【シチュエーションボイス台本】人間嫌いの獣人のあなたは森で倒れているお嬢様を拾ったようで…【フリー】

  …うぅ、ここどこですのぉ…?この森で迷子になって早2日、ずっと歩き回ってたけど、全然抜け出せないですわぁ…

  屋敷から抜け出すときに持ってきた食料も無くなってしまいましたし…ここ、さっきも通ったことのある場所な気がしてきました…

  うぅ…もう体力も精神も、げ、限界ですわぁ…

  少しだけ…少しだけ、眠りましょうか…

  …ぐぅ……

  ─────

  …う…

  …はっ、ここは!?

  ってあれ…[[rb:私 > わたくし]]どうしてこんなところに…

  『大丈夫か』って…う、うわあっ!?

  …き、急に話しかけられてびっくりしました…普通に人がいらっしゃったのですね…

  その…失礼を承知で尋ねるのですが…あ、あなたは一体…?

  というか、いったいなぜ私はこんなところに?

  『森で倒れているところを見つけた』…?『自分は森に住んでいる狩人』…

  まぁ!あなたが助けてくださったのですね?ありがとうございます!

  え…?『体が良くなったら早々に出て行け』…

  …は、はい。えっと、もちろんです。

  ですが、その…実は私迷子になってしまっていて…森の中を2日間眠らずに歩き回っていたのですが、一向に我が家へつながる道が見つからず…

  …?はい、一睡もしていないです。

  え?『そんな体調じゃ迷子になるに決まってる』…う…返す言葉もございません…

  でもいっぱい歩き回った方がチャンスも多いかなと思い…『そんなわけない』…う…はい…すみません…

  …え?今なんと仰りましたか?

  …『だから丸2日も眠っていたのか』…ですって!?

  …大変ですわ!

  2日歩き回って2日寝ていたと言うことは4日後…本日はお父様とお母様がお帰りになられる日なのです!

  『何をそんなに焦っているのか』…う…その…

  …じ、実は私ここら一帯の領主の一人娘でして…本日はそんな私と婚姻を結ぶために、別の領地のご子息様達とダンスパーティをする日なのです…

  …ご子息様達はお父様達と一緒にこの領地に向かう馬車に乗っていらっしゃるハズなので…お帰りになられたときに私がいないことがバレればきっとタダではすみません…

  もしも帰れなかったら、きっとお父様達にも恥をかかせてしまいますわ…

  …そ、その…不躾なお願いである事は重々承知しているのですが…私を領主の屋敷まで送り届けてはいただけないでしょうか!?

  勿論できる限りの礼はさせていただきます!もし難しいようでしたら、せめて近くの町まででも構いませんから!

  『断る』…だ、駄目…なのですか…?

  お礼はいくらでもいたします…金銀財宝に土地、なんでしたらお父様に頼み込んで爵位を差し上げることだってできるかもしれません!

  …そ、それでも、駄目‥ですか…?

  『違う』?『ここから領主の屋敷まで馬車でも半日はかかる』…い、今は…『もう日が落ち始めている』…

  そ、そんな…ではどうしようもないじゃないですか…

  …申し訳ありません、無理を、申し上げてしまいましたね…

  …その…一つ、泣き言を吐いてもよろしいでしょうか…

  『勝手にしろ』…ええ、ありがとうございます…

  …私…見知らぬ方と結婚するのが嫌だったのです…

  女である以上領地を継ぐ事はできず、男性の方を当家に取り入れる必要があるのは…ええ、理解しております。

  ですが、私にも将来恋焦がれるような相手が現れるというふうに考えた時期がございまして…

  それで、その…私なりの反抗だったのです。いつも出歩いている森より少し遠出をしたのですが…

  …その結果がこれです。手前勝手な未練で出ていって、父上にも恥をかかせて…私は領主の娘失格です…

  せめて、愚かな女だと笑ってください…

  …うう…グスッ…

  …え?…『質問がある』…は、はいなんでしょう?

  …『爵位を与えれるのは本当か?』…えぇ、はい。

  お父様との交渉次第ではあると思いますが…爵位の中では1番低い男爵くらいなら、当家から国への口添えで、賜える程度の権力はありますわ…

  あの…何を?…はい?…『送ってやってもいい』…な、何か方法があるんですの!?

