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深い森の奥にひっそりとたたずむ酒場は、派手ながら隠れ家だ。
古びた木のドアを開けると、そこは法の手が届かない別世界と化す。
壁には様々な武具が立てかけられて、酒場の店員に磨かれるのを待っていた。
天井からは煤けたランタンがゆらりとし、喧騒が起きるたび揺れが強まった。
空気は煙草の煙と焼けた肉の香ばしい匂いで満たされる。ときおり、鼻を突く強い酒の香りが混ざる。うっかり煙草の火を落とそうものなら、引火しかねない蒸留酒。隅の暖炉では火がパチパチと音を立て、隠れ家に集った日陰者たちに温もりを提供している。
この酒場の主は、年老いた山羊。伝説の盗賊だったと噂されるが、今はもっぱら店と場所代で儲けを得ていた。だれもが求める大人気メニューは、その強烈な味と効能が売りの『格別なカクテル』、遠くの地からも客を引き寄せる好評っぷり。もっとも、客の目当てはカクテルグラスの下に敷かれた紙切れ……喉から手が出てくる垂涎の極秘情報こそが旨味の秘訣であった。
ここは盗賊ギルドの総本山。
創立者が建てたものが、脈々と引き継がれた盗賊の聖地。
どこを見ても秘密が渦巻く、犯罪と陰謀の宝庫にして安息の地であり、自由と無法が支配しながらも秩序を保った小さな王国。荒くれどもの夜は深まるにつれ、酒場はさらに活気づき、行儀が悪くなっていく。それでも喧嘩がないのは、頭取がまとめ上げている証明であった。
バーカウンターには、輝くような金貨を積んでカクテルを注文する者、指輪や宝石類などと物々交換をする者、そしてただぼんやりと空間を楽しむ者に、酒場として満喫する者。多種多様な顔が揃っているものの、全員が獣人に限られていた。
ある角には、盗賊たちが大きなテーブルを囲み、馬鹿笑いしながら賭け事に興じる。黄ばみのあるサイコロがテーブルを転がり、勝者には金が、敗者には嘲笑が与えられる。その隣では、新たな計画を練る者たちが、低い声で話し合っている。壁に掛かった古びた地図には、次の標的となる豪商の屋敷が印されており、指を走らせながら入念な計画が進められている。
そんな中に、紫色の豊かな毛並みを持つ女性が、闊歩し始めた。
いましがた入店し、磨かれた金貨の表面を思わせる瞳で、客を見渡す。
彼女はタバサ、猫の獣人。若く、新参者であるが、一目置かれていた。
フードを被り、両手をポケットに突っ込んでいた。上半身の殆どは黒い衣服に覆われているが、下半身は露出が多く、右足に面積の広いベルトをつけ、左側には細いベルトを巻いていた。
ピクッ、とフードの内側で三角形の耳が動き、あたりを興味なさそうに見物した。
なだらかな曲線を描く、紫色の尻尾が一度、二度とくねり、客の服をなぞっている。
両手を上着のポケットに突っ込んではいるが、混み合った道を移動する際は肘をあげていた。進むたび特徴的なヒールがフローリングに音をあげ、濁声や笑いに掻き消されていった。それ以外の微かな音も、獣人の耳に届かない。
タバサの足取りはしなやかで、フードの奥にある瞳は金細工さながらに輝いた。
その視線は無感情におもえるが、小さな動きも見逃さない。彼女がバーカウンターに近づくと、猫特有の優雅さ、静けさをもって、円形のテーブルが並ぶ酒場。とっちらかって座る盗賊たち、その合間を紫の足で縫うように差し込み、奥の廊下に進んでいった。
廊下に並ぶ複数のドア、酒場の個室席のひとつに、タバサは客を待たせている。
ノックをすると「開けていいよ」の一言。声に従い、そうっと開いていった。
軽装のハイエナが腰掛けていて、彼女はニッコリと笑いかける。ニヤッとタバサが微笑みかける。
「久しぶりねタバサ、元気にしてた?」
