぉぉぉッ!!!」

  

  おっちゃんが俺に力強く抱きついてきた瞬間。

  

  ビュルルルルッビュクッビュクッビュッ…

  

  と、二人の腹に挟まれたチンポから大量の精液を吹き出した。

  

  そのあまりの量に熱を帯びた液体が俺の腹を伝ってシーツへ落ちていく。

  

  二人分なのだから溢れると言えば当然なのかもしれない。

  

  それにおっちゃんは未だ精液を出してるし…。

  

  

  

  俺はおっちゃんにイかされた…

  

  初めて男同士でセックスした…

  

  こんな中年丸出しのおっちゃんなんかと…

  

  でもそれが気持ちよかった…

  

  

  そんな事実が俺の中の何かをメチャクチャにする。

  

  辛うじて保っていた理性でさえ、どこかへ放り投げてしまうほどに。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  「いっぱい出したなぁ兄ちゃん。おっちゃんの精液と混ざっとるで。」

  

  腹の上に残っている二人分の精液を、おっちゃんは指でぐるぐるかき混ぜていく。

  

  そうして作り上げたドロドロの液体を掬い、秘部を晒すように足を開かされたと思えば…

  

  「んあ"ぁぁぁッ!!」

  

  俺のアナルへと精液付きの指が挿入された。

  

  にちゃにちゃと開発されていくケツ穴。

  

  その指使いは最初こそ優しかったものの、次第に中と外の抜き差しが激しくなり…

  

  「や"、や"ら"ぁぁぁ!!あ"ぁぁぁぁぁッ!!」

  

  ジュッポジュッポとテンポの良いリズムに変わっていく。

  

  ただでさえ排泄にしか使われたことない秘部が、おっちゃんの指二本で悲鳴をあげてるというのに…

  

  おっちゃんは徐々にその数を増やしていった。

  

  「良い鳴き声やなぁ。指二本じゃ足りんやろ、次は三本や。ほれ、頑張れ頑張れ!」

  

  「あ"ぁ!あ"ぁぁ!!」と喘ぐことしかできない苦痛に、開発されていく激痛。

  

  いくらその痛みから逃れようとしても、おっちゃんがそれを許さない。

  

  屈強な身体を使って抑えにかかってくる。もがいてももがいてもびくともしない。

  

  俺はひたすら開発に耐え抜くしかなかった。

  

  涙はとっくの昔に渇れている。その代わりに出てくるのは口の端から漏れだす涎ばかりだ。

  

  

  

  

  それもそのはず。

  

  広く広くと開発されていた尻穴がおっちゃんの指を四本飲み込んだ時点で、前立腺を擽るような指使いに変わったのだから。

  

  「あ、あぁぁぁあひぃ…」

  

  さっきまでの激痛が嘘のように和らいでいった。

  

  ピリピリと再び快感が芽生え始める。

  

  一発目の射精で萎えていた俺のチンポも、むくむくと元気を取り戻していった。

  

  「どうや?開発される気分は?気持ちエエか?」

  「はひぃぃぃ…あぁ…ひぃ…気持ち…ひぃです…」

  

  執拗に前立腺を擦られ…弄られ…

  

  快感で呂律も回らなくなり、頭が真っ白になりかけた瞬間。

  

  

  ジュポッ……

  

  

  おっちゃんの手が尻穴から抜け出した。

  

  前立腺を弄られていたせいで快感がまだ身体に染み付いている。

  

  そのため、凄まじい喪失感に襲われた。

  

  「ダメぇ抜かないれぇ…」

  

  開発されきった俺の穴は指の代わりに何か埋めるものがないかとヒクヒク拡張と収縮を繰り返す。

  

  尻の中でにちゃにちゃ動いていた指が恋しくて堪らない。

  

  また前立腺を弄ってほしい…

  俺のケツマンを開発してほしい…

  

  そんな衝動に当てられ、物欲しげな目で俺は訴えた。

  

  「もっとお尻ぐちゃぐちゃしてぇ…もっと気持ちよくしてぇ…」

  

