【試し読み】魔装銃姫ティンクル・ステラ 可愛いモフモフ相棒のもう一つの姿はイケメン獣人! ザラザラ舌(ベロ)と肉棘(トゲトゲ)ちんぽに甘やかされる契約更新の夜

  潮風が肌にベタつく、深夜の廃倉庫街。

  空間に走る不快なノイズと共に、灰のような淀みから這い出てくる異形の怪物――『蝕魔《ショクマ》』

  都市に溜まった人間のストレスや負の感情を啜り、日常をバグのように食い荒らすその最悪な存在を、私――星名まひるは猛烈な勢いで追いかけていた。

  コンクリートを蹴って疾走する私のすぐ隣を、まだら模様の毛並みを持つ獣――ロアが並走する。

  丸みを帯びた大きな耳を後ろに伏せ、背筋に沿った短いタテガミを逆立たせて、ロアが焦ったような鋭い声を上げた。

  「速度を落とせ! 追うな、そいつは囮だ! 奥にまだ群れが潜んでる!」

  「だめだよ、逃がせない! 街の方に行かれたら、余計に面倒なことになるでしょ!」

  「知るか! 自分のスターパワー残量わかってんのか、脳筋!」

  「それでも、やるしかないんだってば!」

  私は走りながら、胸元で揺れる弾丸型のペンダントを強く握りしめた。

  手のひらの中で、星の輝きを宿したそれがじりじりと熱を帯びる。残りのスターパワーがギリギリなのは、自分が一番よくわかっている。だけど、ここで引くわけにはいかない。

  ぎゅっと目元に力を込め、私は声を張り上げた。

  「闇を切り裂く星の弾丸! ――マジカル・トリガー!」

  次の瞬間、弾丸から溢れ出た煌めきが、私の身体を包み込んだ。

  薄手のパーカー姿が光に溶け、フリルをあしらった可憐な戦闘服へと一瞬で変化していく。

  同時に、私の両手に収まったのは、可愛らしい衣装にはおよそ似つかわしくない、冷たい鋼の重みを持つ二挺の魔装拳銃だった。

  ぎゅっと握り込んだ左右のグリップには、ロアを思わせる、鋭い牙を持つ獣の紋様がお揃いで刻まれている。

  私は逃げる蝕魔の背中に向けて、迷わずその二つの銃口《マズル》を突きつける。

  「【魔装銃姫】ティンクル・ステラ! 交差する星の軌跡《ライン》からは逃げられない! 二撃必中《トゥーショット》!」

  引き金を引いた瞬間、両手に握ったグリップの紋様がカッと熱を帯びる。

  左右の銃口から放たれたのは、まばゆい星のきらめきを孕んだ光の弾丸。

  それは空気を灼き裂き、逃げる蝕魔の退路を断つように美しく交差し、その巨体を容赦なく穿った。

  激しい閃光と爆音。

  不快なノイズを撒き散らしながら、蝕魔の身体が灰の淀みへと還っていく。

  「まだまだ、ここから!」

  倉庫の壁を蹴り、空中へ身体を躍らせながら、二挺の魔装拳銃を交互に、あるいは同時に連射する。

  星屑のような弾幕が夜空を彩り、遠距離から確実に、蝕魔の急所を撃ち抜いていった。

  だけど――。

  「っ、嘘、あんなに……⁉」

  ロアの警告通り、倉庫の奥の闇がドロリと蠢き、さらに数倍の規模の群れが溢れ出してくる。

  視界を埋め尽くすおぞましい影。

  それと同時に、私の胸元で、弾丸型のペンダントがチカチカと警告するように明滅を始めた。魔力残量が危険域に達している、最悪のサインだ。

  「引け、まひる! これ以上はおまえの身体がもたない!」

  私のすぐ傍らで、ロアが焦燥を剥き出しにした声を上げる。

  「だめ! 今ここで全部片付けるっ!」

  私はロアの制止を振り切り、スターパワーのすべてを二挺の銃へと強引に注ぎ込んだ。

  グリップの紋様が、皮膚を焦がさんばかりの熱を持つ。

  まばゆい、けれど命を削るような凶悪な星の光が倉庫を満たし、私は狂ったように引き金を引き続けた――。

  ✢

  なんとか鍵を開けて我が家に滑り込み、バタンとドアを閉める。

  変身はとうに解け、ゆったりパーカーにスカートといういつもの姿に戻っていた。

