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「ぅ"ぅ"っ…グゥ"ゥ"ゥ"ッ…」
月光の下、響く唸り声は苦痛に満ちた男の声か、それとも歓喜に打ち震える獣の声か。
男は自分の顔を押さえながら。しかし抗いきれない衝動に駆られ、空を見上げる。
指の隙間から目に飛び込むのは雲に隠れた月。雲は徐々に散っていく。
「ォ"ォ"ッ…!」
雲が晴れると、満天の星空にぽっかりと浮かぶ満月。
煌めき、どこか妖しく、そして見るものの心を掻き乱す美しさ。
男は目を見開くとびくんっ、と一度全身を震わせた。
腰まで伸びた豪奢な髪の毛が揺れる。
男はだらり、と両手を垂らすとフゥゥゥゥ…と熱く荒い吐息を漏らした。
身につけている拳法着は動きを阻害しないよう男の体を覆っている。
…びしり、と繊維の悲鳴。
「ォ"ォ"ォ"ッ…!」
それを合図に、男は背筋を反らせるとわずかに頬を釣り上げた。
びしりびしりと断続的に響く、繊維の悲鳴。
戦いで傷付かぬよう頑丈に造られた拳法着は。
ばぢぃっ!
内側からの膨張に耐えきれず、轟音と共に弾け飛んだ。
鍛え抜かれた男の肉体は美しい。しかし今は、その美しさに禍々しさと悍ましさを入り混じらせていた。
歪な音を立てながら肩が、背中が、腕が、胸が、腹が、太腿が。
誇張表現でもなく。膨張していく。
限界まで張り詰めた皮膚が、拳法着と同じように裂ける。裂けた皮膚の代わりに肉体から飛び出すのは獣毛。
骨が歪み、軋み、形成される。
両手の先端から鉄すら切り裂く鋭さの爪が伸びて。
臀部から飛び出すのは立派な尻尾。
「ォ"ォ"ォ"ッ!!」
男は声を上げると先程よりも大きく背筋を仰け反らせた。その声に混ざるのは快楽。
髪の毛が獣毛にすっかり埋もれていくと、男は。
「アォォォォォンッ!!!」
吼えた。
それは到底人が上げられる声では無かった。
頭蓋から耳を塞ぎたくなるような音が鳴り響くと同時に、変形を始めた。
上下の顎が同時に迫り出して。マズルが形成させると、ずらりと並ぶ、鋭く頑強な牙。
後方へと引き伸ばされていく頭蓋に、耳が引き摺り出されていく。
引き摺り出された耳は人の持つものではない、三角形の耳へと変貌する。
「ハァァッ…ハァァァァッ…!!」
男は-狼男は。
…ガロンは。
望む、望まないに関わらず。全身から満ち溢れる獣の力と、肉体が変貌する快楽と。
内に潜む『化物』に対する嫌悪感と。どうすることも出来ない無力感を。
「アォォォォォンッ!!!」
ないまぜにした感情をぶちまけるように吼えた。
熱い。熱い。熱い。
何度吼えようと、地面を打ち砕こうとも。
熱がおさまらない。むしろ熱は高まり、ガロンの理性を少しずつ剥ぎ取っていく。
月から逃げるように。衝動のまま突き動かされるように。
ガロンは四つ足で月の下を駆け抜けた。
すれ違う『化物』達を屠る。
磨り潰し、捩じ切り、切り裂き、噛み砕く。
青い血液と紅い血液が混ざり合い、ガロンの毛並みはべっとりと汚れた。
熱く、生臭い。爪から、牙から感じた肉の感触は、ガロンに快楽と嫌悪感を。
そして更にガロン自身の衝動を強めるばかりだ。
ぐつぐつと全身の血液が煮えたぎる。
喰らえ、壊せ、殺せ!
ガロンの中の『化物』の声が、ガロンの脳内を満たす。
ぎりっ、と牙を食い縛り。ガロンは。
「うるっ…せぇぇぇぇ”っ!!!」
地面を蹴り、空へと飛びあがる。そして声を上げると地面へ両手を叩きつけた。
クレーターが出来る。砕けた岩が飛び散る。亀裂が走り、もうもうと煙が上がる。
「ゥ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ンッ!!!」
ガロンは月に向かい吼えた。
獣に堕ちる。それは恐らく、とても心地よい事だろう。
だが。だがしかし。ガロンは拒絶する。
自分は人である。それ以上でもそれ以下でもない。誰の為でも無い。
ただ、この声に屈する事を、自分自身が望んではいない。
この声に。衝動に。決して。屈してたまるものか。
ガロンは月を睨みつけると中指をたてた。
抑えがたい獣の、『化物』の衝動はすぅ、と引いていく。
しかし。
「ゥゥゥッ…」
ガロンは膝を突くと舌をだらりと垂らし、胸を押さえた。
熱い。全身が熱い。胸が熱い。腰が熱い。
『化物』の衝動が引いても。それに引きずり出された雄としての衝動は、どうしようもない。
だらだらと唾液が溢れ出す。飲み込んでも飲み込んでも。飲み込みきれず唾液がぽたぽたと落ちて。
一糸まとわぬ姿となったガロンの股の間へ。
ムクムクと股間から姿を見せ始めたペニスを濡らしていく。
「ゥゥゥゥゥッ…」
ガロンは唸り声を上げると目を瞑り、深呼吸を繰り返す。
心を落ち着けようとするその行為は逆効果。敏感な狼の鼻は、雄の欲望の臭いをより強く嗅ぎ取ってしまう。