「こんばんは、ルナ。私はこのとおりだよ」
上着のポケットから引き抜かれた両手からは、じゃらじゃらと貴金属が歌い出す。
水色の爪で派手な金細工を施された指輪を弾くと、ちゃりん、と鈴と似た音をあげた。
ハイエナは男を誘うかのような笑みになり、肌を愛撫する手つきで指輪をつまみあげ鼻に寄せる。
「うーん、上質な金ね。いったいどうしたの?」
「まだ被害者の体温が残った、盗みたてホカホカの金品よ。私も上達したもんでしょ」
店の客が込みあい、椅子に腰掛けている者たちの懐や腰からくすねたものだった。
足に巻いたベルトからも、小粒の宝石類や金貨が数枚。引き抜かれる。あまりやりすぎると店主から叱りを受けるが、盗賊の集いで油断した間抜けが悪いと、誰もが承知している。
「どっちから愛撫する?」
ルナは赤い舌をのぞかせ、にんまりとする。
あら、もうはじまるの。そう、タバサは驚いたフリをする。
「あたしは口で、してもらいたいな」
「私も舌で、可愛がってもらいたいよ。それじゃあ、ダイスで決めようか」
タバサは黄ばみのあるダイスを一つ投げ渡し、自分でも指二つで挟んだ古っぽいダイスを持ちあげてみせた。
「同時に転がす。イカサマなし、オーケー?」
にっこりとしたルナは片手の指で丸をつくり、せーの、とアンダースローで二つの正六面体が宙を回った。テーブルに角をつけ転がって、止まると数字を二人の目に刻み込む。
タバサのが三。ルナのは四。僅差ながら、敗北と相成った。
しかし片手で竿をしごきあげるジェスチャーをしながら、ニヤニヤと目を細めた。いまの遊戯。ムードを盛り上げる余興に過ぎず、カードで決めることがあれば、ジャンケンで決めることもあった。何も言わずはじめ、いきなりシックスナインの形になるのも度々に起きていた。
「私からか、ベルトも外してあげよっか?」
タバサは青い舌をのぞかせ前かがみ。挑発的に両目を細めてみせた。触れあえることへの喜び隠さず、気さくな笑みを添えられていた。
「いいね、そうしてもらおうかな。勝者の愉悦と、友人との再会を目一杯に感じさせてもらうよ」
「はいはい、股を開いといてね、閉じてるとやりづらい」
彼女のベルトを慣れた手つきで外し、ズボンと、パンツに指をかける。
水色の爪で彼女を傷つけてしまわぬよう気を配り、上と下で見つめ合う。
普通なら陰核があるべき場所に、擬似的なペニスが生えているのがハイエナの特徴である。ちょっとずつ舌をあてがっていけば、男のペニスと似た感触がしながらも、彼女の汗臭が漂っていた。
「ん、久しぶりだけど、相変わらず立派だね」
「いいよタバサ、こうしてもらえるのを、何日も待ってたんだ」
すっかり疑似ペニスは勃起し、平均的な男より、ずっと立派に隆起していた。
本当に待ちきれなかったのだろう、切羽詰まった目つき、荒々しい男っぽい呼吸。
野性味を感じさせる笑みにタバサは朗らかに舌なめずりをし、青い舌をちろりと見せつけ、大口を開け、一気に頬張ってしまう。
「あぁ、やっぱりタバサはいいよ……あたしのツボを心得ているんだもの」
口内で陰核ペニスが脈打ち鼻の奥にまで、香りが満ちていった。
男のものを咥えているのに、体臭から老廃物に至るまでが女の臭いという矛盾。
疑似的なペニスとはいえ、巨大な陰核だから当たり前。舌触りも異なったものだ。
「あ、タバサ……激しいよ……もう、イってしまいそう……」
息を荒げ、ハイエナの強面を蕩けさせている彼女は愛らしい。
これまでルナと肉体関係を持ってきたが、性格や肉体に至るまで、よく知っていた。彼女はといえば、紫色の毛並み、青い舌や粘膜を気に入ってくれている。気味悪がられるのは茶飯事で、うんざりするほど嫌な目を向けられてきた。だからフードを深々と被り、両手をポケットに突っ込んでいた。気がつけば、この状態でもスリや盗賊の技術を使える境地に至っているから、世の中はわからない。