  身体は泥のように重く、今すぐにでも床に倒れ込みたい。

  「あぁーー……。疲れたぁ……」

  「だから深追いはするなって言っただろ」

  「んー。でも、まあ、結果的に殲滅できたんだからいいじゃない?」

  「おまえなぁ……」

  隣で尻尾をブンブン振っていたロアが私の腕を前脚で軽く押した。

  「ほら、さっさとシャワー浴びてこいよ」

  「うぅ、だるーい……」

  ロアに急かされながら、私は靴を脱ぐ。

  と、ちょうどその時だ。

  「やあ、おかえり。ティンクル・ステラ。今日も相変わらず無茶な戦い方だったネ」

  今の今まで誰もいなかったのに、奥の部屋から突然聞こえてきた声に、思わず肩が跳ねた。

  はっとして見れば、それほど広くない1Kの、私のベッドに、細身のシルエットがゆったりと腰掛けていた。

  「カミサマ⁉」

  「……っち。来たか。めんどくせ……」

  「ロア・ヴィルヘルム。聞こえてるヨ?」

  薄暗い部屋のなか、窓から差し込む青白い月光を浴びて、その男は微笑んでいた。

  さらりと肩に流れる髪は、まるで夜空の星屑を溶かし込んだかのような、冷たく透き通る銀色。端正なんて言葉では到底足りない、非現実的なほど整った美貌のなかで、神秘的な銀の瞳が妖しくきらめいている。

  その双眸に見つめられるだけで、こちらの魂の底まで全て見透かされているような錯覚に陥る。

  一年前、絶体絶命の私にあの弾丸型のペンダントを授け、魔装銃姫へとスカウトした張本人――自称『カミサマ』だった。

  その冷たい銀の瞳に見据えられた瞬間、疲弊した脳裏に、一年前の記憶がありありとフラッシュバックする。

  大学の講義に出て、友達と笑い合って、バイトをして。それなりに忙しくも充実していた、普通の女子大生としての平穏な日常。

  この都市の暗がりに、人間の負の感情を啜る『蝕魔』という得体の知れない怪物が現れるようになったのも、ちょうどその頃からだった。

  ――あの日。突如として空間のノイズから現れた蝕魔に襲われ、私の充実した日常はあっけなく崩れ去った。

  死を覚悟した絶体絶命の窮地。そこに舞い降りたのが、この男だったのだ。

  『――助かりたかったらこれを受け取るといい』

  月光に銀の髪を揺らして微笑み、そう言って差し出された弾丸型のペンダント。

  震える手でそれを握りしめたあの夜から、私の世界は一変した。

  魔装銃姫として過酷で、痛くて、ボロボロになる戦いの日々。けれど、そのペンダントと共にお目付け役として私の元へ遣わされたロアがいた。口は悪いけれど、私がどんなに無茶をしても、世界で一番私のことを心配して、いつも隣を走ってくれたのだ。

  「――で、その君の優秀な相棒とのことだけど」

  カミサマの声に、私はハッと意識を現実に引き戻された。彼はベッドに腰掛けたまま、私の足元で警戒を露わにするロアを見下ろして、楽しげに目を細める。

  「明日で僕と君が契約を結んでから、ちょうど一年。記念すべき『契約満了日』だ」

  「けいやく、まんりょう……?」

  「そう。君は一年間、本当によく頑張ってくれた。だから明日をもって、君の魔装銃姫としての義務はすべて終わる」

  カミサマは甘く優しい声で、さも慈悲深い存在であるかのように微笑んだ。

  「過酷な戦いから解放されて、元の普通の女子大生に戻れるんだヨ。ただ、魔法に関わるこれまでの記憶や戦いのこと、そして隣にいるロアのことは、綺麗さっぱり忘れてもらう」

  カミサマはそこで言葉を区切り、私の目を真っ直ぐに射抜いた。

  「君は自由だ。このまま満了して日常に帰るか、それとも契約を『更新』するか。君自身が選んでいいんだヨ」

  普通の女の子に戻る。

  蝕魔と戦って、こんな風にボロボロになって痛い思いをすることもない世界。

  一年前まで私が生きていた、ほどほどに幸せな日々。

  だけど――ロアを、忘れる?

