紅太&シュバルツ!vs……並行世界の自分っ!?

  「並行時空転移装置……。ふん、割と簡単にできたな。」

  暗い部屋で、小さなコウモリ獣人はニヤリと笑った。

  その中心で完成したばかりの大きな装置を起動させると、ゴゴゴゴ……と振動しながら装置が光を放ち始めた。

  「さあ行くぞ!平行世界の竜宮町もこの我が輩が支配してやろう!!!」

  そう言うと、コウモリ獣人は装置のゲートのような中心部へと消えていくのだった。

  [newpage]

  「むう、腹が減ったな……。紅太よ、三郷の所でどら焼きでも食いに行かんか?」

  「いいかもね。この間三郷さんバレンタイン新作出すって言ってたし。まあ僕はカスタード味一択なんだけど。」

  その日の放課後も、いつものようにコウモリ獣人の『シュバルツ』と普通の中学生の『陸宮 紅太』はのんびりと話しながら通学路を歩いていた。

  そんな時、ビュンッ!!!と凄い勢いで何かが向かいの道から飛んできた。

  餅みたいに丸っこい手のひらサイズのドラゴン『モッチー』だ。

  

  「シュバルツ!!!あの野郎どこ行ったドラー!!!」

  「あっ、モッチー!?なんか怒ってるけどどうしたの?」

  「どうもこうもシュバルツのやつがまた……ってあれっ?」

  「き……貴様の取っておいた餅入りどら焼きを食べたのは我が輩ではないぞ!?あんな美味いものそもそもアジトの戸棚に置いてる方が悪……」

  「あれシュバルツだったドラかぁ!!!???そっちもそっちで許せんドラが、違うドラよ‼︎シュバルツが街で人間を怪人に変えて暴れてるって通報があったんドラよ!!!」

  「なっ、なんだと!?我が輩が!?」

  そう聞いて当のシュバルツが1番驚いてしまう。

  それも当然だ。彼は以前こそ悪の組織『ダークネス・ウイング』の大首領として暗躍していたものの、今はそれをやめ正義の組織『ジャスティス・ウイング』の司令塔として活躍しているからだ。

  「とっ、とにかく行こうシュバルツ!何が起こってるのか確かめないと‼︎」

  「う、うむ!案内しろモッチー!」

  「了解ドラ!こっちドラー!!!」

  そう案内するモッチーを頼りに、2人は駆け出した。

  [newpage]

  「ククク!さあ我が輩の怪人ども!もっと暴れまくるのだ!!!」

  「ガルルル!!!君も怪人となって僕達と暴れるガル!!!」

  モッチーの案内のもと現場に辿り着くと、そこでは確かにシュバルツが、そしてかつて紅太が変身させられた怪人ミリタリードラゴンが、人々を怪人へと変えながら暴れてるいた。

  「むう!?た、確かに我が輩だ!どういうことだ!?」

  「それにボクまでいる!?にっ、偽物!?」

  「ほう?貴様がこの世界での我が輩か。改めて自分の姿を見ても、なかなかカッコいいではないか。」

  「そうだろうそうだろう!流石我が輩、分かっておるな!」

  「言ってる場合!?というかこの世界って……!?」

  「そうガル。僕達は、君達の世界とは違う並行世界……シュバルツが竜宮町を支配した世界から来たガル。」

  「りゅ……竜宮町を支配ドラ!?」

  それを聞き驚く一同。

  そんな彼等に、並行世界のシュバルツは自慢げに語った。

  「うむ。我が輩らは、我が輩が竜宮町を支配した世界から来たのだ。」

  「竜宮町を支配だと!?この我が輩をもってしてもドラゴレンジャーの邪魔が入ったせいで遂げられなかった偉業をどうやって!?」

  「あんなデブドラ共、食べ物で釣れば余裕だろう?全員食べ物で釣って操って、ダークドラゴレンジャーとして共に町を支配させたわ。」

  「なるほど、その手が……」

  「感心してる場合じゃないでしょシュバルツ。」

  「そしてダークドラゴレンジャーを駆使して竜宮町を完全に支配した。今やこっちの竜宮町は、街のあちこちにシュバルツが描かれてるしシュバルツまんじゅうとか作られてるし町内イベントにもシュバルツが引っ張りだこなんだガル。」

