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第九話
文化祭も終わってひと段落すればあとは期末試験までの虚無期間になる。とはいえ俺たち運動部はその間にも新人戦なり練習試合なりその他大会なりでなかなか忙しい日々を過ごしていることが多いんだけど。おかげで最近は帰りが遅くなる分、ナツキと一緒に帰れる時間が減ってしまっている。あっちも今は秋冬ものの新作の撮影があるらしいから、お互いの事情の尊重ってやつ。
秋の日は釣瓶落としなんて言われてるけど、10月ともなれば5時を回ればもう夕焼け空、練習後の部室も茜色に染まる中で汗まみれ土まみれの俺たちラグビー部はいつものように汗の処理と着替えをしながら何でもない会話でダラダラと過ごしている。
「でさ、母ちゃんが『お前のは別で洗うから洗濯機に入れんな!』ってめっちゃ怒られてよー…」
「あー…うん。なるほどな……」
「お前相当だもんな。お袋さんの気持ちは分かる。」
「えっマジで。」
マジだ。割と相当だぞアホ猪。ただでさえ汗っかきなんだからもうちょい処理に気を配らないと彼女とか夢のまた夢だからな。自分の汗臭さについて指摘されて珍しくショックで凹んでいるアホはさておき。
新人戦から続く秋の大会、結果はまあぼちぼちと言ったところで、地方大会二回戦敗退。これでも地元じゃ隣町と並んで強豪なんだけど、全国はまだ広いって事だよなぁ。キャプテンは今後の戦略だ云々って言って春に向けて張り切ってるし、俺らも先輩たちに負けないくらい強くならねえとな…なんて思いながら帰り支度を済ませにかかったところで凹んでたはずのタケルがばっと顔を上げた。
「あ、そうだ!久々にラーメン食いに行かね?お前ら今日は暇だろ?ネタはあがってんだ!!」
「暇といえば暇だし俺は構わんが…いやに唐突だな。」
「だってよー!お前ら二人ともリア充してばっかじゃねーか!たまには構えよー!!」
「あーはいはいわかったわかった。俺も付き合ってやるから。」
…そういえば最近は三人でつるんでるとこもそんなに無かったな。せっかく空いた時間だし、男三人で一緒に遊ぶのも悪くない。気の置けない仲でバカやったりするのもまた友情ってか。
キャプテンも着替え終わってやれやれ、なんて顔しながら、考えてることは同じようだった。そうと決まればだ。
「ほら、さっさと着替えて行くぞタケル!モチお前の奢りなんだろ?」
「んな訳あるか!むしろお前らから幸せお裾分けしやがれバーカ!」
「バカにバカと言われたくはないな。」
ああキャプテン、ごもっともだ。
……………
「はい、そこもうちょっと笑ってー…うん、良いわよナツキ!目線こっちちょーだい!はい!」
フラッシュがたかれる中、僕はお姉ちゃんが持っているカメラに向かって微笑みを向けた。今日は秋冬物のファッションの撮影。イメージは秋の森っぽさ…って言ってたかも。
ウィッグは下ろして後ろでゆったり結んでおいて、頭にはベレー帽でアクセント。眼鏡はいつも通りのお気に入りで撮影に臨んでいる。ブラウスの上に萌え袖のカーディガン、ショールで冷たい風から肩を守るように。ロングスカートにロングブーツ、季節感に合わせて全体的に白、赤、茶色系の暖色でまとめている。夏とは違って毛並みの露出は少なめに、全体的に大人しい、可愛い系な雰囲気かも…やっぱり、お姉ちゃんはすごいなぁ…
「はい、ナツキも終わりね。お疲れ様!」
「うん、お疲れ様でした…!」
「それじゃあデータまとめてくるわね!ゆっくりしちゃってていいわよ!」
撮影を終えると、お姉ちゃんは慌ただしく撮影部屋を出て行った。すごく楽しそうな顔してたから、また色んなアイデアが浮かんでるのかも知れない。
一息ついた僕は、休憩室代わりにしているキッチンに足を向けた。
「あ、なっちゃんお疲れ様!おやつ用意しといたからお茶にしよっか!」
「うん、ありがとうユウちゃん…アルバイトさんなのにここまでしてもらっちゃってごめんね…?」
「いいのいいの!アタシも食べたくて用意したんだから!」
そこには先客…さっき僕より先に撮影を終えたユウちゃんがおやつとお茶を用意して待っててくれた。撮影が終わった後のおやつタイムといえばもう僕らの中ではお馴染みのおしゃべりタイムでもある。
そんなユウちゃんはというと、モデル衣装の厚手の七分丈ワンピース姿。こっちもふんわりキャラメルカラー系の膝丈スカートから覗くニーハイとブーツ、上にはブレザー重ねてアクセントにリボンもついててすっごい可愛い…うーん、似合う…!
