狐と狼には、不倶戴天の敵だったり好敵手だったりしてほしくてそれを詰め込んだお話
「くっ、くそっ……。」
狼獣人の傭兵は、膝を付きました。
狼獣人と対峙するは、狐獣人の幻術使い。
狼獣人は依頼されたのです。
狐獣人を暗殺するようにと。
しかし、幻術によって狼獣人の攻撃は全て空を切りました。
一方狐獣人は毒によってじわじわと狼獣人を追い詰めます。
そしてこのありさまです。
「ふふっ、おおかみさん
「実はあなたは私とあったことがあるのですよ」
「ッ!?……どういうことだ!?」
「忘れもしません。
「あなたが私を食べようとした日のことを」
それは数年前に遡ります。
雪の積もった山林を満月が照らす夜のこと。
狐獣人は美味そうな獲物はいないかと辺りを見渡している時のことでした。
不意に後ろ首に生暖かい空気が当たります。
その空気がやがて狐獣人の鼻に届くと、
その臭いを感じました。
獣の臭いです。
狐獣人がそれは吐息だと気付いた時には、
目の前には狼獣人の顔がありました。
そしてようやく逃げようと体に力をいれて、
組み伏せられていることに気づきます。
狼獣人が舌なめずりをします。
ああ、ここまでか、そう思ったときでした。
ゴゴーっと低い音が耳に届きます。
狼獣人は辺りを見渡して一目散。
雪崩です。
狐獣人も駆けだします。
なんとか雪崩に巻き込まれずに済むと、
首がなんだかこそばゆく、
手をあてがいます。
手には自分とは違う色の毛が絡まっていました。
狐獣人はポケットに入れっぱなしにしていた瓶を取り出し、
灰色のそれを摘まむとその瓶に入れました。
「お前……あの時のキツネか」
「えぇ、あの時のリベンジをしたくて。
「あなたの依頼主は私が雇いました」
「オレを殺そうってか?」
「いえ、特に恨んでいるわけでもなく、
個人的な不覚への決別です。
「ですが……。」
狐獣人は足を狼獣人の股間の上に置き、
「なっ///」
扱きはじめます。
「ふふっ、敵の前で惨めに果ててもらいましょうか?」
狼獣人は敵の前で惨めに果てたくないと、
必死で耐えようとしますが、
それはかなわず、ふんどしに染みをつくってしまいました。
それはやがて2人の因縁となりました。
狼獣人はその日の屈辱を果たすため、
何度も狐獣人に戦いを挑みました。
しかし、全て返り討ちにされて終わります。
それが繰り返されること7年。
その関係にも終わりがやってきます。
ある日、狐獣人の方から、狼獣人に果たし状が届きます。
2人の戦いは狼獣人が狐獣人の展開した魔方陣を踏むことで終わりを告げます。
「ッ!?何も起こらないじゃないか。
「不発か?この魔方陣」
狼獣人はそう言って、
狐獣人に爪で切りかかります。
「いえ、不発ではありませんよ」
しかし、狼獣人の攻撃は
狐獣人の体を透けて通り抜けます。
「なっ!?」
「これは長年研究してきた魔術でしてね。
「生物1つを対象として発動できる魔術なんですが、
対象が死ぬまで術者は不死の能力を得られるんです」
「不死だと!?」
「不死といっても攻撃を透過できたり、
肉体を再生できたりするだけですけどね。
「正確には、意思という現象を一時的に対象に保管することで、
本来では使えないような肉体全体を対象に行使できる魔術を
使えるようにするといった感じでしょうか」
狼獣人は膝を付く。
「もうオレはお前を倒すことができないってことかよ……」
狼獣人には、自分の真下にぽたりとしずくが落ちたのが見えました。
雨でも振り始めたかと思いましたが、
それが不自然であることに気が付きます。
雨なら自分の真下に落ちるはずがないのです。
汗かと思い顔を拭ってようやく気付きました。
涙です。
何故泣いているのか自分でもわかりませんでした。
「おおかみさん、あなたと戦っていて思ったんです。
戦うのも良いけど、一緒に冒険してみたいなって、
決着をつけるのはそれからでも遅くないんじゃないかなって、
満足したらこの魔術を解いてあげますから、
ちょこっとだけ私と冒険してみませんか?」
それを聞いて狼獣人は心が晴れたような気がしました。
それから、2人の冒険ははじまりました。
狼獣人は、最初
何か酷い目に遭わされるのだろう。
だがそれを耐えればまた屈辱を晴らす機会がある。
そう思ってました。
しかし、狐獣人は特に狼獣人に何かすることはありませんでした。
一緒に獲物を狩ったり、冒険者の酒場で依頼を受け、それを果たしたりしながら時は進み、
2人は次第に打ち解け合うようになってきました。
そんなある日の夜。
狼獣人が言いました。
「なぁキツネ。
「お前と過ごしている内に
なんだかあの時の屈辱を忘れてしまいそうに
なっちまったよ。」
狼獣人が何やら神妙そうなので
狐獣人も釣られて神妙な顔つきになります。
「だからその……」
狼獣人は一呼吸置いて言いました。
「あのときみたいに、
扱いてくれないか……///?」
「ふふっ。」
想像も付かなかったその一言に狐獣人は吹き出します。
「わ、笑うなよ///」
「はいはい
「それなら……まずは私の足を舐めてもらいましょうか」
「な///なんでそうなるんだよ!!!
「やっぱりやめた!!!」
狐獣人は逃すまいと何やら呪文を唱えます。
すると、狼獣人の股間の辺りに魔方陣が展開されました。
「なんだよオレに何しやがった!!」
「私の許可なしに射精できなくする呪文です」
「キツネェエエエエッ!!!」
「尻尾揺れてますよ」
「な///」
「ふふっ、あなたがイカせてくださいという度、
また、復讐したくなるような屈辱を与えてあげますね」
「誰がいうか!!!」
狼獣人の尻尾はまだ揺れていました。