びくんっ、と腰が震え。存在に気が付いてしまったペニスが跳ねた。
空気に触れる。風が流れる。たったそれだけの刺激でペニスはどんどんと膨らみ…あっという間にガロンの腹や胸の下側を叩くまでにそそり立った。
その感覚にガロンは身悶えしながら諦めた様に目を開いた。
人の逸物とは異なる形状のペニス。
スラリと伸びた先端。太く長い竿部分はガロン自身の上腕と大差ないサイズ。根元の亀頭球は存在感をありありと示している。
毛並みと異なり綺麗な肉の色をしており…唾液によって濡れ、てらてらと妖しくぬめって。
「…ゥゥゥゥッ…」
ガロンは先程までの勇壮で獰猛な遠吠えをすっかり潜ませ、眉をしかめ小さく唸ると辺りをきょろきょろと見渡した。
全身の感覚を研ぎ澄まし、耳を立て、鼻を鳴らす。
周囲に生き物の気配は無い。人も、獣も、化物もいない。いないはず。
…ガロンははぁっ、と熱く息を漏らすと膝を突いたまま片手をペニスに沿わせた。
肉がみっちりと詰まった指が触れる。爪先が竿部分をなぞっていくとその危うい心地よさにガロンはびくびく、と小刻みに震えた。
唾液の溢れる量が増して。ペニスの先端から先走りが零れる。
それらは混ざると淫猥な獣の香りを放ち、ガロンの背中に稲妻を走らせた。
ごくりと喉を鳴らし、ガロンはゆっくりと手を動かし始める。
粘液が擦れ、泡立つ。肉が扱き上げられる。月明かりに照らされ、風にさらされ。
「ンォォォッ…ォォッ…」
ガロンはぶるぶると小刻みに震えながら目を細めた。口角が自然と上がり、尻尾がゆらゆらと揺れる。
片手でペニスを扱き、もう片方の手でパンパンに膨らんだ胸を揉みしだく。
足先を地面に突き立て、太腿を突っ張らせる。
ゆっくりだった手の動きが少しずつ加速していく。
泡立った粘液が潤滑油の代わりとなり、スムーズに肉の塊を扱き上げる。
それは人の状態では得るものをもっと大きくしたような、そんな快楽。
胸に指を食い込ませる。少し強めに反発する胸に、更に強く食い込ませる。
「んぉ”っ、ォ”ォ”ッ…」
ガロンの声に、艶っぽさが混じり始める。快楽に酩酊しているのか、尻尾はやはり、大きくゆらゆらと揺れて。
ぐちゅぐちゅと水の音。唸り声。垂れる唾液に肉体に与えられる快楽。
胸を揉みしだいていると自然と乳首に爪先が触れる。
少しずつ膨らみ始めた乳首をかりかりと爪先で刺激を加えると。
「んぉ”っ、ぉ”っ、ォ”ォ”ッ…♥」
ガロンは艶っぽい―紛れもない嬌声を上げた。
快楽に伴い、どぷどぷと鈴口から多量の先走りが溢れ出す。
その先走りが手を濡らし、手の動きをよりスムーズに。大きく、激しくさせていく。
肉の竿を扱く事で得られる快楽はどんどんと大きくなり、より一層激しくガロンは。
「ぉ”ぉ”っ、ォ”ォ”ッ♥ォ”ッ、ォ”ォ”ッ♥」
強制を上げながら乳首を責め立て。ペニスを一心不乱に扱き、背筋を仰け反らせる。
頭がぼんやりとする。快楽に全身の震えが止まらず、目が自然と上を向いて。
腰の奥にマグマ溜りが出来ている錯覚。熱い。情欲が迸り、解放される時を待ち侘びている。
亀頭球がムクムクと膨らみ。せり上がる。
「ンォ”ォ”ッ、ォ”ォ”ッ♥ォ”ッ、ォ”ッ♥」
絶頂の瞬間が近い。いや、引き寄せている。これ以上は耐えられない。
射精したい。射精したい。ただそれだけがガロンのぼんやりとした頭を支配した。
乳首を一気に摘まみ上げ、引っ張る。そしてペニスを全力で一気に扱き上げる。
「ンォ”ォ”ォ”ッ♥ォ”ォ”ッ、ォ”ォ”ッ…」
来る。あの瞬間が、来る。待ち侘びた、浅ましくも求めてしまった感覚。
マグマがペニスの根元に押し寄せて。ぱっくりと鈴口が開き。
「ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ォ”ッ♥♥」
…ぶっ、ぶびゅるぅぅっ♥ぶびゅっ、ぶびゅびゅぶびゅるぅっ♥ぶびゅっ、ぶびゅっ、ぶびゅびゅぶぼぶびゅるぅっ♥
ガロンは遠吠えを上げると腰をガクガクと揺さぶり、ペニスから大量の白濁液を迸らせた。
亀頭球が膨らみ、せり上がる。びぐんっ、びぐんっ、と暴れまわり、ガロンの全身を白く、卑猥に汚して。
射精している間にもガロンはペニスを扱く。
絶頂に達し、敏感になったペニスを扱くのは、どうしようもない快楽。
鼻も口も白濁液によって汚され、どくんどくんと心臓が脈打つ。
数分に及ぶ射精。それはガロンの目の前に精液溜りを作り、そしてガロン自身もべっとりと汚れ、濡らした。
罪悪感と嫌悪感。そしてそこから来る背徳の快楽にガロンはうっとりとした表情を浮かべ…ぺろりと精液を舐めとった。
一度の射精では終わらず。射精の余韻に浸りながらもガロンは、未だにいきり立つペニスを再び扱き始めた。
月明かりの下、狼男の孤独な宴は終わらない。
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