夏休み。
俺は田舎の親戚の家に遊びに行っていた。
もう毎年のことだ。新幹線と特急とバスを乗り継いで、そこから歩き。山と山の隙間に広がっているみずみずしい青い田んぼにちょっと目がチカチカしながらも、重い荷物を背負って歩いていた。
じりじりと照り付ける太陽が、確実に俺の体力を奪っていく。適当な木陰を見つけて、ちょっと休憩。持ってきていたペットボトルの水はすっかり飲みきってしまっていた。こんな田舎に、そうやすやすと自販機があるわけがない。全国的に猛威を振るう猛暑は、例外なくこの田舎道をも襲っていた。ああ、大自然すぎる……。
そう、己の準備不足と見通しの甘さ、そして太陽に対して悪態をついていたときだった。
「おーい、瑞樹君ーっ」
「あっ、おじさん」
颯爽と軽トラを運転してきたのは、俺の母親の弟にあたる、悟おじさんだった。農業をやっている、田舎の人、っていう感じで、柔らかな物腰と、その奥にある鋼のメンタルを感じる、なかなかにいい人だ。
「すいません、わざわざ」
軽トラに乗り込みつつ、俺は礼を言う。
「いやあ、今年の夏はすごいからねえ、ほんとはバスの時間に合わせたかったんだけど」
「いや、ここまでで十分ですよ」
ふーっ。クーラーの効いた車内はまさしくオアシス。パタパタとTシャツを前後させて熱気を外に出してやる。
「あ、そういえば陽人くん元気ですか?」
なぜ毎年毎年と、こうやって俺が田舎に遊びに行っているかというと、もちろん、都会の喧騒を離れたいっていうのもあったが、小学生のいとこ、陽人に会いたいというのがある。俺は割と子供は好きな方で、一人っ子だから弟というものにすごく憧れがある。去年だって、俺が帰るときになって、ぎゅーっと抱き着き、また来てねって言ったあの陽人の表情は忘れられない。
「うんうん。もう俺の言うことなんか全然聞かなくてさー、ずっと走り回ったり。あ、ほら、うちにでっかい蔵あるじゃん、そこ、遊び場にしちゃってさあ」
話を聞くところによると、蔵の中に残っていた古い本とか壺とか、なんでもかんでも上手に遊び道具にしてしまうそうだ。確かに、あのぐらいの年齢のころって、なんでも遊びに使えたよなあ。そんなことを、高校生の俺はふと思い出してなつかしさに浸っていた。
「よーし。到着。あ、陽人出てきたな。もう、家んなかで待っとけっていったのに」
発射された弾丸みたいに、びゅん、と飛び出してきた陽人は、去年よりも少し大きくなったように見えた。健康優良児そのものって感じで、外で遊んでます、という証明のように小麦色に日焼けしていた。軽トラまで来ると、ばんばん、と助手席のドアを、叩いていた。
「待って待って、すぐ出るから」
「兄ちゃん! 瑞樹兄ちゃん久しぶり! ね、ね、見て欲しいのがあるんだ! あ、オレすごく身長のびて、クラスでも結構後ろの方になって!」
「こら陽人、瑞樹君が困ってるじゃないか」
「いや、俺は大丈夫ですから!」
悟おじさんをやんわりなだめながら、俺は陽人の手を握って、平屋建ての大きな日本家屋の中へと、入っていった。
そのとき陽人の握っていた葉っぱに注意していれば、あんなことにはならなかったのだが……。
「瑞樹兄ちゃん! いっしょにおふろ入ろーよ」
初日ということで、おじさん夫婦はものすごい御馳走を用意してくれた。親切心だってことはわかっているけど、あれも食えこれも食えとたらふく食べさせられて、動くと中身が出そう。
「わかった、わかったから陽人、動かさないで……」
よいしょっとおっさんみたいな声を出して立ち上がると、陽人はもうシャツを脱ぎ下着姿になっていた。全く。小学校も高学年になったっていうのに、まだまだ落ち着きがないなあ。
仕方ないとわしゃわしゃと頭をなでてやると、陽人はうれしそうに満面の笑みに。それを見ているとなんだか力がわいてきた。
