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俺と『彼女』とラグビー部について

  「おはようございます兄貴ッ!!鞄お持ちします!」

  「ございます!」

  「……おぅ。」

  朝の校門で寝不足の頭に響くような喧しい声の後に、地を揺らすような低音の返事で応える声。巨体を揺らして周りを威圧するような顰めっ面で堂々と大股で歩く熊獣人は、ここいらで知らないヤツはいないうちの学校の番長。今日も舎弟二人を引き連れて第一校舎の方に向かって歩いていく。

  この前までなら、俺はなるべく関わり合いにならないよう通り過ぎていただろう。面倒事には首を突っ込みたくないし、何より顔が怖くてマジでビビっていた。だけど今となってはそんな事は無い。

  スマホに表示された連絡先にメッセージを送る。たぶん、教室に着いたくらいで気付いてくれたらいい。そう思いながら、俺も自分の教室がある第二校舎に向かって歩いていくのだった。

  おおあくびを一つしながら廊下を進めば、教室前に立っていた無駄にイケメンメガネのライオン獣人に呼び止められる。

  「おはよう。なんだ、また寝不足か。」

  「おはよ。ってキャプテンか。なんだよ朝っぱらから…」

  「ここ最近部活に遅れるからな。よもや遅刻までしてないかの確認だ。」

  軽くため息をつきながらメガネをクイっと上げているコイツは俺たちラグビー部をまとめるキャプテン。逞しく端正取れた肉体美と甘いマスク、おまけに成績優秀な生徒会副会長でうちの部で女子人気を独占してる非常に憎いヤツである。特にアホ猪の奴はコイツを目の敵にしている。わかる。俺も一回殴りたい。

  とまあこうは言うけど、コイツなりに部の事を考えてるのと、なんだかんだ心配してるんだろう。根はいいやつなのだ。

  そんなキャプテンはと言えばどうも機嫌が悪いのか眉間の皺を深くしながらため息混じりに口を開く。

  「しかし先日は『あいつ』に呼び出されたらしいな。全く…あの関連はうちの会長が煩いのなんの…」

  「あー……」

  あいつ、とは言うまでもなく番長の事だ。こいつら生徒会としては校内の風紀を乱す…ような奴は容認できないんだろう。特に生徒会長は前々から事あるごとに敵視してたようだし。俺としては適当に流していた訳でまあ関わりたくなかったし実際関わりなかった。

  けど、今となってはそれを看過するのは…正直ダメだ。『あの子』は…

  「うぉあああああああああ!!タンマタンマタンマぁぁあああああああ!!!」

  口を開こうとしたところでチャイムが鳴った。同時に外からドタドタと騒がしく駆けてくる足音と鬼気迫る顔で絶叫しながら校門に突っ込んでくる例の猪がいた。まさに猪突猛進。だが部活で培った足腰の強さの見せ所はそこではないぞ猪よ。

  そして哀れなるかな、勢いの割に全く間に合わないうちにチャイムは終わり、門は閉ざされた。指導室行きお疲れ。

  「……俺よりアイツに言った方いいんじゃね?」

  「…そのようだな。後でメニュー追加だ。」

  「うわ、鬼キャプ。」

  フン、と鼻を鳴らして隣の教室に戻ったキャプテンを見送りながら、俺も自分の教室に入っていった。さて、一限目は何だったかな…

  と、不意にスマホに通知が入ったのに気付いて確認する。差出人を見て、思わず尻尾がパタリと振れた。

  『おはようございます!今日も一日、元気に頑張りましょうね♪』

  …やっぱり、俺の『彼女』はとっても可愛い。

  ……………

  昼休みになればめんどくさい授業からの一時的な開放感溢れる一時。俺とタケル、おまけにキャプテンの三人は部活同士で集まって飯を食う事が多い。教室で机を引っ張り寄せて飯をつつく俺たちの今日の話題は勿論盛大に恥ずかしい遅刻をかましたヤツへのお説教だった。