  私は、足元でじっと私を見上げている獣を見た。

  まだら模様の毛並み。不器用で口は悪いけど、誰よりも私を護ろうとしてくれる大切な存在。彼は何も言わない。ただ、私の選択をじっと待っているようだった。

  「私…………普通の日常なんて、いらない」

  気付けば、私は手を伸ばして、ロアの身体をでぎゅっと抱きしめていた。ロアの身体がビクッと強張るのがわかる。

  「私、ロアのことを忘れたくない。ロアのいない明日なんて、絶対に嫌だ。だから……契約を更新する。まだ魔装銃姫として頑張る。ロアの隣にいたい!」

  私の決意を聞いたカミサマは、パチパチと嬉しそうに拍手をした。

  「うんうん、素晴らしい選択だ! 相思相愛だネ。それじゃあ、さっそく契約更新の手続きをしてもらおうか。……ああ、具体的なやり方はロアから聞いてネ。それじゃ、良い夜を」

  「えっ、ちょっと待っ――」

  引き止める間もなく、カミサマの身体はふっと青白い月光に溶け込むように、跡形もなく消え去ってしまった。

  静まり返った薄暗い部屋に、私と腕の中のロアだけが残される。

  「……行っちゃった」

  私はロアを解放すると、テーブルの上のリモコンを操作して部屋の灯りを点ける。それから、今しがたまでカミサマが座っていたベッドにごろんと仰向けに倒れ込んだ。

  ロアはそんな私を黙ったまま見つめている。

  「ねぇロア。カミサマが、やり方はロアに聞いてって言ってたけど……契約更新って、一体なにするの?」

  私はなにげなく、ただ思った疑問をそのまま口にした。

  すると、ロアの丸い瞳が、獲物を捕らえる猛獣のようにスッと細められる。

  「なにをするかって? ――……おまえがここからまた一年、俺と一緒にいることを選んでくれたのは嬉しいが。こういう重大な契約は、合意する前にちゃんと内容を確認するべきだったな」

