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ソシャゲの推しが現実に来ちゃった件 ~ガチムチ忠犬筋肉キャラに溺愛されてます~

  朝っぱらの、しかも休日のリビング。俺は床に仁王立ちする見知らぬガチムチ野郎を見下ろしていた。……いや、正確には見下ろしたいのに、身長差で逆に見上げさせられてる。

  「てめぇ、いきなり俺の部屋で何してやがんだ?……おまえ、カイルだよな?」

  「おうっ! ご主人、やっぱすげぇな! 見ただけでオレってわかったんだ!」

  満面の笑み。短髪に、褐色の肌、迷彩柄のタンクトップから露わになる肩と胸、ばっきばきの腹筋。膝に穴の開いたジーンズも、太ももが弾けそうになってる。間違いない。昨夜までスマホの画面で育ててた俺の推し、カイル・バルクその人だ。

  「いや、普通にやばいだろ。なんでソシャゲのキャラが現実に実体化してんだよ……」

  「ん? ご主人が呼んでくれたからだろ~? オレ、すっげぇ嬉しい!」

  なにそれ怖い。どんな技術。ていうか、朝から尋常じゃねえテンションだな。なんだコイツ。マジで夢? 寝起きで頭がバグったか?

  「ご主人の部屋、めっちゃ落ち着くな~。オレ、ずっとここにいていい?」

  「は? 無理だろ普通」

  「やだ、帰りたくねぇ」

  こいつ、いきなり抱きついてきやがった。でけぇゴリラに締め上げられるかと思ったら、意外と優しい。筋肉の森に顔が埋もれる。やべぇ、汗と男の匂いが直撃して脳が焼ける。

  「オイ、離せッ!」

  「やだ。ご主人、昨日ずっとオレ育ててくれたじゃん。すっげー気持ちよかった!」

  「はぁ!? どういう意味だよ!?」

  カイルは俺を放さず、むしろギュッと腕の力を強める。

  「ご主人、わかんねーの? オレ、育てられるの好きなんだぜ?もっと強く、もっとデカくしてもらうの、最高に興奮すっから!……ご主人、育成ってな……エロいんだぜ?」

  ちょ、待てよ。何がどうエロいんだよ。混乱する俺に、カイルは今度は肩を抱き寄せて耳元で囁く。

  「オレ、昨日もご主人にめっちゃ育成されて、ずっとビンビンだったんだぜ? ジャージ脱いだ瞬間から、ぶっちゃけガマンの限界……」

  カイルが、耳元で囁く。ぞわっと首筋に熱が這い登る。

  「……ど、どういう意味だよ」

  「ご主人が触って、アプリでオレの肉体、いじりまくってたろ? レベル上げも、能力強化も、全部ぜんぶご主人の指一本で……」

  耳朶に、舌が触れた。息を呑んだ俺の背中を、涼しい悪寒が這い上がって、すぐに溶けるような熱が胸に染みていく。

  「オレはずっと、ご主人のために強くなった。ご、ご主人……さ、触ってくれよ……」

  「……それはゲームの話だろ」

  「ちがうよ、ご主人。オレは……いや、もう、手ぇ出してほしい」

  おまえ、そんなキャラだっけ?