先に席についてたユウちゃんに向かい合うよう椅子に座れば、ティーポットからお茶を注いでくれた。並べられたスイートポテトを手に取り一口。んー…おいしい!この間行ったお店の新作らしくて、ユウちゃんがここに来る時に持ってきてくれたもの。ホントにありがとう!またお邪魔しますね。
なんて事を思いながら、しばらく二人で他愛もない話で盛り上がっていく。だけど…
気がつけば、食べる手が止まっていた。
「…なっちゃん。なんか悩んでる?」
ユウちゃんも手を止めて、僕の顔を覗き込んでくる。ごめんね、心配かけちゃって…それでも、こんなこと話せる相手なんて、僕にはそんなに多くない。
「あの…下級生たちの事なんだけど……」
「あー…番長なっちゃんのそばに居るあの子達かー。」
「うん……」
もちろん、ユウちゃんもあの子達のことは知っている。たまにお互い男子の制服で鉢合わせた時なんかマサヒロくんがちょっと喧嘩売っちゃったりしてるから…いや、もちろんユウちゃんとそんな事した事無いんだけど!
……正直、高校卒業までは内緒にして静かに消えようと思ってた。でも、ハルトくんと出会って…女の子としての僕を好きでいてくれる彼に出会えてから、ちょっと欲張りになっちゃったのかもしれない。ハルトくんと一緒に学校に行きたい。もっとたくさん話したい、一緒にいたい。
そう思うと、あの二人にもきちんと打ち明けておくべきなのかもしれない、だけどそれを伝えてしまえば、きっと……
そこまでユウちゃんに打ち明けて、言葉を止めた。考えなくちゃダメなのに、それが怖いんだ。ただでさえ今までずっと誤魔化してきた事なのに、これ以上あの子達を騙し続けていくことが辛かった。
思わず俯いた僕の目の前に、温かい紅茶がコトリと置かれた。
「いいんだよ、なっちゃんはなっちゃんでさ。」
そう言ってるユウちゃんは、いつもと同じ人懐っこい笑顔。そして、何度も聞いたその言葉…僕は僕でいい……
「それだけ二人のことも大事な子だと思ってるんだよ、なっちゃんは。だから後ろめたい事なんてない。慌てなくたって、なっちゃんのペースでやればいいんじゃない?」
そこまで言って、ユウちゃんはまた一つお菓子をぱくりと口に含んだ。つられて僕も一口。お芋の優しい甘みが口に広がって…なんだか少しホッとする。
…きっと、焦ってたんだ。考えてもみなかった事が迫ってきて、自分でもどうして良いのか分からなくなってたのかも知れない。それを少しだけユウちゃんは引き戻してくれた。
僕のペースで、少しずつ。
「ありがとユウちゃん…ちょっと冷静になれたかも…」
「ふふっ、なっちゃんは優しいからねぇ。」
悪戯っぽく笑うユウちゃんに釣られて、僕も思わず小さく笑う。うん…慌てなくたっていい。僕は真実を打ち明ける覚悟を決められたから。それでも、その為にはもう少し時間はかかるけど。
だから今は、もう少しだけ。
「…晩御飯、食べてく?」
「良いの!?なっちゃんのご飯美味しいのよね…!」
今夜は、大切な親友にご馳走してあげないと。
……………
「へい、味噌チャーシュー2つお待ち。」
「あざっす!!いただきゃす!!」
「いただきます。」
運ばれてきたラーメン、毎度お馴染みの味噌チャーシューメンに手を合わせていただきます。やっぱうまい!寒くなってきたからより一層うまい!隣でおんなじやつ頼んで一緒に食うヒロの奴がいるのもいいよな!なんかホント高校生やってるって感じで!
