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赤子の泣き声が家から聞こえてきて、虎勇者は玄関のドアを開けた。
鳴いているのは自分の子供。産まれてまだ数ヶ月。元気に産まれてくれた。
そしてそれを抱えながらあやすのは狼の元魔王。今では魔王の座を別のものに譲り育給中である。
「ただいま。」
「お帰り。勇者。」
狼魔王と虎勇者 ちょっと後。
「よしよし、いい子だ。」
母性溢れる笑みを浮かべ魔王―もう魔王では無いのだが、便宜上そう呼ばせてもらおう―は腕の中で眠る子をあやした。
丁度勇者と魔王の間を取って幼くしたような顔つき。安らかに眠るその顔はまるで天使のようだ。
勇者自身もそう思っている。が。
「お疲れ様。」
少々不機嫌そうな声だ。魔王は子供をベッドに寝かせると首を傾げた。
「…どうした。何かあったのか?」
「別に何でもねぇ。」
勇者は椅子に座るとだらしなく机に顎を乗せてはぁ、とため息をついた。
魔王は今子育ての真っ最中。おかげで勇者と関わる時間が少なくなってしまっているのだ。
仕方がないとも思うし、最初の頃はそれでも良かった。
が、積もり積もれば不満にもなる、というものだ。
自分でもなんて子供っぽいんだろうと思いながら勇者はうぅぅぅ、と唸る。
「まったく、何も無い様には見えんぞ。」
勇者の対面に座り魔王はふぅ、とため息をついた。
その表情は満ち足りていて慈愛に満ちたものだが…どこか疲れているようにも見える。
「…コーヒー入れてやる。」
魔王の表情を見て勇者は立ち上がり台所に向かった。
簡単な火の魔法で釜戸に火を入れてやかんに水を掬った。
「すまないな。…砂糖多めで頼むぞ。」
「分かった。」
しゅこここ、とやかんから音がし始めると部屋に沈黙が訪れた。
子供の安らかな寝息。互いの呼吸の音。燃える火を見つめ勇者は幸せな時間を噛み締めている。
まるで御伽噺みたいだ。…いや、御伽噺でも聞いたことがない。
魔王と勇者が子供を作って、平凡に暮らしているなんて。
そっと振り返る。魔王は頬杖をつきかく、かくと首を揺らしていた。
その可愛らしい仕草にどき、と心臓が高鳴った。
「…なぁ。」
「なんだ?」
火から目を離さず、勇者は魔王に尋ねる。
「お前、幸せか?」
「何を藪から棒に。」
「いいから教えろよ。」
少しだけ押し黙って。魔王はどもりながら答えを返す。
「し、幸せ…だ…今でも、魔法や幻覚にかかっているんじゃないか、と思うぐらい…に…」
消え入りそうな、だけどしっかりとした答え。
嬉しい。先ほどまで顔を見せていた嫉妬心や嫌な気持ちがすぅ、と消えていく。
ぴぃぃ、とやかんの音が響いて。カップを用意して。
コーヒーをドリップする。
挽いた粉を蒸らしている間に。勇者は振り向き、にっこりと笑った。
「俺も。最近はちょっとゆっくり話せなかったけど…幸せだ。」
お互いに見詰め合って。顔を赤くして。子供もいるのに、初々しいカップルのようだ。
コーヒーのいい香りが立ち込める。ゆっくりとお湯を注いでいって。
ぽた、ぽたと水滴の音。ふわり、と優雅に湯気が上がる。
尻尾をゆらり、と揺らして。勇者は砂糖の入っている瓶を手に取った。
「どれくらい多めにする?」
「とびきり甘くしてくれ。」
「ん。」
頷き、勇者はスプーンを瓶に突っ込む。そこで何かを思いついたように髭をぴん、とたてにやっ、と笑った。
さらさらと砂糖を入れて…カップを手に机に戻り魔王の前にカップを置く。
「お待ち。ミルクは今無いから勘弁な。」
「む、すまぬな。」
鼻前にカップを持ち上げ、香りを楽しみ…魔王はずずっ、とコーヒーを啜った。
そこでん?と眉を持ち上げる。口の中に芳醇な香りが広がって、舌の上を酸味と苦味と、僅かな甘みが転がる。
「とびきり甘くしてくれ、といったと思うのだが…そんなに甘くないぞ?」
「これから、甘くなるさ。」
勇者は口の端を持ち上げ、素早く魔王の頭に手を回した。そして。
ちゅっ、とついばむように突然軽くキスをした。
「!?!?!?」
あまりにも急な出来事に魔王は目を見開き全身の毛を逆立てた。
