荘厳な裁判場で一人の若い獣人の裁判が行われていた。雪のような真っ白な獣毛を身に纏い、狼の骨格を人間にしてスラッとした体躯の狼が裁判長を睨みつけていた。
「未だ反抗的な目を出来るとはな…流石は革命軍の長様か?」
「…」
裁判長の席に座っていたのは国を治めている王様だった。誰よりも高い場所から狼を見下ろし、終始ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべている。
「その意気やよし。貴様のような男を屈服させるのが我の楽しみだ」
「…いい趣味をしている」
王様が不敵に微笑みながら言うと、狼が吐き捨てるように言った。裁判所に集まった人達はざわつき、裁判員でさえ不快な表情を隠せていなかった。
「どうすればこの狼の心を折れるか…ふむふむ」
王様が王座の隣に仕えているフードをすっぽり被った男と相談していた。その男はある日突然現れ、王様の隣に常に居るようになっていた。
「我はやはり…が良い。中々の美獣だからな…そちらも美しいのだろう」
―――ゾワリ
王様が狼を見ながら悪魔のような笑みを浮かべると、狼の背筋が寒くなった。まるで王様に全身を舐め回すように見られながら撫でられているかのような気色悪さを感じる。
「判決を言い渡す。この者を石化させ、街の中心に晒す刑とする」
「お、王様…そんな刑罰は聞いたことが…」
王様が狼を指差しながら言うと、裁判員が恐る恐る言おうとした。他の裁判員もざわざわとざわつく。
「喧しいっ!我の決定を不服と申すかっ!?」
「い、いえ!そのような事は…ありません」
王様が急に鬼の形相になって裁判場に響き渡るような大声で言うと、裁判員は何も言えずに俯いてしまった。
「では、刑を執行するぞ。宰相、やれ」
「…っ!?」
王様が宰相に指示すると、手袋で素肌の見えない宰相が狼の方へ手を向けた。すると、狼の洋服が弾け飛ぶ。
「キャー」
裁判場に集まっていた女性が両手で目を覆い隠しながら悲鳴をあげた。男性も見ていられずに目を逸らすが、狼は毅然とした態度でいた。
「いつまでその顔が出来るかな?」
「くっ…!こんな事をして…何が楽しい」
狼の体を上から下まで品定めするようにねっとりと見た王様がニヤァと笑うと、全裸の狼のモノが少しずつ持ち上がっていった。狼が恥辱に耐えながらも王様を睨みつけつつ言う。
「その顔だ、もっと我にその顔を見せよ!」
「…反吐が出る」
恥辱にまみれた狼の顔を見て可笑しそうに笑いながら王様が言うと、狼がふぅと溜息をついて吐き捨てるように言った。
「つらまん男だ。宰相、石化させよ」
―――パキッ…パキパキッ
王様が眉間に皺を寄せてつまらなそうに言うと、狼の足から徐々に石化していった。だが狼は最後まで悲鳴をあげることも助けを呼ぶこともなく、王様をただただ睨みつけたままだった。
「勃起させられた時は良い顔をしておったが、最後まで我を睨みつけるか…刑を終えた時が楽しみで仕方ないな」
全身を石化させられた狼を見た王様が心底楽しそうに微笑みながら言った。あまりにも邪悪な笑みを見た人達はゾッとして体を震わせる。
「その石像は宰相が広場に移動させて飾っておく。見ても触れても構わんぞ」
「…は、はい…」
王様が宰相に指示をした後にニヤァと微笑みながら言うと、裁判場に居た人達が怯えながら返事を返した。
「(ペコリ)」
宰相が狼の石像をワープさせてから裁判場の皆に一礼した。王様と違って礼儀正しいが、宰相が言葉を発したことは一度もないので魔物なのではないかと噂されて気味悪がられていた。
