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十五夜-月影に隠れた彼の姿-

  【場面:彼女の部屋にいる二人】

  え? 十五夜に一緒にお月見をしたい……?

  なんだよ、突然。

  まぁ、確かに俺たち5年も付き合ってるのに、

  一度も一緒にお月見したことないな。

  でも、クリスマスとか、バレンタインとかのイベントごとより

  マイナーっていうか……

  別によくないか?

  どうしても、お月見一緒にしたいって……。

  (歯切れ悪く)

  えー、あー……。

  そうだ、その日は仕事入ったんだ……。

  うん、そういうことだから!

  ごめんな?

  んーじゃあ、ほらっ

  次の日にお月見、一緒にやろ? な?

  (「どうしても当日にしたいの!」)

  頑なだな。

  仕事だから無理だって、言ってんだろっ!!

  あっ、ごめん。声荒げて。

  でも、その日は本当に無理だから……。

  (きまずい空気になる)

  お、俺帰るわ……。

  (玄関に向かう)

  (ちょっと遠くから)

  お邪魔しました。

  (SE:ドア開閉音)

  あー、やばい、強く言いすぎた。

  突然のことで、焦っちまった。

  でも……十五夜だけはダメなんだ。

  (一拍置いて)

  ごめんな。

  【場面転換:十五夜の夜】

  【十五夜になると、獣人になってしまう彼】

  (できれば少し声低めで)

  はぁー、一年で一番嫌いな日。

  十五夜来ちまったな。

  耳にしっぽに、このゴツゴツの身体。

  俺が獣人って、あいつに知られでもしたら……

  いつかあいつとの関係が終わるかもなんて、考えたくもねぇ。

  はぁ……(ため息)

  まだ夕方だが、ササっと寝ちまおう。

  早く明日の朝になれよ。

  (少しして、彼就寝)

  (寝息等あれば)

  【場面転換︰寝てから数時間後】

  (SE:ドア開閉音)

  (SE:彼女の小さい足音)

  (人の気配を察して起きる彼)

  (SE:布団衣擦れ音)

  ……っ!

  誰だ……っ!

  (グルル……等、警戒する唸る声があれば)

  (彼女に気が付く)

  あっ、お前、なんで……!

  合鍵で……?

  あーお前持ってたもんな。

  あんまり使ってなかったから、渡してたの忘れてたわ……

  (しばしの沈黙)

  あーあ。この姿がばれちまったか。

  夢の時間は、終わりか。

  十五夜に会えなかった理由はこれだ。

  十五夜だけは、月の妖力の関係で、

  人間に化けるのができないんだ。

  (自嘲気味に)

  なぁ、怖いだろ?

  これが、俺の本当の姿だ。

  昔話になるが、お前が小さかった時にな、

  狼姿の、俺を手当してくれたことがあったんだよ。

  多分、犬と勘違いしてたんだろうな。

  すっごい嬉しかった。

  あの出来事が忘れられなくてな……

  それからずっとお前のことを見てきたんだ、ずっとな。

  遠くからお前の成長を見てるだけでよかった。

  だけど、お前に初めて男が出来た時にな、

  黒い感情が俺の中に生まれて……

  あー、これが嫉妬ってやつかって思ったよ。

  お前を俺のものにしたいって思った。

  だから、俺は人に化けてお前の前に現れたんだ。

  ははっ(乾いた笑い)

  気持ち悪いだろ、俺……。

  この姿がばれちまったからには、

  お前の傍にいるわけにはいかないな。

  (突然抱きしめてくる彼女)

  っと!! 急に抱き着いて何だよ! 離せ!!

  「離れたくない」って、

  お前何言ってるのかわかってるのか?!

  「覚悟してる」って、

  お前、もしかして、俺が獣人だと気づいてたのか?

  はぁ?! 寝てる時にたまに獣人になってただと?!

  満月の日にたまに?

  気づかなかった……

  なんでずっと黙ってたんだよ。

  この姿の俺が、怖くないのか…?

  身体が大きくてかっこいい?!

  予想外な反応すぎていろいろ混乱してるが、

  お前に嫌われなくてよかった。

  俺もお前と一緒にいたい……。

  離れたくない。

  少しずつになるが、これから俺のことを話していきたい。

  聞いてくれるか?

  ありがとう。

  ん? でも、今は二人でお月見したい?

  あぁ、そうだな。

  まだ日付が変わるまでには少し時間がある……

  一緒にお月見をしよう。

  あ、月見団子も買ってきてくれたのか。

  ありがとな。

  じゃあとりあえず、ベッドに座ってくれ。

  (SE︰カーテンを開く音)

  (お団子を食べながら、月を見る二人)

  あー、月が綺麗だな……。

  こんなに月を綺麗だと思ったのは、初めてかもしれないな。

  月明かりで見るお前は、この世で1番綺麗だ。

  はは……お前と月見ができる日が来るなんてな……

  やばい、なんか泣けてきた。

  (一拍置いて)

  なぁ、抱きしめてもいいか?

  (彼女を抱きしめる)

  俺はずっとお前しか見えてないんだ。

  大好きだ。ずっと大好きだったんだ。

  ずっと俺のそばにいてくれ。

  これからもずっと……愛してる。

  (キス/省略可)

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