[chapter:【第一章 霧に包まれる街に心細くなって 】]
持ち物を確認する狼獣人。
「……もうIROGAMI*はほとんど残ってないな」
IROGAMI……それは、この状況においては武器を意味していた。
スコル3……恒星系スコル第三惑星に位置するこの惑星。
その空中や水中、そして、そこに暮らす獣人の体内……今この世界のあらゆる場所は獣人の放ったバイオマシンで満たされていた。
そのバイオマシンは、有機伝達物質に対する受容体を持ち、獣人の放つ伝達物質からの命令を受けて、化合や分解といった反応を誘発する。
そしてバイオマシンへ命令を下すための伝達物質は、種族によっては唾液腺や臭腺などから分泌されるが、各々の獣人がすべての伝達物質をキャストできるわけではない。
そこで、伝達物質を染み込ませた[[rb:色紙 > IROGAMI]]が市販されているわけである。
「そろそろ撤退せねば」
思わぬ消耗。
もう戦うに充分なリソースは残ってない。
このまま[[rb:接敵 > エンゲージ]]しては必死。
長居は無用だ。
そう思い帰還を決めた。
霧の出ている街。
敵は同じ獣人。
とはいえ、特にこれといって戦争をしているわけでもない。
至極当然の日常。
食べるための[[rb:狩 > カリ]]。
ほぼいつも通りの光景だった。
唯一いつも違うとすれば、IROGAMIが心もとないことくらいであろうか?
ふとレーダーにノイズが入る。
ジャミングか、それとも単なる環境による不具合か。
いつもなら、IROGAMIを使って周囲の物質を[[rb:探査 > エクスプロール]]できるというのに。
そもそも、何故?
ここまで消耗したのか?
それは魔が差したからに他ならない。
この狼、25年前に丁度同い年くらいの迷子の蛇人を元の縄張りへ送り届けたことがあった。
当時彼の所属する陣営は、食料には充分な貯えがあり、わざわざ幼体を獲物として狩る必要はなかったからである。
そして、今日。
別の蛇人と出会った。
それはどこかかつでであったあの蛇人の面影があり、おそらく血縁者であろうことが見て取れた。
しかし狼が視認したとき、その蛇は彼自身の所属する陣営でも、そして狼の所属する陣営でもない、第三の陣営の獣人の手に今まさにかからんとしていたのである。
狼は懐かしさから、自陣でもない蛇を助けてしまったのである。
(俺としたことが……。
(なんであんな1ガルの儲けにもならないようなことしちまったんだ?)
今更後悔しても仕方がない。
なんとか帰還せねば。
そのとき、レーダーノイズが収まる。
急な静けさに不安になり、レーダーを無意識に確認せんと、視線を動かして……。
そして気づく。
すぐそばに、人影。
恐る恐る背後を見やる。
霧が晴れていく。
そこには蛇人がいた。
[chapter:【第二章 失態と温度 】]
(俺としたことが、自陣でもない奴をつい出来心で助けちまったもんだからバチが当たったんだ……)
あまりの恐怖に失禁してしまう狼。
そこへ声をかける蛇人。
といっても狼と蛇では、声帯の形があまりにも違う。
まして、蛇人には耳がないので、伝達物質を使った会話であったが。
「お、俺だよ。
「昔送り届けてくれた」
「あぁ、あの時迷子だったやつか?
「そういえば、さっきキミと面影の似たやつを見たな?」
「あぁ、話なら聞いているぜ。
「俺ばかりか今度は、彼奴まで……本当に助かったぜ」
「いや、お前を助けた理由は単なる送り狼だったし、彼奴を助けた理由は霧の中で心細くなって、俺としたことがつい、お前のことを思い出しちまったからで、別にお前らのためじゃねぇよ……。
「……あの時の約束覚えてるか?」
「あぁ、今度あったときは敵同士だっけな?
「つっても、彼奴を助けるのに充分消耗しちまったと聞いてるが?」
「あぁ、本当にしくじっちまったよ。
「まさかこんな最期を迎えるとはな」
自虐交じりに[[rb:嘲 > あざけ]]る狼に、蛇人はしばし考えを巡らせる。
「……本当は礼をしようと思ったんだが、どうやらお前にはその必要はないみたいだな?
「とりあえず、ついてきてもらおうか?」
ビルの瓦礫をジャンプする蛇人。
狼もそれを追いかける。
「お、おい、どうせ殺すなら、せめてここで殺してくれよ……?
「俺は群れのど真ん中に醜態を晒したくなぞないんだ。
「それとも、お前の群れのボスにでもかけあってくれるのか?
「無理だッ……そんなことしたってどうせ許してもらえるはずない」
「あぁ、それなら安心するが良い!
「何せ、今この群れのリーダーは俺だからな?」
「お、お前が!?」
「あぁ、だから今のうちに俺様にたっぷり命乞いしておくんだな?」
狼からの返事はない。
振り返れば、狼がバツが悪そうにうなだれていた。
蛇人は付け加える。
「どうしちまったんだ?
「そんなに命乞いさせられるの恥ずかしいか?」
その言葉に狼は立ち止まり、どこか悔しそうに涙ぐみはじめる。
「そ、そうだよな……。
「俺、ちゃんと命乞いしなくちゃ生きて帰れるわけねぇんだ」
蛇人としては冗談のつもりだったのであろう。
しかし、狼にとってみれば、自分の失態を突き付けられたも同然だった。
蛇人は慌てて撤回しようとするが、狼が頭を下げる方が早かった。
狼は本当に悔しそうに命を乞うていた。
蛇人は狼を宥めるように抱きしめると、自らも一言。
「悪かった」
[chapter:【第三章 奈落への道を自ら選んで 】]
蛇人の棲む、シェルター。
その一室に通された狼獣人。
そこで再び蛇人から問われる。
「なぁ? いくつか質問良いか?」
「あぁ、勿論だ!」
「お前、俺を助けたこと後悔しているか?」
「いや、そんなわけないだろ?