「もうイっちゃいたいんでしょう? 遠慮しないで、気持ちよくなって」
言い終え、改めて頬張り、ルナが背筋をのけぞらせ快感の頂点に達しかけたとき。
コン、コン
個室のドアがノックされる。
相方は口が塞がっているため、ルナが「どなた?」と尋ねたところ。
「タバサさんにだ。店主が用事だって、部屋で待ってるとの伝言だよ」
ルナは肩をすくめ、皮肉っぽい笑い顔になった。
「イってないんだけど? しゃぶりだして何分経ったっけ?」
覚えているわけがないものの、これから盛り上がるタイミングだった。五分あるまい。眉を寄せているハイエナを見上げていたが、タバサは彼女の股ぐらから立ち上がった。
「悪いねルナ」
「え、あと一分くらい、タバサお願いよ。こんなの生殺しじゃない」
タバサは口周りの唾液を手の甲で拭い、ルナに習って顰め面をする。せっかくいいところだったのに、と別れを惜しむ。
「ごめんルナ。今日はここまでみたい」
「え~~。あとちょっとだったのに酷くない。つらいんだけど~~」
ルナは露骨に頬を膨らませ、目つきを厳しくした。
ちょうど盛り上がってきたところなのに、そう思っているのはタバサも同じ。あの好色ジジイめ、どうせいつもの理由で、呼び出されたに違いない。
「私も弟子にしてもらった立場だし、ちょっとは従わないとね」
盗賊の心得を教わるなら、あの山羊をおいてほかにない。多少なりとも尊敬しているからこそ、呼びつけられれば従ってきた。
「どうせ割り込みでしょ。まったくもぉ、老いてなお盛んなのは結構なことだけど、順番くらいは守ってもらいたいもんだわ」
一理あるものの、師匠は名をあげた盗賊。そんな相手に行儀のよい対応は期待できなかった。師匠とタバサの関係や立場を知っているからこそ、ルナも拗ねてはいるが、食い下がりはしない。
「ありがとうね、じゃあ、もう行かなくっちゃ。遅い遅いと愚痴られたら、たまったものじゃないよ」
「不完全燃焼は体に毒なのにさ。ハイエナだって寂しいと死んじゃうかもよ?」
テーブルに突っ伏し、むぅ、と上目遣いをされた。寂しがり屋な友人を宥めすかすふうに笑いかけ頭を撫でると、耳が心地よさそうに跳ねるのだった。
「埋め合わせはするってば、また今度ね」
「きっとだからね。イキすぎて忘れたら怒るよ」
「それはわかんないなぁ~、師匠は爺さんだけど……」
タバサは悩める乙女さながらに胸元で手を組み、思い詰めた演技で、ぽつりと言った。
「すっごい気持ちがよくなっちゃうから。あなたのこと忘れてしまうかも」
「わーん、大好きなひとが伝説の盗賊にうばわれちゃったー、いってらっしゃい」
「またね~」
気心の知れた挨拶を終えてから、軽く手を振りあい解散となるのだった。
[newpage]
上着はルナの前で脱ぐ予定だったのにな~。
おもいながらも声にはせず、喉の奥に飲み込んでおいた。
師匠に弟子入りさせてもらった上に酒場での飲食は自由の上、自宅に住まわせてもらってもいる。伝説の盗賊である師匠の自宅で、秘技を学べる贅沢。他所で語ろうものなら盗賊に限らず羨望の眼差しを向けられること請け合いだ。
「師匠、きたよ」
ドアをノックし、専用の部屋にやってくる。
老いた山羊が文机に向き合い、帳簿をつけながら、じろりと見つめてきた。
次に歩み寄り、見下ろす。タバサよりも背が十センチほど高い。自然と見下され、視線で咎められる。
「遅かったのう」
しかめ面になった師匠は機嫌が悪いのかも知れない。何を言われるのやらとタバサは表に出さず身構えた。
「ワシの寿命が尽きるまで粘る気だったか?」
不機嫌かつ厭味ったらしい口調。
これはかなり機嫌を傾けていたようだ。