  で、ですが馬車でも半日と…

  …あなた様が、私を背負って行く?…じ、冗談を言っている場合では…!

  ……いえ、もしかして…あなた様がフードをそれほどまでに深く被っている理由って…

  あ、フードを取って見せてくださるのですか…?

  …!

  …やはり…頭に生えた獣耳…あなた様は獣人だったのですね…

  …ですが…

  『獣人は嫌いか』…?い、いえ…獣人であることが問題なのではなく、その…

  フードを取って、初めてお顔をしっかり拝見させていただいたのですが…随分と、その…お、お綺麗ですね…?

  あ…す、すみません!えっと…

  …た、確かにあなた様であれば、地形に左右されずに屋敷に向かえる分、馬よりも早く到着できる可能性はありますね…

  …わかりました。お願いしてもよろしいでしょうか?

  ─────

  う、うわあ…すごい高いですわね…

  …『舌を噛む』…す、すみません……

  で、ですが、あ、あの、もう少し低く跳ねていただけませんか…!?

  あ、ありがとうございます…

  …うう、私、実は、高いところが苦手でして…少しの段差でも足がすくむのほどなのです…

  気をしっかり持ってないと、気を失ってしまいますわ…

  『別に気絶してもいい』…?で、ですが…その…勿体無いかなと…

  …い、いえ!なんでもありません…

  …その、背中に乗せてもらっているのに申し訳ないのですが…気を紛らわせるためにお話ししませんこと?…

  『別に構わない』…あ、ありがとうございます!えっと、では…

  あ、あなた様は、何がお好きなんですの?……狩人ですもの、やはり弓のお手入れとか…?

  『特にない』…そ、そうですか……

  えっと…で、では!なぜ森に住んでいらっしゃるのですか?

  あなた様は見る限り、優秀な狩人でいらっしゃりますよね?それほどの腕でしたら、どなたかに腕を買われたり…!

  …『獣人なのがバレてクビになった』…そ…そう、ですか…

  ……その…

  …あの、謝罪します。

  私、世間知らずで……獣人の方々がどのような扱いを受けているか、本の上でしか存じ上げておらず…無神経な質問でしたね…

  …『気絶しても良いから話しかけるな』…はい、申し訳ありません…

  …最後に、一つだけ質問しても?

  あなた様は、その…人間がお嫌いなのですか?

  …そうですか…お嫌い、なのですね…

  でも、私のことは助けてくれたではありませんか?一体なぜ…

  『爵位があれば多少は生きやすいから』…本当にそれだけなのですか?

  …そう、ですか…答えていただき、ありがとうございます。

  …もう、静かにしていますね…

  ─────

  …んぅ……はっ!

  と、到着したのですか!?

  まだ日が出ている…間に合いましたわ!あなた様のおかげです!

  …馬車が止まってない…お父様達はまだ帰られていないようですね…

  …では、お礼をさせてください!お屋敷にご招待いたしますわ!

  ……じいや! それに皆も……ただいま戻りましたわ!

  …え?『離れろバケモノ』って…な、何を…

  『4日間も行方不明だったのは攫われてたから』…い、いえ、何か誤解して…!

  お、お待ちになって! 彼は、彼は私を誘拐した犯人などでは… 私が森で遭難していたところを助けてくださった恩人で…

  やめて、じいや! 彼に剣を向けないで! 彼は……彼は…!

  え?『やっぱりな』…って…あっ、待って! 行かないでくださいまし!

  …い、行ってしまいましたわ……私の声も届かないほどの速さで、また森の中へ………お礼も、約束した爵位のお話も、何一つできていないのに…

  『怪我はないか』…えぇ、怪我はしていないですわ…

  心配をかけて申し訳ありません……お父様とお母様が戻られる前に、帰れてよかったですけど…

  …ううっ…これでは、これでは彼が言っていた通りではありませんか……人間なんて醜くて嫌い、関わりたくないって……きっと、また彼にそう思わせてしまいましたわ…

  …ひどいですわ!どうして皆様、お話も聞かずに…!

  えっ?この音は…お、お父様の馬車…!

  『急いで準備を』…は、はい…わかりました…

  ……名前もお聞きできませんでした……もう、会えないのでしょうか…