主婦の海野杙奈は、娘の利奈を寝かし付けると、一糸纏わぬ姿でベランダに出た。
夜風に肌を晒しながら、大きく息を吐く。 月光を全身に浴びた瞬間、身体の芯がじんわりと熱を帯び始めた。
最初は心地よい温もりだった。それが徐々に熱を増し、皮膚の下で何かが蠢くような疼きに変わっていく。
「ん……っ、あ……」
小さな喘ぎが漏れた。
背中や肩甲骨のあたりから鋭い突起が皮膚を内側から押し上げ、肉が盛り上がる。
骨が軋むような感覚とともに身体全体が大きく肥大化し、筋肉と脂肪が急速に再構築されていく。
胸と陰部は熱く痺れながら白く硬質化し、ビキニ状の殻のように形作られた。
顔が前に突き出し、顎の骨が伸びる違和感。耳が大きく広がり、頭皮がちくちくしながら長い髪が一束ずつ抜け落ちる。 全身が熱く疼き、快感と苦痛が混じり合った波が何度も襲ってくる。
毒を帯びたオーラが肌の表面を淡く紫色に染め、尻尾が尾骨から生え出す瞬間には、背筋がぞくりと震えた。 やがて変身は完了した。 そこに立っていたのは、巨大で逞しいニドクインの姿をした海野杙奈だった。
「ま、ママ……!?」
いつの間にか、利奈が布団から起き上がり、ベランダのガラス戸越しにこちらを凝視していた。
「利奈!? なんで起きてるの!?」
声は低く太く、まるで別の生き物のそれだった。
「ママこそ……どうしてニドクインなの?」
「えっと、これは……その……」
突然月光を浴びるとニドクインになってしまう体になってしまった、
なんて説明が到底つくはずもなかった。