  呆れたような、けれどどこかひどく熱を帯びた低い声が響いた。

  次の瞬間、ロアの小さな身体からぶわりと漆黒の靄が溢れ出した。

  靄は瞬く間に彼のシルエットを包み込み、急激に膨張して、人間の青年の形へと姿を変えていく。

  「えっ……? ええっ⁉」

  私は疲れていたことも忘れて、飛び起きた。

  靄が晴れたそこにいたのは、私よりも少し背が高い青年だった。

  無造作に跳ねた灰茶の髪の頭頂部には、元の姿の面影を色濃く残す丸い獣耳がピンと立っている。

  前髪の間からは、獣のときと同じ、鋭くも美しい金の瞳が私を見下ろしていた。

  少し垂れ目がちなその双眸は、普段の小生意気な態度からは想像もつかないほど甘い色気を放っていて、非の打ち所がないほど端正な顔立ちをしている。

  ――けれど、それ以上に私の目を釘付けにし、頭を真っ白にさせたのは、彼のその姿だった。

  ついさっきまでモフモフの獣だったロアが、人間の服なんて着ているはずがない。

  靄の向こうから現れたのは、布切れ一枚すら身に纏っていない、完全に剥き出しの、しなやかで逞しい全裸の男だ。

  電灯の明かりに照らされた彼の鎖骨や、綺麗に割れた腹筋が、生々しい雄の熱を持ってそこに存在している。

  息を呑むほどの美しき獣人に姿を変えたロアが、私にのしかかるようにして、両腕をついた。

  「ロ、ア……なの……?」

  呆然と名前を呼ぶ私の両手首を、彼の大きな手が易々と掴み、シーツの上へと縫い留める。

  直接触れるロアの手のひらが、驚くほど熱い。さらに、のしかかられた私の身体に、彼の滑らかな胸板や、男の人特有の硬い肉体の質感がダイレクトに押し付けられる。

  「おまえのそういう無防備で考えなしなところが、本当に危なっかしいって言ってるんだ」

  完全にベッドに組み敷かれ、逃げ場を失った私に、ロアは至近距離でふっと艶のある吐息を吹きかける。

  密着したせいで、規格外に熱くて硬い『塊』が、私の太ももあたりにゴリと当たって、心臓が爆発しそうになった。

  「え? えっ? あ、なんで? どういう、こと?」

  「契約更新ってのは――互いの魔力回路を、深いところで直接繋ぎ合わせる儀式だ」

  ロアは金色の瞳を細め、私の首筋に鼻先を擦り寄せるようにして低く囁いた。

  彼の髪が頬に触れ、ひどく甘い香りが鼻腔をくすぐる。

  「俺の熱と魔力を、おまえの奥の奥まで余すところなく直接注ぎ込んで……頭の中がドロドロに溶けるまで、おまえの身体の隅々に俺の『印』を刻み込むこと」

  「え……? 魔力を、繋ぐ……? 印って……なに?」

  熱を持った彼の声色と、すぐ耳元で聞こえる吐息に心臓がドクンと跳ねる。

  だけど、言っている意味がまったく理解できなくて、私はパチパチと瞬きを繰り返した。

  「ねえ、ロア? どういうこと? よくわかんないんだけど……っ」

  「はぁ……」

  戸惑う私を見て、ロアは愉快そうに喉の奥を鳴らすと、ひどく艶めいた、けれどどこか嬉しそうな捕食者の笑みを浮かべた。

  「まあいい。頭でわからなくても、今からおまえの身体が全部理解する」

  「えっ、ちょっと? ロア、なんか雰囲気が……――んっ⁉」

  抗議の声を上げようとした私の唇は、そのままロアの熱い唇によって強引に塞がれた。

  シーツに縫い留められていた両手首への力がスッと緩み、かわりに大きな手が私のパーカーの裾から滑り込んで、直接素肌を撫で上げてくる。

  「んんっ⁉ ロ、アッ?」

  「すればわかるから」

  ビクンと身体が跳ねた時にはもう、私の意識は彼の熱に絡め取られていた――。

  強引に唇を塞がれたものの、その直後に降ってきたキスは、拍子抜けするほど優しかった。

  チュッ、チュッ、と啄むようなリップ音が、静かな部屋に甘く響く。

  いくら鈍くて、この手のことに疎い私でも、ここまできたら『契約更新』が何をするのかだんだんとわかってくる。

  「ん゛ん゛っ……んむ……ッ」

  ロアは私がこういうことにほとんど無知で、男性経験がないことを、この一年間誰よりも近くで見てきたから知っているはずだ。

  だからなのか、私を怯えさせないように、壊れ物を扱うかのように慎重に触れてくれているみたいだった。

  「ひゃ……っ!」