  「ていうか、現実に何しに来た?」

  「オレの使命は、ご主人を支えることだろ? ゲームも現実も関係ねえ。ご主人が困ってんなら、なんでもするぜ?」

  なんでも、の言い方がやたら生々しい。はっきり言って怖い。

  「ご主人の命令には何でも従う。だから今日からご主人の奴隷?」

  「誰がそんなこと頼んだよ! ていうか、ソシャゲのキャラが現世転生する仕様とか聞いてねえから!」

  「そういえばソシャゲって……?」

  変な顔。説明してもたぶん理解してねえな。まあいい。どうせ何言ってもこの筋肉バカには響かん。

  「とりあえず、そこ座れ。てめぇ、俺の家のルール教えてやるから」

  「オウッ! ご主人、命令ありがと!」

  床にぺたんと正座。膝下が完全にぶっとい丸太みたいで、畳の目が潰れていく。俺も仕方なく向かい合う。

  「まず、朝は静かにしろ。隣や下の部屋に響くからな。あと、筋トレは外でやれ。筋肉臭が部屋に充満する」

  「オッケー!ご主人、オレの匂い嫌い?」

  「嫌いじゃねえけど、朝っぱらはキツい」

  「じゃ、夜は?」

  「……まあ、夜なら、許す」

  「やったーー!!」

  カイル、両手を天高く挙げて歓声。完全に大型犬じゃねえか。

  ……とりあえず、朝のコーヒー淹れる。カイルは俺の後ろにピッタリ張り付いて離れない。つーか、あの筋肉の塊が近寄ると、部屋の酸素圧縮されてる感じが半端ねぇ。

  「ご主人、何作ってんの?」

  「コーヒーだよ。飲むか?」

  「飲む! ご主人が飲むなら、ぜったい旨い!」

  カップを二つ用意して、ダイニングテーブルに座る。カイルは俺の向かい――じゃなくて、隣に、もはや重なる勢いで座ってきやがる。肩幅、まじで冷蔵庫。

  「うめぇ! ご主人、これ作ったの?」

  「インスタントだけどな」

  「サイコーだ! めちゃくちゃ苦い!」

  あのな、もうちょい表現方法あるだろ……。でも、嬉しそうにこっち見てっから、なんも言えなくなる。

  そのうち、カイルはテーブルの上に肘をついて俺をじっと見つめてきやがる。視線の圧が物理だ。

  「おい、なんだよ」

  「ご主人、すっげえ優しいなって思って」

  「はぁ? なに言い出してんだ」

  「だって、オレのこと、ずっと育ててくれたろ。それに、現実でもちゃんと面倒みてくれる」

  「当たり前だろ。いきなり現れたから仕方なく、だ」

  「嘘だ。ゲームでも毎日ログインして、オレになんでも食わせたり、装備も最高のやつくれた。オレ、超幸せだった」

  そう言ってカイルは、妙に大人びた笑顔でこっちを見た。

  「……気持ち悪ぃな、おまえ」

  「酷いなあ、ご主人。でも、そういうところが好き」

  なんだこいつ。こっちの毒も全然効かない。むしろ倍返しで甘やかしてくる感じ。なんかもう、朝から疲れるな……。

  「なあ、ご主人」

  「なんだよ」

  「オレ、もっとご主人の役に立ちたい。なんでも言って」

  「いや、何もするな。ややこしいことになるから」

  「えー、それは困る。オレ、ご主人のために生まれてきた」

  「そうやってすぐ話題逸らすの禁止だ」

  「じゃあ……さっきみたいに、もっとギュウってしていい?」

  「……は?」

  「ご主人、オレに触られるの嫌い?」

  「いや……まあ、嫌じゃねえけど」

  「じゃあ、もっと近づいてもいい?」

  「……好きにしろ」

  まるで告白か。俺は内心苦笑いしながらも、やっぱりどこか嬉しい気分になっていた。

  カイルは俺の返事を聞くなり、またも俺のことを抱き寄せてきた。重い。硬い。ムキムキの腕が背中を包み込む。抱きしめられるというより、締め落とされそうなんだが、意外と悪くない。むしろ癖になる。

  「ご主人、あったけぇ……」

  「重いっての」

  「ご主人、ほんと細いな。オレ、ちゃんと守るから」

  背中を撫でまわしてきやがる。は? なんでそんなに距離感ゼロなんだよ。恋人か。

  「おい、離れろって」

  「やだ、もっとくっつきたい」

  「……こいつ」

  不思議と、嫌悪感は湧かない。むしろ、じわじわと背骨の奥が熱くなっていく。筋肉の塊に包まれる感触。手のひらのざらつきが、Tシャツ越しに肌に伝わる。さすがに朝からこれは重い。

  が、しばらくカイルはずっと俺を抱えたままだった。俺も、無理やり突き放す気力がなくなってた。なんか、もうどうでもいいやってなった。

  「……なあ、ご主人」

  「なんだよ、またか?」

  「オレ、ご主人の好きなこと、もっと教えてほしい」

  「……」

  なんだろうな。単なるソシャゲのキャラが、こんなに生き生き自分のことを語るなんて。俺の中で何かが弛緩していく。この部屋の空気も、たぶん同じ。

  「好きなことって……」

  「なんでもいい!」

  「……そうだな。じゃあ、今日は一緒に一日ゴロゴロして過ごすか」

  「やった! ご主人、最高!」

  ちょっとイラっとしつつも、朝からこういうの悪くないかもなって思い始めてた。

  そして、その日一日。カイルは俺のストーカーみたいにつきまとい、掃除も洗濯も、ゲームもアニメも全部カイルは俺のストーカーみたいにつきまとい、掃除も洗濯も、ゲームもアニメも全部、ぜんぶ俺の倍の熱量で楽しみやがる。シャツ一枚干すだけで「ご主人の匂いが最高」って鼻息荒くしてくるし、洗濯カゴに手を突っ込んで「ご主人の履いてたパンツ、どれ?」とか言ってきやがる。馬鹿か。