  「そ、それただゆるキャラとして認識されてるだけじゃないかドラ……?」

  モッチーに呆れられつつも、並行世界シュバルツは続けた。

  「しかし!こちらの世界で一つ大きな問題が発生してしまってな……。やむを得ず急遽並行時空転移装置を開発し、貴様等の世界に来たというわけなのだ。」

  「やむを得ず……?どういうこと?」

  「それはだな……三郷の新作『お好み焼きどらやき』のせいで竜宮町で空前のどら焼きブームが起こって町中のどら焼きが買い尽くされてしまったのだ!!!」

  「「「……はい?」」」

  シュバルツの口から予想外の言葉が飛び出し、一同は困惑の声を上げた。

  「どんなに町中駆け巡ってもどこにもどら焼きが売ってないし、支配してる町の奴らも『苦労して手に入れたからシュバルツ様に渡すのはちょっと……』って言ってたし‼︎三郷は調子乗ってるしで全然どら焼きに巡り会えないのだ!!!」

  「それ町の人達にも舐められてない?」

  「そこでこの天才の我が輩は、並行世界に行き支配し、どら焼きをたっぷり頂くべくこの『並行時空転移装置』を作ったのだ!!!」

  「もう自分でどら焼き一から作った方が早かったんじゃ、というか何がどうなってそんなことになるドラ……」

  「うむ、それは確かに滅茶苦茶しんどいな……。だがこの町のどら焼きは全て我が輩のものだ!!!たとえ同じ我が輩であれど渡すわけにはいかん!ドラゴチェンジ!!!」

  「えっ!?シュバルツのでもなくない?どっ、ドラゴチェンジ!!!」

  そう叫んで腕の変身ブレスを操作すると、2人の身体はでっぷりと肉付いていきドラゴンとしての姿へと変わっていく。

  そして……

  「桃色にときめく萌え萌えハート!ドラゴピンク!!!」

  「漆黒に羽ばたく孤高の天才!ドラゴコマンダー!!!」

  「「超ヘビー級の2つのパワー!超竜戦隊ドラゴレンジャー!!!」」

  ずっっっっっっしぃぃぃぃぃぃんっっっ!!!

  それぞれ紅太は『ドラゴピンク』に、シュバルツは『ドラゴコマンダー』に姿を変えた。

  「ほう?そっちの我が輩はドラゴレンジャーの一員に成り下がったのか。惨めなものだな。」

  「なっ、何を言うか!むしろ我が輩があやつらを導いてやっておるのだ!!!」

  「僕も見たことない姿に変身してるガルね。そういえばそっちの世界のお姉ちゃん達はどうしたガル?」

  「あ〜……ちょうど今デブニーランドに6人でトリプルデート中ガル。多分今ごろパーク内の飲食店全制覇するために奔走中ガル。」

  

  「なるほど、そっちでも相変わらずラブラブなんガルね。こっちもカップルどうしでイチャつきたいからって、命令あったのに僕以外誰1人ここに来なかったガル。」

  「いくらドラゴレンジャーを手玉にしても、相変わらずシュバルツは部下に慕われてないんドラね……。」

  「なっ!?そっ、そんなことあるはずないだろう!?さあ、我々の恐ろしさを思い知らせてやる!!!」

  そう叫び、並行世界シュバルツは怪人達にバッ!と指示を出す。

  すると人々が変えられてしまった怪人達はいっせいに紅太達に襲いかかってきたのだ!