そんな魔王の真っ直ぐなリアクションに勇者は悪戯っ子のような笑顔を浮かべる。
「どうだ?甘くなっただろ?」
「あ…あぅ…」
そういうことか。理解した魔王はこくり、と頷き、蚊の鳴くような声で続けた。
「し、しかし今のでは一瞬過ぎて…甘さが分からん。…もう、一回…頼む…」
「いいぜ。んっ…」
先程のついばむようなキスではなく。マズルをがっぷりと交わらせ。
舌を相手の口腔内に入れて。互いを貪りあうように。深く、深くキスを交わす。
舌先が粘膜を刺激する感覚は。粘膜が自分以外の者に刺激される感触は。
とても心地よくて、ずっとしていたいような。相手が自分に、自分が相手になってしまったような。
唾液が混じりあい口の端からぽたり、と垂れた。
呼気も交換し合い。今まで出来なかった分を取り戻すように。夢中で。
「んっ…むふぅっ…んむっ…ちゅぶっ…」
「ぷぁっ…んんむぅっ…はむっ…」
呼吸が苦しくなってきても。もう自分を制することが出来ない。
勇者は魔王の身につけているシャツを捲り上げるとその胸板をなでた。
ほっそりとした胸板に生え揃うのは上質な毛皮を思わせるふさふさとした獣毛。
そっ、と脇腹に手をやると魔王はんっ、と艶っぽくくぐもった声を上げた。
構わず舌を絡ませながら勇者は魔王の脇腹を撫で、続けてズボンの下へと手を入れる。
尻たぶをもにゅもにゅと少し強めに揉み、そのまま穴のほうへ指を近づけて。
ぷあ、とマズルを離すと魔王は瞳を潤ませはぁ、と息を漏らした。
「ま、待って…くれ…こ、ここでは…」
「駄目だ。我慢できん。」
言うや否や勇者は魔王を抱え上げソファへと放り投げる。どさっ、と少々不恰好に着地した魔王。
勇者はズボンを降ろすとずるん、と勃起しきった巨大な肉棒を晒した。
びくんびくんと跳ねると…もわ、と濃厚な雄の臭いを放つ。
それを敏感に感じ取った魔王。瞳を潤ませ期待の視線を勇者に送った。
魔王の肛門はもうすでにひくひくとひくつきとろり、と腸液を零し始めている。
勇者は魔王に覆いかぶさると少々乱暴に、容赦なく。ずぶり、と一気に性器と化している肛門に肉棒を挿入した。
「ぁっ…!!!」
思わず漏れ出る声を魔王は両手で塞ぎ頬を紅潮させる。久しぶりの行為だが痛みを全く感じず、快感だけがダイレクトに脳を突き上げた。
「ふぅっ…ぅぅっ…最っ高…」
小さく魔王の耳元で呟き、耳の内側に生えている柔らかな毛にふぅっ、と息を吹きかける。
ひぅ、と喘ぐ魔王。勇者はにっ、と頬を吊り上げ、ゆっくりゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ、んぅっ、んひゃぅ…!」
大きな声を出すと子供が起きてしまう。それを避けるために魔王は必死に声を抑える。しかし尻尾を振りたくられ全身を駆け巡る快楽を表現していた。
ずちゅずちゅと水の音が大きくなり、とろとろと魔王の肉棒から先走りが溢れ出す。
腸内を掻き回され、前立腺を、体の奥深くを突かれる。
「ふっ…ぅぅっ…くっ…!」
優しく亀頭を包み込まれ、竿を扱かれる。しかし根元はきゅう、と強く勇者の肉棒を締め付けて。
その感触に勇者はびくん、と腰を痙攣させながらも前後に激しく動かす。
「…♪…ぁっ♪」
口をぱくぱくと動かしながら魔王は耳を動かし、そして勇者の腰へと足を回した。
自らの意志で更に肛門を強くきゅう、と締める。
勇者の腰から始まっていた痙攣は全身へと巡り、勇者は口の端から唾液を零し夢中で魔王の中身を掻き乱す。
「あっ、んぁっ、ふぁっ…!んぁぁっ…!」
いけないと分かっていても、声が出てしまう。甘く、高く、悲鳴にも似た。
目を瞑り、快楽に流されるままの表情を浮かべる魔王に勇者の嗜虐心は刺激され、興奮が高まって行く。
先走りが溢れ出し魔王の腸を灼く。ちりちりと理性が焦げて、魔王は強く強く勇者の体を抱きしめた。
「あっ…イって…しまうっ…!すまぬ…!だめっ…!」
「いいぞ、イって。ここ…かっ!」
魔王の腸壁の一部分をピンポイントで抉る。
「んんんぐぅぅぅっ!!!」
びゅるるっ、どぶびゅるるるるるびゅるるっ!
