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未開の地。人の手が及ばず、及ぼす事も出来ないそこは神秘に満ちている。
何があり、何が無く。どんな生き物が存在し、日々を過ごしているのか。見えないからこそ、人はその地を開拓していく。
分かり合える生物がいれば、互いに利に繋がる事も出来るだろう。もし分かり合えないのであれば、互いに、迂闊に足を踏み入れないよう、警戒する事も出来る。
もしかしたら起こりえる悲劇を、あらかじめ防ぐ事だってできる。
神秘の地。それをいち早く見ようと。人の益になろうと。研究をしているのが…
「…ふぅ、あっついなぁ。」
…未開の地を歩いているとは思えないほどのんびりした口調で、ふくよかな体系をした鰐はそう呟いた。
身に着けている衣服は動きやすさと機能性を重視した、深い緑色の所謂探検服ーサファリジャケットに、ズボン。そして必要最低限の荷物が入ったバッグ。
深い森を抜けて、視界が開けた場所。久しぶりの太陽。鰐はため息を吐くと手近な地面に腰かけると木にもたれかかる。そしてバッグから地図を取り出し、首からかけている方位磁石を確認した。
自分の進んできたであろう道を確認し、ルートを赤いペンでなぞっていく。
そこまで複雑な道を歩いてはいない。というより、獣道よりも整備された―とはいえやはり歩きづらい―道を歩いていたお陰でそこまで苦労せず…かなりの距離を歩けた。
ふくよかでたぷたぷとした脂肪に包まれてはいるが…フィールドワークは体力を使う。動くのは得意なのだ。
「ここまで歩いて何もなし。…途中に資源になりそうな鉱石はあったけどそれだけ、かぁ。」
ぽりぽりと首元を掻きながらむむむ、と眉をしかめる。
彼が探索しているのは、長い事閉ざされた森。その奥地だ。近頃地殻変動が活発に起こった影響で、今まで通ることの出来なかった森に隙間が出来てしまい…それぞれの場所で住んでいる人々が互いに迷い込んでしまう、という事件が発生している。
今の所事無きを得ているが…このまま放置しておくには少々危険だ、ということで探索を開始。そしてその先駆者として彼がいの一番に名乗り出た。そしてこうして一人、探索をしているのだ。
余り大勢で探索を始めては未開の地の住人―相手からしたらこちらの未開の地の住人である―が警戒してしまうだろう。そうしないための対策である。
少々危険ではあるが…森は静かなものだった。魔物もおらず、穏やかな動物たちが数多く住んでいた。
地図をしまうと水筒を取り出し、ぐびりと一口。喉を潤す。
ちゅん、ちゅん、と鳥の声。さわさわと風の音。きらきらと太陽の煌めき。自分達が住んでいる場所とあまり変わらないそこは、とても心が安らぐ様だ。
ともすれば眠ってしまいそうなほど穏やか。未開の地に一人でいる事を忘れてしまいそうだ。ふぅぅぅぅ、と深く深くため息を吐いて。
鰐はかくかくと首を揺らした。
安堵と疲れから酷く眠気が湧きたってきたのだ。いかん。なんとか目を擦り、くわぁ、と大きく欠伸をして。鰐は首を振り立ち上がった。
そしてまた歩き始める。
開けた視界は暫く続く。川の流れる音。木漏れ日。あぁ、暖かい。ぽかぽかと体が暖まってきた。
ともすれば鼻息を歌ってしまいそうなほどの陽気に。鰐は気を緩め。歩き続ける。
水の匂い。清浄な、心を落ち着けるような。きらきらと眩しい。太陽の煌めきが、二倍になったような。広がった。
前に軽く塞がった草木をがさっ、とかき分けて。湖ーというには少々小さい。滝つぼだ。そこに居たのは。
「…っ…」
鰐は目の前の滝つぼ。そこに居る…一匹、いや、一人の雄に目を奪われた。
銀色に輝く毛並みは水を浴び、ぺっとりと皮膚に張り付き。毛並みの薄い胸や腹。鰐とは大きく違い、ごつごつとした、そして鍛え上げられているであろう筋肉に覆われ。
びっしりと刺青。ふてぶてしい剛直は萎え、膝にまで届くほどの巨大さ。三角形の耳には無数のリング。そして目を引くのは…額に生える、一本の大きな角。
そんな狼が、そこに唐突に現れたのだから。
思わぬ裸体。かぁ、と顔を赤くし、鰐はごくりとつばを飲み込んだ。
目を瞑り、心地よさそうに水を浴びていた狼はやがてゆっくりと目を開き―そこでようやく、鰐の存在に気が付いた。
金色の瞳が鰐を捕らえた。…その瞳の色が変わる。困惑。懐疑。そして。
「~~~~~~っ!!!!!!」
狼は顔を羞恥に歪めると鰐の理解できない言語で悲鳴を上げた。
鰐はそこでようやく我を取り戻す。水浴びをしていた狼のあまりの美しさに状況すら忘れて見入ってしまったのだ。
やがて狼の悲鳴を聞きつけたように…雄が駆けつける。虎、牛、獅子、豹、猪。全員が狼の様に筋骨隆々。そして額に一本、もしくは二本の角を持っており…恐らくそういう種族なのだろう。
あっという間に鰐は…彼らの手に捕らえられてしまった。
[newpage]
荷物を取り上げられ、縄で縛られ。しかし抵抗しなかった事から乱暴される事も無く、鰐は彼らの集落へ連れていかれ…即座に洞窟の牢に入れられた。
鰐は当然文句も言えない。というか、むしろ生かしてもらっているだけマシだろう。
はぁぁぁ、と深いため息を吐く。牢屋の中は清潔に保たれているとはいえ密閉されており、酷く蒸し暑い。