場所は変わり、街の中心の広間の真ん中に狼の石像が増えていた。前方を睨みつける鋭い眼光と怒りや嫌悪が入り混じった表情で固まり、洋服は身に纏っておらず全裸の状態で男性器が限界まで反り勃っていた。
あまりにも異質な光景と、恐怖で抑えつける王政をなんとかしてくれると思っていた革命軍の長が石化の刑に処さされているので市民は石像を見ても笑う者はおらず、皆石像を見た瞬間に悲しみの表情をしていた。
そんな中、事情を知らない子供達が石像の周りに集まってきた。狼のスラッとしているが鍛え上げられた体を上から下まで見た後、勃起したモノにどうしても視線が集まる。
「スゲェ…俺のと全然チゲェ!」
好奇心を抑えきれなくなったやんちゃな子供が勃起したモノに触れながら言った。目を輝かせ、初めて触る他人と多種族のモノを興味深そうに撫でる。
「(子供は容赦が無いな…教育上悪影響にならなければいいが)」
石化しても意識はある狼が股間を遠慮なく触られる事よりも、教育に影響が無いのか心配していた。
「なんでこんなに大きいのかなー?」
「勃起だよ。保健体育で習っただろう?」
ぽっちゃりした子供が首を傾げながら言うと、眼鏡を掛けた子供がやれやれと肩をすくめながら言った。
「俺もたまになるぜ。でも…この根本のコブ?みてぇな奴なんだ?」
「これは…亀頭球だね。犬科獣人の男性器はこういう形をしているらしい」
やんちゃな子供が狼のモノの根本にあるコブのような物を指差しながら言うと、眼鏡を掛けた子供がタブレットを見ながら言った。
「へぇ…お前何でも知っているよなぁ」
「僕には何でも分かる辞書があるからね」
やんちゃな子供が腕を組んで感心しながら言うと、眼鏡を掛けた子供が照れながらも誇らしげに言った。
「すごいなぁ…でも、なんでこんな出っ張りがあるのかなー」
「それは…交尾する時に男性器が抜けないようにするため…みたい」
ぽっちゃりした子供が首を傾げながら言うと、眼鏡を掛けた子供がタブレットの文章を見ながら言った。
「うえぇ…結構エゲつない事すんなぁ。痛くねぇのかな」
「(最近の子供は進んでいるな…交尾も分かるのか)」
やんちゃな子供が亀頭球を見ながら言うと、狼が交尾を知っている事に驚いていた。未だ中学生くらいの子供達だが、交尾について知識はあるようだ。
「精液が漏れ出ないようにして、子供を作りやすくするみたい。痛いかは…人それぞれらしいよ」
「へぇーその方が効率良いのか」
「体験談もあるんだねー」
眼鏡を掛けた子供がタブレットで検索しながら言うと、やんちゃな子供とぽっちゃりした子供がそれを覗き込みながら言った。
「(子供になんて物を…っ!親は制限をかけないと駄目だろう)」
目線を動かせない狼が子供達の言葉を聞いて心配そうに思った。体験談なんて生々しい物を読ませるなんて早すぎると焦る。
「なんか俺…変な気分になってきた」
「そうだね…石なのに粘土みたいな触り心地だからかも」
やんちゃな子供が顔を赤らめながら言うと、ぽっちゃりした子供も狼のモノを撫でながら顔を赤らめていた。
「(うっ…石だからか感覚が無いが、子供に撫で回されるのは変な気分だな)」
狼が恥ずかしそうに思った。石化しているので子供の手の動きを感じる事が出来ないが、自分の勃起したモノを二人の子供の二十本ある触手のような指で撫でられるのを見ている事しか出来ない事に恥辱を感じる。
「だ、駄目だよ…男同士で興奮しちゃ…」
「お前も触ってみろよ。興奮するぜ」
眼鏡を掛けた子供が二人を止めるように言うが、やんちゃな子供が眼鏡を掛けた子供の手をとって狼のモノに触らせた。何度か撫でる度に、変な気分になってくる。
