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「私、魔法少女なんです!」
ピンク色のうさぎの着ぐるみパジャマ姿の女の子が、俺を見上げて言った。
「えっ……?」
俺は困惑する。
これはどういう状況だ?
「あっ! もしかしてお兄さんは『魔法少女☆バニーズ』を知らないんですか!?」
「まほうしょうじょ..ばにぃず……」
なんだそれ。
聞いたことがないぞ……。
「なによー、知らないならそう言いなさいよね!」
アイちゃんと名乗る女の子は、ぷくっと頬を膨らませた。
どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
だが、こんな小さな子相手に怒られても困るんだが……。
「あぁ、ごめんね。ちょっと最近忙しくってさ。あまりアニメとかも見てないんだよ」
「ふーん。そうなんだ」
なんとか納得してくれたようだ。
「でもその様子じゃ、あんた魔法少女じゃないみたいね」
アイちゃんが首を傾げながら言う。
「魔法少女……? なんのことかな?」
俺は愛想笑いを浮かべたまま聞き返す。
「この世界にはね、魔法を使って悪いことをする人たちがいるの。あたしはその悪者を捕まえるために戦っている正義の味方なのよ!」
アイちゃんは自分のことのように誇らしく胸を張っていた。
「へぇ、それはすごいねぇ」
俺は素直に関心したフリをする。
なるほど。
要はこの子はテレビのヒーローに憧れている子供なのか。
それにしてもなんてベタな設定なんだ……。
「それで、君はどうしてここにいるのかな?」
とりあえず事情を聞いてみることにする。
「えっと、ここがあたしの家だからだけど……」
アイちゃんはキョトンとした顔で答えた。
「家……? ここは君の住んでいるところとは違う場所だと思うけど……」
「そんなわけないわ! だってパパとママもいるもの!」
アイちゃんは必死に訴えかけるように俺を見る。
「そっか……。でも、やっぱり君が住んでいたところとは少し違う気がするなぁ」
俺は腕を組んで考える。
確かにこの子の見た目は幼い感じだし、言葉遣いもどこか幼稚っぽい。
だけど、それでもこの子が言っていることは嘘だとわかる。
「お兄さんの言ってることはよくわからないけど、とにかく今日からあなたもこの家で一緒に暮らすことになったからよろしくね♪」
アイちゃんは無邪気な笑顔を見せた。
「いや、待ってくれ。突然そんなこと言われても困るよ」
俺は慌てて否定する。「大丈夫です! すぐに慣れますから!」
アイちゃんは自信満々に言い切った。
「そういう問題じゃないと思うんだけど……」
そもそも、なぜこの子と会ったこともないのに、いきなり同居することになったのか理解できない。きっと何か裏があるはずだ。
このままではまずいな……。
「そうだ! 今からあたしのお友達を紹介するわ!」
するとアイちゃんはそう言って部屋の中に入って行った。
「おい、ちょっと待ってくれ」
俺は急いで後を追いかけると、そこには白色のうさぎの着ぐるみを着た少女がいた。
「紹介するね。こちらがあたしの大親友のユイちゃんだよ!」
アイちゃんは嬉しそうに紹介した。
「初めまして。私はアイの親友のユイといいます」
ぬいぐるみのような可愛いうさぎパジャマの少女が丁寧に挨拶をした。「ど、どうも……。俺は一ノ瀬真樹と言います」
俺はぎこちなく自己紹介をして頭を下げる。
「じゃあ、マキくんって呼びますね」とユイちゃんが言った。
「あの、アイちゃん。さっきの話に戻るんだけど、どうして俺たちがここで住むことになるんだい?」
俺は一番知りたいことをアイちゃんに尋ねた。
「えっ? それはお母さんがここを紹介してくれたからだよ?」
アイちゃんは何を当たり前のことをという顔をしていた。
「そうじゃなくて、どうしてこの家に住むことに決まったのかってことなんだが……」
「あぁ、それなら簡単ですよ。私の両親が海外に転勤することになって、しばらく日本を離れることになりまして、それで私が両親と一緒にアメリカに行く予定だったのですが、急に嫌になったのでここに来ることに決めたんですよ」
ユイちゃんが淡々と説明してくれた。
なるほど。
つまりこの子は親の都合で勝手にこの家に連れて来られたということなのか……。
「それじゃあ、俺がこの家を出るっていう選択肢はないってことだよね?」
俺は確認のために聞いてみた。「うん! もちろんだよ!」
アイちゃんが即答する。「よかったぁ~。これで安心したよ」
俺は心の底から安堵する。
正直、この子たちと一緒に暮らすのはかなり抵抗があった。
だけど、この家から出られないなら仕方がない。
俺は腹をくくることにした。
「じゃあ、あたしたちはこれからこの家で一緒に暮らすってことでいいんだね?」
アイちゃんは笑顔を浮かべながら言った。
「うーん、できればもう少し時間をおいてから考え直したいんだけど……」
俺は渋々承諾する。
「魔法を使ってもいいのかな?」
アイちゃんが少し意地悪な笑みを見せる。
「えっ……? どういうことだい……?」
俺は冷や汗を流す。
まさか魔法を使うなんてことはないだろうな……?