  「だから悪かったって…ちょっと夜更かししててよー…」

  「どうせエロ動画だろお前。また親父さんお袋さんに怒られたってな。」

  「おま…それ言うなって!!」

  「タケル…お前も一応スポーツマンだろうが。自己管理も出来ないからそんなにブクブクとだな…」

  「うるせー!フォワードにゃこの体格が重要なんだよ!」

  半ばヤケクソに豪語しているのだが…割と危機感持てよお前。二限からずっと早弁してんの知ってんだからな。自由か。

  菓子パン頬張るタケルの脇で、こっちは綺麗に詰められた弁当を丁寧な手つきで口に運んでいるキャプテン。コイツホントこういうとこだよな。イケメンis正義かこの野郎。女子の視線が二重の意味で痛いんだよ。責任とってどうにかしてくれ。

  「コイツの問題はもう放っておくとしてだ。今週末の練習試合についての打ち合わせもしておきたい。」

  飯を食い終わったキャプテンは、メガネを拭きながら真面目な口調で話を始めた。隣ではまだタケルがアホ面でおにぎりを貪っている。お前ほんとそこまでにしとけよ。

  「いつもの隣町とのやつか。今回はどうするかな…」

  「代替わりして初めてだからな。向こうもガラッと戦術変えてくるだろうし…」

  「あっちは軽めの多いだろ?なら中央から…」

  今週末に迫った隣町の高校との練習試合は、いわば伝統とかいうやつだ。特に成績に影響するとかではないが、OBたちの気合の入りようがヤバい。そこで無様な試合なんかやったら…それで一番キツイ目にあうのがキャプテンなんだからそりゃ真面目にもなるだろなぁ。ごっついOB達的に見りゃ鍛え方が全然足りないとか言われてるし。イケメンも中々困ったもんだ。

  あとアホ猪は腹一杯になって寝てた。もうコイツはほっとこう。

  一通りある程度の話を纏めたあたりで昼休みが終わる予鈴が鳴った。あとは部活の時に詰める事にして、キャプテンは隣の教室に戻っていく。俺は涎垂らして爆睡していたアホ猪の頭を引っ叩いて午後の授業へと挑むのだった。

  案の定、居眠りで大いびきをかいたヤツは額にチョークをめり込ませながらあえなく指導室行きとなった。懲りるという事を知らんのか。

  …………

  「って感じでさ。ホント馬鹿ばっかで…」

  『ふふふ、面白い人なんですね、あの人…まさか一瞬で土下座されるとは思いませんでしたけど…』

  「あれは…うん。うん……」

  夜、ベッドの上でスマホ越しの他愛もない会話をする。ビデオ通話の画面に映っているのは、眼鏡をかけたぽっちゃり可愛い熊獣人。お風呂上がりなのか見せてくれたパジャマ姿もこう…凄かったと言っておく。俺のしょうもない話でもくすくす笑ってくれるのがすごい嬉しいし…俺も『彼女』…ナツキともっと話していたい。

  過ぎるのはあっという間で、明日も学校もあるから、そんなに遅くまでは出来ないのが残念だ。

  『でも、そうですか…練習試合…ハルトくん、ラグビー部でしたっけ?』

  「うん。まあ男所帯でガサツで乱暴で…でも気のいいやつばっかだよ。」

  『本当ですか?とっても優しい人もいますよね?』

  「…それはほんと照れるから勘弁。」

  少し揶揄うような彼女の言葉も嫌な気はしない。むしろ、俺にそんな一面まで見せてくれるのがなんだか嬉しくて…そしてやっぱり少し恥ずかしい。おれにとって大した事無いことでも、この子は全力で受け止めてくれる。だから、大好きなんだ。