  その言葉を待っていたかのようにおっちゃんの口端が大きく裂け、ずらっと並んだ歯を見せつけながら下劣な笑みを浮かべる。

  

  「ぐふふ……エエよ。兄ちゃんも随分と素直になったなぁ。おっちゃん嬉しくてチンポから涙が止まらんわ…」

  

  ついさっきイったばかりのおっちゃんチンポが再び天を突きそそりたっている。

  

  鈴口からは先走りがだらだら漏れ、粘りを帯びては垂れていった。

  

  ねっちょりと腸液の滴る俺のマンコにおっちゃんのおぞましい獣根が狙いを定める。

  

  その先端がピトリ…と穴に触れた瞬間…

  

  「き、来たぁ……」

  「兄ちゃんのマンコも歓迎してくれとるみたいやね…」

  

  おっちゃんのチンポを飲み込まんと、吸い付くように俺のマンコがしゃぶりついた。

  

  「あ、あぁ、あひぃ……もっと…もっと奥まで来てぇ……」

  

  にっちゃにっちゃと吸引し、おっちゃんの獣根を体内へ取り込もうとする。

  

  しかし、いくら穴をヒクつかせてもなかなか体内へ入って来てくれない。

  

  「せっかく入りかけてるのに…なんで…?」そう思い、顔を上げてみると…

  

  「飲み込むにはまだ早いやろ?」

  

  おっちゃんはチンポの先端こそ穴にあてがっているものの、それ以上中へ入れようとはしていなかった。

  

  これじゃあ生殺しみたいなもんじゃないか!

  

  俺はチンポが深く刺さるよう腰をおっちゃんに近づけようとした。

  

  しかし、その腰でさえおっちゃんに掴まれているため動かすことができない。

  

  「いやらぁ!もっと…奥まれ入れてよぉ…」

  

  必死の懇願におっちゃんは含み笑いを浮かべてこう答える。

  

  「せやなぁ…。兄ちゃんが『一生おっちゃんのモノになる』言うたら考えたってもエエで?」

  「ふぇ?」

  「毎日、朝から晩まで。おっちゃんのために精を尽くす。言わば兄ちゃんは性奴隷やな。んでおっちゃんはご主人様や。どうや?全ては兄ちゃん次第やで?」

  

  おっちゃんのモノになる……?

  

  おっちゃんのために精を尽くす……?

  

  おっちゃんは俺のご主人様……?

  

  

  「全ては俺次第…」それが決定打となった。

  

  

  おっちゃんのモノにならないと、快楽を与えてもらえない。

  

  おっちゃんのために精を尽くさないと、チンポを恵んでもらえない。

  

  今後の人生がどうなろうと知ったこっちゃない。今目の前にある快楽が最優先だ。

  

  おっちゃんこそがご主人様で、俺の全てなんだ!

  

  「なりましゅ!なりましゅ!おっちゃんの奴隷にらって何らって…」

  「言うたな?二言はないで?」

  「はひぃ……」

  「よし、なら早速言うてみ!おっちゃんは兄ちゃんの何や!?」

  「はひ、おっちゃんは俺のご主人様れしゅ…」

  

  その言葉を聞き届け、頭を撫で撫でされる。

  

  「エエ子や。そんなエエ子にはご褒美をあげんとなぁ。ほれっ!!」

  「んひゃぁぁぁぁ!!来たぁぁぁぁぁ!!」

  

  ズリュリュッ!と今まで飲み込もうとしても飲み込めなかったおっちゃんのチンポがついに体内へ侵入してきた。

  

  「お"ほぉぉぉぉぉぉグリグリくりゅぅぅぅ!!」

  

  直腸の内壁を押し広げながら、奥へ奥へと入ってくる。

  

  その太さや長さには歓喜せざるを得ない。

  

  さらにはチンポが持つ熱量に嫌でも繋がったことを実感させられる。

  

  「ぐひひひひひ……エエわぁエエわぁ…兄ちゃんの中最高やんか。締め付け具合も文句なしの満点や!これは立派な名器になるでぇ!」

  