「他人の、しかも他種族の男性器を触るという好奇心で変な気分になっているのかも…」
「うぅ…難しいよー」
眼鏡を掛けた子供が必死に自分の心を理解しながら言うと、ぽっちゃりした子供が顔を顰めながら言った。
「言っている事は難しいけどよ、此処が勃起するってだけだろ?」
「あぅっ!?」「んっ…」
やんちゃな子供が二人の股間を握りながらニヤァと笑うと、勃起しているモノを触られた二人がビクッと体を震わせながら甲高い声と野太い声をあげた。
「お前達も勃起してんじゃん」
「君もでしょー?」
やんちゃな子供が不敵に微笑みながら言うと、ぽっちゃりした子供がやんちゃな子供の股間を掴んだ。
「おっ…?人に触られると自分で触るより気持ち良いな」
「動きが予測出来ないから…じゃないかな」
股間を揉まれたやんちゃな子供が声をあげずに寧ろもっと揉めとぽっちゃりした子供の手を掴みながら言うと、眼鏡を掛けた子供が冷静に分析しながら言った。
「(まずい…このままでは子供達が同性愛に目覚めてしまう!誰か、誰か居ないのか!?)」
子供達同士で股間を弄り合っているのを見た狼がこのままではまずいと焦りながら心の中で叫ぶと、その声に反応するかのように遠くから女性が近づいてくる。
「こらーっ!そこで何やってんだー!」
「やべっ!母ちゃんだ。逃げろ!」
変な雰囲気になってきた子供達の後ろで大声が響くと、やんちゃな子供がその声の主を見て逃げ出した。二人の子供も一緒に逃げ出す。
「全く…近づくなって言ったのに」
「子供は仕方ないですよ。やるなって言うとやりたくなっちゃいますからね」
茶髪の女性が腕組をしながら溜息をつくと、上品な女性が口元に手を当ててフフッと笑いながら言った。
「そうよねーでも、此処で何をしていたのかしら」
「獣人の体を見ていたんじゃない?アタシらも見たことないくらい珍しいしね」
おっとりした女性が頬に手を当てながら言うと、茶髪の女性が狼を見ながら言った。上から下まで物珍しそうに見つめる。
「そうですね…獣人を見るのも珍しいですが、裸で…しかも興奮した所を見るのは初めてです」
「本当よねーモフモフしていて可愛いし、此処が人間とは違うのねー」
上品な女性がチラチラと狼のモノを見ながら言うと、おっとりした女性が狼の上半身を撫でてから遠慮なくモノに触りながら言った。
「さきっぽも違うし、玉が竿にくっついているのね」
「確かそれは…亀頭球って言って、交尾の時に栓をするような役割があるみたいですよ」
茶髪の女性も狼のモノに触りながら言うと、上品な女性が知識を思い出しながら言った。
「(先程は子供だからまだ良かったが、女性に触られるのは流石に恥ずかしいな…)」
妙齢の女性達に撫でられた狼が恥ずかしそうに声を細めながら思った。子供と違って撫で方が直接的で、亀頭や玉等の感じやすい部分ばかり撫でられるので感覚が戻った時が怖かった。
「へぇ…?奥さん意外とそういう知識あるのね~?」
「ち、知識だけですよ。家の犬が抱き着いてきた時に気になってしまって…」
茶髪の女性がニヤニヤと笑いながら言うと、上品な女性がカァっと顔を赤らめながら言った。
「あーそういえば大きなワンちゃん飼っているものね」
「そうなのですよ。良く抱き着いてくる甘えん坊で…」
おっとりした女性があの子ねと思い出しながら言うと、上品な女性が柔らかく微笑みながら言った。
「発情してたりしてー?奥さん綺麗だから」
「そ、そんなことないですよ…私なんかよりも奥さんの方が男性や子供達に人気ですし」
