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最後の日、彼女に願ったひまわり畑

  ※ラジオの音

  世界滅亡のお知らせから、もう1年か……早いね。

  明日で世界は滅びちゃうなんて、全然実感わかないな……

  だってさ、一昨日も昨日もいつも通り。そして、その前日である今日だって何も変わらない。

  そう、何も変わらない……

  結局君の病気は治らなかった。

  漫画やゲーム、アニメの世界だったら、奇跡みたいにこういう日ぐらい病気が治ってもいい気がするんだけど、現実は残酷だと思わない?

  ……ん?気にしなくていいって……もしかしてだけど、私が大好きな彼氏ほっといて最後の日ぐらい自由にやると思ってたの?

  バカだなぁ。

  ※彼氏の頭を撫でる。

  よしよし。ふふっ。最後の日だからこそ、大好きな人と居たいんでしょ。

  というかむしろそっちは行きたいところないの?

  ……うん。

  最後の日だし、先生だって許してくれるよ。ダメって言われても私がお願いする。だから、教えて。

  世界滅亡前日の今日、最後の日。君はどこに行きたい?

  ……ひまわり畑?

  ……あぁうん。覚えてるよ。入院する前の夏、一緒にいたよね。

  そっか、ちょうど今の時期だったよね。行ったのって。

  そこに行きたいの?

  ……無理じゃない。わかった!私、お願いしてくるね!

  ※扉が開く

  あ、こんにちは。ちょうどよかった。あのですね。

  ※少しまをあける。

  ※バスが発車する音

  よし、到着。目的の場所まで少し距離あるけど大丈夫そう?暑くない?

  ……わかった。水なくなったら教えてね。買いだめしてるから。

  いいのいいの。どうせ明日世界が滅ぶんだもん。今のうちに使っておかないと。

  それにしても、あっさり許可が下りたね。渋られるかと思ったけど。

  ……最後だから、ね……本当に、世界滅ぶのかな……そんな風には見えないよね。

  ……ん?うん、平気だよ。車椅子押すぐらい慣れっこ。いつものことでしょ。

  ほら、君はゆっくり景色でも眺めてて。喋ってると舌噛んじゃうよ。

  ※少しまをあける

  ※風の音

  とうちゃーく。

  はぁ、気持ちいい……

  ここは相変わらずだね。

  ん?わ、すごい汗。大丈夫?

  あ、こら動かないで拭いてあげるから。いいから、大人しくして。

  今日の私は君のお世話がかりなの。

  わがままも全部聞いてあげる。

  もう、明日からは聞いてあげられないから。

  ※汗を拭く

  よし、OK

  ……それで、景色のご感想は?

  ……ふふっ、そっか。満足してもらえたみたいでよかった。

  バスの時間まで2時間ぐらいあるから、それまではのんびりしてよ。

  ……ん?つまんなくないよ。言ったでしょ。最後の日だからこそ、大好きな人と居たいって。君のそばに居られるなら、どんな退屈なことも苦にならないよ。

  ……ん?あぁ、確かにレジャーシート持ってきたけど……座るの?地面硬いよ?どう考えても椅子の方が……あー……ハイハイ。わかった。

  ずるいなぁ、そんな風にお願いするの。

  ※鳥の鳴き声

  地面、痛くない?

  ……そう。膝枕のお加減は?

  そんな無邪気に最高とか言わないでよ。恥ずかしいな……

  ……ん?頭撫でるの?いいよ。

  よしよし。

  ……そうだね、幸せだね。

  ん?体起こすの。いいよ。よいっしょ……

  ※体を起こすなり彼氏からキス

  え、ちょ、何?

  ……したくなったって……そのしてやったり顔ムカつく。

  ※彼氏、彼女に寄りかかる

  どうしたの?随分甘えん坊ね。

  ……来世?

  んー、そうだね。世界が滅亡するからどうかはわかんないけど、あるとは思うなー。輪廻転成みたいな?

