秘密のなりそこない淫魔―秘密の若奥様

  ーわたしには秘密があるー

  城井利夫が春海を妻としたのはつい最近の事。

  短大を出たばかりの彼女が年上である利夫と添い遂げた経緯については話せば長くなるが、彼女は利夫にはもったいないくらいよくできた女性だった。

  やや内気で小柄だが顔立ちやスタイルは悪くなく、家事もやりくりもしっかりこなせている。

  幸い利夫の仕事がそれなりに安定している事もあってか在宅の仕事である程度収入を支えてもいるようだ。

  「夜の関係」についてはともかく、二人の関係は相応に睦まじいものであった。

  ただ―彼は知らない。

  最愛の妻の持つ「秘密」を―。

  「あなた、いってらっしゃい」

  今日もわたしは夫ー利夫さんを送り出します。

  「うん、行ってくる。今日も早く帰れると思うよ」

  利夫さんはそう言って出かけていきました。

  利夫さんと出会えた事、そして夫婦になれた事はわたしにとって最高の喜びです。

  でも、それに甘えてばかりはいられません。

  完璧にとはいかなくてもわたしもできる事はしっかりこなさないと。

  ……と言う感じで洗濯やお掃除、そして在宅のお仕事をこなすうちにお昼が過ぎました。

  「う〜ん……」

  簡単にお昼をすませてわたしは軽く伸びをします。

  一応色々一段落して夕方まではちょっとのんびり。

  わたしにとってのささやかな憩いの一時が訪れました。

  「うふふっ」

  つい笑みがこぼれちゃいます。

  なぜって?もちろんこれからわたしのささやかな、そして楽しい一時が始まるのですから。

  その為の準備としてわたしは部屋中の鍵をかけ、濃いレースのカーテンを閉め、ブラインドを下ろします。

  これで一応外からは部屋の中は見えません。

  ふと洗面所の鏡に映る顔がほんのり赤くなっているのに気づきました。

  無理もありません。これから始まる事に楽しさとちょっぴり恥ずかしさを感じているのですから。

  「さて、今日も……始めよう」

  鏡に向かって軽くうなずきました。

  [newpage]