「実はあたしたち、本当に魔法少女なの」アイちゃんが真面目な表情で言う。
「ははは……冗談がきついよ……」
俺は乾いた笑い声を出す。
こんな小さい子が魔法少女なんてありえない。
「ふぅ……しょうがないなぁ。じゃあ、証拠を見せてあげる」
アイちゃんがため息交じりに言うと、「ミミ太!お願い!」と叫んだ。
すると、アイが来ている着ぐるみパジャマのフードの目が瞬きをし始め、口元が開いた。
「ふわぁ……。おはよう、アイちゃん…」
そして、そこから可愛らしい男の子の声が聞こえてきた。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
俺は大声で叫び、腰が抜けそうになる。
目の前にいるアイちゃんが着ている着ぐるみがしゃべり出したのだ。
一体何が起きているんだ……。
「ミミ太、今日もよろしくね」
アイちゃんは笑顔でフードを撫でながら言った。
「任せて! アイちゃんのためだったら、僕はなんだってできるからね」
ミミ太と呼ばれた着ぐるみは嬉しそうに返事をする。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。そのうさぎの着ぐるみが喋っているように聞こえるんだけど……」
俺は動揺しながら質問する。
「はい、そうですよ。私とアイちゃんが来ている着ぐるみは、実は魔法の妖精なんです」
ユイちゃんがあっさりと答えた。
「ま、まじか……。そんなことが本当にあるのか……」
俺は頭を抱える。
もう完全に理解が追い付かない……。
「ほら、バニラちゃんも起きて!」とユイが叫ぶ。
すると、今度はアイちゃんが着ていた白いうさぎの着ぐるみの目が動き、あくびをしながらゆっくりと目を開けた。
「むにゃ……。あれ、ユイさんどうしたんですか?」
そして、アイのミミ太と同じように着ぐるみの口を動かし、女の子のような可愛い声を出した。「ごめんね、起こしちゃって。今から真樹くんに私たちが本物の魔法少女だって証明しようと思ってね」
ユイが申し訳なさそうに言う。
「わかりました~!ユイちゃんのために頑張ります!」
バニラちゃんと呼ばれた着ぐるみはやる気満々で答える。
「ミミ太も準備はいい?」
「いつでも大丈夫だよ~、アイちゃん!」
アイちゃんが呼びかけると、ミミ太が答えた。いったい何をするつもりだ……? 俺は不安を感じながらも二人の様子を見守る。
「じゃあ、いくよ!」
「マジカル・トランスフォーム!」
二人同時にそう叫ぶと、ピンクと白にそれぞれの着ぐるみが光りだした。
着ぐるみが光の粒子になって、二人を包み込む。
着ぐるみの下には何も来ていなかったらしく、二人はあられもない姿になっていた。
よく見ると、光の粒子が着ぐるみのうさ耳と丸いしっぽがあった部分に集中している。
「私たち、うさぎさんになるんだよ♪」
アイちゃんが語尾に音符マークがつきそうな感じで言った。
それに答えるように頭とお尻の光の粒子の輝きが増し、今まで着ぐるみに隠れていた耳が上に伸びていく。
「ムズムズする…」とアイちゃんがつぶやく。
ユイちゃんも同じように耳がうさ耳に変化していっていた。
お尻の方を見ると、二人とも丸いしっぽが生えてきていた。
「可愛いでしょ?」とアイちゃんが俺に向かって微笑みかける。
確かに変身シーンはなかなか見応えがありそうだと思った。
アイちゃんの頭には大きなうさみみがぴょこんと立っている。
ユイちゃんにはウサギの垂れ下がった長いうさ耳が付いていた。
「次はもっとうさぎさんっぽくなるよ!見てて!」
アイちゃんが言うと同時に、二人を包んでいる光の粒子の輝きが増していった。
「体中がムズムズしますぅ……」
ユイちゃんは頬を赤らめながら体を震わせている。
アイちゃんは胸元に手を当て、苦しそうにもじもじしていた。
「んっ……」とアイちゃんが声を出す。
それと同時に、アイちゃんの体に異変が起き始めた。
手足からピンク色の毛が生えてきて、指先が丸くなっていく。
指は完全に動物のウサギものになり、足も同じようになっていた。さらに、アイちゃんのお腹にピンクの毛が生え始めて、徐々に広がっていく。
アイちゃんは顔を赤く染め、体がプルプル震えている。
ユイちゃんはというと、アイちゃんとは逆に、手足から白い毛がどんどん生えていき、腕や足の形が変わっていた。「あっ……」とアイちゃんが声を上げる。
アイちゃんの体の形も大きく変化していった。
手足の指が変形していき、手は前脚、足はつま先立ちのような姿勢になり、後ろ脚になる。顔も鼻が前に突き出すような形に変わり、口も小さくなった。
ユイちゃんも同様に、おなかから白い毛が出てきて、四肢の形がさらに変化していく。
アイちゃんと同じく、ユイちゃんの顔もウサギのように変わっていった。
「これで、どこからどう見てもうさぎさんだね!アイちゃん」
アイちゃんがユイちゃんに話しかける。
「うん、アイちゃん。でもまだ変身は終わってないよね」ユイちゃんがアイちゃんに問いかけた。
「そうだった!それじゃあ、最後の仕上げだよ!」アイちゃんはそう言って、両手を広げてクルッと一回転した。
すると二人の体が縮みだし、3~4等身の魔法少女物のマスコットにいそうなうさぎの獣人の姿になった。最後に、二人を包んでいた光の粒子がそれぞれの首元と手元に集まり、首元のものは光のチョーカーのようになったかと思うと、大きなリボンの形に変わってすぐに光が弾け、アイちゃんは首元に白い大きなリボン、ユイちゃんは首元にピンクの大きなリボンが付いた。