荷物の中には凶器になりそうなものを入れておらず、書物や食料しか入っていない事は幸いだっただろう。
これから自分がどうなるのか少々不安になっていると…先程の狼が、顔を赤くしながら牢屋の前に現れる。
「あっ、さっきの…」
「~~~、~~~?」
何かを訪ねようとしているのは分かる。しかしその言葉が理解できない。少々早口になっているのも合わさっているのだろう。
頭の中にある辞書を必死に開き、今言われた言葉を分析してみる。ゆっくり、単語一つ一つに分解して…ぴん、と鰐は思い当たるものを見つけた。
この言語は共用語ではない。だが幸運な事に、研究の際に使うかもしれない、と少々齧った事のある言語だった。
『ゆっくり、話して。お願い』
鰐はたどたどしい口調で単語を思い出しながら話した。伝わるか正直不安だったが…意志は通じたようで狼はこくりと頷くとゆっくり、単語を並べてくれた。どうやら厳つい見た目に反して友好的な種族ではあるらしい。
『何故、貴方、あそこに居た?』
『研究する。そのために。来た。覗いた。すみません。』
身振り手振り、そして思いつく単語で謝罪を述べると…狼は少々怪訝そうな顔を浮かべる。
いきなり現れた自分達と違う種族。それがいきなり研究をする、と言えばそれはまぁ危険なものでは、と思われるだろう。
「えと、んっと…『傷、つけない。争い、しない。そのため。』」
『…嘘、吐くなよ。危害を加えるなら…』
ぎろりと睨みつけられ、鰐は急ぎ少々大きな声を上げた。
『つ、吐かない!まだ、死にたくない!』
鰐の必死な様子に狼はまだ少々懐疑的な瞳を向けるが…ふむ、と腕を組み頷いた。
『…信じる。けど…覗き、恥ずかしかった。』
どうやら見た目の豪快さとは裏腹に純朴で、随分と恥ずかしがり屋のようである。ピコピコと耳を動かす姿はどこか愛らしく。そんな事を考えていたら…狼は牢の鍵を開けてくれた。
『出る。縄、つけたままだけど。いいか?』
『はい。もちろん。』
鰐は牢から外へと解放された。集落からは少々離れており、景色の全貌は見えない。だが森の奥から更に世界は広がっていた、ということだけは分かる。
『ついてくる。』
狼はてくてくと歩き始め…そして鰐はそれについていく事にした。
集落に近付くにつれ、人が増え始める。全員が大小、数は違えど額に角を生やし…そして逞しい肉付きだ。
じろじろと好奇の目で見られながら…鰐はしかし集落を見渡した。
畑に、家。作りは少々違っているものの…文明自体はとてつもなく遅れている訳でもなく、進み過ぎている訳でも無い。火も使っているし、水は井戸からくみ上げている。
自分達より若干遅れている程度だろう。少なくともここを見れば、の話ではあるが。
と。
『着いた。俺の家。入れ。』
促されるまま、鰐はとある一つのーその集落では大きな、家に入ることになった。
家の中は至ってシンプル。恐らく寝床にしているであろう場所に布と藁。
壁には獣のなめした革。そして一人の雄が両腕を組み座り込んでいた。おそらく狼の家族だろう。
よく似ている。立派な一本角。かなりの年なのだろう、眉毛は長く伸び、その瞳を覆い隠しているようにすら見える。
高貴で、勇ましい。その姿に鰐はごくっ、と唾を飲み込んだ。
「~~~、~~~。」
狼は膝をつくと頭を下げ、老齢の狼に何事かを告げた。
恐らく「父上、連れてきました」…みたいなところだろうか。
『そうか、下がれ。』
凛とした声。狼は頷き、部屋を出ていく。その姿を見つめ、見えなくなると…
老齢の狼ははぁ、とため息を吐いた。そして。
「…こちらの言葉の方が分かりがいいか?探検家殿。」
凛とした声に優しさを混ぜ、老齢の狼はにこりと微笑むと…鰐の知りえる、よく使う言語で話しかけてきたのだ。
「えっ、あっ、そのっ、はい!」
余りにも突然で。意外で。鰐はしどろもどろになりながら返事を何とか返す。
ほっほっほ、と笑うと鰐に座るようジェスチャーをする老齢の狼。
「なんでワシがそちらの言葉を話しているか、不思議そうじゃの。まぁその前にお主の話を聞かせておくれ?こちらの世界に来た理由を、な。」
かくかくしかじか。
「なるほど。世界が、のう。やけに大きい地震の後に角無しが来るから何事かと思ったが…」
感心したように、しかし困ったようにむむむ、と眉を寄せながら老齢の狼は唸る。
どうやらこちらの話は通じて、信じてくれたようである。
鰐は内心ほっ、と安堵のため息を吐きながら肩を撫で下ろした。
「そう言うことならまずはワシとお主で情報の共有をした方がいいじゃろう。…はっきりと互いに安全である、と分かるまでは干渉しあわんほうがいいのう。」
「そう、ですね。」
鰐は硬く表情を引き締め、こくりと頷いた。
下手な行動は、悲劇を生みかねない。今自分は、そこにいる、と改めて認識したのだ。
そんな鰐の表情を見てか、それとも彼自身気になっていたのか。
「そうだ。いくつか他にも質問があってのう。」
「な、なんでしょう。答えられる範囲で…」
差し出された液体に口をつけながら―あ、甘くて美味しいと思いながら―鰐は硬く頷く。
老齢の狼は、にやり、と笑い。冗談めかしながら。
「家の息子の裸体を見たそうじゃないか。一言でどうだったんじゃ?」
ブフゥッ!!!
