广告广告
  
獣への回帰、そして永遠に

  夜遅くの古びたアパート。

  そこに残業を終え、やっと帰ってきたOL、押延夕狐(おしのび ゆうこ)は所々に枝毛が跳ねて乱れた長髪に疲れ切った顔を露わにしながらアパートの自宅に帰ってきていた。

  「あぁぁぁ、づがれだぁ~~。」

  社会人として十数年、親も施設に入り完全なアラサー女子となった彼女には友人も恋人も無く会社とアパートの部屋を行き来する日々を過ごしていた。

  「もう何も、考えたくなぃ~。」

  仕事疲れでくたくたになりながら夕狐は玄関に上がろうとした。

  「えいしょ、とっととと!?」

  何かを踏んづけてズルッと滑った夕狐は危うく転びそうになりながら何とかバランスを取って態勢を立て直した。転びかけた彼女の下にはドアの郵便受けから零れ落ち、玄関の土間いっぱいに零れ落ちたチラシが散らばっていた。

  「あぁ~。もう、こんなの入れんなってのぉ~~~ん?」

  気だるげに散らばったチラシを回収していると一枚の簡素な婚活ツアーのチラシが混じっていた。そしてその簡素なチラシにはこのように書かれていた。

  『婚活ツアー参加者募集中。誰も居ない無人島で自然に帰った先で運命の出会いがあなたを待っているかもしれません。』

  「自然に帰る、か……いいなぁ。」

  夕狐自身合コンや婚活の類は独身生活脱却の為に何度か参加したことがあったが、このような無人島での出会いというシチュエーションのものは初めてだった。そして、日々の生活に疲れ切っていた夕狐にとって社会から離れられるというのはこれ以上ない魅力だった。

  「……参加、してみよっかな。」

  そして夕狐は有給休暇を取得し数週間後に開かれるツアーに参加する事にしたのだった。

  [newpage]

  合コンツアー当日、早朝。

  「ふあぁ。ねむ。」

  前日の仕事からそのまま合コンツアーの集合場所である港にやってきた夕狐は未だに取れぬ疲れと眠気から大きなあくびをした。

  「ああ、あそこかな。いっぱい人が集まっているし。」

  夕狐が港の岸壁に集まっている集団の近くに行くと、一人の女性から声をかけられた。

  「おはようございます。今回のツアー参加者ですか?」

  「はい、押延夕狐っていいます。ツアー参加者です。」

  女性はわき腹に抱えていたボードの用紙に目を通し、確認するとチェックマークをした。

  「はい、押延夕狐さんですね。お待ちしておりました。私、今回のツアーのガイドをさせていただきます××です。」

  潮風で名前が聞き取れない中、ガイドははきはきした喋りで挨拶をすると、右手で軽くガッツポーズした。

  「今回のツアーで良き出会いに巡り合えるといいですね!」

  「は、はい……。」

  軽くガッツポーズしながら笑顔でウインクするガイドに少し気圧されながら、夕狐は返事を返した。その後何人かこちらへやってきて、先ほどのガイドが確認を取り終えた頃にガイドから案内の声が飛んだ。