手元の光は棒状のステッキのような形になると、先端がうさぎ型になっているものに変化した。
「これで変身完了だね♪」とアイちゃんが嬉しそうに言う。
変身を終えた二人は、その場でくるっと回ってポーズをとった。
アイちゃんが魔法少女っぽい決め台詞を言う。
「愛と正義の魔法少女、アイちゃん参上♪」
「癒しの魔法少女、ユイです」
ユイちゃんもアイちゃんに続いて挨拶をした。
「ふぅ……。これで変身完了だね」
アイちゃんが息を整えながら言った。
「もう、ユイさんが途中で声出すから、ドキドキしちゃったよー」
アイちゃんが不満げにユイちゃんに文句を言い始める。
「ごめん、アイちゃん。つい我慢できなくて……」
ユイちゃんが申し訳なさそうな表情をして謝っていた。
「ミミ太とバニラもお疲れさま!いつもありがとうね!」
アイちゃんがそう言うと、ステッキがしゃべりだした。「僕はいつもどうりやっただけだよ、アイちゃん」「ユイちゃんが可愛くてキュンってなっちゃいましたぁ」とミミ太くんとバニラちゃんが答える。
「マキくん、これで私たちが魔法少女だって信じてもらえたかな?」
アイちゃんが俺に向かって聞いてきた。
俺はというと、アイちゃんたちの変身シーンに圧倒されてしまい、言葉を失っていた。
「え?……う、うん。信じるしかないみたいだね。ケモノに変身するのはあまり見たことないけど…」俺がそういうと、アイちゃんは得意気に胸を張っている。
「その姿ってほぼ裸だけど、恥ずかしくないの?」
俺がアイちゃんたちに聞くと、アイちゃんは笑顔で答えてくれた。
「全然平気だよ!だってモフモフの毛皮に包まれているんだもん!」
アイちゃんがそう言うと、「私も大丈夫です。むしろこの方が安心感があって良いかも……」とユイちゃんも続けて答えた。
「それに、私達はこの力で困っている人達を助けてるの。もちろん、悪い奴らも懲らしめたりしてるのよ?」
ユイちゃんが補足するように説明してくれた。
「魔法の妖精はふだんは着ぐるみの姿だけど、魔法少女が変身すると魔法のステッキになって魔法少女が魔法を使えるようにしてくれるんです。他にも、ステッキを使って色々できるんですよ」
ユイちゃんがステッキを手に取り、軽く振るとステッキからキラキラと輝く何かが飛び散り、部屋の中が明るくなる。
「綺麗……」
思わず声が出てしまった。
「フフン、どうですか、私のステッキ捌きは」
ユイちゃんが自慢気にしている。
「へぇ、すごいんだね」
素直に感心してしまった。
「それじゃあ、次は私がやってみるね」
アイちゃんが名乗りを上げた。「アイちゃんがんばれー」とミミ太くんの声援を受け、「アイちゃん頑張れ―」とユイちゃんも応援していた。アイちゃんがステッキを振り上げると、お菓子がポンッと出てきてテーブルの上に落ちた。
「おおっ、アイちゃんすご~い」
ミミ太くんとバニラちゃんが褒めている。
「ありがと。でも、まだまだこれからだからね!」
アイちゃんはそう言うと、今度はステッキを上にあげて、また振り下ろした。すると、先程より少し大きいサイズの飴玉が落ちてきた。
「あれ?思ったよりも小さいかも……」とアイちゃんは不満気だ。
「アイちゃん、そんな落ち込まなくてもいいんだよ~」
バニラちゃんがアイちゃんを慰めていた。
俺は、「もふもふ……」と呟いていた。
「ん?マキくんどうかしたの?」
アイちゃんが不思議そうにこちらを見つめている。
「ああ、ごめん。もふもふしてて可愛いなって思ってさ」
正直に答えたらアイちゃんの顔が赤くなった。
「そ、そう?なら、良かった……」
アイちゃんは恥ずかしそうに俯いている。
それからはみんなで一緒にお菓子を食べながら、魔法少女について教えてもらった。
話を聞いていくうちに、だんだんと興味が湧いてきてしまう。
「あのさ、俺にも手伝える事はないのかな?」
「え?」
アイちゃんが驚いていた。
「だってさ、魔法のステッキを持って戦うんでしょ?だったら、俺も戦えるんじゃないかな?」
俺は興奮気味に言った。
「うーん……。確かに出来なくもないと思いますけど、危険ですよ?」
ユイちゃんが心配してくれている。
「それでも大丈夫だよ!それに、アイちゃん達だけに危ない事はさせられないしさ」
俺の言葉にアイちゃんは嬉しそうだ。
「ありがとう、マキくん。気持ちだけ受け取っておくよ!」
アイちゃんが微笑みかけてくれる。
「ううん、俺の方こそ急に変なこと言ってごめんね」
なんだか恥ずかしくなってきた。
「ううん、全然平気だよ。」とアイちゃんが言ってくれた。
その時、ミミ太が「近くに魔物が近づいてるよ!」と言った。
ユイが「ミミ太、場所は分かる?」と聞いた。
ミミ太が「もちろん。ここからだと2キロくらい離れた場所にある公園の近くみたい」と答えた。
ユイとアイとミミ太とバニラの四人は家の外に出て行った。
(なんか置いてけぼりを食らった気分……)
俺は寂しさを感じていた。
[newpage]
一方そのころ、
ユイ達はというと。
「ねぇ、ミミ太。本当にこの辺りで間違いないの?」
アイは不安げにミミ太に尋ねた。
「うん、間違いないと思う。ほら、そこの角を曲がればすぐ見えるはず」
ミミ太は自信満々に言い切った。
