ここはケモノ界の埼玉県さいたま市[[rb:大上区 > おおかみく]]。
金曜日の19時、ケモノ小学校埼玉校の職員室にて。
(よし、今週の仕事は終わりだ!)
太ったホッキョクグマの[[rb:保良 部亜 > ぽうら べあ]]先生(6年1組担任/相撲部顧問)は、帰宅の準備をしていた。
(さて、帰る連絡をしておこう。)
スマートフォンを見ると、妻の[[rb:由紀子 > ゆきこ]]から連絡が来ていた。
「実家から誘われたので、今日と明日で[[rb:阿蓮 > あれん]]と実家に泊まるね
帰るのは明日の夕方
直接連絡できなくてごめん」
(妻と息子がいないのか。なら、あの店に行こう。)
学校を出た保良先生は家に帰らず、大上駅の東口へ。レストランやゲームセンターなど多くの店が並び、いつも賑やかな場所だ。
しかし裏通りへ入れば、性風俗店の並ぶ一角がある。保良先生はその中に建つ、薄暗い雑居ビルに入った。
地下1階へ降りると、重厚な鉄の扉が現れた。看守の服を着たサイの男性がカウンターに座っている。
「会員証をお見せください。」
「はい。」
「ありがとうございます。中へどうぞ。」
そこは会員制レストラン「Fat Furs Prison」。地下牢をイメージした店だ。
複数の檻が並び、その中で食事ができる。不気味な店内だが、料理は格安で味も良い。
また、個室や通路は広めに造られている。会員の条件は、体重が100キロを超えている事だ。
保良先生は会員になって日が浅いため、今日が2回目の来店。
店内では、肥満体のケモノたちが食事を楽しんでいる。
太鼓腹を抱えた狸、脂肪で覆われたカバ、300キロ近くありそうな象、脂肪と筋肉が半々ぐらいのドブネズミなど様々だ。
お腹が丸出しのケモノも多いが、保良先生は大型のスーツを着ているためそれには該当しない。
席に着いた彼は、700円のチキンステーキを注文した。
(この値段でこのサイズか。食べ応えがあるぞ!)
食べようとした時、ホンドギツネの店員が来た。
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「ここにお集まりの皆様、本当にラッキーですね!
今からサプライズイベント『真夜中まで我慢の刑』が始まります!
ルールは単純明快。これから全員に利尿剤が入った水を1杯渡すので、それを飲んでください。
それから夜の12時までトイレを我慢していただきます。最後まで残った方には、ここでの食事が1ヶ月無料になるスペシャルチケットをプレゼントします!」
客たちは歓声を上げた。
「そりゃすごいな!」
「1ヶ月無料か!絶対勝ち残るぞ!」
「俺も負けないぜ!」
全員に水が配られた。
「さあ、飲んでください!」
時刻は20時ちょうど。合計20頭の客は、同時に水を飲み干した。
「飲んだら各自普通に過ごしてください。ただし我慢の限界を迎えるまでは店から出ないこと。また、この店のトイレを使ってはいけません。
万が一漏らした場合、その時点で失格とします。」
「了解!」
客たちは食事や会話を再開させた。保良先生もチキンステーキを口に運ぶ。
今はまだ普通の店内だ。利尿剤の効果も出ていない。
30分後、徐々に効果が表れてきた。客たちが体を震わせ始めている。
「も、もう我慢できない!残念だけどやめます!」
かなり太ったカワウソの若者が料理を一気に食べ、慌てて代金を払い、店を出た。
(私は前に1日中おしっこを我慢した事があるから、4時間ほど我慢するのはまだ軽い方だな。)
保良先生は自信があるようだ。
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その後も客たちが次々と脱落した。
水牛の夫婦、サイ、狸、アライグマ、黒猫の女性、猪、スカンク、ライオンの順に退店し、21時の時点では10頭に減っていた。
「ビールのLサイズお願いします!」
保良先生と同じくらい太ったパンダが注文をした。連れのヒグマが話しかける。
「なんでそんなに頼むんだ?」
「自分を鍛えるためさ。」
(あのパンダ、すごいな。)
保良先生が感心していると、丸々としたニホンアナグマの中年女性が話しかけてきた。
「すみません、あなたもしかして[[rb:極ノ海 > きょくのうみ]]ですか?」
「はい、そうです!」
彼はかつて力士だった。極ノ海は当時の四股名だ。
「わあ、嬉しい!あたし相撲ファンなのよね。極ノ海も応援していて、何度も観戦に行ったのよ。」
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「それで今は何をしているんですか?」
「ケモノ小学校埼玉校で、教師及び相撲部の顧問を担当しています。」
「まあ、元力士に教わる相撲部なんて素敵ね!」
彼女は嬉しそうだが、やはり体を震わせている。
保良先生と彼女が会話を楽しむ間にドブネズミ、虎、白うさぎが脱落。やがてニホンアナグマも脱落した。
「チケットはもらえなかったけど、極ノ海と話せて良かったわ。あー漏れる漏れる!」
時刻は22時。残りは保良先生、象、カバ、チーター、パンダ、ヒグマの6頭だ。
パンダはまたビールを注文し、ヒグマに呆れられている。
チーターは足を組んで股間を押さえている。
カバは全身を震わせ、象は股間に手を伸ばそうとしているが太鼓腹ゆえに手が届かない。
保良先生も体を震わせているが、一番落ち着いているように見える。
6頭は我慢を続けた。
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23時、チーターが脱落した。
「ああ、もう我慢できねえ!」
そう叫び、チーターらしからぬ遅い足取りで退店。パンダも後に続いた。
「俺、先に帰るわ……あんなに飲むんじゃなかった……」
さらに時間が経ち、象とカバも脱落した。
23時50分。残った客は保良先生とヒグマの2頭だ。
どちらも下半身を震わせ、表情は苦しみに満ちている。
(ぐっ……膀胱が破裂しそう……)
(苦しい……我慢できない……)
保良先生も予想以上に辛そうだ。
23時58分。
「も……もう……無理……やめます……」
ついにヒグマが脱落した。
(すると、私は……)
そこへホンドギツネの店員とサイの受付係がやってきた。
「おめでとうございます。あなたが優勝しました!こちらが1ヶ月有効のスペシャルチケットです!」
「ああ、嬉しい……なんという幸せだ……」
保良先生はチケットを受け取った。
しかし、すぐにでもトイレに行く必要がある。
少しでも気が緩んだら漏らしてしまうため、股間を押し込めながら階段をゆっくりと登った。
5分かけて登り終えたが、大上駅まではまだ距離がある。
遅い足取りで表通りに出ると、明るい駅へと向かう。レストランから駅まで20分もかかった。
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保良先生はようやく駅のトイレにたどり着いた。太った彼には立小便が難しいため、個室に入る。
(やっと……やっとだ……)
震える手でズボンを下ろし、竿から黄色い液体を発射する。その量は非常に多かった。
(ああ、すっきりした……)
彼の表情は開放感に満ち溢れていた。
トイレから出た彼は、普段通りの足取りで家へ向かった。
(これで明日……いや、今日から1ヶ月無料で食べられるぞ!)
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翌朝。保良先生はスペシャルチケットを使い、開店から午後まで思うままに食事を楽しんだ。
「あら、極ノ海さん優勝したの?良かったわね。」
昨日のニホンアナグマがうらやましそうに話しかけてきた。彼女は常連客のようだ。
「はい、昨日は頑張りました!」
「まあ、あなたは相撲だけでなく膀胱も強いのね!すごいわ!」
羨望の眼差しを受けた保良先生は、得意気に笑った。
[chapter:おしまい]