  歓喜しているのは俺だけじゃなかったらしい。

  

  おっちゃんも今まで見たことないくらい嬉しそうだ。

  

  ご主人様に喜んでもらえることほど奴隷の喜びはない。

  

  俺はさらにマンコをヒクつかせた。

  

  

  

  そのうちズチュッ……という音と共に、臀部に何かが当たる感触が。

  

  

  

  どうやらおっちゃんのチンポを根元まで飲み込んだらしい。

  

  今、俺とおっちゃんは完全に繋がった。

  

  体の中でチンポが脈打つのがわかる。

  

  それだけでおっちゃんの子を孕んだ気分になれた。

  

  「ふへぇ…ふへへ…チンポが…俺の中に…」

  「どうや…おっちゃんのチンポは。ぶっとい上に奥まで当たって気持ちエエやろ?」

  「はひ……気持ちいいれしゅ…」

  

  「せやろ、せやろ」とでも言いたげな表情を浮かべるおっちゃん。

  

  ご自慢の名刀は確かに俺という鞘に納まり、中で先走りを注いでいる。

  

  「さて…」

  

  チンポを刺したままおっちゃんが俺に覆い被さってくる。

  

  「そろそろおっちゃんの子供を孕んでもらおうか?」

  

  すっかり茹で上がった俺の耳元でおっちゃんが静かに囁いた。

  

  かと思えば根元まで飲み込んでいたチンポをズリズリ抜いていく。

  

  「あぁ!らめぇ!抜かないれぇ!!」

  

  慌てて肛門に力を入れるも、おっちゃんの愛液と俺の腸液が混ざり合った液体のせいで阻止することができない。

  

  「はあ!あぁ!ら、らめ…」

  「安心しぃ…全部は抜かん。けど、これから激しくなるで。」

  

  言い終わるや否や、全部が抜けきるギリギリのところでおっちゃんはチンポを止めた。

  

  そして…

  

  

  ズッッッチュ!!!

  

  

  「んあ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

  

  再び一気に根元まで突き入れた。

  

  あまりの衝撃に目から火花が飛び散る。

  

  続けておっちゃんはストロークを繰り返した。

  

  チンポが内に沈むたび、全身がビクンビクンと跳ねそうになる。

  

  それでも跳ねないのは、おっちゃんという錘が俺の上に覆い被さってるからだろう。

  

  「あ"ぁッ!!ひぃッ!!しゅ、しゅごいッ!!激しいぃッ!!お"ぉぉぉぉぉッ!!」

  

  快感を貪るようなおっちゃんの荒々しい腰使い。

  

  「自分だけ気持ち良くなればそれでいい…」そんな風にも取れなくはない。

  

  しかし、確かに俺も快楽を感じていた。

  

  「ハァ…ハァ…くっ…うッ…」

  

  おっちゃんの口から荒い息が漏れる。

  

  端から見れば野生のケダモノがするような交尾だろう。

  

  一方的におっちゃんがチンポを抜き刺しし、俺は快楽を感じつつも種付けされる。

  

  「あぁ…ふぁ…お、おっちゃぁん!!おっちゃぁぁん!!」

  「ハァ…ハァ…フーッ…くッ…」

  

  俺はおっちゃんの背中へと腕を回し、力強く抱き寄せる。

  

  脂肪の乗った腹と俺のチンコが擦れるが、それもまた…今となっては快感でしかない。

  

  穴を攻められ、チンポは挟まれ…

  

  頭は快楽で埋め尽くされていった。

  

  ジュプジュプと結合部から音が聞こえ、脳を犯していく。

  

  気付けば前後するおっちゃんの動きに合わせ、俺まで腰を振っていた。

  

  奥へ……もっと奥へと貫いてもらうために。

  おっちゃんの種汁を深奥で注いでもらうために。

  

  そんな考えが過った頃。

  

  さっきまでの激しいストロークが、一旦滑らかな動きに変わっていくと…

  

  「はぁ…はぁ…兄ちゃん…そろそろ出すで。うっ…く…ちゃんと…孕むんやぞ!」

  

  おっちゃんのチンコが今一度、穴のギリギリまで引き抜かれる。そして…

  

  

  

  

  ズブリッ!!!

