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祭りの後の祭り【FANBOX試し読み】

  夏も真っ盛りの今日この頃のことだった。

  僕、大地神弥はお祭りへとやってきていた。

  僕の町では、近くの神社で割りと大きなお祭りをやっている。

  さすがにお神輿とかまではいかないんだけど、いろんな屋台がいっぱいあって、まるで一日限りの遊園地に来てる気分だ。

  僕はお母さんからもらった1000円のお小遣いでおもちゃや食べ物を買って上機嫌だった。

  でも、このお祭りは楽しいことだけじゃなかったんだ。

  「おかしいな、はぐれちゃったのかな……」

  一緒に来ていたはずの石ノ宮四郎くんがいつのまにかいなくなってしまったんだ。

  四郎くんは、僕と同じ小学校の3年4組のクラスメイトだ。

  でもそれだけじゃない。僕と四郎くんは幼稚園の頃から友達なんだ。

  だから僕は少し心配してしまった。

  それに、お父さんから聞いた、ちょっとした怖い話が気になってしまったから。

  「四郎くん、どこに行ったのかな……」

  僕はお店の人に四郎くんのことを聞いて回ることにした。『僕と同じくらいの歳の子を見なかった』って。

  いくつか屋台を回って、チョコバナナの屋台のおじさんに話を聞いた時に、それはわかった。

  「ボクと同じくらいの子かい? そういえばオレんとこのチョコバナナ買って行ったな」

  「本当ですか!?」

  このチョコバナナ屋のおじさんのところに、四郎くんらしき子供が買いにきていたらしかった。

  くわしく話しをしてもらったところ、チョコバナナを二本(多分僕の分も買ってくれていたんだろう、と思う)買って、『神社の階段のところに行くんだ』と言い残して走って行ったんだって。

  「ありがとう、チョコバナナのおじさん!」

  「待て、まだ続きがあるんだよ。多分すぐにボクの友達に会えるんでねえかなあ」

  「えっ?」

  そう言うとチョコバナナのおじさんは話を続けた。

  どうやら、今年は神社の近くで神輿を担ぐらしく、小さな子供がする神輿も用意してあるって言うんだ。

  でも参加する子供が少なくて、屋台のおじさん達で参加してくれる子を集めてたんだって。その時、おじさんが四郎くんを神輿祭りに誘ったって話だったんだ。

  四郎くんは『僕もやりたい』と元気に言ったらしく、参加チケットをおじさんから貰ってそこへ向かったらしいんだ。

  だから、僕もそこに参加すれば四郎くんにきっと会えるんじゃないか、ということをおじさんは言いたかったみたいだった。

  「よかったら、ボクもお友達探しついでに神輿担いでみんか? これ参加チケットな。参加した子にはお菓子とジュース用意してるんだ」

  「へえ、そうなんだ。わかった、僕もやってみるよ!」

  「場所は神社からちょっと行った道の奥だ。そこに広場があるからそこの家でスタッフさんに色々説明してもらってなー!」

  僕は、わかった、ありがとう! と元気良くチョコバナナのおじさんに言うと、四郎くんが向かったその広場への向かった。

  この町がまだ村と呼ばれてた頃、夏になると毎年子供が消える、そんな言い伝えがあったらしい。お父さんはそれを僕に毎年話すので、夏のこの季節がちょっと怖くもあったんだ。

  それを知ってるから、僕は四郎くんがいなくなったことがちょっと怖かったんだ。

  でも、優しいおじさんが四郎くんの場所を教えてくれた。僕はそれにすごく安心していた。

  そのせいか、歩く足も少し早かったみたいだ。

  ◆

  そして僕は神社へとやってきていた。

  その神社は祭りをやっていた場所のすぐ近くにある林を過ぎたところにあった。ちょうどチケットの裏に丁寧にわかりやすい地図も書いてあったので、僕でもそこへ行くことができた。

  こんな神社が近くにあったなんて知らなかったけど、僕もまだ子供だ。大人の人にしか分からない場所がまだまだあるんだ。そう思った。

  「ここだよね……」

  僕がキョロキョロ辺りを見渡していると、近くにいた大きいおじさんがそんな僕を見て「ボウズ、ボウズは今年の神輿祭りの参加者か? 今年は子供が少なくて困ってたんだ! 恩に着るぜ!」と言った。