  パーカーの中に潜り込んだ大きな手が、背中のラインに沿ってゆっくりと上がってくる。

  「んっ……あ……っ♡」

  ただ肌を撫でられているだけなのに。

  ロアの指先が素肌をなぞるたびに、背筋にぞくぞくとした電流が走る。自分でも信じられないほど、甘くて情けない声が漏れてしまった。

  「あっ♡ ロアっ、まって……ぁんんっ♡」

  ビクンッ、と私の身体が跳ねた瞬間。

  背中を這っていたロアの手がぴたりと止まった。

  「……っ」

  少しだけ唇を離したロアの息が、不自然なほど荒くなっているのがわかる。

  「ロ、ア……? あ、ごめ……なんか変な声、出ちゃっ……」

  「…………」

  「ロア……?」

  恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら見上げると、ロアの表情が一変していた。

  先ほどまで余裕たっぷりに微笑んでいたはずの端正な顔が、ひどく苦しそうに歪んでいる。そしてその金色の瞳の奥には、爛々と飢えた『獣』の光がギラギラと宿っていた。

  さっきまでの優しい雰囲気とは明らかに違う。もっと生々しくて獰猛な本能。

  ロアは一度唇を噛み締めると、何かを振り払うようにぶんぶんと頭を左右に大きく振った。

  その拍子に、頭の上でピンと立っていた獣耳が、はっきりと認識できるほどピコピコと動いた。

  「ロア、どうしたの?」

  「……っ、なんでもない」

  「え? でも、すごく顔が赤――」

  「気にするな!」

  強い口調で遮られ、私は驚いて口を噤んだ。

  ロアは一度大きく息を吸うと、私のパーカーの裾を掴んで、一気にたくし上げ、そのまま私の身体から奪い取った。

  下に着ていたキャミソールの裾から再び手が侵入し、今度は先程よりずっと性急に、迷うことなく直接素肌へと触れてきた。

  「ひゃっ!」

  まるで私に余計な思考を与えまいとするように、ロアの指先は私の肋骨を伝って背筋を下り、キャミソールの内側でブラジャーのホックに到達した。

  ――プツッ。

  乾いた小さな金属音が静寂に響き、束縛から解放された柔らかな膨らみがふるりと揺れる。

  急な開放感に戸惑う間もなく、ロアの骨張った大きな手が、躊躇なく私の胸のふくらみを覆った。

  「ひっ♡」

  自分のものとは思えない上擦った声がこぼれ落ちる。

  恥ずかしくて死にそうだ。

  「あ、あの、ロア……っ?」

  「……ん?」

  「こ、これって、どういう……? 契約、更新ってもしかして……」

  「――……そう。深いとこでつながるための準備」

  低く掠れた声が、私の耳元を甘く震わせる。

  同時に、私の胸を覆っていたロアの手が、柔らかさを確かめるようにゆっくりと動き始めた。

  視界の端で私のおっぱいがむにむにと形を変えている。

  私は動揺しつつも必死に言葉を紡ぐ。

  「あ、あのっ! そ、それって、つまり、わ、私とロアが……そ、そのっ……え、えっち、するって……こと……?」

  火が出そうなほど顔が熱い。

  きっとこれ以上ないくらい真っ赤になってると思う。

  だけど、そんなことするの初めてだし、確認はしておかないといけない。

  そろそろとロアを見上げると、彼はポカンと目を丸くしていた。

  そして数秒後、堪えきれないといった様子でくつくつと喉を鳴らし始める。

  「……っ、く、はははっ!」

  ロアは私の首元に顔を埋め、肩を震わせて堪えきれないように吹き出した。

  「な、なんで、笑って――っ?」

  「いや……おまえ、ほんとそういうとこ……っ。こっちがあけすけに言わないように色々考えてたのが全部台無しじゃねえか……っははっ」

  心底おかしそうに笑う彼の吐息が首筋をくすぐって、またゾクゾクとした痺れが背筋を駆け上がる。

  ロアはひとしきり笑った後、金色の瞳を細めて私を愛おしそうに見つめた。さっきまでの獰猛な獣の光は少しだけなりを潜め、元の『私の知っている小生意気なロア』の気配が戻ってくる。

  「だっ、だって! 今までずっと可愛いモフモフだったのに……。急にこんなイケメンになって、しかも、その……ちゅーとかしてくるしっ! 私、初めてだったのに! 頭が追いつくわけないでしょ!」