  そんな彼女は画面の向こうで少し考えた後、おずおずと口を開く

  『それで…もし、良ければなんですけど…応援に行っても良いですか?』

  「えっ!?」

  思っても見なかった言葉に思わず声が出てしまった。それはつまり、つまりだ。彼女が俺たちラグビー部の前に現れるという事。

  …正直、いやかなり不安だった。特に猪。SNSでこの子を知ったきっかけな訳で、関係知られたら正直何されるか本気で怖い。怖い…が。

  『ハルトくんが…一生懸命頑張ってるところ、間近で見たいんです…』

  そんな事を言われて断れるはずがないじゃないか。もちろん俺だってカッコいいとこ見せたい訳で…結局なんだかんだで、俺はこの子にぞっこんになってしまっているらしい。

  無自覚なのが本当にズルいと思うよ、君。

  「オッケーわかった。けど汚れてもいい動きやすい服で来た方がいいよ。結構土っぽいから…」

  『はわぁ…はい、それじゃあ週末、楽しみにしてますね?』

  そんなささやかな約束をしながら、俺たちはまた笑い合って話をしていく

  時計の針がてっぺんを回る前に、お互いに「おやすみ」を言うまで。

  ……………

  「……ふぅ。」

  通話を終えて、僕は小さく息をついた。まだ胸がドキドキしている。なんでもないことを話しているだけなのに、どうしようもなく嬉しくて、あったかくなって。

  ベッドの上で、お気に入りのクッションをぎゅっと抱きしめた。すごい、ポカポカする。

  大好きが止まらない。こんなチグハグな僕が人を好きになって、想いに応えてもらって、それがとっても、とっても嬉しい。

  だから週末は、彼のことを一生懸命応援して…いっぱいかっこいいところ見せてもらって…

  「ふふっ、楽しみだなぁ……」

  ぽふっ、とベッドに横になる。胸がずっとドキドキしたまま、それでもうとうと眠くなって、とっても幸せな気分のまま、僕は眠る。

  きっと今夜は、いい夢が見られそう。

  ……………

  週末、隣町との境にある河川敷のグラウンドに俺たち含め両校ラグビー部員たちは集合していた。周りにはOBや保護者の集まりが出来て、数件屋台なんかも出てる。だいたい毎回こんな感じで謎の盛り上がりを見せるのがこの伝統の一戦というやつだった。というかOBの視線がめちゃくちゃ怖い。「無様な試合したらどうなってるか…」な言語化されたオーラが見える…気がする。いや気のせいだきっと。

  しかしそうというのも対戦相手の隣町のメンバーを見れば察しがつく。

  なんか一人すげーでっかい人がいるんですけど。見た感じうちの番長とタメ張るくらいの巨漢な白熊獣人。周りの他のメンバーから頭ひとつ抜けているし横にもでかい。タケルの奴がもうビビってたし、キャプテンは頭を抱えて絶望していた。っていうかこんな奴去年いたっけ?

  そんなこと考えてたら、当のでかい白熊がのっしのっしこっちに歩いてきて鼻で笑ってきやがった。

  「なんじゃなんじゃァ!そっちはモヤシしか居らんのかァ!?」

  「ば、番長っ!スポーツマンシップ大事だからそういう事は…」

  「知らんわ!しかし…向こうの番は出てこんのかァ?とんだ腰抜けじゃのぉ!!」

  散々ムカつく挑発かましてきやがったなこのクソ白熊…

  けどそういえば聞いた事がある。うちの番長と鎬を削る隣町の番長。外見は概ね聞いた事はあったけど、それがコイツか。なるほど、向こうも大変らしいが…だとしても手段を選ばないにも程が無いか?規格外の力自慢な素人、最悪重傷者出てもおかしくないんじゃ…

  勿論こっちは空気最悪、OBからの絶対勝てと言わんばかりの視線が突き刺さる中、キャプテンがつかつかと前に歩いていく。向き合ったのはさっき白熊を止めようとしていた山猫…向こうのキャプテンだ。焦った顔はそのまま、それでもお互いに目線を外さず口を開く。

