「室長、お待ちしておりました。・・・実験体、まもなく覚醒の予定です」
もうすぐ生体スウツとして生まれ変わろうとしているサメ型の実験体をガラス1枚を隔てた部屋で眺めている、白衣を身にまとった2人の研究員。
座っている一人は若い風貌の男性が、そして部屋内に今しがた入室してきたもう一人は壮年に近い女性であった。
二人の会話の様子から見て女性のほうが上司なのであろうか、男性研究員の指し示すディスプレイの画面と実験体を交互に眺めていた。
「上出来じゃない、急ごしらえでこれほどまで今回のプロジェクトに適応する個体が調整できるなんて。私達にも運が向いてきたのかもしれないわね」
「ええ。あとはデータを集めてプレゼン資料として仕上げたいかと・・・」
ディスプレイ上の素体のデータを眺めていた彼女は、開いた手のひらに拳を当てる仕草をしてから男性研究員の肩を軽く叩く。
「覚醒したらすぐに実験を開始しなさい。そして5時間ほどのデータが期待値に達していればその時点での内容を精査した上ですぐにパワーポイントで出力をお願い。それで今夜にでもプレゼンにこぎつけたいわ。・・・できるかしら?」
彼の顔を俯瞰で覗き込むように見つめるその表情には心なしか目力がこもっていた。
「・・・今夜ですか? また早急な・・・」
「できるかできないか、どちらかで答えてちょうだい」
室長の語感が若干強まる。
「できると思います。思いますが・・・この実験体への負荷は相当なものになるかと思われますが・・・それこそ生命維持の危険が相当に伴うレベルになるかと」
「元々今回のプロジェクトのプレゼン用に調整した素体だから『壊れて』も構わないわ。これは室長としての命令なの。・・・できるわよね?」
「・・・わかりました」
圧に押されて男性研究員は折れるように承諾した。
「じゃあ早速覚醒後の実験の準備をお願いするわね。・・・とはいえ覚醒までの間はまだ時間がかかるでしょうから、実験体と少し対面させてちょうだい」
「了解しました。では隣室のロックを解除しますね」
・・・・・・・・・・・・・・・
「この子が今回の実験体ね、なかなか可愛いルックスじゃない」
つり目の攻撃的なルックスの顔が特徴的なサメ獣人型の生体スウツとして生体改造を施された実験体は、調整を終えて後は覚醒を待つだけの状態で放置されていた。
「ふふ、、、この覚醒前でも無意識に感じちゃってる光景がまたそそられるのよね。常人の28倍、その性欲を存分に堪能させてあげるわ。壊れて昇天してしまうまでね・・・」
室長はそう言うと、サメ型生体スウツの股間を優しく撫で廻した。
瞳には生気がなく、まだ覚醒前で意識が無い状態であるはずなのではあるが、彼の股間に収納されている一物は徐々に太く大きくなっていきラテックスの体に小高い山の輪郭を浮き上がらせていた。
彼が覚醒した後、正に地獄のような快楽拷問が壊れるまで続くとは当人は思いもしていないだろう。
半日足らずで1600回もの射精をさせられるという拷問を・・・。
そもそも、目覚めたときに人間で無くなっていることなど、想像もしていなかったであろう。
・・・その時は刻一刻と、確実に、目前まで迫っていた。
[newpage]
・・・それでは、今回の当グループの
【スレイブスウツ型生体スウツの製作に関する成果報告】を行わさせて頂きます。
実際の被験者の実験段階の映像がこちらです。
液体のラテックスが有機的に被験者の身体に覆い、癒着していく様子がご覧いただけるかと思います。
ここまでは他のグループで実用化もされている工程なのは各所ご存知の通りではありますが、
私たちはこの時点で拘束特化のアタッチメントを同時に被験者に組み込むことに成功いたしました。
映像のアングルを変更いたします。
このように、液体状のラテックス発生源となっているマスクの開口部と、被験者の下腹部から生成されている人外のペニス、その2点を連結させるアタッチメントをラテックスコーティングの過程で同時に組み込んでおります。