「よし、じゃあ行ってみるか」
アイは緊張しながら曲がり角を曲がるとそこには、巨大なコウモリの魔物がいた。「わぁっ!?」
思わず叫んでしまった。
「アイちゃーん、どうしたの~?」
バニラの声だ。振り返ってみると、バニラを抱えたミミ太が走って来ている。
「あっ、こっちに来るんじゃないぞ!」とミミ太が注意する。
「分かった~。でも、なんで?」
とバニラが首を傾げる。
「アイちゃんの目の前に魔物がいるからだよ」
ミミ太が説明してくれた。
「そうなんだ~。アイちゃん大丈夫?」とバニラが聞く。
「うん。なんとか……」とアイが答える。
「アイちゃん、無理しない方がいいよ~」
バニラは心配しているようだ。
「うん。アイ、もうちょっと頑張ってみる!」
アイは意を決したように言った。
「頑張れ、アイちゃん!僕たちも応援してるよ!」
ミミ太も声援を送る。
「それじゃあ、行くよ!」とアイが言った。
そして、アイは魔法ステッキを構え、魔法を唱えた。
「マジカル・スマッシュ!!」
すると、ウサギの形をしたピンク色のオーラが現れ、それが巨大コウモリの魔物に直撃した。
「やった!」とアイが喜ぶ。
だがしかし、その攻撃では倒しきれず、反撃されてしまった。
「きゃああああ!!!」
アイの悲鳴が響き渡った。「アイちゃん、今助けに行くよ!」とユイちゃんが言った。
「待って、私なら大丈夫だから!」
アイが叫んだ。
「ダメだよ!怪我しちゃうかもしれないじゃん!」
ユイが必死に言う。
「うぅ……。ユイちゃんがそう言うなら仕方ないか……。」
アイはしぶしぶ諦めた様子だった。
「アイちゃん、危なくなったらすぐに逃げるんだよ!」
ミミ太がアイに向かって叫ぶ。
「うん。分かってる」とアイが答えた。それから、アイは何度か攻撃を受けていたが、何とか耐えていた。
「アイちゃん、そろそろ決めないとまずいよ」
ミミ太が焦りながらアイに呼びかける。
「私も戦う!」
ユイは決心を固めたような表情で言った。「ユイちゃん、いいの?危険な目に遭うかも知れないよ?」
アイが恐る恐るという感じで聞いた。
「私はアイちゃんと一緒に戦いたいの。それに、もし危険になっても、二人で一緒に逃げればいいでしょ?」とユイが笑顔で言う。
「ありがとう、ユイちゃん」
アイが涙ぐみながら礼を言う。
「うん。私たち、友達でしょ?」
ユイが優しい声で言った。
「そうだね。じゃあ、行こうか」
アイは決意を固めるように言った。
「うん」
ユイは元気よく返事をした。
二人は同時にステッキを構えた。
「マジカル・スマッシュ!!」
二人の放った技は見事に命中した。
「やった!」
アイとユイが喜びの声を上げる。しかし、次の瞬間、「ぐぎゃああ!」という声と共に巨大なコウモリの魔物は爆発四散してしまった。「えっ……?」
アイたちは呆然としていた。
「倒したのか?」
ミミ太が不安げに尋ねる。
「多分……」
アイは自信なさげに答える。
「でも、倒せたんだよね?やったー!大勝利だ!」とユイが喜んだ。
「うん。良かったぁ」とアイが安堵の息を漏らす。
こうして、アイとユイは無事、魔物を倒すことができたのであった。
「二人ともお疲れ様~。ゆっくり休んでね~」とバニラが労うように言った。
「ありがと、バニラちゃん」とアイが返す。
「変身、解こっか」とアイが言った。「うん」とユイが答え、二人は「マジカル・リリース」と言った。すると、ステッキになっていたミミ太とバニラが光りだし、逆回しに変身していくかのように変わっていく。リボンとステッキが光の粒子になり、二人の背が伸びてゆき、100cmにも満たないくらいだった身長は約130cmほどまで伸びていった。そして二人の全身を光の粒子が包み、うさぎの顔からマズルが引っ込み、ピンクと白の体毛が肌に隠れるように消えていき、代わりに人間らしい肌の色が現れていく。
「ムズムズする~」
アイちゃんが言いながら変身を解く。
「もうちょっとだけ我慢してね」とユイがなだめながら言った。
「うぅ……。わかったよぉ」
アイは渋々といった様子で納得したようだ。
二人はうさ耳と尻尾が生えた人間のような姿になり、全身を包む光が強くなった瞬間、光が収まりうさぎの着ぐるみパジャマ
を着た女の子の姿に戻った。
「ふぃ~。やっと元に戻れたよ」
ミミ太がアイの頭の上から安心しきったような声を出す。
「それじゃあ、帰ろうか?」とアイが提案した。
「そうだね」
ユイは同意するように言った。
「ただいまー」
アイとユイの二人が玄関を開けると同時に元気よく挨拶をする。
「お、帰ってきたのか」とリビングの方からマキくんが出てきた。「うん。今帰ったところだよ」
アイがそう言うと、「じゃあ、みんなで晩御飯食べようか」とユイが提案し、三人とも食卓についた。
「まあ、これからよろしくな」
マキくんが気まずそうな表情で言った。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
アイとユイはぺこりと頭を下げながら言った。
「じゃあ、いただきます!」
三人は元気よく食事を開始した。
[newpage]
翌日、マキくんこと一ノ瀬真樹はいつものように登校していた。
「おはよう!マキくん」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り向くとそこには、ピンク色のうさぎの着ぐるみパジャマを着た女の子がいた。