  「…なるほど、なりふり構わずか…随分と堕ちたものだな。」

  「な、何とも言えよ。ウチは絶対に勝たないと…」

  どうやら向こうもこっちと似たようなものらしい。確かに向こうの観客席からも似たようなオーラを感じる…気がする。面倒な伝統に振り回されるのはお互い大変だなホント。

  そんな空気を読まずに…おそらく読めないんだろうけど、白熊は面白がるようにキャプテンを茶化し続ける。

  「ほーん。ワシに勝てんから物言いか?姑息な奴っちゃのぉそっちの頭はなぁ?」

  「ああ…そっちこそ『こちらの番長に勝った事は無い』のだろうに。『弱いものイジメしか出来ない腰抜け』が何を言おうと耳に入らないさ。」

  あ、これ爆弾だわ。というかキャプテンこれマジでキレてない?毒舌マシマシにも程があるだろ。あーヤバい白熊メッチャ怖い顔で睨んでんだけど。

  けどまあ…あそこまで言われっぱなしで俺らも引き下がれないしな。やっぱ言ってくれてありがたかった。流石キャプテン。

  向こうがキレてなんか喚いている白熊を数人がかりで押さえ込んでいるのを尻目に戻ってきたキャプテンをひとまず労ってやるか。

  「…相変わらずこーゆー時は口回るよなお前。」

  「なに、同じ事をより明文化してやり返してやっただけだよ。」

  ホントそういうとこだよお前。ナチュラルイケメンか。惚れるぞ。

  とはいえ妙な形にはなったが戦意高揚にはなかなかこれは効果があったようだ。アホ猪なんかフンフン鼻息荒げて今にも飛び出して行きそうなんだが。お前はもうちょっと落ち着け。

  が、その猪の動きが急にぴたりと止まった。怒り狂った顔が何やらこう口開けて驚愕の…なんだ?え?何ちょっと怖い。

  「お待たせしました…ちょっと遅れちゃって…」

  聞き覚えのある声、しんと静まり返った自陣。振り返れば、そこにいたのは…

  女神。

  いや、比喩だけども。縦にも横にも大きな豊満ボディで、柔和な笑顔で笑いかけてくれる眼鏡っ娘な熊獣人…勿論ナツキである。何度も言うけどほんとに可愛い。が、いつもと雰囲気が違う。

  ポニテにスポーツウェア羽織ったTシャツ姿、スパッツにスニーカーで…確かに汚れてもいい動きやすい格好だけど…だけど!その、ね…割と体型が部分部分でわかってしまうと言うか…いや待てお前らどこ見てやがる!俺もおもわず見ちゃうけどさ!

  「…なあキャプテン。この娘…」

  「いや、俺は知らない子だな。」

  モテ男のキャプテンが知らない、という事で、彼女が真っ直ぐ見つめている俺に周りからの視線が集まる。詳しく説明しろ、と言わんばかりの圧。ごめん、来てくれたのは嬉しかった。嬉しかったけど…タイミングが、ね。うん……

  「え、えっと…俺の…大事な子です…ハイ。」

  瞬間、俺の身体はキャプテンを除いた全部員達による強制スクラムの中に飲み込まれたのだった。

  中でもタケルの奴がヤバかった。何がヤバいってもう目とか。完全にアレだった。

  「恨みはらさでおくべきか」なんて今日日久々に聞いた。

  ………………

  何やら向こうが騒がしい。部員同士の仲間割れか何かじゃろうか。

  しかし、腹が立った。あのライオン、本気でぶん殴ろうと思ったわ…いや、止められなけりゃぶん殴っていた。

  それほど、ワシにとっちゃ屈辱的だった。

  アレの言う通り、何度挑もうがワシは向こうの番に勝てていない。顰めっ面浮かべたまんまの奴に、ワシは何度もぶん投げられた。それだけならまだ良い。

  ワシは、手加減されとった。

  地面に落ちても怪我なぞしないよう、うまいこと力を殺して何度もワシを転がしていく。

  ワシのことなぞ敵ですら無いと言わんばかりの…そりゃあ屈辱じゃった。

  だから、本当はホッとしていたのかもしれん。ラグビー部の練習試合なぞにアイツが来るはずはない。ワシが一番でいられる場所に。だからこそ、図星を突かれるのが痛い。

  「……けったいじゃのぉ…」

  吐き捨てるように言ってやった所で、周りの奴らが固まっている事に気づいた。視線が向かっているのは向こうのベンチ。「女子マネ…」とか誰かが言っとった。

  そこに見えたのはワシと並ぶデカさの熊獣人。背格好からして多分女子じゃろう。ふと、その子と目が合った。

  慌ててぺこり、とお辞儀をして、こっちに笑いかけてくる。

  その瞬間、ワシは落ちた。

  ……………

  「お疲れ様でした。はい、冷たい飲み物です。」

  「ん、ありがと。」

  ナツキから冷えたスポドリを受け取り、火照った身体を内側から冷ましていく。おまけに他の部員達にも配ってくれる優しさ…これにはOBのお兄様方もにっこり。

  そして結果としてはまさかの圧勝だった。いや、こんなあっさり言って良いものかと思うけどホントにそうであって。なんというか試合開始直後から向こうの動きが全くヘロヘロっていうか、試合開始前からお通夜モードだったっていうか…