  一方で、こっちの生活能力も底辺だったから、めちゃくちゃ助かる。カイルの筋肉が本気出せば、フローリングの拭き掃除なんて一瞬で鏡面仕上げ。重いゴミも一度に三袋持って外までダッシュ。……家政夫かよ。でも、部屋がどんどん片付くのは気分が良かった。

  夜になって、俺がベッドでゴロゴロしてると、カイルの奴、何のためらいもなく横に寝転がる。むしろ、当然という顔で密着してくる。部屋の電気を消して、眠るフリをしてたら、いつの間にか耳元で囁かれた。

  「ご主人、寝たふりしてるのバレバレだぞ」

  「……うるせえ。暑苦しいんだよ」

  「そうか? オレはご主人の肌、好きだ」

  背中にでかい手のひらが滑る。最初は不意打ちでびくついたが、しばらくすると、その感触が安心に変わる。むしろ、俺の身体はカイルの温度に合わせて、じりじりと熱を帯びていった。

  「なあ、ご主人」

  「……」

  「オレ、どうやったらご主人にもっと喜んでもらえる?」

  「うるせぇ、黙って寝ろ」

  「ほんとに?」

  「……ほんとに」

  「……オッケー」

  カイルはそれ以上喋らず、だが、俺の腰に回した腕だけは絶対に離さなかった。そのまま一晩中、がっちりホールドされる。途中で目覚めても、汗を吸った筋肉の匂いと、心臓の鼓動が背中に響いてる。……結局、朝までそのままだった。

  [newpage]

  翌日も、あっという間にカイル漬けだ。朝メシのときは、パンを一口食っただけで「ご主人、口の端にクリームついてる」って舌で舐め取ろうとするし、風呂場じゃ勝手に乱入してきやがる。

  「おいおい、風呂は一人で入るもんだろ」

  「え、なんで? ご主人、体洗ってもらうの嫌?」

  「嫌じゃねぇけど、いきなりすぎんだよ」

  「……次は声かける」

  絶対に嘘。こいつ、次も絶対に黙って突撃してくる。仕方なく、湯船に浸かりながらカイルの洗髪をやってやることに。毛先すらごつい。スポーツ刈りのくせに無駄に洗いがいがある。

  「なあ、ご主人。オレ、ずっとこのままでいいの?」

  「は?」

  「ここで、ご主人のそばで生きてていいの?」

  「……好きにしろ」

  「やったー!」

  こいつ、何でも純粋だな。俺だって、いつ消えるかわからん存在に情を移す気なんか無かった。しかし、現実はガチムチの腕の感触がいつもそこにある。絆されそうになっているのを感じる。

  翌日も、その次も、カイルは俺の生活に完全に溶け込みつつある。仕事で疲れて帰ってきても、すでに風呂は沸いてる俺のことを「ご主人!」って満面の笑顔で迎える奴がいる。

  そして夜。ベッドの上でカイルは、俺のことを抱えあげる。簡単に持ち上がる。でも、力任せじゃなくて、やさしく大事に降ろしてくれる。

  「ご主人、今日こそ、ご奉仕させてほしい」

  癖になる。こいつの従順さ。俺は、自分でも信じられなかった。あれだけツッパって、現実味のないゲームキャラだと自分に言い訳し続けたのに、いざ目の前で「好きにして」なんて言われると、理性が…いや、もう全部欲望に駆逐される。

  「お前さ、ほんと馬鹿だよな」

  「へへ、ご主人に言われるなら全部褒め言葉」

  カイルの笑顔が、室温よりさらに俺の体温を上げさせる。じわっと汗かいてきた。

  「ご主人、こっち向いて?」

  「おまえ、ほんとに……」

  顔を掴まれる。ゴリラのくせに力加減は絶妙で、親指の腹が頬にそっと触れる。唇が近づく、いや違う、もう触れている。顎ごと引き寄せて、歯を噛む寸前の力で唇を噛んだ。最初は驚いた顔。次の瞬間には、こっちがやりたいことを察して目を細める。舌を突っ込む。こいつ、即座に開けやがった。深く、止まらず、呼吸もせずにむさぼる。唾液が混ざって、嫌な甘さと苦さが口いっぱいに広がる。

