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【129】おいちゃんのお話なんだぜ☆

  見る間に血の気が引いていく男性・・

  そして徐に床に降りると机を避け、這いつくばるようにして頭を下げた。

  最上級の詫びを表す姿勢・・土下座である。

  「えぇっ?!ちょ、何で?!」

  「申し訳ない!俺の勘違いでとんでもない事をっ!・・」

  そう言って塩ビシートが張られた床に、額をこすりつけて謝罪する男性。

  うひぃっ!最近土下座に遭遇する率高くありませんか?!

  これ心臓に悪いし居た堪れないし、低い所から精神的に殴りつけるの止めてくださるかしらっ?!

  更には男性の謝罪を制止しようとしたところ、タイミング悪く注文した飲み物が届けられた。

  コンコンっとノックの後で表情筋が死んだような男性定員さんがドアを押し開けて入室すると、下座る男性に一瞬動きを止め・・そのまま能面状態で再稼働。

  注文に間違いが無いかを確認するとヌルっとした動きでグラスを置き、何事も無かったかのように静かに退出していった・・・

  その間、男性は下座ったままである。

  全く見ず知らずの他人にこんな醜態を見られてしまった心境は幾何か・・

  流石の親友も無言の為、場の空気がめちゃくちゃ固い。

  お、おぅ・・何と言うか、途轍もなく申し訳ない気持ちでいっぱいです・・

  でもさぁ、アテクシ何も悪くなくね?

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  「つまり、五味さんは霊能力者なんですか?」

  「いやぁ、そう言われると微妙なんだけどね。霊的なモノに関してはおいちゃん、ずっと視えるだけで祓ったりとか出来た事ないし。どっちかってゆーと占い師?」

  どうにか土下座を止めてもらい、膝にお狐さまのアゴを乗せて頭を撫でさせてもらいながら質問タイムに入りました。

  因みに敬語使われそうになったけど、話しにくいからと普段通りでお願いしましたよ。

  年上からの敬語って、腰辺りがムズムズして座りが悪くなるんだものー

  で、チョモランマの如く積み上がった疑問を一つ一つ解消していったワケでござい。

  若かりし頃、見えないものが視える体質だった男性の将来を心配した両親が、ある評判の拝み屋さんに相談。

  そしたらそこで「神様にお参りしなさい」と助言を受けたそうな。

  「それで何処とは言えないけど、ある神社にお参りしたら神様らしきモノに会えちゃったんだよね~・・で。コレを使う羽目になったんだよ」

  そう言って男性はジャケットの内側に手を伸ばし、目の前のテーブルにコトりとソレを置いた。

  「ヒぇッ?!」

  「おじさん、それ・・」

  大理石模様のテーブルの上で、傾きに従いころりと転がったのは照明を反射して光る眼球。

  驚きに小さく悲鳴を上げてお狐さまに抱き着くと、直ぐに心配そうな気配が伝わってくる。

  「そう。これはおいちゃんが昨日まで使ってた[[rb:義 > ・]][[rb:眼 > ・]]。神的なモノに「視え過ぎると良くない」とかって、片っぽ抉り取られちゃったもんだからさ~」

  だがお陰で「視える」事によるトラブルは減り、元々良かった勘が更に冴えるようになって徐々に生活の質が向上したそうだ。

  「そしたら自然と色々な人たちの相談に乗ることが増えてね~。いつのまにか「凄腕の占い師」とか言われちゃってさ~もぅおいちゃんモッテモテ!」

  「はっ。よく言いますよ。変なのに絡まれて苦労してるのは何処のどなたですか?どうせ今回の大怪我も何か下手こいた結果なんじゃないですか?」

  「んもぅ~。晶ちゃんったら辛辣っ!ま。大体その通りなんだけどね!」

  あっはっは!とあっけらかんと笑う男性。

  あんなに酷い怪我だったのに、どうしてそんな気楽な様子でいられるのか・・

  好奇心を抑えられず、葛藤しながらもおずおずと問う。

  「あの~。何があったのか訊いても?・・」

  「もちのロン!全然おっけ~!ってゆーか綾小路さんは知る権利あるし!」

  そう言って男性が語った内容は実に単純明快だった。

  「そこに行かなくてはならない気がしたから行った」

  「そしたら自分の「勘」の力を欲した、何かよく分からないモノに襲われた」

  以上!

  「・・つまり、いつも通り自分の「勘」に従った結果だったと?」

  「そゆこと~。いやでも流石に今回はいきなり視界奪われるし『死んだカナ?』って思っちゃった!」

  「いやいや・・実際心臓止まってましたよ?」

  「え?マジで?!」

  驚いた様子の男性が向ける視線に私がこくりと頷きで返すと、流石に顔色が悪くなる。

  「やっべぇ~・・マジでギリだったんじゃん・・目ぇ治ったし、生きてるから結果オーライだけど・・今回みたいなのはマジもう勘弁だわぁ~・・」

  「おいちゃんドン引き~・・」と寒そうに腕を擦る男性に対し、親友は『もう付き合ってられん』とばかりにでっかい溜め息を吐いて顔を背けた。

  「んでも目ぇ治ったのに「勘」が鈍った感じは無いし?後々必要になる・・からなような気もするし?ま、いっか!」

  とことん気楽な様子で笑う男性に、こちらも毒気を抜かれて姿勢を崩しそうになる・・

  さらさら癒しのお狐さまに倒れ込みたい衝動を堪えて、男性の話から察した予想を口にした。

  「えっと・・それじゃあもしかして、「勘」で私が治療したと分かったって事ですか?」

  「ピンポン、ピンポーン!大正解!いや~、晶ちゃんから連絡来た瞬間ビビッ!と来ちゃって!仲良くしたいな~って思ったらテンション上がってついネタに走っちゃった☆」

  てへっ♪とカワイイを装って舌を出す男性に、親友は視線を外したまま無言でマラカスを投げた。

  「勘」とやらが働いたのか、今回はマラカスを無事キャッチする事に成功した男性はシャカ♪シャカ♪とリズムを刻みながら言う。

  「だけど良く『視』たら、綾小路さんってば強すぎるモノが憑いてる感じだし?今ならなーんか出来る気がして「繋がり」を解いてみようかな~って思ったら成功しちゃって?よっしゃー!恩返しだぜ!って思ったら勘違いでした。マル」

  軽快なリズムは段々と大人しくなって行き、最後の方では落ち込む心境を見事に表現していた。

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