  

  

  

  

  「あ"ぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

  「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

  

  弾けるような電撃が全身を駆け巡り、体を反らせて快感へと変わっていく。

  

  前立腺を強く刺激され、俺のチンポからはビュルビュルと二発目の白濁液が漏れだした。

  

  「お"お"ぉぉぉぉぉぉぉ!!止まらんんんんん!!」

  

  深々と奥まで挿入されたおっちゃんのチンポ。

  

  一発目の射精に負けないくらい大量の精液がゴポゴポ注がれる。

  

  熱くたぎる溶岩のような白濁が直腸内を満たし、逃げ場のない精液が体内を逆流していった。

  

  「あ、熱いの…たくさん入ってくりゅ!おっちゃんの精液…たくさん入ってくりゅぅ!!」

  「がぁぁぁぁぁぁぁッ!!!兄ちゃんッ!!好きやぁぁぁぁぁッ!!!」

  

  止まることを知らないおっちゃんの種汁は、俺の腹を身籠ったように膨らませていった。

  

  

  もう……何も考えられない…

  おっちゃん以外……何もいらない…

  

  

  頭が真っ白になり、意識がぼんやりする。

  次第に目の前が暗くなっていくが、イった後の余韻と疲労では抵抗する気力もなく、そのまま暗闇に身を任せていった。

  

  

  

  ーーー

  

  

  

  翌朝、俺はおっちゃんの胸の中で目を覚ました。

  

  プニプニと脂肪の乗った腹が俺の腹に当たり、被毛のゴワゴワと胸筋の弾力でなんと心地が良いものか…

  

  まるで熊のぬいぐるみに抱かれているようで、ついつい抱き返したくなってしまう。

  

  「お!起きたか兄ちゃん…」

  「おはよう…ございます…おっちゃん…」

  「そこはご主人様て言うて欲しかったなぁ……」

  

  そうだった…

  

  今となってはこの熊のおっちゃんが俺の全てだった。

  

  「ご、ご主人さま…」と言いかけて、おっちゃんが俺を強く抱き寄せる。

  

  「まぁ、無理して言わせるのも野暮やな。『おっちゃん』のままでエエよ。」

  

  自然と顔が近付いてくることに、何の嫌悪感も感じなかった。

  

  マズルとマズルが重なり、おっちゃんが舌を入れてくる。

  

  ヌチャヌチャと唾液を絡ませては貪るようなキスをした。

  

  

  あぁ…マズいな…朝からこんな甘いミツが飲めるなんて…

  おっちゃんの元から離れられなくなるじゃないか…

  

  

  顔の筋肉が弛緩して蕩けた笑みを浮かべる俺。

  

  そんな表情を見て下劣な笑みを浮かべるおっちゃん。

  

  次第に心臓が高鳴っていき、再び身体を重ねるのにはそう時間は掛からなかった。

  

  「何十人でも何百人でも孕ませたるさかいなぁ…兄ちゃんは一生おっちゃんのモノやでぇ…ぐへへ」

  

  俺の身体におっちゃんの腕が絡み付く。「絶対逃がしたりするものか…」とでも言いたげに。

  

  何の抵抗もすることなく、俺もおっちゃんの身体へ腕を回す。

  

  

  まさぐってくるおっちゃんの手が擽ったい。

  

  擦れる体が愛しく心地好い。

  

  もっと……もっと身も心もおっちゃんと一つになりたい。

  

  

  俺は触れないところがないくらい、おっちゃんにギュッとしがみついた。

  

  「一生…おっちゃんに付いていきます…」という誓いの言葉と共に。

  

  こうして俺の心と体はおっちゃんに支配され、雌としての新しい道を歩んでいくことになる。

  

  

  

  

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