声を抑えきることが出来ずに魔王は嬌声を上げ大量の濃い精液を噴き出させる。
ビクビクと脈動する肉棒はびたんびたんと勇者の腹を叩いた。
同時に魔王のふっくらと膨らんでいた胸の先端―少し黒ずんだ乳首からぴゅるぴゅると白い液体が噴き出す。
腰を動かしながら勇者は本能の囁くままに魔王の乳首を咥え、吸い上げた。
「やっ、むねっ…駄目だっ…!」
ちゅうちゅうと吸い上げるとうっすらと甘い液体が口の中を満たしていく。
子供を産んだ事によって体質が変わったのだろう。初めて知った勇者は夢中で魔王の全身を貪る。
ぷっくらと膨らんだ乳首を舌の先で舐り。膨らんだ胸を撫で回す。
「あっ、んんんっ…!」
それだけで魔王はびくびくと震えた。もう片方の乳首には指を這わせ、コリコリとつまみ、ねじる。
ほのかに甘い香りが勇者の指へと纏わりつく。気が済むまで胸を弄繰り回しちゅぽん、と乳首を離した。
かぷかぷと甘く首筋を噛み歯型をつけて。
「そろそろっ…出すぞっ…!」
限界が迫ってきた勇者。びくんびくんと肉棒が腸壁を叩く。
魔王は勇者の全てを受け止めるように、ぎゅう、とより一層強く抱きしめる。
「あぁっ…!はやくっ…!」
「おぉっ…!がぁぁぁっ!!」
「あっ、あぁぁっ、ふぁぁっ!!」
二人の吼える声が重なって。腸の中を満たしていく熱い液体。
魔王は幸せそうな、崩れた表情を浮かべる。
びゅくびゅくと数分にも渡る射精が終わると…勇者はそのまま魔王に倒れこんだ。
「すき…だ…」
「わ…われも…すき…」
虚ろなつぶやき。心地よい疲労感。二人はもう一度唇を交わした。
「とうさん、ぱぱ!」
子供の元気な声に二人は微笑んだ。柔らかな日差しのもと。二人の子供はすくすくと成長している。
今では一人で元気に走り回れるほどだ。その姿を見つめながら、魔王はぽつぽつと呟く。
「…今でも思うことがある。」
「なんだ急に。」
「こうして今、過ごしているのが嘘で。本当は我はもう死んでいるのではないかと。」
「…お前は生きてる。俺といる。俺が保障してやる。お前がお前自身を信じられなくても…お前は俺を信じるだろ?」
「…あぁ。」
「ならそれでいいじゃねぇか。俺もお前も、あの子も。幸せだ。」
「…あぁ。」
逞しい胸板に体を埋めて。魔王はすぅ、と一息吸い込んだ。
と。
「ねぇ、とうさん!ぱぱ!」
「どうした?」
「おれ、おとうとかいもうとがほしい!」
子供の無垢な一言。二人は少々顔を赤くする。互いに見合って。
「…我は頑張れるぞ。」
「じゃあ、頑張るか。」
微笑む。子供には意味が分からないのだろう。首を傾げる。
勇者は子供の頭をなでた。
「これから出来るよう、父さん達頑張るからな。待ってろ。」
ぱぁ、と子供は明るい表情を浮かべて。
「うん!」
と頷いた。
二人の幸せな生活は、まだ、始まったばかり。
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