  「はい、皆さんの確認が取れました。今こちらに停まっているクルーザーに乗ってください。全員の乗船が確認取れ次第出発となります。」

  夕狐はガイドに案内されるままに中型サイズのクルーザーへ乗り込んだ。

  クルーザーの中は中心に楕円形のアルミ製のテーブルが置かれた広々とした空間で、操縦室がある方向の天井からはやや小ぶりなテレビがテーブルに向けて設置されていた。

  「おお、すごい……。」

  次々と参加者が乗り込んでくる中、今までクルーザーといったものに乗った事の無い夕狐は感動を覚えていた。

  <皆様の乗船を確認しましたので、少ししましたら出発し島へ向かいます。航行中は波により揺れますのであまり立たないようお願いします。>

  少しして船内へガイドの無線が流れ、その後すぐ船のエンジン音と共に船は沖へと向かって走り出した。船が発進して暫くしてトレイを持ったガイドが操縦室から入ってくると

  紙コップに入ったお茶を配りだした。

  「はい、夕狐さん。こちらをどうぞ。」

  「ありがとうございます。」

  夕狐はガイドから手渡された紙コップのお茶に軽く口をつけ、先頭に立ったガイドの説明に耳を傾けた。

  「それでは皆さんこちらのツアーにお申込みいただきありがとうございます。今回のツアーでは無人島へ上陸し、そこで社会から隔絶された自然に帰っていただきその中で自然と他の方と交流し仲を深めていただく内容となっております。」

  ガイドは折りたたまれた参加者分の地図を、参加者達を通してそれぞれ配っていった。

  「午前中と午後の部に分かれておりまして、間の昼食の時間にはクルーザー前に集まっていただき昼食用の弁当を配布し、終了直前には同じくクルーザー前にてBBQを開催し、その後再び船に乗っていただき港に帰り着いてツアー終了の流れとなります。」

  その後、いくつかの説明を交えた後にガイドは紙コップを軽く上に持ち上げた。

  「それでは皆さん、今回こうして巡り合えた事に感謝をして、願わくはよい縁となる事を願って、乾杯!」

  「「「「乾杯!」」」」

  夕狐を含めた参加者達は近くの人たちと軽く紙コップをぶつけた後、手に持っていた紙コップのお茶を飲み干した。

  「それでは暫く船内のテレビにて今回の詳細な企画内容を兼ねた島の説明を流しますので、聞いていただきつつそれぞれご歓談を楽しんでください。」

  ガイドは参加者達から紙コップを回収するとトレイをもって再び操縦室へ入っていった。

  “今回訪れる島はかつて漁業が栄えており、多くの人が住んでいたものの、高齢化の波に飲まれた事で放置されて無人島となった場所で……”

  テレビから島の軽い歴史や島のスポットの説明が流れ、暫くの間夕狐はテレビを見ながら周囲の参加者と言葉を交わしていたが、疲れか早朝にやってきた事による寝不足か眠気が増していき、やがて夕狐は気絶するように眠ってしまった。

  スゥ……、スゥ……。

  他の参加者も同様に一人一人眠りに落ちていき参加者全員が眠りこけた頃、夕狐に変化が表れ始めていた。

  手足に黄土色の体毛がびっしりと生え、耳が動物の物に変わり始めたのだ。その変化は他の参加者達にも体毛の色などは違えども同様の変化が訪れていた。

  スゥ……、スゥ……。

  更に夕狐のお尻からはふさふさの尻尾がズボンからはみ出るように生え始め、そこから尻尾は地面に着くほどまでに大きくなってなった。しかし誰も眠りこけ、熟睡してしまっている為に気づく者は一人としておらず、寝静まった船内で変化は粛々と進行していった。

  [newpage]

  <皆さま、お目覚めの時間ですよ~。>

  深い眠りから目が覚めた夕狐は船の中に流れたアナウンスの声で目を覚ました。

  夕狐の体は肩と太ももから下は黄土色の体毛に覆われ、毛に覆われた手のひらと足の裏には肉球が発生しており、耳は人のモノから動物のモノに変わって、大きなふさふさの尻尾が地面に着いていた。