「よっしゃ、風呂行くか!」
半ば追い立てるようにして、風呂場に向かった。
おじさん家のお風呂場は、堂々たる日本家屋の外見に似つかわしい、水色のタイル張りの大きい湯舟だった。なんか、サザエさんで見ているあの感じの大きさ。おじさんのお父さん、つまりもう今はいない俺のじいちゃんが湯舟は広い方がいいって言ってこだわったポイントらしい。
がらり、とガラス戸を開けると、ばっと湯気が飛び出てきて、すっかり日の暮れた窓の外から、虫たちの大合唱が聞こえてきた。
すっぽんぽんになった陽人。股間はまだもじゃっておらず、いかにも子供サイズのそれ。自分の股間に鎮座しているブツと見比べて、思春期ってすげえなあ、なんて呑気に考えていた。
「にーちゃん、はやく、お湯のかけあいっこしよ!」
きゃぴきゃぴ、エネルギーの塊みたいな陽人。はいはい、と俺は湯舟につかる。バスロマン入りの森林の香りがする、すこしとろりとした湯に足を浸し、全身を入れる。
「へっへー、お兄ちゃん、ひっかかった~! えいっ、シャチの浮き輪にな~れっ!」
「はっ? 何言って……あ……」
ぐわん、と視界が歪む。はあ、はあ。息が熱い。
どくん、と心臓が跳ねる。
陽人のにんまりとした笑顔が見える。なんだあれ、おでこに乗せてるの……葉っぱ?
「お兄ちゃん、おへそ、見てみて」
言われるがままにお腹の方を見やり、俺は絶句した。
へそが、俺のへそがでぼっと膨らみ、飛び出していた。それも、浮き輪の空気穴のように。ぷくーっと空気穴となってしまったへそから膨張が始まる。透けていくお腹。膨張がとまらず、腕や足に伝染していく。ぶくーっと膨らんでいくと、皮膚が黒く薄く透き通っていき、足がびったりと癒着していった。立っていることができなくなって、湯舟の縁に頭を乗せたまま仰向けになる。ぐるんぐるんと回る視界。くすくすという陽人の笑い声が耳に響き渡る。
「あ、あ、た、たすけ……」
「もう、ダイジョウブだってお兄ちゃん」
う、あ、足が……。ぴったりとくっつき一本になった足の先がぶくっと広がり、そのままシャチの尾びれのようになる。浮力で、水面に浮きあがった体がぷかぷかと揺れる。かーっと顔があつくなったかと思うと、そのまま一気に頭全体が膨張した。口の端に切れ目が入っていき、頭がどんどん前方へと伸びていく。俺は、俺はシャチフロートになろうとしているのか……?
最後に、両側に離れ離れになってしまった目からの視界に酔いそうになりながらも、なんとか腕の変化を、飾りのようなむなびれへと変化し、もっこりと、持ち手が浮かび上がった体を見た。
「おおっ、たぬきの化け術、だいせーこーっ! お兄ちゃん、ぼく、お風呂ででっかいシャチの浮き輪で遊ぶのが夢だったんだー!」
こら、いくらなんでもやりすぎだ、っていうかこれどういうことだ、というか、俺、喋られない。頭がこんがらがってわけのわからなくなっている俺の気持ちが伝わったのか伝わっていないのかはわからないが、陽人は実はね……と語り始めた。
「蔵にひまだったから遊んでたら、このたぬきの葉っぱと使い方が書いてあったんだー。葉っぱを頭に乗せて、ヘンシンさせたい相手に触ると、相手をいろんな動物とか物にできるんだよ!」
それで……。陽人は続ける。
「お兄ちゃんを、いろーんな物に変えて、遊んだら、楽しいだろうなあって!」
くそ。なんていい笑顔していやがる。純粋な、子供のあどけない笑顔。
陽人は、シャチフロートになった俺が愛おしいのか、ぎゅーっと抱き着いてきた。と、次の瞬間。
ひゃ、ひゃうううっ♡
「あれ、なんかいまお兄ちゃん、びくんってした?」
もう一度、ぎゅーっ。
あ、ん♡ あひ、ひいいんっ♡
「ううん? やっぱりおかしいなあ。ってあれ? なにこのでっぱり、えーい、つんつんしちゃえ」
あ、こら、んはっ♡ んひいいっ!