  僕はそのおじさんに事情を話して、お神輿の祭りのことを説明してもらった。子供はお菓子とジュースの置いてある部屋で時間まで待つらしい。まだお祭りの時間には結構な時間があった。僕はおじさんにその部屋へ案内してもらった。そこは神社から結構遠くにある小さな小屋だった。

  「ま、ゆっくりしてってくれな」

  おじさんは僕を小さな畳部屋まで案内してくれると、そのまま部屋を出て行く。ふと辺りを見回すと、畳の上にはちゃぶ台がポツンと置いてあり、そこに色んなお菓子が載せてあった。近くを見ると冷蔵庫もある。中を開けるとコップと、色々なジュースが入っていた。

  僕は走り回って喉が渇いていたので、適当に冷蔵庫からジュースを取り出し、コップに注ぎ入れると、それを一気に飲み干した。

  果物と砂糖の爽やかな味が僕の下と喉を刺激する。ただ、どこか飲んだことのないような味が、ちょっとだけした。そういえばペットボトルにラベルがない。どこか知らない店で買ったジュースなのかな。僕はそう思った。

  「ふう」

  と僕は一息つきながらコップをちゃぶ台の上に置いた。そのままお菓子をひとつふたつつまむ。それは甘くて本当に美味しかった。疲れていたのでもっと美味しく感じた。

  畳部屋で寝っ転がっていると、あるものが映った。白い……布? みたいな何かがそこには置いてあった。

  「なんなんだろう、これ」

  僕はそう呟く。その瞬間、ガチャリといきなり音がして扉が開いた。僕はすっかり気が抜けていたのもあって、つい声をあげてしまった。

  「うわっ!」

  「おっと、驚かしちまったかい」

  その人は、僕をこの部屋に連れてきてくれたおじさんだった。なんでまたこの部屋に来たんだろう。もう時間になったのかな?

  「すっかり忘れてた。祭りん時にはそこにある法被と褌を着けてやるんだ。着付けは俺たちがやるから安心しな。それだけだ、また祭りでな」

  おじさんはそう言うとまたドアを閉めてどこかへ行ってしまった。

  「これってそうなんだ……」

  法被は僕も学校の行事で着たことがあるから知ってるけど、褌というのは知らなかった。確か、本で見たことがあったような気はするけど。

  このペラペラの長い布ってどこに着ければいいんだろう、なんて考えていると、急におしっこがしたくなってきた。ジュースを一気飲みしたからかな。

  なんか、ちんちんがムズムズしてきて、おしっこがいきなり漏れそうになってしまっている。僕は急いで部屋を出てトイレに向かおうとした。

  でも、トイレの場所がよく分からない。早くしないと漏れそうなのに!

  「ほんとはダメだけど……」

  僕は小屋を出て近くの茂みへ向かった。

  仕方ないのでそこで誰にも見つからないようにおしっこをすることにした。

  ちょうどいい場所に移動すると、ズボンとパンツを下げておしっこの準備に入る。そしてちんちんあたりに力を込めておしっこを出そうとした。

  でも――

  「あれっ……?」

  いくら力んでも、おしっこが出てこないんだ。ちんちんの奥はムズムズしてるのにだ。

  「あれっ、何で……おかしいな……」

  僕はちんちんを指で摘むと、おしっこを出そうとぎゅっと握った。

  「ん、あっ!」

  すると、頭の中がビリビリと痺れたような感じになった。一瞬頭がぼーっとするくらい気持ちよかった。でもおしっこは全然出なかった。でも気持ちよかった。

  その後も、ちんちんをいじっておしっこを出そうとしたけど、気持ちよくなるだけでおしっこは出てくれなかった。

  ふと、僕はちんちんを根っこから押し出せば、気持ちよくなっておしっこが出るんじゃないか。そう思って、根っこから先っちょを行ったり来たりするように、ちんちんをこすった。

  「や、やっ! んんっ!」

  すると、さっきよりも激しい電気と気持ちよさが、僕の体じゅうを襲った。その時から、僕はおしっこをしたいという気持ちをなくしてしまった。このままちんちんをこすって気持ちよくなりたいと思ったんだ。

  「あっ、あっ、気持ちいい、ふあっ!」

  僕は、ただ気持ちよさに声をあげるだけだった。何でおしっこがしたかったのかも、何でこんなところにいるのかも考えられなくなってしまった。ちんちんをこする気持ちよさのほうがよかったから。

  「ひっ、んっ、な、何か出る!」

  僕は心とちんちんがきゅっと切なくなる感覚に見まわれた。そのいきおいに任せて激しくちんちんをこすったら、そこからおしっこじゃない、白い何かがちんちんから出てきたんだ。

  「何、このベトベトしたの……気持ち悪い……

  けど、気持ちよかった……も、もっと出したいよ……!」

  僕は、その白いベトベトした液体がちんちんから出るなんて知らなくて、でも、それはとても気持ちよかったのでもっと出したいと思った。

  ちんちんをこすったら出てきたので、またちんちんをこすれば出てくる。そう思って僕はちんちんをさっきよりも激しくこすった。

  「ま、またっ、気持ちいいベトベト出る!

