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プレミアム小説パックA①【FANBOX試し読み】

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  【目次】

  1.季節外れの雪だるま→[jump:2]

  2.クロネコスーツ→[jump:3]

  [[jumpuri:続きはFANBOXで > https://jinogrehead.fanbox.cc/posts/1060057]]

  [newpage]

  [chapter:サンプル1]

  「あちー」

  「あちぃな。アイスでも買いにくか?」

  「おっ、いいね、それ採用!」

  8月の土も焼け付くうだるような暑さの中、野球部所属の高校生二人組、白間駆(しろま かける)と阿久高利(あく たかとし)が、夏休み練習の帰りの道を歩いていた。

  二人とも発育が良く、同年代よりもかなり高身長であり、さらにスポーツで鍛え抜かれた褐色の肌と筋肉は、まさに彼らが生粋のスポーツマンであることをしていた。

  「それにしても本当にあちー。どうせならどっかにでかい雪だるまでも落ちてりゃあいいのにな」

  「そりゃいい。拾ってかき氷にでもするか?」

  「バカ、落ちてる雪なんて食ったら腹壊すっつーの!」

  「ハハハハ」

  そんな冗談混じりの言葉を呟いていた二人だった。が、その二人に予想だにしない事態が待ち受けていた。そしてそれは、とあるひとつの物体からはじまった。それは、この猛暑では存在がまずあり得ないものだった。

  「……ん?」

  「どうした、駆?」

  「雪だるま?」

  急に立ち止まった駆が見たもの。それはひとつの雪だるまだった。しかし、それは顔も腕も存在せずふたつの雪玉が積み重なっただけのシンプルなものだった。

  そんなことよりも、何故こんなものがこの夏にあるのか。ということが駆達には疑問となっていた。

  「え? 何で雪だるま?」

  「何だこりゃ。夢じゃないよな? 俺たちさっき練習終わったとこだし」

  駆が恐る恐るその雪だるまに近づいていく。やはり、近づいてどこからどう見たとしても、それは雪だるまとしか言いようがなかった。

  二人は雪だるまを指でつついてみる。それは冷たく、やはりこれは雪そのものであると認識させた。その結果は、さらにこの事実の矛盾さを明確にさせるものであった。二人の頭の中は謎で埋め尽くされ、結果、これは深く考えてはいけないのかもしれない。という結論に至った。

  「……気味悪りぃ。帰ろうぜ」

  「そ、そうだな」

  踵を返し、謎の雪だるまから遠ざかろうとする二人。しかし、それは叶うことはなかった。雪だるまが、ふたつの雪玉に分裂したかと思うと、何かの力が働いてるかのようにひとりでに浮き上がり、二人めがけて勢いよく飛んで行ったからだ。

  「あうっ!?」

  「んあっ!!」

  二人はそれに気づくこともなく、何が起こったのかもわからないまま、雪玉に直撃した。しかし、事態はそれだけでは終わらなかった。

  「ああぁ! なんだこれ!!」

  雪玉が分解されると、その雪が二人の体にまとわりついていく。身体中が冷たい雪で張り巡らされ、身体の隅々まで雪に覆われてしまっていた。

  まるで、雪で作られた全身タイツを身に着けているかのようにも見えた。

  「と、取れねぇ! なんだこれ!」

  「冷たくてっ、気持ちいい……」

  変化はそれだけでは終わらない。

  身体を覆っている雪が蠢きはじめる。

  それは、がっしりとした二人の肉体を揉み消すかのように縮みはじめる。野球で鍛えた筋肉が、十六年間育ててきた成熟しかけの肉体が失われていく。

  二人はその変化を困惑と恐怖に苛まれながら体感していた。同時に快感も伴っているようで、顔を赤くして白い息を吐きながら喘いでいる。

  「俺の体が、俺の体が……」

  「誰か、気持ち、いい……誰か助けてくれ……」

  双方ともに、その身長は小学生とすら呼べないほどに小さなものとなっていた。まるで動物や妖精……架空の世界に存在するマスコットキャラクターかと思ってしまうほどに低く小さく縮んでいた。

  全体的に、その肉体も丸くずんぐりとしたものへと変貌していた。駆と高利の手は人間に似たようなものではあるが、丸く短い可愛らしい手へと変わり、それは完全に自身のものとして動かせた。雪に覆われた肉体はどこかへ消失し、完全に雪と化してしまったらしい。