こんなにも、こんな高校生にもなって見苦しく悶えているのは仕方ない。陽人にぎゅーっと抱き着かれると、まるで射精。そうだ、射精したときのような、イってしまったときのような快楽が全身をほとばしるのだ。
そして今陽人がつんつんし始めたでっぱり……まさか。
俺の予感は的中する。
「なにこれー? おっきくなりはじめたんだけど。なんかちんちんみたーい!」
あはははって陽人はお腹を抱えて笑う。だが、こっちにとっては笑い事じゃない。こんな、親戚の、それも年下、小学生のまだ射精や勃起という性教育のせの字も知らないような純粋なる子供の前で、俺は、シャチフロートに変化させられ勃起したチンコをさらしているのだ。
だが、快楽には勝てない……ッ!
く、あ♡ あひ、ひっ♡
くにゅん、くに、とゲームのコントローラーをいじくるように、陽人は俺のシャチチンコをもてあそんでいく。そのたびに、びくん、びくんと背筋を冷たいひえひえの舌でなめずりまわされるような、足の指と指の間をぺろぺろと舐めまわされるような、そんな気持ちよさが体中を駆け巡る。
「すごーい、ちょー細長くなっちゃった。ソーセージみたい! 四十センチぐらいあるんじゃないかなあ、これ」
ぎゅ、ぎゅん、と陽人が握ったりこすったり、本当にわざとなんじゃないかだろうかという感じで、的確に俺のペニスを愛撫していく。シャチフロートの、動けない、モノ、としての体で、ただ感覚だけがあるという拷問に、俺のチンコは、あっと言う間に限界を迎えた。
あ、やべえ、陽人、出る、俺、お前の手コキで射精しちまうッ!
びゅ、びゅる、びゅるるーーーーっ‼
「わ、わあ、な、なにこれ、噴水みたいな、すごい! お兄ちゃんシャチのジェット噴射だーっ‼」
らひ、あ、うひ、あ、あんっ♡
チンコの内側から液体があふれ出して水圧で管を押している感覚。腰にぐっと力がこもり、射精している、という感覚が、俺の頭を支配し、そして、熱が冷めるように去っていった。
や、やべえ。お、俺、陽人の前で、射精、しちまった……。
「ね、ねえねえ! お兄ちゃん、お兄ちゃん! さっきのジェット噴射、もう一回やっていい? いいよね、やるね!」
ま、まて、あ、はひ♡ イったばっかで敏感だからっ!
結局その晩、俺は透明な汁が出るまで、陽人の手コキでイかされてしまったのだった……。
翌朝。なんとなく、腰が重い。それにチンコがひりひりとする。絶対昨日射精しすぎたせいだ。
結局、昨日の勃起&射精については、陽人に懇切丁寧にはぐらかして事なきを得た。セーフ。陽人はほんとうにただの水が出てきただけだと思っているはずだ。
そして、明日もいっぱい遊ぼうね、と恐ろしい言葉をかけられて、ゆっくりと眠ったのだが……。
「ブルル……。」
「いけえ! お兄ちゃん、もっとスピード出してぇ! 叩けばいいのかな? 前、パパがそうやってるの見たことあるし」
「ブルル、ヒヒーンッ!」
「あ、ごめん、痛かった? お兄ちゃん。そうだよね、よしよし……」
なぜ起きたらもう馬になってたんだッ⁉ それに朝勃ちという生理現象でフル勃起してるし、下を見たついでに確認するとしっかり馬の暴力的なチンがついてるし、普通に歩いているだけで、背の高い夏草がこすれて感じちまうし……。最悪だ……。ブルル……。おっと、思考まで馬になりかけている。
「ふう。でもパパとママに見つからなくてよかったあ。朝から畑にいってるみたいだし、なんか夢でお兄ちゃん馬にのって遠くに行きたいなーって思ってたら、朝起きたらお兄ちゃん馬がいるしっ!」
おおかた、あの謎の葉っぱをつけたまま眠って、手が偶然に触れ、俺は寝ている間に馬に変身させられてしまったのだろう。はあ。
ぱっかぱっかと田舎道、というかこれはもう獣道だな、を進んでいく。蹄の感覚が新鮮だ。指一本で馬は体重を支えている、と聞いたことがあるが、安定感は半端ない。あと、筋肉が走るためにある、という感じがする。あとチンコがでけえ。めっちゃ草に擦れている。正直、昨日あんなに射精してなかったらもうイってた。
歩くたびにぶらぶらと股間で玉が揺れているのを生々しく感じる。ていうかそれに、俺、今全裸じゃね?
