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僕は20代前半から10年間、ほぼ毎日のように人間が動物やモンスターに変わるTF小説を書いてきた。Pixivにおける、自分のTF小説は99作品。つまり、次のTF小説を書けば、記念すべき100作品目になる!
僕は机上にノートを広げて、TF小説のプロットを練り始める。
「うーん、どの動物にしようか」
最近はリクエスト作品を書くことが多いため、いざ自分で書くとなると、中々良いアイデアが浮かばない。ちょっとお腹が空いたから、お菓子を食べようか。
ポテ〇ングを食べてから、インスタントコーヒーを作る。自分は3時のおやつの後に熱いコーヒーを飲んでから小説を書くと、結構筆が進む。これは最近判明したことで、もっと早く気づいていれば100作品到達が早まってたかもな……。
「おめでとー!」
急に、電気ケトルの中からボワッと、シルクハットをかぶったヤギ獣人が登場してきた。あまりにも非現実的なことが起きて、僕は目をぱちくりする。
「TF小説を99作品書いた君に、ステキなプレゼントするよー!」
「ちょ、ちょっと待って! 君、一体何なん?」
「私はTF小説の言霊から生まれた獣化の悪魔だよー」
「あ、悪魔ぁ?」
願いの代償に魂を奪われるとか、人間の記憶を失うとか、良くないことばかり浮かぶ。
「私は君のようなTF小説書きから栄養もらって強くなってるから、見返りは求めないよー。安心して―」
「ホンマかいな」
にわかに信じがたいが、TF小説を主食(?)にしてるそうだから、僕の命を奪うことは無いだろう。獣化の悪魔と自称しているから、僕を変身させることが出来るのか?
「あの、獣化の悪魔さん。プレゼントって、もしかして、僕を獣人や動物に変えることですか?」
「その通りー! さぁ、好きな動物を言ってねぇー!」
今までSNS上で色んな獣人や動物になりたいと言ってきたが、いざ自分が変身するとなると、1つに絞るのは難しい。首をひねって、色々思い浮かべる。
「細マッチョな狼獣人か、いや、細マッチョな東洋龍人、馬の美尻や巨根も捨てがたい。ふわもこの鷹獣人もアリか?」
「あぁ、もう面倒臭いねー! それっ!」
獣化の悪魔がステッキで僕の頭を殴ってきた。その衝撃で、一瞬だけ目の前に星がきらめいた。
「いったぁ、何す、う、があああ……」
鼻がクワガタムシで挟まれたような痛みに襲われ、口とともに前に引っぱられていく。グワァ、これが、人間からマズルの変化か……。色んな人間にケモマズル生やしてきたが、こんなに痛いなんて、気軽に変身させてホンマごめん……。
マズルの変化が落ち着くと、顔中が産毛に覆われる。それを触ると、じゅうたんのようだ。頬のあたりは毛の良が増え、指が埋もれるほどフワッフワだ。
「どうなったんかな」
僕は洗面台へ向かい、自分の顔を確かめる。何と、口周りは白い毛、目や額は紺色の毛のオオカミの顔になっていた。目は金色に輝き、転生したらスライムだった件のランガみたいでカッコイイ! くうう、しびれるぅ!
「でも、何で耳は人のままなん? ちょっと気持ち悪い」
「フフフ。それっ!」
悪魔がステッキを振ると、右耳が細長く縦に伸び、左耳が丸く膨らむ。耳が引っ張れるように痛むが、さっきのマズルの変化よりマシだ。右耳は白いフワモコの毛に包まれ、途中で折れ曲がる。シャングリラ・フロンティアのエムルちゃんのようなウサ耳だ。左耳の方は灰色の毛に包まれて、コアラの耳になった。
「オオカミの顔に、ウサギとコアラの耳、僕をキメラにする気か?」
「さすがTF小説家、察しがいいねー。君があまりにもなりたい動物が多すぎるから、キメラにしてあげるよー」
キメラ化は好きだが、変化する度に痛むのは辛い。次はどこの部位だろうか。うう、頭が割れるように痛い。今度は角か……?
頭に2つのこぶが出来ると、そこから角が出てきた。右の方は白い角で、いくつも枝分かれする。ビースターズのルイ先輩のような立派な鹿の角だ。左の角はホルン状にカールして、太い羊の角になる。あぁ、額が痛む。前髪を脇に寄せて、アイスのコーンのような角が生えてきた。ユニコーンの角だろうか?
角の重さが頭に伝わり、ヘルメットをかぶっているような感じだ。こんな物を付けて移動する動物って凄いなぁ。
「さぁ、お次は――」
「ちょっと待って! 動物の変化は複数じゃなくて、1体ずつにしてほしい」
「1体ずつねー。わかった」
悪魔がステッキを振れば、僕の首回りが毛皮のマフラーを巻いたようにチクチクしてきた。あごの下から茶色い剛毛が伸び出す。僕の髪も茶色くなって尖り、まっすぐ伸びていく。頭や首を覆うこのごわごわした茶色い毛が、ライオンキングのシンバのように立派なライオンキングのタテガミだ。
「ライオンのタテガミが生えたオオカミ、カッコええええ!」
「気に入ってくれてありがとー! お次はこれ!」
今度は首が伸び始める。馬の首か? いや、黄色い獣毛が生えて、四角い茶色の模様が出てくる。キリンの首だ! 角が天井にあたり、ああ、急に天井が高くなった?
