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俺の父さんに会った事なんて1度も無かったぞ?
狼は混乱していた。1度も会ったことのない父親が何故今になって現れたのか。
何故だ?俺は幾つもの赤ずきんの世界を知ってるがこんな世界有り得ない!
狼の秘密……それは世界を渡る力を持っているという事。しかしそれが発動するのは決まって物語の主人公がハッピーエンドになった時に限定されている。それに加えて渡る世界は全て赤ずきんの別の時間軸。平行世界とでも言うべきか。
「そうだ!赤ずきんが男っていうのもなんでた?」
おかしい、この世界は何もかもがおかしい。何故赤ずきんは男なんだ?何故今まで1度も出会ったことのない父さんが居るんだ?
物語の世界には決まりがある。
その1 ハッピーエンドでないといけない
その2 物語のどんな人でも死ぬ事はない
その3 現実の世界で語り継がれる限り物語の世界は繰り返される
最後のその3それは悪役にとっては生き殺しも同然だ。必ず悪役はハッピーエンドにはなれない。その2には例外があり、悪役は死亡する。ただしその瞬間ハッピーエンドは確定になり現実の世界で語り継がれる度に悪役はその肉体を復活する。
こんなのあんまりじゃねぇか!生まれた時から悪役である事を決められ、生死も勝手に決められる。そんな事あっていいのかよ!神がいるならよ、こんな事許していいのかよ!!
「狼、お前は死にたいか?」
目の前に狩人らしき人影が現れる。赤ずきんは気づいてないのか?と赤ずきんが居る方を見ると赤ずきんは時間が止まった様に動かない。
「お前は、何者だ?」
「死にたいか?と聞いている」
「こんな事、繰り返す位なら死にてぇよ!」
「2言は無いからな。」
頭に銃口が向けられる。
この感じ、前にも? ……思い出した!
「お前はっ!」
言葉を切るように銃がなる。
パァン!
狼は目を覚ました。そして目の前にあったのは自分の体だった
「どういう事だおい!?」
「気づいてないのか?」
「てめぇ!俺に何をしやがった!」
「なに?貴様が死にたいと言ったのだぞ?私はその言葉通りに殺してやっただけだ」
「だが、俺の体があるじゃねえか!そこに!」
「あぁ、確かにあるな”体”は。」
「どういう事だって聞いてんだろ!」
「はぁ、頭が悪い奴だな。精神を殺してやったんだよ。正確に言うと切り離すだがな」
「じゃあ体はどうなんだよ!?」
「きちんと動くぞ?目的を果たす為に」
「目的?」
「分からないのか?これは物語の世界。目的と言ったらハッピーエンドしかないだろう?」
「でも、俺に目的なんて」
「簡単だ、ハッピーエンドになるシナリオ通りに進めば良いだけだ。語り継がれるいつもの赤ずきんを。」
「何言ってるんだよ!じゃあなんでこの世界はこんなにおかしいんだよ!」
「お前が知る必要はない」
「おい!まて!」
狩人らしき人影は足から消えていった。残された狼の精神はゆらりと立ち上がりどこかに歩き出した体を追い始めた。
「オオカミさん、大丈夫かな」
赤ずきんは狩人らしき人影により気を失っていて、目を覚ますと赤ずきんの家に居た。
その日の夜、ある狼の雄叫びが聞こえたという。
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