この状況下では全ての被験者が本能的にまず顔を防御しようとします。
顔に覆いかかろうとするマスクを何とか外そうと両手を使うのです。
私たちはこの時の大きな「隙」に着目いたしました。
試行錯誤の結果、マスク以外の被験者の身体に付着したラテックスから同時進行でラバーペニスと搾精装置を精製させる技術を生み出すことに成功いたしました。
なお、この仕組みはお渡しした資料に記載されておりますので、後ほどご確認いただければと思います。
次の映像は、先程の被験者が生体スウツとして覚醒した直後の様子です。
通常の製作工程とは異なり、短時間での生体改造を行ったために基礎的な身体スペックは通常の献体よりは低めになっております。なお、性欲等のスペックは通常の生体スウツ達に準じております。
この被験者の最大の特徴は「腕」です。
冒頭に「スレイブスウツ」と表記した理由がこちらになります。
この工程で生み出された生体スウツは腕が自由に動かせない、いわば拘束衣を着ているかのような状態となります。この部分には開口部がありませんので、腕が開放されることは決してありません。
腕が使用できないために身体の動きが制限され、実験の際に暴れたり抵抗するなど、研究員の手間を省く行為を抑制する狙いがあります。
また、スレイブとは、奴隷という意味合いも持っております。
腕が自由に使用できない、これはすなわち自慰が自由に出来ないということになります。
通常の生体スウツは上位実験体以上の格付けか、一部の商用個体でない限りは自由に自慰をすることはほぼ不可能ですが、それを更に特化させたもの、と捉えていただければと思っております。
生体スウツにとって性欲を解消することは最大の喜びの1つだと思っておりますが、これを完全管理できる、
文字通りスレイブ仕様の生体スウツということになります。
[newpage]
では、最後の映像になります。
先程の被験者が搾精実験を受けている場面です。
申し忘れましたがこの被験者はサメ獣人型で素体は29歳男性、調整後の性欲増幅度は常人の28倍となっております。
この搾精実験も通常の生体スウツたちと同じ光景ではありますが、今回差別化を更に図るために搾精装置に最新のものを使用しております。
搾精管の先端が被験者のペニスの内側・・・尿道の中ほどまで入り込み、吐精した精液を逃さず吸い出す構造になっています。
外側に見えているゴールドの部分は、尿道内の搾精管が外れないように外部から押さえ込む目的と、この部分自体から微弱な低周波などで直接刺激を与える2つの作用を担うデバイスとなっております。
この被験者は実験開始後から2時間強で200回を超える射精回数となっております。
現在研究所内の大多数の個体で行われている空気圧による搾精装置よりも数10%ほど高い搾精効率を目指しておりましたが、この被験者に限定すれば20%近い成果となっております。
尿道内に管を挿入しているために装置外に漏れ出す精液の量も最小限に抑えられており、後処理の時間短縮効果も期待ができることかと思われます。
ただ、併用して通常の上位実験体・准適合者の数体にもこの搾精装置を装着させて検証しましたが、「快楽の度合いが薄い・つらい」と概ね不評な結果となりました。この辺りは要改善だと思われますが、消耗品としての意味合いが強い実験体への使用限定ならば実用化は可能かと思います。
ぜひこの搾精デバイスの導入もご検討ください。
私たちの成果報告は以上になります。
ご清聴ありがとうございました。
この後皆様で私達の研究室内に収容している被験者を実際に見ていただきたいと思います。お時間のある方はお立ち寄りください。
さきほどの映像から6時間ほど経過しておりますが・・・「まだ」意識はあるかと思われますので。
はい、残念ではありますが今日明日にでも壊れる可能性が出ておりまして・・・