  ちんちん、こするの! もっと僕ちんちんこする!」

  そうしたら、また白いベトベトが出た。さっきより多かった。出せば出すほど多くなるのかな。そう思うともっと我慢したくなくなって、歯止めが利かなくなって、僕はチンコを摩るスピードを早めた。

  「や、ばいっ、気持ちいい、すげっ、これ、こんなん始めてだ!」

  僕はチンコを扱いて3回目の射精をした。やはりさっきよりも多い量の精液が地面を汚していた。チンコを扱けば扱くほど、精子を出せば出すほど、僕は何かおかしくなる気がした。自分が自分じゃなくなるような、そんな感覚だった。

  「も、もっと、もっと! んっ、んううっ! ……んっ?」

  ふと、気がつくと、さっきまで着ていたシャツがきつくなっているように思えた。ふと下を向くと、小学生用のシャツはパツパツになり今にもはち切れそうになっていた。

  「な、何これ、っていうか、僕こんな体だったっけ……?」

  僕は、ついさっきまで小学生の小さな体だったはずなのに、いつのまにかあのおっさんほどではないけれど、大人の、大きな体になっていた。

  それはさすがに、今の僕でも気持ち悪く感じた。

  「何で、僕の体、大きく――」

  そこまで口にしかけた瞬間、僕の胸の中が熱くなって、奥底から響いた胸の高鳴りが僕の言葉をかき消していた。体じゅうから力が溢れて来る感覚が、気味が悪いようでとても心地良かった。

  「あっ、やっ、どうしたのっ、僕の体……」

  僕の意思とは無関係に僕自身であるはずのその肉の塊は、膨張と矯正を繰り返して勝手に作り変わろうとしている。どうして、ただの小学生だった僕がこんなことになっているのか。膨れ上がっていく体はそんな僕のことなどどうでもいいと言うかのように、順調に変化を続けていった。

  いつしか、僕が着ていた服はぼろぼろの布切れとなって地面にはらはらとこぼれていった。

  「やだ……そんな……」

  鏡があれば、この僕の変わりぶりに自分自身驚いたことだろう。

  ぼこりとした腹の突き出し方から僕の体は脂肪を蓄えていることがわかるが、ただのデブというわけでもなく、筋肉も充分についた体だ。ただ、どちらにしろ今の僕の体がまるでおっさんみたいだということには変わらなかったけど。

  「何で……うっ、やだよ……はぁ。なんでっ、こんなっ、んんっ、ことぉっ……」

  この体をまじまじと見ていると、こんな体になってしまって悲しいという気持ちが僕を満たす。こんなにいきなり僕の体がおっさんになってしまったんだから、嬉しいはずがない。だけど、それ以上に、僕はおかしくなってしまっていた。

  おっさんになってしまったはずなのに、それで悲しいはずなのに、今の僕はチンコを扱いて射精を促すことばかり考えていたんだから。

  「僕、小学生なのに……オナニーしたい、大人になっちゃった……ぶっ放したい、しかもこんなおじさんの、アナルを犯したい、体になるなんて……」

  言いたいこと以外の変な言葉が僕の口から出てくる。オナニーしたい。気持ちいいから、気持ちいいけど、こんな体は嫌だ。元に戻って、セックスしたい。元の子供の体は、興味ない。戻りたい。僕は、ゲイ、小学生なのに。

  そんなことを考えていると、チンコがビンビンになってしまっている。鞘に収まった剣が今からその刃先を露わにしたいと主張しているかのようだ。もっと射精、ザーメン出せば、僕はもっと変われるのだから。

  体だけでなく、脳みそまで変わっているのだろうか、僕が僕じゃないみたいなことが次々と頭の中から出てくるのだ。冷めない熱が霧のように僕の頭の中を覆っている。チンコを扱いていたらその熱さも消えるのだろうか。