茶髪の女性がニヤニヤと笑いながら言うと、上品な女性が茶髪の女性をチラチラ見ながら言った。
「あー、それは綺麗とかじゃなくて話しやすいからよ。それに、何故か子供に懐かれやすいのよね」
「奥さんコミュ力高いからよー最近の子達の話題についていけるのも凄いわー」
茶髪の女性が髪の毛を手で遊ばせながら言うと、おっとりした女性が羨ましいわーと頬に手を当てながら言った。
「そうですよね。私も最近の子の話題や略した話し方は全然分からなくて…」
「そう?うちの子の友達と話す機会が多いからかな」
上品な女性が苦笑しながら言うと、茶髪の女性が微笑みながら言った。
「(これが井戸端会議というものか…丁度体が隠れるから嬉しいが、よくこんなに話題がポンポン出てくるな…)」
狼が女性達の会話を聞きながら思った。男性にも話題がポンポン出てくるようなコミュ力の高い人も居るが、狼自身あまり喋らないので女性達を羨望の眼差しで見る。
「所で…奥さん達この大きさどう思う~?」
会話が落ち着いた所で、茶髪の女性が狼のモノを握りながら言った。長さと太さを確かめるかのように根本から先まで撫で上げる。
「…長すぎず太すぎず、丁度良い大きさだと思いますよ」
「そうねー根本のコブがちょっと怖いけど、此処は理想的よねー」
上品な女性も狼のモノに恐る恐る触れながら言うと、おっとりした女性が亀頭球を触りながら言った。
「(うっ…いきなり大胆だな…)」
突然三人の手で触れられた狼が狼狽えながら思った。話題もかなり生々しいので聞いている狼の方が恥ずかしくなってしまう。
「アタシの旦那は無駄に太い癖に短めだから羨ましいわ」
「む、無駄にって…そんな事言ったら可愛そうですよ」
茶髪の女性が狼のモノを愛おしそうに撫でながら愚痴ると、上品な女性が口元に手を当てて苦笑しながら言った。
「うちの旦那は細長いから逆ねー奥さんの所は?」
「旦那の大きさは丁度良いのですが…腰使いがちょっと…ね」
おっとりした女性も狼のモノを撫でながら言うと、上品な女性が狼のモノではなく逞しく引き締まった腰に触れながら言った。
「あーそれも大事ねー狼さんなら腰使いも上手そう?」
「獣みたいな腰使いだったらアガるわね。あー一度でいいからこんなイケメンに抱いて欲しいわ」
おっとりした女性も腰や後ろにある尻尾に触れながら言うと、茶髪の女性がゴシゴシと狼のモノを扱きながら言った。顔が若干赤らんでいる気がする。
「それじゃあ浮気ですよ、奥さん」
「でも気持ち分かるわー種族違うけど、格好良いものね」
上品な女性がフフッと笑いながら言うと、おっとりした女性が同意しながら言った。
「(うぅ…俺の聞こえない所で言ってくれ…)」
狼が消え入りそうな声で思った。自分に向けられる好意は嬉しいが、此処まで直接的だとどう反応していいのか分からなかった。
「そうですね。抗議の仕方がテロや暴力行為ではなく賛同する人を地道に集めて法律の範囲内でしていますし、狼さん本人も理性的な人で素敵です」
「あら、奥さんがそこまで褒めるなんて珍しいわね」
「前までは危ない革命軍も居たからねー」
上品な女性が狼の頬を手で撫でながら微笑むと、茶髪の女性とおっとりした女性が少し驚きつつも同意した。
「(…そんな風に言ってもらえると、今迄やってきた甲斐があるな)」
上品な女性の言葉に狼が心の底から喜んでいた。テロ活動をしてきた革命軍も居たが、狼の組織はそれを絶対に許さずに冷静に抗議していたのでそれを褒められた事が嬉しくてたまらないようだ。
「こんにちは奥様方、楽しんでもらえているかな?」
