ローグライク×ブレンドシェイプ

  目の前に口を開けるのは、ぼんやりと靄がかかったような異様なダンジョンだった。周囲の空気は妙にひんやりとしていて、昼間だというのに木々の影がやたらと濃い。入り口の洞窟はぽっかりと口を開けており、まるで内部へと誘うかのようだった。

  ここに足を踏み入れた冒険者は、そろって同じことを口にするらしい。

  「よく分からないけど、なんか気づいたらクリアしてた」

  それが、このダンジョンの正体だった。

  ダンジョンの内部で起きたことは、脱出と同時に全ての記憶が消えてしまうらしい。とはいえ、体はしっかり傷ついているし、装備も消耗している。クリアの証として手にする報酬は、大抵は薬草だとか、街の市場で数日分の食料が買える程度の小銭だとか、正直しょっぱいものばかり。

  そして、このダンジョンにはもうひとつ、妙なルールがあった。ここに挑戦できるのは、一度に一人だけ。誰かが中に入ると、次の入場者が入れるようになるまで入り口が固く閉ざされる。だから今、私はダンジョンに刻まれた転送用の魔法陣が光るのを待っていた。

  足元の魔法陣は古びた石畳の上に刻まれたもので、ところどころ摩耗していた。それでも微かに青白い輝きを帯びており、踏み込めば何かしらの反応があることは分かる。時折、風に乗ってふわりと光の粒が舞い上がり、薄暗い森の中でぼんやりと輝く。

  「……で、何で私たちがこんなとこに来なきゃなんないのよ」

  独り言にしたって、声に棘が混じるのは仕方ない。こんな奇妙でよくわからないダンジョンに、仮にもそこそこ名の知れた剣士であるレンジと、そこそこ熟練したシーフである私が挑む理由なんて、どこにもないはずだった。

  だけど。

  『なあ、フィオナ! ここ、行ってみようぜ!』

  そのレンジの言葉が、妙に勢いに満ちていたからこそ、断りきれなかった。アイツは普段飄々としてるくせに、たまにこうして変に熱を帯びることがある。そういう時私は、どうにもあいつを無視できないでいた。

  それに私自身、レンジの言うことをそう簡単に突っぱねられない理由がある。

  初めて会ったのは、私がまだ駆け出しだったころ。エルフの里から旅立ってすぐに、よりによって人さらいに絡まれていた私を助けてくれたのがレンジだった。あいつは「こんなの当たり前」みたいな顔をして剣を振るって、その後も何くれとなく私の面倒を見てくれた。

  冒険者として、それ以前にひとりの女として、彼の存在が私の中で大きくなっていくのに、そう時間はかからなかった。

  「ったく……。ホントに、面倒ごとに巻き込んでくれるんだから」

  意気揚々と、先に中に入っていったレンジのバカ面を思い出す。

  レンジとは、もうただの冒険仲間じゃない。互いの肌を重ねた夜も幾度もあるし、それでもなお、私たちはこうして肩を並べている。

  中途半端に言葉にするのも気恥ずかしい、けれど、その関係が何か特別なものであることは間違いなかった。

  「……ま、あのバカがどうしてもって言うなら、付き合ってやるけど」

  私の言葉に応じるように、洞窟の奥からひんやりとした風が吹いてきた。

  そして、足元の魔法陣が淡く光り始める。青白い輝きが波紋のように広がり、私の靴のつま先を包み込む。

  これは、ダンジョンが「入れ」と言っている合図、だろうか。

  周囲の森を一度見渡し、ゆっくりと息を吸い込む。そして、静かに一歩を踏み出した。

  私が乗った瞬間、足元の魔法陣が眩い光を放ったかと思うと、一瞬、意識が遠のく感覚があった。体が宙に浮かぶかのような錯覚とともに、周囲の世界が一気に白に染まる。

  ここまでは、一般的な転送魔法陣の挙動で。

  ここからは、ただの"異常"だった。

  何かが、肌から剥がれ落ちていく感覚。

  「えっ……?」

  声を出す間もなく、身に着けていた装備が音もなく消えていく。布の擦れる感触が消え、鎧の冷たさもなくなり、武器である弓さえもどこかに行ってしまう。

  まるで、何も身につけていないかのように。

  いや、実際に何も身につけていないのだ。

  周囲を見回そうとした瞬間、光の中に何かが浮かび上がった。

  空間が、歪んでいく。

  目の前の光が波打ち、まるで水面のように揺らめく。そしてそれが次第に収束し、鏡のようになった。

  ……私の体を、私自身に見せつけるように。

  そこには、完全に全裸になった自分の姿が映っていた。

  慌てて腕を動かそうとするが、それすらも妙に重い。いや、重いというよりも、自分の体全体に、おかしな感覚が蔓延していっているのか。

  「な、に……っ?」

  次第に、体の奥から熱がこみ上げてくる。

  まるで内側から突き上げられるような、奇妙な感覚。苦しみではない。むしろ、ぞくりとする心地よさが全身を駆け巡る。体が熱を持ち、細胞のひとつひとつが震えるような感覚に、思わず身をよじった。

  何かが、絶対におかしい。

  おかしいのは、分かっているのに。

  「ん、く……っ!」

  熱が膨れ上がるたびに、甘く痺れるような快感が背筋を這い上がる。おかしい。こんなの、何かの呪いみたいだ。

  なのにそれが、どうしようもなく気持ちいい。

  指先がじんじんと痺れる。指が徐々に太くなり、しっかりとした形へと変わっていく。関節が広がり、骨が伸び、筋肉が膨らむ。ぎしり、と骨が鳴る音がして、それなのに、痛みではなく、妙な快楽が背骨を駆け抜ける。

  「は、ぁ……っ!」

  息が乱れる。熱が、体の中心から溢れ出してくるようだ。力が漲っていく感覚に、抗おうとする理性がかき消されていく。

  細かった腕が頑丈になり、肩が張り出し、分厚い筋肉が皮膚の下に生まれていく。それと同時に、焦げ茶色の獣毛が、膨れ上がっていく身体の表面を覆い尽くしていく。

  どんどん、自分が変わっていく。元の自分が、遠ざかっていく。

  目の前で快楽に悶える私の姿は、エルフの女シーフじゃなく、何か獣人のような、それも、無骨な男の姿に変わろうとしていた。

  「いやっ……。こんなの、嘘でしょ……!」

  わかっているのに、止められない。むしろ、体の変化を受け入れるたびに、それが快楽として脳を支配していくのが分かる。息を吐くたびに、もっと変わりたいという倒錯的な衝動が湧き上がる。

  胸板がどんどん厚くなり、腹筋が隆起し、ひとつひとつの筋肉の変化が波のように押し寄せる。

  華奢なエルフの体から、重厚な獣人へ。その過程を、まるでスローモーションのように感じながら、私は鏡の前で悶え続けるしかない。

  しかしその変化のすべてが、鈍い苦痛ではなく、どこか恍惚とした心地よさを伴っていた。

  「くっ……は、ぁ……っ……」

  腰が広がる。骨盤の形が変わり、尻のあたりに違和感を覚えると同時に、ズルズルと、何かが伸びていく感覚。

  振り返ることなく、直感的に理解する。尻尾が生えているのだと。

  細かった脚が、太くたくましい脚へと変化する。ふくらはぎが膨れ上がり、関節の形が変わる。足の指は癒着して蹄へと変わり、重量級の体を支えるべく太く頑丈になっていく。

  「や、やだっ……。こんな、男の体、なんて、ぇっ……!」

  鏡に映る私の体は、首から下が獣人で、頭が私の、異様な姿で。

  嫌だ。気持ち悪い。そのはずなのに、身体を駆け巡る熱は、脳に届く信号は、変身を悦ぶように、快楽に打ち震えていた。

  次の瞬間、下腹部に全身の血が集まってくるような、そんな錯覚があった。

  太ももの間、お腹の奥に妙な感覚を覚え、目を見開く。女性としての自分が、ゆっくりと消えていく感覚。下腹部がビクビクと勝手に震え、その震えに合わせて、体の奥から何かが込み上げてくる。

  堪えきれない快楽に、思わず身をよじる。しかし、鏡に映る私は、まるで見せつけるように脚を開き、腰を突き出していた。

  最初は、小さくて鮮烈な赤色の肉の塊。それが、股の間でどんどん大きくなっていく。

  「う、そ……っ、あっ!?」

  男の身体。股間。否が応でも意識させられるもの。

  ゆっくりと、しかし着実に、その肉塊は大きくなっていく。徐々に赤黒く、太く、大きく。正しい形に、成形されていくように。

  "それ"から目が離せないでいる私に、さらなる変化が襲いかかる。

  鼻筋から口にかけて、顔全部を鷲掴みにされたような変な感覚と共に、鼻っ柱がぐにゃりと伸びていく。

  まるで粘土のように、自分の顔がゆっくりと、しかし確実に形を変えていくのを感じていた。

  視界がぐっと広がり、耳が頭頂部へと移動しピクピクと動き出す。髪の毛は首筋から肩にかけて黒く濃密な鬣へと姿を変え、自分の輪郭が完全に男性的で獣じみたものへと仕上がっていく。

  顔が完全に獣人のものになって初めて、私は自分が何の獣人になっているのかを意識した。

  馬、だ。どこからどう見ても、馬の顔だった。

  「だめ、やだ……。止まってよ、っ!!」

  懇願する声色すら、どんどん低くなって男のそれへと変わっていく。低く、地に響くような、そんな声。

  私の体も、顔も、声も。鏡に映る全ては、もうオスの馬獣人に変えられてしまって。

  ただ一点、股間のモノだけが、不完全。

  グロテスクな赤黒い肉棒に、黒い斑点。何度も見たレンジのそれとも違う、凶悪な見た目。さらには、その下にぶら下がる、卵大ほどもある玉。

  女性の自分には、絶対に存在し得ない部位。それが、むくむくと、いまだに成長しようとしている。

  「やだ……っ、やだって! もう、変身しないでよっ!」

  そう叫んだ瞬間。変化を止めたいという心が、"それ"を抑えようとした手が、完全に仇となった。

  手で触れたそれは、硬く、脈打つように鼓動を刻み、わずかに触れただけで背筋に甘い電流が走る。

  どくん。心臓が脈打つたびに、身体の中で熱いものがぐつぐつと煮えたぎる。

  胸が苦しい。腹の下が、疼く。

  口から漏れ出る息が荒く、そして甘ったるい雄の匂いを孕んでいることに気が付いた瞬間、私の中の何かが弾けた気がした。

  おへそにまで届くほどに成長した肉棒。何度も見たレンジのそれとも違う、丸くて平らな形の先端から、透明な液体がどろっと溢れ出す。快楽に顔を歪める"私"の顔が、白く、染まる。

  「あ゛っ!? う、ぐっ、あっ……!!」

  触れるだけだったはずなのに、手が、勝手に肉棒の先を愛でるように撫でつける。

  気持ちよくなりたい。イきたい。出したい。男としての快楽に、脳が支配されていく。

  「う゛あ……っ! ん、っ……、ぐうっ!」

  ガクガクと足が震える。息ができないほどに腹のあたりが痙攣する。まるで自分じゃないような声が喉から勝手に飛び出しているのを聞きながらも、鏡の前で体をのけぞらせ、私はその快楽を全身で享受して。

  "その瞬間"に至るまで、数十秒とかからなかった。

  「お゛っ……!? お゛ぉぉぉぉっっ!!」

  どぷん、と大きな水音を立てて、肉棒が一気に膨れ上がった。それはもはや私の身体の一部ではなく、まるで別の生き物のように脈打ちながら大きくなっていく。玉もそれに合わせて肥大化していくのが、感覚として分かった。

  ぶしゃあっ、と、下品で大きな音を立てて、先っぽから白い欲望が飛び出す。

  肉棒の先端から、勢いよく白濁液が飛び出すのを止められない。それは鏡を汚しながら飛び散り、私の体を白く染め上げていく。そして同時に、私の中に何かが注ぎ込まれてくるような錯覚を覚えた。

  それはきっと、快楽だ。

  絶頂に次ぐ、絶頂。男として、本来感じることの無いはずの感覚を余すことなく受け止めながら、私は鏡の前で悶え続けた。

  「あ゛っ……、うぐっ……。お゛、ぉっ……!」

  もう自分が何を言っているのかもわからないまま、私はひたすらに精を吐き出し続ける。肉棒は何度も脈打ちながら白濁液を撒き散らし続け、やがてそれが収まるころには、私は精根尽き果ててその場に崩れ落ちていた。

  そして、目の前の鏡のような光が、静かに砕けた。

  転送が、完了したのだ。

  眩しい光に包まれた次の瞬間、足元に確かな感触が戻ってきた。空気が変わる。冷たい洞窟の中にいたはずなのに、今は温かい室内のような空気を感じる。

  見渡すと、そこは豪華な室内だった。

  壁は木目の美しい装飾が施され、重厚なカーテンが窓を覆っている。足元にはふかふかの絨毯が敷かれ、少し離れた場所には豪華な寝台が見える。高級な宿屋。いや、それ以上の場所かもしれない。

  しかしその空間は、異様なほど静かだった。外の喧騒もなく、ただ優雅な空気だけが漂っている、とてもダンジョン内とは思えない空間。

  そんな豪華な部屋の床にへたり込んだまま、私はしばらく動けずにいた。

  先ほどまでの衝撃的な変化が、身体と心の両方を打ちのめしていた。

  私は床にへたり込んだ姿勢のまま、自分の呼吸が落ち着くのを待つ。混乱した頭を抱えながら、何度も深く息を吸って吐く。

  「……落ち着け、私。とにかく、状況を把握しないと」

  重く低く響く自分の声に、改めて戸惑いを覚えながらも、意を決して立ち上がることにした。

  ゆっくりと両手を床について立ち上がろうとした瞬間、自分の腕に込められた力の強さに驚く。本来の自分であるはずの、エルフの腕とはまるで別物の、力強く筋張った腕が簡単に自分の身体を持ち上げた。まるで羽のように軽々と、大きな身体が起き上がる。