でも…うん、やっぱり兄貴とも一緒にラーメン食べたい。なんかこう…やっぱそういうの憧れる。けど……
最近、兄貴は俺たちと一緒にいる事が少ない気がする。学年違うし仕方ないんだけど、お昼も放課後もどっか行っちゃって、あんまり顔合わせてくれないんだよな。ちっこくて弱い俺たちに失望したのかな、なんてヒロにちょっと相談したけど…アイツからは「そんな事ない」って返ってくる。それでも正直、俺はちょっと迷っていた。
俺、このままで良いのかな。兄貴の後ろにばっか付いてって…結局、助けてもらったあの時から何にも変わってないんじゃないかな。
学園祭の時もそうだ。訳わかんないまま突っ走ってぶっ倒れて、通りがかりの先輩たちに迷惑かけて。兄貴にまで心配かけて……
そこまで考えたところで、肩をポンポン叩かれているのに気がついてハッとした。
「マサ?大丈夫?ラーメン伸びちゃうよ?」
「へぁっ!?あっ…悪い考え事してた!」
「…そう。珍しいね…」
俺に声をかけたヒロのやつがそのまんまラーメンをすする。慌てて俺もちょっとだけ伸びたラーメンに箸をつけた。もちもち食感に絡まるスープが美味い。寒くなってきたから尚更…
美味しいものを食べてると、ちょっとだけ不安が薄れていくような気がする。そうだ、不安になることなんか無いんだ。
俺は、自分の義理をしっかり通す。ただそれだけ。
ふと、後ろで引き戸が開く。別の客が来たみたいだった。
……………
「ここここ!こないだみっけてスッゲー美味かったんだよ!」
「お前のこういう所は信用できるからな。楽しみだ。」
「ラーメン屋でも無駄にキラキラしやがるなお前はよ…」
俺とキャプテンはタケルの案内に従って、コイツのオススメとかいうラーメン屋に連れてこられた。繁華街の路地一本入った小さい店、年季は入ってるがめちゃくちゃ良い匂いがする。コレは俺でもわかる、当たりだ。
中に入ると先客が二人、うちの学校の制服だった。知る人ぞ知る穴場スポットってやつだろうな。
「しかしよくこんな店見つけたな。お前んち逆方向だろ?」
「え?あー…休みの日に遊びに来た時ちょっとな!」
「ほう…トッピングも豊富だし値段もリーズナブルだな…」
「ちなみにオススメは味噌チャーシューだ!」
フンス、と鼻息荒く胸を張るタケルだが別にお前が威張ることじゃ無いからな。キャプテンは店の外観の割に豊富なトッピング数に感心したように選びにかかっていた。
結局俺はそこまで言うならとオススメの味噌チャーシューを大盛りで頼むことにする。タケルも同じやつ、キャプテンは…バターにコーンまでつけてやがった。カスタマイズ好きそうだもんなお前…ついでにみんなでつまむ餃子も一皿注文。親爺さんに伝えて待つ。その間に俺らは他愛もない会話で時間潰し。
またキャプテンは告られてすぐフラれたとか。今度は下級生の女の子だったらしいが…話を聞けば本人無自覚で完璧に完璧過ぎるのでそりゃ女の子も気の毒だなぁと思わないこともない。タケルの奴はさっきの通りお袋さんに洗濯物別々にされたとか、親父さんからいろいろ手伝いやらされてこき使われてるとかまあ良くある愚痴と俺らに対する冗談半分の怨嗟の声…は話半分に流しておく。
俺はといえばここ最近のナツキとの近況を聞かれたけど…やる事はあんまり変わらないというか。お昼一緒に食べたり、一緒に帰ったり…アホがAとかBとか言い出したのでシメておいた。
そんな俺らに後ろから声がかかる。
「あの……」
「ん…どうした…げっ!?」
「…ああ、番長の取り巻きか。」