まるで噴水のように鰐は口からその液体を噴き出した。老齢の狼にかからないよう横を向けたのは奇跡に等しいかもしれない。
「どっ、どうって言われましても!!?!?!?」
「いやぁ、家の息子、お主に覗かれたのが相当恥ずかしかったみたいでのう。…家に来い、と言った時も顔を真っ赤にしてピコピコ耳を動かしてたからのう。久しぶりにあんな初心な表情を見たもんで。」
あの厳つい顔で耳をピコピコ…想像するとちょっと和んだ。
だけどまぁ、ここは正直に話した方がいいだろう。
鰐は顔を赤くし…
「その…とても、美しかったです。逞しくて、立派で、自分とは大違いで…角も、勇ましくて…」
顔を真っ赤にし、何とか紡ぎだされる鰐の言葉を聴くと、老齢の狼はほっほっほ、とまた笑った。
「だ、そうだ。良かったな。」
誰かに投げかけるような言葉。振り向けばそこには…
顔を真っ赤にし、尻尾を激しくバタつかせながら耳を動かす…狼の姿。
「えっ、あっ、え?こ、言葉は…」
「…少し、分かる。騙した、すまない。その…あ、ありがとう…」
[newpage]
夜も更けた。
一日歩き回っていたせいだろう、酷く眠い。鰐は大きな口を開けて何度も欠伸をしていた。
月明かりと簡易的な灯りの中で今日あった出来事を一つ一つ書き連ねていく。
あの後、村の中を案内された。やはり文化レベルはそこまで違わない。ピアスやタトゥーを入れているのはこの集落のしきたりのようなものであるらしい。
精練された肉体は彼らの特徴のようなもので、この土地で生きるには必要なのだろう。しかしその分仲間意識も高く、かといって閉鎖的ではない。
むしろ友好的だ。最初こそ懐疑の瞳で見られていたが、すぐにそれは興味に変わり…色々話を聞かれた。
鰐にとっては当たり前の出来事も、彼らには興味深いらしく。良く聞き、よく笑い…厳つい筈の風貌が可愛く見えるほどだった。
かりかりと文章を進めていく。そこで鰐ははた、と思い出した。
そういえばこの村には雌が一人もいない。どうやって種族を残しているのだろう。
他に集落があり、そこは雌だけ…などもあるのかもしれない。
「入る。…いいか?」
と思考に耽っていると部屋の外から狼の声が聞こえてきた。静かで、どこか遠慮がちに。
鰐は見えていないのを分かっているが…頷く。
「はい、どうぞ。」
その声に、狼はゆっくりと部屋の中に入ってきた。そして鰐は息を呑む。
今の狼は全裸では無いが…限りなく全裸に近しい恰好だったのだ。腰に一本の紐。そこから垂れる布は彼の逸物を隠し切れておらず…びく、びく、と月明かりの元でも分かるほどはっきりと脈動しているのだ。
角はきらり、とどこか暖かく煌めき、鰐の目をとらえて離さない。
鰐はただ、その目の前に居る狼を見つめる事しか出来なくなってしまった。ここまで美しいと思ったことは、ただの一度としてない。
「夜に…す、すまない…」
狼の声に鰐はぶんぶんと首を横に振り自分の書いていた書物に視線を落とした。
「い、いえっ!大丈夫ですっ!」
直視することが出来なくなった。ドキドキと心臓が痛いほどに高鳴る。ペンを走らせようとする手が、一向に動かない。
こんな夜に、こんな格好で。狼は何をしに来たのだろう。静かな夜。外から聞こえるのは風の音と水の音。
部屋に響くのは呼吸と鼓動。互いに無言のまま。どうすればいいのだろう。
何をすればいいのだろう。鰐の頭が空回りする。と。
隣にそっ、と。狼が座った。ペンを持った手に、狼の大きくごつごつとした手が重ねられた。
熱く。しかし肉球はとても柔らかくて。
「…今日は、恥ずかしかった。」
「う…」
「だから…責任。取る。」
その言葉は、慈愛と恥じらいと。入り混じった、とても柔らかい色をしていて。
呆気にとられた鰐。そのまま手から狼の手が一度離れ、肩に両手を乗せられた。真っ直ぐ。真っ直ぐ向き合い。
息つく暇もなく。狼のマズルが目の前に迫った。
ちゅ、と軽い音。しばらく口での呼吸が出来なくなる。余りにも急で。鰐は目を見開いた。