  「ちょ、ちょっとだけ……」

  おそるおそるチンコの根元を大きくなった大人の手で握ってみる。それだけで僕のチンコは悦んだ。子供の頃してなかったことにのめり込む大人のように、僕のチンコは極端な勃起をした。ちょっと手が触れただけのはずが、僕の股の間のそれはあっという間にビキビキと血を巡らせ巨大化していった。

  「あぁ……あう! 気持ちいい! 気持ちいいよぉ!」

  人目もはばからず僕はなさけない声をあげていた。はじめてオナニーとして自覚するその行為の気持ちよさに、僕は善がって喘ぐことしかできなかった。被った皮ごと前後に握り拳をスライドさせる。チンコの皮が中身に擦れるのが、僕の頭をさらに変にした。

  ドクドクという音が体を通じて耳にまで届いてくる。心にこみあげるキュッとした感じが最高潮にまで達する。僕はその時がやってきているのだと確信した。

  「いぐっ……ん゛っ!」

  とても僕の声から聞こえて来たとは思えないような呻き声をあげながら、僕はまた絶頂を迎えた。皮の間を割ってさっきより濃く、臭いも強い精液が勢いよく飛び出した。その勢いは、僕のそれの拘束を強制的に外すほどだった。

  「おっ、すごい、おおきい……」

  あんなに出した僕は、まだその年齢らしからぬ、肉体らしい、太く大きくなったイチモツをごつごつとした手のひらで握っている。僕はこのイチモツがとても良いものだと感じていた。ふと手のひらから下を見ると、もじゃもじゃの毛が生えた僕の腕が見えた。さっきまで、毛なんてほとんど生えてなかったのに。その腕を見たとき、僕の背筋へ言われぬ何かが走っていた。

  「ああっ、アアッ!」

  ゾクゾクと寒さにも似た何かが僕の身体中を駆け巡る。しかしそれは寒さなどではなく心臓を高鳴らせる程の熱さだった。

  僕はその勢いに任せイチモツを激しく上下させる。その度にぶびゅる、ぷびゅると小気味良い音をたてながら敏感になった先っぽから精液が飛び出し地面の栄養になる。余剰液は先っぽにコーティングされ、ヌメヌメとしたいやらしい艶を増す。垢と混じって何とも言えぬ臭いを発しながら。

  「す、しゅごい……僕、大人になっちゃった……」

  服は全て破け全裸になったにも関わらず、僕は大人になった自分の体に酔いしれていた。大きくて太くて、毛は生えているけれど、それでも僕は立派な大人の人になれたことがなぜだか嬉しかった。顎を触るとジョリジョリとした感触がした。髭まで生えているんだろう。普通なら元に戻りたいなんて思うんだろうけど、今の僕はなぜかちっともそういう気分にはならなかった。

  それよりも、僕はもっとやらなきゃいけないことがある。そう思っていた。

  「そうだよ……僕は、なにかをしなきゃならなかったんだ。なにかを……」

  そう言う僕の視界に映っているのは、あんなに出したにも関わらず、まだ元気に血管を張り巡らせ、震えながら直立するモノだった。

  「な、なにか、を……」

  それを見てると、僕は頭がまたボーッとなって、気持ちよくならなきゃいけない、そう思った。ああ、そうだった。僕はチンコを擦って、ザーメンを出さなきゃいけなかったんだった。

  「んっ、んんっ、んぐっ……」

  僕は勃起したまんまのイチモツを鎮めるため、握った手を力の限り上下させていた。その度に何度も真っ白な精液がそこから飛び出す。自分のキンタマの中が空っぽになる気配など全く起こらず、イチモツは元気に遺伝子をぶちまけていた。

  「ぐっ、ぐうっ、んぐっ、ぐうぅ……」

  あれだけ変わったのだから、僕の体は、もうこれ以上変わらない。そう思っていた。しかし、僕の中の変化はまだこれからだった。喘ぎ声はだんだんうめき声のような何かへと無意識のうちに変わっていく。しかし、それだけではない、それどころではない変化が僕の身に起きていた。

  イチモツをしと扱きし精液を出す度に、汗混じりの臭いが僕の体から噴き出す。それをキッカケに、僕の体の毛は、さらにぼうぼうと生えていったのだ。身体中がギチギチと音を立ててさらに膨らんでいく。何か、ただの変化どころではない取り返しのつかない何かが僕の体に起こっているんじゃないか、一瞬そう思ったけど射精した瞬間にその思考も快楽に溶けてしまった。