  「……これ、本当に私の身体なの?」

  呆然としながら、自分の身体を改めてじっくりと観察した。

  まず視線が向かったのは胸元だった。豊かとはいえないながらも、ちょっとは"あった"はずの胸は、いまや隆起した厚い胸筋へと変わっている。試しに指で押してみると、女性的な柔らかさは失われたかわりに指先が押し返されるほど硬く、確かな筋肉の張りを感じた。そこから視線を下ろすと、腹筋がはっきりとした凹凸を作り出し、そのさらに下へ続く腰回りの筋肉が力強く盛り上がっている。

  下半身の変化も著しい。特に目立つのは、太く、たくましくなった脚だ。太ももは以前の自分の胴回りほどもありそうで、ふくらはぎには力強い筋肉が束ねられている。指すらなくなり、硬い蹄になったつま先を踏み込むと、まるで地面に根を張ったかのような安定感がある。

  「こんな筋肉、鍛えてもそう簡単には身につかないわよね……」

  試しに軽く身体を動かしてみると、予想に反して俊敏さがあるのがわかる。重厚でありながらも、その筋肉が持つ力は想像以上に素早く鋭い動きを可能にしていた。

  だが、その重厚さを最も意識させられるのは、やはり股間に存在する、凶悪なモノだった。まるで鉛の塊のようにどっしりとぶら下がっており、その存在感はどうやっても無視できない。

  「あぁもう、本当にこれ、慣れるのかしら……」

  さっきまでシていたことを思い出して、気恥ずかしさと困惑に頬が熱くなる。

  男の人の、その、射精、って……。あんなにすごいものだったんだ。

  尿道を昇り詰める、精子の熱。激情的な、その感覚。

  思い出すだけで、また下腹部が熱を持つような気さえするのを、慌てて首をブンブン振って抑える。

  「……本当に、種族まで変えられちゃったの?」

  信じられないが、目の前の現実を否定することはできない。装備の強制解除だけならまだしも、種族も、性別すら勝手に変えてしまうなんて。並大抵の魔法では到底不可能なほど、完全かつ強制的な変化だ。このダンジョンが、ただの試練の場ではなく、もっと異質な何かであることが嫌でも理解できた。

  「このダンジョン、本当に何なの……?」

  疑問が頭を巡る。こんな強力で根源的な変化を冒険者に強いる目的は何なのだろう。そもそも、こんな魔法を使える存在がいること自体が信じがたい。

  ため息をつきながら再び部屋を見回すと、テーブルの上に小さな紙が置かれているのが目に留まった。何か、説明があるのかもしれない。私は戸惑いを抱えたまま、その紙に近づき手に取った。

  『ようこそ。このダンジョンは、挑戦者の種族、性別、職業などをランダムに再設定し、新たな姿でクリアを目指す特殊なダンジョンです』

  読みながら、私は深いため息をついた。

  「ランダムで、……再設定、ね」

  改めて文章の内容を噛み締める。この重厚で筋肉質な男の身体が、自分に割り当てられた新しい姿だというのか。混乱と困惑、しかしどこか納得するような感覚が心の底で微かに芽生えた。

  でも、よりにもよって、元の身体と正反対みたいな身体にしなくたって……。

  『このダンジョンの目的は、未知の姿や能力に慣れ、様々な状況に適応する冒険者としての素質を試すことにあります。今のあなたの姿こそ、あなたが挑むべき新たな冒険の姿です』

  そうか、これは試練なのだ。冒険者としての能力を高めるための、一種の訓練。そう考えれば、この身体に感じる戸惑いも、少しだけ和らぐ気が……。

  「いや、しないわよ!」

  独り言を呟きながら、紙をテーブルに叩きつける。

  とはいえ、この身体で本当に冒険ができるのかという不安は依然として残ったままだった。

  深くため息をついて、再び手に取った紙の続きを読み始める。

  『このフロアはチュートリアルステージです。まずは新しい身体に慣れることが重要です。そのため、あなたは一度自身の新しい体を確かめ、感覚に慣れるため、自慰行為を行ってみてください』

  読み終わった瞬間、私はあまりの衝撃に紙を取り落としてしまった。

  「じ、自……自慰!? ちょっと待ってよ……っ」

  慌ててもう一度紙を拾い上げ、再確認する。しかし、文字は一切変わることなく、そこにははっきりとそう書かれていた。

  『チュートリアルクリア後、あなたの新しい体にふさわしい装備を提供します。なお、あなたの元のレベルを参照し、最適なステータスへパラメータを調整しています』

  「これがチュートリアル? 馬鹿じゃないの、このダンジョン……」

  思わず声に出てしまったが、その低く響く男の声は妙に説得力を持って耳に残った。

  自分の股間に目をやると、重厚な存在感を放つ男性器が静かにそこにある。先ほど僅かに触れただけで全身に電流が走ったような甘美な感覚を思い出し、頬が熱くなる。

  「で、できるわけないじゃない……っ」

  必死に否定してみるものの、心の奥底で否定しきれない感覚が静かに広がっているのを感じる。身体の奥でうずく微かな興味と期待が入り混じった衝動を、生意気にも再び”そこ”に集結しようとする熱を、どうしても無視できない。

  「でも、待って……、落ち着いて考えろ、私」

  必死に冷静になろうと頭を振る。だが頭をよぎるのは、身体が変化した時のあの圧倒的な快楽だ。抗おうとしても、記憶は鮮明に蘇り、胸の鼓動を早めてしまう。

  「いや、やっぱりおかしい……。こんなの……」

  強く否定しようとしても、手が無意識に腹筋へと伸びる。指先が触れた瞬間、皮膚越しに伝わる逞しい筋肉の感触が脳を痺れさせ、気づけば指先はゆっくりと下腹部へ滑り落ちていく。

  「な、何してんのよ、私……!」

  慌てて手を引き戻したが、心臓はもう抑えようがないほど激しく鼓動を打っていた。

  「でも……、身体に慣れるため、って書いてあったし……。装備がないと、困るし……。」

  その言葉が自分自身への言い訳だと分かりつつも、それを否定する力は徐々に弱まっていく。説明書に記されていた「冒険者としての適応力」という言葉が胸の奥でちらつき、羞恥心を薄れさせる。

  躊躇いながら再び自分の身体に視線を戻した。厚く隆起した胸筋や腹筋の感触を再確認し、ゆっくりと慎重に下半身へと指を這わせる。緊張と恥ずかしさで指が震えるが、心のどこかではっきりと好奇心が芽生えている。

  「一回だけよ……。本当に、一回だけだから……っ」

  誰もいない部屋の中、自分に言い聞かせるようにそう呟いた。とりあえずベッドに腰を下ろしただけなのに、胸が張り裂けそうなほど鼓動が高まり、手が股間へと伸びていく。

  そして、指先がそれに触れた瞬間、鋭い快感が背筋を駆け抜けた。

  「ひゃっ……!」

  思わず上ずった声が漏れてしまい、自分自身に驚く。

  しかし、もう止めることはできなかった。その感覚を再び味わいたいという本能的な衝動が身体を支配していく。

  「こんなの、本当に私……?」

  躊躇いながらも、ゆっくりと肉棒を握り込む。手の中で脈動するその感触を確かめるように指先でなぞると、それはまるで自分のものではないかのように敏感に反応して声が漏れる。

  「んっ……。あぁ……っ」

  掌に感じる熱と硬さが心地良い。心臓が高鳴り、息が荒くなるのを抑えられない。

  先ほど出したばっかりだというのに、それは再びむくむくと硬く張り詰め、上を向き始めている。

  レンジのだって、一度出した後はちょっと萎えるぐらいの殊勝さはあったのに。

  私についたそれは、まるで別物のように思えた。

  その大きさ、硬さ、そして熱。全てが私を狂わせていく。

  「あ、あぁ……」

  自分の口から漏れる吐息に、徐々に甘い響きが混じっていくのを感じる。

  私はもう、その快楽に逆らうことができなくなっていた。

  先端に指先を触れさせ、軽くなぞる。それだけなのに、まるで電流が走ったかのように身体が震え、甘い快感が全身を襲う。

  思わず腰が引けてしまうほどの強烈な快楽。しかし、その感覚は、確かに私の身体に馴染み始めていた。

  もっとこの感覚を味わいたいという思いを抑えきれずに、今度はしっかりと握り込む。そしてそのままゆっくりと手を上下させた瞬間、先ほど以上の快感が押し寄せた。

  「んあっ……! あ、あぁ、っ!」

  思わず大きな声が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。しかし、一度漏れ出した声は止まらない。むしろその刺激を求めるかのように、手の動きは激しさを増していく。

  最初は優しくゆっくりと。徐々に速度を上げていくうちに快感も増していく。先っぽの鈴口から透明な液体が溢れ出し、それが潤滑油となってさらに手が加速する。

  ぐちゅ、ぬちゃっという水音が部屋に響き渡り、その音すら私の興奮を高めていった。

  「あ、あぁ……っ! すごぃ……!」

  指先で裏筋を刺激するように刺激すると、脳髄まで痺れるような快感に襲われる。

  いつの間にか無意識に腰が動き出していたことにも気づかず、私はただひたすらに自慰を続けた。

  部屋には自分の息遣いだけが響き渡っていた。その静けさの中で、自分の身体の奥から湧き上がってくる熱を感じながら、ひたすらに手を動かす。

  「う、ぐっ……。お゛っ……」

  もはや自分の意思とは関係なく、手が動き続ける。手の中で脈打つそれは、まるで別の生き物のようにすら感じられた。根元から先端まで大きくゆっくりと扱きながら、時折指先で鈴口をぐりっと押し潰す。すると強い刺激に襲われて全身が痙攣し、喉の奥から低い呻き声が漏れ出す。しかしそれでも、手を止めることはできなかった。むしろどんどん激しくなっていく一方だ。

  頭の中はもう真っ白で何も考えられないほどだったが、それでも身体は本能的に動き続ける。

  まるで自分の身体が自分のものでなくなってしまったような感覚を覚えながらも、私はその快楽に溺れていった。

  「あ゛っ……。うぐっ……、お゛ぉっ……!」

  やがて絶頂の波が押し寄せてくるのを感じた瞬間、頭の中で何かが弾けるような感覚に襲われた。

  次の瞬間、視界が真っ白になり、全身にぎゅっと力が入る。同時に、肉棒の先から熱いものが放たれていた。

  それは弧を描いて飛び散り、床や壁にべちゃっと張り付く。その量の多さに驚きつつも、私はただ呆然とその光景を眺めていた。

  やがて射精が終わると、今度は疲労感がどっと押し寄せてきた。肩で息をしながら、ゆっくりと呼吸を整える。

  額の汗を手で拭い、大きく息を吐く。落ち着いてくると、徐々に羞恥心が湧いてきた。

  「私……。何、やってんのよ……」

  思わずそう呟いてしまう。しかし、その答えは自分で分かっていた。

  「……気持ちよかった」

  ぼそりと呟き、はっと我に返る。慌てて口を塞ぐが、時すでに遅し。

  自分の言葉に顔が熱くなるのを感じつつ、私は再び股間に手を伸ばした。今度は先ほどよりも優しく、ゆっくりとした手つきで肉棒を包み込む。そしてそのまま上下に動かし始めるとすぐに硬さを取り戻し始めたそれに、思わず自嘲の笑みがこぼれた。

  「は、ははっ……。こんなの、ダメ、なのに……」

  そう言いながらも、私の手の動きは一切止まっていなかった。今度は両手でしっかり肉棒を握り込み、ゆっくりと上下させる。イったばかりで、先ほどよりも敏感になった感覚が、強烈な快楽を脳天に叩き込む。

  ぐちゅっという音と共に溢れ出す先走り汁、出したばかりの精液までもを潤滑油代わりにして、さらに速度を上げていく。次第に息遣いが激しくなり、呼吸に合わせて肩が大きく上下し始める。

  「ん、あっ! あ゛ぁっ……!」

  自分の口から漏れる声が、徐々に大きくなっていることに気がつく。でも、もう止めることなんてできそうになかった。むしろ、その汚くて低い声を聞くことでさらに興奮が高まってくるのを感じるほどだ。

  自分はオスなんだと。オスの快楽を貪っているんだと。嫌でもわからせられる。

  肉棒を握る手に力を込めると、より強い刺激に襲われる。まるで自分のものとは思えないほど大きく硬くなったそれは、血管が浮き出るほどに怒張し、ビクビクと脈打っていた。

  「んっ……ああぁっ! お゛、ぉっ……!」

  自分のものとは思えないほど野太い声が喉の奥から漏れ出してくるが、それでも手は止まらない。むしろその声をもっと聞きたいとばかりに手の動きは激しくなり続けるばかりだ。

  もう、何も考えられなかった。ただひたすらに快楽を貪り続けるだけの獣と化していた私は、再びその時を迎えた。

  「んお゛っ……! お゛おおおぉーっ!」

  獣のような咆哮を上げながら、私は果てた。勢いよく放たれた白濁液は、2回目の発射だというのにまるで噴水のように天井高くまで飛び散り、その粘度の高さを物語っていた。

  「お゛ぉっ……、んおっ……!」

  ビクビクと痙攣する肉棒からはまだ精液が流れ出しており、止まることを知らないかのようだった。やがて長い射精が終わると、私はようやく手の動きを緩めた。

  「はぁーっ、はぁーっ……」

  ふいに正気に戻る。視界はぼんやりと霞み、馬の耳が小さく震えながら、まだ全身を包む余韻に浸っている。

  ふと顔を上げると、いつの間にか部屋の床に魔法陣が出現していた。

  自分でも信じられないことに、初めて触れる男の身体の快楽にすっかり夢中になり、長い時間を費やしてしまったらしい。

  「……え?」

  顔が一気に熱くなる。魔法陣の淡い光は、私が行為に夢中になっている間から既に現れていたらしい。自分が情けなくも熱に浮かされている間、無言でずっとそこにあったというわけだ。

