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虎と熊と私 〜入学編〜

  私は如月蓮。私の地域には獣人と人族の学校が半々くらいある。中学までは人族のみの学校に通っていた。引っ込み思案な私だったが高校には行きたかったのでその中の1つ…獣が丘高校に入学した。ここは獣人も人族も通えるが幼なじみも友達もいない私は1人孤独になっていた。高校でもどうせ1人になるのだから他の人達とは関わらないようにしようと思っていた。先生の先導で体育館に入り入学式が始まる。私の周りには人族はいるが9:1で獣人の方が圧倒的に多いようだ。因みにクラスは獣人のみ、人族のみ、人族と獣人の混合の3つに分かれていてそれぞれ30人くらい。その8割は獣人で…人族が圧倒的に少ない。私はというと人族と獣人の混合のクラスに入っていた。特に理由はないのだけど先生に「獣人と仲良くなりたくないか?」と質問されて…頷いたためである。因みに2、3年生は人数が1年より少ないので共同で授業を受けることになるそうだ。今は授業が終わり部活動に励んでいるようだ。

  「みんなよく来てくれた。我はこのクラスの担任である龍谷だ。これからよろしく頼む。」

  名前の通り龍人の先生である。他のクラスも全員龍人だったのだけどそこはあまり驚くことはなかった。とー

  「自己紹介はしてもらったから大丈夫だな。今日は授業ではなく部活の紹介をするからついてきてくれ。」

  部活か…私は球技などの運動系が苦手なので文化系に入っていた。しかし私には合わずすぐに辞めてしまい帰宅部まっしぐらだった。獣人達は勿論運動系で人族は文化系を選ぶのだろう。私は勿論文化系を選ぶつもりだ。しかしまた帰宅部に逆戻りすることだろう。彼らに出逢う前まではー

  「野球部だ。虎と獅子の獣人が多いだろ?全国でも一番強いから期待してるんだ。」

  確かに…先生が言った通りである。本当に虎と獅子の獣人しかいない。部員達は先生に気付くとこちらに寄ってきて挨拶した。

  「また沢山入りましたね…。虎と獅子の獣人は少ないようですけど…。」

  「大丈夫だ。獣人のみのクラスに多かったからな。このクラスには狼と犬が多いから大半は陸上部に行くだろうな。さて…次は文化系だな。お前ら!サボるんじゃないぞ!!特に熊谷!お前だ!」

  先生が指指した方向にぽっちゃりとした体躯の熊獣人がいた。どうやらボール磨きをしているようだけど…

  「先生〜厳しいよ〜。それより新しく入ってきた生徒達だね。僕は熊谷陵だよ〜。同じクラスだったらよろしくね〜。来たついでにハグしてあげるよ〜。」

  なんか呑気な熊獣人だった。他の部員達もお手上げな様子なんだけど…

  「熊谷、怖がってるだろ?入ってくれなかったらお前のせいだからな。」

  「酷いよ〜虎谷君。君だって十分怖いと思うよ〜。」

  虎谷と呼ばれた虎獣人…もしかして熊獣人と付き合ってるのかな?なんだか仲が良さそうだ。

  「全く…お前ら。この2人には気をつけろよ。問題を起こされたら試合に出られなくなると思っていいぞ。しっかり監視しといてくれよな。」

  これからこの2人に問題を起こされるのを私はまだ知る由もなかった…。[newpage]

  全ての部活動を回り教室に戻ってきた。席に座り一枚の紙が渡される。部活の入部用紙だ。私はもう文化部の方にペンが動いていた。とその時ー

  「おっとごめんな。大丈夫だったか?」

  あの時の虎と熊の獣人がいた。どうやら部活が終わり帰宅する所のようだ。私は無言で頷き振り返ると既に用紙が回収されていた。なんてことしてくれたんだ…というかどこに○をしたのだろう。

  「え〜文化部は人族のみだな…お!如月、野球部に入ってくれるのか?我は嬉しいぞ〜。」

  虎と熊の獣人のせいで…まあ今更取り返しの付かないことを言っても仕方無い。そう思い溜息をついていた…。

  「よし、今日はこれで終了だ。部活は明日から来てくれ。運動部に入った者は早いから遅れるなよ〜。」

  なんかあっさりした終わり方だった。私は鞄を持ち教室を出ようとしたが先生に引き止められてしまった。

  「如月、本当は文化系に入りたかったのだろ?」

  「はい、ですが…。」

  「言いたいことはわかる。虎谷と熊谷だな?あの問題児をどうにかしたいと思ってるんだな。」

  獣人はエスパーなのだろうか。言いたいことが全て当たっている。私は頷くことしかできなかった。

  「そういえばシェアハウスで暮らしてるんだったな。あいつらもそうなんだ。それでだな…一緒に棲んでみてはどうだろうか。」

  「…わかりました。場所は学校のすぐ近くなので…ついでなので案内しますね。」

  「学校の近く?確かあいつらも…いや、なんでもない。早速行くとしよう。」

  龍谷先生は何か考えこんでいた。歩いて数分…シェアハウスに到着した。先生はそれを見て思い出したようだ。

  「やはりな。ここはあいつらも住んでいるところだ。無理を押し付けたようで済まない。」

  「…いいえ、大丈夫です。彼らはもう帰宅しているようなので挨拶してきますね。」

  と私はドアに手をかけた。と同時に勝手にドアが開く。出てきたのは虎獣人である。

  「虎谷、如月もここに住んでいるそうだ。これからよろしく頼んだぞ。」

  「あ…はい。俺は虎谷卓だ。よろしくな。熊谷は今寝てますのでそっとしておいてください。」

  先生の前では敬語になるんだな…。結構目上の人を敬うタイプのようだ。熊獣人とは大違いである。

  「私は如月蓮と申します。これからよろしくお願いします。虎谷先輩…と呼ばせてもらいますね?」

  「どうしたの〜?あ、さっきの!僕は熊谷陵だよ〜。」

  こうして私達は出逢ったのだ。これからこの2人と一緒に暮らしていくわけだけど…恋が芽生えるのはまた他の話である。

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