  <まもなく、皆さまの“自然回帰ツアー”の開催地となる無人島が見えてきます。>

  『自、然、回帰ツアー……?』

  夕狐の頭の中にぼんやりと疑問が浮かんだ。しかし起きたばかりで頭がしっかり働かないのか夕狐にはその理由が思い当たらなかった。

  『そう、だったよね、回帰、そう自然に帰るのが目的、だったよね。』

  夕狐は周りの体が変異し、動物のような特徴が現れた参加者達を見て、自分に言い聞かせるように思考を反芻した。

  『無人島に上陸して、自然の中に帰って、他の人と仲良くなって、それから……。』

  当初の目的を思い出そうと何度も思い返す夕狐だったが、寝る前の事はおろか自らの体に起きている変化にすら既に頭が回らない状態となっていた。

  <島に到着し、降りる際に皆様には存分に回帰していただく為に特別な成分の入った飲料を一人一人給水しますので、その場でお待ちください。>

  アナウンスを聞いた夕狐は考えるのを一先ず辞めて、ガイドが来るのを待つことにした。

  『ぷはぁ、おいしかったぁ。』

  参加者達の居る室内に入ってきたガイドから不思議な形をしたドリンクを給水され、英気を養った夕狐は何時しか間近にまで迫った無人島のこんもりと盛り上がった大地に木々が生い茂る雄大な景色に心打たれ、これからの回帰へ期待に胸を膨らませていた。

  <さあ、皆さん間もなく無人島へ到着します!足元に気を付けて上陸してください。>

  ガイドの言葉と共に船が島の岸壁に到着すると獣人となった参加者達は我先と駆け出していき、夕狐も待望の自然広がる無人島へ駆け出していったのだった。

  [newpage]

  島に降り立って数十分。

  夕狐は島の鬱蒼とした森の中を一人さ迷い歩いていた。

  当初夕狐は島の外周、廃墟同然とした誰も居ない家屋が立ち並ぶ海沿いを歩いていたのだが、既に至る所でカップルが成立しており彼らの声が埋め尽くすように響き渡り、逃げだすように山の中へ入っていたのだ。

  ハァ、ハァ、ハァ……。

  夕狐は島に上陸してから只管に高鳴る鼓動と疼く衝動に苛まれており、熱さから既に衣服は脱ぎ捨て尻尾が生え黄土色の体毛に覆われたお尻や人としての要素が残っている大きな胸を曝け出していた。

  クチュ、クチュ……。

  何とかこの衝動を抑えようと変異した手で秘所を愛撫しながら、出会いを求めて歩いていた夕狐はある物を発見した。

  『また、石像……?』

  それは大きさと手足の形がやや違う事を除いて殆ど動物というべき姿をした石像で、濃厚な交尾を繰り広げて口を大きく開けた雄雌の像というべきものだった。

  『さっきも、あったけど、なんだろう……。』

  夕狐は同様の形の石像は先ほどまで居た家屋が立ち並ぶ海沿いでも見かけており、そこにはより沢山の石像が濃厚に絡み合う参加者達に混じって配置されていた。

  『何か、ムラッとしちゃう……。わたし、別にそんな趣味無かったのに……。』

  ガサッ

  山の中で雄が雌に覆いかぶさり、腰を振る様の石像により一層の興奮を覚えた夕狐が困惑している中、後方から草むらが揺れる音がした。

  『誰!?』

  いつの間にか獣のようになった耳から音を拾い上げた夕狐が音の鳴った場所を振り向くと、そこには焦げ茶色の体毛に覆われた手足をしたケモ耳の青年が居た。

  『あ……!』

  夕狐よりも少しがたいが大きく、しっかりした体格は如何にも雄といった感じであり、ケモ耳の青年を見た夕狐の思考は本能に引きずられるように一色へ染まった。

  『雄、雄、雄、雄!欲しい、欲しい、欲しい、欲しい!!』

  相手の青年も同じ感情を持ったのか、ぎらついた目で夕狐を見つめて二人は駆け付けるように、急速にその距離を縮めた。

  そのまま抱きしめ合った二人は体を密着させ、これまで二人の人生で味わったことがないだろう程に高まった興奮状態の中でこすり付けあい始めた。

  ハァ、ハァ、ハァ……。

  ハァ、ハァ、ハァ……。

  二人は荒く息を漏らしながら、夕狐は蜜のように溢れ出す愛液を、青年は大きく勃起した一物の先端から溢れ出す透明の液体をとそれぞれ興奮して漏れ出た体液を互いの体に擦り付けていった。

