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「単独で乗り込むのは危険でござる」
「わかってる、わかっているけど。ボク、もう見てられないから」
「~~~っっっっっ」
「御免ね折紙さん、ボクは我侭を言ってる自覚はあるんだ。あるけど、耐えられない」
真摯な瞳に見つめられたら、立場やその他は消え去ってしまう。
自分よりも幼い彼女は亡きオデュッセウス王国の王位継承者、何を犠牲にしても守らねばならない存在。
元はヘリペリデス国の出身だった自分は彷徨っていたところを保護され、拾われて、恩を感じて彼の残したであろう言葉を忠実に行っていた。去年、突如姿を消してしまった恩人は誰よりもこの幼い皇女を可愛がっていた。誰よりも強いはずのあの人が死ぬはずがないと思っていた矢先に某国が…攻め込まれたオデッセウスも弱くは無かったが、相手が勢いに乗り悪すぎたのだ。そう思うしかない。
だが。
別人のような能面の、恩人を。
某国の祝いで見つけたときには背筋が冷えた、冷えすぎた。
自分ですら気付いたのに、自分以上に長い時間を過ごしていた彼女が気付かないわけがない。
「一人で動くのは禁止ですぞ」
そう搾り出すのがやっとだった。
無謀極まりない事をこれからやるのだ、だから。
是非とも、拙者と皇女を叱ってくだされ。
まだまだ未熟でござる、某は… 殿。
寂しいと感じることは無かった。
だが。
去年、マーベリック王が何処からか連れてきた寡黙でオリエンタルな男は…それに気付かせてくれた。
彼は喋らないし表情も大して変わらない、何を思っているのかもわからないのに。
その瞳だけが時折、ほんの僅かな時間だけ獰猛になる。
不謹慎だろうが、その時間が酷く好きで、大切な時間のようだった。
この瞬間まで、は。
場内が騒がしい。
なんでも侵入者だとか、止められないと情けない声が聞こえる。
聞きなれない声は二つ、そのうちの一つが扉をあけて僕たちを見つめた。
「彼はかえしてもらうからっ!!」
虚ろな視線しかしてなかったはずの、おじさん、が。
自分に向かって走りよる少女を見て、眼が大きく開かれた。
「何を!おじさん、賊を捕獲して」
戸惑うような信じられないような、動揺、している。
その隙をついて、侵入者はおじさんに抱きついた。
「タイガー!!!」
「!」
「・・・・・・・・・・・っぉ、、りん」
「!!!」
「うん、うん、そぉ!!僕、我慢できなくて頑張っちゃった」
「まさか、あなた、」
「宝石もお金も土地もいらないけど、タイガーだけは駄目。だから返してもらうよ」
動揺していれば新たに扉から少し草臥れたプラチナブロンドの青年が此方にわき目も振らず、二人に駆け寄る。
「タイガー殿、申し訳ございませんっ!!」
「・・・・・・・・・・がみ・・・・・・・・・」
「拙者では役不足でござっ「そういうの後回しでしょ、折さん」・・・そうでござった」
「おじさんっ!!」
「・・・・・・・・・此処、何処だ。あんた誰?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おじさん・・・・・・・・・・・・・」
知らない、人。
今まで接していたのは誰なのか、別人なのだと言われたほうが納得できる。
「全部答える前に脱出しないと、タイガー」
「二人とも汚れまくってるな、苦労の匂いがするぞ」
「苦労じゃないもんっ」
「そうでござる!!」
「じゃ、何処だか知らないけどお暇するか」
薄く開いた唇から紡がれるのは様々な声音、動物の鳴き声のようなもので。
そちらに気をとられていたら、何時の間にかおじさんも侵入者二人も姿も消えて無くなっていた。
つづかないよ。
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