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秋信は咄嗟に猫の姿になり、猛スピードで望の横を通りすぎ、逃げ出した。
「秋信さん!……アキ!!待って!!」
アキという名を呼んでも、秋信を止めることは出来ず、望は秋信を追いかける。
家には純可も来ていたようで、秋信は純可の横も急いで通りすぎていく。
「!?アキくん!!何処行くの!?」
純可までもが、アキという名を当然のように発した。だが、秋信は逃げ続ける。
山道まで出ると、立と恵奈が向かってくるのが見えた。
「!立!!恵奈ちゃん!!アキをとめて!!」
秋信を追いかけ続けていた望は、二人に気づくとそう叫んだ。
「は!?アキ!?」
「アキちゃん!?何で……」
二人は、猫姿の秋信を見ると、驚きの声を上げた。
「詳しいことは後で!!とにかく頼んだ!!」
「あ、ああ!」
望の言葉に立は返事をし、恵奈は頷く。望は体力の限界らしく、その場に座り込んだ。
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秋信は木の上へと逃げた。
未だに、あの声が頭の中で反響する。
(……どの人間も、僕の正体を知れば嫌う……そういう運命……)
秋信は錯乱していた。過去に人間からされた酷い仕打ちを思い出し、体が震える。
「アキ!……秋信さん!!」
「アキちゃん!」
秋信がいる木の下から、立と恵奈が声をかけた。
(……この子達も……僕を……)
「大丈夫だから!!というか何となく勘づいてたから!!」
「私もだよ!お願いアキちゃん降りてきて!秋信さん!!」
訴えるように、立と恵奈は声をかける。そこに、望と純可もやって来た。
「アキくん!私達、アキくん……秋信さんが何者でも関係ないの。一緒にいたいと思っちゃ駄目?私は、また皆で一緒に過ごしたい!!」
純可は、自身の思いを秋信に向けて言い放った。
「ゴホッ……アキ……秋信さん……どうか、信じてほしい……僕達は……酷いことなんてしない……でも、どうしても信じられないなら……二度と近づいたりしない……嫌な思いさせない……っ……」
望は咳き込み苦しそうにしながらも、秋信に訴えかける。
(……何で……)
「……で、もっ……少しでも、信じようと、思ってくれるなら……っ……証明、してみせるから!!アキ!!……秋信さん!!」
望が言い終えると、三人も秋信の名前を呼び続けた。
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(……どっちも、大切な名前……皆は……僕の大切な……僕は……皆を、信じたい……!)
秋信は、立ち上がった。だが、足が震え、中々降りることができない。
「……アキ、降ろすの手伝ってもいいか?」
それを察した立がそう訊くと秋信は返事の代わりに鳴き声をあげた。立は様子を見ながら木に登り、秋信のもとまできた。
「よしっ……抱えるぞ?」
(うん…… )
鳴き声をあげると、立はそっと秋信を抱きかかえた。その感覚は、秋信にとっても立にとっても、とても懐かしいものだった。
そのまま、ゆっくり降りていくが、最後の方でバランスを崩し、立の体は地面に打ち付けられた。
「いって……」
「大丈夫!?」
心配し、純可達が声をかける。
「大丈夫だ。そんなに高いところじゃなかったしな……それよりアキ、怪我はないか?」
(うん……ごめんね……)
「……怪我はないみたいだね!よかった〜……ゲホッゲホッ!!」
望は口元に手を当て、咳き込んだ。
側にいた純可が、望の背中を擦る。
「……お前は大丈夫じゃないな」
「そう言ってる立くんも、手、怪我してる!」
少し焦った様子で、恵奈が言った。
「擦りむいただけだ。大したことねぇよ」
そう言うと、立は秋信を抱えたまま、ゆっくりと立ち上がる。その時、立の表情が一瞬歪んだのを秋信は見逃さなかった。
(……僕のせいで、怪我させちゃったな……望くんも病み上がりなのに、僕が逃げたから走ったせいで……早く……元の姿に戻らないと……なのに……)
秋信は、眠気に抗えず立の腕の中で眠りに落ちた。
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