  体は朽ちても、魂は巡り続けるみたいな。

  ……生まれ変わって、出会える確率低いかもだけど……そうだね、もし巡り会えたら、また君と付き合いたいな。その時は、結婚して子供作って、幸せな家庭を築いて、一緒におじいちゃんとおばあちゃんになって、悔いなく行きぬきたいね。

  ま、でも。お互いに人の形で生まれ変われるかはわかんないけど。

  動物、もしかしたら宇宙人になってるかもだしね。

  ……あははは、ごめんね。冗談冗談。

  ……んー?罰としてキス?

  ふふっ、そんな理由じゃなくても、したいならいくらでもしてあげるよ。

  ※軽いキス。

  ※少しまをあける

  ※カラスの鳴き声

  ※扉が閉まる音

  それじゃあ、私帰るね。そろそろ面会時間終わっちゃうし。

  ……え……やだって……どうしたの?今までそんなわがまま言わなかったじゃん。

  ※彼氏、倒れこみながら抱きしめる。

  え……

  一人……でも、先生になん3て言われるか……

  確かに、わがままも全部聞いてあげるって言ったけど……

  ※彼氏から少し激しめのキス

  ……わかった。先生にお願いしてくる。だから泣かないで……一人にしないから……そばにいるよ。ずっとそばにいる。

  一緒に、死のうね……。

  ※扉の閉まる音

  先生いいって。またあっさりだった。

  ……少しは落ち着いた?

  ……謝らなくていいよ。むしろ、あんなに積極的だったの嬉しかった。

  ふふっ、顔真っ赤。可愛いな。

  ※彼女、ベットに突っ伏す

  静かだね……確かに、こんなに静かな場所で一人はやだね。

  うん、もっともなわがままだ。

  ふふっ……体は、平気?

  ……そっか、不思議と平気、か……治った……なんてことはないだろうけど、神様も今日ぐらいはって思ってくれたのかもね。

  ……ネガティブだなぁ。ポジティブに考えよ。ね?

  ……うん、よろしい。いい子だね。

  ……ねぇ、もう一回さっきみたいにいっぱいキスしようよ。

  ……大丈夫。看護師さんたちもナースコール押さないとこないよ。

  ※カーテンを閉める

  だから、ね?

  ※彼女からの優しめのディープキス

  ※しばらくして口を離し、少し間を開けて泣き出す

  死にたく無い……

  君と、もっと一緒に行きたいところたくさんあった。

  たくさん、やりたいこともあった。

  なのに、君の病気はならないし、世界が滅ぶとか言われて……よくわかんなくて……だからナンダみたいに、毎日いつも通りすぎて……でも、今になって色々後悔して……そして、どうやっても抗えないのに死にたく無いとか思って……頭も心も感情もぐちゃぐちゃで……

  ※彼氏が彼女の頭を撫でる

  ……どうして君が謝るの?

  君は何も悪く無いのに。全部、全部、私のわがままで……

  ※彼氏、抱きしめる

  ……わがままぐらい、いいんだよ。私、君のワガママ聞くの大好きだし。

  ……君も?あはは、じゃあ私たち似た者同士だ。

  ※彼女強く抱きしめる?

  強く抱きしめすぎてない?痛くない?

  ……ひまわり畑、綺麗だったね。

  生まれ変わったら、また行きたいね。

  ……そうだね。世界が滅んじゃったら、あるかもわかんないね。

  でも、きっと夢には見るかもね。

  夢の中では世界が滅ばないで、来年も、再来年もひまわり畑があって……毎年一緒に、行って……あぁ、考えるだけで幸せだな……

  ……ん?どうしたの?眠いの?

  お薬効いてきたのかもね。

  もう寝ていいよ。

  大丈夫、そばにいるから。ずっと、そばにいるから。だから……心配しないで……

  ※心電図の音。しばらくして止まる。

  ※まをあける。

  ※扉が閉まる音

  ……大丈夫、ずっとそばにいるよ。そばに……

  ※彼女泣き出す

  ごめん……ごめんね……嘘ついて、ごめんね……本当は、本当は………

  ごめんね、ごめんね……ごめん、ね……

  【完】

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