舌を交わす事も無く、唇を重ねるだけのキスはきっと短い時間だったのに。とてもとても長く感じたのは。
顔を離すと…狼は先程よりもさらに顔を赤くし、尻尾をばたばたとせわしなく動かし、耳をパタパタと畳んで開いてを繰り返した。
「あ…そ、その、すまない。変だ、俺。お前、見る。嬉しい。恥ずかしい。居たい。こんなの初めて。」
その拙い、単語を並べる彼の言葉はきっと本物。恥ずかしくて、でも嬉しくて、一緒に居たくて。
心の奥底が暖かくなる。会ったばかりなのに。一目見ただけなのに。半日、一緒に過ごしただけなのに。どうしようもなく、心が疼いた。
狼に伝えられた言葉。それは鰐の心の奥底を揺さぶる。
「僕も、多分、同じです。」
滝つぼで彼を見つけた時。未知の部族にあった、という驚きや戸惑いもあった。けれど。それ以上に。ただ、美しいと。目を奪われた。
美しいだけでなく、神秘を見たような。きっと神に出逢った信者がいたとしたら。きっとこんな気持ちなのだろうかと。
肩に乗った狼の手をそっと握りしめ、真っ直ぐに見つめ返す。
狼の瞳は年不相応の幼さと純朴さ。そしてほんのちょっとの情欲に燃えているように見えた。
だから。
鰐は手を引き、ゆっくりと体を横たえる。
つられるように狼の体が倒れ、鰐の柔らかな肉体に包み込まれて。
「責任…取らせてください。」
静かに囁く。同時にはぁっ、と熱い息が漏れた。
ズボンをずらす。ワレメからとろりと熱い粘液が溢れ出した。
狼が視線を降ろしそれを確認すると…ごくり、と唾を飲み込む音が聴こえた。
スリット種は彼らには珍しいのだろう。視線を逸らす事をせず。真っ直ぐに。真っ直ぐに。
恥ずかしさと嬉しさが同時にこみ上げる。顔が火照り、呼吸が自然と荒くなる。
とろとろと溢れる粘液の量が増え、スリットが切なく疼き、くぱくぱと収縮をし始めた。
こちらを性行為に使った事は余り無い。使えるかも分からない。それなのに。
狼がそろそろと手を近付け、控え目に指でなぞる。
「ぁっ…!」
びくんっ、と鰐は声を上げながら体を跳ねさせた。それに驚いた狼が急いで手を離す。
「す、すまない!大丈夫か?」
「あ…は…い…その…気持ち…良い…」
鰐の声。鰐自身も驚いたのだが…じゃれる猫の様に。甘えるように。艶っぽく。誘う様に。
言葉を続ける。
「もっと…欲しい…」
蚊の鳴くような、か細い声。それなのに、酷く耳に響く。
狼は決心したようにこくり、と頷いた。情欲が、燃え上がる。
鰐の体にのしかかると、片手を鰐のスリットへ伸ばした。くちゅ、くちゅ、と優しく、しかし激しく。
指の先で撫で回し、抜き差しを繰り返す。奥にある双根にこつこつ、と当たると鰐は身を悶えさせながら息を更に荒くした。
断続的に訪れる痺れ。それは紛うこと無き快楽だった。初めて他者に秘部を触られ、悶える。
幸福感が胸一杯に訪れ、目を開けていられない。口を閉ざす事が出来ない。
リズミカルに喘ぎ声が漏れ出す。
鰐の初々しい反応が、狼の情欲を更に昂らせた。鰐の太腿に股間を押し付ける。硬く、熱い。
開くことの出来ない瞳。幸福でぼんやりとする頭。
それにしっかり叩きつけられるのは逸物の感触。大きい。恐らく、今まで見た事も無い程大きい。
感じ取ると、太腿から下半身へ。下半身から上半身へ。全身へ。熱が伝わり、期待からどくんどくんと心臓が高鳴る。
狼も、同じようだ。
「上手く、出来るか、分からない。頑張る。」
指で鰐のスリットをしっかりとかき混ぜながら。もう片方の手で鰐の頭を抱え込み、自らの顔に近付ける。
囁き。頬を擦り合わせて。鰐はうっすらと目を開いた。
上気した頬。汗。炯炯とした瞳。鰐はじっ、と見つめ返す。
見つめ合う二人に。言葉は不要か。
そっと唇を重ねる。今度は貪るような、激しいキス。
「んっ…ちゅぶっ…んぐっ…」
狼の長い舌が鰐の口腔内に侵入すると、唾液を流し込まれた。
鰐は拒む事も無く、それを飲み干していく。熱く。幸せの味。