キリンの首によって、自分の身長が倍になった。体は貧弱な人間のままなので、足元がぐらつく。このままでは倒れてしまう。
「空間を広げることが出来るのか?」
「うん。キメラになると大きくなるから、元の部屋のままだと窮屈になっちゃうからねー」
もし3トン超の超デブスカンクになりたいと言っても、問題なかったというワケか。何て都合の良い能力を持ってるんだ!
「お次ぃー」
「待って! 足を変えてほしい! このままやったら、バランス崩すから」
悪魔はちょっとふてくされた表情を見せたが、じきに笑顔を見せてステッキを振る。
「確かにそうだねー。それっ!」
右足がパンパンにふくらみズボンやパンツは裂け、灰色の皮膚に変わっていく。電柱のように分厚くて硬く、表面はザラザラしている。足の爪は横長になった。これはゾウの足だ。これなら、色んな部位が増えて重くなっても耐えられる。
左足はかかとが浮き、緑色の肌に変わっていく。海辺の岩のように硬い。指がかぎ爪に変形した。トカゲやイグアナの脚だろうか?
「こっちの足はトカゲ?」
「イグアノドンだよー」
恐竜化もアリありなんか。いや、そもそも、ユニコーン化がある時点で、幻想の動物もいいのだろう。
次の変化は胴体だ。筋肉の膨張でシャツは破けて、黄色い胸板があらわになる。腹が6つに割れたシックスパッド、嬉しい! 脇や背中にかけて緑の鱗がびっしり生えていく。表面はつるつるしていて、ヒンヤリしている。ケモホモゲームに出てきそうなマッチョ東洋龍人の体だ。
「この貧弱な腕は不格好だな」
「それーっ!」
腕が熱く、中から空気を入れたように膨れ上がっていく。右腕に茶色い獣毛が生えて、なか〇まきんに君が逃げ出すほどのムキムキっぷり! うーん、最高! すかさず力こぶを作れば、ソフトボール大のビッグサイズ!
この腕はカンガルーのようだ。この腕なら、ワンパンで壁を破壊できそう。
左腕の方もはちきれんばかりに膨れて、黄色の獣毛と黒い獣毛が縞模様を作っていく。戦国妖狐の道錬ばりにムキムキ虎の腕になった。
この2つのムキムキ腕でサイドチェストやダブルバイセップスなどのボディビルダーのポーズを取ってみた。何と素晴らしい……。スマホで撮りたい美しさだ。
「残りは翼と尻尾ぐらいか」
背中がヒリヒリ痛むと、右の肩甲骨から黒い翼が生えだした。やや紫がかった黒色で、薄い膜のついたコウモリの翼だ。
左の方は茶色い羽毛が出てきて、凧のように立派な羽になった。これはタカだろうか?
タカとコウモリの翼を必死に動かしたら、少しだけ浮いた。多分100キロぐらいの飛べない体重になっているが、獣化の悪魔の力で自然法則を無視できるのだろう。ありがとう!
尻の方がムズがゆくなると、フワッフワの尻尾が出てきた。先端は白く、全体的に黄色いキツネの尻尾だ。自分の尻尾を振るのは、とても新鮮で清々しい気分になる。もふもふ尻尾を触るのもイイ!
「これで終わりかぁ」
名残り惜しいが、16もの動物が合体したキメラになれたのだ。僕は悪魔にお礼の言葉を述べようとしたが――。
「ありが――」
「これで満足しないでしょー?」
右の腰から新たな感覚が生じる。これは第二の腕か? 黄色い獣毛に黒い真ん丸な斑点が出ている。鋭い白い爪を生やして、関節が曲がっている。これはチーターの脚だ。
左の腰も同様に、白と黒の縞模様の獣毛が生えた脚が出てくる。先端は蹄で、シマウマの脚と分かった。この位置で脚が生えるということは――。
「タウル化か!?」
「あったりー!」
龍の腹がグイッと伸びて、茶色い獣毛が生える。それはゾウとイグアノドンの脚を後ろへ追いやるように伸びていく。ケンタウロスのように、下半身が馬の胴体になった!
「おおお、四つの脚で立っとる! 奇妙な感覚やぁ」
限界までのけぞって、カンガルーの右手で馬の尻を触ってみる。おっぱいのように丸みがあるが、実に筋肉質で、馬の獣毛と合わさってずっと揉んでいたくなる。やはり、馬の胴体と尻は欠かせないなぁ。
「うっ、いだい!」
もう変化できる部位は無いはずでは? お腹がめっちゃ痛くなる。へそが出べそになり、蛇の頭が出てきて前へ伸びた。
「へそが蛇にぃ?」
少し黄色い鱗に覆われ、頭が角ばっているので、アオダイショウだろう。その蛇は口を開くと、機械音声のような声を出した。
「オオカミに噛まれて、傷口からオオカミ化が進行する!」
「何やこれ……」
「好きなTFシチュ発表ヘビだよー。TFシチュの発表後に目からビームを出すと、そのビームを浴びた人間を発表したシチュ通りに変身させちゃうよー」
キメラと言うより、人間絶対にTFさせるマンと化してないか? ん? 馬の背中の方にヒンヤリ冷たい感覚。氷が乗っている?