  すごい勢いでモジャモジャと生えてくる体毛。しかもそれは、細く縮れた黒いものではなく、長くてきめ細やかな灰色の毛だった。それはまるで、人間のものではないような……

  「ごっ、ぐぐっ、ぐあっ! がっ、がう、がるる、ぐるるるっ……」

  僕の声はもう人離れしたものへと変化していて、その度に涎が出したくないのに溢れてくる。僕はイチモツからまだ出続けている精液と、筋肉と脂肪の上へコーティングされていく灰色の体毛を眺めていた。イチモツの上に涎が垂れると、僕はそれを巻き込んだ。すると塗れた精液と混ざり合って快感をさらに増幅させてしまう。僕はまた精液をぶっ放していた。たとえ、顎にひどい痛みがやってきていても。

  ゴキゴキと嫌な音がする。それは僕の顔からしていたようだった。

  鏡があったなら、僕はきっと恐怖に怯えていただろう。そんな変化だった。今回の変化は。

  口は音を立て、鼻をも巻き込みながら前へ前へと真っ直ぐに伸びていた。僕の視界からも確認できるほどに。

  「んあ、あぐ、あが!」

  僕の鼻は小さく黒くなり、口は大きくなった。それはまるで犬のようだった。いや、犬そのものだった。

  「ひっ、ひぃ」

  唯一子供の頃のままだった歯は、ボロボロと崩れ落ち、そこから新しい歯が生え変わった。しかしそれは人間の歯じゃなくて、やっぱり犬みたいに鋭く尖っていた。

  「がっ、きゃうん!」

  あまりに強い快感が僕の中を走ると、口から甲高い鳴き声がつい出てしまう。尻の上からふさふさの毛束が勢いよく飛び出したのだ。脳内は快楽の電気に覆われ、一瞬僕は意識がなくなった。気付いた時には無意識に射精していた。

  尻尾が生えた時、僕は本当に動物の体に変わっていってしまっているのだ。そう思った。

  唯一変わらなかった人間の頃のイチモツにも、変化が起きていた。「やめて!」「やめろ!」と僕は言ったが、僕の体は僕の言うことを聞いてくれなかった。黒かった僕の先っぽは真っ赤になり、そこから皮がズルズルと剥けていく。やがて根元まで皮は剥けていき、僕のイチモツは、赤くて細長い、まるで唐辛子のようなモノへと変化したのだった。根元についている“こぶ”のようなものが気になったが、それに触れようとした瞬間、僕のイチモツは勢いよく股の中に収納されていった。その跡には、まるでイチモツなんてなかったかのように、灰色の草原だけが広がっていた。

  「あ、あぁ……」

  僕はもはや小さく声をあげることしかできなかった。大人の体になったと思ったら、人間ですらない体にさせられたんだから。

  それよりも、僕はこれからどうすればいいんだろう。そんな恐怖に見舞われた。おじさんに待ってろって言われたのに、こんな体じゃ人の前なんかに行けない。きっとバケモノと言われてひどいことをされるだろう。そう思うと怖くて、大きくて立派な体を丸く蹲らせた。

  そんな僕に、声をかけた人がいた。

  「おう、兄ちゃん。こんなところにいたんか。そろそろ準備すっぞー」

  僕のこと? そう思い、ふと後ろを見ると、牛の頭に人の体をした化け物が立っていた。僕はつい「ひっ!?」と大きな声をあげてしまった。

  「おいおい、バケモンでも見たような顔すんなよ。それなら兄ちゃんだってバケモンみたいなもんだろ」

  その牛人間は全裸というわけでもなく、法被と褌を着ている。ということはもしかして、僕と同じ神輿祭りに出る人(牛?)ってこと?

  「それよりも何をシコシコやってたんだ? まあ仕方ねえよな。この歳でも性欲は衰えねえし、何より後のオタノシミのためにウォーミングアップしとかなきゃなんねぇもんな!」

  オタノシミ? ウォーミングアップ?

