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【148】こ、これは・・もしや狂信者にジョブチェンジな展開ですか?

  「「あいすくりぃむ」・・ですか?」

  小首を傾げてオウム返しに問う[[rb:美人さん > お姉さま]]に頷いて「そうです。チョコレートを使ったアイスクリームですね」と少しだけ詳しく説明した。

  「今、冷蔵庫・・食材を保存する冷たい箱から出したばかりなので少々固いかと思いますが、暫くすれば溶けて掬い易くなるかと」

  「確かに、固い・・ですわね」

  言いながら、スプーンの先をアイスの表面に沈めようと四苦八苦する美人さんを目にして、今更なミスに気付く。

  「すみません。別の器に盛ってお出ししたら良かったですね・・」

  「気が利かずに申し訳ないです」と続ければ、美人さんは「とんでもございません!」とやや焦った様子で顔を上げた。

  「あたくしが不器用なだけですわ!魔女さんが気に病む必要はございません!」

  「いや、でも―・・はい。分かりました」

  拗ねた感じで目に力を込められてしまい、思わず謝罪の言葉が引っ込む。

  でも直ぐに美人さんの行動はこちらのうっかりに対する気遣いなのだと察して、「ありがとうございます」と言葉を続けた。

  「お礼を言われる事でもございませんわ」

  つん、と顎を逸らす美人さんに、ますます好感度が上がる。

  心がほっこりしたところに、隣で控えていたメイドさんが「失礼いたします」と声を掛けた。

  「こちらで別の器に盛り付け致しますか?」

  「そうね。お願い」

  「畏まりました。失礼致します」

  そう断って、美人さんの手元からカップとスプーンを回収。

  一度下がるも、30秒と経たないうちに戻って来るメイドさん・・

  いや。本当に早いな?!どんな身体能力?特殊技術?お持ちナンデスカ?!

  「お待たせしました」

  「ありがとう」

  音を立てずに置かれた浅くて丸い器に、2色の茶色が上品に盛られている。

  器はガラス製で、淡い青と緑の中間色。

  透明ではあるけど、気泡が沢山入っていて随分と趣きがあった。

  『古い和ガラスに似てるな~』

  少し前に「宝探し」と表記されたサムネを何となくぽちったら、古い和ガラス収集のチャンネルだったんだよね。

  そこで収集家の人が熱心に和ガラス製の瓶について解説していて、つい見入ってしまったのだ。

  インプットされたばかりの和ガラス知識から、目の前の器は『それなりに古い物なのでは?』と勝手な推察をする。

  なんて。気が逸れている間に美人さんはアイスをひと掬いしたスプーンを、ぱくりと咥えた。

  淡い方の茶色が唇の向こう側に消えると、笑顔も姿勢もそのままに固まる。

  ・・・・・・・ん?長くね?

  動きが止まって既に20秒は経ってますが・・

  え。もしかして〇ッツ様はお気に召しませんでした?!

  「まさか」と不安に襲われ、ぶわりと背中に汗が滲む。

  だが次の瞬間、美人さんの手が動きを見せた。

  ひょいぱく。ひょいぱく。ひょいぱく。

  目にも止まらぬ速さで、器と口元の間をスプーンが往復する。

  その間無言。

  只々ひたすら無言で、ひと口目を食べた時の表情のまま、どんどん器からアイスが減って行く・・

  妙な緊迫感の中、静かに様子を見守っていると唐突に美人さんの頬を透明な雫が伝った。

  「え?クリス・・さん?」

  「やはり魔女さんは神が遣わされた使徒・・」

  「はい?」

  つい反射的に返してしまった無遠慮な反応を気にする素振りも見せず、目を閉じたままハラハラと涙を零す美人さん・・

  「冷ややかな先ぶれに驚くと、訪れたのは至福の甘味・・凍った心が溶け出すように、熱でとろりと広がる「ちょこれいと」のなんとも言い表せぬ幸福の味・・・濃厚ですのに、さらりとすり抜ける軽やかな舞踏で通り過ぎた余韻に、豊潤な香りの調べが後を追う・・これは、これはいけませんわ!」

  滔々とアイスについて語ったかと思うと、一転。

  カッ!と目を見開き真剣な様子で続ける。

  「この「あいすくりぃむ」。一刻も早く規制指定の品として厳重に保護管理致しましょうっ!」

  ・・・ただの甘味に、一体何を言ってるんスか美人さん・・

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