今回は生体スウツへと改造を完遂した被験者はこの1体のみなので、今後の献体数の増加で安定化はするとは思いますが、スレイブスウツとしての身体の構造上精神面への負荷が相当かかることが一番の懸案事項となっております。
洗脳処置を必須とさせるなどの対案も考えてはおりますが、可能な限りそのような処置を行わずに実用化を目指す考えでおります。
ともあれ、通常とは異なった性質の生体スウツをご覧いただけるかと思いますので、ぜひ。
運がよければ「壊れる瞬間」に立ち会えるかもしれませんので。
では、皆様の準備が整い次第私たちの研究室へと移動いたしますので・・・・
[newpage]
お待たせしました、こちらがさきほどの映像で紹介しておりました被験者になります。
右太股に表示されている射精数をご覧ください。
現在1560回を超えております。これは搾精実験を開始してから8時間強での回数になります。
当研究所では実験体で日に最高1200回、適性が最も低い准実験体でも約1500回という射精回数のセーフティラインが定められておりますが、既にそれをも超える数値を記録しております。
当研究所の実験体達は日に10~14時間ほどの実験への従事を行っている上での先のセーフティラインの数値になりますので、この新しい搾精デバイスの威力の高さがお分かりいただけるかと思います。
ただしその代償として、被験者の心的消耗が著しくなってしまう点は否めません。
この被験者には頭部に精神レベルを数値化したものを常時表示しておりますが、現在は2%となっております。平時の数値が100%になりますので、現在はかなり危険な状態にあるということになります。
日々健康な精神状態で実験を行うつもりで実験体たちと接するのであれば、20%前後は残しておくのが賢明な判断かと思います。これよりも数値を減少させる実験を行う場合は、翌日に休養を取らせる等の対策はされたほうが宜しいかと思います。
とは言いましても、今回の被験者は私たちの研究の成果報告のために製作した個体ですので、このまま0%に低下するまで実験は継続いたします。
0%になった時に被験者がどのような状態になるのか、それも含めての検証データの確保が最終目的でありますので。
・・・以上で被験者を交えた説明は終了とさせて頂きます。
もう私たち研究者の規定の勤務時間を過ぎてしまいましたので、こちらの検証結果はデータがまとまり次第皆様に資料としてお渡しできる予定です。
またご質問等がありましたらこの場での口頭質疑ではなく研究員用のツール経由で承りますので、そちらもご活用ください。
本日は長時間に渡り私たちのグループの成果報告にお付き合いいただき、ありがとうございました。
皆様忘れ物の無いよう、お気をつけてお帰りください・・・
[newpage]
・・・・・・・・
「被験者S-SLV01」
そう呼ばれていた元人間のサメ型生体スウツは、それから僅か20分後に精神が崩壊した。
『人外のマスクを装着して身体へのフィット感を調査する実験』
そのような触れ込みでのモニター募集に参加した男性は、わけもわからず全身をラバーコーティングされ、その後生体改造まで施されてサメ獣人型の生体スウツへと変化させられてしまう。
生体スウツへと生まれ変わり、身動きが満足に取れない体勢で目覚めた彼がまず最初に感じたのが「窮屈感」であった。
その原因は生体改造の過程で強制的に精製され、身体の一部分のようになった搾精アタッチメントをマズルの奥深くまで咥えさせられた状態でいたからなのだが、鏡もなく全身を手探りで確かめようにも腕の自由が利かないスレイブスウツの構造では彼は理由を察知することなど不可能であった。
次に感じたのが全身を覆う「むずむずするような性感」。
当人はラバーで出来た着ぐるみを着させられているような感覚であったのだろうが、その身体は急ごしらえの生体改造ではあるが生体スウツそのものであり、彼らに共通する常人を遥かに凌駕する性欲が備わっているとは夢にも思わなかっただろう。