  「う、嘘でしょ……」

  羞恥心が込み上げ、思わず太くなった指で顔を覆う。でも、自分の身体から放たれる雄の匂いがかえって強く感じられて、ますます恥ずかしさが募るばかりだった。

  しかし、このままここに留まっていても意味はない。意を決して立ち上がり、自分の大きくなった身体を改めて見下ろす。すっかり筋肉に覆われ、頑丈になった馬の脚を何とか動かしながら、魔法陣のそばへと近づいた。

  そして視線を動かすと、魔法陣の横に装備が置かれていることに気付く。

  「……こんなの、さっきまであったかしら」

  困惑しつつ、それを拾い上げる。肩や胸を覆う鎧、腕当てなどが揃えられているが、腰から下の装備が妙に軽装だ。

  いや、軽装どころか……

  「待って、何よこれ!?」

  広げてみて初めてわかったが、腰の装備は前に垂らすだけの布が申し訳程度に付いているだけで、横からはほとんど完全に丸見えになってしまうような代物だった。

  こんな装備で歩けば、動くたびに隙間から自分の”それ”が丸見えになるだろう。しかも、この馬獣人の身体は、自分で嫌というほど体感したばかりだが、刺激に弱すぎる。興奮すればあっという間に、前垂れなど意味をなさなくなることは間違いなかった。

  「ああ、もう……これ、着けなきゃダメなの?」

  一瞬、装備を床に投げ捨ててしまおうかとも考えた。でも、今はこれ以外に装備がない。さすがに全裸で未知のダンジョンに挑むのは無謀というものだ。

  馬の尻尾が落ち着きなく揺れるのを感じつつ、仕方なく装備を身に着け始める。肩や胸を覆う装備は立派で、見た目こそまさに重戦士らしく頼もしいのだが、それが余計に下半身の軽装を強調しているようで、恥ずかしさが増してしまう。

  備え付けの鏡に映る自分の姿を見て、私は改めて深いため息をついた。

  重厚な上半身に比べて、下半身は横から見ればほとんど裸同然だ。馬の脚は立派で筋肉質だが、肝心な部分は隠れきらず、ふとした拍子に露出してしまうのが簡単に想像できる。

  「ああ、もう最悪……。なんで、私がこんな……」

  顔を赤くしたまま、魔法陣を睨みつける。このダンジョンは、踏破しても記憶が消えるというから、冒険者の噂話にも滅多に登らない謎の場所だ。しかし、種族や性別を変えてしまうというのは、どう考えても普通の魔法の範疇ではない。

  それに、この下半身丸出しの装備だって、悪趣味な誰かの趣味の産物に違いない。

  「レンジの奴……、絶対許さない」

  小さく呟いて、思わず、恥ずかしさと怒りを込めて馬の蹄で床を叩いてしまう。私のイラつきをあざ笑うかのように、魔法陣が静かに輝きを増し、次のフロアへの転移を促していた。

  深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、自らの身体に言い聞かせるように、小さく呟いた。

  「大丈夫、すぐ慣れるし……。こんなダンジョン、一瞬で攻略してやるんだから……」

  自分に言い聞かせながら、まだ快楽の余韻に震える足で魔法陣に触れた。

  まばゆい光が私を包み、恥ずかしい身体ごと未知のフロアへと連れ去っていく。

  [newpage]

  「はっ、はぁー……。っ、くっ……」

  荒い息を吐きながら、拳についた返り血を振り払う。

  足元には、倒れたゴブリンたちの死骸。雑魚ばかりだったとはいえ数が多かったし、身体に慣れないせいでそれなりに体力を削られた。

  「……なんなのよ、もう」

  私は軽く肩を回しながら、戦闘の感覚を振り返る。

  戦い自体は問題なかった。

  この身体の馬鹿みたいなパワーは驚異的で、正直、剣なんか持たなくても素手で殴るだけで十分だった。蹄の蹴りも強烈で、まともに食らえば小型の魔物なら吹っ飛ぶ。

  問題は、その制御が難しいこと。

  「やっぱり、まだ動きが不安定ね……」

  細かい動作が難しく、ちょっとした踏み込みでも必要以上に地面を蹴ってしまう。この脚力を生かせば相当な速度での奇襲ができそうだが、逆に言えば、勢い余って突っ込みすぎる危険もある。

  しかも、ある程度素手での戦闘はできるとはいえ、本職からしたら私は素人みたいな腕前だ。力任せの暴力で解決できるのか、怪しい部分もある。

  「まあ、今のところ敵は弱いし、大丈夫そうだけど」

  不安はあるものの、ここまでのダンジョンは思ったよりも簡単だった。ゴブリンやスライムのような低ランクの魔物しか出ず、罠らしい罠もない。まるで、新しい身体の動作確認をさせるために作られた"練習場"のようにすら思える。

  それなのに。

  「……なんで、あんなチュートリアルが?」

  ふと、あの恥ずかしい指示を思い出し、顔が熱くなる。

  新しい身体に慣れるために、一回オナニーをしろ。

  あんなの、絶対に戦闘には関係ない。

  戦ってみてわかったが、この身体の戦闘能力は十分すぎるほど高く、特別な適応訓練なんて必要なかった。だというのに、あの指示にはどんな意味があったのか?

  「考えるだけ無駄、か」

  少し考えたものの、答えが出そうになかったので思考を打ち切る。今のところ、特に問題なく進めている。ならば、余計なことを気にしている場合じゃない。

  「……次のフロアね」

  周囲に、もう魔物の気配はない。

  私は深呼吸をして、奥へと続く通路に足を踏み入れた。

  重戦士の装備が擦れる音と、蹄が硬い石床を踏む音が静かに響く。まだ身体の動きには違和感があるが、こうして歩いているうちに、少しずつ順応してきているのがわかる。

  少しだけ、気が緩んでいたのかもしれない。

  だから、足元に違和感を覚えた瞬間。

  「……え?」

  気づいた時には、すでに遅かった。

  ガチャンッ。

  鈍い金属音とともに、床の一部が沈み込む。

  しまった、トラップ……!?

  反射的に身を引こうとしたが、その瞬間、周囲の壁からヌルッとした粘液が噴き出した。

  「なっ……!」

  粘液は一瞬で私の足元に広がり、蹄に絡みつく。ぬるぬるとした感触がじわっと広がり、まとわりつくような不快感が背筋を走った。

  「……っ、なんなのよこれ……っ」

  じわりと染み込んでくる奇妙な熱。嫌な予感がする。私は思わず足をばたつかせたが、粘液は意志を持っているかのように動き、徐々に私の足から腰へと這い上がってきた。

  その感触は、妙に、ねっとりとしていて。

  熱を帯びた呼吸が口から漏れた瞬間、私は理解した。

  このスライム、ただの魔物じゃない。

  「っ……。な、何これ……。身体が、熱い……」

  下半身にまとわりつく粘液は、ぬるぬると動きながら蹄を包み、ゆっくりと腿の内側へと這い上がってくる。必死にそれを振り払おうとしても、粘液は意思を持つかのように脚にひっつき、逃げるどころかむしろ自ら吸い付くように絡みついて離れない。

  まずい。そう頭では思っているのに、身体はなぜか抵抗しきれず、むしろその奇妙な感触に飲まれていく。

  「ちょ、ちょっと待って……。何なのよ、これっ……」

  頭がぼんやりとしてきた。動悸が早まり、視界がじわりと熱に歪む。

  スライムにからめ取られた場所から、溶けるような熱が染み込み、次第に身体の奥へ奥へと浸透していく。

  不快なはずなのに奇妙に甘く、刺激的な感覚が脳の奥を揺らした。

  「嘘でしょ、こんなの……。身体が、変……っ」

  胸がドクンと脈打つたびに、熱が下腹部に集まり始める。筋肉質な馬獣人の身体が、情けなく震えているのが分かった。

  この感覚。さっきまで私が溺れていた、この感覚。

  それだけじゃない。

  腰回りを包んだスライムが、私が無防備になっている場所をまるで探るように這いまわり始めた。

  「う……ぁ、やめ、そこは……」

  必死で押さえようとしたが、抵抗のための手は粘液に滑り、うまく力が入らない。そうしている間にも、じわじわと熱は高まっていく。

  「っ、こんな時に、また……っ」

  自分の意思とは関係なく、股間の辺りがじんじんと熱を持ち、徐々に雄としての反応を始めていた。止めようとしても、生理的な反応は止められない。

  それどころか、止めようと意識するたびに、身体の奥底からさらに強い熱が押し寄せてきた。

  「やだ、ダメ……っ、また身体が勝手に……っ」

  必死に否定しているのに、抗えない衝動が胸の奥から湧き上がってくる。身体が熱くなるのを止められない。触れられるたびに、刺激が身体の奥を走り抜け、思考が白く霞んでいく。

  何これ……。このスライム、一体何をしたの?

  頭が混乱し、自分に何が起きているのか全く分からない。ただ、理性とは別に、身体だけが暴走を始めていることは確かだった。

  「待って、落ち着いて……冷静に、冷静……っ」

  焦れば焦るほど鼓動が高まり、粘液の感触がますます鮮烈になる。

  熱に翻弄されながらも必死に抵抗しようと手を伸ばしたが、その手にも既に粘液が絡みつき、感覚を麻痺させていた。

  ……抵抗できない。

  身体が完全に熱に支配され、理性が溶かされてしまいそうだった。

  「う……、あ……」

  粘液が身体を這いまわるたびに、甘い刺激が走る。その刺激は徐々に強くなり、私の思考をゆっくりと蝕んでいった。

  もう、ダメかも。そう思った瞬間、スライムがついに股間に伸びてくるのが見えた。

  「やだっ……! そこ、は……」

  必死に抵抗しようとするが、身体に力が入らない。そのままあっさりと肉棒に吸い付き、敏感な部分を直接撫で上げた。

  その瞬間、今まで感じたことのないような快感が脳天を突き抜け、私は思わず情けない声を上げた。しかし、スライムの動きは止まらない。そのまま前垂れの中で動き回り、私のモノを包み込んだ。

  ぬるりとした、冷たいような感触が敏感な部分で暴れ、同時に粘液の熱が股間に染み込んでいく。その刺激に耐え切れず、思わずへたりこんでしまう。

  こらえきれずに浮いた腰の下に潜り込むようにして、スライムはさらに激しく責め立てる。その動きはまるで私の弱点を知っているかのようで、的確に弱い部分を狙い撃ちしてきた。

  ついに、そしてあっさりと。

  どくんっと脈打つような感覚とともに、私は絶頂を迎えてしまった。

  「あ゛、あぁ……っ」

  何度も経験してしまった甘い快感が全身を駆け巡り、頭が真っ白になる。放たれた精の熱が、天を突くモノの先っぽから空を経由して私のごわついた毛皮に、そしてスライムにびしゃびしゃと降り注ぐ。

  しかし、スライムの動きは止まらない。私がイってしまったことなんて知らないみたいに、ぐじゅぐじゅと嫌な水音を立てながら私のモノにまとわりついてくる。

  目の前に大きく屹立した私のそれは、もうすっかりピンク色のスライムに覆い尽くされてしまっていた。

  先端からまだ白濁液の残滓を吐き続けるそれを、スライムが容赦なく責め立てる。その快感は、一度達したばかりなのに、また私の身体を昂らせ始めていた。

  ぐちゅっ……じゅぷっ……くちゃっくちゃっくちゅ……。

  粘液が絡みつき、私のモノをゆっくりとしごき上げる。そのたびに甘い快感が生まれ、私は思わず声を上げてしまう。

  「うぁ……っ! あ゛っ……!」

  スライムの責めに抗おうと必死にもがくが、身体に力が入らない。まるで媚薬でも飲まされたかのように身体が熱くなり、思考は快楽で溶かされ始めていた。

  ずちゅっ……くちゅ、ぐぽっ、じゅぷぷっ……。

  下品な音を立てながら肉棒に絡みつき、ゆっくりと上下に動くスライムの動きは止まらない。それどころか、徐々にその速度を上げていく。粘液がまとわりつき、ぬめった感触とともに敏感な部分を責め立てられるたびに、私の口から情けない声が漏れてしまう。

  本物の女の子のナカって、こんな感じなの……?

  そう、チラッとでも思ってしまったのが間違いだった。

  一度イって敏感になった部分を容赦なく責められ、さらにそこへスライムの強烈な責めが襲い掛かる。その刺激はあまりに強烈で、私はまたあっけなく絶頂を迎えてしまった。

  どくんっと脈打つような感覚とともに、再び精を放つ。二度目だというのに量は多く、放たれた白濁液はスライムの中に納まり切らずに地面や天井に飛び散った。

  しかしそれでもなお、スライムの動きは止まらない。むしろ私の反応に味をしめたかのように、より激しく動き始める。

  「うあ゛ぁっ! あ゛っ、や゛めっ……!」

  敏感になった部分を容赦なく責め立てられ、再び絶頂寸前まで押し戻される。しかし今度は、イく寸前でスライムの動きが止まってしまう。

  「うぁ……っ、なんでぇ……?」

  思わず情けない声が漏れてしまう。イきそうなのに、イきたいのに、イけない。その切なさが身体の中で渦を巻いて、頭がおかしくなりそうだった。

  一旦、イかなきゃ、頭がおかしくなる。そうして私がモノに手を伸ばしかけた時、スライムがその動きを変えた。

  「え……っ、何?」

  平たい先端に少しのスライムを残しながら、するすると肉棒を伝って腰の方にスライムが降りてくる。

  そしてそのまま、腰を伝ってお尻の方まで近づいてくる。

  まさか。嫌な予感が頭をよぎり、私は慌てて身体を動かそうとした。でも、スライムにからめ取られた身体はうまく動かない。

  そうしている間にも、スライムはどんどんと近づいてきて、ついに私のお尻の穴にその先端を触れさせた。

  ぬるっとして冷たい感触に思わず声を上げてしまうが、それでもなんとか抵抗しようとする。しかしその瞬間、スライムは私のモノを包み込んだまま激しく動き始めた。

  ぐちゅっ……。ずちゅっ、ぐぽぉっ、じゅぷっ!