  「う〜ん、うう〜ん……」

  居間の床、カーペットの上でわたしは軽く寝返りを打ちます。

  ごろごろと、うとうとと。

  ただ身体を横たえて寝そべっています。

  こうして部屋の中でうとうとごろごろ寝そべるのがわたしの秘密の楽しみです。

  それもただ寝そべるだけじゃありません。

  は・だ・か……そう、裸です。

  わたしは今、真っ裸で床の上にごろごろしています。

  やや小柄だけどそれなりに整った体つき。

  それなりに艶のあるお肌。

  少なくとも利夫さん以外には見せたくない裸のわたしがそこにいます。

  しかも、それだけじゃありません。

  「あぁん……にゃあん……」

  顔には目元を覆う猫顔のベネツィアンマスク。

  お尻からはかわいい猫の尻尾―もちろんこれ、足の間に挟むいわゆるCストリングの後ろに付いてるんです。

  そう、今のわたしは……猫なんです。

  わたしは今裸に猫面と猫尻尾をつけてごろごろしてるんです。

  こんな所他の人―それこそ利夫さんにも―見せられません。

  と言うよりこれは利夫さんと出会う前からはまっていたわたしの秘密の楽しみ。

  全てを脱ぎ捨てた姿で過ごす解放感。

  そしてちょっとはしたなく床でうとうとする心地よさ。

  本当に最高です。

  この為に肌心地のいいカーペットをしっかり選んだ程ですし。

  それを確かめる様にわたしはうつ伏せに寝転びます。

  「あ……」

  胸に、お腹に、足に……肌全体に心地いい触れ心地。

  このまますりすりしたい様な……。

  そして……ぺろぺろ……これはちょっとはしたないかも。

  軽くお尻を揺らすと尻尾もピクピクと揺れます。

  ホントに気持ちいいです。

  この気持ちよさが体中に染み渡っていきます。

  もうこのままでずっと過ごしていたい……。

  いっそ利夫さんにならこのままの姿で抱っこされたり、身体を洗ってもらったり、お布団の中で……。

  「にゃぁん」

  わたしはまた猫みたいに鳴いちゃいました。

  考え出すと身体がむずむずしてきちゃいます。

  ついついCストリングスに覆われたそこに手が……。

  と、良い所で電話です。

  わたしはそのままの姿で電話に出ます。

  そしてついでにと言う事でちょっとだけお仕事もしちゃいます。

  今のわたしは猫なのに人間みたいに電話に出たりお仕事したり……ますます気持ちいい。

  あとはこの余韻に浸りながらアラームが鳴るまで猫らしく寝そべってもう一休み。

  アラームが鳴ればわたしは素顔に戻り、人に戻り、夕方の支度を始めます。

  そして……。

  「ただいま」

  「おかえりなさい、利夫さん」

  何事もなく利夫さんを迎えます。

  これがちょっとだけ「秘密」のわたしの普通の日常。

  でも―わたしにはもう一つ。

  さらに大きな「秘密」があるのです……。

  夜も半ばに入りかけの頃。

  お風呂や夕食を済ませ、ちょっと団らんを楽しんだあと利夫さんはすぐ眠ってしまいました。

  もちろん、と言うかちょっと残念と言うか熟睡です。

  暗がりに包まれた寝室で実さんは心地よさそうな寝顔で眠りについています。

  これを見ているだけでも気分が和みます。

  利夫さんはちょっと寝るのが早いのが玉に傷に感じてしまいます。もちろん楽しむ時は思う存分「夜のひと時」を過ごすんですけど。

  でも、利夫さんが寝るのが早くて深い事はわたしの「秘密」には少し好都合なんです。

  最愛の人にも言えない「秘密」を行う事、ちょっとドキドキしてきます。

  その気分のままでわたしは寝間着を脱いでいきます。

  いつも昼間に裸になる様に。

  いえ、それ以上のテンポで。

  「ふぅっ」

  全てを脱ぎ去った時、いつも以上に気持ちが高まっているのを感じます。

  この光景、利夫さんに見てほしいような、見られたくないような。

  ましてこれから始める「秘密の儀式」の一部始終はなおさらそう感じてます。

  そうこうするうちに身体が熱くなり、その奥が熱くなってきました。

  軽く両手で胸に触れているうちに下腹部がより熱さを感じます。

  いつの間にかそこには怪しげな模様が浮かび上がってきました。

  「秘密の儀式」が始まる合図でもあるその紋様をそっと両手の指で押さえながら……。

  「ちょっと行ってきますね、利夫さん」

  そう言うとわたしは紋様の中心にある自分のそこに指を伸ばしました。

  「ん……んん……んっ、んっ!んんっ!」

  [newpage]

  利夫さんに聞こえない様に声をしのばせながらこちょこちょ、こちょこちょと両手の指を交互に使いまるでくすぐる様にそこをいじり回します。

  片手の指ですじをなで、もう片方の指でその上のツンとしたものをなでていきます。

  まるでそこを猫の毛並みに撫でられる様に。

  その小さな舌でちょろちょろとなめられている様に。

  その光景を浮かべながらわたしはさらにくすぐり続けます。

  そうしている間にわたしの中にあるイメージが湧いてきました。

  わたしに身をすり寄せ、なめ回す猫。

  その毛並みの感触が少しづつわたしの身体を覆う様な感じ。

  ちょろちょろとわたしのそこをなめ回す舌ざわりがわたしの舌、そして口の中に広がっていく感じ。

  そう、わたしと猫の感覚がつながってきてます。

  いえ、そんなものじゃありません。

  そう、それは、それは……。

  「んんっ、んっ、んっ、んっ、んっ……んあっ!」

  その瞬間、わたしは肌を震わせながら身体を大きくのけ反らせました。

  同時にそこから勢いよく何かが吹き出すのを感じます。

  正確にはそこと言うよりそこを囲んで浮かぶ紋様から。

  紋様から飛び出したのは夜目にもはっきりと浮かぶ二つの物体。

  わたしは迷う事なくそのうち一つを顔に当て、そしてもう一つを足の間に通す様に当てました。

  お尻から伸びる細長い尻尾のついたCストリングス。

  顔の半分を覆う猫顔のお面。

  そしてそれだけを身に着けた裸のわたし。

  昼間、猫になりきっている時の姿がそこにありました。

  昼日中とはまた違う雰囲気を持ったわたしの姿……いいえ。

  今のわたしはもう……「わたし」じゃありません。

  わたしでないもの、わたしではない「わたし」に……あぁん!