やば、もうお嫁にいけない……。
ええい、ここまで来ればもう半分やけくそだ。陽人の案内にしたがって、行きたい場所、というところにむかっていた。
「えーっと、そろそろ着くはず……。あ、ここだよお兄ちゃん!」
陽人がと止まって、と言った場所は、村を、ここの集落を一望できる高台だった。向こうの方で、おじさんとおばさんが農作業しているのが見える。あれが隣の源さんかな? すごい、こんな場所があったなんて。
「すごいでしょーっ。去年、お兄ちゃんが帰ってからすぐ見つけたんだ! 探検のせいかだねえ」
ひょい、っと器用に馬に変身している俺から降りた陽人。
「ううん、ここまで来たけど、喉乾いちゃったなあ。いっつも朝は牛乳飲んでるんだけど、あ……」
にまあ、と俺を見て何かを思いついた様子の陽人。お、おいまさか!
「えーい! お兄ちゃん、牛さんになあれっ!」
ぽん! っと、そんな腹太鼓のような音が聞こえた気がした。陽人に触れられたところが熱を持ち、それが広がっていく。するとむくむくと腕、いや、今は前足か、が膨れ上がりはじめ、すらっとした馬の肉体が、真っ黒な獣毛が、どんどんと、ホルスタインのそれに変化していく。長い、いわゆる馬顔まんまの頭が、むくっと膨れてんもぅ、と思わず口から零れてしまった。
「んもっ⁉」
下腹部に、とんでもないちくちくとした、痛みに似た熱さが集まっていく。慌てて見ようとするが、首が回らなくてうまく見えない。くそっ。
そんな間にも、股間のあたりではチンコがしゅるしゅると縮んでいく感覚、それにだぶっと下腹部の皮膚が、体がぶくぶくと膨らんでいく感覚が俺を襲う。
「うわーお。お兄ちゃん、すごいよ、おっぱいが、牛さんのおっぱいができてきてる!」
「んもーっ!」
ぷく、ぷくっと仕上げと言わんばかりに、まるまると張ったおっぱいの先端に、四つの乳首がぶら下がったのを感じた。
「ふふ。お兄ちゃんミルク、いっただっきまーす」
かぷ、と生暖かい陽人の小さな口が、俺の乳首を優しく咥えた。
「んもおおおおっ!」
刹那、ずどん、と体中を駆け巡る快感。俺は必死に、陽人にけがをさせてはいけないからとびくん、とその巨体が跳ね上がるのを何とかこらえるので必死だ。あ、な、んあ、んも、んあ、なんか出るっ‼
「ん、のあ、ぷは、んっ!」
びゅ、びゅしゃ、ぶしゃーっ。
「んもおおおおお、んも、んんッ♡」
俺は天を仰ぎ、瞳からは涙がこぼれだす。そしてぷにゅ、と小さな刺激を与えられている乳首から、それを跳ねのけるように一気に母乳が、男なのに、メス牛に変身させられて、親戚の、それもまだ性のせの字もしらない小学生に、授乳しているという、その背徳感と一緒に飛び出した。
「ふ、んあ、は、はーっ。もう、お兄ちゃん一気に出しすぎー。でも、ん、ごくん。すっごくおいしいよ! もっと飲んでいい⁉」
そう言い切る前にもう二度目の吸い付き。俺は、んもお、と不満げに言いつつも、陽人に授乳している、という謎の母性が目覚めてきて、それでもいいか、と、二度目の母乳を発射するのだった。
「たのしかったねえ!」
そうつぶやくのは、牛になった俺の背中にまたがっている陽人。俺もすっかり慣れた様子で、んもー、とそれに返事した。
「お兄ちゃんミルク、おいしかったなあ。またやってもらお」
帰り道、別に急ぐあれでもなかったので、俺たちはゆったりと来た獣道を戻っていた。そのとき、急に陽人が叫び出す。
「あっ、お兄ちゃん、どうしよ、隠れて!」
「んも?」
「ぱ、パパだッ!」