「まったくおまえときたら! 物覚えのよい、自慢の弟子じゃな。盗賊ながら、おまえの仕事っぷりを喋りたくて仕方がないもんじゃ」
ケラケラと破顔し出す師匠を見つめ、タバサは事態を飲み込めずにいたが、芝居だとわかれば、溜め息をひとつ返してやった。
「はぁぁ、師匠。子供じゃないんだからそういうからかいはやめてほしいよ」
「な~に老いぼれの数少ない楽しみじゃぞ。減るもんでもなかろう、これからもやらせてもらうとするよ」
「んで、要件はなに? いつものでしょう?」
タバサは警戒を解き、上機嫌に微笑む山羊を見つめていた。彼はガサガサの角を指でこすってから、しわがれた喉をさすりあげる。老体ながら鍛えられた痕跡が残り、一種の風格を醸し出す。これが見てくれだけに留まっていないと、タバサは誰より知っていた。
「なに、歳をとると衝動的に人恋しくてたまらのうてな。服を脱げ、まぐわうぞ」
「はいはい師匠」
思うがしかし、言われるがまま上着を床に落とす。
あらわになったワインレッド胸当てにショートパンツ。豊かな紫色の谷間が揺れるさまに、師匠はいやらしい視線をやった。まったくもうと苦笑して、次に片目を閉じ舌を覗かせ、芝居かかった口調で言った。
「お望みとあらば、いつでも脱がせていただきます」
腰に巻いているのはベルト。仕事をする際に使ったり、盗品を隠したりするためにするガジェットだ。それを床に落とせば金属音が混じっていて、師匠は理由をよくわかっているからこそ、晴れ晴れとした笑みになる。
「また腕をあげたようじゃな。胸も、膨らんでいるのではないか?」
胸の布を取り払うなり、無遠慮に揉まれてしまう。
青い血の種族であるタバサは、爪は薄い青。体中の粘膜は紫のかかった濃厚な青。
乳輪と乳首も例にもれず、部屋の明かりを浴びると、紫の肉体に不自然なほど目立っていた。上質な宝石を愛でるように、師匠は幾度も指を這わせ、乳首が突起となり汗ばむのをじっと待っていた。そうしている間に、タバサの息は乱れていった。
「キスを、してもらおうかのう」
すでに裸になっていた師匠は、タバサの細首に巻かれたチョーカーに指を這わす。
しわがれながらも逞しい指はスリの腕も一流で、女の愛撫も心得て、毛並みを飛び越え薄肌を直に撫でられるようなくすぐったさ。
「んぅ」
タバサは身震いして、腰を引き前かがみになるが、それを見計らったふうに手を添えられて引き寄せられてしまう。性感帯でないところで感じさせられた上に、顎をひょいと持ち上げられながらの、深いキスとなった。猫獣人と山羊獣人の長い口が触れあい、気がつけば舌が侵入を終えていた。
くっちゃ、くちゃ……
無遠慮な口づけ、自分のものだと教えこむような荒々しい舌使い。
青い舌が逃れようとすれば、先回りし唾液を絡ませ道を塞ぐ。腰に手を添えながら引き寄せ、口内の刺激でタバサが身をのけぞらせ大口をひらこうものなら、上から口先を忍ばせるようなディープキス。
「んぅううぅ……!」
脳の下方を直に舐められたような、強刺激に目を閉じ、膝を笑わせた。
唾液が喉をすべっていった。ぬるりとしながらも、抵抗なく、師匠が喉を撫で呑まされていく。
山羊の老いた臭い。いくらか脂っぽくて、伝説の男も歳には敵わないのだと学ばせてもらえた。老いてなおも研ぎ澄まされるものがあると、教わった気分だ。
「どうじゃ……数週間ぶりの口づけは?」
溜まってるんだろうなぁ、と想いながら、タバサは呆れたふうに舌を出す。ふふん、と余裕を添えて、師匠を挑発してみせた。
「父親とか、祖父としているみたい」
「褒め言葉と受け取っておくとするかの、こんな色男が身内で、お主も嬉しいじゃろう」
「毎回がっつかれると、すこし考えものだけどね。盗賊仲間が顎のムダ毛を処理してるとき、こんな臭いがプンプンするし、微妙かな」
ぬかしよる!