  Cストリングスに隠れていた紋様、そしてそこがビクビクンッと震えました。

  その震えはそこから身体中に広がって行きます。

  腰から背中に、両足に。

  胸に、両腕に。

  そして―頭の中に突き抜けます。

  「うにゃあんっ!」

  そう泣いた瞬間、お面とCストリングスがピクンと震えました。

  すると、手の中でお面が顔に密着しながらどんどん薄く、小さくなっていきます。

  バターが溶けていくように、そして広がっていくようにわたしの顔の上でお面が広がっていきます。

  「ああ……ああ……」

  硬い素材からまるで布の様に、そしてさらに素肌と一つになっていくように。

  そんな中姿見に見えたわたしの顔。

  髪をあらわにしながら目元から鼻筋までの辺りがぴっちりとした覆面に覆われています。

  その柄は……今夜は白地に黒い縞のトラ猫風です。

  しかもその柄が覆面から顔全体を染めるフェイスペイントへ。

  猫耳こそ伸びてませんけどまるでホントの猫になったみたいです。

  「ああぁぁん……にゃぁぁぁん……」

  心地良さに声をあげる中、身体の感覚はさらに変わっていきます。

  足の間に挟まっていたCストリングスのアーチがお面と同じ様に薄くとろけながら肌に吸い込まれていきます。

  いつの間にか前はマエバリ、後はのりで付けたように猫のしっぽがなびいてます。

  顔はまるまる猫メイク、お尻にはつけ尻尾、そこはマエバリだけの裸なちょっと、いえかなりきわどい姿。

  でも、ここからです。

  ここからさらにわたしは「別のわたし」に……にゃうんっ!

  まえばりの下から浮かぶ紋章とその奥にあるそこがさらにうずき頭まで突き抜けます。

  それがわたしを隔てていたすべてを崩し、その先にいた「別のわたし」が押し寄せてきました。

  来る、来る、来る!

  わたしが、わたしが、わたしが……。

  「あたし」になったぁ!

  その途端あたしの目が猫の目になり、あたしの耳がぴょこんって頭の上に移っちゃった。

  それに、猫っぽく色を付けただけのあたしの顔がむくむくと盛り上がり……。

  「にゃぁぁぁん♪」

  ほんとの猫の顔に変わっちゃう。

  変わるのはそれだけじゃないよ。

  あたしの背中から手足にかけてがスススって白い毛皮に染まってそこに黒い縞が生えてきちゃう。

  うふふっ、いい感じっ。

  あとはむき出しのお胸が……きゃんっ。

  白いパットみたいなのに覆われちゃった。

  下もちゃんと前も後ろも隠されてるから人前でもOKね♪

  あ・と・は……ああ、ああ、あああ……。

  最後の大きいのが……。

  「きたぁ!」

  紋章から身体中にズンと来た!

  そしたらあたしの頭の上にかわいい巻角が、お尻の尻尾も二股に分かれちゃった!

  「にゃんにゃんにゃん……にゃん♡」

  あたしはお決まりの猫ポーズでかわいく鏡の前で決めちゃった。

  人間の城井春海改め猫サキュバスのスプグリン、今宵も参上でーす♪

  「にゃん♡」

  [newpage]

  そもそもあたしがこうなったのはあたしー春海だった頃のあたしがまだ結婚するずっと前にたまたま手に入れた本のおかげ。

  それを読んでるうちにいつの間にか「猫」になっていたあたしは身体中を猫にくすぐられたり舐め回されながら一つになっていく気持ちよさの中でホントの猫、そう「あたし」に生まれ変わったの。

  もう最高!もう快感!