振り返ったら先客だった同じ学校の制服二人組…よく見たら番長の舎弟ズだった。
タケルの奴は春先のトラウマを思い出したのか思いっきり飛び上がってビビってるし、キャプテンは毎度生徒会で話題に上がる存在に思わず眉根を寄せている。二人とも番長に対してあまり良い感情持ってないから仕方ないんだろうけど…
しかし偶然だな。学校ではよく番長と一緒にいるんだが、それ以外でも2人で一緒にいるのが多いようだったしもう二人セットみたいなもんだよな。対面で顔合わせるのは文化祭の時以来だけど…あの時とはまたちょっと様子が違うというか。
柴のAことマサは俺ら3人の前でカチコチになってなんか緊張してるし、黒柴Bことヒロの方はそんなマサを後ろからじっと眺めていた。
少しの沈黙、その後、マサが俺に勢いよく頭を下げていた。
「…こ、こないだはっ!ありがとうございましたッ!!」
思わずキョトンとする俺ら3人。タケルとキャプテンの視線が俺に集まる。やめろ、後で説明するから。
というかこの間…おそらく文化祭の時に保健室に運び込んだ件だろう。あの後俺とナツキは先生に任せて目覚めた時には居合わせなかったけど…後でヒロに話を聞いたんだろうな。ヒロの方も「お久しぶりです。」と礼儀正しくお辞儀してきた。お前はホントできるヤツだよ。
そういえばナツキは今日撮影あったから…なるほど、こいつら2人で来てたのか。なんて偶然。しかしまあ、マサの方から面と向かって声を掛けられたのは初めてだったな。
「…おう、元気そうで何よりだ。あれから問題無いか?」
「はいッ!この通り全然元気っす!!」
そう言ってブンブン両手と尻尾振ってアピールしてくる柴犬…なるほど、色んな意味で素直だよなぁこいつは。隣でヒロの方がちょっと呆れ気味にため息ついてる。ほんとお前には苦労かけるな…
「マサ、先輩たちこれからご飯なんだから。あんまり邪魔しちゃダメだよ。」
「あ…スンマセン!!俺ら帰るんでごゆっくりっ!!」
そうして会計を済ませて慌ただしく出て行った2人組。律儀にお辞儀までしていくあたり、マサの方も根は悪い奴じゃ無いんだよな…思い込みが激しすぎるだけで。
それを見送った俺ら3人だったが…うん、キャプテンちょっと待って顔が怖い。
「…詳しく、聞かせてもらおうか。」
……………
「成る程。疑って悪かった。よもやお前が何か良からぬ道に進んだのかと思ってな…」
「なんだそりゃ……」
成り行きを説明したところでキャプテンは納得したようだった。同時に番長一派への警戒も多少薄れたみたいなのは幸い。百聞は一見にしかず、とは言え誰彼構わず威嚇するマサに付いてはやっぱりちょっと苦言は呈してた訳だが。
なお、タケルのやつは頼んでたラーメンをうまそうに啜っていた。あ、たしかに美味い。
「だろー?いい穴場みっけたよな!」
「確かに…ふー、ふー…今後通ってみても…良いかもしれない。ふーっ…」
「あー!!最後のギョウザ!!俺狙ってたのに!!」
「早いもん勝ちですー。」
ギョウザ争奪戦を制した俺は肉汁溢れる勝利の味を噛み締めつつ、熱々のラーメンを啜る。マジで美味い。悔しげなタケルの隣ではめちゃくちゃフーフーしながらキャプテンもゆっくり食べ進めていた。猫舌なら無理すんなよキャプテン…
そんなわけでキャプテンが食べ終わるのを待ちつつ、再び駄弁りタイムである。
「そういやお前、まだバイトしてんの?エロサイトの課金分くらいは稼いでただろ?」
「あ…えーと…まあ、一応。つーかエロサイト最近見てねーけど…」
「えっ…」
口を開けば性欲豚野郎だったあのアホエロ猪が…?明日槍とか降るんじゃねーか?