「おっ、アイちゃんじゃないか。って、どうしたんだここは高校だぞ!」
俺は困惑気味に尋ねた。
「いいじゃん。小学校は創立記念日で休みだし。それに、昨日から私たち一緒に住んでるんだよ。」
アイは得意げに答える。
「いや、そういう問題じゃないんだけど……」
俺が困っていると、
「あれ、ユイちゃんも来てたんだ!」
アイは、ユイを見つけ嬉しそうに声をかけた。
「うん、アイちゃん。私も暇だしついてきたの」
と、白色のうさぎの着ぐるみパジャマを着た女の子が返事をした。
「アイはうさぎだから寂しいと死んじゃうもんね」
ミミ太はアイのことをからかった。
「そんなわけないでしょ!」
アイは怒ったようにミミ太に反論している。
バニラが「ユイちゃんも~寂しいからついてきたんだよね~」と続けて言う。「そっ、それは……その……」
ユイは顔を真っ赤にしてうつむきながら言った。
「はいはいそろそろいいか?今は教室に誰もいないからいいけど、人が来たらどうするんだ。小学生が高校にいたら変だろう。」
「わかったよ…」とアイは渋々といった感じで承諾してくれた。
「それもそうですね」とユイもうなずく。
「じゃあ、また放課後に会おうぜ」と俺は言って自分の席に向かった。
「うん」と二人は帰っていった。
キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り響く。授業が始まったようだ。
「今日はここまで」と先生の声が聞こえる。
そして、家に帰るとアイとユイが出迎えてくれた。
「おかえり!」「お帰りなさい」
二人は同時に言ってきた。
「ああ、ただいま」と俺は少し戸惑いつつ答えた。
アイは「ねえ、早く遊ぼうよ」と言ってきた。
「よし、何して遊ぶ?」
俺が尋ねると、「えっとね。トランプしよう!」と答えた。
「うん、いいぞ」
それから俺たちはトランプをして遊んだ。アイはカードを配り終えると、「じゃあ、ババ抜きやるよ。負けた人は罰ゲームだからね」と言い出した。
「おい、ちょっと待て!いきなりすぎないか!?」
「はい、スタート!」
アイは強引に始めた。ユイも参加してきた。
「ほれ、これだ!」
俺は手札の中の一枚を勢いよく引き抜いた。
しかし、カードはジョーカーだった。
「やったー。私の勝ち―!」
アイはとても喜んでいる。
よく見るとアイの着ぐるみのフードの口が動いている。
「アイちゃん、ミミ太にお願いしてズルしてるだろ。」
「ギクッ。まっ、まさか~そんなことしてないよ」
アイは動揺しながら否定した。目が泳いでいる。「アイちゃん、ズルはダメだよ。」
「はぁ~い。わかった。ごめんなさい」
アイは反省したのか、謝った。
「ミミ太もズルしないでくれよ」
と、俺はミミ太にも注意をする。
「はぁ~い」とミミ太は気のない返事をした。
「そういえば、前に俺も魔法少女になって戦いたいって言ったの、覚えてるか?」
ふと思い出し聞いてみた。
「うん。覚えてるよ。」
アイが答える。
「私もです。」
ユイが続く。
「ならよかった。でも、あれから全然その話が出て来なかったし、正直忘れていると思ってたよ」「だって、マキくんが戦わなくて済むように私たちでなんとかしようと思って。それで考えてたら言い出せなくなっちゃったんだよ」
アイが申し訳なさそうな顔で言う。
「そうか。ありがとう。で、具体的にはどうするつもりなんだ?」
「とりあえず、ミミ太くんとバニラちゃんに他の魔法の妖精を紹介できないかどうか頼んでみるつもり。」
「なるほど。確かにそれはいい考えかもしれない。」
「でしょ。」
アイは嬉しそうだ。
「ミミ太、バニラ、他に知り合いはいないかな?できれば女の子が良いんだけど。」
すると、「女の子はいないなー。バニラちゃん、バニットさんがぴったりだと思うんだけど、どうかな?」
ミミ太が言う。
「バニットさんなら男の子のマキくんにもいいかもね~」バニラが返す。「じゃあ、早速聞いてみよう」といい、ミミ太が目を閉じて集中する。
しばらく沈黙の時間が流れると、「バニットさん、OKだって!」と言ってきた。
「バニットさん、すぐに来るよ」と続けて言った。
「えっ、今すぐなのか?」
「うん。」
「心の準備がまだできてないぞ。」
「大丈夫。僕たちがサポートしてあげるから。」
「お、おう。頼むよ。」
少し不安だが、覚悟を決めた。
その時、目の前の空間が少しゆがんだ気がした。
そして、その歪みの中から、真っ黒なうさぎの着ぐるみパジャマが現れた。
黒い耳と目と鼻。白いリボン。
全身が黒くて、すこし不気味な感じだった。
「やあやあ、はじめまして。私はバニットと言います。よろしくお願いします。」と、ダンディーな声で礼儀正しく挨拶してきた。
見た目とは裏腹に意外と丁寧で好感を持てる人だった。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」と俺も丁寧に返した。
「では、早速ですが私を着てください。サイズはぴったりになるように調整しておりますので心配ご無用です。」と言った。
俺は言われるままに着替えた。サイズは全く問題がなかった。むしろちょうど良いくらいだ。
フードをかぶって、鏡を見る。
そこには、黒色のうさぎの着ぐるみパジャマを着た自分が映っていた。
なかなかかわいいと思ったが、ちょっと恥ずかしい気持ちもあった。
