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【120】沼るか腐るか・・どっちなんだいっ?!(どっちも)

  アニメを観て、ずんっ!と力強くオタクへの一歩を踏み出した[[rb:美人さん > お姉さま]]。

  こっちのサブカルに興味を持ってくれた人とキャッキャとオタトークするのは楽しそうだけど、そうなると避けられないのがBでLな話題・・

  アテクシ、ずぶずぶに腐っておりますのでね!そこはねっ!避けられないよねっ!

  つまり、だ。以下のような事態が懸念される訳である。

  私が美人さんに対して[[rb:やらかす > 腐らす]]→[[rb:友だち > アド君]]に犯罪者扱いされる→絶交→瀕死。

  そんな感じでシャレにならないと分かれば、自分への抑止力になると思うのね?

  てな訳で、興奮冷めやらぬ美人さんがグラスを空にしたタイミングで「少々お訊ねしたいのですが・・」と質問してみた。

  「「同性での恋愛」でございますか?あたくし共の国では特に禁忌という訳ではございませんわね。同性婚も一応認められておりましてよ?ですが、血脈を重んじる家では許されない事が多いですし、あまり一般的ではございませんわね。驚くほど珍しいという訳ではないのですけど、そういった事が苦手な方もおりますし・・」

  との回答を貰って、思わず「Оh・・」と頭を抱えた。

  どうしよう。[[rb:抑止力 > 抑え役]]が不在なんですけど?!

  いや、素晴らしい国だと思いますよ?

  多様性を認めた上で運営しているなんて、大変結構なことじゃないですか。

  ・・はっ?!

  つまり、町中を歩けば見目麗しい[[rb:夫夫 > ふうふ]]の姿を間近で拝める可能性が?!

  いやね?

  私がモグモグするのは2次元~ギリ2.5次元なのだけど、あっちの人たちが青年や美人さんみたいに皆美形だとしたら・・

  もしそんな美しいカップルたちが拝めるなら、是非とも訪れてみたいワケでして。

  ・・じゅるり。

  しかもあちらは人以外にも種族が存在する世界。

  人外、異種族カップルとか、大変美味しいですありがとうございます。

  うぇへへと狐面の下で他人様に見せられない笑みを浮かべた所で、小首を傾げていた美人さんが「そういえば」と何かを思い出したように顔の傾きを戻した。

  「同性での恋愛といえば、あたくしの双子の弟は男性が恋愛対象でしてよ?」

  「っ?!ぶっ!ん、ごほっ!」

  その発言に心底驚いて、咽る私。

  『ちょっ、ま、今ナンテ?!』

  腰を上げ「大丈夫ですか?!」と心配する美人さんに片手の平を見せて「問題ないです」と示し、手元のタンブラーのストローを咥えて水分補給し、喉を整える。

  「し、失礼しました。ちょっと驚きまして・・今話に出た弟さん、確か治安維持のお仕事をされているとアド君に聞いた事が・・その方が?」

  「あら、ご存じでしたのね。えぇ、あたくしの片割れである弟は騎士団に所属しておりますわ。家族ですから、勝手に愚弟のアレやコレやが耳に入ってくるのです」

  「そ、それはっ・・・こほん。いえ、なんでも無いです」

  リアルBL話キタ――(゜∀゜)――!!と一瞬wktkしたものの、『いやいや、お身内をネタだと喜ぶのは失礼だろ。自重、自重・・』と、好奇心をどうにか抑え込み、咳払いで誤魔化した。

  それなのに、美人さんからズバリ問われてしまう。

  「魔女さんは男性同士の恋愛事情に関心がおありですの?」

  あ、バレた・・

  美人さんが発したその言葉に、頭上から冷水を浴びせられたが如く浮ついていた感情がスンっと凪いだ。

  一瞬、言い訳と共に否定しようとしたけど・・それもまた不誠実だろうと考えを改め、『もういっそ、全部正直に話そう!』と勢いで決めてしまう。

  人、これを「開き直り」という。

  まぁ、馬脚を現したというか、身から出た錆というか・・

  良いんだよ。腐ってる事は後々話すつもりでは居たんだから・・予定より早くなっちゃっただけでさ。

  それでも完全には覚悟が決まらないまま、流れに任せて言葉を返した。

  「あ、その・・・はぃ。あの、ご不快にさせたなら申し訳ありません。私は、絵を描いていて、それで・・主に男性同士での恋愛模様を描いた本を制作、販売して、生計を立てていまして・・」