「げっ…」
王様が女性達に近付きながら言うと、茶髪の女性が露骨に嫌な顔と声を出した。上品な女性が駄目よ小さく言いながら手を握る。
「獣人の体を見られるのは初めてなので、とても勉強になります」
「それは良かった。こちらも大変気に入られたようで」
上品な女性が口元に手を当てながら言うと、王様が微笑んだ後に狼のモノを見てニヤァと笑いながら言った。
「嫌だわ、見られちゃってたのねー」
「あらあら、王様も撫でて欲しかった?」
おっとりした女性が恥ずかしそうに言うと、茶髪の女性が手を筒状にして上下に動かしながら言った。
「ハッハッハ、我は遠慮させてもらうよ。宰相はどうだ?」
「…(フルフル)」
王様が豪快に笑ってから隣の宰相に話しかけると、宰相が静かに首を横に振った。
「そうか。申し訳ないが、この石像に用があるので場所を開けてもらえるかな?」
「はーい」
王様が目線を宰相から女性達に戻しながら言うと、茶髪の女性が元気に言ってから二人の手を引っ張って退散した。
「…フンッ、売女め」
王様が女性達が見えなくなってから吐き捨てるように言った。先程の態度から打って変わって女性達を見下すような横柄な態度になる。
「汚らしい手で体を撫でられた感想はどうだ~?」
「(グルルゥ…!子供もご婦人も汚くないし、売女ではない!市民をなんだと思っているんだ)」
王様がニヤニヤと笑いながら狼に言うと、狼が市民を馬鹿にした態度に心底頭にきながら思った。
「…まぁいい。おい、石像を洗ってやれ」
「(…っ!)」
王様が後ろを見ながら言うと、一人の筋骨隆々な牛獣人がいそいそとバケツを持って出てきた。その牛獣人は狼を支えてくれたボディーガード兼相談役で、大柄な体をギュッと縮こめている。
「綺麗に洗えよ」
「…はい」
王様が早くしろと言いたげに牛の背中をドンと押すと、牛が力なく言った。
「狼さん、洗わせて頂きます」
牛が洗う前にひと声掛けてからスポンジで狼の体を洗い始めた。大きな手で丁寧にスポンジを動かし、上から綺麗に洗っていく。
「そこは丁寧に洗ってやれ」
「…」
王様が狼の勃起したモノを指差しながら言うと、牛が躊躇しているようだった。尊敬している人の勃起というのもあるが、大事な所をスポンジで洗って良いのだろうかと戸惑う。
「スポンジが嫌なら手で洗ってもいいぞ?隅々まで丁寧になぁ?」
「(すまない…牛君…っ!)」
王様がゲス笑いしながら言うと、狼が心の中で何度も謝った。
「…分かりました」
迷っていた牛が覚悟を決めて頷きながら言った。王様が心底楽しそうに微笑みながら見守る。
「失礼します」
手に洗剤をつけた牛がひと声掛けてから狼のモノに触った。コブから先っぽまで太い指を動かしながら丁寧に洗っていく。
「上司のモノを洗うのはどんな気分だ?」
「憧れの人の大切な部分を洗えて光栄です」
牛の丁寧な手付きを見た王様がニヤニヤ笑いながら言うと、牛が毅然とした態度で言った。
「(牛君…君の冷静さにはいつも助けられるな)」
牛の冷静な対処を見た狼が怒りを沈めながら思った。周りから狼は冷静な人だと言われているが、実は牛が常に狼の事を気にかけてくれているから冷静になれていた。
「…チッ、つまらんな。洗剤を流したら口で洗ってみたらどうだ?」
「狼さんの大切な部分をオレの唾液で汚す事は出来ません」
王様がつまらなそうに言うと、牛が静かに首を横に振りながら言った。煽っても動じない牛についに王様の血管が切れる。
「口答えするな!口で洗え!」
広場に響き渡るような大声で王様が命令すると、広場を通っていた市民が驚きと共に嫌悪感を顕にしていた。