  パニックになってまくしたてる私を、ロアは優しい手つきで宥めるように、頬にかかった髪をそっと耳にかけた。

  「……そうだな。おまえからすれば、俺はただの口うるさい相棒で、可愛いペットみたいなもんだったかもしれない」

  私の胸を覆っていた彼の手が、一度ぽん、と軽く心臓の音を確かめるように触れ、ゆっくりと離れていく。

  少しだけホッとしたのも束の間。

  「だけどな、まひる」

  ロアの長い指先が、私の顎をすくい上げ、強制的に視線を絡ませてきた。

  「俺はずっと、この姿に戻っておまえに触れたかった。ずっとずっと我慢してたんだぜ?」

  至近距離で見る彼の金色の瞳には、再びじわりと熱が灯り始める。

  「え……? 我慢って……」

  「俺はおまえとずっと一緒にいたいと思ってる、ただの男だ」

  「ロア……」

  「……嫌か? 俺に抱かれるのは」

  不安げにそう言ったロアの耳が、悲しそうにペタンと垂れる。

  まるで捨てられそうになっている仔犬――ではないけど――みたいな、懇願するような眼差し。

  私は慌ててぶんぶんと首を横に振った。

  嫌ではない。だってロアは、この一年間、私の命を何度もつなぎとめてくれた、誰より大切な相棒だ。

  それに契約更新に必要なことで、彼を拒絶してしまったら、私は明日にはロアのことを全部忘れてしまう。一緒に過ごした日々も、戦いの記憶も、全部なくなるなんて絶対に嫌だ。

  「い、いやじゃない、と思う……」

  私は俯きながら、消え入るような声で答えた。

  「ただ、その……。心の準備が……」

  「ああ……」

  「それに、私、ほんとにそういうの初めてだから……っ……」

  「知ってる」

  「だから、その、ええと……あんまり痛く、しないでね……?」

  ぎゅっと目を瞑ってそう告げると、降ってきたのは、予想に反してひどく優しくて温かいキスだった。

  チュッ、と額に、赤くなった頬に、そして鼻先に。大切に労わるような小さなリップ音が降ってくる。

  「絶対に優しくする。嫌がることはしない」

  甘い宣言と共に、再び私の唇が深く塞がれる。

  今度は言い逃れも抵抗も許さない、すべてを奪い尽くすような濃厚なキスだった。

  驚いて開いた唇の隙間から、熱い舌が遠慮なく滑り込んでくる。

  ――その瞬間、口内の粘膜に、自分の舌とは違う不思議な感触が走って背筋が跳ねた。

  (ざらざら、してる……?)

  「んちゅ……ぁ、んむっ……♡ ろ、ぁ……っ?」

  「はっ……まひる、いい匂いする……」

  ロアの舌の表面は、肉食獣のそれのように微かにきめ細かく、ざらついていた。

  その感触に、ぼやけかけた意識の奥で、記憶がふっとリンクする。

  (あ、これ……。知ってる……)

  落ち込んだときや、戦いで怪我をして帰ってきたとき、獣の姿をしたロアが私の頬や手の甲を慰めるように何度もペロペロと舐めてくれた、あの懐かしい感触。

  あんなに小さくて、温かくて、ただ愛おしかっただけの『ざらざら』が、今は私の口の中で、熱い雄の質量を持って暴れ回っている。

  私の舌を情熱的に絡め捕り、敏感な上顎をゆっくりとなぞるたびに、まるで甘いヤスリで削られているような、強烈で生々しい快感が脳髄を直撃する。

  チュ♡ ちゅう♡ と口内の水分を搾り取られるような卑猥な水音が、静かな部屋にじっとりと響き渡った。

  舌を撫でられるのがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。

  息が上手くできない。

  一方、ロアはハァハァと荒い息を吐きながら、私の口内を隅々まで味わい尽くし、奥へ奥へとさらに深く舌を突き入れてくる。

  「ん……っ♡ ロア、くるしっ……」

  熱い舌でお互いの唾液を混ぜ合わせるたびに、頭の芯がドロドロに溶かされていく――そんな圧倒的な感覚が押し寄せる。

  (わ……♡ 気持ち、良すぎ……て…♡)