  「あぁ……ああ……ああ!」

  「こんな体嫌だ! 戻してくれ! あぁん!」

  悪夢のような、肉体の変貌を受け入れられない二人に、さらなる変化が訪れる。急に甲高い声をあげ両手と両足を大きく広げたかと思うと、二人の体に新たな服が着せられた。それは服と呼ぶに相応しくないほど異質なものだったが。

  駆の体にふわりとひとりでに青色のコートが装着された。モコモコと冬場ならば似合いそうなそれも今の状況では違和感しかなかった。足には大きな水色のスノーブーツが履かされ、駆の肉体は変化を終えた。

  対する高利の身体には、先の尖った紫色の靴と首回りに厚手のマフラーが装着される。高利の方もその時点で変化を終えていた。

  「なんだよ、この、変なの……」

  「服、なのか……?」

  二人の肉体は小さく可愛らしい姿になった。が、しかし、首から上はかつての高校球児のまま残っている。

  人間の顔に、ディフォルメされた謎の生き物の身体というアンバランスな姿になった二人の高校生。これだけでも悪夢のような出来事だが、これからさらに異様な事態が起こり得ようとは、誰も予想だにはしていなかった。

  [newpage]

  [chapter:サンプル2]

  平日の、何気ない真っ昼間の日のことだった。高校2年生の青年、釧路達郎(くしろ たつろう)が見たものは、炉端になんとなく捨ててあるボロボロの段ボール箱だった。

  「……何でこんなとこに段ボールが?」

  古い漫画でも捨ててあるのかなと少しわくわくしながら覗き込むと、そこには黒くて薄い、布でできた何かが一枚乱雑に捨てられているだけだった。

  なんだこれ、と少しがっかりしつつもつい気になって手に取って確認してみる。やはりそれは人ひとりがすっぽりと入りそうな黒い布で、それは何の用途に使うのかいまいちよく分からない。

  「……なんだこれ、カーテンかなんかか?

  ……待てよ、そこに何か……」

  黒布を広げる達郎は、ふと段ボールの底に何か、白い紙があるのに気がついた。次はそれに手を取って何が書いてあるのかを見てみた。そこには簡潔に『クロネコスーツ。ご自由にお使いください』と書かれているだけだった。

  「『クロネコスーツ』? なんだそりゃ。ご自由にって言われてもどう使えば……」

  そう言いながら笑う達郎は紙に夢中で気がついていなかった。放り投げていたスーツが、ひとりでに動き出していたことを――

  「じゃ、そろそろ行くか……ん?」

  髪を段ボールの中に放り投げ、先を急ごうとする達郎。しかしそんな達郎の背後に襲いかかる黒い影があった。それは、さっき彼が放り投げた“スーツ”だった。

  「わっ!?」

  スーツは容赦なく達郎に襲いかかった。それはひとりでに蠢くと足に絡みつき、少しずつ上へ上へと彼の肉体を侵食していく――

  「うわっ、うわあああああぁ!?」

  侵食は足から始まり腰、腹、胸へと上っていく。少し大きかっただけのはずの布は、明らかに先程よりも体積を増やしていた。達郎の体をぴったりと覆うように、スルスルと移動する布。当然、達郎は抵抗した。のだが……

  「くそっ、やめろ、やめろ!!」

  抵抗と言わんばかりに布を引っ張る達郎だったが、それは一切剥がれる気配を見せず、達郎の体を蝕んでいく。そして、首回りもスーツに完全に覆われると、最後に頭部をすっぽりと布が被さり、スーツの侵食は終了、いや、完了した。頭頂部にはピョコンと猫の耳が付いており、臀部には可愛らしい猫の尻尾が生えていた。

  「なんだこれ、気持ち悪りぃ……脱げろ! なんで脱げねえんだよ!」

  表明は毛で覆われてもふもふとしているのにも関わらず、ゴム製の全身タイツを纏っているかのようなピチピチとした着心地に、達郎は羞恥を感じていた。

  頑なにスーツを脱ごうとするのをやめない達郎だったが、内部からスーツが擦れるたびに、達郎には性的な快感が流れ込んでいた。全身を流れる嫌な感覚は、本人の意思と関係なく興奮の意を示していた。

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