「…分かりました」
周りの反応といきり立っている王様を見た牛が目を伏せて頷きながら言った。狼のモノについた洗剤を水で洗い流した後に狼の前に跪く。
「(本当に申し訳ない…牛君…!)」
何も出来ない狼が悔しそうに謝った。世話になりっぱなしの牛にこんな事をさせたくは無いが、石化させられて動けないので歯痒さを感じる。
「…失礼します」
牛が覚悟を決めてから一声掛け、狼のモノに近づいていった。恐る恐る口を開けてから狼のモノをペロペロと舐める。
「分厚い舌で丁寧に舐めてやれよ」
「(こくん)」
王様が満足げに微笑みながら言うと、牛が頷きながらペロペロと舐めた。見守っていた市民達は見ていられないと家に入っていく。
「下手くそな奴だな。口に含んで喉でやれ!」
「んぐっ!?ゲゥッ…」
ただ舐めるだけの牛を見て面白くなくなった王様が、牛の角を乱暴に掴んで頭を動かし始めた。牛が急に喉に突っ込まれて苦しそうな声をあげる。
「(やめろっ!やめ…てくれ…)」
涙目になりながらも抵抗せずに頭を動かされている牛を見た狼が今にも泣き出しそうな声で思った。王様が牛と狼を見てニヤァと微笑む。
「上司のモノを咥えて嬉し泣きか?ケダモノらしいな」
「(ケダモノ…だと…!?禁止された侮蔑用語を王様が使うのか…!)」
牛の事を見下しながら王様が言うと、狼が怒りを顕にしながら思った。牛の耳もピクッと動いて反応する。
「(…スッ)」
「おっと、やり過ぎてしまったな」
宰相が音もなく王様に近付いて肩にソッと触れると、王様が牛の角から手を離した。
「ゲホッ…ゴホッ…」
漸く解放された牛が四つん這いの状態で何度も咳き込んでいた。宰相が背中をスリスリと撫でる。
「…すまない」
「(フルフル)」
落ち着いた牛が宰相に謝ると、宰相が静かに首を横に振った。深くフードを被っているので表情は見られないが、王様と違って優しいなと狼と牛が思う。
「フンッ、家畜に情けをかけるな」
「(ペコリ)」
王様がつまらなそうに腕組をして鼻を鳴らすと、宰相がペコリと頭を下げた。狼はまたこいつは…!と侮蔑用語に腹を立てる。
「興が冷めた。そろそろコイツの石化を解こうか」
王様が酷くつまらなそうな顔で言うと、宰相が頭をあげて狼に手をかざした。
「待て、どうせなら観客を集めようか。宰相、頼むぞ」
「(コクリ)」
良い事を思いついた王様がニヤァと微笑みながら言うと、宰相が狼に向けていた手を上に掲げた。すると、花火のような魔法が何発も打ち上がる。
「なんだ、なんだ?」
「花火だー」
花火が何発も上がると、家に居た市民が慌てて何があったのかと出てきた。特に子供達は七色の花火があがって目を輝かせる。
「市民の皆様方!これから、革命軍の狼の処刑の続きを行います!」
―――ざわざわ…
市民が集ってきた所で王様が大声で宣言すると、花火だけに集中していた市民達の顔色がガラッと変わった。子供が居る家庭は両親が真っ先に子供を家に入れて窓を閉め、野次馬の市民は何があるんだと集まってくる。
「これからこの犯罪者の石化を解きます。前方に居られる方は避難して下さい」
疎らではあるが市民が集ってきたので、王様が上機嫌で言った。集まった市民が首を傾げながらも狼の前方を開ける。
「宰相、やれ」
「(コクリ)」
王様が宰相に指示をすると、宰相が再び狼に手をかざした。頭から徐々に石化が解除されていく。
―――パキッ…
「くっ…!こんな所で何をするつもりだ」
「それは解除してからのお楽しみだ」