  「……。」

  やがて二人は互いに体を離し、再び見つめ合ったがその様子から明らかに収まっていないのは明らかであり、寧ろ互いの性器から漏れ出る体液の量は増していた。

  「……。」

  夕狐は振り向き背中側を見せると、そのまま四つん這いになりお尻を持ち上げた。そこには島をさ迷う中で熟れに熟れ、匂いが漏れ出るほどに興奮で汁が滴る秘所が露わになっていた。

  「オオォ!?♡」

  目の前に差し出された夕狐の秘所に青年は間髪入れずに夕狐の腰を掴むと一物をズンと奥深くまで挿入した。

  『ふっとぉ!?♡中がギチギチ……!♡』

  青年の一物は夕狐の中で更に膨れ上がって夕狐の中を圧迫し、脳内に迸る衝撃を与えた。

  『あ、あ、あ!♡私、おかしく……!!♡』

  グチュ、グチュ、グチュ、グチュ!

  夕狐の脳にちりちりと火花が散る中、容赦なく青年のモノが夕狐の中を貫き、二人はそのまま深い沼へ落ちていった。

  [newpage]

  数時間後。

  夕狐と青年の行為は未だに続いており、辺りには二人の体液が混じり合った匂いが充満していた。

  「オ、オッ!!♡」

  二人の体は更に変化を遂げ、肩と太ももから下だけだった体毛は全身に広がり顔の形も人の顔からそれぞれ犬と狐のような顔に変貌し、殆ど獣となっていた。

  「オ、オオッ!!♡オッ!!♡」

  雄の獣人と化した青年の一物には、こぶのようなものが出来て抜けなくなっており密着するような形で二人もとい二匹の獣人は激しい交尾を繰り返していた。

  「オッ!♡オッ!♡オッ!♡」

  既に獣としての鳴き声しかあげられなくなった夕狐は、トロトロになり何も考えられなくなりながら、只管快楽に酔いしれていた。

  『い、イイ、イイのぉ……!!♡』

  激しく繰り返される交尾は一突き一突きが二匹の思考をそぎ落とし、純粋なケモノへ落としていった。

  『もっと、もっと、もっとぉ……!♡♡』

  ジュブ、ジュブ、ジュブ!

  夕狐は中に注がれる液体の生暖かさに心地よさすら感じており、更なる暖かさを追い求め続けた。そして遂に限界が訪れた。

  『もう、駄目……!イグ、イグ、イグゥ~!!♡』

  夕狐が限界を迎えた時、雄の獣人も限界を迎えたのか二匹は同時に獣の声をあげた。

  「「オオオオオオオオ!!♡」」

  ブジャアアアア!

  二匹の絶頂と共に沢山の精液が夕狐の中に注がれ、収まりきらず外へあふれ出したものが噴き出すようにあふれ出した。

  「「オオオオオオオオォォォォォ!♡」」

  ジャアアアア!

  二匹は絶頂を味わうように声をあげ続けていたがやがて変化が訪れた。

  二匹の体色が色あせるように落ちていき、茶とこげ茶に覆われていた体毛ごと灰色に変わり始めたのだ。

  「「オオオオオオオオォォォォォ……!♡」」

  プシャアアア

  それと同時に二匹の雄たけびも徐々に小さくなり始め、動きも緩慢になっていった。

  「「ォォォォォ、ォォ、ォ……♡」」

  シャアア

  やがて恍惚とした表情を浮かべたまま瞳の光彩を失い、灰色一色に染まり切った時、そこには覆いかぶさるように腰をくっつけた交尾の果てに雄たけびをあげる二匹の獣の石像が出来上がっていた。

  「……。」

  プシ、プシ。

  全身から湯気が立ち昇り、石となるその直前まで行われていた行為の熱量が伝わってくる一方、細部まで硬く無機質な質感となった姿にはつい先ほどまで二匹の獣だったとは思えない程の在り様だった。

  「……。」

  雄の獣人に犯され、喘ぐ姿のまま固まった夕狐の顔にかつての面影は枝毛の跳ねた長髪しか残っておらず、全身は一本一本が灰色の彫刻となった体毛で覆われ、顔の形は狐のような形となり、その鼻先から顔を覆う毛や瞳も含んだ全てが石の彫刻と化していた。