  「んむ、ん、ん……♡」

  おいおい、顔真っ赤じゃねえか。

  「お前、ほんとにこれでいいの?」

  「ご主人といるのが、一番幸せ……」

  「だったら全部よこせ」

  ベッドに押し倒す。床の軋みがバキバキ鳴る。でも、カイルは身じろぎ一つせず、むしろ俺の動きを受け止めきってる。

  タンクトップの上から胸を揉む。生地の下の筋肉が岩みたいに硬い。手で滑らせると、肌が熱い。こいつ、さっきまでトレーニングしてただろ、まだ汗の臭いが抜けてねえじゃん。

  「おい、お前、汗くせぇ」

  「ご主人の好きな匂いだろ?」

  「馬鹿か。でも……まあ、嫌いじゃねえけどな」

  指をかけて、タンクトップを脱がせる。布がバチンと音を立てて腕から跳ねる。肩から胸、腹筋、どこもかしこも皮膚が張り詰めてて、撫でるたびに筋の一本一本が主張する。

  「ご主人、もっと触って……」

  「仕方ねぇな」

  乳首をつまむ。カイル、びくっと全身が強張る。普段の戦闘力ゼロ、こんな一撃で動きを封じられるとは。指で転がし、舌でも舐める。舌で弾いた瞬間、カイルの腹筋がびくんと痙攣した。

  「う、ぅ、あっ、ご主人……」

  「何が?」

  「胸が……、変にジンジンする……っ、うわ……♡」

  顔を近づけて、乳首を歯で軽く噛む。噛んだ瞬間、カイルの手がシーツを鷲掴みにする。力任せに潰しそうな勢い。でも、まるっきり抵抗はない。

  「下、立ってるぞ?」

  「う……ご主人、見ないで……」

  「隠すなよ。恥ずかしがるとか、可愛いとこあんじゃん」

  「やめてよ、からかうの……」

  ほんとに照れてる。真っ赤な顔、子犬みたいな目。

  「……ご主人……脱がせて?」

  「また人任せかよ。自分でやれ」

  「でも……ご主人の手で脱がされたい、かも」

  俺は意地悪く、ジーンズのボタンを無理やり引きちぎってやる。パンツごと、下半身が丸出しになる。

  「お前、マジでデカいな。……チンコも鍛えたのか?」

  「知らない……でも、ご主人が触ると、またおっきくなる……」

  下品なほど反り立ったソレ。もはや皮膚が薄いくらいパンパン。カリ首が赤く張って、今にも先走りが滲みそうだ。手で握ると、カイルの全身がまた跳ねる。乳首を転がしつつ、反対の手で下もねじる。

  「ひぁっ、あっ、や、やらしい……」

  「何がやらしいんだよ。やらしいのはお前だろ」

  「ちがう……でも、ご主人の手、すげぇ……」

  「もっと言え」

  「……ご主人の手、熱くて、やばい……好き」

  普段と裏腹に、こういう時だけ一気に弱くなる。ちょっとしたことで全身の筋肉がビクビク反応する。乳首を舌で責めながら、下の竿を親指でぐりぐりと擦る。先端からじゅわっと透明な液がこぼれる。

  「うあっ、や、やめて、漏れそう……」

  「まだ出すな。勝手にイッたらぶっ殺すぞ」

  「は、はい……♡」

  このギャップ。普段は腕一本でビル倒せそうな暴走機関車が、今は俺の指先一つで震えてる。最高すぎる。

  「こっちはどうかな?」

  下の袋をまさぐる。熱い。掌に収まらないサイズ。柔らかいくせに、しっかりと重みがある。弄くるだけで、カイルの呼吸がどんどん荒くなる。

  「ああ、やばい、変になる……」

  「もうなってるだろ」

  「ご主人、こんなの、オレ、……」

  カイルの声がしゃがれ、語尾が砕ける。全身の筋肉はあんなに硬いのに、竿と袋だけがぐしょぐしょに緩んでいる。親指でゆっくりカリ首を撫であげると、うずくまるように両手で顔を覆う。腕の下から声を噛み殺すような息が漏れる。

  「う、あ、ダメ……ほんとに、ご主人……オレ……もう……」

  俺は一段と強く、手首をしごいてやる。裏筋を優しくなぞり、亀頭を指でそっと撫でる。カイルの身体がベッドの上で大きくのけぞり、胸の筋肉が盛り上がる。顔を埋めた腕の隙間から、ちらっとこっちを見る視線。涙が滲んでた。可愛い。