「だが、申し訳なく思っている。
「次に会ったときは敵だなんて言っておいて、また別の蛇人を助けて、それで武器を使い過ぎたところをお前に見つかるなんてな。
「お前にも、俺の仲間にも申し訳が立たんよ」
「それじゃあ俺からのお礼は素直に受け取ってくれるのか?」
「というと?」
「恩人として丁重に扱われるのと、敗者として俺様のされるがままの末路を迎えるの、お前はどちらを選ぶ?」
「確かに今、恩人として丁重に扱われるのは、流石に申し訳が立たん。
「だが、俺を可哀そうだと思ってくれるのなら、何かチャンスをくれないか?」
「話を聞こう」
「……俺にリベンジをするチャンスをくれ。
「俺が勝ったら少しずつ待遇を改善していってくれないか?」
「いや、勝つのは一度で良い。
「この群れのリーダーであるこの俺がそうやすやすと何度も負けるわけにはいかないからな。
「だが、その代わり、お前が負ける度、どんどん待遇を悪くしていくぜ?
「なんなら、お前が俺に勝てるまで、元の群れには生きて返すことはないが、それでもお前は良いのか?」
「あぁ、構わん!」
「そうかい……。
「んじゃ、後で同じことを皆の前で宣誓してもらうからな?
「俺様にアンアン泣かされて、少しずつ俺様に絡めとられていき、最期には無様に誇りをへし折られて、蛇人に従順なおもちゃされる……そんな恥ずかしい末路を迎える覚悟、ちゃんとしておけよ?」
「なんで、俺が負ける前提なんだよ!
「絶対に俺が勝ってやるし、決してお前に哀し思いはさせないからな」
「それは勝って証明してもらおう」
「あぁ、望むところだ」
[chapter:【第四章 獲物であることを突き付けられて 】]
……目を開ければ照明。
その光が突き刺さる。
何が起きたのだろうか?
仰向けに倒るる狼は、考えを巡らせる。
ようやく頭がさえわたり、よく知る蛇人に気づく。
マズルから舌を覗かせてチロリとしたなめずる彼は、仕留めた獲物をどう食らうかを企む蛇のそれだった。
あぁ、思い出した。
こいつに戦いを挑んで負けたのだ。
とはいえ、まだ一回目だ。
何度倒されてもめげず、何度も立ち向かえばきっとここから出してくれる。
狼はそう信じて疑わない。
しかし、その希望は少しずつ剥ぎ取られていくことになる。
「覚悟はできているんだろうな?」
蛇人は狼の上に覆いかぶさり、総排出孔からの先走り滴る二つの剛直を狼の秘所に擦り付け、狼の毛並みを汚すことに優越感を抱きながら、得意げに問う。
狼は、これから起こる屈辱を耐えんと、歯を食いしばった。
「あぁ、愚問だな。
「いつでも準備はでき……んぐぅ!?」
「あァ? なんだって?」
蛇人の二つの剛直、その片方の先端が、狼の秘所に突き立てられる。
ほんの先端であったが、先走りに濡れたそれはゴツゴツとしており、これから起こる行為、その恐ろしさを突き付け、狼の虚勢を狩りとるのに充分な一撃であった。
すっかり大人しくなった狼に気を良くしたのか、そこから少しずつ抜き差し、といっても先端だけであるが、それを繰り返しながら、狼の尻穴を慣らしていく。
「さて、そろそろ挿れていくが……、お前の尻穴の最期だ。
「目をそらさず、しっかり見届けてやれよ?」
「……最期ってなんだよ?」
蛇の笑みに狼は恐怖し、身を逆立たせるも、間髪入れずに「これはもうすぐお前の尻穴じゃなくなって、な?」蛇人の剛直が突き立てられ、そのままゆっくりと狼の秘所、その奥深くへと沈んでいく。
そして、完全に全部沈み切ると、一言「俺様専用の[[rb:雌孔 > オナホ]]にってことだよ!」
邪悪な笑みを見せつけ、完全に狼を制した蛇。
狼の恐怖を旨そうに堪能すると、そこから強襲を開始する。
[chapter:【最終章 狼は蛇に絡めとられて 】]
あれから蛇の良いように抜き差しを繰り返された[[rb:狼 > 哀れなトロフィー]]は、雄としての誇り《プライド》を剥ぎ取られ、すっかり蛇の雌にされてしまっていた。
蛇のものになりたいと、自ら蛇を求め。
蛇の雄槍に奉仕せんとその肉ひだを絡みつかせた。
「どうだ?
「すっかり俺様の[[rb:形 > カタチ]]を教え込まされてしまっただろう?
「お前は、まだ心から俺に勝ちたいと思えるのか?
「お前はこれから一生、俺と戦う度にこれを思い出し、快楽を求め、いつの間にか俺に負けてしまうのだ。
「お前はもう俺からは逃れられない」
一瞬だけ我に返る狼。
だが、それも絶望に耐え切れず、そのまま快楽に身を手放し、断末魔の嬌声とともに、自らの顔面に白濁を放った。
無様なあへ顔、マズルにしまい忘れた舌、無様な姿を晒し、蛇を抱きしめながら、限界まで体力が奪われた狼は気絶するように眠っていく。
この時の敗北の味は狼の身体、そして心に、すっかりマーキングされ、蛇の元から決して離れられぬ束縛として、永遠に刻みこまれてしまった。
狼は蛇に絡めとられていく。