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※重い扉が開く
やぁ、よくここまで来た。と、言うべきかな。勇者一行。
あぁ、後ろ姿なのは勘弁してくれ。なんせ、顔を見られたくないんだ。
……あははは!ありきたりなセリフだな。懐かしいよ、そのセリフ。
だけど残念だ。
君達じゃ私を殺せないよ。
さて、私は勇者とゆっくりと話がしたいんだが、お供のメンバーはできれば退室していただきたい。
まぁ、そうだろうね。仕方ない。じゃあ居ても構わない。ただし、死体としてね。
※指を鳴らす
※刺さる
これで邪魔者はいなくなったね。
※魔王振り返る。
久しぶり、と言うべきかな少年。
まさか、君が勇者になるなんてね。
ふふっ、今、君はどんな気分かな?ずっと憧れていた勇者が、魔王になっていると言う状況に。
怒りが込み上がるか?それとも哀れむか?もしくは呆れたか、何も感じないか……まぁどちらでも構わないさ。
少年。いや、勇者というべきだろうか。
君は、私と同じように魔王を倒し、自国に帰る。たくさんの称賛の声が飛び交うだろう。だけど、いずれ君は私と同じになるさ。
魔王を倒して称賛の声。最高に気分がいい。
だけど、世界を恐怖に陥れた魔王を倒した勇者。いわば、魔王以上の存在。そんな存在を、国は、人間は野放しにすると思うか?
私という例がある。きっと君は、自国に帰れば殺されるよ。
ひっそりと、人々に知られずにね。
そんなはずない?そんなはずあるんだよ。私がそうだったからね。
魔王を倒して、国民から称賛の声が上がった。私も、仲間も誇らしかった。
私は、魔王討伐後は王子の妃になる予定だったが、自国に帰れば王子は別の女性を妃にしており、国王から勇者は不要だと言われた。
勇者は不要。私だけいらないって言われた。パーティーメンバーは事前にそのことを伝えられていたようで、国王からそれぞれ欲しいものを与えられた。
金に女、貴重な書物。
結局彼らは仲間とは名ばかりで、自身の欲のために動いていたんだ。誰かのためじゃなくて自分のため。
絶望したよ。死に物狂いで戦ったのに、結果がこれだ。
段々と、目の前の、周りにいる人たちが同じ生き物に感じなくなった。どうしてこんな奴らのために私は死なないといけないのか。
そんな恨みと怒りが膨れ上がった結果、私は魔王になった。
滅ぼさなかったのはせめてもの情け。自分たちの過ちを悔い改めるためのね。だけど結局、代わりに新しい勇者を育てて魔王退治。あそこはダメだ。あんなクズは死んだほうがいいんだよ。
だから悪いね、勇者。私はここで君を殺してあの国を滅ぼす。いや、国と言わず、人間を滅ぼすよ。
頑張っただろうけどごめんね。
来世は、もっと幸せになれるといいね。
※指を鳴らす
※刺さる
んー!!さてと……
参謀くん参謀くん。全員に連絡入れて。
勇者パーティーは魔王の前に敗れ、一時間後に人間の国に攻め入るって。
……任せたよー。
んじゃ、私も準備しますかな。
楽しい楽しい里帰りの時間だ。
【完】
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