一方的に口腔内を蹂躙されるのは、こんなにも背徳的で、心地よいのだと。
身じろぎ一つ出来なくなった。呼気を交わし合う。頭がふわふわとする。
全身が宙に浮いているように頼りない。本当にこの場所に。今自分がいるのだろうかと。
狼の口づけは終わらない。牙の一つ一つを丹念に舐めとる。上あごについている襞も。しっかりと。
恐らく無意識の内に、だろう。狼の腰がかくかく、と動き太腿に逸物が擦れる。
熱は高まり、ぬるぬるとした液体が太腿を濡らし始めて。
「ぶは…はぁっ…」
「はぁっ…んぐっ…」
唇を離す。少し、寒く。そして寂しい。だがこれから、それ以上の熱を与えられるのだから…
狼が体をゆっくり起こし、鰐のスリットから指を抜いた。引き抜かれた指はすっかり粘液に塗れており、スリットは収縮を繰り返しながら大きく拡がっていく。
見下ろす狼の表情が、良く見えない。けれど、ごく、と唾を飲み込む音だけは聞こえた。
「挿入れる…ぞ。」
どこか緊張したような声。鰐はこくりと静かにうなずいた。
布のほどける音。ぶるんっ、と肉が肉にぶつかる音。見えずとも分かる。
天を突くほどの剛直。狼の逸物から熱い粘液が飛び散り、鰐の腹部を濡らした。
無言のまま。しかし今すぐにでも声を上げてしまいそうなほどの歓喜を押し殺して。
鰐は待つ。
空気が動いた。
狼の肉が、鰐のスリットに押し当てられる。逸物の先端。軽くつつかれただけなのに。
「つぁっ…!」
鰐は跳ねた。肉の塊は、指なんかよりもずっとずっと熱く、硬く。心地よい。
「だ、大丈夫か?」
狼の心配そうな声に何度も首を縦に振る。
むしろこのまま逸物の感覚を遠くで味わわされる方がずっと辛い。
だから。
「はや…くぅっ…」
あぁ、また甘えた声だ。ねだるような。求めるような。自然と出てしまう。
狼に心の底から酔っている。無茶苦茶にして欲しいとすら思える。全てを差し出してもいいとさえ。
惹かれる。彼の一挙一動、全てに。
狼は意を決したように。鰐の両脇に手を突くと。
「挿入れるぞ。」
小さく。確かに。嬉しそうに。愛おしそうに。囁き。そして。
ずんっ。
言葉は出なかった。いや、出そうとした。ただ、どうやって声を出すのか。
それを分からなくなるほどの快楽が鰐の脳へと一気に叩き込まれたのだ。
「グゥッ…!」
狼の逸物を半分ほど飲み込み。そこで狼は唸り声を上げながらぶるりと背中を震わせた。
鰐のスリットは充分な愛撫のお陰かしっかりと濡れ、挿入するのは困難では無かった。
だがその分、埋めるものを求めた。貪欲に求めすぎて。狼の逸物を吸い上げた。
締め付け。離すまいと。きゅうきゅうと切なく。それは狼も未だかつて味わったことの無い、快楽。
動きを止めなければ、このまま理性も何もかも吹き飛ばし、鰐を蹂躙してしまう。
そんな事、したくない。
壊れてしまったら。壊してしまったら。きっと、後悔する。
腰を動かしたい。蹂躙したい。このスリットに精を注ぎ込みたい。睾丸がせり上がる。
それでも、必死に。狼は耐えながら。腰をびくびくと震わせながら。
「い…たく…ない…か…?」
顔を近付けるように、肘を曲げる。ゼロ距離。互いの息がかかる距離。
キスよりも、少しだけ遠い位置だ。互いに顔が、はっきりと見える。
狼の気遣う声が。顔を舌で舐めまわされるのが。鰐には嬉しくて。
鰐の紅潮した頬が。蕩けた瞳が。こくり、と頷く。その表情が。狼には嬉しくて。
「そう…か…」
「んっ…もっと…きて…」
鰐の声は艶めかしく。狼の耳を通り抜けた。
自分だけが気持ち良くなっていないか。どこか不安と罪悪感があった。
それはきっと。
「んっ…」
二人とも、同じなのだ。安心する。消え去った訳ではない。それでも。
狼は満面の笑みを浮かべた。そして鰐の顔をもう一度ぺろり、と舐めて。
ゆっくりと腰を押し付けていく。つぷ、つぷ、と。ゆっくり、ゆっくり。身悶えしてしまいそうなほど緩やかに。