  「うわぁっ!?ちょっ!?やめるガルぅ!?」

  「くっ‼︎こっ、こんな数で襲われてはキリが無いぞ!?」

  「ふうん?並行世界の僕達もそんなものガル?さあ、これでも喰らうガル!!!」

  そう言うと並行世界の紅太であるミリタリードラゴンは空高く飛び上がり……ずしいぃぃぃんっ!!!と周りの怪人ごと2人をお腹で押し潰した。

  「ぐっ!?くっ、くるしぃ……やめぬかぁ……‼︎」

  「ガルッ!?そ、そんな、仲間ごと……‼︎」

  そう呟くと、あまりの衝撃に2人はその場で気絶してしまった。

  「ふははは!!!どうだ、我らの怪人軍団は!!!同じ我が輩のよしみだ、今回は見逃してやるとしよう!!!」

  「さあ、町のどら焼きが奪われていくところを指を咥えて見ているがいいガル!!!」

  そう笑いながら、2人は怪人達と共にその場を去るのだった。

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  「クソッ!!!なんてナルシストで自分勝手でワガママな奴なのだ!!!」

  「割といつものシュバルツと変わらないでしょ。でもそんなことよりどうしよう……。このままだと町中僕達に滅茶苦茶にされちゃうよ……。」

  数時間後。目を覚ました紅太にシュバルツは、アジトで頭を悩ませていた。

  「うむ。しかしどうしたものか……。向こうは数の暴力で攻めてくるし、グリーン達は明日まで帰ってこないし……」

  「こうなったら特訓ドラー!!!」

  「も、モッチー!?」

  すると突如、モッチーが大きな声で叫んだ。

  紅太が慌てて聞き返すと、モッチーは自信満々に答えた。

  「特訓で2人の合体技を生み出すドラ!紅太とシュバルツの超ヘビー級のパワーを合わせた必殺技で、向こうの2人をギャフンと言わせてやるドラよ‼︎」

  「で、でも今から必殺技なんてできるのかな……。」

  「いや、良い案ではないかモッチー!紅太!2人で最強の必殺技を作り上げ、奴らに引導を渡してやろうではないか‼︎」

  そうシュバルツはニヤリと笑い、早速2人は特訓を始めるのだった。

  「でな!この角度で勢いよくプレスしてだな!その際我が輩らもオーラを放って……」[uploadedimage:17427662]

  (必殺技を考えてる時のシュバルツ、物凄くイキイキしてるなぁ……)

  そんなこんなで合体必殺技の練習は進み、日は更けていくのだった。

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  そして翌日。

  「奴らの反応を見つけたドラ‼︎町中からどら焼きを奪いまくってるドラよ!!!」

  「よし、行くぞ紅太!」

  「うん!僕達の特訓の成果、見せてやる!……ってちょっと遠いね、ここ。」

  モッチーに見せられた地図を前に、思わず紅太は呟く。

  並行世界シュバルツ達が暴れているのは、アジトからはだいぶ離れた場所だった。

  「仕方あるまい。歩いて行くとするか。」

  「ここまで歩いて1時間くらいかかるよね。面倒な所で暴れるなぁ……。」

  「待って!僕が力を貸すよ!」

  面倒さに溜息をついていた2人の前に、中学生くらいの男の子が現れる。

  彼は『雷人』。2人のクラスメイトであり、以前怪人と化して暴れていたところを2人に助けてもらったのだ。

  「雷人くん!?力を貸すって……」

  「うん。変身‼︎」

  そう頷くと雷人は、腰に巻かれた自身のベルトを操作する。

  すると彼の身体中から銀色の毛が生えながらぐぐぐっ!と大きくなっていき……

  「グルルルルルル……」

  銀色の大きなライオンに変身した。

  