  なりきりじゃなくてホントの猫になれたんだもの!

  ただ……何が間違ってたのか、その時は姿は裸の人間ー晴海の姿のままだったの。

  思いっきり慌てふためきながら探しに探して見つけたのが買ったばかりの猫のお面と尻尾付きCストリングス。

  それをつけた途端やっと完璧にあたしになれたってわけ。

  そう、早い話あたしはそれをつけないとあたしになれないみたい。

  要するに春海そのものがあたしになるんじゃなくて春海があたしに着られる事であたしになって動いてるって言うか……とにかくめんどくさい。

  でも、その分春海の身体からもおいしく精気をペロペロしちゃえるからいいか。

  春海の感度ってなかなかだし猫に、あたしになってる事で余計感じてるのかもね。

  さてと、せっかくあたしになったんだし手始めにそこで眠ってる人間の男をいただき―おっと、これは春海の取り分か。

  どうもこれだけはブレーキがかかっちゃうのよね。

  でもそれ以外の春海はお休み!

  今のあたしはスプグリン、かわいくも妖しい猫サキュバスなんだから!

  とりあえず今夜も夜のお散歩&つまみ食いタイムにしゅっぱーつ♪

  と言う事であたしはこっそりと夜の町に飛び出しちゃうのでした~♡

  「ふんふんにゃ〜ん……」

  夜の裏通りを気ままに散歩しながら今宵の獲物を物色中。

  路地をすり抜け、壁の上を歩き、屋根伝いにぴょんぴょんと。

  あたしも淫魔だし空は飛べるけどこの辺りは猫サキュバスの本能って所で、ね?

  あたし以外にもいろんな淫魔が飛び回ってるみたいだし、あたしもおいしい精気を探して動かなくっちゃと言う事であたしは気ままに散歩を続ける。

  「猫」として夜のお散歩、晴海はしたくてもできないあたしだからできる事。

  あたしの中で春海がガンガン精気を吹き出してる気がしてるのって気のせい―じゃないね。

  春海の精気はおいしいけど、あんまり気持ちよくなりすぎると後でバテちゃうかも。

  ここはそろそろ今夜の一食目を探さないと……どこにいるかな?

  あたしは目をこらし、耳をピンと広げて周りを見渡す。

  しばらく周りを見回していたら……ぴくんと尻尾が鳴った!

  今夜の一食目の気配を感じちゃった。

  と言う事でさっそくいただきま~す♪

  「にゃん、にゃにゃん、にゃう〜ん♫」

  町の灯の隙間、暗がりの中であたしの鳴き声が響く。

  あたしの目の前にはいかにも悪そうな気配のする人が四つんばいになってむき出しのお尻を向けてる。

  もちろんその先には……言うまでもないよね。

  サキュバスとしてはそこから「接続」して思い切り精気をいただくのがお決まりだけど、あたしはちょっと違うんだよね。

  「ほらぁ〜そんな程度でへばってちゃあ「入れられ」ないわよ〜?」

  そう言いながらあたしはお尻をくいくいっと動かし、Cストリングに覆われたそこをその人のお尻に押し付ける。

  普通なら逆の位置でする事なんだけど、あたしとしてはこれでOK!

  だって、その人のあれには……。

  柔らかくて……。

  暖かくて……。

  ふさふさで……。

  それでいてキュッとしまってる……。

  あたしの尻尾が巻き付いているの!

  「うふふ……どう?あたしの尻尾?気持ちいいでしょ?温かくてキュッと締まるでしょ?」

  我ながら可愛らしくも艶のある猫なで声でその人に誘いをかける。

  最初に声をかけた時はきつくて悪そうな感じの人だったけど、今じゃ完全にあたしの尻尾にメロメロ。

  これがサキュバスの魔力、「魅力」って事よね♡

  「にゃん」

  あたしは軽く笑みを浮かべる。

  サキュバスとしてはそろそろ熱い精気をいただきたいけど……あたしとしてはこう言う悪そうな人のを「入れる」のも、直接精を放つのを見るのもって言うか。

  だから……あなたのそれは封印しちゃう♫

  その代わり思い切りいい精気を……来た・来た・キターっ!