「よく似合っていますよ。」とバニットが言ってくれたので安心できた。
アイちゃんとユイちゃんも「可愛いよ!マキくん!」と褒めてくれた。
なんか照れくさかった。
「これで、変身できるようになったわけですね。」
「それでは、魔法少女☆バニーズの一員として、これから一緒に頑張っていきましょう。」と、バニットが言った。「はい。よろしくお願いします」と、俺は答えた。こうして、俺は魔法少女☆バニーズの一員になった。
「バニット、俺は変身したら女の子になるのか?」と質問した。
「変身しても性別は男性のままですよ。」
「そうか。ちょっと女の子になってみたい気持ちもあったから残念だよ。」
と正直に話した。
「そうですか。でも、マキくんは男の子になっても絶対可愛いと思うよ。」とユイちゃんがフォローしてくれた。
「マキくんは女の子になるより男の子のままでいて、魔法少年っていう設定にした方がしっくりくるよね」とアイちゃんが続けた。
「よし、じゃあ決まりだね。」と言ってみんな納得していた。
「ところで、魔法少女☆バニーズなのに男がいても大丈夫なのか?」と疑問をぶつけてみた。
「もちろん。大丈夫さ。」とミミ太が即答した。「そもそも、この世界は魔法少女という存在自体認知されていないのだから、男女なんて関係ないさ。」とバニットが補足説明をした。「まぁ、そうなんだけどさ。一応確認しておきたくてね。」と俺は言った。
「マキくんの変身、見てみたい!」
アイちゃんが興味津々で目を輝かせていた。
「いいよ。見せてあげよう。」
「やったー!」
アイちゃんは嬉しさのあまりぴょんぴょん跳ねながら喜んでいた。
「いよいよ、変身する時が来たのか。緊張するな。」と独り言のようにつぶやいた。
「心配ご無用ですよ。私がついています。「マジカル・トランスフォーム」と唱えると変身できますよ。」とバニットが言った。「分かった。やってみるよ。」
俺は深呼吸をして心を落ち着かせた後、「マジカル・トランスフォーム!!」と大きな声で叫んだ。すると、着ぐるみパジャマのバニットが光りだし、黒い光のようなものに変わっていった。
そして、その黒い光が俺に纏わりつき始めて、だんだんとムズムズしてきた。
耳に違和感を覚えて触ってみると、耳が上に伸び始め、耳の先に黒い毛が生えてきている。さらに、お尻のあたりがむず痒くなってきた。思わず手で触れてみると、短いしっぽらしきものが生えてきて、黒い毛が生えそろった。
「動物に変身する妄想をよくしていたけど、本当に変身できるとは……」とつぶやいた。
耳がさらに伸びていきピンと立っているのを感じた。
「うさ耳、可愛いじゃん!」とアイちゃんが近づいてきて、耳を撫で始めた。
「わっ……ちょっ……」と変な声を出してしまった。
「うさ耳はやっぱりふわふわだねぇ~」とアイちゃんは続けて、うさ耳を揉み始めた。
「てか変身中に触っても大丈夫なのか?!あっ……そこはダメだってば!」と俺は焦っていた。
「アイちゃん、それ以上は危険です。」とユイちゃんがアイちゃんの手を止めてくれた。
「マキくん、変身終わったらどうなってるか楽しみだね。」とアイちゃんは満面の笑みで言った。
「そうだね。楽しみだね…。」と期待しながら答えた直後、黒い光の輝きが増し、体中のムズムズ感が強くなった。
「手を見てみて!」とアイちゃんの声が聞こえてきた。
自分の手を眺めてみると、指が短くなり黒い毛が生えてきていた。
足も見てみると、足の指の先から同じような黒い毛が生えてきている。
手足の変化は続き、手首より先は毛に覆われ、足は靴下を履いているかのようになっていた。
さらに、腕や足の形が変化して足はつま先立ちのような状態になり、両手は長い毛皮の手袋を付けたようになった。
「手足がうさぎになるとモン娘っぽいなぁ。」とつぶやいた。
「可愛いよぉ~マキくん。」とバニラがぽつりと言い、ユイちゃんがそれに同調するようにうなずく。「ありがとう。なんか照れるな。」と恥ずかしさを隠すように、少し早口気味に言った。
そして、顔に変化が訪れた。鼻先が徐々に高くなっていき、前歯が鋭くなっているのにも気付いた。
毛が生えていくムズムズした感覚に耐えていると顔だけではなく、全身がムズムズしてきた。
「ううっ……なんか全身がむず痒い……。」
ユイちゃんが「マキさん。もう少しの辛抱です。頑張ってください。」と言った。
「うん。頑張るよ。」と答えた。
胸や背中から黒い毛が一斉に生え始め、俺の体は黒い体毛に染まっていく。
「あぅう……。」と声にならない声を発しながら耐え続けた。やがて体のすべてが体毛に覆われ、うさぎの獣人のような姿になった。
「これが、変身後の俺の姿?」とつぶやくと、「そうだよ~。すっごくかわいいよ~。」とアイちゃんが言い、ユイちゃんもうなづいていた。
「まだ終わっていませんよ。両手を広げてかっこよく一回転してください」とバニットが指示を出した。
「わかった。やってみるよ。」と言って俺は一回転すると、俺の体が縮んでいき、身長1mくらいの大きいぬいぐるみのようなサイズまで小さくなった。
すると、俺の体を包んでいた黒い光が首元と手元に集まり、
バニットが「右手を棒を持つように構えてください。」と言うので言われた通りにすると黒い光が棒状に変形して、先端にウサギをあしらった紫色のステッキが現れた。