師匠は言ってから、再び、今度は浅い口づけをする。やさしい愛撫。
唾液で濡れている口周り。紫色の舌を口先で挟まれると、男の深い味。
「あっ……」
「乳首もこんなにたたせおって……ワシを魅了してやまぬ、艶めかしい色合い……こんな宝石を見せつけられ、興奮せぬ盗賊がどこにおる」
舌なめずりをされ顎で指示された。次は、口奉仕を所望されていた。
「わかったよ、いまするから、ちょっと待って」
伝説の盗賊から多くを学ばせてもらうのだから、金貨や貴金属を並べても足りない。
タバサが汗水を垂らして盗み続けても、店主を満足させる額を献上しきれるものではなかった。しかし、幸いなことに彼は随分と好色であり、タバサにセックスフレンド的な立ち位置を要求してきた。いわゆる、おつまみ感覚で摘める女体としてキープされているのだ。そのことに不平はない、山羊はタバサの体と心意気を高く評価してくれていて、盗賊ギルドの仕事も修行がてら回してくれていた。
「うわっ、もう勃起してんの? 師匠ったら気がはやいよ」
眉を力ませようになって、しかし跪き、タバサは躊躇わず肉竿を握りしめた。
くすみのある白い毛皮の膨らみ。陰嚢を揉みしだくと、手のひらに重みを感じる。
右手に竿を、左手に玉を、老いている割りにはどちらとも重力感がある。性の悦びを貪欲に求め、どくん、どくん、と脈打っている。頭の耳に届くほど荒い呼吸……。
盗賊の技術を叩き込まれたタバサの指は、しなやかに包み込み、肉球や毛並みを活かし優しく撫であげる。
「いいものじゃな……わしの技術を教え込んだ指に、性を学ばされてもらうというのは」
小洒落たことを、言ったつもりになっているようだった。
「私はもっと宝石とか金貨とか、とにかく金目のものを触りたいんだけどね」
「ワシのものをよう見ておくのじゃな。盗賊師匠の、値千金のイチモツじゃぞ」
いらないってば。苦笑するタバサであるが、手の動きは止めず、積極的に早めた。
ルナのものとは違う。年季の入った男の濃い獣臭。ムワッとした熱が鼻に満ち、口からあふれる。不覚にもタバサはうっとりとしてしまった。これが自分の中を、何度も往復していたのだと思い起こすだけで、股が汁を滲ませ、物欲しそうに緩んでしまう。
唾液で濡れ、部屋の明かりに照らされ光る青い舌。
下から上に竿を舐めあげる。年寄りの風味はしつこいくらいに濃ゆいというのに、惹きつけられてしまう。強めの塩気にちょっとした苦味が混ざり、ちろちろと先端部分をアイスキャンディーでも味わうみたいに舌愛撫。
「おぉぉ、コイツを待っておったのじゃよ。くたびれた老骨に染みるようじゃ」
舌で裏側を丹念に舐め、先を強く押し当てた。
前座を、余裕を持って味わうのが師匠の好みだ。
しかし今日はいつもと違い、意味ありげに見下された。
「ほかと違う粘膜をしているからか、気に入っておってのぉ」
普段以上に臭うから、溜まっているのはわかっていた。
早くしゃぶるのだと催促をされているのも、タバサには伝わっている。
「おまえさんは物覚えが早い上に利口だの。そのうえ好みの顔と体を持っているときておる。好色なジジイと責めてくれるなよ」
欲望が剥き出しになった陰茎を舌先でなぞりながら、大口を開け頬張った。
途端に師匠は腰を震わせ、頭を掴む。耳を愛撫されると摩擦音が直接的に伝わり、気分的によくなかった。暗がりに光る金貨さながらの瞳で見上げていると、鼻先を下げ視線をあわせてきた。
「どれ、もっと強くしゃぶるのじゃ。そうしたら、次はバックで突いてやろうかの」
師匠のエロジジイ。
目で咎めつつも、タバサは従う。さも自分が望んでいるかのように言われるのは不本意であるが、実際のところタバサもこうした行為は嫌っておらず、先程の不完全燃焼もあってか膣は欲求の火をともしていた。
「んっ、んぅう」
深く深く、できるだけ口腔内の奥へと師匠の竿を導いていった。
熱気に男臭さ、老いた獣臭に皮脂っぽさ。カウパーが生臭くぬめる。
いくら唾液を分泌しても味が薄れず、むしろ、汗が強く塩気が増す。
脈打ち、軽く歯を当てれば押し返される。顎を動かすほど反応される。
「こそばゆいぞ、タバサ。もっと舌をつかうのじゃ」
青い表面を押しつけ、ぐ、ぐ、ぐぅ、とリズムを刻む。
カウパーのぬめりが口にひろがっていき、唾液が口の端を伝った。
これで突き倒されたい、そんな破廉恥な願望を膣が持ちはじめていた。
そんなタバサの気持ちを悟ったかのように、ペニスの先が口蓋にぶつかった。
