怪しいフィギュアショップ

  とある町のホビーショップでフィギュアを漁る男。目ぼしいフィギュアが見つからず、手ぶらで店を後にする。ふと人気のない路地裏を見ると、目立たない場所に小さなフィギュアショップの看板が目に入る。男は興味本位で店に入る。

  店の中は狭く静かで客は一人もいない。奥から店員の男が出てくる。商品棚には精巧に作られたフィギュアが並んでいるが、そのすべてが見たことのない獣人のフィギュアと人間のフィギュアばかりだった。どうやらこの店のフィギュアは全て店員のオリジナルらしい。

  店員は来店の記念に、好きな獣人のフィギュアを譲ってくれるという。男は獣人フィギュアの並ぶ棚を見回り、一つのフィギュアを見手に取る。それは自らの肉体をアピールするようなポーズで、まるで男を誘っているかのようにも見える。男はそのフィギュアを譲ってもらう。男はフィギュアの入った袋を手に店を出る。背後で店員が怪しい笑みを浮かべていることも気づかずに。

  夜、男は帰宅するとすぐにフィギュアをテーブルに出し、舐めるように観察した。男の息は荒く、完全にフィギュアに魅了されており、フィギュアに向ける感情はやがて興奮、欲情に変わった。男は正気を失った目で服を脱ぎ始めると、完全に勃起した自身のイチモツを握り、そのままオナニーを始める。フィギュアの姿になりたいとさえ考え始めた男は自らの異変に全く気付いていないようだった。

  男はまるで獣のように息を荒げ、一心不乱にイチモツを扱く。そして遂に男は今までに無いような大量の精液をぶちまけ、その殆どをフィギュアにぶっかける。男は疲労と幸福感で力尽き、フィギュアの横に倒れるとそのまま眠ってしまう。

  精液まみれになったフィギュアに異変が起こる。フィギュアの目が一瞬光ったかと思うと、フィギュアがドロドロと溶けだし精液と混ざり合い、スライムとなって男を包み始めた。スライムに包まれた部分から男の体は変化していき、最後は顔が覆われ、男はフィギュアの獣人そのものとなってしまった。唯一違うのは、フィギュアには無かった立派なイチモツが生えているくらいであった。

  男は起き上がると、まるでフィギュアに操られているかのような虚ろな目で部屋を後にする。男が向かったのは、昼間のフィギュアショップだった。店内では店員の男が待っていたかのように立っていた。

  突然男は正気に戻る。今の状況を理解できず混乱するが、フィギュアと融合することで店員の所有物となった体は言うことを聞かない。店員が男に指示をすると、男の体が勝手に動き、3Dプリンターに繋がった擬牝台型のオナホールにいつの間にか完全に勃起した自分のちんぽを挿入し腰を振り始める。

  直感的に生命の危機を察知した男は涙を流しながら店員に助けを乞うが無駄だった。男は快感に吠えながらオナホ内に大量に射精する。ちんぽから出でてきたのはまるでフィギュア製作に使われる樹脂のような少し灰色がかった精液。男は自分の中から自分がなくなっていくのを感じた。

  男の射精と同時にプリンターが稼働を始める。男は泣き叫びながら言うことを聞かない身体で抵抗を試みたが、射精によって人間であった頃の記憶、人格が失われる毎に抵抗が弱くなり、逆に不要物を早く出し切りたいと望むかの如く狂ったようにオナニーに夢中になる。男が最期の大量射精を行い、人間だった頃の情報が詰まった精液を全て出しきったとき、プリンターから出力されていたフィギュアが完成した。それは男が人間だったときの姿をしていた。かつて人間だった獣人からは先ほどまでの勢いはなくなり、息は荒いもののまるで意思がなくなったかのように動かなくなってしまった。

  店員は完成された色のない人間のフィギュアにカラースプレーを吹き付け着色していく。フィギュアは物の数分で本物のような姿となる。店員は満足そうに完成したフィギュアを棚に飾ると、完全に理性を失った獣人を奥の部屋に連れていく。獣人は焦点の有っていない目で店員に黙って従っている。店の最奥の部屋、そこには大量の人間大の獣人フィギュアが並べられていた。フィギュアたちは己の肉体をアピールするようなポーズをしていたが、その表情は射精の快感に喜び狂った瞬間を切り取ったかのように歪んでいた。元人間だった彼らは身動き一つ取らないが、がちがちに勃起したチンポだけは時折ピクピクと脈打っており、先端からは透明なカウパーが糸を引きながら垂れていた。

  店員は獣人を台座の上に立たせると、獣人はちんぽを勃たせ、元々のフィギュアと同じポーズをとって動かなくなった。店員のコレクションとなったフィギュアたちは主人の命令がない限り自ら動くことはなく、空っぽになった頭の中でフィギュアになれた喜びとすべてを出し切った時の快感を反芻させながら永遠に愛でられ続けるのであった。(終)