  粘液が泡立ち、卑猥な音を立てる。私のモノを包み込んだスライムも激しく動き始め、敏感な部分を容赦なく責め立てる。その刺激に思わず腰が浮いてしまいそうになるが、スライムはそれを許してくれない。

  「うぁ……っ、やだっ……、そこ、ぉ……!」

  お尻の穴の周りで円を描くようにうごめくスライムの動きに翻弄される。まるで焦らされているようでもどかしい快感が身体の中に蓄積されていき、私は無意識のうちに腰を動かしていた。

  しかしスライムはその動きに合わせるかのように、穴の周りの筋肉をほぐすように念入りに粘液を塗り込んでいく。同時に私のモノを包み込んだまま動き始め、敏感な部分を容赦なく責め立てた。

  ぐちゅっ……、くちゃっ! ずぷっ……!

  その刺激に思わず腰が浮いてしまいそうになるが、それでもなおスライムは私のモノから手を離してくれない。むしろもっと奥まで咥え込もうとしているようにすら感じるほどに貪欲だった。

  そしてついに、スライムはお尻の奥へと体を伸ばし始めた。

  「やだっ……うそでしょ、そこはダメっ……!」

  つぷっ、と小さな音がして、ゆっくりと、しかし確実に冷たい感覚が私のナカに入り込んでくる。本来異物を受け入れるようにできていないはずのそこは、粘液の滑りもあってか、少しずつではあるが着実にスライムを受け入れ始めていた。

  「あ゛っ、あっ、あぁっ!」

  今まで感じたことのない異物感と圧迫感。そしてそれとは正反対の強烈な快感が同時に押し寄せてきて、私はただ喘ぐことしかできなかった。

  私の意思とは関係なく身体がびくんっ!びくんって震えるたび、スライムもそれに合わせるかのようにぐねぐねと動き回る。そのたびに甘い刺激が生まれ、それがまた私を苦しめた。

  「やぁっ……! あ、あ゛ぁっ!」

  ずぷっ……、くちゃっ……。ぬちゃぁっ……。

  少しずつ、しかし確実にスライムは私の中へと侵入してくる。本来ものを受け入れる場所ではないはずのそこはすっかり解されてしまい、今ではもう痛みすら感じないほどに快楽に染まっていた。

  そしてついに、スライムの先端が私の一番奥に触れた瞬間だった。

  「あ゛っ!?  あ゛ぁぁあっ!!」

  どくんっと脈打ちながら、私は今までで一番深い絶頂を迎えた。同時に、私のモノを包み込んでいたスライムの締め付けがきつくなる。まるで搾り取るかのように、激しく動き始める。

  「あ゛ぁっ! だめっ……今、イってる、からぁっ!!」

  しかしスライムの動きは止まらない。それどころか、さらに速度を上げていく。

  何度目かの絶頂と同時に、スライムの中に私の精液が勢いよく放たれる。スライムの量に負けない白濁。それすら意に介さず、スライムはさらに動き続ける。

  すでに私のモノは透明な液体を吐き出し続けていたが、それでもなおスライムの動きは止まらない。それどころか、さらに激しく責め立ててきた。

  「あ゛っ、やぁっ! もう出ないからぁっ!」

  どれだけ懇願しても、スライムは止まらない。それどころか、むしろ私を責め立てる速度を上げてきた。

  イって敏感になった先端を、粘液を潤滑油にしてぬちゃりと責め立てられる。それだけでも狂いそうなほどの快感なのに、さらにスライムが竿全体を包み込み、同時に吸い付くようにして上下に動き始める。

  その快感に私はまた絶頂を迎えてしまう。しかしそれでもなお、スライムの動きは止まらない。まるで獲物を見つけた蛇のように、くねり動き続ける。

  もう何回イったのかわからないほどなのに、いまだに全く衰える様子もない。それどころかますます激しくなる一方で、私はただひたすら喘ぎ続けることしかできなかった。

  ----------

  「はぁっ、はぁ……っ!」

  自分がどれだけの時間、この奇妙な熱に支配されていたのかは分からない。

  朦朧とした意識がようやくまともな思考を取り戻し始めた時、私は全身に絡みつくスライムの粘液を、がむしゃらに引き剥がしながら呻いていた。

  「こ、の……。離れなさいっ……!」

  筋肉質な腕に、ぐっと力を込める。絡みつくスライムはまだ熱を帯びているが、先ほどまでよりも粘度が低下しているようだった。私の身体から吸収できるものを吸い尽くしたのか、それとも単に飽きたのか、抵抗が弱まった隙に、なんとか脱出するチャンスが生まれたようだ。

  「はぁ、くっ……、いい加減にしなさいっ!」

  全力で手を振り払い、蹄を地面に叩きつけて身体を起こす。

  スライムの粘液がパシャリと飛び散り、壁や床に跳ねた。

  だが、それでもまだ粘液の一部は脚や身体にまとわりついている。私は激しい羞恥心と怒り、そして未だに身体の奥に残る痺れに顔を真っ赤にしながら、残った粘液を必死でこすり落とそうとする。

  「っ、もう……最悪、なんて罠なのよ……っ!」

  媚薬の効果は完全には消えていなかった。ほんの少し肌に触れるだけでも身体の奥が熱を持ち、敏感に震えてしまう。

  だけど、これ以上ここに留まるわけにはいかない。

  「ああ、もうっ!」

  ぐっと歯を食いしばって身体に力を込め、私は前方の通路へとよろめきながら進む。

  今にも脚が震えて崩れ落ちそうになるのを必死でこらえながら、一歩、また一歩と、粘液の沼を抜け出していった。

  媚薬スライムは、私が離れたことで残念そうにゆっくりと元の位置に引き下がっていく。まるで、もう満足したとでもいうように。

  「……ふざけないでよ……!」

  腹立たしいが、今はそれを考えている暇はない。私は無理やり感情を押し殺し、自分の身体をコントロールしようと試みる。

  馬獣人の脚はまだ慣れないが、それでもこの状況で役に立った。蹄は粘液のついた床でも滑りにくく、筋肉質な脚はどれだけ震えても私の身体をしっかりと支えてくれた。

  「……なんとか逃げ切ったかしら……」

  少し離れた安全そうな通路まで到達すると、私は壁に背を預けて荒く呼吸を整えた。

  腹立たしいのは、元のエルフの身体、というか能力なら、こんな低級なトラップになんか引っかかったりしない、という事実。

  「はぁ……、はぁ……。最悪だわ……。なんなのよ、このダンジョン……」

  ぼやきながら頭を軽く壁に当てた、その瞬間だった。

  ガコン――。

  「……え?」

  背中に響く、小さな金属音と振動。まずい。嫌な予感がして振り返ったが、時すでに遅しだった。

  壁面から微かな魔力の光があふれ出し、私の視界を一瞬で覆う。

  「しまっ――!」

  咄嗟に目を閉じたが、抵抗は無意味だった。頭の奥に、じんわりと温かい感覚が広がり、脳が優しく撫でられるような奇妙な感触に包まれる。

  「う、あ……?」

  痛みはない。それどころか、むしろ心地よく、ふんわりとした眠気にも似た感覚が意識を緩めていく。

  おかしい。こんな罠、聞いたこともない。これ以上、妙なことに巻き込まれてたまるかと焦ったが、なぜか抵抗する力が湧かなかった。

  次第に、私の中で何かがゆっくりと塗り替えられていくのがわかる。けれど、何が変わったのかうまく掴めない。

  「あれ……? 何か、変だな……」

  妙な違和感を抱きつつも、私は頭を軽く振って、意識を切り替えようとした。

  先ほどまでの気持ち悪いスライムの感覚が身体に残っている。けれど、それすらも妙に薄れていく。いや、むしろ、それほど気にする必要があったのか?

  そもそも私は……、最初から、こんな身体だったよな。

  筋肉質な腕。鍛え上げた胸板。蹄のある頑丈な脚に、尻尾だって生えてる。

  なんだ、何を今さら動揺してるんだろうな……。

  ふっと笑いがこぼれる。

  「いや、私が自分の身体に驚いてどうするんだよ。まったく、調子狂うなぁ」

  その言葉が自然と口をついて出たことに違和感はなかった。だって、私が自分をそう認識するのは当然だろう?

  壁から身体を離し、軽く肩を回す。慣れ親しんだこの身体は、さっきまでとは比べ物にならないほどしっくりくる。

  「それにしても、ひどい目にあったな……」

  私は呟きながら、自分の身体をざっと確認した。下半身はベタベタだし、装備は濡れてぐちゃぐちゃだが、それを気にする理由も特にない。

  恥ずかしい? そんな感覚があった気もするが、今となっては気にする方がおかしいだろう。

  何かが引っかかるような感覚もあったが、それも次第に消えていく。

  ……それにしても、身体がまだ熱い。

  先ほどのスライムのせいで、まだ身体の奥に火照りが残っているらしい。さっき散々イッたはずなのに、妙な熱が収まらないまま胸の奥を揺さぶっている。

  「……参ったな、こりゃ。まったく、年甲斐もなく情けねぇ身体だ」

  私は頭を掻きながら呟いたが、我慢しても治まる気配はない。それどころか、一度意識してしまったせいか、余計に熱が強くなってくる。

  しょうがない。ここらで少し、スッキリさせてしまおう。

  そう考えることに、特に抵抗はなかった。辺りをざっと見回して、誰もいないことを確認すると、私はその場で壁にもたれかかった。

  「はぁ……、これじゃ集中できねぇしなぁ。とっとと片付けるか」

  すでに身体は反応を始めていた。私は迷いもなく腰の前垂れをずらし、剥き出しになった自身をじっと見下ろした。力強くそそり立ち、見るからに鬱陶しいほど主張している。

  「……ったく、コイツも元気すぎて困ったもんだぜ」

  その言葉にも恥じらいはない。私は軽く息を吐くと、慣れた動作でゆっくりと身体を屈め、自らのモノへと顔を近づけていく。

  口元を近づけて、まずは軽く舌先でちろちろと先端を舐めていく。じんわりと甘い痺れが背筋を走り抜け、思わず喉の奥で心地いい呻きが漏れた。

  「ん……っ。そうだ、これだよ……」

  口内に広がる、自分自身の雄臭くてしょっぱいような味。いつも通りなのに、今日は特に濃く感じられる。

  熱に浮かされるまま、私はさらに舌を絡ませ、自らの身体をじっくりと慰め始めた。

  「んっ……。ちゅぷ、れろぉ……」

  最初は軽く先端を舐めるだけだったが、次第に我慢できなくなり、私はそれを口に含む。そしてそのままゆっくりと頭を動かし始める。

  ぬちゃっ、くちゅっ……ぐぷっ……。

  卑猥な水音が響き渡り、私の敏感な耳を犯していく。その音にすら興奮を覚えてしまうほど、今の私は昂ぶっていた。

  「んぶっ! おごっ……! お、ごぉっ……!」

  喉の奥まで突かれる苦しさに、嗚咽が漏れる。それでも構わず、私は自ら頭を振り続けた。

  肉棒が激しく暴れ回り、口内を蹂躙する。息苦しさと同時に、自分の口内の暖かさにチンポが絶頂へと導かれていく。

  「んぶぅっ! おごぉっ!」

  腰を動かすたび、肉棒はさらに大きさを増していくような気がする。口の中、喉全体を犯し、呼吸すらままならない状況なのに、それがたまらなく気持ちいい。

  もっと欲しい……。この快楽をもっと味わいたい……!気づけば私は夢中で頭を前後させ、自らを慰めていた。

  「んっ……! んんっ……!!」

  一際強く突いた瞬間、私の身体はビクンと大きく跳ね上がった。そして同時に、熱い欲望が口内へと吐き出される。

  その刺激に一瞬意識を失いかけたが、なんとか耐えてそれを飲み下していった。

  ごくっ……、ごくっ……、ご、きゅっ……。

  喉を鳴らして流し込まれる白濁液を飲み干していくたび、身体の奥底からさらなる熱が湧き起こるのを感じた。それはまるで媚薬のように全身を駆け巡り、私をさらに興奮させていった。