は、おじさん⁉ どこだ……? 周りは背の高い草に覆われていてよくわからない。
「おーい、陽人! そんなとこで何してるんだーっ」
俺は、さーっと顔から血の気が引いていくのを感じた。まずい。非常にまずい。こんな状況、どう説明すればいいのだ。陽人は牛の背中に乗ってるし、変身を解除したって俺は全裸だ。圧倒的に詰んでいる状況に、俺は頭を抱えていると……。
「えいっ、お兄ちゃん、ぬいぐるみになっちゃえっ!」
ふたたび、ぼん、という音。それとともにぼふん、と煙が起こり、俺は落下するのを感じた。そして、ころころと地面を転がっていく。なんだ、痛……くない?
次の瞬間、ぐわん、と一気に上昇する感覚。煙が晴れると、さっきまでの夏草が、一気に森のように見えた。
「お兄ちゃん、ごめんね、ちょっとくまのぬいぐるみになってもらったよ。これならバレないよね……」
は、はあ⁉ そう叫ぼうにも、俺の口は動かない。首も。というか体自体どこも動かせなかった。だらん、と垂れている四肢、頭。陽人に抱きかかえられて、そのまま夏草を強行突破する。
「パパ! ごめんね、ちょっと秘密の場所にいってたんだ」
「ああ、あの展望台みたいなとこか。それで、お兄ちゃんはどうしたんだ?」
「あ、お兄ちゃんはね、眠たいからってまだお部屋で寝てるよ」
「そうか……」
俺はおじさんと陽人の会話を、どきどきびくびくしながら聞いていた。やけに話が長い。おじさんは、なんで今、というようなことを次々とまくしたてた。宿題ちゃんとやってるか、とか、お兄ちゃんに会えてうれしいか、とか。ぬいぐるみについて聞かれても、陽人は蔵で見つけたとかなんだか行ってうまくごまかしていた。案外、陽人もやるなあ。
その間、手持ち無沙汰になったのか陽人は、ちょうど俺の、ぬいぐるみになってしまった俺の股間部分をいじいじとつまんだりさすったりしていた。すると、当然元生物であるせいで、興奮すると反応してしまうわけで……。ぬいぐるみにもあったことが驚きなのだが、ぴょこん、と小さな、まるで芽のような、飾り物のチンコが、フル勃起してしまった。
陽人は、ちょうどいじくりまわすのにぴったりなでっぱりができた、と言わんばかりに、俺のぬいぐるみチンコをくちゃくちゃ、くりくりといじくりまわす。そのたびに、俺は何も抵抗できないという特殊プレイとの相乗効果で、いつもの何倍もの気持ちよさを、快感をむさぼっていた。
んあ、あ、あん、はうう♡
もう、人間だったら何度も何度も射精しているはずなのに、ぬいぐるみでいるせいか射精できない。そのせいで、狂おしいほどの快感が、何度も何度も、波のように俺に打ち付けた。
「……ちゃんと帰ったらお兄ちゃんを起こすんだぞ。じゃあ、パパたちはまだ農作業があるからな」
は、はひい。やっと、やっと終わった。
「お兄ちゃん、ごめんねえ。大丈夫だったでしょ? 帰ったらちゃあんと人間に戻してあげるからねえ」
それからというもの、陽人はあの謎の葉っぱで俺を色んなものに変身させまくった。川に遊びに行けば、イルカになって泳ごう、と無理やり泳がされるし、夕食時には、なんと箸に変身させられた。箸になる感覚なんて、今後一切味わうことなんてないだろう。とろっとした陽人の口のなかの感覚が思い起こされて……今でも勃起してしまう、くそ。他にも、ドラゴンがみたいとドラゴンにさせられたり、テレビが見たいからってテレビにさせられたり……ほんとうに大変な一週間だった。そして、事件はその、俺の滞在最終日に起きた。
「どうしよ、お兄ちゃん、ぼく、たぬきさんになっちゃった」