  「うわぁっ!?雷人君がライオンに!?」

  「ほう。我が輩の新たなカスタマイズ、有効活用しているようだな。危険なカオスドラゴンの力こそ取り除いたが、代わりにこの力を加えた甲斐があったというものだ。」

  「さあ、俺様の背に乗るがいい。貴様らを目的の場所まで誘ってやろう。」

  「あ、喋り方はロード・ライオっぽいままなんだ」

  そう呟いて2人はライオンとなった雷人に跨り、猛スピードで町を駆けていくのだった。

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  「うむ!やはりどら焼きは粒あんに限るな!」

  「粒あんは皮が口に残ってウザったいガル。こし餡こそが至高ガル。」

  その頃。町では並行世界シュバルツとミリタリードラゴンが、人々を襲って得たどら焼きを次々と頬張っていた。

  並行世界なだけあって味覚も少し違うのか、餡子が苦手なこちらの世界の紅太に対してこの紅太は餡子入りのどら焼きを次々と美味しそうに口に放り込んでいく。

  そこに……

  「待つのだ!並行世界の我が輩らよ‼︎」

  「僕達の悪行は僕達がお仕置きしないとね!ドラゴチェンジ!!!」

  雷人に乗ったシュバルツと紅太が現れ、それぞれドラゴコマンダー、ドラゴピンクへと変身した。

  「ほう?今日も懲りずに来たようだな。いいだろう、かかってくるがよい‼︎」

  「返り討ちにしてあげるガル。タヌキツネコ!手伝ってガル!!!」

  「「「ニャンポコーーーン!!!」」」

  そうミリタリードラゴンが叫ぶと、狸、狐、猫が融合したかのような怪人がどしんっ!!!と姿を現した。

  「なっ!?タヌキツネコまで!?」

  「はあ……。アタシデート中だったのに呼び出して……。」

  「仕方ないだろ。さっさと済ませようぜ。」

  「わー!別世界のボス、こっちでもアホそうな面してるっスね〜‼︎」

  「「どこがだ!!??」」

  2人のシュバルツがハモって答える。

  そんなシュバルツと紅太に、タヌキツネコは接近していく。

  2人が身構えたその時……

  「仕方ないニャあ……。別世界のアタシ達は任せなよ。」

  そう言ってかつてタヌキツネコに変身していた、3人の戦闘員が2人の前に現れた。

  「とっ、透子!?貴様デブニーランドに行ってたんじゃ!?」

  「今帰ってきたとこニャ。ま、アタシ以外は食い意地張って食べすぎてダウンしてるけど。」

  「コイツ等は任せておけ。いくぞ。」

  「よーし!速攻でぶっ飛ばしてやるっスよ〜!」

  「「「変身!!!」」」

  そう叫ぶと3人は同時に変身ブレスを操作する。

  すると3人の身体はどんどん融合していき……

  「「「ニャンポコーーーン!!!」」」

  3人もまた、怪人タヌキツネコへと姿を変えた。

  「へぇ?こっちのアタシ達も融合変身するとはね。」

  「まあこれめっちゃ恥ずかしいけどニャ……」

  「でも助かったガル!ありがとう、戦闘員さん達‼︎」

  「さてと。ならばこやつ等は我々の新必殺技でお仕置きしてやるか‼︎」

  そう叫ぶと、2人は揃って息を大きく吸い込み……

  「「ツインドラゴ・ラブリーダークブレス!!!」」

  怪人達に黒とピンク色が組み合わさったブレスを放ち、バタバタと気絶させていった。

  「ふん、なかなかやるな。俺様も心強いというものだ。」

  そう言いながら、ライオンと化した雷人も次々と怪人達を気絶させていく。

  しかしそんな彼等に次々と怪人が襲いかかってくる。

  「ぐっ!キリが無いな‼︎」

  「こうなったらシュバルツ!あれを使うガル‼︎」

  そう言うと今度は2人は自分達のお腹をくっつけあい、指をくっつけあってハートマークを作り……

  「「ラブラブダークネスピンクハート!!!」」

  [uploadedimage:17427657]

  オーラを込めて、合わさったハート状の指から大量の黒とピンクのハートのバルーンを放出した。

  それを喰らった怪人達は次々に目をハートにして、2人にメロメロになり倒れてしまう。

  

  やがてタヌキツネコ以外怪人は全員気絶してしまい、残るは並行世界シュバルツとミリタリードラゴンだけとなった。

  「なっ!?我が輩の怪人軍団が!?」

  「どうだ!これが我らの特訓の成果だ‼︎さあ、諦めてこの世界から手を引くのだ‼︎」

  「ふん、まだだ!貴様等は我が輩直々に始末してやろう!紅太!」

  「わかったガル!巨大化ガルゥゥゥ!!!」

  そう言うと2人は黒いコインを身体に取り込み、ぐんぐんと巨大化していった。

  

  「ふはは!どうだ!!!これで貴様等も敵うまい!!!」

  「ふん、そう思うか?我らの新しい力、貴様に見せてやろう。行くぞ紅太!モッチー!」

  「うん!モッチー、頼んだガル!」

  「りょーかいドラ!さあ、このコインをセットするドラー‼︎」

  「「「ドラゴンズフュージョンオペレーション!!!」」」

  そう叫んで2人が同時に金色のコインをチェンジャーにセットすると、2人の身体が光輝きながら大きくなっていきその周りでモッチーが彼等を包み込んでいく。

  モッチーにこねこねとこねくり回されながら彼等は融合していき……

  「「「完成!ドラゴショタエンペラー!!!」」」

  [uploadedimage:17427655]

  どっっっしぃぃぃんっっっ!!!