  「おい、泣くなよ」

  「泣いてない……ご主人、いじわるだから……」

  「お前が可愛いからだろ」

  「可愛くない……」

  「可愛い」

  「……」

  黙ったので、さらに執拗に上下に擦る。たまらずカイルは片腕で視線を隠しながら、もう片方の手で俺の腰にしがみついてくる。指の力がやばい。骨ごと捻じれそうなくらいガッシリ握られる。

  「ご主人、ごめん、オレもう限界……!」

  「……許す」

  その瞬間、カイルは全身を仰け反らせて、俺の手の中でびゅくびゅくと果てた。吐き出される量も規模外。シーツだけじゃ足りずに、俺の腹にまで飛びかかる。

  「おい、こぼしすぎだろ!」

  「ごめ、ごめん、オレ、ほんとに……ご主人のこと、すきで……」

  「うるせぇ。後始末手伝え」

  「ウス!」

  カイルは、いつもの倍は素直だった。濡れたシーツをまとめて、俺の腹についたのまで手や舌を使って執拗に拭いとってくる。たっぷりの汗と、火照った肉体の熱が混ざって、ベッドの上はほとんどサウナ状態だった。

  「……ご主人、次は?」

  「何が次だよ。お前、さっき死ぬほど出してただろ」

  「でも、まだご主人が……してない」

  「……」

  カイルは、俺を見上げる。虚勢も見栄もない、真っ白な瞳だった。

  「ご主人のも、してみたい」

  「お前、本当にそれ分かって言ってんのか?」

  「……やってみなきゃわからない」

  ガキみたいな目で、でも俺の下半身をじりじり見つめてる。からかい半分、俺はわざとゆるくパンツを下げてみせる。

  「ほら、やってみろよ」

  「いいの?」

  「サボったら承知しないぞ」

  「やる!」

  カイルの顔がその瞬間、真剣モードに切り替わる。でかい手で俺の腰を支えると、恐る恐る、でも興味津々で俺のそこを指先でなぞってくる。さっきまでの勢いはどこいった。むしろ、カイルのほうが緊張で手が震えてる。

  「……ご主人の、すげぇやわらかい」

  「当たり前だろ。お前のが硬すぎるんだよ」

  「そっか……でも、手で触ると全然違うな。あったかいし……」

  カイルの掌は分厚くて、まるで鍛え抜かれた革手袋みたいだった。それが慎重に俺の竿を掴み、ゆっくりと上下に擦り上げる。思ったより器用だ。痛みどころか、むしろ今まで触られたことのない新しい感触。

  「ご主人、これでいいの?」

  「……悪くねぇ。もっとしごいてみろ」

  「うん!」

  言われた通り、リズムをつけて動かしてくる。指の節が時折強く押し潰すが、不快じゃない。不器用な愛情がそのまま熱になって、俺の中枢を直接溶かす。

  「ご主人が反応してるの、嬉しい」

  「うるせぇ、黙ってやれ」

  「でも、もっとご主人の顔が見たい」

  そう言いながら、カイルは俺の顔を覗き込んでくる。汗ばんだ額、真っ直ぐな黒い目。

  「……ご主人の顔、やっぱかっけーな」

  「お前はこんな時でも褒めるのかよ」

  「だって、ほんとにそう思ってる。オレ、今までの人生、誰かの顔なんて気にしたことなかった。でもご主人のことは、ずっと見てたい」

  照れくさい。それ以上に、心臓の奥がかぁっと熱くなる。

  「ご主人、……オレ、口でもやっていい?」

  「お前、それ、どこで覚えた」

  「さっきネットで調べた」

  「バカか、初めてなのに……」

  「でも、ご主人のこと、もっと知りたい」

  何も言えなくなった。カイルは大きな舌で、俺の先端をそっと舐める。最初は表面だけ。ぬるぬると濡れた舌が、じわじわと根元まで這ってくる。意外と繊細で、舌先のざらつきが、たまらなくゾクゾクする。

  「かぷ……ご主人、すごい味する……」

  「言うな……」

  「でも、クセになるかも……」

  ますますカイルは熱中してきて、今度は亀頭を口に含む。吸われるたび、びくんと腰が跳ねる。カイルの頭を押さえてやると、抵抗ひとつせず、むしろさらに深く咥え込もうとする。