  「げほっ! んぐぅっ……、んっ……!」

  最後の一滴まで搾り取るかのように吸い付き続け、ようやく解放された時には、なんとか聞かん棒のほうも落ち着いたようだった。

  「……さて、いつまでもこんなところで油を売ってるわけにもいかねぇな」

  軽く首を回し、再びダンジョンの奥へと歩き出す。蹄が床を踏みしめる感触も、今やすっかり馴染んだものだった。

  もともと私の身体はこうだ。力強い腕、がっしりとした胸板、馬のような強靭な脚。そんな当然のことを今さら確認して、私は小さく鼻を鳴らした。

  ダンジョンは妙な罠ばかりだが、ここまで来れば大丈夫だろう。

  ……そう思っていたのに。

  —----

  少し歩いた先で、私の目に奇妙な光景が飛び込んできた。

  壁から突き出るように設置された、柔らかそうな素材の奇妙な装置。まるで人の身体を模したかのような形状。

  早い話が、メスの尻の形が、いくつも壁から突き出している。

  「……なんだ、こりゃ?」

  最初こそ警戒心が頭をよぎったが、徐々に私の内側に別の感情が湧き上がってくる。

  それは、抑えがたい、オスとしての衝動だった。

  目の前の装置を見つめるうちに、身体の奥底から、ぐつぐつとした欲望の熱が再びこみ上げる。

  「……ああ、くそ……。また、エロトラップかよ」

  喉の奥で低く呻きながら、私は目の前にある壁の奇妙な装置をじっと見つめていた。

  壁から露出した柔らかなその部分は、まるで私のために用意されたかのように目の前に置かれている。

  これが何のために設置されているのか、考えるまでもない。

  本能が。雄としての本能が、私にそれを教えていた。

  ゆっくりと近づき、指先で触れる。ひんやりと冷たい感触が肌を刺激し、胸の奥に残っていたわずかな理性が揺さぶられる。

  まるで、本物のメスの身体のよう。ごくりと喉が鳴り、自然と息が荒くなる。

  「はあっ、はぁ……っ」

  無意識のうちに、手が股間へと伸びていた。すでに硬く張り詰めている肉棒をズボン越しに握りしめると、それだけで甘い快感が背筋を駆け抜ける。

  そのままゆっくりと前後にしごき始めると、すぐに先走りが溢れてきた。ぬちゃりとした感触と共に布に染み込み、さらに滑りがよくなる。

  「いや、ちょっと待て……。さっき収まったばっかりじゃねぇか」

  そう呟いたものの、視線を装置から外すことができない。チンポを弄る手を、止めることができない。

  心臓の鼓動が、嫌というほど頭に響く。頭の中の声は「早く使えよ」とでも言いたげで、それがまるで正しいことのように感じられてしまう。

  「いや、こんなところで遊んでる場合じゃない、先に進まないと……」

  理性の欠片が必死に訴えるが、その声は次第に小さく、か細くなっていく。

  気づけば私は、前垂れを脱ぎ捨てていた。熱く滾った肉棒が外気に晒され、ひんやりとした空気に撫でられる。その刺激だけで軽くイきかけてしまうほど敏感になっているのに、それでもなお手を止めることができない。

  壁から突き出た柔らかな偽物の尻肉を掴み、見えない穴を左右に割り開くようにして引っ張る。すると中から透明な粘液が溢れ出し、まるで蜜のように糸を引きながら滴り落ちた。

  それを指先ですくい取り、自らのチンポへと塗り込んでいく。ぐちゅりという水音が響き渡り、さらに興奮を煽っていく。

  「まったく……。どれだけ私を焦らすんだよ、このダンジョンは……」

  言葉とは裏腹に、私は早くも興奮を隠せなくなっているのが自分でもわかる。心臓の鼓動は速まり、視線は壁の装置に完全に釘付けだ。鼻から漏れる呼吸は熱を帯び、身体が自然とその装置へ向けて動き出す。

  早く。

  早くこれを使え。

  これはお前のために用意された、当然のものだ。

  頭の奥で響くその声は私自身の声だ。

  私の奥底で眠っていた、種馬としての本能そのものだった。

  迷う理由はない。

  むしろ、抵抗する理由がどこにも見当たらない。

  「……くそ、なんで我慢なんてしてたんだ?」

  自分自身に悪態をつきながらも、私は装置の真正面へと立った。そしてゆっくりと腰を落としていき、目の前の穴に自らのモノをあてがった。

  ぬちゃりという水音と共に、先端が穴の中に飲み込まれていく。柔らかく包み込まれるような感覚は、今まで感じたことがないほどの心地よさだった。

  思わずため息が漏れてしまうほど甘美な快楽。だが、まだ足りない。こんなものでは満足できない。もっと深くまで味わいたい。

  「っ、くっ……。こんなもん、目の前にあったら……、やるしかねぇよなぁ……?」

  誰に言い訳するわけでもなく、そう呟きながら腰を沈める。そして一気に根元まで突き入れた瞬間、全身に電流のような快感が走った。

  脳天を貫くような衝撃に視界がチカチカと明滅し、意識が飛びかける。だがすぐに意識を取り戻し、私は荒い呼吸を繰り返しながら目の前の装置を抱きしめた。

  まるで本物の女の身体のように柔らかくて張りのある感触だった。少し力を加えれば簡単に壊れてしまいそうな繊細さがありながらも、それでいてしっかりと弾力もある不思議な質感だ。

  しかもその肉壁は熱く火照っており、まるで私のために存在するかのようにぴったりと吸い付いてくる。

  ……これは、本当にすごい。今まで感じたことがないほどの快感だ。

  心地よくて、逃れがたい。

  私は大きく息を吐き出すと、本能に逆らうことなくゆっくりと腰を動かし始めた。

  「っ、はぁ……。そうだ、これだ……!」

  身体は自動的に反応し、理性が介入する隙間もなく勝手に動いていく。

  雄としての悦びが身体の隅々まで染み渡り、私の心を塗り替えていく。

  もっとだ。もっと深く、本能のままに快楽を追い求めろ。

  腰を動かすたびに、肉壁がうねるように絡みつき、ぎゅっと締め付けてくる。その刺激だけで軽く達してしまいそうになるが、歯を食いしばってなんとか耐える。

  もっと味わいたい。もっと気持ちよくなりたい。

  そんな欲望に突き動かされ、私は夢中で腰を振り続けた。

  馬の脚が床を力強く踏みしめ、蹄が低く鳴る。荒い呼吸が響き、筋肉質な胸が激しく上下する。

  私はもう、何も考えていなかった。

  自分が獣であること。

  雄であること。

  目の前の装置に、本能のまま欲望をぶつけること。

  それ以外のすべては意味を失い、獣じみた快感だけが、私という存在を支配していく。

  「もっとだ……もっと、もっと……!」

  うわ言のように呟きながら、私は装置を抱きしめた。全身で感じるその温かさと柔らかさは、まるで本物の女を抱いているような錯覚すら抱かせるものだった。

  腰を動かすたび、ぐちゅりという水音が響き渡り、透明な粘液が溢れ出す。それは私の先走りと混ざり合って泡立ち、野太い足と蹄を伝って床へ滴っていく。

  それがまた興奮を煽り立て、さらに激しく腰を打ち付けてしまう。

  もっと深くまで味わいたい。この快感のすべてを味わい尽くしたい。本能がそう叫んでいる。私はただその声に従い、ひたすらに身体を動かした。

  そして……。

  「っ、くっ……! イくぞ……。お゛っ、お゛おおぉっ!!!!」

  私はそう叫びながら、装置の中に大量の白濁液を流し込んだ。どくんっ、どくんという脈動に合わせて、熱いものが噴き出していく感覚。それはまさに、至高の瞬間だった。

  最高だ。もう他のことなんてどうでもいい。ずっとここでこうしていたい。そんな思いが頭に浮かぶが、しかしすぐに理性がそれを押しとどめる。

  まだ足りない。こんなものじゃ満足できない。もっともっと気持ちよくなりたい。

  装置の柔らかく包み込むような感触が、さらに私の本能を刺激する。

  求めれば求めるほど、種馬としての悦びが強くなる。

  頭の中に満ちるのは、ただひたすらに求める衝動だけだ。

  獣そのものだ。だがそれでいい。

  これこそが私の本来の姿であり、本来の生き方なのだから。

  「そうだ……これが俺だ……俺は……」

  低く唸りながら、本能のままに快楽を追い求め、壁に据え付けられたその奇妙な装置へと深く深く沈んでいった。

  [newpage]

  はっと意識が戻った瞬間、私は自分が知らない場所に立っていることに気づいた。

  「え……?」

  目の前にあるのは見覚えのない、狭い空間。そして私が視線を落とした先には、ただ一枚の重厚な扉が存在するだけだった。

  私は一瞬混乱し、戸惑いながら自分の身体を見下ろした。

  「……待って、私、なんで……?」

  馬獣人の筋骨隆々な男の身体。それは確かに、このダンジョンに入ってから強制的に与えられたものだ。

  でも、その身体を今、まるで何十年もこれで生きてきたかのように当たり前に感じていたことに気づき、私は背筋が凍るような感覚を味わった。

  さっきまでの記憶が、ゆっくりと蘇ってくる。

  私は確かに、この身体を「自分の本当の姿」だと思い込み、それにまったく疑いを持たずに行動していた。それだけならまだしも……。

  「うそでしょ……!?」

  自分が何をしたのか、具体的に思い出してしまった瞬間、私は全身が燃えるような羞恥でいっぱいになった。

  「いつもそうしている」かのように、自分のモノを咥えこみ、迸る欲望の最後の一滴までを飲み込んだこと。

  壁に仕掛けられた奇妙な装置に、本能のまま身体を押し付け、種馬のように振る舞ったこと。

  

  雄の本能に完全に呑まれて、恥じらいもなく、堂々と。いや、むしろ嬉々として、そんなことをしていたことを。

  「っ……、そんな、ありえない……。ありえないわよ……っ!」

  私は真っ赤になった顔を隠すように、大きな手で覆った。指先に触れる顔の形状も、かつての小さくて華奢なエルフのものではなく、がっしりとした、獣のマズルだ。

  こんな身体で、私は何をしていたの?

  先ほどまで自分がただの馬獣人のおじさんとして当然のように振る舞っていた。その事実が心の底から耐え難い。思い出すだけで羞恥が湧き上がり、もう二度と人前には出られないとすら感じる。

  まして、あの行為。

  あの恥知らずな、獣そのもののような姿。

  「ああ、もう最悪……。最悪よ……っ!」

  私は壁に寄りかかり、そのままへたり込むように座り込んだ。がっしりとした体躯は重く、床に座るだけでも自分の身体の重厚感を嫌でも感じてしまう。しかも下半身の装備は頼りない前垂れだけで、その裏はいろいろな粘液でびちゃびちゃ。未だ生々しく残る行為の痕跡すら、完全に隠せていない。

  ダンジョンに入ってから散々だったが、今が一番ひどい。この羞恥心は、きっと一生忘れられないだろう。

  「もう……、レンジの奴、絶対許さない……。こんなダンジョンに送り込んだ張本人だもの……!」

  私は小さく唸りながら、今さら遅すぎる怒りをぶつける。

  けれど、ここで恥じ入って座り込んでいても、どうにもならない。

  目の前の扉をじっと見つめる。

  この扉の先に何があるのかは分からないけど、きっとこれ以上はひどい目に遭わないだろう。いや、そう願いたいだけかもしれないけど。

  「……進まなきゃ、いけないわよね」

  震える指をゆっくりと動かし、私は床から立ち上がった。

  馬の蹄が床を踏みしめる音が、やけに大きく耳に響く。自分の身体が、重く、大きく、まるで他人のようだ。それでも、自分の意志で動かなければ、ずっとここに取り残されるだけだ。

  「……こんなの、誰かに知られたら本当に生きていけないわ……」

  つぶやきながら、私は慎重に身体を扉のほうへと動かした。

  クリアしたら、記憶は消える。それがこのダンジョンのルールだったはずだ。

  つまり、あの行為も、この身体で過ごした恥ずかしい時間も、全部忘れられるってこと。

  足を踏み出すたびに、先ほどまでの獣じみた自分の姿が脳裏をよぎり、そのたびに頬が熱くなる。

  あの装置に夢中になり、雄の本能のままに振る舞っていた自分自身が、私の理性を容赦なく攻め立てる。「これが本来の姿だ」と、何度も繰り返していた記憶が残っていて、それが余計に恥ずかしい。

  けれど、ここで立ち止まっているわけにはいかない。

  恥ずかしくても、情けなくても、私は前に進まなければいけない。

  覚悟を決めて、私は扉に手を伸ばした。

  扉の表面はひんやりとしていて、私の高ぶった心を少しだけ落ち着かせてくれる。

  「大丈夫……大丈夫よ。こんなの、ただの身体の影響で、本当の私じゃない」

  そう、自分自身に言い聞かせるように小さく呟く。

  扉を開ければ、この階層のことも、あの忌まわしい行為も過去になる。きっとこの先に行けば、元の姿に戻る方法だってあるはずだ。

  私は震える指に力を込め、扉を押した。

  ギィ……と重い音を立てて扉がゆっくりと開いていく。

  そこには何が待っているかは分からないが、きっと今よりはマシだと信じて、私は扉の向こうへと足を踏み入れた。

  扉の向こうに広がっていたのは、見覚えのある空間だった。

  「ここ、は……?」

  一歩足を踏み入れると、床がひんやりと冷たく感じる。

  淡い光を放つ魔法陣、落ち着いた色合いの壁、天井には細かな装飾が施されている。

  そのどれもが、私が最初にこのダンジョンへ転送されたチュートリアルステージと同じ間取り だった。

  「……おかしいわね」

  最初の部屋に戻ったのか?

  いや、そんなはずはない。私は確かに進み続けてきた。ならば……。

  この部屋がダンジョンの最終ステージ、なのかもしれない。

  普通のダンジョンなら、ボス部屋にふさわしい威圧感や、出口へと繋がる構造になっているはず。

  だけど、この部屋にはそういった"終焉"を感じさせる雰囲気は一切なかった。

  むしろ、最初のチュートリアルステージと同じ作りになっていることで、「最初の自分に戻れる」 かのような、不思議な感覚すら抱かせる。

  「ふぅん、嫌な予感しかしないわね」

  私は低く呟きながら、慎重に部屋の中央へと進む。

  そして、ようやく気がついた。

  誰かがいる。

  部屋の奥。

  光の加減で少し陰になった場所に、二つの人影があった。

  私は無意識のうちに身構え、視線を鋭くする。

  敵か?

  それとも、このダンジョンの管理者……?

