バイオレンス・ラブ・ビースト《サイドB》

  あーあー、テステス。

  ・・・大丈夫そうッスね。

  この本を手に取ったということは、ゴミ野郎の記録を呼んだってところッスかね。

  じゃあ、話が早いッス。俺は33(サーティスリー)、ウサギの獣人で情報屋をしてるッス。

  あーそうそう、「バイオレンス・ラブ・ビースト」っていうゲームの異分子の1匹。

  ここに記されてるのは、こちら側の視点での記録ッス。

  紹介は悪いけど省かせて貰うッスよ。

  ただし、ここでは28は【センパイ】、16は【姉さん】と呼ばせてもらうッス。

  理由?俺が話しにくい。ただそれだけッス。

  じゃあ、はじめるッスよ。

  ・・・初めて♡♡ちゃんに目にした時は頭にノイズが鳴り響いて割れるように痛み出したのを覚えてるッス。

  今思えばそれがゴミ野郎・・・【59】のプログラムの影響だったのかもしれないッスね・・・。

  そこから俺とセンパイと姉さんは♡♡ちゃんを警戒していたッス。俺たちにプログラムを仕込むなんてなにか理由があるってね。

  は?プログラムの影響は完全に受けていなかったのかって?

  あぁ、俺たちはエラーな存在ッスから正直、完全に影響を受けていた訳ではないッスね。

  つまり出会いの瞬間だけ【59】の指示通り動いて、後は正気だったッス。

  だから、俺たちはかなり考えたッスよ?関わりを持ってしまった得体の知れないものをどうするかってね。

  もちろん!今はそんな事は考えてないッス!

  でも、当時は悩んだッス。絞り出した結果、様子を見る・・・になったッスけど。

  ・・・・・今ではそれで良かったなって思てるッス。

  何故かって?・・・♡♡ちゃんの優しさに触れることが出来たからッスよ。【59】の記録を見たなら知ってるッスよね?俺たちの欠点。

  俺は♡♡と交流するにつれて、初めて誰かを信じてみようと感じたし、愛することを知ったッス。

  愛って凄いッスよ!!

  ふわふわしたり、こう、ぐわぁぁぁ!って気持ちが高ぶったり・・・ゴホン。

  話を戻すッス。

  センパイはパニック癖が落ち着くようになったッスね。悔しいッスけど、♡♡ちゃんの子守唄が落ち着くみたいッス。

  姉さんは容姿についてひとつの個性として受け入れてあげることを♡♡ちゃんに学んだみたいッス。

  あだ名をつけてくれた日は凄く嬉しかったッス!!特別感があって、幸せな気持ちになったッスね。

  ・・・分かったッスか?♡♡ちゃんの凄さを。それにあの子は異分子である俺たちを大切な存在と言ってくれた優しい・・・いや、すっごく優しい子ッス。

  他にもたくさんあるッスけど、それらが積み重なって俺たちは♡♡ちゃんを愛するようになったッス。

  なんでもしてあげたい、強く信頼できる、守ってあげたい。様々ッス。

  出会いの時は複雑だったッスけど、後悔はしなかったッス・・・あんなことがあるまでは。

  ある時を境に俺たちや♡♡ちゃんの周りに変なやつを見るようになったッス。それが【59】。

  そこからッス、♡♡ちゃんが不思議な夢をみたと教えてもらったのは、【同じ天井の景色の夢】。今思えばそれは、入院していた病院、又は実験室の天井だったのかもしれないッスね。

  そんなある日、センパイから不思議な依頼が来たと話があって事務所に向かったッス。確認すると依頼内容は【♡♡を連れてこい。】、差出人は・・・もう分かるッスよね?

  嫌な予感がした俺たちは事前に姉さんにも連絡して♡♡ちゃんを別の場所で保護してもらっていた・・・はずだったッス。

  だけど俺とセンパイが現場に来てみると、何故か姉さんと♡♡ちゃんもいて、すべて仕組まれた事に気がついたッス。

  危険を察知した俺たちはすぐにバレないようにセーブ機能を使い、万が一戻れるように、証拠を取れるように準備したッス。

  そこからは地獄のようだったッス。【59】の姿が見えた瞬間、頭にノイズが走って気づけば・・・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・ううっ・・・っつ!!