太く、大きく、それでいて熱いもの。しゃぶっていると唾液が口から溢れ出し、熱いコーヒーでも飲んでいるみたいに熱されていった。口内から、全身を発熱させ発汗させていけば、紫の毛が、頭髪の赤色が、むっと汗の匂いをあげていく。そうなれば自然と雌の芳香が強まり、師匠の嗅覚を楽しませる。
「その調子じゃ。流石は我が愛弟子じゃのう……そろそろ、飲んでもらおうぞ」
いきなりだった、舌が重くなる。
ペニスが汁を放つ蠕動……吐精を始めた。
雄の旨味というものが、よく染み出してきた。
やや熱く、喉で存在感を放ち鼻の奥に生臭さを送りつける。
胃袋に入ると、すこしばかりの熱を放ち、活力を湧き起こす。
つるっとした粘液の感触。苦さ、カウパーの塩気が後味になり、猛烈な異臭。濃厚なる師匠の種汁が、どろどろ、どろどろどろ、と呑み続けるが、一分近くも射精し、ようやく落ち着いてくれた。
「くふっ……けほっ……師匠、出しすぎ」
タバサは空気を恋しくおもうあまり、意から熱されたから、額に脂汗が浮かんでいた。
汗を染みつかせた髪をわしゃわしゃとやる師匠は悪びれもなく、ベッドで四つん這いになるよう指をさす。
「わかったよ、もう」
生臭さを鼻孔と口から吐き出しながらも、待っていましたとタバサは鼻にちろっと舌をあてがい笑うのだった。
「今日は、四つん這いになってもらおうかのう」
細長い尾を、懐いた子猫さながらにあげ、しなやかな肉体をベッドに放り出す。所望されたとおり、両手と両肘の四箇所を支点に尻を突き出して見せれば、青い粘膜がヒクヒクと反射的に動き、同色の陰唇にまで蜜がしたたっていた。それを舌なめずりしながら見つめる師匠は、腰を掴み、腰を突き出していくと。
ぐちゅっ
「あん……!」
タバサの嬌声は、ようやく満たされるといった安堵感を混ぜたものだった。
蒼い花弁は満開に咲き誇り、愛蜜でぐっちょりと濡れている。挿入時にした音は、腰を進めるほどに掻き鳴らされていき、老体の山羊ペニスが半ばまで突き立てられる。
ぬっちゅり
膣がペニスを舐めているような音をあげながら、きゅうっと甘えるように圧をかけた。
タバサは逞しく太い竿に穿たれ、襞道を灼かれる心境に、よだれを垂らし目をつむる。
ぱちんっ、ぱちんっ
師匠が腰を振れば、たわわに実った乳房が前後に踊り、タバサ自身にふれるたびみずみずしい歌を奏で師匠を耳でも楽しませた。また、腰が紫のヒップにぶつかるごと、柔軟か感触を呼び起こし、性感の衝撃がタバサの背を駆け巡る。尻尾が、ぐにゃり、とだらしのないカーブをつくって。
「あっ! ああ……!!」
喉から甘えた喘ぎをあげ、ピーンッと尾を伸ばす。
快楽の頂点に達し、ぎゅぅぅ、と膣圧を高め山羊ペニスをきつく締めあげる。
「相変わらず締まりのよいマンコじゃ……それ、もっと締めてもらおうか!」
勢いが増す。息遣いが後頭部、浮きあがった肩甲骨にふぅぅ、とふきかけられ背筋が粟立つ。
ちゅくんっ、ちゅくっ
腰が往復する。穴をほじるペニスの音にあわせ、粘着く音をあげていった。
「んっ……師匠……はやすぎる……っあ」
タバサの膣道は柔靭に、やんわりとペニスを受け止め摩擦を受け加熱されると、師匠が求めるままに強烈に口を閉ざし強い刺激を生み出す。
ぬちゅぅ、と膣が粘った呻きをあげてしまう。
「おぉ、よく絡むわい。もっとじゃ、もっとじゃぞ」
「はああぁ……ッ、あっ! あぁぁぁっ! ひあっ……!」
ゴリ、ゴリ、と膣天井に目掛け、角度をつけた先端がひっかいた。金の瞳を見開いて嗚咽さながらの喘ぎ声。灼けるような肉竿に、またしても絶頂へと導かれてしまう。
「あぁぁ……いぃぃいい……ふっ、あああああっっ……!」
熱感が臀部まで汗ばませ、快感のあまり息苦しくなる。
淫猥な笑みになり師匠に振り向けば、野獣めいた腰使いが、より活発になる。
やわらかい腰尻。ゆるやかな横腹。浮きあがる肩甲骨。チョーカーを巻いた細首。
どこもかしこも汗を染みこませ、淫らな潮風を空気に混ぜ、山羊の神経を煽った。
膣は締まれば締まるほど、青く色づき肉を擦らせる悦楽に拍車をかけ、甘露のような雌汁をくりかえし分泌し、シーツにポタリと落としていった。
「さぁ、マンコでもワシの精液を受け止めるのじゃ!」
師匠が言い終えた直後――ズボッ、と最奥に山羊ペニスを押しつけられる。
同時にすさまじい力加減で腰を引き寄せられ、子宮に密着した先が、脈動した。
びゅぅぅう! びゅぶうううううううぅうぅ!!