それと同時に俺の首元に白い大きなリボンが表れた。「変身完了ですね。おめでとうございます。」とステッキになったバニットは言った後、
「魔法少女の決め台詞はどうするのですか?」
と聞かれたので、少し考えてから答えた。
「漆黒の勇気の魔法少年、マキ参上!」と叫ぶと、体中に力がみなぎってくるのを感じた。
「ちょっと厨二病みたいな感じだけど、これでいいかな?バニット。」と聞くと、
「大丈夫だと思いますよ。」とバニットが言ってくれた。
「とにかく、これからよろしくお願いします。ご主人様。」と微笑んだ。「こちらこそよろしく頼むよ。バニット。」と挨拶をした。
すると突然、「可愛い!もう我慢できない!モフモフする!」そう言ってアイちゃんは飛びついてきた。
アイちゃんは、ぎゅっと抱きしめると顔をすり寄せたりしていた。その様子に気づいたユイちゃんも一緒に抱きついてきていた。
「わーふっかふかだぁ~気持ちいい~。」とアイちゃんは言うと、ユイちゃんが、「私にも触らせて……」とユイちゃんも続けて言った。
「そろそろ離れてくれ~くすぐったいぞ。」と2人に告げたが、全く聞いていなかった。
しばらくしてアイちゃんが俺を触るのをやめたと思ったら、
「私たちも変身してみんなでモフモフしよ~」というアイちゃんが言いだし、それを聞いたユイちゃんが俺を撫でる手を止め、
「うん。やろう……今すぐにでも。」と言ったのでアイちゃんは俺から離れ、
「じゃあ行くよ~。ミミ太とバニラも準備OK?せ~の」とアイちゃんが掛け声をかけ、
「マジカル・トランスフォーム♪」と2人が同時に叫んだ。
「えっ!?ちょ待って…」と俺が止めようとする前にアイちゃんとユイちゃんの体はミミ太とバニラが変化した光に包まれ、変身が始まる。
「もふもふのうさぎさんになって、可愛くなるの!」とアイちゃんが言い。
「ウサギさんになって、モフモフし合いたい。」とユイちゃんも続いて言った。
「まあ、良いけどさ……」と俺は呆れながら言った。
二人の耳が上に移動し始め、しっぽも生えてくる。
うさ耳が生えそろったと思ったら、二人の手足に異変が起こる。
指が少しずつ短くなって行き、足はつま先立ちになってかかとが浮いた。
さらに腕からも毛が伸びてゆき、肘の手前まで覆う。
足も同様に体毛に覆われていき、二人はピンクと白のブーツを履いているようになった。
「ここからが一番ムズムズするのよね。」とアイちゃんが言うと、
「私も同じ……。」とユイちゃんが答えた。
「あっ…早く変わってぇ~」とアイちゃんを漏らした。
「そうだね。もう変わるよ。」とユイちゃんが答えると同時に、二人の体中から体毛がぶわっと生え始め
「うっ……はぁー」とアイちゃんとユイちゃんがムズムズに堪えるように体を震わせた。
二人の変身は進み、顔つきも変化し始める。鼻が伸びてうさぎのマズルになり変化したところから毛も生えていく。
その頃にはもう体中がピンクと白の体毛に覆われていた。
「ふうぅ~うさぎさんの体になったね。」とアイちゃんが言い。
「可愛いよ…」とユイちゃんが呟いた。
二人がクルっと一回転すると体が縮みだし、身長が90cm強くらいまでになった。
最後に二人を包んでいたピンクと白の光がそれぞれの首元と手元に集まり、ステッキとリボンに変わった。
「これでよし!モフモフしよ~」と言い、二人が俺に抱き着いてきた。
「ちょっとマキくんの方が身長高いんだね~」とアイちゃんが言ってきた。
確かにみんなが変身した後も俺の方が拳一つ分身長が高くなっている。
「そうみたいだな」と俺は答え、ケモノの手でアイちゃんの頭を撫でる。
すると「きゃ~」と言って嬉しそうな声を出し始めた。
そんなアイちゃんを見て、「うさ耳触っていい?」と聞くと
「うん!いいよ~」と答えたので、うさ耳に手を伸ばし優しく触れた。
「ひゃっ……」というアイちゃんの声を聞きながら、ゆっくりとうさ耳をさすっていく。
「んっ……」とか「うっ……」といった声が漏れてきて、少しこそばゆい。
しばらく続けていると、ユイちゃんが
「私も、お願いします…」と言い、うさ耳を差し出してきたので同じようにうさ耳を撫で始める。
こちらもゆっくり丁寧に触っていると、アイちゃんと同じように声が出始めた。
「どう?気持ち良いか?」と聞いてみると、
「はい……とても気持ちが良いです……。」と答えてくれた。
「でも、マキくんのモフモフも気持ちいいよ。」とアイちゃんが言ったので
「ありがとう。じゃあ、もっとしてあげるね。」と返事をして、こんどはアイちゃんとユイちゃんの背中やお腹を撫でると「きゅぅ~」「ふにゃん」と鳴いて気持ち良さそうな顔をしている。
お返しとばかりに、二人は俺のおなかとうさ耳を触ってきて、さらに全身にすり寄ってくる。
「お~、撫でられるとこんなに気持ちいいのか~」と思いつつ、二人にされるがままになっていた。しばらくしてから、「お楽しみの最中に悪いけど、また近くに魔物が出たみたいだよ。」とミミ太が言ってきた。
「え~、もうおわり~もう少しだけ」とアイちゃんが言う。
「ダメですよ。魔物が現れたなら退治しないと。」とユイちゃんが注意する。
「む~仕方ない。行こっか!」とアイちゃんは言い、俺から離れた。
「マキくんも初退治頑張ろ~」とアイちゃんが言ってくれた。
ちなみに今俺たちがいるのは家のリビングである。
「そうだな。とりあえず外に出よう。」とユイちゃんが言い、 三人で家を出た。