  「ちゅぱっ……はぁっ、まひる、かわいい……」

  長くて深い口づけからようやく解放され、唇が離れた瞬間、お互いの唾液が透明な糸を引いて、ぷつんと切れた。

  ぼんやりと視界の端でそれを捉えながら、私は濡れた唇を開く。

  「ぷはっ……♡ ロアの舌、ざらざら……してるの、きもちい……♡」

  「……っ」

  きゅううん、とロアの瞳が凶暴に細まったのが私にもわかった。

  「……煽るな」

  「ん、え? 煽ってな……あっ!」

  返事をする間もなく、無造作にキャミソールが捲り上げられる。

  ブラのホックはさっき外されていたから、ふるり、とおっぱいがこぼれ出た。

  咄嗟に両腕を交差させて隠そうとしたけれど、それより早くロアの長い指が直接そこに伸びてくる。

  「んっ……!」

  ロアの手はやっぱり大きくて、私のおっぱいは彼の手のひらにすっぽりと納まってしまった。

  少し強く揉まれると、指の間から柔らかな膨らみがむにゅ、とこぼれる。

  「かわいぃ……っ♡」

  「ん゛……っ♡ ひゃっ……んッ♡」

  くすぐったいような、もどかしいような、初めての感覚が全身を支配する。

  思わず肩がすくみ、背中がシーツに擦れた。

  ロアはおっぱいの感触を楽しむように、長い指でくるくる♡ と先端を避けるように円を描いたり、ふにふに♡ と手のひら全体でおっぱいを上下に揺らしたりしてくる。

  そうやって執拗に弄ばれ続けた先端は、徐々にジンジンとした甘い疼きを放ち始めていた。

  「あ゛っ♡ ん、くぅ……っ♡」

  声にならない喘ぎが断続的に喉から漏れる。

  足の指先がピクピクとシーツを掴むたびに、腰が勝手にくねり、秘めた奥の部分がじわりと湿り気を帯びていくのを感じる。

  「ここ……っ、ふっくらしてきたな」

  「や、やぁ……っ…♡」

  ロアが乳輪の縁にくるり♡ と人差し指を添わせる。そのままくるくると優しく撫でられれば、ぷくりと主張し始めた頂きは、彼の吐息を感じるだけでツンと上を向いてしまうほど敏感になっていた。