「あっ、あぃぃいい……!!」
粘度たっぷりの種汁が、高い圧力をもって、瞬く間に膣道を満たす。
子宮から陰唇にかけ、痙攣しながら引きつけを起こしたふうにペニスを圧迫。
目を閉じ前かがみになり、口を半開きにする師匠と裏腹に、目を見開き口を閉ざしているタバサは対極的だった。
ぽこっ……
あまりに大量の精液が噴出されたことにより、タバサの下腹部は、どか食いでもやったみたいに膨れあがっていた。妊娠数ヶ月以上もの大きさになり、実際に、精液を受けただけ体重を増している。
「はぁ……はぁ……もう、いい?」
「いや、もう一発は出させてもらおう。溜まっておるのじゃよ」
休憩を呼びかけようとした途端。
「ひゃっ! ひっ! し、ししょぉ……ちょっと、タンマ……ああぁぁ!」
満たされた膣襞の隅々にまで精液がねっとりとへばりつき、これまでと異なった摩擦をつくった。快感はいっそう強いものとなって、身震いするほどに感じてしまった。
両腕を軽く曲げ、尻をもちあげた格好になりながら、青い舌がシーツを舐めるようにまろびでていた。
「やっ……ちょっ……イってる、イってるの……っあああっっ!!」
山羊ペニスの先端が、子宮を滅多打ちにするかのように、突き上げられる。
その都度。タバサの肉体が硬直し、内壁をひきずりあげられながら尾をヒクつかせた。
三角形の耳はそりっぱなしで、尻は膣と同様に密着し、すこしの隙間も見当たらなかった。
「ひゃあああ!!」
青い下口から、透明な汁が噴き出す。引き締まった横腹をくねらせながら、ビリビリとした性の痺れに悶絶する。甘ったるい感覚が止まらず、閉じきった膣を強引に開拓されていき、ペニスが往復するたび、チュプチュプ、と汁と空気を掻き混ぜられる音。結合部とタバサの尻と師匠の下腹部に精液がへばっては糸をつくりあげ、激突しては弾け新たなる糸が複数できあがっていた。
「ああっ……ああっっ! あ、あついってば……」
濡れた穴に獣欲の象徴が、幾度も叩きつけられると、真っ白な白濁が泡立ちながら外へ落ちていく。だが、ほとんどはタバサの腹を満たし、新たな精液を放出しながら、師匠はなおも腰を叩きつけていた。無言で、夢中になり、若く特別な猫獣人を意のままに快感の渦へと引きずり込む。
「ああっ! ぁぁっ! あぁああああっっ、に……ああああ!!」
シーツを握りしめ、汗ばんだ肉球を火照らせる。尻を痙攣させながら、尾をすこしだらしない腹筋へと擦りつける。
びゅうううううううう!! びゅるるっ、びゅううううううう!!!