頭の石化を解除された狼が今迄の怒りをぶつけると、王様がニヤニヤと笑いながら言った。
石化解除の瞬間を初めて見る市民達は興味深そうに見守る。
「なんだ…?解除された所が…」
胸まで石化を解除された狼が変な感覚に戸惑っていた。それは、子供と女性達にグルーミングされた手の感触が一気に襲ってくる。
「まさか…っ!?」
「ほぅ…直ぐに気が付くとはな。だが、もう遅い。宰相、ゆーっくり解除してやれ」
一気に襲ってくるならば…と狼が気が付くと、王様が感心した後にニヤァと笑いながら言った。
「ぐっ…ヴルルゥ…」
宰相が石化解除をゆっくりとさせると、亀頭球から快感が襲ってきた狼が必死に歯を噛み締めて快感に耐える。
「無駄な抵抗をせずに快感を受け入れよ」
「…こと…わる…っ!」
王様がニヤニヤと笑いながら言うと、狼が必死に王様を睨みつけながら言った。そうしている間も徐々に竿の石化が解除されていき、狼の心を掻き乱す。
「そろそろ先端だなぁ?どうした、体が震えているぞ」
「グルル…ングウゥ…」
竿の石化が解除されてあとは先端だけになったので王様が煽るように言うと、狼が言い返す余裕もなく唸るだけだった。子供の無邪気な手の動き、女性の弱点を熟知した手の動き、そして牛の舌舐めと喉奥フェラが少しずつ狼を襲う。
「さぁそろそろかぁ?犬らしくマーキングでもしてろ」
「ガアァッ!?グウゥ…!グアアァアァァッ!」
王様が心底面白そうに笑いながら言うと、宰相が一気に狼の石化を解いた。狼が一瞬耐えようと体に力を入れるが、一気に襲いかかってくる強すぎる快感に堪えきれずに射精した。「うぉっ!?」「うわ…っ!?」
狼の射精は勢いが凄まじく、普通の射精とは思えない量に男女共に驚いていた。男性は羨望の眼差しで、女性は口元に手を当てて顔を赤らめながら驚く。
「ア゛ア゛ァ゛…ッ!?や、やめぇ…」
射精しても刺激が終わらずに狼が吠え、痛みさえ感じる快感に涙目になりながら助けを求めるが快感が終わることなく何かがせり上がってくる。
「い、嫌…だ…ゴアアアァァァッ!」
せり上がってくるものが尿意だと思った狼が王様の言ったマーキングをさせられると思って首をブンブン振りながら尿意を否定しようとするが、尿意を止めることが出来ずに吹き出してしまう。
「な、何…っ!?」「尿…じゃない、潮か?」
射精が収まってから液体が吹き出してきたので女性が尿だと思って思わず鼻に手をあてて驚くが、アンモニア臭がしないと男性が気がついて潮じゃないかと思う。
「潮まで吹くとは…そんなに牛の口が良かったのかぁ?」
「…(キッ!)」
潮吹きが落ち着いてきたので王様が狼に近づいてニヤニヤと笑いながら言うと、体力を使い果たした狼が王様を睨みつけた。その眼光は疲れていても鋭く、王様の眉がピクッと動く。
「公開射精をしても折れぬとはな…次はその牛に同じ事をさせようか」
「他の人を巻き込むな、俺なら何をされても構わない」
王様がつまらなそうに言ってから狼の足元の牛を見て悪魔のような笑みを浮かべると、狼が牛の前に立ちながら言った。
「フンッ、貴様はもう飽いた。宰相、やれ」
王様が裸で凄んでいる狼をつまらなそうに見てから宰相に命令すると、宰相が牛の方へ手をかざした。しかし、その直後牛の前に大きな鏡が転送される。
「なっ…!?」
鏡が宰相の石化魔法を跳ね返し、石化の魔法が宰相と王様にかかってしまった。足元から徐々に石化していく。
「宰相、なんとかしろ!」
「無駄だ、魔法を封じている」
王様が慌てて言うと、市民に紛れていた革命軍の獣人が言った。サッと狼と牛の周りに集まり、狼の腰を隠す布を手渡す。
