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十二獣国記(4)

  朝を迎えた。船は既に宍国の港についていた。外に出ようと思ったが昨日のこともあり疲れが溜まっていた。

  「大丈夫か?」

  「僕はいいですけどシロンが…。」

  「仕方のない奴だな。船に弱いと聞いていたがここまでとは…俺が連れて行くから先に外に出ていろ。」

  シロンはジオンさんが連れて行くようだ。僕はそれでも一緒にいたいので待つことにした。

  「船から降りたらまずは大図書館にいくぞ。」

  どんなところかは想像はついてる…自分の世界より立派に違いないと。ジオンさんと並んで歩いて船から出ると彪や隈の国よりも発展した街並みが目に入る。ここが獅子の国―宍国。象徴となる皇宮をはじめ建物が全て高く…どの国よりも都会なのだそうだ。その中でシンボルとなる大図書館は魔法の呪文や素材の合成などの古文書が納められている。特に貴重な古文書はジオンさんしか入れない部屋にあるとか。

  「異世界から来た人族は役所に行くことで国籍が与えられる。それは宍国にしかないからな…因みに達也は俺が既に国籍に入れておいたぞ。執事のボレロに頼んでおいたんだ。」

  やることが早い。これで僕も自由になるのかはわからないけどジオンさんには感謝だね。

  「さて…大図書館に着いたぞ。」

  目の前にあるそれは本当に凄い。多くの獣人が訪れているところをみるとそれだけいい古文書が揃っていると言うことだ。中に入ると天井から床まである本棚が所狭しと立ち並んでいた。十二の国についての古文書もあるので後で読んでみようかな?

  「達也、気になるのはいいがちゃんとついてくるんだぞ。ここは広いから迷子になりやすいんだ。」

  ジオンさんを先頭についていくとある部屋に到着した。そこには立ち入り禁止の看板が立っていたのだが…

  「ここが俺しか入れない部屋だ。俺が持っているカードキーでしか開けられないからな。早速だが…達也は特別に入室を許可する。他の奴らはここで待つか古文書でも読んで暇を潰してくれ。」

  みんな呆れてるよ?ジオンさんはそれを気にせず僕を引き連れ部屋の中に入る。

  「これからいろんな所を回ることになるだろう。ここには特に禁呪の古文書がたくさんある。移動魔法もその1つだ。タイミングよくクロロが指輪を作ってくれたから尚更必要になってくる。それに合成もしてみたいだろ?素材は俺が内緒で集めてやるからな。他にも上級魔法の古文書もあるから読んでみるといいぞ。今探してくるから待っててくれ。」

  ジオンさんは嬉しそうに行ってしまった。僕は仕方なく手元にある古文書を読んでみることにした。その中に僕が使ったような呪文があった。それは魔力が高いと無条件で発動し、自分や仲間に危機が迫った時にも同等であることが書かれていた。これは使えるかも。その時注意事項が書いてあることに気づかなかった…。その数分後…ジオンさんが持てるだけの古文書を持って戻ってきた。はいいんだけど持ってきすぎではないだろうか。読むのに1日かかるかも…。

  「どうだ?魔法やここのことがわかったか?」

  「はい。今属性魔法の古文書を読んでました。魔力が尽きたら手を握るかキスをすると書いてありました…。」

  「達也にキスされるなら本望だ。それより移動魔法の古文書を持ってきたぞ。さっきも言ったようにこの魔法を使うには指輪が必要だ。本当はここに来てから渡そうと思っていたんだがクロロに先を越されてしまった。」

  ジオンさんも事前に指輪を用意していたようだ。シロンはそのことを一切知らなかったみたい。

  「どうしてみんな優しくしてくれるんですか?」

  「そうだな…人族が魅力的だからじゃないのか?ここにはいないから俺達が虚海を渡って探しに行くんだ。シロンが達也を連れてきたのは相性がいいから自分の伴侶に相応しいと思ったからだろう。」

  「そうですか…僕はシロンに悪いことしたんですね…。」

  いつの間にか涙が溢れていた。それをジオンさんが泣き止むまで抱いてくれた。僕は"恋をする"ということに全く興味がない。女性には見向きもしないし…それが歳上でも年下でも関係なくときめくこともない。しかしこの世界に来てから沢山の獣人(みんな雄だけど)に心を奪われていた。みんなモフモフしてるから気持ちよさそうだし…そして今ジオンさんに抱かれているけどやはりモフモフだった。これのせいで元の世界に戻りたくないという気持ちが強くなってしまった。[newpage]

  「シロンとクロロには悪いが俺も狙っている。あの二人に嫌気が差したら俺のところに来てくれ。隙があったら奪ってやるからな。因みにだが獣人は好きになった人族がいたらスキンシップして求愛を求める。達也、これからだが俺達だけではなく今いる奴らもしてくると思うから覚悟しておけよ。」

  今僕を好きになっているのはシロン、クロロさん、ジオンさんの3人。今後とも増えると言われたけどき獣人なら受け入れてもいいかなと思ってしまった…。

  「やっとでてきたぜ…どれだけ俺達を待たせるんだ?」

  シロン達が呆れてるのにジオンさんは笑って誤魔化していた。特にクロロさんとギンジさんは冷ややかな目で見ていたのが気になるけど。

  「ちゃんと移動魔法の使い方を教えたんだろうな?」

  「勿論だ。今思ったが達也は賢い。すぐに理解してくれたぞ。期待してくれ。」

  「それならいいが…早速だが移動魔法を使ってもらおうかな。移動魔法は一度行った場所にしか行けないから注意してくれ。」

  「はい。」

  「琅国にはまだ行ったことがないからまずは彪国に移動してくれ。」

  みんなに見られると緊張してくるし本当にできるかはわからない。それでも試したくなってしまった。

  「では…いきます。このメンバーを彪国へ!」

  使った瞬間自分を中心に魔法陣が現れ…そして発動した。僕達は光の柱に包まれていく。身体が浮いたような感覚はなかったが…。と思っている内に彪国の入口に僕達はいるのだった。

  

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