逸物が挿入されていくほどに鰐の体は震え、呼吸が乱れ、瞳が潤む。
耐え切れず。狼は鰐の唇を貪った。貪って、貪って。唾液が地面に滴るほど激しく。静かに。熱く。
やがて。狼の太腿に鰐の肉体が触れた。
「ぁっ…んっ…」
鰐の消え入りそうなほどか細い喘ぎ声。狼はぞくぞくと背筋を震わせ、尻尾で鰐の太腿を探る。
今まで感じたことの無い幸福感が背中を抜けて。脳を満たして。瞼を開けている事が億劫になる。けれど。
その瞳は閉ざさない。視界を支配するのは鰐の緩んだ、嬉しそうな、心地よさそうな、切羽詰まった表情。
一度入り切った逸物はワレメに撫でられ、びくびくと震える。期待から先走りがどくどくと溢れ出し鰐の逸物を。ワレメを。満たしていく。
ごぷ、と隙間から粘液が溢れ出して。
ずるずる、とゆっくり引き抜く。ワレメは多少収縮を繰り返す程度で、そこまで締め付ける訳ではない。
だが。だからこそ。もどかしく快楽を与えてくる。ぬちぬちとワレメに裏筋や竿が擦れて。亀頭近くまで来ると雁首をこそぐ。
「ぐっ…ぅっ…」
「ふ…ぁっ…んっ…」
腰を互いにビクつかせ。熱い息を絡ませ合い。もう一度。腰を押し付けて。
ぐちゅ、ぐちゅ、と粘液が擦れる音。逸物同士がぶつかり合う。狼が腰を回すとごりゅごりゅと竿同士が擦れ合い。
止むことなく、先走りが溢れ出し。互いの下半身を濡らして。狼はやがて、ゆっくりと。ゆっくりと。
腰を振り始めた。
どづん、どづん、と肉同士がぶつかり合う。柔らかな鰐の腹がふるふると揺れ、引き締まった狼の腹に当たる。
「あっ、んっ…んぁっ…はぶっ…んっ…」
狼の体に両腕を回し、抱きしめる。狼の唇を求める。
そんな鰐に。狼は応える。腰を振りながら、鰐の中をかき混ぜながら。鰐の唇を貪り、鰐の頭を撫でまわす。
角が地面に擦れて。かりかりと音を立てる。その音を消し去る様に。消し去ってしまうほど。
「はぶっ…んっ…んぐぅっ…」
互いに唾液を。呼気を。鼓動を。交わす。交わす。腰の動きがやがて激しくなり始めた。
逸物を緩く締め付けるワレメが少しその締め付けを強くし。内壁が感知した異物を排出しようと蠢く。
僅かな抵抗感が、逸物を心地よく。裏筋を撫で回し。狼の背筋に快楽を走らせる。
「ぐぅっ、ぅぅっ、ゥゥッ!」
呻き、唸り。唇を離すと狼は鰐の肩にマズルを近付けた。口を開き。かぷ、かぷ、と。鱗の少ない皮膚を甘く噛んだ。
「はぁっ…ぁぁっ…んっ…」
僅かな痛み。傷口に熱が伴う。じゅくじゅくと、熱い。疼く。そこにまた牙を突き立てられると。
「はぁぁっ…」
幸福感。頭が蕩けてしまいそうなほどの幸せ。
どぢゅんどぢゅんと肉のぶつかる音の感覚が狭まる。泡立った粘液が卑猥な臭いを立て、雄の臭いを際立たせる。
流れた汗が二人をしっとり濡らして。唾液が飛び散って。互いに表情を蕩けさせて。
狼の逸物が脈動する。大きく、びくん、と。鰐の腹を持ち上げんばかりに。
「で…そう…だッ…」
「んっ…下…さ…いッ…」
短く。切羽詰まった会話でも。暖かさが。心の底からじんわりと。
狼と鰐は、同時に笑う。確かに相手を見ながら。自分だけが心地よくなっていないか。
相手も、自分も一緒に。一緒に。高みへ行きたい。
狼は一度動きを止め、鰐の中をゆっくりと掻き回す。震える逸物を探り当て。腰を押し付け。
そして。
「いく…ぞ…!」
鰐が頷いたのを確認して。狼は思い切り腰を振り始めた。先程までの腰の動きよりもずっと、ずっと早く、強く。
逸物が擦れ合う。雁首が絡みつき。引き出され。そして。
「んぁぁぁぁぁっ!」
先に絶頂に達したのは鰐だった。
びゅるっ…びゅうっ!ぶびゅるぅっ!
溢れ出した精液は鰐の中を熱く、淫靡に染めて。濃い雄の臭い。
ワレメが一瞬締まり、狼も逸物を撫で上げると。
「ォォッ、ォォォォンッ!!」
尻尾を大きく揺らし、狼は遠吠えを上げながら。背筋を仰け反らせ。しかし腰をしっかりと鰐に密着させると。逸物をふるわせた。
ぼびゅぅっ!びゅるぅっ!びゅぐびゅぐぅぅっ!