  ・・・失礼、取り乱したッス。気づけは俺たちは♡♡ちゃんを殴ってたッス・・・傷つけたり、罵倒、それ以外にも酷いことを沢山したッス。

  我に返ったり、混乱したりの繰り返しで一体自分が何をしているのか分からなかった・・・なんて都合の良い言い訳ッスね。【本当はこんなことしたくない!】【ごめん!ごめんなさい!】という気持ちで心が壊れそうになったッス。

  でも1番辛いのは被害にあっていた♡♡ちゃんッス。信じていた相手がこんなされて・・・。【やめて】と言っているのに繰り返される暴力、傷をえぐられる言葉のナイフ・・・

  裏切られた経験のある俺はその辛さを知ってるはずなのに・・・!!!

  ・・・俺たちは混乱する中、あることに気がついたッス。プログラムは長くは続けられない、必ず0.6ミリ秒の正気に戻されること。そこに全てをかけ、セーブと電源を落とすことに成功したッス。

  そこからは、【59】の記録通りッスね。

  ♡♡ちゃんはその後、現実の警察らの助けで解放され、元気に学校に行ってるみたいッス。俺たちは破棄されたッスけど。

  ?破棄されたのにどうして記録を残せたかって?それは俺たちは異分子で普通とは違う。それが答えッス。

  アンタたちが見たのは酷い実験の記録ッス。すぐに忘れるのが懸命ッスよ。

  ・・・・・・・・・・最後、【59】の様子がおかしかった?

  あぁ、それは・・・・・・事故ッス。助手がいたらしいんッスけど、その助手が何故か実験室にガソリンを巻いてたまたま静電気が発生して爆発に巻き込まれたみたいッス。

  あ?本当かって?情報屋は嘘はつかないッスけど信じるかは・・・アンタ次第ッス。

  ただこれだけは・・・俺たちは【獄英智】を地獄の果まで追い詰める。【藤城愛】ちゃんの幸せのためなら・・・ね?

  END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ続きがあるようだ。覗きますか?

  ジジジ・・・ジ・・・ガチャ。

  「ふぅー、終わったッス。あ!センパイ!姉さん!何勝手にくつろいでるんッスか!?」

  「お疲れ様だね。33」

  「ごめんなさいね?だって暇だもの。でも、これで【獄英智】はもういないことは理解したでしょ。やっと終わったわね!」

  「それにしても33、助手がガソリンを巻いて静電気で起こった爆発に巻き込まれたは無理がないかい?」

  「アタシも思ったわ!実際は33が後ろからグサリなのにね。」

  「でも爆発したのはホントッスよ?嘘は言ってないッス。」

  「まぁ、最初はエラー存在は不便だと思っていたが、電子の世界では動きやすいからいい。僕の考えた通り、催眠アプリも仕込めたし。」

  「あれは非道よね?流石のアタシでも思いつかなかったわ。」

  「まさかセンパイが、【獄英智】の助手のスマホにその催眠アプリで操っていたとは誰も考えないッスよ。」

  「はは、そう言いながら君たちも活用したじゃないか。33が全く知らない男性を操って執行猶予中の【獄英智】を盗んだナイフで刺して、16も知らない女性でガソリンをまいたら適当な線を切って静電気を起こしやすくしてさ?」

  「まぁ、アタシたちはあくまでゲームのキャラクター。現実には行けないもの。だったら現実の誰かさんを使うしかないわ?」

  「結果、【獄英智】と助手を排除。ついでに【藤城愛】に危害を加えたいじめの加害者も何人か・・・途中から数えてないね。」

  「ホント馬鹿よね?いじめとか実験とか、ダッサイ事するから報いが帰ってくるって思わないのかしら?あの人たち」

  「ま、催眠をかけた人間はまさかの全くの無関係。我に返った人間は何も覚えてないから警察は大混乱。携帯を調べてもアプリは削除済み。調べたとしてもまさかのゲームのキャラクターが行ったなんて誰も思わないッスよ。」

  「これで悔いはないわ。【藤城愛】ちゃんが幸せに暮らせるなら。」

  「そうだね。安心して僕たちも消滅すれば証拠は一切残らない。完全犯罪だ。」

  「じゃあ、【獄英智】がコピーしたこの「バイオレンス・ラブ・ビースト」を削除しておさらばッスね。・・・【藤城愛】ちゃん、絶対幸せになるッスよ?もし嫌なことや悲しいことがあれば俺たちが助けに行くッスからね?例え転生してでも・・・ね。」

  ジ・・・ジジジ・・・ジジジジジジ・・・・ジジジ一一一プツン。

  END。