もう泣きだしそうな声になっている陽人の、そんな言葉で俺は目を覚ます。今日は何にされたんだろう、と思って適当に返事をしていると、視界に茶色いけもくじゃらな物体が目に入り飛び起きた。
「お、おいそれ」
頭に葉っぱを乗せた陽人。ふっさふさの毛に覆われた尻尾をだらんとぶらさげ、腹太鼓を打てばいい音が響きそうな、でーんと前に突き出したデブデブの体、それに合わせて大きくなった雄っぱい、そして、もう何度もなきじゃくったのだろう。マズルの突き出した顔、その目の下のくまのような獣毛はもうすっかり涙でくったくたに濡れていた。
ちいさなタヌキ獣人の子供、そんな姿の陽人がそこにいた。
とりあえず蔵に陽人を移す。幸いおじさん夫妻はまだ農作業中だ。そして陽人に、あの葉っぱの使い方が書いてあったという紙はどこにあったのだ、というと、陽人は蔵の奥の方から、その葉っぱが入っていたという箱を取り出してきた。中を確認すると、つたない子供の字で、こう書かれていた。
「はっぱを あたまのうえにのせて へんしんさせたいものの なまえをとなえると あいてをどうぶつやものに へんしんさせれます。 コウキ」
たしかコウキってじいちゃんの名前……。ということは、これはおじいちゃんの代から受け継がれてきたってことか? いや、今はそんな考察どうでもいい。それより、もっと詳しいことは……って、なんだこれ。その汚い紙きれ以外にも、箱の中にはあきらかに古そうな和紙かなにかに筆で書かれているのがあった。それにあわてて目を通す。
なるほど。どうやらこれは化け狸の変化の練習用に使われていた葉っぱ、そのレプリカ的なものらしい。たぶん、じいちゃんはめずらしいものを集めるのが趣味だったから、そのうちの一つなのだろう。読み進めていくと、ペナルティのようなものも存在することがわかった。人間が使いすぎると、妖力が溜まりすぎてタヌキの姿になってしまうそうだ。そしてその解消法も、書いてあるには書いてあったのだが……。
「……だってさ陽人」
「え、お兄ちゃん、今からぼく、それやるの、や、やだ、やだよう!」
「でもそうしないともとに戻れないぜ」
「う、うえーん」
俺は陽人の頭から葉っぱを取り上げると、自分の頭に乗せた。ええっと、変身させたいものを思い浮かべて、相手に触れる……。こうだな。
ぼふん、と陽人のからだは、石のタヌキお地蔵さんになった。
「陽人、今年は泣かなかったんだな、えらいぞ。大人に一歩前進だなあ」
「えへへ、だってお兄ちゃんは来年になったらまた帰って来てくれるもん」
「でも、瑞樹くんもいきなり帰るなんて……。挨拶もまだだったのに」
「仕方ないよ。なんかすっごく大事な用事を思い出したって」
こ、こんな感じか? 小学生の体に化けてみると、思った以上に声が高くてびっくりする。そう。俺は今、陽人に化けているのだ。あの葉っぱは、なにも相手を化かすための道具じゃない。自分も化けられると書いてあったので、その通りやってみたらうまくいった。今のところ、おじさんにもバレていない。
俺は、陽人のところに向かう。
「うえーん、お兄ちゃんっ、もういたずらしないからあ!」
「仕方ないだろ、なってしまったことについては」
石のタヌキのお地蔵さんになって、チンコから妖力入りおしっこを出し続ける……。これが、人間が妖力を抜く唯一の方法らしい。
「ほら、差し入れ。おにぎり」
「うう、ぐすん、ありがと、お兄ちゃん」
じょぽじょぽと、静かな森の中で、陽人がおしっこを出し続ける音だけが、ずっと、響き続けていた。
(おしまい)