「おやおや、これは困りましたね」
足元に大きな魔法陣が作られて魔法が使えなくなってしまった宰相が急に流暢に喋り始めた。ずっと無口だったので市民でさえ声を聞いたことが無かったが、声は若々しくて窮地に陥っても落ち着いた丁寧な口調なので不気味さが際立つ。
「流暢に話していないでなんとかしろ!」
「そう言われましても…魔法が使えないのでお手上げですよ」
太腿まで石化した王様が焦りながら言うと、同じく石化している宰相が首を横に振りながら両手をあげた。
「宰相、貴方は一体…?」
「フフッ、それは秘密ですよ。それから、この私は分身なので調べても無駄です」
腰にタオルを巻いた狼が宰相に聞くと、宰相が口元に人差し指を持っていきながら言った。
「貴様ぁ…!我を見捨てるつもりか…!」
「おっと…貴方自ら私の正体を明かすとは…本当に愚かですね」
王様が未だ動く手で宰相を掴むと、宰相の深く被っていたフードが脱げてしまった。フードの下から現れたのは誰もが見惚れるような整った顔立ちの男性だが、目は漆黒の闇に包まれていて口元には鋭い歯がチラリと見えていた。
「悪魔…?」
「…私の身分を明かすのは契約違反なので申し上げられません」
牛が昔見たことのある悪魔と似ている宰相を見て呟くと、宰相がニコッと笑いながら言った。契約違反という言葉をわざと出しているので、悪魔なのを自分から言っているように見える。
「では王様、私はこれで失礼致します。貴方のような醜悪で傲慢で愚かな人は久々でそれなりに楽しめましたよ」
「待て…っ!本体で我を助けよ!」
宰相がにこやかに微笑みながら王様に言うと、胸辺りまで石化してきた王様が焦りながら言った。
「…貴方にその価値はありませんし、対価はあるのですか?」
「それは…」
宰相がスッと真顔になって淡々と言うと、王様が何も言えなくなってしまった。
「話になりませんね。では、改めて私は失礼します。狼さん、牛さん、酷い事をしてしまい申し訳ありません」
「王様の指示なら貴方が気に病むことは無い」
「…狼さんと同じ意見だ」
首まで石化が進んできた宰相が王様を一瞥した後に狼と牛に言うと、狼が首を静かに横に振りながら言った。牛もコクリと頷きながら同意する。
「お優しい方々ですね。貴方達ならばこの国は良い方向に変わっていくかもしれません…では」
宰相がニコッと笑ってから分身を解除すると、ハラリハラリと魔法陣が書かれていて一部分破れた紙が床に落ちた。
「待てっ!待ってくれぇええぇえ!」
遂に顔まで石化が進んできた王様がその紙を見て必死に叫ぶが、その苦悶の表情のまま全身が石化してしまった。その様は必死に助けを求める情けない中年男性にしか見えなかった。
「終わったな…市民の皆様方、お騒がせして申し訳ありません」
狼がフゥと一息ついてから集まった市民に深く頭を下げながら言った。市民はまだ状況を理解しきれていないが、今迄恐怖統制をしてきた王様が居なくなった喜びが抑えきれない様子で狼に拍手をした。
その後狼は獣人と人間どちらからも支持されて王様に、牛は宰相になって獣人と人間が共存しながら豊かに暮らしていく国を必死に作り上げていた。
一方、先代の王様は石化された時からずっと広場の中心に放置されていた。石化を解除出来る神父様は狼によって牢獄から解放されたが、王様を助ける事なくそこに何も無いかのように振る舞っていた。
「頼む…誰か…助けて…くれぇえええ!」
市民が王様の石像を通過する度に王様が悲痛な叫びで懇願するが、その声は市民には聞こえることはなかった―――