  二人は、何やら楽しそうに会話をしていた。

  だが、その内容は妙に緊張感のないものだった。

  「いやいやいや、だから俺はロリケモになりたかったんだってば!」

  「ふふっ……。ロリケモ? も良いものだが、君の今の姿もなかなか美しいじゃないか?」

  「それはそうだけど、違うんだよ!! 俺がなりたかったのはもっとこう、ふわっふわの耳と尻尾がついた可愛い系のケモロリで……」

  「なるほど、つまり、可愛さを求めるなら獣人の幼女が理想だったと?」

  「そうそう! なのに、なんで俺はこんなスラッとしたハーピィになってんだよ!?」

  ……何を言ってるんだ、こいつら?

  私は眉をひそめた。

  あまりにも場違いなやり取りに、一瞬、ここが本当にダンジョンの最奥なのかすら疑ってしまいそうになる。

  「……敵?」

  私は息を殺し、相手の様子を慎重に観察する。

  片方は、ハーピィのような姿をしている。

  大きな翼を持ち、小柄ながらもしなやかな体躯。妙に馴れ馴れしい口調で喋り続けているが、その身のこなしは、明らかに戦闘経験がある者のものだった。

  もう片方は、一目で"ただの人間ではない"と分かる存在。

  長く整った髪、どこか神々しさを感じさせる雰囲気。そして、その穏やかで飄々とした笑み。

  二人とも、ただ者ではない。それだけは確かだった。

  私は静かに構える。

  「……ここが最終ステージなら、おそらくあいつらがボスってことね」

  じり、と蹄を鳴らしながら、私はゆっくりと間合いを詰めた。

  二人は未だにこちらに気づいていない。

  なら、こちらから仕掛ける。私は拳を固く握りしめた。

  「お前たち、何者?」

  思ったより鋭く、低く発せられた声が部屋に響いた。

  会話を続けていた二人が、ようやくこちらに気づく。

  ハーピィが驚いたように振り向き、もう一人も優雅にこちらを見つめる。

  「……おや?」

  「ん……? 何だ?」

  私は二人の前に堂々と立ちはだかった。そして、改めて問いかけるように口を開く。

  このダンジョンの最奥に君臨する二人。

  おそらく、こいつらがボスなのだろう。

  ならば、やることは一つしかない。

  私は拳を固く握りしめ、鋭い視線で相手を睨みつけた。

  「あんたたちが、ボス?」

  私は真っ直ぐに二人を見据えながら、拳を握りしめる。

  私は一人。相手は二人。油断はできない。

  ……しかし、相手からの反応はなかった。

  さっきまでの馴れ合いが嘘だったかのように、こちらを値踏みするような視線を返してきただけだ。

  「答えなさい。このダンジョンの奥にいる以上、お前たちがボスの可能性が高いわよね?」

  私は重心を低くし、いつでも飛びかかれるように、または回避ができるように構える。

  たとえどんな強敵でも、油断しなければ隙はある。今までの戦闘で、それは嫌というほど学んできた。

  ハーピィの女は私をじっと見つめ、怪訝そうに首を傾げた。

  「いや、お前、なんか……」

  「……?」

  一瞬、視線が絡み合う。

  敵意があるのかどうか測りかねたが、その表情は妙に親しげで。

  「……ん? ちょっと待て、あれ、俺知ってるぞ、この空気……」

  ハーピィは突然大きく目を見開き、バサリと翼を広げてこちらを指さした。

  「お前……、フィオナか?」

  「……は?」

  私は眉をひそめた。

  なぜ私の名を? 知り合いの可能性? いや、そんなはずは……。

  次の瞬間、脳内で何かが繋がる。

  この口調。馴れ馴れしい話し方。そして、この驚いたようなリアクション。

  「……まさか」

  私は、まじまじと目の前のハーピィを見つめ直す。

  スラッとした身体に、大きく美しい翼。鋭い鉤爪を持ちながらも、身のこなしにはどこか軽快さがある。

  この雰囲気。私はこいつを知っている。

  「あんた……、レンジ?」

  「おっせえよ! 気づけよもっと早く!!」

  「はぁっ!?」

  あまりの衝撃に、私は思わず身を引いた。

  「ちょ、待って。待ちなさいよ。なんであんた女になってるのよ……!?」

  「いや、それをいうならお前もだろ……」

  レンジは苦笑しながら、気まずそうに翼をたたみ、腕を組んで答える。

  「いや、俺、前々からちょっと女の身体になってみたいなーって思ってたんだよ」

  「……」

  言葉を失う私をよそに、レンジは続ける。

  「それで、このダンジョンの噂を聞いてさ。ここなら女になれるんじゃないかって、試しに来てみたわけよ」

  「ちょっと待って。試しにって、そんな軽いノリで?」

  「まぁまぁ、そんなに驚くなって。どうせクリアしたら元に戻れるんだからさ」

  私は頭を抱えたくなった。そんな理由で、私をこんな目に合わせた……、ってこと?

  「で、こっちのエヴァリスが、このダンジョンの主。結構格の高い神様、らしいぜ」

  「神……?」

  私は改めてエヴァリスを見つめる。

  確かに、その存在感はただ者ではない。

  エヴァリスは微笑みながら、静かに言った。

  「私は美と愛を司る神。このダンジョンは、私の領域の一部といったところかな」

  「美と……愛?」

  「そう。君が今、馬獣人の身体になっているのも、ここでは当然のことなのさ」

  「…………」

  私は言葉を失った。

  これまでの異様な体験が、一気に脳裏に蘇る。

  ダンジョンに入った瞬間に馬獣人に変えられ、チュートリアルで妙な指示を受け、獣の本能に翻弄され続けた時間。

  「……何よ、それ。何のためにこんなことを?」

  私は、恥辱で歯を食いしばりながら問いかけた。

  エヴァリスは相変わらず、楽しげに微笑む。

  「んー、そうだな……。まあ、単純に、面白そうだから、かな?」

  「……は?」

  思わず、間抜けな声が出てしまう。

  面白そうだから? そんな理由で、このダンジョンは私を弄んだのか。

  怒りと羞恥で顔が熱くなるのを感じる。そんな私に、エヴァリスはゆっくりと歩みを進めた。

  「いやいや、何よそれ。ふざけてるの?」

  「ふざけてないさ。私は美と愛を司る神だ。だから、いろんな人の、いろんな姿を。そして、愛欲に乱れる姿を、見てみたいんだよね。」

  エヴァリスは軽く肩をすくめる。

  「だから、このダンジョンに挑戦する者を、『面白くなるように』脚色して、ランダムで姿を変えてあげるのさ」

  「……ちょっと待って。ランダム?」

  「そう。"その人の願望に沿っている" わけじゃない。 ただ単に、"その人の要素を組み合わせて、私が楽しいと思う形に変える" だけだよ」

  「……」

  衝撃が走る。

  てっきり何かしらの理由でこの姿になったと思っていたのに、実際には、完全にエヴァリスの気まぐれだったというのか。

  「まあ、そういうこと。俺を女の子に変えてくれたのは英断だったけどな」

  レンジが呆れたように言う。

  「でも俺だって、可愛い獣人のロリになりたかったのに、なぜかスレンダーなハーピィになってるしな」

  「おかしいでしょ、それ!?」

  私は思わず叫んだ。

  「そんな適当な理由で、こんな姿に変えられたっていうの!?」

  「うん、まあ、そうなるね」

  エヴァリスはさらっと答えた。

  「でも、何の意味もないってわけじゃないよ。結果として、君はこの姿でダンジョンを踏破した。戦い方も変わったし、獣の本能にも慣れた。それはそれで、"君にとって新しい体験" になったはずだろう?」

  「……」

  確かに、そうかもしれない。

  だけど、それは「私がこの姿になりたかったから」ではない。

  単に「こいつが面白そうだから」という理由で、勝手に変えられただけなのだ。

  そんな理由で、自分の身体を好き勝手に変えられて、恥ずかしい思いを散々させられたのか……!?

  「……最低の神ね」

  「まあ、そう言われるのは慣れているよ。色恋と濡れ場が好きなのは事実だしね」

  エヴァリスは肩をすくめる。その表情には、微塵も反省の色はなかった。

  私は拳を握りしめる。

  こうなったら……、何が何でも、一発ぶん殴ってやらないと気が済まない……!

  私がそう決意したときだった。

  「まあ、そんなに怒らないでくれ。このダンジョンには、クリアした者に二つの選択肢が与えられるんだ。」

  「……二つの選択肢?」

  私は眉をひそめる。

  そんな私を見て、エヴァリスは楽しげに笑った。

  「そう。ひとつは、"報酬を受け取り、すべての記憶を消して元の姿に戻る" という選択。もうひとつは、"報酬はなしだが、今の姿にいつでも戻れるようになる" という選択だ。」

  「なっ……」

  私は驚いて、エヴァリスを見つめる。

  「……ちょっと待って。それって、つまり……」

  「そう。元の姿に戻るだけなら、嫌な記憶も消して、わずかばかりの報酬を受け取って、君はすぐに帰れる。でも、今の姿に戻りたくなるかもしれないと思った場合は、それを選ぶこともできる、ということさ」

  私の心臓が、ドクンと高鳴った。

  「どうするかは、君たちの自由だよ」

  エヴァリスは魔法陣を示しながら、そう告げた。

  「さあ、どうする?」

  エヴァリスの柔らかな声が、静まり返った部屋にゆっくりと染み込んだ。

  淡く脈動する魔法陣の光が、まるで私たちの迷いを映すように、ゆらゆらと波打っている。

  その中心に立つ私たちの影が、床に二重三重に重なっていた。

  選ぶのは、自分。

  選ばなければならないのも、自分。

  それが分かっているからこそ、言葉が出ない。

  私は無言のまま、ほんの少しだけレンジの方を見た。

  ハーピィの姿となった彼女は、翼をたたみながら軽く腕を組んでいて、その横顔はどこか、清々しいほどに吹っ切れていた。

  「あんたは、どうするの?」

  ようやくかけた私の問いに、レンジは何の躊躇いもなく答えた。

  「俺は、今の姿でいられるほう。即決だ」

  即答。なんの迷いもない。

  私は目を見開く。

  これまでの言動からして薄々予想はしていたが、それでもここまで迷いがないとは思っていなかった。

  一方のレンジは、こともなげに肩をすくめて笑う。

  「動きやすいし、指が無くて翼なのは最初不便だったけどもう慣れたし。あとまあ、今の俺も、めちゃくちゃ可愛いしな?」

  翼を少しだけ広げ、彼女は自分の体を見下ろすように目を細める。

  「文句は言ったけど、この身体、すごく気に入っちゃったし。あとは……。産卵とかも、してみたくはあるな」

  軽口のように聞こえるその言葉の奥に、確かな納得があった。

  どう聞いても、変態の戯言。それにすらうっかり感心してしまいそうになりながら、魔法陣へ視線を戻す。

  自分の影が、床に伸びている。

  それは広く、逞しく、ずしりと重い。

  あのとき、何の説明もなくこの身体にされたときの嫌悪。

  戦闘に苦労し、発情に悩まされ、自分が何者なのか分からなくなった時間。

  それでも、ここまで来た。

  この姿で、歩いて、戦って、そして。

  私は言葉を探す。

  胸の中に、まだ整理しきれない感情が残っている。

  そんな沈黙の中、レンジがにやりと口角を上げた。

  「……で、お前は、どうするんだ?」

  私はじっと床を見つめ、逡巡していた。

  記憶を消して報酬を受け取るか、それともこの姿にいつでも戻れる選択肢を選ぶのか。

  どうりで、みんな記憶を無くして帰ってきたわけだ。こんな恥ずかしい記憶、無い方がいいに決まってる。

  「どうするって、言われても」

  元の身体に戻れるなら、それに越したことはない。

  だが、このダンジョンでの体験はあまりにも濃密すぎた。

  正直な話、”忘れるのがもったいない" という気持ちも、ほんの少しだけあった。

  そんな私の思考を見透かしたように、レンジがくつくつと笑う。

  「へぇ、お前も、やっぱ気に入っちゃったんだ?」

  その一言は、まるで軽い投げ石のようだった。

  ぽん、と投げられたはずなのに、私の胸の奥深くに、意外なほど、強く響く。

  私は無意識に顔をそむけた。

  レンジの方を見てしまえば、動揺が顔に出そうだったから。

  「……は?」

  なんとか絞り出した声は、自分でも呆れるほど乾いていた。

  「いやー、だってよ?」

  レンジは、くすくすと笑いながら、肩をすくめてみせる。

  「さっきからやけに考え込んでるし。すぐ否定すればいいのに。もしかして、この身体もいいかも~、って、思ってんじゃねぇの?」

  その言い草が、あまりにもおちょくるような口調だったから、私はすぐに言い返せなかった。

  実際、多少、心の奥ではそんなことを考えかけていたのも、事実だったから。

  「……っ」

  そんな私の沈黙を見て、レンジの目がキラリと光って。からかうように、レンジが私の身体をじろじろと眺める。

  その仕草に無性に腹が立ったが、私は何も言い返せなかった。

  今の姿も、いいかもしれない。そんな思いが芽生えてしまうほど、このダンジョンでの経験は強烈だった。そして、それはきっと、これからもずっと残り続けるだろう。

  「しかも、なんか落ち着かない感じしてるしな? もしかして……。発情、残ってんじゃね?」

  「あんたねぇ……」

  私の声が、低く、唸るように漏れた。

  レンジの軽口に、頭の中に鈍い熱が立ち上る。羞恥と苛立ちが混ざり合い、血がこめかみに集まる感覚。

  「ふふん、今の俺が可愛いからって、抑えきれないとか?」

  「……」

  言葉を失いそうになった。

  ふざけている。こいつは本気で……。

  (いや、待て。こいつ、煽ってるように見せかけて)