  「ご主人、気持ちいい?」

  「……勝手にしろ。お前がやりたいようにやれ」

  「あい」

  カイルは鼻息荒く、さらにペースを上げる。ベッドの軋みと、唇が皮膚を擦る音。男の生臭さ。全部が一つになって、俺の意識がじわじわ溶けていく。

  「やべ、……出るぞ」

  「ん……いっぱい、ご主人の欲しい……」

  カイルの手が俺の尻をがっちりホールドした瞬間、俺は限界を超えてぶちまけた。カイルは一瞬驚いた顔をしつつも、全部飲み込もうと必死で喉を鳴らす。ごくごくと、

  「ぷはっ、ご主人……すごい……」

  「馬鹿、むせるぞ」

  「でも、ほんとにクセになる」

  「そうかよ……」

  酸欠で頭がくらくらする。だが、カイルは大満足そうに、俺の胸に顔をうずめてきた。

  「ご主人、イった顔も最高だった」

  「うるせ。……次お前がやったら、もっといじめてやる」

  「え?……うれしい」

  どこまで従順なんだよ。だが、腕の中で熱く火照ったカイルの身体は、文句なしに心地よかった。筋肉の塊から、汗と精液と、まだまだ余りある生命力がこっちにも流れ込んでくるみてぇだった。

  ……そのまま、しばらく動けずにいた。でも、二人分の体重も、汗も、ベッドの軋みも、どこか全部心地よい。

  「なあ、ご主人。」

  「なんだよ。」

  「オレ、なんでご主人のことこんなに好きか、言ってもいい?」

  「……勝手にしろ。」

  「うん。」

  カイルは、まるで大事な秘密を打ち明けるみたいに、少しだけ身体を起こして俺の顔をまっすぐ見つめた。喉が上下に動き、言葉を飲み込む音が耳に残る。

  「……オレ、生まれたときから色んなご主人のとこにいた。でも、長く居られたことなんてなかった」

  「はあ?」

  「みんな、オレのこと、最初は面白いって言ってくれる。でも、そのうち飽きて、他のキャラ育てたり、違うゲームに行ったりする」

  ああ、そういう。ソシャゲのキャラなんて、アップデートのたびに強キャラが量産されるし、サービス終了したら消えてくだけだ。分かってたけど、改めてキャラの口から聞くと、妙に重い。

  「でも、ご主人だけは違った。毎日、ログインしてくれた。オレが弱くても、他のやつが強くても、ずっとオレを育ててくれた」

  俺は、少し言葉に詰まった。別に、義理でやってたわけじゃない。でも、他の連中が最適解だの効率だの言って推し変していく中で、何となくカイルのことだけは外せなかったのは事実だ。

  カイルは照れくさそうに、でも嬉しそうに続ける。

  「はじめてだったんだ、誰かのこと、こうやって……好きって思ったの」

  「……バカかよ。」

  でも、悪くなかった。むしろ、そのバカさ加減が愛おしく思えた。

  「だから、ご主人が呼んでくれたとき、絶対離れたくないって思った」

  「……」

  「ご主人、オレみたいなやつでも好きでいてくれる?」

  「……アホか。好きでいなきゃ、ここで一緒に寝てるわけねぇだろ」

  カイルは、子どもみたいな顔で笑って、俺の手を両手で包み込んできた。指の間まで熱くて、ちょっと汗ばんでる。

  「やった! じゃあ、ずっと一緒にいていい?」

  「お前の分のメシと部屋代、ちゃんと稼げよ」

  「ウス! オレ、ご主人のためなら死ぬほど働く!」

  カイルの言葉は、ガキみたいに直球だ。でも、その真っ直ぐさに、俺の胸の奥も同じ温度で焼かれていく。

  「なあ、ご主人」

  「なんだよ」

  「もし、ご主人が他の誰か好きになっても、オレ、絶対邪魔しない。けど……できれば一番でいたい、それがオレの本気」

  握られた手の温度が、じわじわ全身に伝染していく。

  「……分かった。お前が一番だ」

  「やったーー!!」

  カイルは、ベッドの上で本気で跳ねて、天井に拳がぶつかるほど喜んだ。バカすぎて笑った。

  「ご主人、明日は何したい?」

  「明日も一日、ゴロゴロだな」

  「よし、ご主人の隣、ぜったい譲らない!」

  「……あんま近づきすぎんなよ」

  「やだ、もっとくっつく」

  「……重いって」

  「重くないよ、ご主人の体、すっげえちっちゃいし」

  「……黙ってろ」

  今日も明日も、その次も。カイルは俺の隣で、全力で生きていく。

  俺も、このバカでかい生き物を全力で甘やかすことにした。

  それが、俺の日常になった。

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