「我らが龍神様、番様にご挨拶申し上げます。」
降り立った4人は跪いてウィルたちに頭を下げた。ウィルが頷く。
「ウテナは安静が必要だ。肝に銘じよ。」
「仰せの通りに。」
それが合図だったのだろう。礼をとった4人は立ち上がってウテナの方へと顔を向け、次の瞬間には先ほどまでの硬い顔を崩して声をかけ始めた。
「番様、お久しぶりです〜!お元気でしたか?私のこと覚えてます?」
「番様、お久しゅうございます。体調の方はいかがでしょうか?」
「番様、ご無沙汰しております。贈り物をお持ち致しましたので受け取っていただけますか?」
「番様、お久しぶりでございます。いきなり私たちで参りましたこと、お詫び申し上げます。その中にお子様がいらっしゃるのですね?」
「ちょっと、私が先に言ったでしょ!みんなは下がってまっててよ!」
「番様はお身体を安静にする時だと龍神様がおっしゃったばかりではないか。そんなに元気な声を出すな。」
「番様、こちらが贈り物でございます。様々なものを持ってまいりましたので説明いたしますね。」
「自由すぎるわよ。番様はお子様を抱えていらっしゃるのだから悪い影響を与えないでちょうだい。」
結局ワーワー騒ぐ4人にウィルがため息をついた時、腕の中でウテナが少し上体を起こした。その目は4人に向けられている。そのままポツリとこぼした。
「リネ?」
ピクッと4人の動きが止まる。
「ダレス?」
そのまま停止したままだ。
「ジューク?」
ゆっくりとウテナの方を見る。
「マリル?」
「番様!!」
「わああん!」
4人一斉に駆け寄ってくるとその場に跪く。目をキラキラさせて。
「覚えてたんですか?私、とっっっっっっっても嬉しい!」
「番様につけていただいた名前をまた呼ばれたこと、誠に、誠に至上の喜び…!」
「番様、私たちの名前をつけていただきましたこと、改めて感謝申し上げます。そして、その名を読んでいただきましたことにも、感謝申し上げます。」
「番様、お身体の方は大事ないですか?あまりの嬉しさにおそばに来てしまいましたこと、どうかお許しくださいませね?」
わあわあと話す4人にたじたじになるウテナを見てウィルが一喝入れようかと思った時、
「あ、っ…」
「ウテナ?!」
「番様?!」
ウテナがお腹を中心にして丸くなり始めた。苦しそうな顔をして。
「其方ら…、離れろ!!」
「番様、入室してもよろしいでしょうか。」
「どうぞ。」
スッと戸を開けて4人が入ってくる。その顔はしょんぼりとしているようだ。その4人を睨むのはウィル。大きなソファに座り、その膝にウテナを抱いている。そのウテナは優しい顔をして4人を迎え入れた。
「番様、先ほどは失礼をいたしました。」
「ううん、いいんだよ。悪いのはこの子だからね。」
謝った4人にウテナは首を振って自分のお腹を見た。ウテナが苦しんだのは、お腹の子が元気に動いていたからだ。番の苦しそうな顔に焦ったウィルは思わず4人を追い出したのだった。褥に寝かせようとしたウィルはしかし、自分の服を強く握りながらこのままで、と言ったウテナを寝かせることなく落ち着くのを待ち、収まって息を吐いたウテナが4人を呼び戻して今に至ったのだった。
「其方ら、来た目的はなんなのだ。騒ぐためにきたのか?」
「いいえ、龍神様、そのようなわけでは。」
「我らは番様の妊娠祝いに飛んで参ったのでございます。」
ダレスとジュークが言うと、4人は手のひらからそれぞれの色の光を生み出した。
「お祝い?まだ生まれていないのに…。」
「番様、龍の子どもというのは生まれる確率は極めて少ないのでございます。ですから龍たちは妊娠したことも大きなこととして祝うのでございます。」
ウテナの疑問にマリルが答える。ウィルは優しくウテナに言った。
「ウテナ、一つずつ見ていこう。贈り物はもらうのが当たり前だ。」
ウテナはおずおずと頷いて龍たちの方を見た。