鰐のワレメの中があっという間にいっぱいになり。ごぷごぷと二人の精液が混ざった粘液が溢れ出す。
射精の余韻に浸りながらゆるゆると狼は腰を動かし、鰐の頭を撫でる。
鰐もまた余韻に蕩けた瞳で狼を見つめ、立派な角をゆっくりと撫でた。
しばらく、そうして。繋がったまま。ふわふわと夢心地の中で。繋がる。
[newpage]
唇を貪りあう。互いを求め続ける。激しい行為こそしていないものの、余韻は残り、二人をどこまでもどこまでも溺れさせていく。
唇を貪るのを止めれば、体のあらゆる箇所へと互いに唇を落とし続ける。痕になっても構わない。
その痕が、じんじんと熱をもったように疼いても。
「…ふふっ、んふっ…」
「んっ…ぶぁっ…んっ…」
夢中で。ただただ夢中で。蛇のように、濃密の繋がり続け。微睡む心地よさも混じり始めた頃。
狼はゆっくりと体を起こすと…頰を赤くしながら、鰐を真っ直ぐに見つめ。
一度呼吸をし、息を飲み込み。か細く。声を紡ぐ。
「俺の子…孕んで、欲しい。」
「え…?」
その言葉に鰐は目を丸くする。冗談か何かだと思った。雄同士で孕む事なんて、鰐の住む世界では当然考えられない。
しかし狼の瞳はただひたすらに真っ直ぐで。冗談を言っているようには見えない。ましてや嘘でもない。本当の言葉だろう。
狼は立ち上がるとゆっくりと部屋に置いてあった棚に向かい…一つの瓶を取り出した。
薄暗い部屋の中。狼が手に取るとぽう、と暖かで仄かな白い光が液体から溢れ出す。
「俺達、子供を産む時、これ使う。…つがいで…は、孕む時。」
鰐の前に座り、狼は顔や耳までも真っ赤にしながら言葉をとつとつと紡いだ。
にわかには信じがたい話ではあるが、鰐の住む世界とは違う。未知の世界。村には雄しかおらず、どうやって種を残しているのか。
理解が出来た。もちろん困惑する気持ちもある。本当に薬を使うことで孕むのか、と。疑心暗鬼にもなる。
だけれど。
鰐は躊躇い。そしてこくりと頷いた。
「…その…この世界も、何も、貴方も分からないけれど…それでもいいなら…えと、いや…はら…孕ませて…下さい…」
頭が混乱して、正常な判断が出来ていないのかもしれない。
でも。それでも。心の奥がじくじくと疼いて。熱くて。切なくて。自然と頬が上がってしまうような。にやけてしまうような。
『嬉しい』という感情は。きっと、本物だから。
正常な判断が出来ないなら。この心に従おう。狼と子を為す。ちか、とマッチを灯したように。暖かな未来が、垣間見えた気がした。
狼は口をぐっ、と紡ぎ。尻尾を大きく揺らしながら鰐に抱き着いた。
どくんどくんと早鐘を打つ心臓の音。狼の体から聞こえる。それに合わせるように。あぁ、いや、違う。自分もだ。
ぎゅっ、と狼の体を抱きしめ返し。鰐は自身の鼓動が早まっている事にそこで気が付いた。
鼓動が溶けて混ざり合った。見つめ合う。唇を。軽く重ねて。
狼は瓶を手に取った。蓋を開けると甘く、つんと鼻を突くような刺激臭が同時に訪れる。不快さを感じないのは、何故だろう。
頭がぽう、とする。
狼は一瞬躊躇するが、瓶を口に近付け、くい、と仰いだ。
口の中に含み。少しだけ飲み込み。鰐の唇をもう一度奪う。とろり、と粘液が流れ込んで。
鰐はそれを受け止めた。甘い。酸っぱい。苦い。えぐい。辛い。色々な味が瞬時に舌を突き。
ぞくぞくと背筋が震えた。寒気やそう言ったものでは無い。嬉しくて。満ち足りていく。そんな震え。
互いに目を細めて。こく、と粘液を飲み込む。しばらくすると。
「あ…はぁっ…」
唇を離した鰐は甘く熱い息を吐きながら床にごろり、と寝転ぶ。いや、座っている姿勢すら辛い程に下半身が疼き始めたのだ。
きゅん、きゅん、と雄穴が熱くなる。ワレメと雄穴が同時に蠢き、痒みを伴う疼きが出始めた。
腹を天に向けて。狼を見つめる。狼も同じく、体を起こしている事が困難なのだろう。鰐の体にゆっくりと倒れ込む。ふぅ、ふぅ、と熱くどこか苦しそうな呼吸。
狼の背中を摩る。狼の体温を感じる度に疼きや熱は高まるばかりだ。
精液の臭い。さっきまでそこまで気にならなかったのに。今は。
「孕…ませ…て…♥」
声に艶っぽさが混ざる。それは鰐自身ですら出したことも無いような色をしていて。…言った直後、目を丸くする。
蕩けた顔から、驚いた様な、戸惑うような。移り変わる表情に。狼はくすり、と少しだけ笑った。呼吸が自然と落ち着いて。
「分かった。今。種、注ぐ。」
「あぅ…」
狼の言葉に。鰐は頷き体の力を抜いた。そうした方が狼が動きやすいだろう。
鰐の腰を抱き寄せ、尻を床から離す。びちゃ、と粘液が地面に零れる。それは先程互いに出した精液と。腸液。
ぐじゅるじゅると体内で音が聞こえる。狼はごく、と唾を飲み込むと怒張した逸物を雄穴に宛がった。
亀頭が。熱い亀頭が鰐の体に触れると鰐はびくんっ、と体を跳ねさせる。触れただけ。それだけでも既に快楽足りえる。
はぁはぁと呼吸が早まり、期待にぞくぞくと震えて。狼はふぅっ、と一息。鰐の首元に息を吹きかけて。
「いくぞ。」
「んっ…!」
狼の優しい言葉に。鰐は頷きぎゅぅ、と狼に抱き着いた。
つぶ…つぷつぷ…
「ぁっ…!!」
「ぐぅっ…!」
鰐の声に狼の声が重なる。互いに漏らすのは苦痛と快楽。亀頭を飲み込んだ雄穴。通常なら異物を押し出そうと蠢くはずだが…
違った。鰐の雄穴は。腸壁は。迎え入れようと逸物を吸い上げ、引きずり込もうと蠢く。先程飲み込んだ液体のせいだろうか。
腸液がだらだらと溢れ出し。狼の逸物がするすると雄穴の中へ吸い込まれていく。
狼は心地よく締め付ける腸壁の感覚に唾液を口の端から零し、目を僅かに血走らせた。
もし許されるなら思い切り腰を動かし、腸壁を、前立腺を突き種を注ぎ込みたい。
本能が叫ぶ。だが、まだ。まだ入り切ってすらいない。抑えつけ。少しずつ腰を進めていく。
ずぬずぬと腸液の染み出す腸壁を突き進み。奥へ、奥へ。そうしている間にも鰐の声は艶っぽく。声にならない声に変わり。
びくびくと体を震わせ。目じりに涙を溜めて。
「ゥゥゥゥッ…!!!」
これ以上は耐え切れない。逸物を根元近くまで挿入すると狼は思い切り唸り声をあげた。
毛並みが逆立ち、角がギラリと光った。尻尾が激しく揺れ。逸物が膨らむ。
鰐は恐れる事も、怯むこともしない。ただ笑い。
「はやく…いいよ…いっぱい…して…♥」
優しく妖しく囁く声に。狼の理性は砕けた。孕ませる。つがいを。鰐を。愛しい人を。
グゥゥゥッ!!!!