  その目の奥に、ほんのわずかに揺れるものを見つけた。

  揺らぎと、焦燥と、期待。

  ……やっぱり。

  私は、そっと息を吸った。

  呼吸が肺に満ちると同時に、重たい肉体が静かに動き出す。

  「……いい加減にしなさいよ、あんた」

  低く、押し殺すように呟いたその声に、レンジがきょとんとした顔をする。

  「んー? なんか言ったかぁ?」

  あくまで軽いノリ。あくまで無防備。

  なら、その余裕を、叩き潰してやるだけ。

  「そんなに欲しいなら……。くれてやるわよっ!」

  その一言と共に、私は一気に距離を詰めた。

  床を踏み鳴らす音とともにレンジの目が驚愕に染まり、バサリと羽音が上がる。

  「うおっ!? おいおい、マジかよ、お前!?」

  レンジの細い肩を押し倒すようにして、そこにあった広いベッドへ。

  反射的に動いた翼がばふんと広がり、抱き寄せるように柔らかい羽根が私の腕を包んだ。

  「ちょ、ちょっと待て、落ち着け!? くれてやるって、……マジで!?」

  「遅い」

  「いやいやいやいや、早すぎだって!?」

  「遅いのよ」

  私はあっさりと、レンジの細っこくなった腕をふかふかのベッドに押さえつけた。

  馬獣人の、男の腕は重く、強く、そして容赦なく”彼女”を抑え込む。

  「お前、マジでヤる気……」

  「さっきまであれだけ好き放題煽ってくれたんだから、覚悟はできてるんでしょうね?」

  「や、やば……。いや、でも……」

  「ふふん、急に黙るなんて、図星?」

  私は、あえて顔を近づける。

  熱い吐息が混ざり合うような距離。その近さで、私達は見つめ合った。

  私の心臓が激しく鼓動するのと同じリズムで、レンジの心音も高鳴っているのがありありと分かった。

  顔が真っ赤に染まっていく"彼女"を見つめ、私は愉悦に浸りながら笑みを浮かべる。

  「あんたも発情してるんでしょ。素直になりなさいよ」

  「う、うるせ……。そんなわけ……」

  「あるでしょ? だって……」

  私はゆっくりと、その耳元に口を近づけた。

  そして、囁いてやる。

  「このダンジョンで、あんたも散々楽しんだもんね?」

  「……っ!!」

  "彼女"の体がびくりと震え、私の腕を押し返そうとする力が強くなるのを感じた。

  だがしかし、それは抵抗と呼ぶにはあまりにも弱々しくて。

  それが、どうしようもなく可愛いと、感じてしまっていた。

  「……いいぜ」

  ふいに、あきらめたように、レンジが静かに言った。

  その声は妙に素直で、熱を含んでいて。

  さっきまで私を煽り散らしていたやつと同じとは全然思えない、性の匂いを含んでいた。

  「来いよ」

  レンジの声は、ひどく静かで、それでいて真っすぐだった。

  それまでのふざけた調子は影をひそめ、そこにあったのは、今の姿のままの私を受け止める覚悟だった。

  目が合う。

  茶化しもからかいも消えたその綺麗な瞳に、私は思わず息をのんだ。

  「せっかくだしさ。二人とも、姿も性別も変わったんだ。……何もせずに終わったら、もったいないだろ?」

  そう言って微笑むレンジの唇の端には、ほんのわずかに緊張が浮かんでいた。

  強がっているようでいて、どこか心細さを隠しているような。

  私は、そっと彼女の頬に手を添えた。

  驚いたように、レンジのまつ毛が震える。

  私は、その反応を逃さず見つめながら、自分の声を確かめるように、ゆっくりと話した。

  「あんた、本当にそうやって、全部茶化す癖、変わってないのね」

  「うん。性別変わっても、性格は変わらねぇよ?」

  「……バカ」

  私の手のひらに、レンジの体温がじんわりと染みていく。

  そのぬくもりは、優しさとも、戸惑いとも違う、もっと、真っ直ぐな何かだった。

  視線が重なる。

  今の私と、今のレンジ。互いに、姿も性別も変わってしまったけれど。

  それでも、ここにいるのは、たしかに“レンジ”で、“私”だった。

  私は、迷いを捨てるように、静かに目を閉じた。

  そして、ほんの少し、身を屈めて……。

  レンジの唇に、自分のマズルを重ねる。

  「ん……っ」

  柔らかな感触。

  その向こうで、レンジが息を飲むのを感じた。

  私はそのまま、彼女の唇の感触を確かめるように、ゆっくりと自分のマズルを押し付けていく。

  心臓が高鳴り始めると同時に、私の身体も熱を持ち始めたようだった。胸の奥に灯る甘い疼き。それはまるで、ダンジョンに入る前に感じたものと同じようでいて、どこかが違うような、不思議な感覚だった。

  「んっ……、ちゅ……」

  私はそのまま、何度もレンジの唇を求めた。

  柔らかな感触を味わいながら、その熱に酔いしれるように。

  馬の長い口は、ヒトっぽい形を保ったレンジの口と合わせるのにはあまりにも不向きで、私は何度も角度を変えながら、彼女の唇を貪った。

  「ちゅ……、はむ……っ、ん……」

  柔らかく、あたたかく、懐かしいようでいて、新しい感覚だった。

  これまでのどんな言葉よりも、どんなふざけたやり取りよりも、この一瞬が、レンジとの心の距離を決定的に縮めていく。

  レンジの羽根が、そっと私の背中に回されて。

  羽根がわずかに広がり、包み込むように私の背をなぞる。

  ――ああ、そうだ。

  これはもう、言葉なんていらない。

  互いの鼓動が、今すべてを語っている。

  唇を離すと、ほんの一瞬、名残惜しさにレンジの目が揺れた。

  でもその直後、”彼女”は小さく、恥ずかしそうに笑った。

  「お前、獣臭すぎ、だろ……。それになんか精子みたいな味したし……」

  「あんたこそ、発情しすぎてよだれ臭いわよ。あと、動物臭さはお互いさまでしょ」

  「いや、俺はそんな……」

  レンジが何かを言いかけたのを遮るように、ぐり、ぐりっと、レンジのお腹に怒張しきったそれを押し付ける。

  レンジの体がびくんと震え、その目が見開かれる。

  「で、かわいいハーピィちゃんは、これが欲しいのよね? おねだりでもしてみたら?」

  「は、はぁ? 誰がそんな……っ」

  「ふーん、そう」

  私はレンジのお腹に自分のそれを押し付けたまま、ゆっくりと腰を動かした。

  優に"彼女"のおへそまで届くようなモノを、秘部にこすりつけるように。先端からどろどろと湧き出す先走りで、自分のメスにマーキングするように。

  「ん……っ」

  そのたびに、レンジの小さな腰が震えて、切なげな声が口から漏れる。

  その反応が面白くて、私はわざと力を入れながらぐりぐりと腰を押し付ける。

  「あ、ちょ……っ、お前、それ……」

  「何?」

  「いや、その……。なんか、すごい感じちゃって……」

  レンジは恥ずかしそうに目を伏せた。

  その仕草に、私は思わず息をのむ。

  (か、かわいい……!)

  それは今まで感じたことの無い感情だった。

  だが今この瞬間だけは、はっきりと自覚する。

  ああ、そうか。私は、この小さなハーピィを。

  「あ……っ」

  私はレンジの腰に手を回し、その細い身体を抱き寄せた。

  そして、自分の怒張をちっちゃな秘部にあてがう。

  「ちょ、お前……」

  「ねぇ、レンジ?」

  私は耳元に口を寄せた。その吐息は、自分でも驚くほどに熱を帯びていて。

  そして、私は囁く。

  この姿になって初めて口にする、その言葉。

  それはきっと、どんな言葉よりも、まっすぐな気持ちだった。

  「あんたも、欲しいんでしょ?」

  「……うん」

  「だったら、おねだりしてみなさい」

  「……あ」

  レンジの顔が、耳まで真っ赤になる。

  それから何度か口を開けたり閉じたりしてから、小さく呟いた。

  「その……。一緒に……」

  「……うん?」

  「一緒に、気持ちよくなりたい……かも」

  「……」

  私は、思わず言葉を失った。

  それは、今まで見たどんな表情よりも、可愛くて、いじらしくて……。

  胸の奥がきゅうっと締め付けられるような感覚。

  「あんたって、本当に……!」

  「な、なんだよ……?」

  「……なんでもない」

  私は小さく首を振ると、彼女の秘部に自分のモノをそっと押し当てて。そしてそのまま、ゆっくりと、小刻みに、腰を動かす。

  ぬちゃっ、という水音と共に、私の先端が彼女の入り口に触れた。

  その入口はひどく小さく、柔らかく、そして熱く濡れそぼっていて、まるで私を待っていたかのようにヒクついていた。

  私は慎重に体重をかけながら、ゆっくりと腰を押し進めていく。

  初めて味わうような快感。ダンジョン内のニセモノなんかじゃない、生の女の子のナカ。

  すぐにイってしまいそうで、ぐっと奥歯を噛みしめて耐える。

  ふと下を見れば、レンジは歯を食いしばって耐えるようにシーツをぎゅっと握りしめていた。

  そんな様子に、私は思わず苦笑する。

  (ほんと……、可愛くなっちゃって)

  そのままさらに体重をかけると、ずぶりという感触と共に私のモノが中へと入り込んだ。

  その瞬間、レンジの口から甲高い悲鳴が漏れた。

  「いっ……!!」

  私は思わず動きを止める。やっぱり、この身体のモノは凶悪すぎたかな。そんな考えが頭をよぎって。

  だけどすぐに、レンジの表情が苦痛だけではなく、快感を含むそれになっていることに気づいた。

  「……大丈夫?」

  「あ……っ、一瞬、痛かったけど、大丈夫、だから……。動いて、ほしい、かも……」

  強がりなのか、はたまた本気なのか。その目には涙が浮かんでいて、それが痛みによるものなのか、それとも別の何かなのかはわからなかったけれど、少なくとも、嫌がっているわけではないようだったから、私はそのまま腰を動かし始めた。

  ゆっくりと、慎重に、腕の中の”女の子”の反応を見ながら。

  「あっ……、あ……」

  最初は苦しそうな声だったレンジの声が、徐々に甘い響きを帯びていく。

  その声を聞くたびに、胸が、腹の奥底の部分が熱くなる。

  私の太い指と、彼女の鉤爪をそっと絡めるようにして。

  そしてそのまま、ゆっくりと抽挿を繰り返す。

  最初はぎちぎちだった膣内も、徐々に柔らかくほぐれていき、やがて私のモノを優しく包み込み始めた。

  それはまるで、別の生き物のようにうねって絡みつき、私の精を搾り取ろうとしているかのようだった。

  「っ、……気持ち、いい?」

  私が尋ねると、レンジはこくこくと頷く。その目には涙が浮かび、口の端からはよだれが垂れている。

  ああ、もう。なんて顔しちゃってるのよ……!

  私は思わずまた、彼女の唇を奪った。そのまま舌を絡めながら、腰を動かす速度を上げる。

  ぐちゃりという水音が響き渡り、それに混じってレンジのくぐもった喘ぎ声が漏れる。それがあまりにも可愛くて、愛おしくて。私はさらに強く抱きしめる。

  「あっ……、お前、ちょっとは手加減を……」

  「やだ」

  「いやって……。あぅっ!?」

  ぐりっと奥に押し付けるようにすると、レンジの腰がびくんと跳ねた。

  ああもう、本当に可愛い……!

  私は彼女の小さな体をぎゅっと抱きしめながら、何度も何度も腰を動かした。そのたびに彼女は甘い声を上げて身悶えし、私のモノを締め付ける力を強めていくようだった。

  (やばい……っ)

  腰が止まらない。いや、止めたくない。

  もっとこの快感を味わっていたい。ずっとこうして繋がっていたい……っ!

