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見知らぬお姉さんに養わ(かんきんさ)れる

  ※男の子が目を覚ます

  あ、起きた?おはよう。よく眠れたかな?

  ……ふふ、不思議そうな顔して可愛いね。

  初めましてだよね。私ね、君のご両親の知り合いなんだ。

  ……うん、そう。で、君のことはよくご両親から話を聞いていて、昔は何度か見かけたことあるんだ。最近はさっぱりだけどね。

  あ、そうだ。お腹減ってない?すっかり夜になってるし、晩御飯作ろうか。

  君の好きなものとか苦手なものはちゃんとご両親から聞いてるから、安心して。

  ※鎖の音。

  あぁそうだ。いい忘れてた。その鎖結構長めにしてるから部屋の中は自由に歩き回れるよ。ただ、玄関には出れないように長さはしっかり調節してるから。

  それと、インターホンは基本的に使わないから、あんな風に鉄の箱で覆ってボタン押せないようにしてるから、音がなっても気にしなくていいからね。

  んー?どういうことかって?

  別に疑問に思うことじゃないでしょ。君にとっては、外に出るなんて関係ないでしょ。学校に行くわけでもないのに。

  だから君は、気にせずここでの生活を楽しめばいいんだよ。不自由はさせない。必要なものがあればなんでも言ってね。

  ご両親?あれ、聞いてないの?一ヶ月間海外出張だって。

  ……なんだ、聞いてるんじゃん。実はね、ご両親に相談されてね。息子のことが心配だって。だから、「じゃあ私が面倒見ますよ」って言ってね。

  だから、君が私の家にいるのはご両親も知ってる。まぁ、鎖に繋がれてることは知らないだろうけどね。

  あ、ハンバーグ作ろうと思ってるんだけど、目玉焼きとチーズどっちがいい?

  ……そんなに怖がらなくても何もしないよ。私はただ君のお世話をしたいだけ。

  あっ、昼間は私、仕事で外に出るから、家で一人になるけど、ちゃんとご飯とかの準備はするから心配しないでね。

  ……まだ怖がってるの?まぁ、知らない女の人の家にいるんだもんね、警戒はしちゃうよね。でも、すぐになれるから安心して。快適に過ごせるように、私も頑張るから。

  ……ここから出して?どうして?家にいても、誰もいないんだよ。だったら、ここにいてもいいでしょ?大体、外に出る必要なんてないんだからどこにいても一緒でしょ?それとも、学校に行く?

  ……君の事情は知ってるよ、いま不登校で家に引きこもってるって。別にそれを責める気は無いし、行きたく無いならいかなくていいよ。でもさ、外に出ないんだったらどこにいても一緒でしょ?

  ご両親が帰ってくるまで、私がちゃんと面倒見てあげるから心配しなくていいよ。

  ※がしゃんという激しい音

  ※男の子、お姉さんを押し倒す

  ……ふふっ、意外と大胆ね。私のことを押し倒すなんて。それに危ないよ、包丁なんて持って。

  ……君のやろうとしてることはわかるよ。だけど、そんなことしてもこの部屋からは出られないよ。

  君を繋いでる鎖の鍵は、外のポストの中にある。取り出せるのは私だけ。この意味わかる?

  安心して。本当に私は君に危害を加えるつもりはない。ご両親が帰ってくる一ヶ月を、ただこの部屋で一緒に過ごすだけ。

  ※ お姉さん起き上がる

  はい、包丁返して。危ないよ。

  ……うん、いい子だね。それじゃあ、晩御飯作るから少し待っててね。

  あ、せっかくだしおふろ入ってきたら?もう沸かしてあるし。

  服は、私が用意したものを使ってね。普通の服だと、鎖繋いだまま脱いだり着たりできないでしょ?だから、特別なやつだよ。

  ちょっと待っててね。

  ※ お姉さん、駆け足で別の部屋に行く

  ※ しばらくして戻ってくる。

  はい、どうぞ。

  ご飯できるのに時間かかるから、ゆっくり入っておいでね。

  ※ まをあける。

  ※ 扉の開く音

  あ、上がった?ちょうどご飯できたよ。こっちおいで。

  ……ふふ、そのパジャマよく似合ってる。可愛い。

  ん?どうしたの?……なんでもない?そう?

  ……ふふっ、何?好みのパジャマだった?

  ……あはは、そんな必死に否定しなくてもいいよ。わかったから。

  ほら、冷めないうちに食べよう。二人前作るのなんて久々だから分量少し間違えちゃった。

  でも、味見したから大丈夫。絶対美味しい。

  それじゃあ、いただきます。

  ※ お姉さん、ご飯を食べる。だけど、男の子が食べてないことに気づく。

  どうしたの?食べないの?あ、やっぱり目玉焼き載せてる方がよかった?

  私のと交換する?

  ……ふふっ、なるほどね。大丈夫、何も入れてないから。そんな、白雪姫の魔女じゃないんだから。異物混入とか、食べ物への冒涜だよ。

  ほら、口開けて。あーん。

  ムー、頑固だな。お腹減ってるでしょ?減ってない?うっそだぁ

  ※男の子のお腹がなる

  ほら、お腹さんが苦しそうに悲鳴あげてるよ。

  どうする?食べない?食べる?

  ※男の子、悔しそうにご飯を食べる。

  ふふっ、美味しい?……そう、よかった。

  あ、寝るときは私のベッド使っていいよ。私はソファーで寝るから。

  ……言ったでしょ。君に不自由はさせないって。ベッドの方が良く眠れるでしょ?私はどこでも眠れるから大丈夫。気にしなくていいよ?

  あ、歯ブラシとかも準備してるからあとで出しとくね。

  他に何か必要なものがあればいつでも言ってね。

  ※少しまをあける

  はぁ、さっぱりした。

  あれ?まだ寝てなかったの?今日は疲れてるだろうし、寝ていいんだよ?

  ……ふふっ、まだ警戒してる。まぁ初日だから仕方ないよね。

  でも、本当に私は何もする気ないから。

  本当に、一ヶ月間、君とここで一緒に暮らしたいだけ。それだけなんだ?

  どうしてって?君のご両親にお願いされたからってのもあるけど……ふふっ、本当の理由は内緒。まだ言えない。

  あ、そうだ。明日の朝ごはん何がいい?

  甘いもの好きだよね。フレンチトーストとか作ろうか?

  ……なんでもいい?わかった。じゃあ、うんと美味しいの作ってあげるね。楽しみにしてて。

  ……ふふっ、ウトウトし始めたね。そろそろ眠たくなってきたかな?

  ……強がんないの。ほら、ベッド行くよ。色々気を張ってたから、少し楽になって眠くなったんだよ。

  今日はゆっくり寝て、また元気な顔見せて。

  おやすみ。それと、一ヶ月よろしくね。

  【完】

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