  「……。」

  そして雄の獣人と結合した部分から漏れ出た体液も地面に落ちる途中で溶岩が冷え固まったかのように石へと変化し、夕狐と雄の獣人は最早別れ難い一対の石像へと変わっていた。

  同様の変化は他の場所でも起きており、島中に響き渡っていた雄叫びの消失と共に各地に新たな石像が誕生していた。

  木々や建築物、石像に股間を擦り付け体液を飛ばし、まき散らした姿の雄と雌の獣人の石像。

  股間を弄る雌の獣人像にそそり立った一物を押し付け、ぶっかけた様子の雄の獣人像。

  そして夕狐と雄の獣人と同じように交尾を行い、そのまま固まった番の石像。

  それらは夕狐と共に島に降り立った参加者達であり、皆互いにまぐわう中で獣人となり、そのまま絶頂の瞬間を放出された体液と共に物言わぬ石像となっていた。

  彼らも夕狐達と同様に人であった面影は殆ど失われ、上陸時に廃墟となった町にあった獣人たちの石像もといかつての参加者達と同じかつての面影を失い、島に放置された淫猥な置物と化していた。

  「熱源反応消失、皆さん自然に帰られたようですね。」

  いかつい熱源感知ゴーグルを外し、島内に人型の熱源が無い事を確認したガイドは操舵手に指示を出した。

  「今度この島に来る時には心も冷え固まり完全に只の石像へ還るでしょう。それでは船を出してください。」

  ガイドの言葉を受け、島を離れゆくボートにはガイドを除いて誰も乗っておらず、そのまま船ははるか遠く海の向こうへ消えていったのだった。

  [newpage]

  数か月後。

  世間で彼らの失踪を報じる者は無く、社会から完全に忘れ去られた参加者たちはあの日と変わらない時間が流れる島で、獣人たちの石像としてコケ塗れになりながら佇んでいた。

  「……。」

  ガイドの言葉通り、多くの参加者達は意識を快楽に満たされたまま冷え固まらせており、永遠の快楽を刻んだ石像として島の一部として溶け込んでいた。

  そして夕狐もまたコケに塗れながら、既に射精の快楽を刻んだまま心まで石像となった雄の獣人像と変わらぬ姿を曝け出しながら、冷たく硬い灰色の塊の中で今まさに石像へ還ろうとしていた。

  『――――♡♡♡』

  何週間、何か月と途切れることなく続く絶頂に曝され続けた事で夕狐の人格は擦り切れ、意識を薄れさせながら夕狐は絶頂時の快楽を延々とリピート再生していた。

  『――――♡♡』

  姿かたちも、言葉も、思考も失い夕狐に覆いかぶさり繋がる雄の獣人と共に交尾に喘ぐ獣人の石像となった夕狐は無人島に放置された置物の一つにしか過ぎず、間もなく他の参加者達と同様にその意識を快楽に満たしながら冷え固まっていこうとしていた。

  『――――♡』

  そんな島に再びあのボートがやって来ていた。

  ボートの中にはガイドと共に興奮で息を荒くした参加者達が乗り込んでおり、島への到着を今か今かと待ちわびている様子だった。

  『――――』

  そして島に船が到着し、新たな参加者達が駆けだした頃。夕狐の意識は快楽を刻んだ形で停止し、完全な獣人像となった。

  『――――』

  夕狐は島の端々で喘ぎ、自らと同じ獣の石像と化していく島で戯れる参加者達をよそに何も語る事も無く佇んでいた。

  『――――』

  最早夕狐が動く事も伝える事も無い。

  夕狐は既に獣となって乱れ、猛る衝動をそのまま全て冷え固まらせ森の中に放置された交尾する獣人の像であり、見つけた者の性欲を焚きつける卑猥な獣の姿以外に彼女足らしめるものは何も残っていないのだから。

广告广告