外に出て周りを見渡したが、特に変わったところはなかった。
「どこに出るんだろう?」とアイちゃんが呟いた瞬間、地面が大きく揺れた。
「なんだ!?地震か!?」と俺が叫ぶと
「違う!これは……」とミミ太が何かを言いかけたが、それよりも早く地面の下から巨大な蛇のようなモンスターが出てきた。
その全長は20mほどあり、尻尾まで合わせると30mはある。
そして、何より特徴的なのは体の色だ。
胴体部分は茶色っぽいのだが、顔の部分だけは黒くなっている。
「あれはブラウンスネークですね。」
とバニットが説明してくれた。
「ブラウンスネーク?」と聞き返すと
「はい。体長10mほどの大柄なヘビ型のモンスターです。
主に森の中に出現するのですが、たまに大きな洞窟などに住み着くこともあるのです。
しかし、なぜ森ではなく住宅街に現れたのでしょうか? また、あの個体は他のものよりも明らかに大きいですね。」
とバニットが答えてくれた。
「へぇ~、詳しいね。」と言うと
「当然です。私はマキ様をサポートするためにいるんですから。」と返してきた。確かにそうかもしれないが、少し恥ずかしいな。
そんなことを考えているうちに、巨大ヘビはこちらに向かってきた。
俺は慌てて魔法のステッキを構えようとしたが、それより先にアイちゃんとユイちゃんが動いた。
「いくよー。アイちゃん!」ミミ太が言い、それに答えるようにアイちゃんがステッキを振ると、ピンクの光が巨大ヘビの頭に直撃した。
すると、頭が吹き飛んだ。
一瞬、呆気にとられたが、すぐに我に返り、急いでステッキを構えた。
「マジカル☆バースト!!」と叫んでステッキを振り下ろすと、そこから光の弾のようなものが発射され、それが着弾したところが爆発し、辺り一面に爆風が広がった。
なんとか踏ん張り、耐えることができた。
煙が晴れた後には巨大ヘビの姿はなかった。
「やったぁ!!マキくんの初勝利だね。」とアイちゃんが喜んでくれている。
「うん。ありがとう。アイちゃんのおかげで助かったよ。」と素直に感謝を伝えた。
「えっへん!まあ、これくらい楽勝だけどね。」と言いながらも嬉しそうなアイちゃんだった。
「まだ魔物が近くにいます。気をつけてください。」とバニットが言った。
「えっ?どこに?」とアイちゃんが聞くと、
「おそらく、あの木の上あたりにいると思われます。」とバニットが指さす先を見ると、そこには黒い大きなネズミがいた。
すると、バニラが「よし、私たちも頑張るよぉ~。」とユイちゃんに話いた。
それを見たアイちゃんは、「あっ、私も負けてられないや。」と言ってステッキを取り出した。ユイちゃんも同じようにステッキを取り出す。
2人ともやる気満々である。
「では、行きましょう。」というバニットの声とともに俺たちは動き出した。まず最初に動いたのはユイちゃんだ。「マジカル☆アロー!」と叫んだ直後、ユイちゃんの頭上に魔法陣が出現し、そこから無数の矢が放たれた。
それらは一直線に飛んでいき、見事に全部命中した。
「やりました!当たったみたいです。」とユイちゃんが喜んでいる。
次はアイちゃんの番だ。
アイちゃんは魔法のステッキを構えると、「全力全開だよ!必殺!マジカル☆バースト!!」と叫びながらステッキを振ると、ピンク色の光で出来たビームが飛び出し、それを巨大なネズミが避ける暇もなく直撃して爆発した。
「次は俺だ!マジカル☆シューティングスター!!」と叫ぶとステッキから星形のエネルギー弾のようなものが射出された。それはネズミに見事に命中し、ネズミは消滅した。
「お疲れ様です。なかなか良い戦いでした。」とバニットが褒めてくれた。
「2人共凄い活躍だったね。」と言うと、アイちゃんは「でしょ。もっと誉めてもいいんだよ。」と胸を張っている。
ユイちゃんは「えへへ。ありがとうございます。」と照れているようだ。
「じゃあ帰ろうか。」と言うと、2人は「はーい」と答えた。
家に帰ると、アイちゃんが鏡を見て「あ、変身といてなかった。」と言って、
俺とユイちゃんにも変身解除しようと言ったので、俺たち三人は「マジカル・リリース!」と叫んだ。するとステッキが輝き出し、変身するときとは逆再生のように体が伸びていった。
そしてそれぞれ違う色の光が俺たちを包み、うさぎから人間に戻っていく。
「解除するときもかなりムズムズするんだなぁ。」と呟くと、
「そうだね。でも慣れれば大丈夫だよ」とアイちゃんは答えた。
マズルが短くなって、顔は人間のものになり、体中の体毛が肌に吸い込まれ、地肌がだんだんと見えてくる。手足もケモノの手ではなく人のものになっていった。耳としっぽだけは残ったままだった。
最後に、光の輝きが増していき、俺たちは着ぐるみパジャマを着た格好に戻った。
俺は自分の手を見つめて、「変身するの楽しかったなぁ。また変身したい。」と思った。
アイちゃんは「私はいつでも変身できるよ。マキくんも今度一緒に変身しよっ。」と言い、ユイちゃんも「私も変身したいです。」と言っていた。
その後3人でゲームをしたり遊んで過ごした後、夕食を食べてから眠りについた。
こうして、俺たちは「魔法少女☆バニーズ」として活動していくことになった。これからどんな敵と戦うことになるのか楽しみだ。
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