  ついには、ロアの人差し指が、ぷっくりと実った先端を探り当てる。

  カリ……ッ♡

  コリッ♡

  「ひっ……っ♡」

  微かな刺激と共に、雷に打たれたような鮮烈な快楽が全身を貫いた。

  爪の先で、硬くなった乳首をゆっくりと引っ掻かれるたびに、びくん♡ びくん♡ と背中が跳ね、足の指先がきゅっと丸くなる。

  「あ゛ッ♡ あ、ああッ……♡ や……っ♡ ろ、あ……っ、それ、ダメ……っ…♡」

  カリカリカリ……♡ カリカリカリカリカリカリ♡

  ロアは爪の先だけを使って、敏感に尖りきった乳首の先端を何度も執拗に弾いていく。

  快感の波が次から次へと押し寄せて、私はもう、涙目でベッドに組み敷かれたまま、ただただ声を上げてのけ反ることしかできなかった。

  「や、だぁ……っ♡ んあッ、あ、あ、ロア……っ♡ ロアっ……♡」

  そんな私の涙顔を、ロアは熱い息を吐きながらじっと見下ろしている。

  ピンと立っていた彼の丸みを帯びた獣耳が、私の声を拾うたびに嬉しそうにピコピコと細かく震えた。

  「気持ちいいか? 可愛い……♡ おまえのその声、もっと聞きたい」

  ロアはそう低く囁くと、ふいに私の首筋へと顔を埋めてきた。

  あ、と思った瞬間、ちくり、と犬歯が皮膚に食い込む。

  「あ、う♡ んん……っ、 ぁ、あ……っ♡ 噛、んで……っ♡」

  それは、獣の姿だった時にもよくやられた、ロアの親愛の裏返し――甘噛みの癖。

  けれど、人間の男以上の強さと熱を持った今のロアに、首筋の柔らかい皮膚をきゅうっと吸い上げられながら歯を立てられるのは、あまりにも生々しくて、すごくえっちだ。

  はむはむ、と首筋を甘噛みされ、じっくりとマーキングされるような熱い刺激に蕩けていると、ロアの両手が再びおっぱいを掴んだ。

  真ん中に寄せるようにぎゅうう、と左右から圧迫しながら、硬く尖った乳首をぐりぐり♡ と指先で押しつぶす。

  くにくにくにくにくに♡ きゅっ♡

  カリッ♡ カリカリカリカリカリカリカリ♡

  「あうぅっ♡ ん゛んっ、りょ、ほうっ♡ いっしょ、やらっ♡ カリカリし、ないでぇ……っ♡」

  両方の乳首を同時に爪の先で引っ掻かれ、私はたまらなくなってシーツの上で腰をくねらせた。

  そんな私を完全にベッドへ圧し潰すようにして、ロアは甘噛みしていた首筋からゆっくりと顔を上げる。

  「おまえのおっぱい、柔らかくて白くて……すごく美味そうだ」

  掠れた、ひどく色っぽい声でそう呟いた直後、ロアはガツガツとした動きで、私の右のおっぱいに頬ずりするように顔を寄せた。

  ぢゅるるっ……♡

  「あぁっ……♡」

  ツンと上を向いていた硬い先端が、ロアの熱い口内にすっぽりと迎え入れられる。――その瞬間、またあの『ざらざら』が、今度は乳首を容赦なく襲った。

  「んひゃっ♡ ぁんっ♡ ん、んんーっっ♡♡♡」

  ぢゅううう、と音を立てて吸い上げられ、口内に引き込まれた先端を、ロアの舌が下から上へとじっくり、ねっとりと舐め上げる。

  ジュルッ、ちゅぷ……っ♡ ジュルルッ♡

  「あ゛っ♡ ろ、ロアっ、舌、ざらざら……っ♡ ああっ♡ やっ♡ へんな、感じが、して……っ♡ まってまって……っ!」

  「ん、ちゅ……レロ……ッ♡ んむ……ッ♡」

  ロアは私の制止なんて耳に入っていない様子で、今度は先端を歯の裏で軽く挟み、きゅうううっと強く吸い上げて、おっぱい全体が口の中に吸い込まれるんじゃないかと思うほどの勢いで強く、深く、しゃぶり尽くしてきた。

  「あ、あ、あ♡ そこ、ちゅーって、吸わないでぇ……っっ♡♡」

  交互に繰り返される、激しい「舐めて、しゃぶって、吸い上げる」愛撫の嵐。

  (こんな、気持ちいいの、知らなかった……♡)

  「んひっ♡ や、ぁあ……っ♡」

  右のおっぱいが、熱くて気持ちいいざらざらで蹂躙されている間も、ロアの片方の手は左のおっぱいを決して放してはくれない。

  むにむにと柔らかな膨らみを楽しむように揉みしだきながら、硬くしこった先端を、指の腹でぐりぐり♡ と押しつぶす。爪の先でかりかり♡ と引っ掻く。

  「あっ♡ んぅ♡ ロア……♡ ロア……っ♡ どうしよ、おっぱい、きもちいぃ……っ♡」

  「はっ……♡ いいぞ、もっと気持ちよくなったらいい……」

  乳首をしゃぶられながら、低く掠れた声で囁かれ、ぞくぞくした痺れが背筋を駆け上がる。

  ぼんやりと見上げる視界の端で、夢中でおっぱいを吸い上げるロアの獣耳が、ひときわ激しくピコピコと震えている。見れば、腰のあたりから伸びる灰茶の尻尾も嬉しそうにパタパタと揺れていた。

  (ロア、そんなに……嬉しそうに舐めるんだ……)

  ぢゅぽっ……♡ ちゅっ♡ れろぉ……♡ れろれろれろれろ……♡

  長くて熱い舌が、今度は左の乳首を根元からゆっくりと舐め上げる。

  ざらざらが、硬くしこった先端をねっとりと撫であげ、きゅううっと吸い上げたあとにカリカリと甘く噛んでくる。

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