  向こうの番長が思いの外頑張ってだけど素人一人の奮闘ではどうしようもなく…うん。

  試合後の挨拶の時もうわ言みたいに「女子マネ…」とか言ってたけど。

  「フフフ…あいつら戦う前から負けてたんだって。君のおかげでね。あ、連絡先交換しない?」

  「やってみろお前の豚鼻コンセントにしてやる。」

  「ま、まあまあ……」

  この猪マジでいっぺん去勢されて然るべきでは?いや、流石にそういう真似する奴じゃないのは知ってるけど気分の問題で。君もこいつにあんまり甘くしないでね?つけ上がるから。

  「しかし…フフフ、実物はやっぱりでっけぇ…」

  「っ……!」

  「聞こえてんぞエロ豚。」

  前言撤回ホントいい加減にしろよ豚…明らかに目がドスケベ親父のそれになってんぞ。

  彼女がマジで怯えてるので今後は極力こいつを近づけないよう気をつけよう。俺でさえまだ触れてないんだからな。

  そしてキャプテンはといえば「…女子マネージャーの募集…」などなどぶつぶつ考え込んでいた。え?マジで考えてんの?というかそれ大事な要素?…だったのかもな。なるほど、エロ猪の奴が珍しく理解が早い理由がわかった。

  「お前もたまにすげー失礼なこと考えるよな。」

  「事実だろ?」

  「女子マネは確かに欲しい。って訳でこのままうちの部に!」

  「ごめんなさい。」

  「即答!?」

  当たり前だバカ。そもそも俺の大事な子なんだこんな男所帯に置いてられっか。特にお前みたいな奴がいるから却下だ却下。にしても、だ。

  「結構そういうのも似合うな…見たことなかったけどいいと思う。健康的っていうのかな…」

  「そ、そうですか?えへへ…お姉ちゃんから借りてきたので、似合うかわからなかったんですけど…」

  そう言って照れてる彼女を見ていると本当に可愛いなあ、と思う。隣でタケルの奴がまたすげー顔してるけどまあ無視しとこう。

  キャプテンは…なんか色々メモ書き始めていた。今後の戦略…主にメンタル…とか見えた。どうする気だろうか……

  ……………

  完全に通夜じゃった。もう始まる前から、OB連中に至るまで。マジかお前ら。

  しかも原因が女子マネとかふざけとるんか!とか言ってやったら逆ギレされた。すまん。

  曰く、もうその時点で勝敗は決していたらしい。

  …いや冷静に考えたら訳がわからん。とは言え、ただ試合で負けた時よりも絶大なダメージを受けた事は確かじゃろう。こいつらも大変じゃな。

  しかしワシはそれよりも気になる事があった。

  向こうに出てきた熊獣人の女の子…可愛かった。多分こいつが一目惚れとか言う奴なんじゃろうが…ううむ…

  できるなら、お近づきになりたい…じゃが今のままでは足りん。今日の負けなぞ自分の力だけで覆せるような、あの子に相応しい漢になる……

  ワシはそう、心に決めたんじゃった。

  つづく?

  おまけ

  試合後の幕間

  「んー、でもナツキちゃんが男だったら…向こうの番長でも抑えられる凄いプレイヤーになってそうだよなー。」

  「えっ?い、いえそんな…僕じゃそういうのは…その……」

  「もしもの話だって!可愛い女の子にそんな…って僕っ娘!?えっお願いもっかい言って!」

  「やめておけ。ハルトのやつが物凄い顔してるぞ。」

  「え?そうか俺?」

  「こっわ…鏡見てこいお前…」

  「はわわわわ……」

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