  苦悶と言うか恍惚と言うかな顔で悶えて身をよじらせてたその人がビクンってなったあと倒れ込んじゃった。

  ま、入れる事も出す事も出来ないで高まればこうなるか。

  その分熱くて勢いのある精気はたっぷりいただきましたってね。

  モノに巻き付いてる尻尾から、あたしの前に張り付いてるCストリングスからたっぷりあたしの中に精気が満ちる。

  悪そうな人だったけど小腹を満たすにはいい感じだったかな。

  これで悪い気がちょっとは抜ければいいんだけど。

  お尻をむき出しにして地面に転がっているその人をちらりと見るとあたしはまた夜の闇に消えていく。

  もちろん次の獲物を求めて、ね。

  「にゃ〜ん、にゃにゃにゃ〜ん♡」

  次にいただいちゃったのは一転してまじめそうな人。

  ちょっと春海の旦那様に似てるけどまあやっぱり違うものは違うかな。

  とりあえず夜が明けたら勝負時って感じで根を詰め過ぎてたからちょ~と「ガス抜き」させてあげちゃってる♪

  色々気を張ってる感じだったけどそこはサキュバスの腕と「技」の見せどころ。

  ちょっとこのふさふさ毛並みの手足でなで回したらみるみるとろけていっちゃった。

  猫淫魔は伊達じゃないってね。

  ふさふさ手足の次はすべすべな胸とおなかでアプローチ。

  お腹をこすり合わせてムードを高めて。

  ニプレスなヌーブラで覆った胸でそのお顔を挟んではいぷるぷる〜、ぷるぷる〜。

  よし、良い具合にとろけたらいよいよ本番。

  とろけた顔とは逆に立派になってるあれにあたしのそこを……えいっ。

  Cストマエバリ越しに押さえ込んで……。

  尻尾の一本をあれに巻きつけて……。

  もう一本は根元にグリグリと……。

  あとはぐいぐい、ぐいぐいと押し込んじゃう。

  にゃ〜ん……マエバリ越しでもけっこう気持ちいいのよね。

  ホントはやっぱりマエバリの「奥」に直接と行きたいけどそうもいかない悲しさ。

  でもその分あたしの中で春海が酔ってる。悶えてる。

  愛する旦那様とはまた違う相手と色々と……旦那様一筋の春海じゃあこうはいかないわね。

  でも今のあたしは春海じゃなくてスプグリン。

  猫サキュバスのスプグリンならいろんな相手といろんな事ができまくり!

  精気をいただく流れであんな事やこんな事も……いい、いいにゃーん♪

  そんな事考えてるうちにあたしの行為もヒートアップ。

  マエバリがあれを押し込み、二本の尻尾があれを上下からキツ気持ちよく攻める!

  この人も悶えながら気持ちよさそうな顔してる。

  あとはこのままフィニッシュ……

  「ニャン♡」

  笑顔でそう言って最後の力を込める。

  うふっ、この人も一瞬痺れたらそのまま倒れ込んじゃった。

  「封印」してるから出しはしないけどその分思い切りぶっ飛んだ勢いが……。

  にゃぁぁぁぁん……いい具合にこの人の精気が染み込んでくる……。

  こう言う人の精気ってついついおいしくいただいちゃう。

  これでも気を張りすぎた分だけいただいたつもりだけどね。

  とりあえずあれに巻きつけてた尻尾からちょっとだけ精気を返して。

  これで明日は気持ちよく事に臨めると思うから頑張りなさい……にゃん。

  そうしてあたしはまたもや飛び出していく。

  今夜はあと何人いただけちゃうかにゃ〜?