  そこまで言って、ちら、と。

  怖々視線を上げ、美人さんの様子を確認する。

  と、そこには予想していた蔑むような目ではなく、にこにこ顔のままの美人さん。

  『あれ?』と疑問符を浮かべていると、「成程、分かりましたわ!」と何かに納得して話し出した。

  「元々、あの子から魔女さんが絵を生業にしているとは聞き及んでいたのです。左様でございますか!男性同士の恋愛模様を描かれていると・・それで愚弟の話に反応されたのですわね!」

  「また一つ理解が深まりましたわ」と笑う美人さんに驚きつつ、そっと訊ねる。

  「その~、失礼を承知でお聞きしますが、クリスさん的には男性同士の恋愛物については、どういう?・・」

  そんな曖昧な問に、閉じた扇の端で口元を隠しつつ、ぽっと頬を染めた美人さんは恥ずかしそうに目を伏せて答えた。

  「少々、嗜む程度ですわ」

  その言葉に、がくんと力が抜けて脱力する私。

  んっだよ~!同類かよ~っ!!

  友だちの家族にマイナス感情持たれたくない一心で、あーだこーだと慣れない立ち回りをしたのだけれど。

  何のことは無い。美人さん、元から[[rb:腐女子 > こっち側]]でした。

  張っていた気がぷしゅうと抜けて、でっかい溜め息と共に緊張の残骸を吐き出す。

  「はぁ~・・なぁあんだぁ~。そ~だったんですね~・・」

  「あの、魔女さん?如何なさいました?」

  「いえいえ、すみません・・ちょっと気が抜けてしまって・・・」

  つまり、なんだ。

  お互いに『『男性同士の恋愛物を話題にしても大丈夫なのか?』』と推し量り・・探り合っていたワケか。

  訊けば美人さん。好みだと言っていた「友情を育む冒険活劇」「協力して窮地を脱する推理物」や「争う中で互いが幼い頃の友人であったと気付く悲劇」といった物語に、恋愛の要素が絡んでも全然OK!寧ろバッチコーイ!だったとか・・

  勝手に気を張って、空回っていた私は傍から見たらさぞ滑稽だったに違いない・・

  もぅ、すんげぇ徒労感がパないっス。

  ははっと渇いた笑いの後、骨折り損でやさぐれそうな心情に『まぁ、いっか』と見切りをつけ、背筋を伸ばす。

  だってそうでしょ?

  お腐れトークで盛り上がれるリア友を得られる可能性が、今、目の前に在るのだから!!

  が、それにはまず・・

  「時にクリスさん、今日この後のご予定は?」

  狐面の下からカメラのレンズを睨むようにして問いかけると、こちらの気迫に呼応するようにスゥっと目を細めた美人さん。

  パンっ!と勢いよく開いた扇で顔の下半分を隠し、貴族然とした態度で答えた。

  「何もございません。夕食まで空けてありますわ」

  「では・・先ほどの続き、ご覧になりますか?」

  「それは勿論、是が非でも!」

  美人さんからの即答に、狐面の下でニタリと唇を歪め「了解しました」と返し、早速二話目の準備に入る。

  腐腐腐・・

  さぁ・・この作品に頭の先までずっぽり沼るが良いっ!

  そして、その暁には楽しくお腐れトークをしましょうぜっ!!

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  それからそれから。

  トイレ休憩なんかを挟みつつ、残り11話。1期まるっとぶっ通しで観た結果・・

  「くっ・・胸が・・この2人が踊っている姿を目にするだけで首元までせり上がる熱と、茹りのぼせ叫びたくなる、この感覚はっ・・一体何ですのっ?!」

  そう息苦しそうに言う美人さんの言葉に、片目を隠したル○ーシュポーズを脳裏に思い浮かべながら「ふっ・・・クリスさん、それが「[[rb:尊い > てぇてぇ]]」という感情ですよ」と告げる。

  「成程・・心を満たしきり溢れ迸る、地の底でうねる溶けた熱の如きこの感覚を、「てぇてぇ」と言うのですね・・」

  薄っすらと汗を掻き、興奮に震える身体を抑え込むようにして、己の両肩を抱きしめた美人さんは瞳孔の開ききった目を蕩かせ「あぁ・・」と艶めかしく唸った。

  「てぇてぇ、ですわぁ・・・」

  ・・・・はいっ!想定以上にキッチリがっつりハマった美人さんが、ココに完☆成!

  いやいやいや・・

  うん。一気にぶっ込み過ぎちったカナ?こりゃ。

  ちょおっとキマり過ぎてる感が否めないぞぅ?

  ど、どうすんべ?

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