  まるで紅太とシュバルツが融合したかのような姿に変身した。

  

  「なっ!?向こうの僕達が融合したガル!?」

  「なんだと!?こんなの、我が輩のアイデアには無かったぞ!?」

  「ふははは!!!どうだ!驚いただろう!?これぞ我が輩と紅太の融合形態なのだ!!!」

  「まあ、だいぶ恥ずかしいけどね……。」

  「が、合体したところで……!!!」

  そう言って建物を破壊しながら突っ込んでいく並行世界シュバルツ。しかし……

  「だーめ。ストップガルよ?」

  「なっ!?」

  紅太の小悪魔的なムーブでそれを止められ、ドキンッ💕とときめいてしまった。

  「しゅっ、シュバルツ!?こうなったら僕が!!!」

  そう叫んで、ミリタリードラゴンは身体中の銃火器から次々と銃弾を放つ。

  しかし……

  「甘い!ナイトメア・バルーン!!!」

  そう言うとシュバルツらしくポーズを決め、コウモリのようなバルーンをあたり一面に羽ばたかせる。

  そのバルーンは次々と銃弾に当たり、その場で対消滅してしまいドラゴショタエンペラーに攻撃が当たることは無かった。

  「なっ!?くっ、弾切れガル!?」

  「よーし、今こそトドメドラー!特訓の成果、見せてやるドラよー!!!」

  「ああ!さあ、覚悟するがいい!」

  「僕達の手でトドメガル!!!」

  するとショタエンペラーはバッ!!!と空高く飛び上がる。

  そして……

  「「「ショタエンペラー・バッドバルーンプレス!!!」」」

  ずしぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ!!!

  風船のように大きく膨らんだかと思うと、勢いよく落下しそれなりに距離が離れていたはずのシュバルツとミリタリードラゴンを巨大お腹で勢いよく押し潰した。

  「ぐうぅぅぅっ!?こっ、この我が輩がぁぁぁっ!!??」

  「ぼっ、僕達がこんなっ!?ガルゥゥゥッ!!??」

  それに押し潰されてしまった2人は、そのまま気絶してしまうのだった。

  [newpage]