  [newpage]

  にゃあ~あ、今夜もそれなりにいただいたいただいた。

  満腹、満足な気分の中であたしはおうちに向かってた。

  にゃん……春海に溜まってる精気もいい感じにおいしい。

  気ままなサキュバス、そして猫として心ゆくまで夜のお散歩と「お食事」をいっぱい楽しんだから当たり前よね。

  猫耳ピクピク、毛並みさわさわ、二本の尻尾もゆらゆらとなびかせながら気持ちよく歩いてる。

  これだけでもけっこう気持ちいいのよね♪

  このままおうちに帰らずどこかでず〜っと猫として過ごしちゃおうなんて思いもするけど、なぜかそれはできないんだよね。

  そのわけは……おっと、もうおうちに帰り着いちゃった。

  猫淫魔だからの技で気付かれないようにこっそり忍び込んで。

  うふふ、旦那様ったらぐっすり眠ってる。

  その寝顔についつい笑みを浮かべつつあたしはこっそりとお風呂場に足を向ける。

  なぜって?それはねぇ……。

  「にゃん、にゃにゃ、にゃう、にゃにゃ……」

  お風呂場の床にしゃがみ込むと猫らしく、人間じゃありえない動きで体をひねらせながらあっちをもみもみ、こっちをぺろぺろ。

  尻尾も伸ばして身体のあちこちに巻き付きもみもみ、甘締めきゅきゅっと。

  にゃにゃぁ〜、いつもだけどとっても気持ちいいっ。

  ヌーブラ越しに指と尻尾でもみもみすりすりくにくに。

  マエバリ越しに指と舌と尻尾でくちゅくちゅとぉ……にゃん!

  いい感じにイッてる。

  今夜もおいしいのいただいたしたっぷり楽しめたってのがしっかり感じちゃう。

  さぁて、ここから一気にフィニッシュ……にゃ、にゃ、にゃ、にゃぁ……。

  「にゃぁんっ!」

  あたしの身体がびくんと反って震えて鳴いちゃった。

  マエバリの中であたしのそこから勢いいいのが吹き出した……にゃあ……。

  気持ちいいのがあたしの中いっぱいになって……。

  ほかほかまったりきもちいい……このままお休みしたいにゃあ……。

  うーん、急にムズムズ、ピクピクしてきた……。

  これって、これって……にゃあんっ!

  身体がピクピクしながら変わりだしてる!

  あたしの手足、背中から毛並みが、頭から猫耳と巻き角が、引っ込んで―吸い取られていく!

  にゃん、にゃんにゃん、にゃんにゃ~っ!

  あたしの、あたしの全部があたしからひきはがされて、あたしの顔とマエバリにすいとられていっちゃうよ~!

  ニプレスなヌーブラが外れて胸がむき出しになっちゃう!

  あたしの尻尾があたしのお尻から離れながら一本にまとまっちゃう!

  そしてマエバリとの間が繋がって―作り物の尻尾になっちゃったよ~!

  あたしの顔が毛並みに覆われた猫顔から猫メイクな人間の顔に、覆面に、そしてお面になっちゃう~!

  にゃ、にゃあ、ああ、ああんっ!

  あたしが、あたしが、あたしじゃなくなる!

  あたしが、あたしが―

  わたしになりますっ!

  わたし、わたし……いいっ!

  わたしから離れた「あたし」が被っている猫マスクと下半身につけている尻尾付きCストリングに吸い取られていくのを感じます。

  そして、猫マスクとCストリングがわたしの顔とそこから離れると……。

  「ひゃあんっ」

  わたしのそこを覆う様に浮かんでいた紋様の中に吸い込まれていきました。

  その瞬間、座り込んでいなかったら尻もちをついたかもしれない勢いで大きく体をのけぞらし、わたしは達しました。

  「はぁ、はぁ、ふぅ……」

  淫魔だった余韻。

  感じまくった余韻。

  変化した余韻。

  それらすべてがわたしの心と身体に心地よく響きます。

  猫耳も尻尾も毛並みも消え、すっかり人間の姿となったわたし。

  既に淫魔の紋様もそこから消え、鏡に映る顔もいつも通りのわたしの顔です。

  「ふう……」

  鏡に映る自分の姿に一息つきながらわたしはゆっくりと姿勢を直し、シャワーの栓を開けます。

  それと同時に温かいお湯がわたしの身体に降り注ぎます。

  その温かさに肌を浸しながら、それこそ子猫を洗うように優しく、愛おしむ様に身体を洗っていきます。

  「はぁ……ああ……」

  スプグリンとして「楽しんだ」一時が思い出され、今の春海としてのわたしとスプグリンとしての姿が重なっていく様な気持ちの中、わたしはスプグリンを、そして「わたし」を洗っていきます。