新たなる精液が、一気に、噴火でも起こしたみたいに子宮へと注ぎ込まれる。
水鉄砲さながらの速度で、それに近しい量を、山羊ペニスから一度に放出し……やがて勢いを失いながらも、びゅる、びゅる、と紫の腹を水袋みたいに膨らませていった。
「ふぅぅ……休憩じゃったな? すこし休んだら、またしてもらうぞ」
引き抜かれる際。
タバサは「ふあっ」と間の抜けた絶頂声をあげ、ベッドに腹ばいになる。
その腹は赤子でも詰めたみたいに丸々として、青い膣が白濁に染められているのだった。
[newpage]
タバサには妊娠しやすいといった特徴がある。
ほんの数日で赤子を孕み、胎児はすくすくと成長し、ほかよりずっと出産が早い。
あの酒場の客の中にも、タバサと肉体関係を持ってしまったがために、油断して父親になってしまった者は少なからず。そして、師匠の子をもうけてしまうのも、そう珍しくはなかった。
酒場はうるさく煙草が赤子に触るから。
臨月が早いのであれば動くべきではないから。
師匠は意外と世話焼きで、いつもの宿屋を手配してくれた。
部屋で大人しくして、腹が凹むまで待て。そういう命令だ。
妊娠するたび安静にするよう言われるものだから、宿屋の者は事情を知っていて、甲斐甲斐しく身の回りの世話をする。
「あたしはタバサを独り占めできるから、こういうのは大歓迎よ」
ベッドを共有し、膨らんだ腹を撫でるルナは上機嫌。この間は寸止めになったが過ごしている内に何度も発散させてあげたから、というのもあるだろう。
「そうねぇ、悪くないけど、赤ちゃんの名前。また考えてあげないと」
宿屋は、月明かりが優しく降り注ぎ、部屋にはアロマの蝋燭がいくつも揺れていた。
ここは静かな丘の上に建っている。世界は夜の帳が下り、ささやかな風がなびく以外は静かなものだ。ふたりの部屋は柔らかな灯りが漏れている。建物は石造りで、古風ながらも温もりを感じさせ、タバサのお気に入りだ。窓のカーテンは薄いレースで、優しい風が通り抜けるたび、揺れている。
「ちょっと、ミルクを失敬するわね」
ルナは言い終えるなり、ベッドで仰向けのタバサの乳房をつかむ。
生温かい鼻先が青い乳首を嗅ぎ、乳腺を膨らませた脂肪球を揉みしだきながら、先端にしゃぶりついた。吸引しながら揉まれると、体液が噴き出す刺激に「んっ」と声をあげてしまった。まるっきり、性感帯をいじられた女の態度だ。それに気をよくしたルナはさらなる激しさを帯び、ちゅうちゅうと乳首を吸いあげ、舌で舐め転がす。
「私は美味しいとは思わないけど、そんなにいい?」
刺激にタバサは片目を閉じ、ときおり「ん」や「あ」と声を出す。
ルナは肯定の代わりに尖った乳首に牙をあて、そっと甘噛みしてきた。
しゅう、しゅう、ちゅう……ミルクが噴出しては、ルナの吸う音がした。
鼻息や毛皮の感触が、孕み敏感になった紫毛並みに心地よい。だから肩をすくめ、膝をあげながら、口を緩ませる。
「んんん……!」
強い絶頂に至った、太ももに彼女の陰核ペニスがあてられ、これで可愛がってもらえたらと願う。それは師匠に止められているので、安定するまでは堪えなくてはならない。
「大丈夫よ。産むまで一緒にいてあげる。そのあとも、数日後にはお楽しみよ」
乳首から口をはなし、ルナはすっかり丸くなった腹を撫でた。その指を青色の膣肉に添える。陰核を指でつままれた後に、ゆっくりと蝋燭に照らされる陰唇を一回り。自らの口に運び、ミルクをしたたらせながら吸いあげた。
「そういえば、次の仕事は決めてるの?」
ルナと視線をあわせると、彼女は再び乳房に口をあて、ゆったりとした呼吸で吸いあげる。空気や唾液が体に触れると、タバサは心地よさに目を細めた。
「ちょっと大きなところを狙っているわ。あなたも一緒にどう?」
「そうね。出産祝いにちょうどよさそうだし、ご一緒させてもらうかな」
ふたりはベッドで、互いに体をさすり、ときに摘みながら計画を話し合う。成功を想像し笑いあって、出産をするまで同じ部屋で過ごすのだった。
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