  「こっ……、こんな大量のどら焼き!!!本当に良いのか!?」

  「せやで〜!並行世界のシュバルツも、もうウチの立派なお得意さんやな!」

  数時間後。すっかりコテンパンにやられてしまった並行世界の面々のもとに、三郷の祖母が経営している和菓子屋『竜神堂』にて大量のどら焼きが振舞われた。

  「全く。どら焼き欲しさに暴れるなんて、一言言えばよかったのにドラ。」

  「折角だしついでにこの世界でも我が輩の力を誇示し、我が物にできたらお得だろう?ここを支配した暁には巨大どら焼き工場を作ろうと思ってたのだがな……」

  「全く、碌なことを考えない奴だ。誰に似たんだか。」

  「前のシュバルツもだいたいそんな感じだったでしょ。はぁ……、そっちの僕も大変そうだね。」

  「ううん。シュバルツと一緒に悪の組織やってるの結構楽しいし。それに僕もどうしてもどら焼きが欲しくってさ……」

  そう言うと並行世界の紅太は、大量のどら焼きの中から一つを取り、それをそのまま並行世界のシュバルツに渡した。

  「ほら。バレンタインどら焼き。間に合ってよかった。」

  「「「……へっ?」」」

  並行世界紅太の一言に、こちらの紅太、シュバルツ、モッチーは揃って変な声を上げてしまう。

  そんな彼等など気にも留めず、並行世界シュバルツもどら焼きを一つ取り紅太へと手渡した。

  「……先を越されてしまうとはな。ほら、我が輩からもバレンタインどら焼きだ。」

  「ちょ、ちょっと待て貴様ら!!!バレンタインどら焼きって……」

  「どうした?何をそんなに慌てておる?『愛する相手』に物を贈るのが、バレンタインの嗜みだろうが。」

  「「「はっ!?」」」

  平然と答える並行世界シュバルツに、またもやこちらの世界の住人達は揃って声を上げてしまった。

  「あれ?もしかしてそっちの世界のバレンタインってまた違うの?それともバレンタイン自体無い感じ?」

  「そっ、そうじゃなくって‼︎バレンタインはまんま同じものがあるんだけど、えっと、その……」

  「それはそうとシュバルツ、まさかこのためにわざわざ並行世界に行ってまでどら焼き探してたの?もう、そうならそうって言ってくれればいいのに💕」

  「ばっ、馬鹿を言うな!そ、そんなことを言ったらサプライズに欠けるし、何より恥ずかしいではないか……。」

  「……やっぱり。そんなシュバルツが大好きだよ💕んっ……💕」

  「ちょっ!?人前でっ……💕んう……💕」

  すると並行世界の紅太とシュバルツはその場で口づけをし、それをこちらの世界の3人は呆気に取られた顔を赤らめて見守るのだった。

  「はぁ……💕2人ともお熱くてええなあ💕食い過ぎでダウンしとる風香の為にビデオ撮っといたろ💕」

  そんな中三郷は、ニヤニヤしながら1人スマホのカメラを向けるのだった。

  [newpage]

  「あ……シュバルツ……ど、どうしたの?こんな所で……」

  「う、うむ……ちょっとばかし、どら焼きを買いにな……?」

  並行世界の面々が帰った後の翌日。紅太とシュバルツは、バッタリと竜神堂の前で出会した。

  昨日の件もあってか、それを見て何かを決意したところにお互いがはちあってしまったからか、気まずそうに顔を見合わせながら店内に入る。

  しかし……

  「ごめんな〜!どら焼き、全部売り切れやねん!」

  「「へっ?」」

  店番をしていた三郷から、想定外の一言が飛んできて2人は困惑した。

  「いやな、昨日あの2人が町中のどら焼き食べまくったり、ウチがいっぱい振る舞ったりしたせいでどら焼きどころか中身の餡子やカスタード、チョコなんかも不足しとるんよ!特にチョコはバレンタインシーズンだからそっちに優先的に回されるし……ちゅうわけでいつものどら焼きは完売や!」

  「そ、そっか……」

  「それならまあ、仕方ないな……?」

  そう言いながらも残念そうに、気まずそうに顔を見合わせる2人。

  そんな2人に三郷は慌てて声をかけた。

  「でっ、でもな!そんな中やからこそ、ウチ色々な食材試して新作どら焼き作ってみたんや!よかったら試食せえへん?」

  「えっ!?いいの!?」

  「かまへんかまへん!ウチも誰かに味の感想聞きたかったとこやしな!ほれ、見てみぃ!」

  そう言いながら、三郷はどんっ!と新作のどら焼きを取り出す。

  そのどら焼きの間からは大量の肉や千切りのキャベツが顔を出し、ふんだんにソースやマヨネーズが間に塗られ、ふわっと青のりや鰹節も香り……

  「こ、これは、まさか……」

  「そう!ウチの新作、『お好み焼きどら焼き』や‼︎どら焼きとウチの大好きなお好み焼きのマリアージュ!これはぎょうさん売れるで〜‼︎」

  「お、お好み焼きどら焼きって……‼︎」

  それを聞き2人の脳裏に並行世界シュバルツの言葉が響く。

  お好み焼きどら焼き、並行世界の竜宮町に空前のどら焼きブームを引き起こし、町からどら焼きを消したとんでもない代物……

  「そ……それはちょっとやめておいた方がいいんじゃないかな……?」

  「う、うむ……。我が輩もそれだけは売らない方がいいと思うぞ……?」

  「なんや、食う前から否定は良くないで?ほれっ!食え食え♪」

  ウキウキで新作どら焼きを進める三郷に、2人は辟易するのだった。