  「レンジ……!」

  私は彼女の身体を抱き寄せると、そのまま唇を重ねた。そしてそのまま、激しく舌を絡ませ合う。

  それでも体は勝手に動き続ける。まるで自分のものではないような激しい衝動に突き動かされて、私はただひたすら彼女を求めた。

  やがて限界が訪れる直前、私たちはどちらからともなく唇を離した。

  「あ……、俺……」

  「私も、もう……」

  私たちはお互いに見つめ合い、小さく笑い合うと、またそのまま唇を重ねて。

  そしてその瞬間、私のモノがどくんと脈打ち、熱いものが解き放たれる感覚があった。それと同時にレンジの体がびくんと震え、私のモノを強く締め付ける。その刺激に耐えきれず、私は深い絶頂を迎えた。

  どくっ、びゅくっ! そんな音を立てて勢いよく放たれた精液はレンジの子宮を満たして、それでもなお止まらない勢いで溢れ出していく。やがて長い吐精が終わると、私たちはお互いに荒い呼吸を繰り返していた。

  「はぁ……っ、はぁ……」

  やがてゆっくりと体を起こすと、ずるりと私のモノを引き抜く。

  すると栓を失ったそこからどろりとした白い液体が溢れ出し、シーツの上に垂れ落ちた。

  「……あ」

  レンジがそれに気づき、慌てて手で押さえる。だがしかし、一度溢れ出したそれは止まることなく流れ続け、やがてぽたりと雫となって落ちてシーツに染みを作った。

  私はその姿を見て、思わず唾をのんだ。

  (……やばい)

  その姿を見ていると、一度出して萎えかけていたモノが再び臨戦態勢になるのを感じた。

  それを見たレンジが、私の股間をまじまじと見つめる。

  そして、恥ずかしそうに視線をそらしたかと思うと、ゆっくりと脚を広げてみせた。

  そこには、今しがた私が思いっきり中出ししたばかりの女の子の部分があった。そこはひくひくと痙攣しながらも、まだ満足していないとばかりに愛液を溢れさせていた。

  その扇情的な姿に、私の理性はあっさりと吹き飛んだ。

  「お、おい……。まだやるのか……?」

  「当たり前でしょ? ダンジョンの魔物を一人倒しただけで満足できるわけないじゃない」

  「いや、それは分かるけど……」

  私の股間でいきり立つモノを見せつけられ、レンジは戸惑いの声を上げた。

  そしてしばらく逡巡した後、諦めたようにため息をつくと私を見上げた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいて、頬はすっかり上気している。

  そんな表情で見つめられた私はもう止まれなかったし、レンジもまたそれを望んでいるように思えたから。

  「……分かったよ」

  「いい?」

  「しょうがないんだろ? 男の欲望は、まあ、わかるつもりだし……。なあ、体勢、変えてみねぇ……?」

  そう言って、レンジはちらりと視線を私の後ろにやった。そこには、高級そうな大きな姿見。鏡の中には、汗と粘液にまみれた二人の姿が映っていた。

  (なるほど、あれを見ながら犯してほしいってことね)

  私はにやりと笑みを浮かべると、彼女の体をそっと抱き上げた。

  姿見の前に向き直って座ると、膝の上にレンジを座らせる。

  「ほら、自分で広げてみせて」

  「……っ」

  レンジは顔を真っ赤にしながら、ゆっくりと脚を開いた。

  そして自分の秘部を指で押し広げるようにして見せる。そこはすっかりほぐれていて、私のモノを受け入れられる状態になっている。

  私はその小さな体を抱きしめるようにして腰に手を回すと、後ろから一気に貫いた。

  「あ……っ!」

  その瞬間、レンジの口から甘い声が漏れる。それは最初みたいな痛みによるものではなく、快感によるものだということはすぐに分かった。

  私は彼女の細い腰を両手でつかむと、モノみたいに上下に動かし始める。

  「んっ……やあっ! この体勢、やば……」

  「く、っ……。エロい顔、しちゃってっ!」

  「あ、ぅ! 一番、奥に、当たってる……っ!」

  レンジに見せつけるように、控えめな胸をめちゃくちゃに揉みしだき、乳首をねじりあげる。もう片方の手でお腹をさすれば、私のモノの形がはっきりわかるようで。

  彼女の言う通りだ。この体勢だと、鏡の中の二人分の痴態が丸見え。それを認識した途端、私のモノはさらに一回り大きくなるのを感じた。

  「や、ぁっ! お前、また大きく……」

  「うっさい……。こっちも、興奮してんの、よっ……」

  そんな抗議の声を無視しながら、さらに激しく責め立てる。肌同士がぶつかる音が部屋中に響き渡り、結合部からはぐちゃり、ぬちょっ、という水音が響く。その刺激に反応してか、レンジの中がきゅううっと締まるのが分かった。

  私はそれに負けじとさらに激しく抽挿を繰り返す。すると彼女は切なげな声を上げながら身をよじらせた。どうやら限界が近いらしい。

  「なあっ、俺、かわいいよなっ!? 俺、今……っ!」

  「ええ、……最高に、っ……可愛いわよっ! だか、ら……っ!!!」

  「うぁ、ああっ!」

  私はさらに強く抱きしめながら、最後の一突きを放った。その瞬間にレンジの体がびくんと跳ね上がり、同時に膣内が激しく痙攣する。それと同時に私もまた限界を迎え、彼女の子宮へと大量の精を解き放ったのだった。

  どくっ! びゅるるっ!! どぴゅっ!! ぶぴゅっ!

  長く続いた吐精が終わりを迎える頃、私たちは二人揃ってベッドに倒れ込み、ぐったりと脱力していた。

  そしてようやく落ち着いたところでゆっくりとモノを引き抜くと、どろりとした白い液体が流れ落ちる。

  栓を失ったそこから、収まり切らなかった分が大量に溢れ出し、シーツから床に大きな染みを作った。

  その様子を見つめながら私は小さくため息をつくと、横に寝そべるレンジの体を抱きしめた。そして汗に濡れた前髪をかきあげるようにして頭を撫でると、優しく微笑みかけた。

  なんだか気恥ずかしくて、だけど嬉しくて。

  私たちはしばらくの間そうやって見つめ合っていたのだった。

  「で、どうすんの? ……もう、答えは決まってる気がするけど」

  レンジの問いが、部屋の静けさにぽつんと落ちる。

  まるで、それだけが音として残ったような、奇妙な余韻を伴って。

  私は少し遅れて、自分の身体を見下ろした。

  見慣れた――とは言いがたい、けれどもう他人ではない、がっしりとした肩。重い足取り。長い耳と短い毛並み。

  さっきまで、走って、戦って、いろいろ巻き込まれて、しかも……。

  (……ほんの数時間のことよね、これ)

  いろいろ詰め込まれすぎて、もはや日付の感覚がおかしい。

  けれどその短い時間の中で、私はあまりにも多くのことを感じすぎてしまった。

  「……んー」

  思わず、唸るような声が漏れる。

  横からじっと見つめてくるレンジの視線が、何気にやたら刺さる。

  まったく、なんでこいつ、こういうときだけ黙って待つんだか……。

  「正直言うと、まだちょっと、変な感じ」

  私は軽く首を振りながら言った。この体にも、ダンジョンの空気にもすっかり慣れたと思う。だけどまだ実感がわかないというか、まるで夢の中の出来事みたいで。

  これが本当の私なのかと疑ってしまうことも何度もあるし、本当に夢だったのかもという不安もある。

  「この身体で動いてた時間なんて、ほんの数時間だし。なのに、なんか妙に馴染んじゃってる気がして、逆に腹立つっていうか」

  「……なるほどなるほど?」

  レンジはうんうんと頷きながら、どこか嬉しそうな顔をしている。

  ムカつくくらいニヤけているので、目を合わせるのをやめた。

  「で?」

  「なによ」

  「戻る? それとも……、いつでも、またなれるようにしとく?」

  レンジが、まるで道端の屋台で変なお菓子を薦めてくる旅の商人のような調子で、軽く言ってくる。

  私は、再び魔法陣の光に視線を落とした。

  ちょっと考えて、口元を指で触れながら、言った。

  「……なれるようにはしとく」

  レンジの口角が、にっ、っと上がった。そして、私の頭をくしゃりと撫でる。

  それはまるで、小さな子供をあやすような手つきで。

  私は思わず、むっとしてその手を振り払う。

  「おっ、決まり?」

  「決まりってほど大げさなもんじゃないわ」

  私は少しだけ笑って、肩をすくめる。

  物好きの変態の仲間入りだ、私も。

  「どっちかっていうと、まあ……“珍妙なお菓子をもう一口くらい食べてみるか”ってやつ」

  「はーい、フィオナさん、変な味に慣れてきました~!」

  「違うわ!! なんでそうなるのよ!!」

  頭に血が上りそうになるのを、どうにか抑えた。

  本当に、最後の最後まで煽るのが得意なやつだ。

  でも、そのからかうような声に、どこか安心する自分がいるのも否定できなかった。

  結局、私はふっと息を吐いて、ぼそりと呟く。

  「……まあ、男の、この姿も……、悪くないかも、ってだけよ」

  それだけ言って、ぷいとそっぽを向いた。

  そしてそのまま、何も見なかったことにしようとしたら、

  「っぷははっ、うける!」

  レンジが全力で吹き出した。

  「な、なんで笑うのよ!?」

  「いや、もう、顔がさ……“くっそ照れてます”って書いてある!」

  「黙れ!!!」

  私は羽根の一枚を引っ張ろうと手を伸ばし、レンジは爆笑しながら逃げる。

  まったく。

  どこまでも調子のいいハーピィで、どこまでも、よく知っている私の相棒だった。

  笑いの余韻がまだ部屋に残っている中で、レンジは羽根をばさっと一振りさせて、

  「あ~面白かった」とでも言いたげに大きく伸びをした。

  「でさ、」

  レンジが唐突に口を開く。

  また何かろくでもないことを言い出しそうな予感に、私は眉をひそめた。

  「このダンジョン、もう一周してもいい?」

  「……は?」

  私の口から、きれいに疑問符が飛び出た。

  「いやー、やっぱさ、次こそ俺の理想のロリケモちゃんになりたくて」

  「はああああああ!?」

  こいつ、やっぱり変態だ。私はがばっと立ち上がり、怒りのままに叫んだ。

  だがレンジはそれに動じることもなく、へらへらと笑っている。

  まったく……。こいつは本当に……! 怒るのも馬鹿らしくなって、私は大げさな溜息をつく。

  「お前も来いよ、フィオナ。せっかくだし。二人でケモカプやろーぜ、ケモカプ」

  「今、適当に略したでしょ!? なにそれ!」

  「なにって、ケモノカップル。略してケモカプ。良くない? 語感」

  「よくないし、その発想がもう終わってるから!」

  「エヴァリス~、いい? もう一周してもいい?」

  レンジの声が、澄んだ空間に軽快に響いた。

  まるで、神様に願いごとをする子どもみたいに、楽しげな響きだった。

  彼女は悪びれた様子もなく、ひらひらと手を振りながら、いつの間にかエヴァリスに向き直る。

  この変態ハーピィ、こんなダンジョンを乗り切って、私と散々ヤってもまだ足りないっていうのか。

  私は、あきれたように肩をすくめてため息をついた。

  けれどエヴァリスはというと、まるで予想していたかのように、ゆったりと微笑んでいる。

  「一周だけなら、いいよ」

  その返答は、どこまでも穏やかで、まるで初めから了承していたようだった。

  神のわりには、ずいぶん気軽すぎる……。いや、この神の場合、たぶんこれが通常運転なのだろう。

  「やった~!」

  レンジが両翼をパタパタと羽ばたかせて小さく跳ねる。

  無邪気すぎるその姿は、ちょっと年齢を忘れそうになるほどだった。

  「あと、は……」

  静かに続いた言葉に、レンジの跳ねていた動きが止まる。

  そして、エヴァリスの視線がすっとこちらに向けられた。

  「こんなに私のダンジョンを気に入ってくれた挑戦者は、久しぶりだし……。今、いい情事も見せてもらったことだしね……。次は特別に、望み通りの姿にしてあげよう」

  見られてたのか。最悪すぎる。

  エヴァリスの言い方はやけにさっぱりしていたけれど、どこか誇らしげでもあった。

  神であることに誇りを持っているというより、自分の創った“遊び場”を楽しんでもらえたことに素直に喜んでいる、そんな風に見えた。

  「マジで!?」

  レンジが両目を輝かせながら身を乗り出す。

  「すごっ、ほんとにいい神だな、お前」

  「ふふ、そう言われるのも珍しいけど、悪い気はしないよ」

  エヴァリスは口元に軽く手を添えて微笑む。

  神というにはあまりに飄々としていて、でも、そのやり取りが不思議と場の空気をやわらかくしていた。

  レンジは満足そうにくるっと振り返り、私の方にぴたりと寄ってきた。

  彼女の羽根が、私の腕にかすかに触れる。

  「フィオナ、お前もさ、どうせならもう一回やろ?」

  「……はぁ」

  私は思わず、ため息をひとつ。

  「俺がロリケモになるから、お前は、できるだけイケメンで頼む」

  「勝手に注文しないで」

  「大丈夫、エヴァリスに頼んどく」

  「ちょっと!?」

  エヴァリスがくすくすと笑ったのが聞こえた。

  ああ、こっちまで巻き込む気満々だ。

  「……あ、でも、今の姿だとちょっとデカすぎてバランス悪いかもだから、筋肉とチンコは控えめで」

  「やめろおおおおお!!!」

  言った本人は笑いながら肩をすくめていたが、私は顔から火が出そうになっていた。

  「なんでそういうこといちいち神様に言うのよ!?」

  「いや~、だってほら、俺の美学ってやつ?」

  「黙れ!!」

  堪らず私はレンジに飛びかかる。

  レンジはけたけた笑いながら部屋を逃げ回り、羽ばたいて高く跳んだかと思えば、わざと捕まりそうな距離まで戻ってくる。

  「なになに、もしかして気にしてんの?」

  「うるさい!!!」

  怒鳴りながら追いかける私。

  笑いながらひらひらと逃げるレンジ。

  そして、それを見守るエヴァリスは、どこか目を細めて楽しげだった。

  「……さあ、準備はいいかい?」

  エヴァリスがふわりと片手を掲げると、床に描かれた魔法陣が再び淡い光を帯び始めた。

  二人分の転送陣。そこに、私とレンジの影が静かに重なる。

  「一周だけよ。ほんとに一周だけだからね」

  私は釘を刺すように、レンジを睨んだ。

  「へーへー。俺は十分、それで満足」

  レンジがにっこりと笑って、そっと鉤爪で私の手を取る。

  細くて小さい、けれど不思議と安心するあたたかさが、羽根と化した腕からでも伝わってくる。

  私は、その手を少しだけきゅっと握り返した。

  「……馬の姿も、ちょっとくらい気に入ったからって、調子に乗るんじゃないわよ」

  「うっわ~、それってつまり……“気に入ってる”ってことだよね?」

  「言ってない!!!」

  私の怒鳴り声と、レンジの笑い声が、魔法陣の光に包まれて消えていく。

  眩い光の中で、すべてが溶けていくような感覚の中、私は小さく呟いた。

  「まったく、もう……」

  そして、私たちは踏み出す。

  二周目のダンジョンへ。

  姿はまた変わるかもしれない。性別も、変わるかもしれない。

  でも、レンジと一緒なら、なんとかなる。

  きっと、今回もえっちな目にあって、最後には身体を重ね合って。

  そんな旅も、まあ……。悪くない、かもしれない。