「そうそう。君の背中に、スライム付けといたよー。あと79個の動物の能力や部位を追加できるから、そのスライムに念じると追加してくれるよー」
「あれ? もう、獣化の悪魔さんが変身させてこないの?」
「うん。もう思いつかなくってぇー」
「何や。獣化の悪魔の想像力は大したことないなぁ。僕なら、もっと追加できるでぇ」
カンガルーと虎の腕組みをして、不敵な笑みを浮かべてみる。まだ79個も追加できるなんて、最終的に究極生命体カーズ(ジョジョの奇妙な冒険)みたいになりそう。
「ピンポーン!」
「おや? 誰か来たみたいだねー」
「いや、違うよ」
「何でー? チャイム鳴ったよねー」
「見てきな」
悪魔はドアの小窓をのぞきに行く。彼は首をかしげて戻ってきた。
「おっかしいなー。ちゃんと鳴ったのにー」
「ピンポーン!」
「ほらな、あっ!?」
悪魔は僕の口を見て、目を丸くする。コトドリの物真似能力を追加して、オオカミの口から家のチャイム音を出したのだ。
「これなら、色んな歌手や芸能人のモノマネも出来るぞぉー」
「へぇー。中々いいの追加したねー」
「お次はこれや!」
目から血のビームを発射する。血が悪魔の顔にべったり付く。
「うわっ! 何じゃこれー!」
「目から血を出すツノトカゲの能力。使い過ぎると貧血になるのが難点やね」
元々貧血気味だから、頭がクラッとしてきた。とりあえず、四つ脚をたたんで一休みする。
「あっ! 冷蔵庫にバナナあるから、取ってきてもらえるー?」
「次は何をするのかなー?」
悪魔は冷えたバナナを持って来てくれる。この子、僕が100の動物の力を得るまでは近くにいるのだろうか?
「それの皮をむいて、馬の背に乗せてくれる?」
「こう?」
「おおお! バナナの甘みが伝わってくるぅー!」
全身に味蕾があるナマズの能力を追加したから、バナナが肌に触れるだけで甘味を感じる。もし全身に寿司を盛ったら、一体どうなるのだろうか?
[newpage]
バナナを食べた後、僕は悪魔に尋ねる。
「ねぇ。君は他の人から姿が見られるの?」
「私はネット上でTF作品を100件以上UPした人だけに見えるよー」
僕の身の回りにそんな人はいないから、安心だ。これなら、僕のやりたいことが出来る!
「よしっ! 外に出よう」
「でも、外に出たら目立つよー?」
「こういう時にピッタリの動物がいるだろう?」
僕は窓を割って、外へ飛び出した。タカとコウモリの翼を必死にばたつかせたので、ゆっくりと着地できた。このままでは目立つので、体を背後の白い壁に溶け込ませる。
「ああ!? 白くなったぁ!?」
周りの景色に合わせて色を変えるカメレオンの能力を追加。これで、僕は見づらくなったはずだ。
「でも、それだと壁づたいでしか移動できないよー」
「擬態できる動物は他にもいるよ」
壁から離れると、今度は街路樹のように体を細くして、茶色い羽毛を身にまとわせる。木の枝になりきるオーストラリアガマグチヨタカの能力を追加した。
「木になってるー」
「この状態のときに尻尾の先端を根っこに変えて、土の養分をいただくよ。これで飲まず食わずでも生きていける」
あれ? 植物の変化も追加できるのか? 長いタンポポの根で土の奥深くの養分を吸収した。何か神獣と化してきたな、自分。
ウサギの耳で周囲の声はよく聴ける。
オオカミの鼻で色んな臭いを嗅ぎ分けることが出来る。
長いキリンの首によって、遠くまで見渡せる。
マッチョな虎とカンガルーの腕で、あらゆる物を破壊できる。
チーターの前脚を意識すれば、ウサイン・ボルトより素早く駆け抜ける。
シマウマの前脚を意識すれば、マラソンランナーより早く長距離を走れる。
タカとコウモリの翼で、短時間だけ飛行も可能だ。
この体は最強すぎるし、まだ73個も追加できる。僕の動物知識を最大限に発揮して、百獣キメラになってやるぞ!
「さぁ、次は何を追加するのかな、鷹杉せんせー?」
「僕のことはタカスギメラと呼んでくれ」
「わかったー。タカスギメラ!」
[[rb:鷹杉 > たかすぎ]][[rb:奨 > しょう]]改めタカスギメラは、自らの体を変化させまくる上に、あちこちで集団変身を起こす魔獣である。出会ったら最後、人間の形を保てないだろう。
(pixivFANBOXの方へ続く・続編はR18注意)
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