獣と変わらない遠吠え。狼は口を大きく開けると鰐の肩口に軽く噛み付くと…
一気に腰を動かし始めた。ワレメを使って行為をした時と違い、そこに容赦や情けは無い。
必ず孕ませると。雄の本能が呼び寄せる行動。
ずがんっ、ずがんっ、と。肉体同士が激しくぶつかる音が部屋に鳴り響いた。
「ひっ、あひっ、ぁ”っ!んぁ”ぁ”ッ!!」
ゆるりと繋がり続け迎えた絶頂とは全く異なる絶頂。前立腺を抉られ、腸壁をめくり上げられて。
硬く熱い逸物が雄穴を通り抜ける度に頭が吹き飛んでしまいそうな快楽が押し寄せる。押し寄せ続ける。
鰐の嬌声はより強く、高く、間隔を狭めて。腰が鰐自身の意志に反して。もっともっととねだる様に動く。
押し付けられたまま腰を動かせば、肉が擦れて…快楽は強まる。
「ぁ”っ、ぁ”ぁ”っ、んぐぅぁぁぁぁんはぁぁぁぁっ♥♥」
幾度となく押し寄せる渇いた絶頂。
どぢゅんどぢゅんと何度も何度も腰を叩きつけられて。鰐は両手足に力を込める。
種が欲しい。欲しくてたまらない。体が、本能が求める。狼の体を抱き寄せ、自らの腹に埋もれさせる。
狼の腰に両足を絡め、尻尾を撫で回す。鱗が尻尾を心地よく撫で回せば。
狼の逸物がひときわ大きく震え、どぶぅ、と先走りをあふれさせた。
「射精るッ…!イくぞッ…!!」
「んっ、ぁっ、はやっ、くっ、種ッ、あ”っ、あひゃぁぁぁぁ♥♥」
獣と人を混ぜたような狼の声に。鰐は全身を期待に震わせると全力で狼を受け止めた。
びゅるっ…
どびゅぅぅっ!どぼびゅるぅぅぅっ!!びゅぐびゅぐぅぅぅっ!
ォォォォォンッ!!!
牙を食い縛り、しかしそれを解き放つように。狼の遠吠えと絶頂は同時に鰐へと襲い掛かった。
一気に注ぎ込まれる種は熱い。濃い。凄まじい量で。
射精こそしなかったものの…鰐は射精以上の快楽に酔いしれる。多幸感が頭を一杯にし、何も考えられなくなる。
満ちていく。満ち足りていく。
腸壁は全てを飲み込もうと必死に蠢き。それに伴い狼の挿入されたままである逸物が撫で上げられ、びくびくと狼は腰を震わせた。
染み込んでいくのが鰐には分かって。理解すれば、幸福が更に訪れる。
「孕…んだ…ぁ…♥」
「んっ…孕…め…」
消え入りそうな声で。互いに囁き。唇を軽く交わして。
朝日を見ながら。二人は静かに意識を虚空へ。快楽の海へ。
堕としていく。
[newpage]
「だ、大丈夫か?その、あ、危なくないか?」
と、額に汗を浮かべながら狼は鰐の周りをせわしなく動き回りながら声をかけた。
鰐はと言うと…苦笑を浮かべながら探検服を着込んでいた。
その腹は脂肪とは別の理由で僅かに膨れて。時折ぴくん、と動く。
「大丈夫だよ。まだ産まれるまでしばらくかかりそうだし、いったん戻って報告しないと。」
「で、でも、無理するな。何かあったら俺、俺…」
心配そうに、今にも泣きだしそうな瞳で。狼はうろたえる。
鰐はぽんぽん、と狼の頭を、角を撫でた。
「直ぐ帰ってくるから。ね?お父さま。」
鰐の満面の言葉と笑みに狼ははっ、と息を吸い込み…そしてゆっくり吐き出した。
「…あぁ。分かった。じゃあ、すぐ帰ってくるんだぞ。」
泣き出しそうな顔を笑顔に変えて。鰐は大きく頷いた。
「行ってきます。旦那さま。」
「行ってらっしゃい。」
軽くハグをして。唇を落として。
未開の地での出会いは。意外な形で迎えて。今、収まる。
二人に。二つの種族に。暖かな光を灯すように。
収まり。
新たな形を迎える。
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