しかも常人の約30倍という実験体の中でも高いレベルの性欲増幅度で調整・改造されていたのである。
身体の変容に戸惑う彼を気に留めることもなく、研究員は搾精管を彼のラバーペニスの内部に挿入していく。
やめてくれ、と声を上げようとするが、口内に咥えられている何かが邪魔をしてうめき声しか上げることができず、搾精管が尿道に押し込まれて行く未知の快感に身悶えすることもできなくなってしまう。
そうしている内にも実験の準備は着々と進み、そして・・・
搾精装置の作動が無慈悲にも開始されてしまったのだ。
今までの自慰や性行為では感じたことの無い強烈な快楽が電流のように全身を駆け巡り、あっという間に絶頂を迎えてしまう。
意識が飛びそうになるくらいの快感を伴う射精。
それに伴い性器から直結されたチューブ内を人間では考えられない量の精液が勢い良く走り抜けていく。
生体スウツへと改造されたことにより性感だけではなく精液の精製量なども飛躍的に増加し、さらには射精後に一物が萎えることも性器が過敏に反応することもなく、再び同じ快楽が彼の全身を包んでいく。
そして・・・初回の射精から僅か25秒ほどで二度目の、1分を待たずに三度目の射精。
搾精管から連結されたチューブ内の精液の層は次第に口元まで遡ってそのまま口内へと注がれていき、口内のアタッチメントの端から溢れ出しはじめた精液は食道に直接流れ込んでいき、彼は抵抗することもできずに強制的に飲み込んでしまう。
その間にも搾精装置は一切の妥協をしてくれずに彼のラバーの一物を責め立てていく。
射精は四度五度と間隔を空けずに続き、そこから精製された精液がチューブを遡り、それを飲み込む。再び射精をし、飲み込み、射精・・・
彼は逃げ場の無い快楽拷問・・・いや、快楽地獄を延々と、延々と繰り返させられるのみであった。
次第に時間の感覚が麻痺していき1分が5分のように長く感じ、それすら考える暇の無い快楽漬けをただ、ひたすらに。
そして脳内が快楽だけになってどれくらい経過したのか分からないまま、突然に彼の精神の鎖は限界を超えて破断し、実験の終焉を迎えることになった。
ここまで、彼が生体スウツとして覚醒して1日にも満たなく、搾精実験開始からは僅か9時間にも満たない時間内での出来事であったのだ・・・
[newpage]
・・・・・・・・
被験者の動きが止まったのを察知した研究員は被験者に近づき、手にしたタブレット端末を操作しながらマズルに挿入されたアタッチメントを取り出した。
じゅぽっと卑猥な音を放ちながら器具が取り除かれると、ぽっかりと空いた穴からは今まで精製された残留物が音も無くどろどろと足元にこぼれ落ちていく。
この間、被験者の視線も身体も置物のように一切動くことは無く、精液だけが重力に引き寄せられるように動いている状態であった。
「被験者S-SLV01・・・完全に崩壊してしまいましたね、室長のプレゼンが終わるまでよく持ったとは思いますが」
「そうね、この被験者は元々志願者でも無いから期待値はそれほどは無かったけれども」
室長と呼ばれた女性の研究員が片膝をつき、背後から被験者を抱きかかえて耳元で囁いた。
「お疲れ様。私たちの大切な研究に尽力してくれて感謝するわ。惨いことをしたかもしれないけど・・・気持ちよかったでしょう? 死ぬほどに。一日で1600回、21リットルも射精するなんて、人間には絶対に無理なことだからね」
女性研究員は淡々と語りかけるが、もちろん生体スウツ側は全く反応しない。
「さて・・・もう遅いから、この被験者の取り扱いは明日に持ち越しましょうか。どのみち廃棄処分にはなるでしょうけど」
「はい、了解いたしました」
・・・・・・・・
2人の研究員が去り、最低限の非常灯だけが研究室内を照らす中で残されるサメ型生体スウツ。
その下腹部では垂れ下がった一物が再び角度を上げようとしていた。
単なる偶然か、それとも彼の最後の生への執着の足掻きからなのか・・・