  よくわからない言葉が聞こえてきたけど、僕は神輿祭りのことを思い出して、急いで小屋の中へ向かった。

  小屋へ行くと、すぐに法被を着て、褌を締める。でも僕は褌の締め方なんて分からなかった。でももう時間がない! そう思って褌を一枚掴むと適当に股間へ当てがっていく。すると、締め方なんて分からなかった褌をまるで今まで当たり前かのように手際よく締めていく僕の姿があった。まるでいつも締め慣れているかのようだった。

  白褌をギュッと股間に締めると、脳汁が溢れてくる。つい僕は締めたこともないのに「完璧だ……」と自慢げに呟いてしまった。

  「さて、そろそろだな。僕も行かないと!」

  色々不思議なことはあったが、楽しみにしていた神輿祭りへ向かうべく、小屋を後にした。

  [newpage]

  僕は小屋を抜け、森の奥の広場へとやってきていた。そこにはたくさんの太鼓や篝火が用意されていて、神輿もそこにあった。

  何より驚いたのは、僕以外にもたくさんの人……いや、動物と人を掛け合わせたような生き物がいっぱいいたことだった。僕も犬と人の間のような姿になってしまっていることから、もしかして僕のように元は人間だった人もいるんじゃないだろうか。そう思った。

  僕は、近くにいた猪の姿をしたおじさんに話しかけることにした。そのおじさんは僕と同じ法被と褌を着けて、一人で突っ立っている。僕はすぐさま駆け寄って話しかけた。

  「こんにちは、あなたも神輿を?」

  「あ、ああ……はい。そうです」

  猪のおじさんはごつい声らしからぬ丁寧な口調で僕に返してくれた。どうやらまだこの場には慣れていないようで挙動も何やら怪しいものがあった。もしかしたら僕と同じこの姿にされた人間なのかもしれないと思った。

  「すいません、君ってもしかして」

  「それより、神輿って何かワクワクしてこない、ですかっ? 俺今日楽しみにしてたんですよ、この神輿を担ぐことが。あなたもそうですよね?」

  「え? えっ、ええ……」

  おじさんにそう言われて僕もついそう返してしまう。そういえば、この神輿を担ぐことは、僕も楽しみにしてたんだっけ。それにここまで立派な神輿はこの祭りじゃないとそうそう担げない。そう思うと僕の気持ちはつい滾ってしまう。

  「僕も、この神輿担ぐの楽しみにしてたんですよ、ほら、だってここぐらいじゃないですか、ここまで立派なのって」

  「俺もそう思ってたんだよね。俺、この神輿を担ぐために生まれてきたんじゃないかって」

  「そりゃ大袈裟だって!」

  「ガハハハハハッ」

  初対面だったはずの猪さんとなぜか話が弾む。神輿を担ぎたいという共通の話題だけで、ここまで話ができるなんて思ってもいなかった。それにしても、猪さん、こんな豪快な笑い方もできたんだ。こっちが素なのかな? とそう思った。

  この豪快で大きな猪さんを見てると、さっきもたくさん抜いたはずなのにまだムラムラしてくる。でも祭りがもうすぐ始まるし、こんなところで変なことをしたら猪さんだって困るだろう。そう思いぐっと堪えた。

  ……

  [newpage]

  ……

  「あ、頭いった……」

  いつのまにか僕は寝てしまっていた。意識がもうろうとして頭がズキズキと痛む。これがお父さんがいつもなっていたやつか。そう思った。

  外を見るとまだ夜だった。いつまで寝てたんだろう。もしかして、丸一日寝ていたんじゃ。そんなことを考えていると熊さんがこっちへ来た。

  「お疲れさん。お前さん凄かったな、イビキ」

  熊さんがどっかりと僕の横に詰め寄る。しかも何故か全裸で。

  息が酒臭い。この人もだいぶ呑んでいたみたいだ。

  「なあ、せっかくなんだしよ……やろうぜ。お前さん、今回がはじめてなんだろ?」

  やる? やるって、なにを?

  「打ち上げのメインイベントってんなら決まってんだろ? セックスだよ!」

  「は?」

  僕の頭の中は困惑で真っ白になった。

  「こん中には野郎しかいねえ。しかも性欲ビンビンの野郎しかな。だったらやることはひとつしかねえだろ」

  そう言って爪が鋭く伸びた指を僕の褌にかける。僕は当然抵抗した。

  「ちょ、やめ……」

  しかし褌はするすると脱がされ、ブルンと出しっ放しの真っ赤なイチモツが露わになった。

  熊さんは脱がした褌を嗅ぎ出すと「ザーメンくせーぞ。お前いつイッてたんだよ?」と失笑した。神輿祭りの時に出してしまいましたなんて言えるわけもなく、僕の顔は真っ赤に燃え上がった。

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