「フィルタリング掛けられたんだよ!小学生のガキじゃねーんだから…!」
なんだ、心配して損した。親父さんそこは妥当な判断だ。コイツの自制心は確かに小学生並だからな。隣ではキャプテンが噴き出して咽せてた。オイ、鼻から麺出てるぞ女の子に見せられねーよそんな顔…
とまあ、アホ猪はエロサイトを封じられた挙句、携帯代金を自分で支払う為にまだバイト続けてるらしい。場所や内容はやっぱ教えなかったけど、ちょっとは成長して…させられてるようでまあ何よりだな。うん。
「そういやさ、ナツキちゃんて学校であんま見ないよなー。でっかくて目立ちそうなのに。」
「あー…うん、保健室にいる事多いから…」
「え、そうなん?今度会いに行っていい?」
「ナツキがオーケー出したらな。」
多分無いと思うけど。しかしこいつ…アホのくせになんでこんな妙な所は鋭いんだか。地味に侮れん。
「そういやオレ一回ナツキちゃんのこと番長と見間違えちまってさー!体のデカさ似てっからかな?」
…マジでお前の勘どうなってんだ?
……………
「…よかったね、マサ。」
「おうっ!!」
ラーメン屋からの帰り道、俺はすこぶる上機嫌だった。あの時ちゃんとお礼も言えなくて、それがまあ偶然あんなとこで会えるとは思わなくて…
俺にとって、あの人は兄貴の次くらいに憧れだった。助けた相手に名前も告げずに去っていくとかすっげーかっこいいし…!
……でも正直、ちょっと反省もしてる。俺、あの人に一回凄い失礼な事したのを覚えてるんだ。今考えたら俺…先輩相手にとんでもない事してた。あの後に兄貴やヒロに注意されて…思い出したらすげー恥ずかしくなってきた……
「ねえマサ。」
「ん…なんだ?」
かけられた声に口だけで返事をしながら歩き続ける。いつもの、だけどあんまり口数が多くないヒロが、なんだか今日はちょっとお喋りな気がした。
「…兄貴が卒業した後、僕らはどうする?」
いきなり、冷や水をぶっかけられたようだった。思わず足が止まる。数歩先に進んだヒロが振り向いて、黙って俺の方を見ていた。
兄貴が…兄貴が卒業したら?俺たちの前から居なくなったら?そんなの、考えたことなかったかもしれない。でも、そうだ。いつかはきっと来ること…なんだ。
その時俺は…俺たちは…どうするんだろう。
兄貴の後を継いで番長になる…?
いや、そもそも…なんで兄貴は番長になったんだろう……
「…ごめん、変なこと聞いた。」
「いや……」
そういえば、俺は兄貴のこと…何にも知らない。どこ住みとか、学校で何してんのかとか…名前だって、苗字しか知らなかった。
そう思うと、急に怖くなった。
吹き抜けていく秋も終わりの冷たい風に思わず身がぶるりと震えた。兄貴がいなくなった後…
俺は、どうすれば良いんだろう……
つづく
おまけ
「はい、ユウちゃんおかわりどうぞ!」
「ありがとなっちゃん!うーん…絶品!良いお嫁さんになれるよ…」
「お、お嫁さんだなんてっ!で、でもそっか…ハルトくん相手なら…」
「おやおや見せつけてくれちゃう?実際女子力すごい高いよね。」
「趣味が高じてるだけだってば…ユウちゃんも美味しく食べてくれるから…」
「実際美味しいからね!…あれ、サエさんは?」
「お姉ちゃん?クライアントさんとの打ち合わせでさっき出ていったよ。」
「はぇー…仕事のできる女ってやつかー…」
「遅くなるみたい。だから一緒にご飯食べてくれるユウちゃんがいてくれて嬉しいかな?」
「もー…そーゆーとこだよーなっちゃん!どう?今夜アタシお泊まりしちゃう?」
「明日学校でしょ!…次のお休みにね?」
……………
「ふう…ご馳走様……」
「キャプテンごちあざーした!!」
「ごちそーさん。ってか良いのか俺まで。」
「待たせたようだからな。まあ、たまにはって奴だ。」
「そういや女の子のデート代とかもお前出してんの?
「一応な。割り勘が良い場合は応じるが。」
「イケメンかよ…つーか小遣いとかで足りんのそれ?」
「貰っていないが?株式の運用で自分で稼いでるぞ。」
「だとよタケル…え、待ってじゃあ稼いでないの俺だけ?」
「って事だな!」
「…俺もバイト始めよっかな。」
「部活に影響が出ない程度にな。一応ツテはあるぞ。」
「お前ほんと何モンなの…?」
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