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猫の妖怪さんと黄色い髪の少女

  朝になり、目を覚ました秋信は、散歩をしていた。

  (……夢に出てきた子供……どことなく雰囲気が、三人に似ていたような……今度は女の子も出てきたし……)

  その時、誰かの泣き声が聞こえた。

  (また誰かが入って来れたのか……いや、それより……)

  泣いている声を聞いて、秋信は放っておける程の薄情者にはなれなかった。

  人間の姿に変わり、泣き声の方へと進む。

  [newpage]

  そこにいたのは、黄色の髪の二つ結びの髪型をしている少女だった。

  秋信に気づかず、木の根元にしゃがんで、すすり泣いている。

  「……君、大丈夫?」

  そっと少女に話しかけると、少女はようやく秋信に気づいた。

  「あ……その……ごめんなさい……」

  秋信に気づくと、少女は一生懸命、涙を止めようとした。

  また、泣きすぎているせいか、息がしにくそうだ。

  秋信はそっと、少女の背中に手を当て、優しく擦った。

  「大丈夫だよ。とりあえず、深呼吸しようか」

  秋信の言葉に、少女は頷いた。

  「大丈夫。大丈夫だよ」

  少女が深呼吸を繰り返している間、秋信はずっと少女の背中を擦り、優しく言葉をかけ続けた。

  しばらくすると、少女は落ち着きを取り戻した。

  「ごめんなさい……ありがとうございます……」

  少女は秋信に頭を下げた。

  「大丈夫だよ。もう、苦しくない?」

  「はい……」

  [newpage]

  その後、このまま帰すのも心配なため、秋信は少女を家へと招き、お茶を出した。

  少女はお茶を口に含むと、先程よりも表情が和らいだ。

  (……望が絶賛しただけあるな)

  などと思い、秋信も表情が和らぐ。

  そこに、キジ猫がやってきた。

  「あら。また新しいお客さん?この子目が腫れてるけど……何があったの?」

  キジ猫は、少女を見て心配している。

  「……猫さんだ!」

  少女は、キジ猫を見ると一気に表情を明るくした。

  「……猫が好きなの?」

  秋信の言葉に、少女は大きく頷く。

  「……特別に、撫でてもいいわよ」

  キジ猫は、少女の近くに座った。

  「撫でてもいい……のかな?」

  「大丈夫だと思うよ」

  少女は、恐る恐るキジ猫を撫でた。

  「ふわふわだ……可愛くて綺麗……」

  「いつも欠かさずお手入れしているもの。自慢の毛並みよ。可愛くて綺麗……あなたわかってるわね」

  キジ猫は、少女の言葉に機嫌を良くした。

  [newpage]

  「君、名前を聞いてもいいかな?僕は秋信」

  今回で自己紹介をするのは四回目。さすがに慣れていた。

  「えっと……花摘恵奈です」

  (えっ?)

  花摘という苗字は純可と同じ。そして、恵奈という名前は、純可の妹の名前と同じだ。よく見てみると、少し純可と顔立ちが似ている。

  (……まさか、翌日に出会うだなんて……)

  「……秋信さん」

  「ん?」

  「……やっぱ、何でもないです」

  「……僕でよければ、話聞くよ」

  恵奈は、誰かに話を聞いてもらいたいのだろう。

  純可は、恵奈は不登校で、理由が全くわからないと言っていた。

  つまり恵奈は、誰にも相談をせず、一人で抱え込んでしまっている。

  それならば、今秋信に話そうとした好機を見逃したくはないと、秋信は思った。

  [newpage]

  「……その……私、中一なんですけど……学校、行くのが嫌で……」

  「……何か、学校が嫌になった理由とかがあるのかな?」

  「えっと……中学に入ってから、人間関係が上手くいかなくなって……気づけば、独りになってて……浮いちゃって……でも、決定的だったのは……」

  秋信もキジ猫も、静かに恵奈が言葉を発するのを待った。

  「……私、一つ年上の姉がいるんですけど……姉は、私とは違って友達も多くて、人気者で……それで……私と姉を比べるような陰口が聞こえてきて……それだけじゃなくて……姉のことを妬んで、悪く言う人もいて……もう、聞くのが辛くて……」

  恵奈は、話してる途中から再び泣き始めた。

  秋信は、恵奈の話を聞いて、胸が苦しくなった。

  「辛かったね……話してくれてありがとう」

  秋信は、恵奈の頭を撫でた。

  キジ猫も、恵奈を慰めるように、体を擦り寄せた。

  [newpage]

  「……お姉ちゃん、いつも私を心配してくれてるのに……なのに、昨日……人気者のお姉ちゃんには、私の気持ちなんてわからないよって、言ってしまったんです……あんなこと言いたかった訳じゃないのに……頭おかしくなって……探られたくなくて……」

  「うん」

  「そしたら、お姉ちゃん、当前ですけど、怒っちゃって……恵奈こそ私の気持ちわかってないって……言われてしまって……お姉ちゃん自身、妬みごとを言われていることに、気づいていたんだなって……」

  (……それで昨日……)

  「あれから気まずくて……思いっきり泣きたくて……山に……」

  「そうだったんだね……ここでも、たくさん泣いていいよ。泣くのは悪い事じゃないからね」

  秋信がそう言うと、恵奈は、我慢していたものが破裂したかのように、声を上げて泣き出した。

  「よしよし」

  秋信は、子供をあやすかのように、恵奈の背中を擦った。

  [newpage]

  恵奈は泣き疲れ、机に伏せて眠ってしまった。

  (……なんだろ……前にも似たようなことが、あった気がする……いや、気のせいか……)

  「……秋信さん、いる?」

  その時、玄関の方から、立の声がした。

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