  髪を、顔を、首筋を、鎖骨を、肩を。

  胸をちょっと時間をかけて洗ったらそこからお腹、腰、お尻……。

  毛並みも尻尾もない素肌をお湯に流しながら、石鹸で洗いながら浸ります。

  そこは……あえてスルーして太もも、ひざ、ふくらはぎ。

  そして洗い終えたらしばらくの間シャワーの流れに身体を任せます……暖かくて気持ちいい……。

  「あぁん……」

  紋様こそ浮かんでませんが、また変身してしまいそうなくらいの心地よさに浸りながらわたしはシャワーを楽しみました。

  シャワーを満喫してバスタオルに身体をくるんでお風呂場から出ます。

  本当はこのままの勢いで利夫さんのベッドの中に潜り込みたい。

  淫魔―スプグリンと魂が重なっている事でその思いを強く感じますし、こればかりはスプグリンになって行う訳にはいきません。

  利夫さんの精気をいただいていい「淫魔」はわたしだけ……コホン。

  でも、時計を見ればそろそろ朝の支度をしないといけない時間です。

  一晩中眠る事なく飛び回ってあと……「楽しんだ」ので本当に一睡もしていないのですが眠気も疲れも感じません。

  猫淫魔としてたくさん精気をいただきましたし、スプグリンになっている間は「スプグリンになっている」以外のわたしは眠りについている様なものですし。

  どうしても休みたければ昼間に「猫」としてお昼寝すればいいんですし。

  とりあえず気持ちを切り替えて衣服を身に着けると、わたしは朝の支度をはじめました。

  そうこうしている間にも利夫さんが目を覚ますはず。

  そうしたらいつもの様に朝の挨拶をして、朝のひと時を一緒に過ごします。

  そして、いつもの様に利夫さんを送り出して……。

  わたしの一日は今日も始まります。

  人として、「猫」として、猫淫魔として……わたしとしての。

  それはわたしがわたしとしての人生を全うし、スプグリンの魂と別れる時まで―続くと思います。

  [newpage]

  城井利夫が春海を妻としたのはつい最近の事。

  短大を出たばかりの彼女が年上である利夫と添い遂げた経緯については話せば長くなるが、彼女は利夫にはもったいないくらいよくできた女性だった。

  やや内気で小柄だが顔立ちやスタイルは悪くなく、家事もやりくりもしっかりこなせている。

  幸い利夫の仕事がそれなりに安定している事もあってか在宅の仕事である程度収入を支えてもいるようだ。

  もちろん「夜の関係」もそれなりに良好ではあるが、利夫にとってはやや嬉し恥ずかしな事があった。

  仕事から帰宅し、入浴や食事を済ませ就寝前のくつろぎのひと時を過ごしている利夫。

  その横には春海がそっと寄り添っている。

  それだけで満ち満ちた雰囲気が二人の間にあふれているかのようだ。

  ただ、なぜか春海は一糸まとわぬ裸のまま彼の隣に座り込み、まるで餌をねだる猫の様な仕草で素肌を摺り寄せてくる。

  これは彼女の「お誘い」の合図なのだが彼女がなぜ誘う時は裸になるのか、そして猫みたいな仕草でふるまうのか。

  最愛の妻であるし、その裸身は魅力的なものではあるがその行為自体は利夫でさえいささか理解が難しいものであった。

  それを知ってか知らずか、春海は猫が甘えるようにその顔を彼の腕にすり寄せると、

  「にゃん♡」

  と手を猫の様な仕草で構えながら笑顔を向けた。

  ーわたしには秘密があるー

  了