「ウテナ、一つずつ見ていこう。贈り物はもらうのが当たり前だ。」
ウテナはおずおずと頷いて、最初はリネの青い光を見た。リネはニコッと笑って口を開く。
「私からは『心の美しさ』を送ります。お子さまがその美しさで民から慕われますように。」
リネが言い終わると青い光はフワッと飛んでウテナのお腹へ吸い込まれるように消えていった。思わずウテナが見続けていると、ウィルが肩を叩いて前を向くよう促す。顔を上げるとダレスと目が合った。
「番様、私からは『勇敢さ』をお送り致します。どんな困難にもしっかりと向き合って強くなりますように。」
ダレスの赤い光もウテナのお腹に消えていく。
「私からの贈り物は『知性』です。幅広い知識を身につけてお子さまの人生が有意義なものになりますように。」
ジュークの緑の光も彼の手からゆっくりと離れてまっすぐとウテナのお腹に飛んできた。
「私からのお祝いには『徳』を送らせていただきます。たくさんの経験から得たものがお子さま方の豊かな人格形成に繋がりますように。」
マリルの黄色の光がふわりと浮いてウテナのお腹に消えると、4人は一斉に言った。
「龍神様と番様、お子さま方に幸があらんことを。」
「…ありがとう。みんな、本当にありがとう。」
ウテナの桃色の目からは涙が静かに流れ始めていた。ウィルが抱き込む。
「わた、わたし…っ、がんばるからねっ、みんなから、もらった、おくりもの…、っ、むだに、しない…っ」
「番様…。」
「もったいなきお言葉です。」
「どうかお身体を大事になさってください。」
「私共は待っております。」
双子のお子さま方を。
「…え?」
「どうした、ウテナ。」
つぶやいた声にウィルが顔を覗く。ウテナは涙を拭くことも忘れて慌てる。
「え、あの、ふたご、て」
「…龍神様、言っていないのですか?」
「何がだ?」
マリルがウィルに聞くがウィルにはなんだかわからない。マリルはため息をついてからウテナの方を向いた。
「番様、失礼いたしました。龍は見ただけでお腹の子どもが何人いるのかわかるのです。…てっきり龍神様がお話しされているかと思っていたのですが、私どもの理解が乏しかったあまりに番様を驚かせてしまったようですね。」
「人間は子どもの数はわからないものなのか?」
「うん。人間はその子が生まれて来ないと双子がどうかもわからないんだよ。でも、そっか。2人なんだ…。」
「番様?」
リネの呼びかけにウテナは顔を上げて説明した。以前、小さな2人の子どもが夢に出てきたこと。龍が巻き付いて2つの光が自分のお腹の中に入ったこと…。
「それは予言だったのでしょうね。お子さまがどのような方なのか。」
ジュークの言葉に頬を染めて頷いたウテナをウィルは抱きしめた。
ウテナが破水したのはそれから数日後のことだった。